JP5501930B2 - 多層重合体 - Google Patents
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Description
(1)弾性重合体層(A)の外側に弾性重合体層(B)を備え、該弾性重合体層(B)の外側に硬質グラフト層(C)を備えた3層構造の多層重合体であって、前記弾性重合体層(A)は、アクリル酸アルキルを50重量%以上99.9重量%以下の範囲で含有し、ラジカル重合可能な二重結合を2個以上有する多官能単量体を0.1重量%以上1重量%未満の範囲で含有し、ラジカル重合可能な二重結合を1個有する単官能単量体を49.9重量%以下の範囲で含有してもよい単量体成分(a)が重合してなり、前記弾性重合体層(B)は、アクリル酸アルキルを50重量%以上99重量%以下の範囲で含有し、ラジカル重合可能な二重結合を2個以上有する多官能単量体を1重量%以上10重量%以下の範囲で含有し、ラジカル重合可能な二重結合を1個有する単官能単量体を49重量%以下の範囲で含有してもよい単量体成分(b)が重合してなり、前記硬質グラフト層(C)は、メタクリル酸アルキルを50重量%以上100重量%以下の範囲で含有し、ラジカル重合可能な二重結合を2個以上有する多官能単量体を3重量%以下の範囲で含有してもよく、ラジカル重合可能な二重結合を1個有する単官能単量体50重量%以下の範囲で含有してもよい単量体成分(c)が重合してなる、ことを特徴とする多層重合体。
(2)弾性重合体層(A)、弾性重合体層(B)及び硬質グラフト層(C)の合計100重量部に対し、弾性重合体層(A)及び弾性重合体層(B)の合計が30〜95重量部である前記(1)に記載の多層重合体。
(3)弾性重合体層(A)及び弾性重合体層(B)の合計100重量部に対し、弾性重合体層(A)が5〜50重量部である前記(1)又は(2)に記載の多層重合体。
(4)粒子状である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の多層重合体。
(5)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の多層重合体とメタクリル樹脂とを、多層重合体:メタクリル樹脂(重量比)=1:99〜99:1の割合で含有するメタクリル樹脂組成物。
(6)メタクリル樹脂が、メタクリル酸アルキルを70重量%以上100重量%以下の範囲で含有し、該メタクリル酸アルキルと共重合可能な単量体を30重量%以下の範囲で含有してもよい単量体成分(d)が重合してなる前記(5)に記載のメタクリル樹脂組成物。
(7)前記(5)又は(6)に記載のメタクリル樹脂組成物からなるフィルム。
本発明の多層重合体は、弾性重合体層(A)の外側に特定の弾性重合体層(B)を備え、該弾性重合体層(B)の外側に硬質グラフト層(C)を備えた3層構造の多層重合体である。ここで、弾性重合体層(A)及び弾性重合体層(B)は、ラジカル重合可能な二重結合を2個以上有する多官能単量体を必須とする単量体成分を、それぞれ重合してなるものであり、弾性重合体層(A)と弾性重合体層(B)とは、それぞれの単量体成分(単量体成分(a)及び単量体成分(b))に含まれる前記多官能単量体の割合が異なっている。このように、2つの弾性重合体層を備え、かつ、それぞれの弾性重合体層を得るための原料となる単量体成分(a)及び(b)が、前記多官能単量体をそれぞれ異なる所定の割合で含有することにより、本発明の多層重合体は、例えば、これをメタクリル樹脂に配合したメタクリル樹脂組成物から得られるフィルムに耐応力白化性と伸び性とを両立させることが可能になる。
各単量体成分(a)、(b)及び(c)を重合させる際に用いることのできる乳化剤としては、特に限定されないが、例えば、アニオン系の乳化剤等が好ましく挙げられる。アニオン系の乳化剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の直鎖または分岐したアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。乳化剤は、単量体成分(a)、(b)及び(c)の全ての総量100重量部に対して0.01〜5重量部程度の割合となるように、一括、分割または連続して添加するのが好ましい。
各単量体成分(a)、(b)及び(c)を重合させる際に用いることのできる重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸化合物等が挙げられる。重合開始剤は、単量体成分(a)、(b)及び(c)の全ての総量100重量部に対して0.01〜1重量部程度の割合となるように、一括、分割または連続して添加するのが好ましい。
このラテックスから多層重合体を回収する方法としては、従来公知の方法を採用することができ、例えば、塩析や酸析、凍結などで凝固させた後、ろ過し、次いで洗浄する方法や、スプレー乾燥処理により回収する方法等が挙げられる。
なお、多層重合体の粒子径、弾性重合体層(A)の粒子径、ならびに弾性重合体層(A)及び弾性重合体層(B)の2層の粒子径は、それぞれ、各単量体成分(a)、(b)及び(c)の量や、その際に用いる乳化剤の使用量等を調節することによって調整することができる。
本発明の多層重合体は、単独でフィルム状に成形して使用することもできるが、後述する本発明のフィルムのように、メタクリル樹脂と混合したメタクリル樹脂組成物をフィルム状に成形して使用されるのが好ましい。
本発明のメタクリル樹脂組成物は、上述した本発明の多層重合体とメタクリル樹脂とを含むものである。このとき、両者の含有割合は、通常、多層重合体:メタクリル樹脂(重量比)=1:99〜99:1である。好ましくは、多層重合体:メタクリル樹脂(重量比)=20:80〜80:20であるのがよい。
本発明のフィルムは、上述した本発明のメタクリル樹脂組成物からなる。かかる本発明のフィルムは、例えば、溶融流延法、Tダイ法やインフレーション法のような溶融押出法、カレンダー法等のフィルム化方法によって作製することができる。中でも、前記メタクリル樹脂組成物を、例えばTダイから溶融押出して得られるフィルム状物の少なくとも片面をロール又はベルトに接触させて製膜する方法は、表面性状の良好なフィルムが得られる点で好ましい。とりわけ、フィルムの表面平滑性及び表面光沢性を向上させる観点からは、前記メタクリル樹脂組成物を溶融押出成形して得られるフィルム状物の両面をロール表面又はベルト表面に接触させてフィルム化する方法が好ましい。
前記熱可塑性樹脂層を形成するメタクリル樹脂以外の他の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、前記メタクリル樹脂組成物に含まれるメタクリル樹脂以外の(メタ)アクリル樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合)樹脂などが挙げられる。これらのなかでも、特に、ABS樹脂が好ましい。
本発明のフィルムの厚さは、特に制限されないが、通常0.03〜0.5mm、好ましくは0.05〜0.15mmである。
かかる本発明のフィルムは、例えば、自動車の内装用資材、家電製品の外装用資材、建築用資材(エクステリア)等に好適に使用することができる。
〔多層重合体の製造〕
まず、5Lのガラス製反応容器に下記水系媒体原料(ア)の全量を入れ、窒素雰囲気下、攪拌しながら80℃に昇温した。次いで、この反応容器の中に、同温度(80℃)で、下記弾性重合体層(A)の原料(イ)の全量を13分間かけて連続的に添加し、引き続き攪拌しながら同温度で20分間熟成することにより、弾性重合体層(A)のみからなる単層重合体を含むラテックスを得た。次いで、得られたラテックスに、同温度(80℃)で、下記弾性重合体層(B)の原料(ウ)の全量を47分間かけて連続的に添加し、引き続き攪拌しながら同温度で45分間熟成することにより、弾性重合体層(A)を内層とし、その外側に密接して外層となる弾性重合体層(B)を備えた2層重合体を含むラテックスを得た。次いで、得られたラテックスに、同温度(80℃)で、下記追加開始剤原料(エ)を添加して攪拌した後、同温度で、下記硬質グラフト層(C)の原料(オ)を60分間かけて連続的に添加し、引き続き攪拌しながら同温度で45分間熟成することにより、弾性重合体層(A)を内層とし、その外側に密接して中間層となる弾性重合体層(B)を備え、さらにその外側に密接して外層となる硬質グラフト層(C)を備えた3層重合体を含むラテックスを得た。
イオン交換水 64.7部
炭酸ナトリウム 0.04部
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.16部
過硫酸カリウム 0.013部
アクリル酸ブチル 2.32部
メタクリル酸メチル 1.05部
スチレン 0.49部
メタクリル酸アリル(架橋剤) 0.015部
アクリル酸ブチル 8.14部
メタクリル酸メチル 3.31部
スチレン 1.70部
メタクリル酸アリル(架橋剤) 0.41部
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.16部
過硫酸カリウム 0.017部
<硬質グラフト層(C)の原料(オ)>
メタクリル酸メチル 15.69部
アクリル酸メチル 1.74部
なお、弾性重合体層(A)のみからなる単層重合体を含むラテックス、弾性重合体層(A)と弾性重合体層(B)とからなる2層重合体を含むラテックス、及び、得られた3層重合体を含むラテックスについて、各ラテックスに含まれる重合体の重量平均粒子径(すなわち、各層の径)を、濃厚系粒径アナライザー(大塚電子(株)製「FPAR−1000」)を用いて測定したところ、それぞれ、30nm、50nm、76nmであった。
単量体成分(d)としてメタクリル酸メチル95%とアクリル酸メチル5%とからなる単量体成分を、バルク重合することにより得られたペレット状のメタクリル樹脂を50部と、上記で得られたパウダー状の3層重合体粒子50部とを、スーパーミキサーで混合し、二軸押出機で溶融混錬して、メタクリル樹脂組成物のペレットを得た。
次に、得られたペレットを、20mmΦの一軸押出機(東洋精機(株)製)を用いて溶融させ、設定温度260℃のT型ダイを介して押し出し、2本のポリシングロールに両面が完全に接するようにして冷却することにより、メタクリル樹脂組成物からなる厚さ80μmのフィルムを得た。
得られたフィルムの応力白化性及び引張伸度を以下の方法で評価し、その結果を表1に示した。
得られたフィルム(厚さ80μm)をサンプルとし、これを、突き上げ試験機(LLOYD INSTRUMENTS LTD.製「LF−Plus Universal Test Machine」)のサンプルホルダーに、15mmΦの穴の空いた二枚のステンレス板で挟み込んだ状態で水平に固定した。そして、23℃の雰囲気下、先端が半球状である10mmΦのダートを、1200mm/分の速度で、ステンレス板の穴の中央部のフィルム面から下方へ5mm突き下ろした。このとき、半球状に変形したフィルムの応力白化した状態を目視で観察し、以下の基準で5段階のレベルに判定した。なお、この試験は5回行い、5回の判定レベルの平均値を求めた。
レベル0:全く白化が認められない。
レベル1:極薄く白化が認められる。(ほとんど白化していない。)
レベル2:薄い白化が認められる。(僅かに白化している。)
レベル3:白化が認められる。
レベル4:著しく白化が認められる。
得られたフィルム(厚さ80μm)から幅10mmの短冊状のサンプルを切り出し、これを用いて、万能材料試験機(INSTRON社製「1122RF55型」)にて、チャック間隔を90mmにセットし、引張りスピードを50mm/分として、23℃で、引張強伸度(%)を測定した。
〔多層重合体の製造〕
まず、5Lのガラス製反応容器に実施例1と同じ水系媒体原料(ア)の全量を入れ、窒素雰囲気下、攪拌しながら80℃に昇温した。次いで、この反応容器の中に、同温度(80℃)で、下記弾性重合体層(A)の原料(イ)の全量を30分間かけて連続的に添加し、引き続き攪拌しながら同温度で45分間熟成することにより、弾性重合体層(A)のみからなる単層重合体を含むラテックスを得た。次いで、得られたラテックスに、同温度(80℃)で、下記弾性重合体層(B)の原料(ウ)の全量を30分間かけて連続的に添加し、引き続き攪拌しながら同温度で45分間熟成することにより、弾性重合体層(A)を内層とし、その外側に密接して外層となる弾性重合体層(B)を備えた2層重合体を含むラテックスを得た。次いで、得られたラテックスに、同温度(80℃)で、実施例1と同じ追加開始剤原料(エ)を添加して攪拌した後、同温度で、実施例1と同じ硬質グラフト層(C)の原料(オ)を60分間かけて連続的に添加し、引き続き攪拌しながら同温度で45分間熟成することにより、弾性重合体層(A)を内層とし、その外側に密接して中間層となる弾性重合体層(B)を備え、さらにその外側に密接して外層となる硬質グラフト層(C)を備えた3層重合体を含むラテックスを得た。
アクリル酸ブチル 5.23部
メタクリル酸メチル 2.36部
スチレン 1.09部
メタクリル酸アリル(架橋剤) 0.035部
アクリル酸ブチル 5.23部
メタクリル酸メチル 2.13部
スチレン 1.09部
メタクリル酸アリル(架橋剤) 0.26部
なお、弾性重合体層(A)のみからなる単層重合体を含むラテックス、弾性重合体層(A)と弾性重合体層(B)とからなる2層重合体を含むラテックス、及び、得られた3層重合体を含むラテックスについて、各ラテックスに含まれる重合体の重量平均粒子径を、実施例1と同様にして測定したところ、それぞれ、41nm、54nm、82nmであった。
上記で得られたパウダー状の3層重合体粒子を用いたこと以外、実施例1と同様にして、メタクリル樹脂組成物のペレットを得た。
次に、得られたペレットを用いて、実施例1と同様の操作により、メタクリル樹脂組成物からなる厚さ80μmのフィルムを得た。
得られたフィルムの応力白化性及び引張伸度を実施例1と同様の方法で評価し、その結果を表1に示した。
〔多層重合体の製造〕
まず、5Lのガラス製反応容器に実施例1と同じ水系媒体原料(ア)の全量を入れ、窒素雰囲気下、攪拌しながら80℃に昇温した。次いで、この反応容器の中に、同温度(80℃)で、実施例2と同じ弾性重合体層(A)の原料(イ)の全量を30分間かけて連続的に添加し、引き続き攪拌しながら同温度で45分間熟成することにより、弾性重合体層(A)のみからなる単層重合体を含むラテックスを得た。次いで、得られたラテックスに、同温度(80℃)で、実施例2と同じ弾性重合体層(B)の原料(ウ)の全量を30分間かけて連続的に添加し、引き続き攪拌しながら同温度で45分間熟成することにより、弾性重合体層(A)を内層とし、その外側に密接して外層となる弾性重合体層(B)を備えた2層重合体を含むラテックスを得た。次いで、得られたラテックスに、同温度(80℃)で、実施例1と同じ追加開始剤原料(エ)を添加して攪拌した後、同温度で、下記硬質グラフト層(C)の原料(オ)を60分間かけて連続的に添加し、引き続き攪拌しながら同温度で45分間熟成することにより、弾性重合体層(A)を内層とし、その外側に密接して中間層となる弾性重合体層(B)を備え、さらにその外側に密接して外層となる硬質グラフト層(C)を備えた3層重合体を含むラテックスを得た。
メタクリル酸メチル 15.65部
アクリル酸メチル 1.74部
エチレングリコールジメタクリレート(架橋剤) 0.035部
この3層重合体を含むラテックスの固形分濃度は35%であった。
なお、弾性重合体層(A)のみからなる単層重合体を含むラテックス、弾性重合体層(A)と弾性重合体層(B)とからなる2層重合体を含むラテックス、及び、得られた3層重合体を含むラテックスについて、各ラテックスに含まれる重合体の重量平均粒子径を、実施例1と同様にして測定したところ、それぞれ、42nm、54nm、82nmであった。
上記で得られたパウダー状の3層重合体粒子を用いたこと以外、実施例1と同様にして、メタクリル樹脂組成物のペレットを得た。
次に、得られたペレットを用いて、実施例1と同様の操作により、メタクリル樹脂組成物からなる厚さ80μmのフィルムを得た。
得られたフィルムの応力白化性及び引張伸度を実施例1と同様の方法で評価し、その結果を表1に示した。
〔多層重合体の製造〕
まず、5Lのガラス製反応容器に実施例1と同じ水系媒体原料(ア)の全量を入れ、窒素雰囲気下、攪拌しながら80℃に昇温した。次いで、この反応容器の中に、同温度(80℃)で、下記弾性重合体層(A)の原料(イ)の全量を60分間かけて連続的に添加し、引き続き攪拌しながら同温度で45分間熟成することにより、弾性重合体層(A)のみからなる単層重合体を含むラテックスを得た。次いで、得られたラテックスに、同温度(80℃)で、実施例1と同じ追加開始剤原料(エ)を添加して攪拌した後、同温度で、実施例1と同じ硬質グラフト層(C)の原料(オ)を60分間かけて連続的に添加し、引き続き攪拌しながら同温度で45分間熟成することにより、弾性重合体層(A)を内層とし、その外側に密接して外層となる硬質グラフト層(C)を備えた2層重合体を含むラテックスを得た。
アクリル酸ブチル 10.46部
メタクリル酸メチル 4.71部
スチレン 2.30部
メタクリル酸アリル(架橋剤) 0.070部
なお、弾性重合体層(A)のみからなる単層重合体を含むラテックス、及び、得られた2層重合体を含むラテックスについて、各ラテックスに含まれる重合体の重量平均粒子径を、実施例1と同様にして測定したところ、それぞれ、56nm、83nmであった。
上記で得られたパウダー状の2層重合体粒子を用いたこと以外、実施例1と同様にして、メタクリル樹脂組成物のペレットを得た。
次に、得られたペレットを用いて、実施例1と同様の操作により、メタクリル樹脂組成物からなる厚さ80μmのフィルムを得た。
得られたフィルムの応力白化性及び引張伸度を実施例1と同様の方法で評価し、その結果を表1に示した。
〔多層重合体の製造〕
まず、5Lのガラス製反応容器に実施例1と同じ水系媒体原料(ア)の全量を入れ、窒素雰囲気下、攪拌しながら80℃に昇温した。次いで、この反応容器の中に、同温度(80℃)で、下記弾性重合体層(B)の原料(ウ)の全量を60分間かけて連続的に添加し、引き続き攪拌しながら同温度で45分間熟成することにより、弾性重合体層(B)のみからなる単層重合体を含むラテックスを得た。次いで、得られたラテックスに、同温度(80℃)で、実施例1と同じ追加開始剤原料(エ)を添加して攪拌した後、同温度で、実施例1と同じ硬質グラフト層(C)の原料(オ)を60分間かけて連続的に添加し、引き続き攪拌しながら同温度で45分間熟成することにより、弾性重合体層(B)を内層とし、その外側に密接して外層となる硬質グラフト層(C)を備えた2層重合体を含むラテックスを得た。
アクリル酸ブチル 10.46部
メタクリル酸メチル 4.26部
スチレン 2.19部
メタクリル酸アリル(架橋剤) 0.52部
なお、弾性重合体層(B)のみからなる単層重合体を含むラテックス、及び、得られた2層重合体を含むラテックスについて、各ラテックスに含まれる重合体の重量平均粒子径を、実施例1と同様にして測定したところ、それぞれ、58nm、85nmであった。
上記で得られたパウダー状の2層重合体粒子を用いたこと以外、実施例1と同様にして、メタクリル樹脂組成物のペレットを得た。
次に、得られたペレットを用いて、実施例1と同様の操作により、メタクリル樹脂組成物からなる厚さ80μmのフィルムを得た。
得られたフィルムの応力白化性及び引張伸度を実施例1と同様の方法で評価し、その結果を表1に示した。
〔多層重合体の製造〕
まず、5Lのガラス製反応容器に実施例1と同じ水系媒体原料(ア)の全量を入れ、窒素雰囲気下、攪拌しながら80℃に昇温した。次いで、この反応容器の中に、同温度(80℃)で、下記弾性重合体層(A)の原料(イ)の全量を30分間かけて連続的に添加し、引き続き攪拌しながら同温度で45分間熟成することにより、弾性重合体層(A)のみからなる単層重合体を含むラテックスを得た。次いで、得られたラテックスに、同温度(80℃)で、下記弾性重合体層(B)の原料(ウ)の全量を30分間かけて連続的に添加し、引き続き攪拌しながら同温度で45分間熟成することにより、弾性重合体層(A)を内層とし、その外側に密接して外層となる弾性重合体層(B)を備えた2層重合体を含むラテックスを得た。次いで、得られたラテックスに、同温度(80℃)で、実施例1と同じ追加開始剤原料(エ)を添加して攪拌した後、同温度で、実施例1と同じ硬質グラフト層(C)の原料(オ)を60分間かけて連続的に添加し、引き続き攪拌しながら同温度で45分間熟成することにより、弾性重合体層(A)を内層とし、その外側に密接して中間層となる弾性重合体層(B)を備え、さらにその外側に密接して外層となる硬質グラフト層(C)を備えた3層重合体を含むラテックスを得た。
アクリル酸ブチル 5.23部
メタクリル酸メチル 2.38部
スチレン 1.09部
メタクリル酸アリル(架橋剤) 0.010部
アクリル酸ブチル 5.23部
メタクリル酸メチル 2.37部
スチレン 1.09部
メタクリル酸アリル(架橋剤) 0.021部
なお、弾性重合体層(A)のみからなる単層重合体を含むラテックス、弾性重合体層(A)と弾性重合体層(B)とからなる2層重合体を含むラテックス、及び、得られた3層重合体を含むラテックスについて、各ラテックスに含まれる重合体の重量平均粒子径を、実施例1と同様にして測定したところ、それぞれ、42nm、54nm、80nmであった。
上記で得られたパウダー状の3層重合体粒子を用いたこと以外、実施例1と同様にして、メタクリル樹脂組成物のペレットを得た。
次に、得られたペレットを用いて、実施例1と同様の操作により、メタクリル樹脂組成物からなる厚さ80μmのフィルムを得た。
得られたフィルムの応力白化性及び引張伸度を実施例1と同様の方法で評価し、その結果を表1に示した。
Claims (6)
- 弾性重合体層(A)の外側に弾性重合体層(B)を備え、該弾性重合体層(B)の外側に硬質グラフト層(C)を備えた3層構造の粒子状の多層重合体であって、
重量平均粒子径が30〜120nmであり、
前記弾性重合体層(A)は、アクリル酸アルキルを50重量%以上99.9重量%以下の範囲で含有し、ラジカル重合可能な二重結合を2個以上有する多官能単量体を0.1重量%以上1重量%未満の範囲で含有し、ラジカル重合可能な二重結合を1個有する単官能単量体を49.9重量%以下の範囲で含有してもよい単量体成分(a)が重合してなり、
前記弾性重合体層(B)は、アクリル酸アルキルを50重量%以上99重量%以下の範囲で含有し、ラジカル重合可能な二重結合を2個以上有する多官能単量体を1重量%以上10重量%以下の範囲で含有し、ラジカル重合可能な二重結合を1個有する単官能単量体を49重量%以下の範囲で含有してもよい単量体成分(b)が重合してなり、
前記硬質グラフト層(C)は、メタクリル酸アルキルを50重量%以上100重量%以下の範囲で含有し、ラジカル重合可能な二重結合を2個以上有する多官能単量体を3重量%以下の範囲で含有してもよく、ラジカル重合可能な二重結合を1個有する単官能単量体50重量%以下の範囲で含有してもよい単量体成分(c)が重合してなる、ことを特徴とする多層重合体。 - 弾性重合体層(A)、弾性重合体層(B)及び硬質グラフト層(C)の合計100重量部に対し、弾性重合体層(A)及び弾性重合体層(B)の合計が30〜95重量部である請求項1に記載の多層重合体。
- 弾性重合体層(A)及び弾性重合体層(B)の合計100重量部に対し、弾性重合体層(A)が5〜50重量部である請求項1又は2に記載の多層重合体。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の多層重合体とメタクリル樹脂とを、多層重合体:メタクリル樹脂(重量比)=1:99〜99:1の割合で含有するメタクリル樹脂組成物。
- メタクリル樹脂が、メタクリル酸アルキルを70重量%以上100重量%以下の範囲で含有し、該メタクリル酸アルキルと共重合可能な単量体を30重量%以下の範囲で含有してもよい単量体成分(d)が重合してなる請求項4に記載のメタクリル樹脂組成物。
- 請求項4又は5に記載のメタクリル樹脂組成物からなるフィルム。
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