JP2009084355A - メタクリル酸エステル系重合体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 微細スケールが低減されたメタクリル酸エステル系重合体ラテックスの製造方法および、得られたメタクリル酸エステル系重合体を含む樹脂を成形してなるフィルムを提供する。
【解決手段】 (メタ)アクリル酸モノマーを含む単量体混合物を乳化重合する際に、非水溶性有機化合物(特に、炭素数が6以上の炭化水素)を、単量体混合物もしくは水性媒体中に添加することにより、乳化重合により得られるメタクリル酸エステル系重合体ラテックス中の微細スケールを低減できる。さらに、該(メタ)アクリル酸エステル系重合体からなるメタクリル系樹脂組成物を成形することにより得られるフィルム中のフィッシュアイを低減することができる。
【選択図】 なし
【解決手段】 (メタ)アクリル酸モノマーを含む単量体混合物を乳化重合する際に、非水溶性有機化合物(特に、炭素数が6以上の炭化水素)を、単量体混合物もしくは水性媒体中に添加することにより、乳化重合により得られるメタクリル酸エステル系重合体ラテックス中の微細スケールを低減できる。さらに、該(メタ)アクリル酸エステル系重合体からなるメタクリル系樹脂組成物を成形することにより得られるフィルム中のフィッシュアイを低減することができる。
【選択図】 なし
Description
本発明は、微細スケールが低減されたメタクリル酸エステル系重合体の製造方法、および、得られたメタクリル酸エステル系重合体を含む樹脂組成物を成形してなるフィルムに関する。
透明樹脂フィルムの不具合であるフィッシュアイは、コンタミネーションの他に、重合時に生成する高重合度の重合体が原因の一つであることが知られている。乳化重合により樹脂を得る場合、高重合度の重合体はスケール中に含まれる。スケールは発生量が少ないに越したことは無いが、喩え発生したとしても、比較的大きなスケールは、メッシュ等で濾過することにより前もって除去することができる。しかし、濾過により除去できない微細なスケール(平均粒子径として10μm以上100μm以下のサイズのもの)は、最終商品にまで残ることとなり、微細スケールに含有される高重合度の重合体がフィッシュアイとして現れる。
乳化重合時におけるスケール発生を抑制する方法としては、従来、重合機の内壁面にフェノール系化合物とアルデヒド化合物との縮合物などのスケール防止剤をコーティングする方法が提案されている(特許文献1〜3)。しかしながら、これらの方法では、スケール防止剤を塗布し、乾燥させる必要があるために非常に手間がかかる上に、コーティングしたスケール防止剤が剥がれてくることにより防止効果が徐々に薄まってくるという欠点も有していた。さらに、決定的なこととして、これらの方法では発生するスケールの総量を低減することはできても、フィッシュアイの原因となる微細スケールを効果的に低減することはできなかった。
特開昭62−273202
特許第3633773号
特開平11−217402
本発明の目的は、上述の課題を解決し、微細スケールの少ない樹脂ラテックスを得ることにより、フィッシュアイの低減されたフィルムを得るためのメタクリル酸エステル系重合体の製造方法を提供することである。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、メタクリル酸エステル系重合体の乳化重合において、特定の非水溶性有機化合物を水系媒体または単量体混合物中に存在させることにより、平均粒子径10〜100μmの微細スケールを低減することができることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、
(メタ)アクリル酸エステルモノマーを含む単量体混合物100重量部に対して、炭素数が6以上の炭化水素を0.01〜10重量部溶解させて、乳化重合することを特徴とする、メタクリル酸エステル系重合体の製造方法(請求項1)、
炭素数6以上の炭化水素が、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカンおよびヘキサデカンよりなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載のメタクリル酸エステル系重合体の製造方法(請求項2)、
メタクリル酸エステル系重合体が、
メタクリル酸エステル系重合体(A)をアクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)の存在下において重合することにより得られるメタクリル系樹脂組成物(C)であり、
アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)が、アクリル酸アルキルエステル50〜100重量%およびメタクリル酸アルキルエステル50〜0重量%を含む単量体混合物(b)および、1分子あたり2個以上の非共役二重結合を有する多官能性単量体を共重合することにより得られ、
メタクリル酸エステル系重合体(A)が、メタクリル酸アルキルエステル50〜100重量%、およびアクリル酸アルキルエステル0〜50重量%を含む単量体混合物を重合することにより得られ、
アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)の含有量が5〜45重量%であることを特徴とする、請求項1または2に記載のメタクリル酸エステル系重合体の製造方法(請求項3)、
水性媒体100重量部中に、炭素数が6以上の炭化水素0.01〜10重量部を予め分散させた状態下において、
(メタ)アクリル酸エステルモノマーを含む単量体混合物を乳化重合することを特徴とする、メタクリル酸エステル系重合体の製造方法(請求項4)、
炭素数6以上の炭化水素が、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカンおよびヘキサデカンよりなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項4に記載のメタクリル酸エステル系重合体の製造方法(請求項5)、
メタクリル酸エステル系重合体が、
アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)の存在下において、メタクリル酸エステル系重合体(A)を重合することにより得られるメタクリル系樹脂組成物(C)であり、
アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)が、アクリル酸アルキルエステル50〜100重量%およびメタクリル酸アルキルエステル0〜50重量%を含む単量体混合物(b)および、1分子あたり2個以上の非共役二重結合を有する多官能性単量体を共重合することにより得られ、
メタクリル酸エステル系重合体(A)が、メタクリル酸アルキルエステル50〜100重量%、およびアクリル酸アルキルエステル0〜50重量%を含む単量体混合物を重合することにより得られ、
アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)の含有量が5〜45重量%であることを特徴とする、請求項4または5に記載のメタクリル酸エステル系重合体の製造方法(請求項6)、
請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法により得られるメタクリル酸エステル系重合体からなるメタクリル系樹脂組成物を成形してなるフィルム(請求項7)、および
請求項7に記載のフィルムを、被積層体に積層して得られる積層品(請求項8)
に関する。
(メタ)アクリル酸エステルモノマーを含む単量体混合物100重量部に対して、炭素数が6以上の炭化水素を0.01〜10重量部溶解させて、乳化重合することを特徴とする、メタクリル酸エステル系重合体の製造方法(請求項1)、
炭素数6以上の炭化水素が、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカンおよびヘキサデカンよりなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載のメタクリル酸エステル系重合体の製造方法(請求項2)、
メタクリル酸エステル系重合体が、
メタクリル酸エステル系重合体(A)をアクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)の存在下において重合することにより得られるメタクリル系樹脂組成物(C)であり、
アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)が、アクリル酸アルキルエステル50〜100重量%およびメタクリル酸アルキルエステル50〜0重量%を含む単量体混合物(b)および、1分子あたり2個以上の非共役二重結合を有する多官能性単量体を共重合することにより得られ、
メタクリル酸エステル系重合体(A)が、メタクリル酸アルキルエステル50〜100重量%、およびアクリル酸アルキルエステル0〜50重量%を含む単量体混合物を重合することにより得られ、
アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)の含有量が5〜45重量%であることを特徴とする、請求項1または2に記載のメタクリル酸エステル系重合体の製造方法(請求項3)、
水性媒体100重量部中に、炭素数が6以上の炭化水素0.01〜10重量部を予め分散させた状態下において、
(メタ)アクリル酸エステルモノマーを含む単量体混合物を乳化重合することを特徴とする、メタクリル酸エステル系重合体の製造方法(請求項4)、
炭素数6以上の炭化水素が、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカンおよびヘキサデカンよりなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項4に記載のメタクリル酸エステル系重合体の製造方法(請求項5)、
メタクリル酸エステル系重合体が、
アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)の存在下において、メタクリル酸エステル系重合体(A)を重合することにより得られるメタクリル系樹脂組成物(C)であり、
アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)が、アクリル酸アルキルエステル50〜100重量%およびメタクリル酸アルキルエステル0〜50重量%を含む単量体混合物(b)および、1分子あたり2個以上の非共役二重結合を有する多官能性単量体を共重合することにより得られ、
メタクリル酸エステル系重合体(A)が、メタクリル酸アルキルエステル50〜100重量%、およびアクリル酸アルキルエステル0〜50重量%を含む単量体混合物を重合することにより得られ、
アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)の含有量が5〜45重量%であることを特徴とする、請求項4または5に記載のメタクリル酸エステル系重合体の製造方法(請求項6)、
請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法により得られるメタクリル酸エステル系重合体からなるメタクリル系樹脂組成物を成形してなるフィルム(請求項7)、および
請求項7に記載のフィルムを、被積層体に積層して得られる積層品(請求項8)
に関する。
本発明の製造方法により、乳化重合により得られるメタクリル酸エステル系重合体の樹脂ラテックス中での微細スケールの生成を低減することができ、該メタクリル酸エステル系重合体からなるメタクリル系樹脂組成物を成形して得られるフィルムのフィッシュアイを低減することができる。
本発明の製造方法においては、メタクリル酸エステル系重合体の乳化重合において、特定の非水溶性有機化合物を水系媒体または単量体混合物中に存在させることにより、平均粒子径10μm以上100μm以下の微細スケールを低減することができる
本発明の非水溶性有機化合物とは、炭素数鎖が6以上の炭化水素が好ましく、非水溶性の点から、炭素数としては8以上であればさらに好ましく、10以上であれば特に好ましい。これに対して、炭素数が5以下の炭化水素は、沸点が低く、揮発性の観点から、実用上好ましくない。
本発明の非水溶性有機化合物とは、炭素数鎖が6以上の炭化水素が好ましく、非水溶性の点から、炭素数としては8以上であればさらに好ましく、10以上であれば特に好ましい。これに対して、炭素数が5以下の炭化水素は、沸点が低く、揮発性の観点から、実用上好ましくない。
本発明の目的を達する事ができれば特に制限はないが、炭素数が6以上の炭化水素の具体例としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、ウンデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサン、ペンタコサン、トリコンタン、テトラコンタンや、流動パラフィンなどのアルカン炭化水素類が挙げられる。これらは直鎖状でも分岐状でもよい。これらの非水溶性有機化合物は、単体で用いても良いし、2種以上を併用しても構わない。
また、非水溶性有機化合物の水への溶解度が上記炭化水素と同等であれば、炭素鎖が6以上のアルキル基を含む有機化合物であっても構わない。
上記炭化水素に類似した有機化合物としては、炭素数が6以上のアルキル基を有するエーテル類、ケトン類、ジエン類などが挙げられる。これらの具体的な例としては、炭化水素の具体例で示した誘導体が挙げられる。
上記炭化水素に類似した有機化合物としては、炭素数が6以上のアルキル基を有するエーテル類、ケトン類、ジエン類などが挙げられる。これらの具体的な例としては、炭化水素の具体例で示した誘導体が挙げられる。
本発明の製造方法においては、非水溶性有機化合物を単量体混合物に添加して均一に溶解させたものを調製し、これを水性媒体中に一括追加もしくは連続追加することにより乳化重合を実施することにより、微細スケールの低減を達成することができる。
本発明の製造方法においては、非水溶性有機化合物を単量体混合物に均一に溶解できるのであれば、その方法は特に問わない。
本発明における非水溶性有機化合物の単量体混合物に対する添加量は、単量体混合物100重量部に対して、0.01〜10重量部が好ましく、0.03〜8重量部がより好ましく、0.05〜5重量部がさらに好ましい。非水溶性有機化合物の添加量が0.01重量部未満では、微細スケールの低減効果が発揮されにくい傾向があり、また、10重量部を超えると、乳化重合の系が不安定になる傾向がある。
本発明においては、乳化重合における水性媒体中に、非水溶性有機化合物を予め撹拌分散させた状態下において、(メタ)アクリル酸エステルモノマーを含む単量体混合物を添加することにより乳化重合を実施することによっても、微細スケールの低減を達成することができる。
本発明の非水溶性有機化合物を水性媒体に分散できるのであれば、その方法は特に問わない。
乳化重合を実施する水性媒体としては、水が主に用いられるが、本発明の効果を発現できるのであれば、メタノール、エタノール等の他の水性溶媒を併用しても構わない。
本発明における非水溶性有機化合物の水性媒体中への分散量は、水性媒体100重量部に対して、0.01〜10部が好ましく、0.03〜8部がより好ましく、0.05〜5部がさらに好ましい。非水溶性有機化合物の分散量が0.01未満では、微細スケールの低減効果が発揮されにくい傾向があり、10部を超えると、乳化重合が不安定になる傾向がある。
本発明の非水溶性有機化合物は、単量体混合物へ溶解させても、予め水性媒体中に分散させてもよいが、単量体混合物へ溶解させる方が、予め水性分散体中に分散させるよりも、より少量の非水溶性有機化合物の添加量にて、微細スケールを低減させることができる。
本発明の非水溶性有機化合物を単量体混合物中または水性媒体中に添加した状況下において、乳化重合することにより得られるメタクリル酸エステル系重合体は、乳化重合により得られるものであれば、そのモノマー組成、分子量など、樹脂を構成する条件については、特に問わない。
得られるメタクリル酸エステル系重合体からなるメタクリル系樹脂組成物は、射出成形、押出成形、ブロー成形、圧縮成形などの各種プラスチック加工法によって様々な成形品に加工することができる。これらの中で、インフレーション法やTダイ押出法、あるいはカレンダー法、更には溶剤キャスト法等の薄膜成形によりフィルムを得る場合、得られるフィルムの耐衝撃性および耐折り曲げ割れ性を改善するために、メタクリル酸エステル系重合体としては、アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)をメタクリル系樹脂組成物中に混合、分散させたメタクリル系樹脂組成物(C)とすることが好ましい。
本発明におけるアクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)の含有量は、メタクリル系樹脂組成物(C)全体を100重量%とした場合に、5〜45重量%が好ましく、10〜40重量%がより好ましく、15〜35重量%がさらに好ましい。アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)の含有量が5重量%未満では、得られるメタクリル系樹脂組成物から形成しうるフィルムの耐衝撃性および耐折曲げ割れ性が低下する傾向にあり、45重量%を超えると、フィルムの硬度および成形性が低下する傾向にある。
本発明におけるアクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)は、アクリル酸アルキルエステル50〜100重量%およびメタクリル酸アルキルエステル0〜50重量%を含む単量体混合物(b)(両者の合計量を100重量%とした場合)、および1分子あたり2個以上の非共役二重結合を有する多官能性単量体からなる混合物を、少なくとも1段以上で共重合させてなるものである。単量体混合物(b)は、より好ましくは、アクリル酸アルキルエステル60〜100重量%およびメタクリル酸アルキルエステル0〜40重量%である。メタクリル酸アルキルエステルが50重量%を超えると、得られるメタクリル系樹脂組成物から形成しうるフィルムの耐折曲げ割れ性が低下する傾向がある。
本発明のアクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)においては、必要に応じて、メタクリル酸アルキルエステルおよびアクリル酸アルキルエステルと共重合可能なエチレン系不飽和単量体を共重合してもかまわない。
本発明におけるアクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)は、1分子あたり2個以上の非共役な反応性二重結合を有する多官能性単量体が共重合されているため、得られる重合体が架橋弾性を示す。また、アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)の重合時に反応せずに残った一方の反応性官能基(二重結合)がグラフト交叉点となって、一定割合のメタクリル酸エステル系共重合体(A)が、アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)にグラフト化される。このことにより、アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)が、メタクリル酸エステル系共重合体(A)中に不連続かつ均一に分散する。
本発明のアクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)において用いられる多官能性単量体としては、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジビニルアジペート、ジビニルベンゼンエチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼンエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレートおよびジプロピレングリコールジアクリレート等があげられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明のアクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)における多官能性単量体の添加量は、前記単量体混合物(b)100重量部に対して、0.05〜20重量部が好ましく、0.1〜10重量部がより好ましい。多官能性単量体の添加量が0.05重量部未満では、メタクリル系樹脂組成物から形成しうるフィルムの耐衝撃性および耐折曲げ割れ性が低下する傾向があり、20重量部を超えると、耐衝撃性および耐折曲げ割れ性が低下する傾向がある。
本発明におけるアクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)を構成する(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、重合反応性やコストの点から、アルキル基の炭素数が1〜12であるものが好ましく、1〜8であるものがより好ましく、直鎖状でも分岐状でもよい。その具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル等があげられ、これらの単量体は、1種または2種以上が併用されてもよい。
また、本発明のメタクリル酸エステル系重合体(A)においては、必要に応じて、メタクリル酸アルキルエステルおよびアクリル酸アルキルエステルに対して共重合可能なエチレン系不飽和単量体を共重合しても構わない。これらの共重合可能なエチレン系不飽和単量体としては、例えば、塩化ビニル、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル誘導体、塩化ビニリデン、弗化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン、アクリル酸、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸カルシウム等のアクリル酸およびその塩、アクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸グリシジル、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等のアクリル酸アルキルエステル誘導体、メタクリル酸、メアクリル酸ナトリウム、メタアクリル酸カルシウム等のメタクリル酸およびその塩、メタクリルアミド、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸グリシジル等のメタクリル酸アルキルエステル誘導体等があげられ、これらの単量体は2種以上が併用されてもよい。
本発明におけるメタクリル酸エステル系重合体(A)は、メタクリル酸アルキルエステル50〜100重量%およびアクリル酸アルキルエステル0〜50重量%を含む単量体混合物(a)(両者の合計量を100重量%とした場合)を、少なくとも1段以上で重合させてなるものである。単量体混合物(a)は、より好ましくは、メタクリル酸アルキルエステル60〜100重量%、およびアクリル酸アルキルエステル0〜40重量%である。単量体混合物(a)中のアクリル酸アルキルエステルが50重量%を超えると、得られるメタクリル系樹脂組成物から形成しうるフィルムの耐熱性および硬度が低下する傾向がある。
本発明のメタクリル酸エステル系重合体(A)で用いられる(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび、これらと共重合可能なエチレン系不飽和単量体の具体例は、前記メタクリル酸エステル系重合体(A)に使用したものがあげられる。
本発明におけるメタクリル酸エステル系重合体は、乳化重合法、乳化−懸濁重合法により製造される。
本発明におけるメタクリル系樹脂組成物としては、メタクリル酸エステル系重合体(A)をアクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)の存在下において重合することにより得られるメタクリル系樹脂組成物(C)であることが、以下の点から、好ましい。
すなわち、アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)に、メタクリル酸エステル系重合体(A)が一部グラフト重合することにより、グラフト修飾されたアクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(D)、および未グラフトのメタクリル酸エステル系重合体(A’)が得られる。アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(D)はグラフト修飾されることにより、未グラフトのメタクリル酸エステル系重合体(A’)中に均一に分散され、透明性の観点から好ましい。
すなわち、アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)に、メタクリル酸エステル系重合体(A)が一部グラフト重合することにより、グラフト修飾されたアクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(D)、および未グラフトのメタクリル酸エステル系重合体(A’)が得られる。アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(D)はグラフト修飾されることにより、未グラフトのメタクリル酸エステル系重合体(A’)中に均一に分散され、透明性の観点から好ましい。
本発明における単量体混合物の水相への添加方法としては、単量体混合物の一部もしくは全部を同時に水相へ添加する一括添加や、単量体混合物を一定もしくは不連続の割合で少量ずつ添加していく連続添加が挙げられる。連続添加の場合、予め単量体混合物に水および乳化剤を添加して撹拌し、乳化させたものを追加していくことも可能である。
本発明のメタクリル系樹脂組成物(C)の重合における開始剤としては、本発明の目的を達することができれば特に制限はないが、有機系過酸化物、無機系過酸化物、アゾ化合物などの開始剤を使用することができる。具体的には、例えば、t−ブチルハイドロパ−オキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパ−オキサイド、スクシン酸パ−オキサイド、パ−オキシマレイン酸t−ブチルエステル、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等の有機過酸化物や、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の無機過酸化物、さらにアゾビスイソブチロニトリル等の油溶性開始剤も使用される。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。これらの開始剤は、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルフォキシレート、アスコルビン酸、ヒドロキシアセトン酸、硫酸第一鉄、硫酸第一鉄とエチレンジアミン四酢酸2ナトリウムの錯体などの還元剤と組み合わせた通常のレドックス型開始剤として使用してもよい。
また、前記有機系過酸化物は、重合安定性、粒子径制御の点から、2価の鉄塩等の無機系還元剤および/またはホルムアルデヒドスルホキシル酸ソ−ダ、還元糖、アスコルビン酸等の有機系還元剤と組み合わせたレドックス系開始剤として使用するのが好ましい。
前記乳化重合に使用される界面活性剤も特に限定はなく、通常の乳化重合用の界面活性剤であれば使用することができる。具体的には、例えばアルキルスルフォン酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、脂肪酸ナトリウム等の陰イオン性界面活性剤や、アルキルフェノ−ル類、脂肪族アルコ−ル類とプロピレンオキサイド、エチレンオキサイドとの反応生成物等の非イオン性界面活性剤等が示される。これらの界面活性剤は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。更に、アルキルアミン塩等の陽イオン性界面活性剤を使用してもよい。
前記乳化重合に使用される界面活性剤も特に限定はなく、通常の乳化重合用の界面活性剤であれば使用することができる。具体的には、例えばアルキルスルフォン酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、脂肪酸ナトリウム等の陰イオン性界面活性剤や、アルキルフェノ−ル類、脂肪族アルコ−ル類とプロピレンオキサイド、エチレンオキサイドとの反応生成物等の非イオン性界面活性剤等が示される。これらの界面活性剤は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。更に、アルキルアミン塩等の陽イオン性界面活性剤を使用してもよい。
乳化重合により得られるメタクリル系樹脂組成物(C)のラテックスは、通常の凝固、洗浄および乾燥の操作により、または、スプレ−乾燥、凍結乾燥などによる処理により、さらには、ラテックス中にアセトンやテトラヒドロフランなどの水溶性有機溶剤を投入することにより、メタクリル系樹脂組成物(C)を水相より分離、回収される。
本発明のメタクリル系樹脂組成物には、必要に応じて、ポリグルタルイミド、無水グルタル酸ポリマー、ラクトン環化メタクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィン、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル−ポリスチレン共重合体、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等を配合することも可能である。他のポリマーのブレンドの方法は本発明の目的を達する事が出来るのであれば、特に限定されない。
本発明のメタクリル系樹脂組成物には、着色のために無機系顔料または有機系染料を、熱や光に対する安定性を更に向上させるために抗酸化剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤などを、あるいは、抗菌、脱臭剤、滑剤等を、単独または2種以上組み合わせて添加してもよい。
本発明のメタクリル系樹脂組成物は、特にフィルムとして有用であり、例えば、通常の溶融押出法であるインフレーション法やTダイ押出法、あるいはカレンダー法、更には溶剤キャスト法等により良好に加工される。また、必要に応じて、フィルムを成形する際、フィルム両面をロールまたは金属ベルトに同時に接触させることにより、特にガラス転移温度以上の温度に加熱したロールまたは金属ベルトに同時に接触させることにより、表面性のより優れたフィルムを得ることも可能である。また、目的に応じて、二軸延伸などによるフィルムの改質も可能である。
本発明のメタクリル系樹脂組成物から得られるフィルムの厚みは、10〜300μmが好ましく、10〜200μmがより好ましい。フィルムの厚みが10〜300μmの範囲であれば、フィルムの加工性、及びフィルムの透明性が良好となり、好ましい。
また、本発明のメタクリル系樹脂組成物より得られたフィルムは、必要に応じて、フィルム表面の光沢を低減させることができる。その方法は、本発明の目的を達する事が出来れば特に制約はないが、例えば、メタクリル系樹脂組成物に無機充填剤または架橋性高分子粒子を混練する方法等により実施することが可能である。また、得られるフィルムをエンボス加工により、フィルム表面の光沢を低減させることも可能である。
本発明のメタクリル系樹脂組成物より得られるフィルムは、被積層体に積層して用いることができる。被積層体としては、本発明の目的を達する事が出来れば特に制約はないが、金属、陶器などの無機物品や、プラスチック、木材、皮革などの有機物品が挙げられる。フィルムの積層方法としては、積層成形や、被積層体に接着剤を塗布した後、フィルムを載せて乾燥させ貼り合わせるウエットラミネートや、ドライラミネート、エキストルージョンラミネート、ホットメルトラミネートなどがあげられる。
プラスチック部品にフィルムを積層する方法としては、フィルムを金型内に配置しておき、射出成形にて樹脂を充填するインサート成形またはラミネートインジェクションプレス成形や、フィルムを予備成形した後に金型内に配置し、射出成形にて樹脂を充填するインモールド成形などがあげられる。
本発明のメタクリル系樹脂組成物から得られるフィルム積層品は、家具や自動車内装材,自動車外装材などの塗装代替用途、屋根、雨樋、外壁、柵、杭、窓枠、浴室設備、壁紙、床材などの建材用部材、日用雑貨品、家具や電気機器のハウジング、ファクシミリなどのOA機器のハウジング、電気または電子装置の部品などに使用することができる。また、成形品としては、照明用レンズ、自動車ヘッドライト、光学レンズ、光ファイバ、光ディスク、液晶用導光板、液晶用フィルム、滅菌処理の必要な医療用品、電子レンジ調理容器、家電製品のハウジング、玩具またはレクリエーション品目などに使用することができる。
次に、本発明を実施例に基づき、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
また、製造例、実施例および比較例中の「部」は重量部、「%」は重量%を表す。
略号はそれぞれ下記の物質を表す。
BA:アクリル酸ブチル
MMA:メタクリル酸メチル
CHP:クメンハイドロパーオキサイド
tDM:ターシャリドデシルメルカプタン
AlMA:メタクリル酸アリル
略号はそれぞれ下記の物質を表す。
BA:アクリル酸ブチル
MMA:メタクリル酸メチル
CHP:クメンハイドロパーオキサイド
tDM:ターシャリドデシルメルカプタン
AlMA:メタクリル酸アリル
なお、以下の実施例および比較例で測定した物性の各測定方法は、次のとおりである。
(重合転化率の評価)
得られたメタクリル酸エステル系重合体[メタクリル系樹脂組成物(C)]ラテックスを、熱風乾燥機内にて120℃で1時間乾燥して固形成分量を求め、下記の式により算出した。
重合転化率(%)=100×固形成分量/仕込み単量体量
得られたメタクリル酸エステル系重合体[メタクリル系樹脂組成物(C)]ラテックスを、熱風乾燥機内にて120℃で1時間乾燥して固形成分量を求め、下記の式により算出した。
重合転化率(%)=100×固形成分量/仕込み単量体量
(ラテックスの平均粒子径の評価)
得られたメタクリル酸エステル系重合体[メタクリル系樹脂組成物(C)]ラテックスをLEED&NORTHRUP INSTRUMENTS社のMICROTRAC UPAを用い、光散乱法により体積平均粒子径(μm)を測定した。
得られたメタクリル酸エステル系重合体[メタクリル系樹脂組成物(C)]ラテックスをLEED&NORTHRUP INSTRUMENTS社のMICROTRAC UPAを用い、光散乱法により体積平均粒子径(μm)を測定した。
(ラテックス中の微細スケール量の評価)
得られたメタクリル酸エステル系重合体[メタクリル系樹脂組成物(C)]ラテックスの固形分濃度を7wt%に調製してサンプルを作成し、2時間放置して脱泡した。その後、スパチュラで1回/1秒のペースで全体を10回ゆっくり攪拌して微細スケールを均一化して、測定用サンプルとした。パーティクルカウンター(リオン社製、KL−11A)を用いて、測定用サンプル20ml中に存在する10μm以上100μm以下の微細スケールの個数を測定した。
得られたメタクリル酸エステル系重合体[メタクリル系樹脂組成物(C)]ラテックスの固形分濃度を7wt%に調製してサンプルを作成し、2時間放置して脱泡した。その後、スパチュラで1回/1秒のペースで全体を10回ゆっくり攪拌して微細スケールを均一化して、測定用サンプルとした。パーティクルカウンター(リオン社製、KL−11A)を用いて、測定用サンプル20ml中に存在する10μm以上100μm以下の微細スケールの個数を測定した。
(フィッシュアイの評価)
得られたフィルムをA4サイズに切り出し、「きょう雑物測定図表」(国立印刷局)を使用して、該フィルム中に存在するフィッシュアイサイズが0.01mm2以上の個数を数え、1m2あたりの個数に換算した。
得られたフィルムをA4サイズに切り出し、「きょう雑物測定図表」(国立印刷局)を使用して、該フィルム中に存在するフィッシュアイサイズが0.01mm2以上の個数を数え、1m2あたりの個数に換算した。
(実施例1)
[メタクリル系樹脂組成物の製造]
攪拌機付き8L重合装置に、以下の物質を仕込んだ。
脱イオン水 200部
ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 0.25部
ソディウムホルムアルデヒドスルフォキシレ−ト 0.15部
エチレンジアミン四酢酸−2−ナトリウム 0.001部
硫酸第一鉄 0.00025部
重合機内を窒素ガスで充分に置換して実質的に酸素のない状態とした後、重合装置の内温を60℃にし、単量体混合物(B)[BA90%およびMMA10量%からなる単量体混合物100部に対してAlMA1.5部、CHP0.2部および非水溶性有機化合物としてのドデカン0.5部からなる単量体混合物]30部を10部/時間の割合で連続的に添加し、添加終了後、さらに0.5時間重合を継続し、アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)を得た。重合転化率は99.5%であった。
その後、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム0.05部を仕込んだ後、内温を60℃にし、単量体混合物(A)[BA10%およびMMA90%からなる単量体混合物100部に対してtDM0.5部、CHP0.5部および非水溶性有機化合物としてのドデカン0.5部からなる単量体混合物]70部を、10部/時間の割合で連続的に添加し、さらに1時間重合を継続し、メタクリル系樹脂組成物(C)ラテックスを得た。重合転化率は98.7%であった。
得られたラテックスの重合転化率、平均粒子径、微細スケール量を測定し、その結果を表1に示した。
さらに、得られたラテックスを塩化カルシウムで塩析、凝固し、水洗、乾燥して樹脂粉末を得た。
[ペレット化]
得られた樹脂粉末を、40mmφベント付き単軸押出機(TABATA INDUSTRIAL MACHINERY CO.LTD.製、HV−40−28)を用いて、シリンダ温度を240℃に設定して溶融混練を行い、ペレット化した。
[フィルム化]
得られたペレットを、Tダイ付き40mmφ押出機(ナカムラ産機(株)製、NEX040397)を用いて、シリンダ温度240℃、ダイス温度240℃にて成形し、幅200mm×厚み100μmのフィルムを得た。
得られたフィルムのフィッシュアイ、透明性・鉛筆硬度・耐折り曲げ割れ性を評価し、その結果を表1に示した。
[メタクリル系樹脂組成物の製造]
攪拌機付き8L重合装置に、以下の物質を仕込んだ。
脱イオン水 200部
ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 0.25部
ソディウムホルムアルデヒドスルフォキシレ−ト 0.15部
エチレンジアミン四酢酸−2−ナトリウム 0.001部
硫酸第一鉄 0.00025部
重合機内を窒素ガスで充分に置換して実質的に酸素のない状態とした後、重合装置の内温を60℃にし、単量体混合物(B)[BA90%およびMMA10量%からなる単量体混合物100部に対してAlMA1.5部、CHP0.2部および非水溶性有機化合物としてのドデカン0.5部からなる単量体混合物]30部を10部/時間の割合で連続的に添加し、添加終了後、さらに0.5時間重合を継続し、アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)を得た。重合転化率は99.5%であった。
その後、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム0.05部を仕込んだ後、内温を60℃にし、単量体混合物(A)[BA10%およびMMA90%からなる単量体混合物100部に対してtDM0.5部、CHP0.5部および非水溶性有機化合物としてのドデカン0.5部からなる単量体混合物]70部を、10部/時間の割合で連続的に添加し、さらに1時間重合を継続し、メタクリル系樹脂組成物(C)ラテックスを得た。重合転化率は98.7%であった。
得られたラテックスの重合転化率、平均粒子径、微細スケール量を測定し、その結果を表1に示した。
さらに、得られたラテックスを塩化カルシウムで塩析、凝固し、水洗、乾燥して樹脂粉末を得た。
[ペレット化]
得られた樹脂粉末を、40mmφベント付き単軸押出機(TABATA INDUSTRIAL MACHINERY CO.LTD.製、HV−40−28)を用いて、シリンダ温度を240℃に設定して溶融混練を行い、ペレット化した。
[フィルム化]
得られたペレットを、Tダイ付き40mmφ押出機(ナカムラ産機(株)製、NEX040397)を用いて、シリンダ温度240℃、ダイス温度240℃にて成形し、幅200mm×厚み100μmのフィルムを得た。
得られたフィルムのフィッシュアイ、透明性・鉛筆硬度・耐折り曲げ割れ性を評価し、その結果を表1に示した。
(実施例2)
[メタクリル系樹脂組成物の製造]
攪拌機付き8L重合装置に、以下の物質および非水溶性有機化合物としてのドデカン2部を仕込んだ(すなわち、予め水系媒体中にドデカンを分散させた)。
脱イオン水 200部
ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 0.25部
ソディウムホルムアルデヒドスルフォキシレ−ト 0.15部
エチレンジアミン四酢酸−2−ナトリウム 0.001部
硫酸第一鉄 0.00025部
重合機内を窒素ガスで充分に置換して実質的に酸素のない状態とした後、重合装置の内温を60℃にし、単量体混合物(B)[BA90重量%およびMMA10重量%からなる単量体混合物100部に対しAlMA1.5部およびCHP0.2部からなる単量体混合物]30部を10部/時間の割合で連続的に添加し、添加終了後、さらに0.5時間重合を継続し、アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)を得た。重合転化率は99.5%であった。
その後、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム0.05部を仕込んだ後、内温を60℃にし、単量体混合物(A)[BA10重量%およびMMA90重量%からなる単量体混合物100部に対しtDM0.5部およびCHP0.5部からなる単量体混合物]70部を10部/時間の割合で連続的に添加し、さらに1時間重合を継続し、メタクリル系樹脂組成物(C)ラテックスを得た。単量体混合物(A)の重合転化率は98.7%であった。
得られたラテックスの重合転化率、平均粒子径、微細スケール量を測定し、その結果を表1に示した。
さらに、得られたラテックスを塩化カルシウムで塩析、凝固し、水洗、乾燥して樹脂粉末を得た。
[ペレット化]
得られた樹脂粉末を、実施例1と同様の操作により、ペレット化した。
[フィルム化]
得られたペレットを、実施例1と同様の操作により成形し、幅200mm×厚み100μmのフィルムを得た。
得られたフィルムのフィッシュアイ、透明性・鉛筆硬度・耐折り曲げ割れ性を評価し、その結果を表1に示した。
[メタクリル系樹脂組成物の製造]
攪拌機付き8L重合装置に、以下の物質および非水溶性有機化合物としてのドデカン2部を仕込んだ(すなわち、予め水系媒体中にドデカンを分散させた)。
脱イオン水 200部
ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 0.25部
ソディウムホルムアルデヒドスルフォキシレ−ト 0.15部
エチレンジアミン四酢酸−2−ナトリウム 0.001部
硫酸第一鉄 0.00025部
重合機内を窒素ガスで充分に置換して実質的に酸素のない状態とした後、重合装置の内温を60℃にし、単量体混合物(B)[BA90重量%およびMMA10重量%からなる単量体混合物100部に対しAlMA1.5部およびCHP0.2部からなる単量体混合物]30部を10部/時間の割合で連続的に添加し、添加終了後、さらに0.5時間重合を継続し、アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)を得た。重合転化率は99.5%であった。
その後、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム0.05部を仕込んだ後、内温を60℃にし、単量体混合物(A)[BA10重量%およびMMA90重量%からなる単量体混合物100部に対しtDM0.5部およびCHP0.5部からなる単量体混合物]70部を10部/時間の割合で連続的に添加し、さらに1時間重合を継続し、メタクリル系樹脂組成物(C)ラテックスを得た。単量体混合物(A)の重合転化率は98.7%であった。
得られたラテックスの重合転化率、平均粒子径、微細スケール量を測定し、その結果を表1に示した。
さらに、得られたラテックスを塩化カルシウムで塩析、凝固し、水洗、乾燥して樹脂粉末を得た。
[ペレット化]
得られた樹脂粉末を、実施例1と同様の操作により、ペレット化した。
[フィルム化]
得られたペレットを、実施例1と同様の操作により成形し、幅200mm×厚み100μmのフィルムを得た。
得られたフィルムのフィッシュアイ、透明性・鉛筆硬度・耐折り曲げ割れ性を評価し、その結果を表1に示した。
(実施例3〜14および比較例1〜3)
[メタクリル系樹脂組成物の製造]
非水溶性有機化合物の種類、添加方法および添加部数を表1のように変更した以外は、実施例1もしくは実施例2と同様の操作により乳化重合を行い、メタクリル系樹脂組成物(C)ラテックスを得た。
得られたラテックスの重合転化率、平均粒子径、微細スケール量を測定し、その結果を表1に示した。
得られたラテックスを同様に、凝固、水洗、乾燥して、樹脂粉末を得た。
ただし、比較例1は、非水溶性有機化合物を添加していない。また、比較例3は、乳化重合時にラテックスが凝集した為、樹脂粉体が得られなかった。
[ペレット化]
得られた樹脂粉末を、実施例1と同様の操作により、ペレット化した。
[フィルム化]
得られたペレットを、実施例1と同様の操作により成形し、幅200mm×厚み100μmのフィルムを得た。
得られたフィルムのフィッシュアイ、透明性・鉛筆硬度・耐折り曲げ割れ性を評価し、その結果を表1に示した。
[メタクリル系樹脂組成物の製造]
非水溶性有機化合物の種類、添加方法および添加部数を表1のように変更した以外は、実施例1もしくは実施例2と同様の操作により乳化重合を行い、メタクリル系樹脂組成物(C)ラテックスを得た。
得られたラテックスの重合転化率、平均粒子径、微細スケール量を測定し、その結果を表1に示した。
得られたラテックスを同様に、凝固、水洗、乾燥して、樹脂粉末を得た。
ただし、比較例1は、非水溶性有機化合物を添加していない。また、比較例3は、乳化重合時にラテックスが凝集した為、樹脂粉体が得られなかった。
[ペレット化]
得られた樹脂粉末を、実施例1と同様の操作により、ペレット化した。
[フィルム化]
得られたペレットを、実施例1と同様の操作により成形し、幅200mm×厚み100μmのフィルムを得た。
得られたフィルムのフィッシュアイ、透明性・鉛筆硬度・耐折り曲げ割れ性を評価し、その結果を表1に示した。
乳化重合の際、非水溶性有機化合物を単量体混合物もしくは水性媒体中に添加することにより、微細スケールが低減されたメタクリル系樹脂組成物ラテックスを得ることができた。また、該ラテックスより得られる樹脂粉末を成形することにより、フィッシュアイが低減されたフィルムを得ることができた。
Claims (8)
- (メタ)アクリル酸エステルモノマーを含む単量体混合物100重量部に対して、炭素数が6以上の炭化水素を0.01〜10重量部溶解させて、乳化重合することを特徴とする、メタクリル酸エステル系重合体の製造方法。
- 炭素数6以上の炭化水素が、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカンおよびヘキサデカンよりなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載のメタクリル酸エステル系重合体の製造方法。
- メタクリル酸エステル系重合体が、
メタクリル酸エステル系重合体(A)をアクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)の存在下において重合することにより得られるメタクリル系樹脂組成物(C)であり、
アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)が、アクリル酸アルキルエステル50〜100重量%およびメタクリル酸アルキルエステル0〜50重量%を含む単量体混合物(b)および、1分子あたり2個以上の非共役二重結合を有する多官能性単量体を共重合することにより得られ、
メタクリル酸エステル系重合体(A)が、メタクリル酸アルキルエステル50〜100重量%、およびアクリル酸アルキルエステル0〜50重量%を含む単量体混合物を重合することにより得られ、
アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)の含有量が5〜45重量%であることを特徴とする、請求項1または2に記載のメタクリル酸エステル系重合体の製造方法。 - 水性媒体100重量部中に、炭素数が6以上の炭化水素0.01〜10重量部を予め分散させた状態下において、
(メタ)アクリル酸エステルモノマーを含む単量体混合物を乳化重合することを特徴とする、メタクリル酸エステル系重合体の製造方法。 - 炭素数6以上の炭化水素が、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカンおよびヘキサデカンよりなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項4に記載のメタクリル酸エステル系重合体の製造方法。
- メタクリル酸エステル系重合体が、
アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)の存在下において、メタクリル酸エステル系重合体(A)を重合することにより得られるメタクリル系樹脂組成物(C)であり、
アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)が、アクリル酸アルキルエステル50〜100重量%およびメタクリル酸アルキルエステル0〜50重量%を含む単量体混合物(b)および、1分子あたり2個以上の非共役二重結合を有する多官能性単量体を共重合することにより得られ、
メタクリル酸エステル系重合体(A)が、メタクリル酸アルキルエステル50〜100重量%、およびアクリル酸アルキルエステル0〜50重量%を含む単量体混合物を重合することにより得られ、
アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)の含有量が5〜45重量%であることを特徴とする、請求項4または5に記載のメタクリル酸エステル系重合体の製造方法。 - 請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法により得られるメタクリル酸エステル系重合体からなるメタクリル系樹脂組成物を成形してなる、フィルム。
- 請求項7に記載のフィルムを、被積層体に積層して得られる積層品。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011057151A (ja) * | 2009-09-11 | 2011-03-24 | Japan Vilene Co Ltd | 自動車外装材用基材及び自動車外装材 |
JP2020172659A (ja) * | 2015-10-28 | 2020-10-22 | テクノUmg株式会社 | グラフト共重合体、架橋粒子、グラフト架橋粒子、ゴム質重合体、およびそれを用いた熱可塑性樹脂組成物 |
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