JP2006160986A - 易引き裂き性フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】延伸工程を要することなく、一定方向(MD方向)への選択的引き裂きが可能な、透明かつ高品質の易引き裂き性フィルムを提供する。
【解決手段】水系含浸重合法により製造された海島構造体であって、海相がオレフィン系重合体で構成され、島相がアクリル系重合体で構成される海島構造体を含む成膜原料を成膜してなる易引き裂き性フィルム。
【選択図】図1
【解決手段】水系含浸重合法により製造された海島構造体であって、海相がオレフィン系重合体で構成され、島相がアクリル系重合体で構成される海島構造体を含む成膜原料を成膜してなる易引き裂き性フィルム。
【選択図】図1
Description
本発明は一定方向(MD方向)へ選択的に容易に引き裂くことができる易引き裂き性フィルムに関する。
従来より、開封性に優れた包装材料等として、一定方向への選択的な引き裂きが可能な易引き裂き性フィルムが多用されている。
従来の易引き裂き性フィルムは、例えば、一軸延伸性や流動性の異なるポリオレフィン同士のアロイ、例えば低密度ポリエチレンにメタロセン系ポリエチレンをアロイ化したり、ポリオレフィンにスチレン系樹脂やポリエステル系、ポリアミド系樹脂等の他の樹脂をコンパウンドしてなる成膜原料を成膜し、得られたフィルムを延伸することにより、引き裂きの方向性を付与して製造されている(例えば、特開平7−299858号公報、特開平8−53155号公報)。
このような易引き裂き性フィルムにあっては、引き裂きの方向性、即ち、一方向について選択的に容易に引き裂くことができ、かつ、その方向と直交する方向においては、耐引き裂き性に優れることが要求されると共に、樹脂フィルム本来の透明性や外観(表面平滑性等)が損なわれていないことが要求される。
特開平7−299858号公報
特開平8−53155号公報
しかしながら、上記従来の易引き裂き性フィルムでは、次のような問題点があった。
(1) 延伸装置と延伸操作に伴う作業が必要となりコスト高となるだけでなく、延伸装置の構成(例えば、延伸ロール幅など)やその操作性の点から、異なる幅のフィルムを製造する場合には、延伸装置の構成等を変更する必要性が生じるため、フィルムの幅が制約される。また、延伸したフィルムはヒートシールにより熱収縮して皺を生成し、外観を損ねる。
(2) ポリオレフィン系樹脂同士のアロイでは方向性が顕著に出にくい。
(3) ポリオレフィンにオレフィン系以外の樹脂をコンパウンドすると、フィルム外観が悪くなったり、不透明となったりする場合が多く、また、ポリオレフィン本来の特性も損なわれ、高品質のフィルムを得ることができない。
(1) 延伸装置と延伸操作に伴う作業が必要となりコスト高となるだけでなく、延伸装置の構成(例えば、延伸ロール幅など)やその操作性の点から、異なる幅のフィルムを製造する場合には、延伸装置の構成等を変更する必要性が生じるため、フィルムの幅が制約される。また、延伸したフィルムはヒートシールにより熱収縮して皺を生成し、外観を損ねる。
(2) ポリオレフィン系樹脂同士のアロイでは方向性が顕著に出にくい。
(3) ポリオレフィンにオレフィン系以外の樹脂をコンパウンドすると、フィルム外観が悪くなったり、不透明となったりする場合が多く、また、ポリオレフィン本来の特性も損なわれ、高品質のフィルムを得ることができない。
本発明は上記従来の問題点を解決し、延伸工程を要することなく、一定方向(MD方向)への選択的引き裂きが可能な、透明かつ高品質の易引き裂き性フィルムを提供することを目的とする。
本発明(請求項1)の易引き裂き性フィルムは、水系含浸重合法により製造された海島構造体であって、海相がオレフィン系重合体で構成され、島相がアクリル系重合体で構成される海島構造体を含む成膜原料を成膜してなることを特徴とする。
請求項2の易引き裂き性フィルムは、請求項1において、該成膜原料中の前記島相の含有量が1〜40重量%であることを特徴とする。
請求項3の易引き裂き性フィルムは、請求項1又は2において、前記島相のL/Dが2以上であることを特徴とする。
請求項4の易引き裂き性フィルムは、請求項1ないし3のいずれか1項において、該島相がアクリル系単量体とビニル系単量体との共重合体であることを特徴とする。
請求項5の易引き裂き性フィルムは、請求項4において、該ビニル系単量体がスチレン系単量体であることを特徴とする。
請求項6の易引き裂き性フィルムは、請求項1ないし5のいずれか1項において、該島相の表層部に、前記オレフィン系重合体にアクリル系単重体がグラフト重合してなるグラフト変性オレフィン系重合体を有することを特徴とする。
請求項7の易引き裂き性フィルムは、請求項1ないし6のいずれか1項において、該海島構造体が、オレフィン系重合体及びアクリル系単量体を含む水性懸濁液中にて、オレフィン系重合体にアクリル系単量体を含浸させた後、該水性懸濁液中にラジカル開始剤を添加して、該ラジカル開始剤をオレフィン系重合体に含浸させ、次いで該ラジカル開始剤の10時間半減期温度以上に昇温してグラフト反応させることにより得られたものであることを特徴とする。
本発明によれば、延伸工程を要することなく、一定方向(MD方向)への選択的引き裂きが可能な、透明かつ高品質の易引き裂き性フィルムを提供することができる。
即ち、本発明で用いる、水系含浸重合法により製造された海島構造体は、オレフィン系重合体の海相内にアクリル系重合体で構成される分散した島相が均一に分散した透明な海島構造体であり、その海相と島相との界面において亀裂が伝播することにより、フィルムに良好な易引き裂き性を付与することができる。この海島構造体は、それ自体がオレフィン系重合体の海相内にアクリル系重合体で構成される島相が均一に分散した、言わば、フィルム引き裂きのための伝播ラインを誘発する島相がオレフィン系重合体の海相内に均一分散した透明なマスターバッチであるため、様々なベース樹脂に対して容易に配合することができ、島相をフィルム中に均一に分散させて、ベース樹脂の特性を損なうことなく、透明性に優れ、良好な外観のフィルムとすることができる。
また、この海島構造体は、製造条件により、島相の含有量や島相の形状を任意に調整することもできるため、これらを要求性能に応じて調整することにより、樹脂フィルムに対して所望の引き裂き性を付与することができる。
以下に本発明の易引き裂き性フィルムの実施の形態を詳細に説明する。
まず、本発明の易引き裂き性フィルムを構成する海島構造体の製造方法について説明する。ただし、以下に説明する方法は、本発明に係る海島構造体の製造方法の一例であって、本発明に係る海島構造体を製造する方法は、水系含浸重合法により、海相がオレフィン系重合体よりなり、島相がアクリル系重合体よりなる海島構造体が製造できる方法であれば良く、何ら以下の方法に限定されない。
本発明に係る海島構造体を製造するには、オレフィン系重合体とアクリル系単量体を含む水性懸濁液、好ましくはオレフィン系重合体、アクリル系単量体及びスチレン系単量体等のビニル系単量体を含む水性懸濁液中で、オレフィン系重合体にアクリル系単量体、或いはアクリル系単量体とビニル系単量体を含浸させた後、該水性懸濁液中にラジカル開始剤を添加して、該ラジカル開始剤をオレフィン系重合体に含浸させ、次いで該ラジカル開始剤の10時間半減期温度以上に昇温してグラフト反応させる。
ここで、オレフィン系重合体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−オクタデセン等の炭素数2〜18程度のα−オレフィンの1種よりなる単独重合体、これらのα−オレフィンの2種以上よりなる共重合体、或いは、これらのα−オレフィンと酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸〔なお、ここで、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」又は/及び「メタクリル」を意味するものとする。〕、(メタ)アクリル酸エステル、ビニルトリメトキシシラン等との共重合体等が挙げられる。具体的には、分岐状又は直鎖状のエチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−ヘプテン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン−ビニルトリメトキシシラン共重合体等のエチレン系樹脂、これらのエチレン系樹脂のエチレン成分をプロピレンに代えたプロピレン系樹脂、及び、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ブテン−非共役ジエン共重合体等のエチレン系エラストマー等が挙げられる。これらのオレフィン系重合体は1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
これらのオレフィン系重合体の中で、本発明においては、分岐状低密度エチレン単独重合体樹脂、直鎖状低密度エチレン−α−オレフィン共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、及びエチレン−アクリル酸エチル共重合体樹脂、プロピレン単独重合体樹脂、前述のプロピレン−α−オレフィン共重合体等が特に好ましい。
なお、用いるオレフィン系重合体の分子量(Mw)は通常1万〜100万、好ましくは1万〜30万、より好ましくは3万〜15万程度である。この分子量が小さすぎると、有機相へのなじみが良くなるため含浸工程時に単量体成分に溶解してしまったり(ペレット形状が保持されない)、フィルム成形の際、マスターバッチ作成時に成膜に使用される樹脂との溶融粘度があわずに分散不良を起こしたり、ドライブレンドで成形を行う際にも流動性ムラ(フィルム外観にスジができる)を起こしたりする。この分子量が高すぎると、得られる海島構造体の溶融粘度が高くなりすぎてマスターバッチ作成時に成膜に使用される樹脂との溶融粘度があわずに分散不良を起こしたり、ドライブレンドで成形を行う際にも流動性ムラ(フィルム外観にスジができる)を起こしたりする。
また、このオレフィン系重合体の粒径は、小さいほど単量体成分が含浸し易いため、水系含浸重合法に適するが、過度に細かいと、水系に均一に分散させることができず、また、得られた海島構造体を使用する際の成膜原料のペレットとの均一混合性も悪くなる。このようなことから、原料オレフィン系重合体の粒径は1〜8mmの範囲、平均粒径で1〜6mm、特に1〜4mm程度であることが好ましい。
アクリル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル等の(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられ、これらの中で、(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、メタクリル酸メチル(メチルメタクリレート)が特に好ましい。
本発明に係る海島構造体の製造に用いられる単量体としては、上記アクリル系単量体以外の他の単量体を併用するのが好ましく、その他の単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、ジメチルスチレン、クロロスチレン等の芳香族ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル、塩化ビニル、塩化ビニリデン等の不飽和モノ或いはジハライド等のビニル系単量体を挙げることができる。これらの中で、芳香族ビニルが好ましく、スチレンが特に好ましい。
本発明に係る海島構造体を製造するには、前記オレフィン系重合体100重量部に対して、前記アクリル系単量体を5〜200重量部、特に10〜150重量部、とりわけ35〜120重量部用いるのが好ましい。アクリル系単量体がこの範囲未満では、得られる海島構造体の島相が少な過ぎ、この海島構造体を用いた場合の易引き裂き性付与効果が十分でない場合があり、一方、この範囲超過では、海島構造の海相と島相とが反転するおそれがある。
また、スチレン等の他の単量体は、アクリル系単量体のオレフィン系重合体への含浸性の向上のために必要に応じて用いられ、このスチレン等の他の単量体使用量は、用いる単量体の種類によっても異なるが、アクリル系単量体100重量部に対して0〜100重量部、特に0〜50重量部用いることが好ましい。他の単量体の使用量が多過ぎると、得られる海島構造体の透明性が低下し好ましくない。
上記アクリル系単量体の使用量と同様な理由で、これらの他の単量体を併用する場合、アクリル系単量体と他の単量体との合計で、オレフィン系重合体100重量部に対して5〜200重量部、特に10〜150重量部、とりわけ35〜120重量部となるように用いることが好ましい。
オレフィン系重合体とアクリル系単量体或いはアクリル系単量体と他の単量体とのグラフト反応条件としては、基本的には、従来公知のラジカル開始剤存在下或いは電子線照射下等での溶融混練法、溶液法、水系含浸重合法等による方法を採り得るが、本発明においては、ラジカル開始剤存在下での水系含浸重合法によるのが好ましい。
このラジカル開始剤存在下での水系含浸重合法で用いるラジカル開始剤としては、10時間半減期温度が40℃以上、更には50〜120℃であって、油溶性であるものが好ましい。10時間半減期温度が40℃未満のものでは、アクリル系単量体の重合が異常に進行して均質な海島構造体が得られにくい傾向となる。なお、ここで、10時間半減期温度とは、ベンゼン1リットル中にラジカル開始剤0.1モルを添加して10時間放置したときにラジカル開始剤の50%が分解するときの温度である。
そのラジカル開始剤としては、例えば、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド(53℃)、t−ブチルパーオキシピバレート(55℃)、ビス−3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド(59.5℃)、オクタノイルパーオキサイド(62℃)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(72.5℃)、o−メチルベンゾイルパーオキサイド(73℃)、ベンゾイルパーオキサイド(74℃)、シクロヘキサノンパーオキサイド(97℃)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン(100℃)、t−ブチルパーオキシベンゾエート(104℃)、ジ−t−ブチルジパーオキシフタレート(107℃)、メチルエチルケトンパーオキサイド(109℃)、ジクミルパーオキサイド(117℃)、ジ−t−ブチルパーオキサイド(124℃)等の有機過酸化物、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(52℃)、アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(65℃)、アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(67℃)、アゾビスイソブチロニトリル(79℃)等のアゾ化合物等が挙げられ(括弧内の温度は10時間半減期温度である。)、これらのラジカル開始剤は1種を単独で用いても2種以上を併用しても良い。これらの中で、アゾ系化合物が好ましい。
なお、前記ラジカル開始剤の使用量は、前記アクリル系単量体及び必要に応じて用いられる他の単量体の使用量100重量部に対して0.01〜10重量部程度とするのが好ましく、この範囲未満では反応が円滑に進まず、この範囲超過では海島構造体中にゲルが発生し易くなる傾向となる。
本発明において、好適な水系含浸グラフト反応は、前記オレフィン系重合体と前記アクリル系単量体、及び必要に応じて用いられる他の単量体の所定量を含む水性懸濁液を、加熱下に攪拌してアクリル系単量体或いはアクリル系単量体及び他の単量体をオレフィン系重合体に含浸させ、次いで、前記ラジカル開始剤の所定量を添加し、攪拌してラジカル開始剤をオレフィン系重合体に含浸させた後、ラジカル開始剤の10時間半減期温度以上に昇温してグラフト反応させる方法である。
ここで、オレフィン系重合体とアクリル系単量体、及び必要に応じて用いられる他の単量体の水性懸濁液は、オレフィン系重合体の水性懸濁液に、アクリル系単量体及び他の単量体を加えて攪拌するか、アクリル系単量体及び他の単量体の水性懸濁液に、オレフィン系重合体を加えて攪拌するいずれかの方法によって作製するのが好ましい。
また、その水性懸濁液中におけるオレフィン系重合体とアクリル系単量体及び他の単量体の合計含有量は、水100重量部に対して5〜100重量部程度とするのが好ましく、安定な分散状態を保つために、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシセルロース等の水溶性高分子、アルキルベンゼンスルホネート等の陰イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等の非イオン性界面活性剤、或いは、酸化マグネシウム、燐酸カルシウム等の水不溶性の無機塩等の懸濁安定剤を、単独で又は併用して、水に対して0.001〜10重量%程度用いることが好ましい。
オレフィン系重合体へのアクリル系単量体及び必要に応じて用いられる他の単量体の含浸は、好ましくは40〜100℃、更に好ましくは50〜90℃程度の加熱下で攪拌して、遊離の単量体が単量体全量の80重量%以下となる程度まで、通常は2〜8時間程度行われる。
アクリル系単量体及び必要に応じて用いられる他の単量体をオレフィン系重合体に含浸させた後は、その含浸温度が使用するラジカル開始剤の10時間半減期温度以上の温度である場合等、必要に応じて、ラジカル開始剤の10時間半減期温度未満の温度まで、好ましくはラジカル開始剤の10時間半減期温度より5℃以上低い温度以下まで冷却し、次いで、前記ラジカル開始剤を添加し、攪拌下にオレフィン系重合体に含浸させる。このオレフィン系重合体へのラジカル開始剤の含浸は、好ましくは室温〜100℃、更に好ましくは40〜90℃程度の範囲で、且つ用いるラジカル開始剤の10時間半減期温度未満の温度下で攪拌することにより行われる。
ラジカル開始剤をオレフィン系重合体に含浸させた後のグラフト反応は、一般的には、攪拌下、50〜150℃程度の温度、常圧〜10kg/cm2程度の圧力で、2〜10時間程度で行われるが、その間の温度及び圧力は、一定である必要はない。
なお、上記水系含浸重合法による海島構造体の製造において、アクリル系単量体或いは他の単量体のオレフィン系重合体へのグラフト鎖長、及びアクリル系単量体の単独重合体或いは他の単量体との共重合体における分子量調節のため、n−ブチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン等、或いは、一般にα−メチルスチレンダイマーと称される2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン等の連鎖移動剤(分子量調節剤、重合抑制剤)が用いられても良い。このような連鎖移動剤を使用する場合、その使用量は通常アクリル系単量体と必要に応じて用いられる他の単量体との合計100重量部に対して、0〜1重量部、好ましくは0.01〜0.8重量部程度である。連鎖移動剤は、通常、ラジカル開始剤の添加時に水性懸濁液に添加される。
このようにして得られる本発明に係る海島構造体は、オレフィン系重合体の海相内にアクリル系重合体の微細な島相が均一に分散した高透明性の海島構造体である。この海島構造体の島相は、用いたアクリル系単量体の重合体又は、スチレン等の他の単量体を用いた場合は、アクリル系単量体とスチレン等の他の単量体との共重合体で構成されるが、その表層部分には、オレフィン系重合体にアクリル系単量体(場合によって更に他の単量体)がグラフト重合した変性オレフィン系重合体が形成されており、このグラフト変性オレフィン系重合体により、成膜原料として用いた場合、得られるフィルムから島相が脱落するのが防止され、また島相のブリードアウトも防止される。
このようにして得られる海島構造体は通常平均粒径が1〜10mm、特に3〜7mm程度の粒子状であることが好ましい。
しかして、この海島構造体は、以下のようにして製造条件を調整することにより、島相の含有量や、島相の形状を任意に調整することができる。
(1) 島相の含有量の調整
前述の海島構造体製造時の配合比の範囲において、アクリル系単量体等の単量体成分の使用量を多くすることにより、島相の含有量を多くすることができ、逆に少なくすることにより、島相の含有量を少なくすることができる。
前述の海島構造体製造時の配合比の範囲において、アクリル系単量体等の単量体成分の使用量を多くすることにより、島相の含有量を多くすることができ、逆に少なくすることにより、島相の含有量を少なくすることができる。
本発明に係る海島構造体は島相の含有量を幅広い範囲で制御することができるが、一般的には、海島構造体に占める島相の含有量で1〜60重量%、特に10〜60重量%、とりわけ20〜60重量%、更には25〜55重量%程度であることが好ましい。島相の含有量を過度に多くすることは海島構造が反転するため困難であり、島相の含有量が少な過ぎると、島相による易引き裂き性付与効果が十分でなくなる。ただし、島相含有量は、この海島構造体を成膜原料としてどの程度用いるかによっても異なり、島相含有量が35重量%以下の海島構造体のみを用いて易引き裂き性フィルムを成膜することもできる。
(2) 島相の形状
アクリル系単量体等の単量体成分の重合度を制御することにより、島相を球形、楕円球形(ラグビーボール状)、シリンダー状(細長く引き伸ばされた柱状)等の様々な形状に制御することができる。即ち、単量体成分の重合度を下げ、後述の実施例の項で測定される島相部分の分子量を小さくするとL/D(長さ/径比)が大きいシリンダー状の島相が形成され、逆に単量体成分の重合度を上げ、この島相部分の分子量を大きくすると、L/Dの小さい球形の島相が形成される。
アクリル系単量体等の単量体成分の重合度を制御することにより、島相を球形、楕円球形(ラグビーボール状)、シリンダー状(細長く引き伸ばされた柱状)等の様々な形状に制御することができる。即ち、単量体成分の重合度を下げ、後述の実施例の項で測定される島相部分の分子量を小さくするとL/D(長さ/径比)が大きいシリンダー状の島相が形成され、逆に単量体成分の重合度を上げ、この島相部分の分子量を大きくすると、L/Dの小さい球形の島相が形成される。
なお、単量体成分の重合度及び島相の分子量は、前述の連鎖移動剤の配合量により調整することができる。即ち、連鎖移動剤の配合量を多くすると、単量体成分の重合度は抑えられ、島相部分の分子量は小さくなり、連鎖移動剤の配合量を少なくすると、単量体成分の重合度は上昇傾向となり、島相部分の分子量は大きくなる。
島相のL/Dは1〜1000、特に1〜500の範囲で任意の値に調整可能である。また、島相の大きさについては、形状にもより一概には言えないが、L/Dの小さい略球状の島相であれば平均粒径で2〜50μm程度、L/Dの大きいシリンダー状の島相では、その短径の平均値で1〜20μm程度である。
本発明においては、このような海島構造体の島相を、フィルム引き裂き時の亀裂の伝播ラインの誘導部とする。このため、この海島構造体の島相は、L/Dが小さいものよりも大きいものが好ましい。即ち、島相のL/Dの大きい海島構造体であれば、フィルムの成膜時にMD(流動押出)方向に沿ってフィルム中に延在するようになり、フィルム中に延在するL/Dの大きい島相を案内部として、円滑に亀裂を伝播させることができるため、易引き裂き性に優れたフィルムを形成することができる。
このような観点から、島相のL/D比は2以上、特に5以上、とりわけ10以上であることが好ましい。なお、このL/Dの上限については特に制限はないが、通常500以下、更には100以下程度である。
また、このようにL/Dの大きい島相が形成された海島構造体であれば、フィルムの表面に過度な凹凸を形成することがないため、
<1>フィルムの透明性を損なうことがなく、また、光沢度等の表面性状も良好なものとすることができる。
<2>フィルム同士のこすれ合いによる傷付きの問題もない。
といった点においても有利である。
<1>フィルムの透明性を損なうことがなく、また、光沢度等の表面性状も良好なものとすることができる。
<2>フィルム同士のこすれ合いによる傷付きの問題もない。
といった点においても有利である。
本発明において、フィルムの成膜原料中の海島構造体の好適な含有量は、成膜原料のベース樹脂の種類や島相の形状(による引き裂き性付与効果)、要求される引き裂き性の程度等により異なり、L/Dの大きい島相であれば、易引き裂き性付与効果が大きいため少量配合で良く、また、成膜原料のベース樹脂が低密度で引張破断強度や伸びの大きいベース樹脂である場合には、島相を比較的多く配合する必要があるが、通常の場合、成膜原料中の海島構造体の島相の含有量として1〜40重量%、特に1〜35重量%、とりわけ1〜30重量%とすることが好ましい。
この島相の含有量が少な過ぎると十分な易引き裂き性を付与することができず、多過ぎるとフィルム外観や透明性が低下し、著しい場合には成膜時にフィルム切れを起こし、成膜不可能となる。特に、本発明に好適なL/Dの大きい島相を有する海島構造体、例えばL/D=15〜30程度の島相を有する海島構造体であれば、成膜原料中の島相の含有量として2〜5重量%で十分な易引き裂き性を付与することができる。
本発明の易引き裂き性フィルムを製造するには、成膜原料中に上述のような海島構造体の必要量を配合して常法に従って成膜すれば良い。
これにより、海島構造体中の島相がMD方向に配向し、良好な易引き裂き性が付与される。
なお、成膜原料は、海島構造体にベース樹脂を混合したものであっても良く、適度な島相含有量のものであれば、海島構造体のみであっても良い。
また、海島構造体を成膜に用いるに当って、前述の水系含浸重合法により得られた粒子状の海島構造体を、他の成膜原料に配合する方法には特に制限はなく、例えば、本発明に係る海島構造体をそのまま樹脂フィルム原料に配合(ドライブレンド)して成形に用いても良く、また、海島構造体の添加量が極端に少ない場合は分散性を考慮して他の樹脂に一旦練り込んだ後、成膜原料に配合しても良く、成膜原料を調整する際に最終配合量を練り込みペレット(粒子状)にした後成形に用いても良い。その際に仕上げるペレット(粒子状)の粒径は成形機に供される大きさであればよく、通常用いられるサイズとして1〜10mm、特に3〜7mm程度である。
即ち、水系含浸重合法により得られる本発明に係る海島構造体は、それ自体がフィルム引き裂き時の亀裂の伝播ラインの誘導部である島相の高濃度マスターバッチの形態とされているが、この海島構造体を更に成膜原料のペレットと混練して低濃度マスターバッチを製造し、これを成膜原料に配合することもできる。
例えば本発明に係る海島構造体を島相の含有量がごく少量となるように、成膜原料に配合する場合、高濃度に島相を含む海島構造体を成膜原料に対して少量配合することはその分散性の面で不利である。従って、このような場合には、水系含浸重合法により製造された海島構造体を更に成膜原料のペレットと混練して希釈することにより、低濃度マスターバッチ状とすることもできる。この場合においても、本発明に係る海島構造体であれば、良好な均一分散性を示す。
なお、本発明の易引き裂き性フィルムのベース樹脂成分としては特に制限はなく、前述の海相を構成するオレフィン系重合体と同様のポリオレフィン系樹脂の他、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体懸化物(EVOH)、ポリカーボネート樹脂等が挙げられるが、本発明に係る海島構造体は特にポリオレフィンフィン系樹脂フィルムに好適であり、この場合において、海島構造体の海相が、配合される樹脂フィルムの樹脂と同様のオレフィン系重合体よりなることが好ましい。
なお、成膜原料には、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、防曇剤、ブロッキング防止剤、滑剤、可塑剤、顔料等の添加剤、充填材等が含有されていてもよい。これらの配合は、ベース樹脂ペレットの製造時、海島構造体の製造時、フィルムの成膜時のいずれであっても良い。
本発明の易引き裂き性フィルムの成膜方法には特に制限はなく、常法に従って成膜することができる。
本発明の易引き裂き性フィルムの厚さは、厚すぎるとフィルム自体の強度が強くなるため引き裂きにくい傾向になり、薄すぎるとフィルム自体の強度が低くなりすぎるため一定方向に引き裂けにくくなる可能性があることから、1〜300μm、特に1〜250μm、とりわけ3〜200μm程度であることが好ましい。
また、本発明の易引き裂き性フィルムは、非引き裂き方向(TD方向)の引き裂き強度が、引き裂き方向(MD方向)の引き裂き強度の1.5倍以上、好ましくは2倍以上、さらに好ましくは2.5倍以上となることが好ましい。
本発明の易引き裂き性フィルムは、従来公知の方法により、被着基材上にアンカーコート剤を介して又は介さずして、逐次押出ラミネート、サンドイッチ押出ラミネート、共押出ラミネートする方法、或いは、被着基材と該重合体組成物、及び、更に他樹脂等と共押出する方法、並びに、予めフィルム状とし被着基材に熱融着する方法等によりラミネートされていても良く、その被着基材としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂等の未延伸又は延伸フィルムやシート、それらの表面に印刷等が施された印刷フィルムやシート、アルミニウム、銅、ステンレス等の金属の箔や板、紙等が挙げられる。
以下に製造例、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例により何ら限定されるものではない。
[海島構造体の製造]
製造例1〜3
50リットル容量のオートクレーブに、水20kgと、懸濁剤として第三燐酸カルシウム600gとドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム6gとを入れて水性媒体とし、これに粒径2〜4mmの分岐状エチレン単独重合体樹脂(日本ポリエチレン社製「ノバテックLD LJ802」MFR(190℃)22g/10分、密度0.918g/cm3)粒子6kg(100重量部)を加え、攪拌して水性懸濁液とした。この水性懸濁液に、メタクリル酸メチル(MMA)4.2kg(70重量部)とスチレン(ST)1.8kg(30重量部)の混合物を加え、オートクレーブ内に窒素を導入して系内を0.5kg/cm2(49kPa)に加圧した後、攪拌しながら徐々に温度を上げて60℃で4時間攪拌することにより、メタクリル酸メチルとスチレンをエチレン単独重合体樹脂粒子中に含浸させた。引き続いて、この懸濁系を室温付近まで冷却し、アゾビスイソブチロニトリル24gとα−メチルスチレンダイマー(MSD)を表1に示す量添加し、オートクレーブ内に窒素を導入して系内を0.5kg/cm2(49kPa)に加圧した後、攪拌しながら徐々に温度を上げて50℃で6時間攪拌することにより、アゾビスイソブチロニトリルとMSDをエチレン単独重合体樹脂粒子中に含浸させた。次いで、攪拌しながら1時間かけて徐々に90℃に昇温し、この温度で2時間攪拌してグラフト反応を行い、更に1時間かけて105℃に昇温し、この温度で5時間攪拌して反応を完結させた。冷却後、反応固形物を取り出して水洗して微粉状の副生非含浸重合体を除去し、粒子状の海島構造体A〜Cを得た。いずれも収率は92%であった。回収した粒子の粒径は3〜6mmであった。
製造例1〜3
50リットル容量のオートクレーブに、水20kgと、懸濁剤として第三燐酸カルシウム600gとドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム6gとを入れて水性媒体とし、これに粒径2〜4mmの分岐状エチレン単独重合体樹脂(日本ポリエチレン社製「ノバテックLD LJ802」MFR(190℃)22g/10分、密度0.918g/cm3)粒子6kg(100重量部)を加え、攪拌して水性懸濁液とした。この水性懸濁液に、メタクリル酸メチル(MMA)4.2kg(70重量部)とスチレン(ST)1.8kg(30重量部)の混合物を加え、オートクレーブ内に窒素を導入して系内を0.5kg/cm2(49kPa)に加圧した後、攪拌しながら徐々に温度を上げて60℃で4時間攪拌することにより、メタクリル酸メチルとスチレンをエチレン単独重合体樹脂粒子中に含浸させた。引き続いて、この懸濁系を室温付近まで冷却し、アゾビスイソブチロニトリル24gとα−メチルスチレンダイマー(MSD)を表1に示す量添加し、オートクレーブ内に窒素を導入して系内を0.5kg/cm2(49kPa)に加圧した後、攪拌しながら徐々に温度を上げて50℃で6時間攪拌することにより、アゾビスイソブチロニトリルとMSDをエチレン単独重合体樹脂粒子中に含浸させた。次いで、攪拌しながら1時間かけて徐々に90℃に昇温し、この温度で2時間攪拌してグラフト反応を行い、更に1時間かけて105℃に昇温し、この温度で5時間攪拌して反応を完結させた。冷却後、反応固形物を取り出して水洗して微粉状の副生非含浸重合体を除去し、粒子状の海島構造体A〜Cを得た。いずれも収率は92%であった。回収した粒子の粒径は3〜6mmであった。
この海島構造体A〜CについてGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)を使用して求めた重量平均分子量(Mw)と、190℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR)は表1に示す通りであった。
なお、Mwの測定は、熱キシレン中に海島構造体を希釈(濃度10重量%以下)したものを熱いうちに貧溶媒であるテトラヒドロフランに注下し(濃度1重量%以下)、沈殿物を濾過した後の溶液をGPCにて測定した。従って、測定された値は、島相のMMA及び/又はST重合部分のMwに相当する。
また、仕込み量(重量)と改質後の収率(重量)から求めた島相含有量と、SEM(走査型電子顕微鏡)観察により求めた島相のL/Dは表1に示す通りであった。
なお、海島構造体A〜CのSEM写真を図1(a)〜(c)に示す。
このSEM観察は、製造した海島構造体100重量部と希釈樹脂100重量部をドライブレンドしてTダイ成形(樹脂温度240℃)にて2層のフィルムを得、海島構造体の配合された層(厚さ30μm)と海島構造体を配合しない層(希釈樹脂と同じ樹脂)(厚さ30μm)を2層の共押出フィルムとし、海島構造体が配合された面同士をヒートシールし、手で剥離後、剥離界面に金の蒸着工程を行い、その後SEM観察することにより行った。この手法において、希釈樹脂の種類や、濃度によって島相の形状は殆ど変化しないことは確認済みである。
[ベース樹脂]
易引き裂き性フィルムのベース樹脂として下記表2のものを準備した。
易引き裂き性フィルムのベース樹脂として下記表2のものを準備した。
[評価方法]
得られた樹脂フィルムは下記の方法で評価した。
(1) 引裂強度
JIS K6781−1994に準拠し、JIS K6781−1994の図4に示される引裂荷重試験片ダンベルにて、MD方向、TD方向に直角に打ち抜き、オートグラフにて引っ張り速度500mm/minで引き裂き、強度の最大値を採用した。
(2) 外部ヘーズ
プラスチックの光学的特性試験方法 K7105−1981『5.5 光線透過率及び全光線反射率A法』に則り測定した。
(3) 光沢度
プラスチックの光学的特性試験方法 K7105−1981『5.2 光沢度 20度鏡面光沢度』に則り測定した。光沢度が悪いことは表面凹凸が大きく、フィルム外観に劣ることを示す。
得られた樹脂フィルムは下記の方法で評価した。
(1) 引裂強度
JIS K6781−1994に準拠し、JIS K6781−1994の図4に示される引裂荷重試験片ダンベルにて、MD方向、TD方向に直角に打ち抜き、オートグラフにて引っ張り速度500mm/minで引き裂き、強度の最大値を採用した。
(2) 外部ヘーズ
プラスチックの光学的特性試験方法 K7105−1981『5.5 光線透過率及び全光線反射率A法』に則り測定した。
(3) 光沢度
プラスチックの光学的特性試験方法 K7105−1981『5.2 光沢度 20度鏡面光沢度』に則り測定した。光沢度が悪いことは表面凹凸が大きく、フィルム外観に劣ることを示す。
[実施例及び比較例]
各ベース樹脂と表3〜6に示す海島構造体とを表3〜6に示す割合で用い、30mm径の一軸押出機で溶融混練し、240℃に設定したTダイより厚さ30μmの樹脂フィルムを押し出し成形した。各樹脂フィルムについて評価を行った結果を各々表3〜6に示した。
各ベース樹脂と表3〜6に示す海島構造体とを表3〜6に示す割合で用い、30mm径の一軸押出機で溶融混練し、240℃に設定したTダイより厚さ30μmの樹脂フィルムを押し出し成形した。各樹脂フィルムについて評価を行った結果を各々表3〜6に示した。
表3〜6より、本発明に係る海島構造体、特に島相のL/Dの大きい海島構造体によれば、透明性やフィルム外観を損なうことなく良好な易引き裂き性フィルムを得ることができることが分かる。
Claims (7)
- 水系含浸重合法により製造された海島構造体であって、海相がオレフィン系重合体で構成され、島相がアクリル系重合体で構成される海島構造体を含む成膜原料を成膜してなることを特徴とする易引き裂き性フィルム。
- 請求項1において、該成膜原料中の前記島相の含有量が1〜40重量%であることを特徴とする易引き裂き性フィルム。
- 請求項1又は2において、前記島相のL/Dが2以上であることを特徴とする易引き裂き性フィルム。
- 請求項1ないし3のいずれか1項において、該島相がアクリル系単量体とビニル系単量体との共重合体であることを特徴とする易引き裂き性フィルム。
- 請求項4において、該ビニル系単量体がスチレン系単量体であることを特徴とする易引き裂き性フィルム。
- 請求項1ないし5のいずれか1項において、該島相の表層部に、前記オレフィン系重合体にアクリル系単重体がグラフト重合してなるグラフト変性オレフィン系重合体を有することを特徴とする易引き裂き性フィルム。
- 請求項1ないし6のいずれか1項において、該海島構造体が、オレフィン系重合体及びアクリル系単量体を含む水性懸濁液中にて、オレフィン系重合体にアクリル系単量体を含浸させた後、該水性懸濁液中にラジカル開始剤を添加して、該ラジカル開始剤をオレフィン系重合体に含浸させ、次いで該ラジカル開始剤の10時間半減期温度以上に昇温してグラフト反応させることにより得られたものであることを特徴とする易引き裂き性フィルム。
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- 2004-12-10 JP JP2004358028A patent/JP2006160986A/ja active Pending
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