JP2010202807A - 架橋用ゴム組成物及び架橋ゴム - Google Patents
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Abstract
【課題】摩擦係数が低く、優れた耐擦傷性を有すると共に、耐ブルーミング性を発揮することができる架橋用ゴム組成物及び架橋ゴムを提供する。
【解決手段】架橋用ゴム組成物は、架橋用ゴム及び下記の成分(A)と成分(B)とを含むグラフト共重合体組成物を含有し、グラフト共重合体組成物の含有量が架橋用ゴム100質量部に対して0.1〜20質量部に設定されている。
成分(A):オレフィン系重合体セグメント(a)を幹成分とし、少なくとも1種のビニル系単量体から形成されるビニル系重合体セグメント(b)を枝成分とするグラフト共重合体。
成分(B):脂肪酸アミド
上記グラフト共重合体組成物中には、さらに下記の成分(C)を含有することが好ましい。
成分(C):エチレンと少なくとも1種のビニル系単量体から形成されるエチレン系共重合体。
【選択図】なし
【解決手段】架橋用ゴム組成物は、架橋用ゴム及び下記の成分(A)と成分(B)とを含むグラフト共重合体組成物を含有し、グラフト共重合体組成物の含有量が架橋用ゴム100質量部に対して0.1〜20質量部に設定されている。
成分(A):オレフィン系重合体セグメント(a)を幹成分とし、少なくとも1種のビニル系単量体から形成されるビニル系重合体セグメント(b)を枝成分とするグラフト共重合体。
成分(B):脂肪酸アミド
上記グラフト共重合体組成物中には、さらに下記の成分(C)を含有することが好ましい。
成分(C):エチレンと少なくとも1種のビニル系単量体から形成されるエチレン系共重合体。
【選択図】なし
Description
本発明は、摩擦係数が低く、優れた耐擦傷性と耐ブルーミング性を持つため、摺動部材等として適した架橋用ゴム組成物及び架橋ゴムに関する。
一般にゴム製部品は表面滑り性が良くないために、所定の装置に装着された後の摺動抵抗や作動抵抗が大きく、大きな振動やスリップ音を伴うという不都合があり、改善が求められている。そのような改善が施されたゴム組成物として、例えばゴム組成物中に高級脂肪酸アミドを配合すると共に、架橋密度を高くした摺動部材用ゴム組成物が提案されている(特許文献1を参照)。このゴム組成物より形成される架橋ゴムによれば、摺動抵抗低減効果を長期間維持することができる。
また、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)に対して、ジアルキルジチオカルバミン酸銅及び脂肪酸アミドを添加してなるNBR組成物が提案されている(特許文献2を参照)。このNBR組成物により形成される架橋ゴムによれば、NBR加硫物同士のみならず、金属、樹脂などの相手材との粘着性及び摩擦抵抗を低減させることができる。
しかしながら、特許文献1及び2に記載されている架橋ゴムでは、樹脂、ゴム或いは金属との擦れ音の低減、摺動性、非粘着性、耐擦傷性や耐摩耗性の改善が見られるものの、脂肪酸アミドが表面に析出して白化するブルーミングが発生し易く、その結果外観不良を招くという問題があった。そのような外観不良は架橋ゴムの物性上及び意匠上の見地から望ましくないため、改良が望まれている。
そこで本発明の目的とするところは、摩擦係数が低く、優れた耐擦傷性を有すると共に、耐ブルーミング性を発揮することができる架橋用ゴム組成物及び架橋ゴムを提供することにある。
本発明における第1の発明の架橋用ゴム組成物は、架橋用ゴム及び下記成分(A)と成分(B)とを含むグラフト共重合体組成物を含有し、グラフト共重合体組成物の含有量が架橋用ゴム100質量部に対して0.1〜20質量部であることを特徴とする。
成分(A):オレフィン系重合体セグメント(a)を幹成分とし、少なくとも1種のビニル系単量体から形成されるビニル系重合体セグメント(b)を枝成分とするグラフト共重合体。
成分(B):脂肪酸アミド
第2の発明の架橋用ゴム組成物は、第1の発明において、前記グラフト共重合体組成物中にさらに下記成分(C)を含有することを特徴とする。
第2の発明の架橋用ゴム組成物は、第1の発明において、前記グラフト共重合体組成物中にさらに下記成分(C)を含有することを特徴とする。
成分(C):エチレンと少なくとも1種のビニル系単量体から形成されるエチレン系共重合体。
第3の発明の架橋用ゴム組成物は、第1又は第2の発明において、前記グラフト共重合体組成物中における成分(A)の含有量が50〜99質量%及び成分(B)の含有量が1〜50質量%であることを特徴とする。
第3の発明の架橋用ゴム組成物は、第1又は第2の発明において、前記グラフト共重合体組成物中における成分(A)の含有量が50〜99質量%及び成分(B)の含有量が1〜50質量%であることを特徴とする。
第4の発明の架橋用ゴム組成物は、第1から第3のいずれか1項の発明において、前記成分(A)のグラフト共重合体を構成するオレフィン系重合体セグメント(a)の割合が50〜80質量%及びビニル系重合体セグメント(b)の割合が20〜50質量%であることを特徴とする。
第5の発明の架橋ゴムは、第1から第4のいずれか1項の発明の架橋用ゴム組成物を架橋してなることを特徴とする。
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
本発明の架橋用ゴム組成物では、成分(A)のグラフト共重合体が成分(B)の脂肪酸アミドとの親和性に優れるオレフィン系重合体セグメント(a)と、脂肪酸アミドとの親和性に劣るビニル系重合体セグメント(b)とを有している。このため、グラフト共重合体のオレフィン系重合体セグメント(a)とビニル系重合体セグメント(b)とのバランスにより、脂肪酸アミドの表面移行性を調整することができ、架橋用ゴムに対して単純に脂肪酸アミドをブレンドするだけでは得られなかった表面滑性効果を発揮することができる。しかも、脂肪酸アミドの過剰な表面移行を抑える耐ブルーミング性も発揮することができ、良好な外観を得ることができる。
本発明の架橋用ゴム組成物では、成分(A)のグラフト共重合体が成分(B)の脂肪酸アミドとの親和性に優れるオレフィン系重合体セグメント(a)と、脂肪酸アミドとの親和性に劣るビニル系重合体セグメント(b)とを有している。このため、グラフト共重合体のオレフィン系重合体セグメント(a)とビニル系重合体セグメント(b)とのバランスにより、脂肪酸アミドの表面移行性を調整することができ、架橋用ゴムに対して単純に脂肪酸アミドをブレンドするだけでは得られなかった表面滑性効果を発揮することができる。しかも、脂肪酸アミドの過剰な表面移行を抑える耐ブルーミング性も発揮することができ、良好な外観を得ることができる。
従って、架橋用ゴム組成物は、摩擦係数が低く、優れた耐擦傷性を有すると共に、耐ブルーミング性を発揮することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
[架橋用ゴム組成物]
本実施形態の架橋用ゴム組成物は、架橋用ゴム及び下記成分(A)と成分(B)とを含むグラフト共重合体組成物を含有し、グラフト共重合体組成物の含有量が架橋用ゴム100質量部に対して0.1〜20質量部に設定されている。
[架橋用ゴム組成物]
本実施形態の架橋用ゴム組成物は、架橋用ゴム及び下記成分(A)と成分(B)とを含むグラフト共重合体組成物を含有し、グラフト共重合体組成物の含有量が架橋用ゴム100質量部に対して0.1〜20質量部に設定されている。
成分(A):オレフィン系重合体セグメント(a)を幹成分とし、少なくとも1種のビニル系単量体から形成されるビニル系重合体セグメント(b)を枝成分とするグラフト共重合体。
成分(B):脂肪酸アミド
以下に、架橋用ゴム組成物の構成要素について順に説明する。
〔架橋用ゴム〕
架橋用ゴムは架橋に供される未架橋ゴムであり、天然ゴム又は合成ゴムが用いられる。合成ゴムの例としては、スチレン・ブタジエン共重合体ゴム、ブタジエンゴム、ブチル系共重合体ゴム、エチレン・プロピレン系共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・非共役ポリエン共重合体ゴム、エチレン系共重合体ゴム、クロロプレン系ゴム、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体ゴム、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体ゴム/塩化ビニル樹脂ブレンド系ゴム等が挙げられる。これらのうち好ましくは、天然ゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレン・非共役ポリエン共重合体ゴム、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体ゴムである。これらの架橋用ゴムは、単独で用いることもできるし、2種類以上を組み合わせて用いることもできる。
〔グラフト共重合体組成物〕
グラフト共重合体組成物は、特定の成分(A)グラフト共重合体と成分(B)脂肪酸アミド、又は成分(A)グラフト共重合体と成分(B)脂肪酸アミドと成分(C)エチレン系共重合体とから構成される。
<成分(A):グラフト共重合体>
まず、このグラフト共重合体は、オレフィン系重合体セグメント(a)を幹成分とし、少なくとも1種のビニル系単量体から形成されるビニル系重合体セグメント(b)を枝成分とするものである。具体的には、オレフィン系重合体セグメント(a)中にビニル系重合体セグメント(b)が粒子径0.001〜10μmの微粒子として分散相を形成している多相構造型のグラフト共重合体であり、オレフィン系重合体セグメント(a)とビニル系重合体セグメント(b)の機能をそれぞれ有効に発揮することができる。
以下に、架橋用ゴム組成物の構成要素について順に説明する。
〔架橋用ゴム〕
架橋用ゴムは架橋に供される未架橋ゴムであり、天然ゴム又は合成ゴムが用いられる。合成ゴムの例としては、スチレン・ブタジエン共重合体ゴム、ブタジエンゴム、ブチル系共重合体ゴム、エチレン・プロピレン系共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・非共役ポリエン共重合体ゴム、エチレン系共重合体ゴム、クロロプレン系ゴム、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体ゴム、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体ゴム/塩化ビニル樹脂ブレンド系ゴム等が挙げられる。これらのうち好ましくは、天然ゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレン・非共役ポリエン共重合体ゴム、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体ゴムである。これらの架橋用ゴムは、単独で用いることもできるし、2種類以上を組み合わせて用いることもできる。
〔グラフト共重合体組成物〕
グラフト共重合体組成物は、特定の成分(A)グラフト共重合体と成分(B)脂肪酸アミド、又は成分(A)グラフト共重合体と成分(B)脂肪酸アミドと成分(C)エチレン系共重合体とから構成される。
<成分(A):グラフト共重合体>
まず、このグラフト共重合体は、オレフィン系重合体セグメント(a)を幹成分とし、少なくとも1種のビニル系単量体から形成されるビニル系重合体セグメント(b)を枝成分とするものである。具体的には、オレフィン系重合体セグメント(a)中にビニル系重合体セグメント(b)が粒子径0.001〜10μmの微粒子として分散相を形成している多相構造型のグラフト共重合体であり、オレフィン系重合体セグメント(a)とビニル系重合体セグメント(b)の機能をそれぞれ有効に発揮することができる。
上記オレフィン系重合体セグメント(a)を構成するオレフィン系重合体とは、オレフィン系単独重合体又は共重合体からなるセグメントである。このオレフィン系重合体セグメント(a)を構成する原料としてのオレフィン系重合体は、α−オレフィン重合体、エチレンと炭素数が3以上のα−オレフィンとの共重合体、エチレンと少なくとも1種のビニル系単量体から形成される共重合体、エチレン系共重合体ゴム等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
α−オレフィンの具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、1−デセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、或いはこれらの混合物等が挙げられる。α−オレフィン重合体の具体例としては、ポリエチレン及びポリプロピレンが挙げられる。
エチレンと炭素数が3以上のα−オレフィンとの共重合体の具体例としては、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体等が挙げられる。
エチレンと少なくとも1種のビニル系単量体から形成される共重合体の具体例としては、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸メチル共重合体、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・アクリル酸イソブチル共重合体、エチレン・アクリル酸n−ブチル共重合体、エチレン・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル・無水マレイン酸共重合体、エチレン・アクリル酸エチル・メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン・メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン・酢酸ビニル・メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体又はそのケン化物等が挙げられる。
エチレン系共重合体ゴムの具体例としては、エチレン・プロピレン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・非共役ポリエン共重合体ゴム、エチレン・ブテン共重合体ゴム、エチレン・ブテン・非共役ポリエン共重合体ゴム、エチレン・ヘキセン共重合体ゴム、エチレン・オクテン共重合体ゴム等が挙げられる。
これらのオレフィン系重合体の中で、成分(B)脂肪酸アミドとの親和性が優れている点で、エチレン・プロピレン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・非共役ポリエン共重合体ゴム、エチレン・1−オクテン共重合体ゴムが好ましい。
次に、ビニル系重合体セグメント(b)を形成するビニル系単量体とは、前述のように少なくとも1種のビニル系単量体から形成されるものであって、アルキル鎖長の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、酸基を有するビニル系単量体、ヒドロキシル基を有するビニル系単量体、エポキシ基を有するビニル系単量体、シアノ基を有するビニル系単量体及びスチレンより選択される少なくとも1種の単量体である。なお、本明細書ではアクリルとメタクリルを(メタ)アクリルと総称し、化合物が変わっても同様である。
このビニル系単量体として具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリロニトリル、スチレン等が挙げられる。これらの中でも、成分(B)の脂肪酸アミドとの相互作用が大きく、その表面移行性を調整しやすい点から、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリロニトリル、スチレン等が特に好ましい。
ビニル系重合体セグメント(b)を構成するビニル系重合体の重量平均分子量〔テトラヒドロフラン(THF)中、スチレン換算によるゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)による測定値、質量平均分子量〕は、通常1,000〜2,000,000、好ましくは5,000〜1,200,000の範囲である。この重量平均分子量が1,000未満の場合には成分(A)グラフト共重合体の耐熱性が低下する傾向があり、重量平均分子量が2,000,000を超える場合には成分(A)グラフト共重合体の溶融粘度が高くなり、成形性が低下する傾向を示す。
成分(A)グラフト共重合体を構成するオレフィン系重合体セグメント(a)は、成分(B)脂肪酸アミドとの親和性に優れる性質を有し、ビニル系重合体セグメント(b)は、成分(B)脂肪酸アミドとの親和性に劣る性質を有する。さらに、オレフィン系重合体セグメント(a)は、ゴム種によって相溶性が異なるといった性質を有する。そのため、これらを調整することにより、界面剥離が防止され、滑剤として作用する脂肪酸アミドの表面移行性を調整(制御)でき、脂肪酸アミドのブルーミングも防止でき、良好な外観を持たせることができる。
また、成分(A)グラフト共重合体のメルトフローレート(MFR)又はメルトインデクス(MI)は、好ましくは0.01〜500g/10分、さらに好ましくは0.1〜300g/10分、最も好ましくは1〜200g/10分である。このMFRはJIS 7210に規定された方法に準拠して、樹脂温度230℃、測定荷重21N(2.16kg・f)の条件で測定したものである。MFRが0.01g/10分未満又は500g/10分を超えると、グラフト共重合体と架橋用ゴムとの相溶性が悪く、最終的に架橋ゴムの外観を悪化させる傾向にあるため好ましくない。
前述のように、成分(A)グラフト共重合体は多相構造型であって、通常オレフィン系重合体セグメント(a)中にビニル系重合体セグメント(b)が粒子径0.001〜10μmの微粒子として分散相を形成している。分散相を形成するセグメントの粒子径が0.001μm未満の場合及び10μmを超える場合のいずれも、架橋用ゴムにグラフト共重合体を混合したときの分散性が悪く、最終的に架橋ゴムの外観が悪化したり、機械的物性を損ねたりする傾向にある。
成分(A)グラフト共重合体は、オレフィン系重合体セグメント(a)が通常5〜99質量%、好ましくは20〜95質量%、特に好ましくは50〜80質量%であり、ビニル系重合体セグメント(b)は通常1〜95質量%、好ましくは5〜80質量%、特に好ましくは20〜50質量%である。オレフィン系重合体セグメント(a)が5質量%未満の場合、即ちビニル系重合体セグメント(b)が95質量%を超える場合、脂肪酸アミドの保持性が低下し、耐ブルーミング性が悪化し、得られる架橋ゴムの外観が低下する傾向を示す。逆に、オレフィン系重合体セグメント(a)が99質量%を超える場合、即ちビニル系重合体セグメント(b)が1質量%未満の場合、脂肪酸アミドの表面移行に基づく改良効果が不十分となる傾向を示す。このような傾向などに基づいて、グラフト共重合体を構成するオレフィン系重合体セグメント(a)とビニル系重合体セグメント(b)の種類及び割合を調整して、グラフト共重合体の極性を変更することにより、滑剤である脂肪酸アミドとグラフト共重合体との相互作用を調整することができる。
成分(A)グラフト共重合体を製造する際のグラフト化法は、一般に知られている連鎖移動法、電離性放射線照射法等いずれの方法でも良いが、以下に示す方法が最も好ましい。なぜならば、製造方法が簡便で、グラフト効率が高く、熱によるビニル系重合体セグメント(b)の二次的凝集が起こらず、グラフト共重合体を脂肪酸酸アミドと混合しやすくなり、両者の相互作用に優れているためである。
例えば、ビニル系重合体セグメント(b)がオレフィン系重合体セグメント(a)中に微粒子として分散相を形成している態様のグラフト共重合体を製造する具体的な一例を以下に示す。即ち、オレフィン系重合体粒子中に、ビニル系単量体、ラジカル重合性有機過酸化物及びラジカル重合開始剤を含浸させた後、ビニル系単量体とラジカル重合性有機過酸化物とを共重合させることによりグラフト化前駆体を得、さらに溶融、混合することにより得られる。以下、さらに詳述する。
まず、オレフィン系重合体の粒子100質量部を水中に懸濁させる。そこへビニル系単量体1〜400質量部、ラジカル重合性有機過酸化物をビニル系単量体100質量部に対し0.01〜20質量部、及び10時間半減期を得るための分解温度40〜90℃のラジカル重合開始剤をビニル系単量体とラジカル重合性有機過酸化物との合計100質量部に対し0.01〜8質量部からなる混合溶液を加える。ここで、ラジカル重合性有機過酸化物とは、過酸化物結合とラジカル重合性の官能基を一分子中に有する化合物をいう。このラジカル重合性有機過酸化物として、例えば後述する一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物の1種又は2種以上の混合物が使用される。ラジカル重合性有機過酸化物の使用量は、ビニル系単量体100質量部に対して0.01〜15質量部であることが好ましい。
次に、ラジカル重合開始剤の分解が実質的に起こらない条件で加熱することにより、前述の配合組成のビニル系単量体、ラジカル重合性有機過酸化物及びラジカル重合開始剤からなる混合溶液を、水中に懸濁したオレフィン系重合体の粒子中に含浸させる。その含浸率が添加量の20質量%以上、好ましくは30質量%以上に達した時点で、この水性懸濁液の温度を上昇させ、ビニル系単量体とラジカル重合性有機過酸化物とをオレフィン系重合体粒子中で共重合させることによりグラフト化前駆体を得る。このグラフト化前駆体を100〜300℃で溶融、混合することにより、オレフィン系重合体セグメント(a)とビニル系重合体セグメント(b)とからなるグラフト共重合体が得られる。
前記一般式(1)又は一般式(2)で表されるラジカル重合性有機過酸化物とは、次の化合物である。
前記一般式(1)又は一般式(2)で表されるラジカル重合性有機過酸化物としては、具体的にはt−ブチルペルオキシアクリロイロキシエチルカーボネート、t−ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボネート、t−ブチルペルオキシアリルカーボネート、t−ブチルペルオキシメタクリルカーボネートが好ましい。
<成分(B):脂肪酸アミド>
次に、成分(B)の脂肪酸アミドは、炭素数10〜25の脂肪酸を原料として形成され、滑剤として作用する。この脂肪酸アミドと前記グラフト共重合体とからなるグラフト共重合体組成物を架橋用ゴムに配合すると、得られる架橋用ゴム組成物は、低摩擦性、高い耐ブリーミング性及び優れた耐擦傷性を発現することができる。炭素数10未満の脂肪酸を原料として形成した脂肪酸アミドでは、上述の効果が不十分であり、炭素数25を超える脂肪酸ではそれ自体入手が困難で実用的ではない。
この脂肪酸アミドとして具体的には、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘミン酸アミド等の飽和脂肪族アミド、エルカ酸アミド、オレイン酸アミド、ブラシジン酸アミド、エライジン酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド等のビス脂肪酸アミド等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でエルカ酸アミド、オレイン酸アミド及びエチレンビスオレイン酸アミドが好ましく、特に滑性に優れているエルカ酸アミド及びオレイン酸アミドが最も好ましい。
また、本発明の目的を損なわない範囲で脂肪酸アミド以外の滑剤を配合しても良い。このような滑剤としては、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、オレイン酸メチル、エルカ酸メチル、ベヘニン酸メチル、ラウリン酸ブチル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、ヤシ油脂肪酸オクチル、ステアリン酸オクチル、ラウリン酸ラウリル、ステアリン酸ステアリル、ベヘニン酸ベヘニル、ミリスチン酸セチル、ネオペンチルポリオール長鎖脂肪酸エステル、ネオペンチルポリオール脂肪酸エステル、ネオペンチルポリオール脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールテトラパルミネート等の脂肪酸エステル、流動パラフィン、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等の炭化水素系、ステアリン酸、1,2−ヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸、ステアリルアルコール等の高級アルコール、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の金属石鹸、シリコーンオイル等のシリコーン、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル等のアルキレングリコール等が挙げられる。
前述のグラフト共重合体と脂肪酸アミドとを含有するグラフト共重合体組成物を製造する際の加熱温度は70〜250℃が好ましい。この加熱温度が70℃未満の場合、グラフト共重合体と脂肪酸アミドとの混練が不完全であったり、溶融粘度が高いため混合が不十分になり、相分離や層状剥離が現れる傾向を示すため好ましくない。その一方、250℃を超える場合、グラフト共重合体と脂肪酸アミドの分解が激しくなる傾向を示す。
成分(A)グラフト共重合体の含有量は、成分(A)と成分(B)とを含むグラフト共重合体組成物中好ましくは50〜99質量%、より好ましくは60〜90質量%である。即ち、成分(B)脂肪酸アミドの含有量は、成分(A)と成分(B)とを含むグラフト共重合体組成物中好ましくは1〜50質量%、より好ましくは10〜40質量%である。グラフト共重合体が50質量%未満の場合、即ち脂肪酸アミドが50質量%を超える場合、脂肪酸アミドの表面移行を十分に調整することができなくなる。その一方、グラフト共重合体が99質量%を超える場合、即ち脂肪酸アミドが1質量%未満の場合、脂肪酸アミドによる表面滑性効果が発揮されない傾向を示す。
<成分(C):エチレン系共重合体>
グラフト共重合体組成物には、前記成分(A)及び成分(B)のほかに、成分(C)エチレン系共重合体を配合することができる。このエチレン系共重合体はエチレンと少なくとも1種のビニル系単量体から形成されるランダム共重合体であり、該エチレン系共重合体を含有することにより、グラフト共重合体組成物を容易に製造できると共に、このグラフト共重合体組成物を添加した架橋ゴムの成形性を向上させることができる。さらに、エチレン系共重合体と脂肪酸アミドの親和性が劣ることから、脂肪酸アミドの表面移行性を促進させることが可能となり、その表面滑性効果を一層向上させる役割ももたせることができる。
<成分(C):エチレン系共重合体>
グラフト共重合体組成物には、前記成分(A)及び成分(B)のほかに、成分(C)エチレン系共重合体を配合することができる。このエチレン系共重合体はエチレンと少なくとも1種のビニル系単量体から形成されるランダム共重合体であり、該エチレン系共重合体を含有することにより、グラフト共重合体組成物を容易に製造できると共に、このグラフト共重合体組成物を添加した架橋ゴムの成形性を向上させることができる。さらに、エチレン系共重合体と脂肪酸アミドの親和性が劣ることから、脂肪酸アミドの表面移行性を促進させることが可能となり、その表面滑性効果を一層向上させる役割ももたせることができる。
このエチレン系共重合体としては具体的には、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸メチル共重合体、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・アクリル酸イソブチル共重合体、エチレン・アクリル酸n−ブチル共重合体、エチレン・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル・無水マレイン酸共重合体、エチレン・アクリル酸エチル・メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン・メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体又はそのケン化物等が挙げられる。これらの中で、エチレン・アクリル酸メチル共重合体、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・アクリル酸n−ブチル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体又はそのケン化物が、極性を大きく変化できる点、及び脂肪酸アミドとの反親和性に優れる点で特に好ましい。これらのエチレン系共重合体は単独で用いてもよく、また2種以上を組み合せて用いてもよい。
グラフト共重合体組成物中における成分(C)エチレン系共重合体の含有量は、前述のグラフト共重合体と脂肪酸アミドの合計量に対して1000質量%以下であることが好ましく、200質量%以下であることがより好ましい。エチレン系共重合体の含有量が1000質量%を超える場合には、架橋用ゴム組成物又は得られる架橋ゴムの機械的物性と耐熱性が低下し、さらには脂肪酸アミドとの親和性が劣るため、脂肪酸アミドによる耐ブルーミング性が低下し、外観が悪化する傾向がある。
[架橋用ゴム組成物の調製]
架橋用ゴム組成物は、前述の架橋用ゴムとグラフト共重合体組成物を120〜250℃で溶融、混合することによって製造することが好ましい。上記温度が120℃未満の場合、溶融の不完全さや溶融粘度の高さのため、混合が不十分になったり、相分離や層状剥離が現れたりする傾向にある。一方、250℃を超える場合、架橋用ゴムやグラフト共重合体組成物を構成する各成分の分解が起こるおそれがあるため好ましくない。溶融、混合する方法としては、押出混練、ロール混練、バンバリー混練、ニーダー混練など公知の方法が採用される。
[架橋用ゴム組成物の調製]
架橋用ゴム組成物は、前述の架橋用ゴムとグラフト共重合体組成物を120〜250℃で溶融、混合することによって製造することが好ましい。上記温度が120℃未満の場合、溶融の不完全さや溶融粘度の高さのため、混合が不十分になったり、相分離や層状剥離が現れたりする傾向にある。一方、250℃を超える場合、架橋用ゴムやグラフト共重合体組成物を構成する各成分の分解が起こるおそれがあるため好ましくない。溶融、混合する方法としては、押出混練、ロール混練、バンバリー混練、ニーダー混練など公知の方法が採用される。
また、グラフト共重合体組成物は、必ずしもグラフト共重合体組成物として調製した後に架橋用ゴムに混合しなくてもよく、各成分を架橋用ゴムと混合してもよい。即ち、グラフト共重合体と脂肪酸アミドと架橋用ゴム、又はグラフト共重合体と脂肪酸アミドとエチレン系共重合体と架橋用ゴムを同時に混合してもよい。このように、架橋用ゴム組成物中に前記グラフト共重合体組成物を構成する各成分が含有されておればよく、特にその配合手順は制限されるものではない。
また、グラフト共重合体は、必ずしもグラフト共重合体として混合しなくてもよく、グラフト化前駆体の状態で混合してもよい。これは、前述のようにグラフト化前駆体を溶融、混合することにより、グラフト共重合体に変換されるからである。なお、グラフト化前駆体で溶融、混合した場合、その一部が脂肪酸アミド、エチレン系共重合体又は架橋用ゴムと共重合してグラフト共重合体となる可能性があるが、差し支えない。
グラフト共重合体組成物の含有量は、架橋用ゴム100質量部に対して0.1〜20質量部であり、好ましくは1〜10質量部である。グラフト共重合体組成物の含有量が0.1質量%より少ない場合には、グラフト共重合体による特性の発現が不足し、架橋用ゴム組成物より得られる架橋ゴムは低摩擦性、耐擦傷性及び耐ブルーミング性を発揮することができなくなる。その一方、20質量部より多い場合には、架橋用ゴム組成物より得られる架橋ゴムのゴム弾性が悪化する。
また、架橋用ゴム組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で他の樹脂やゴム、或いは無機充填剤を配合してもよい。この樹脂やゴムとしては、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、アクリルゴム、フッ素ゴム及びシリコーンゴム等が挙げられる。また、無機充填剤としては、例えば炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、シリカ、ケイソウ土、雲母粉、アスベスト、アルミナ、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、二硫化モリブデン、グラファイト、ガラス繊維、ガラス球、シラスバルーン、塩基性硫酸マグネシウムウィスカー、チタン酸カルシウムウィスカー、ほう酸アルミニウムウィスカー等が挙げられる。
架橋用ゴム組成物には、カーボンブラックや、シリカ、炭酸カルシウム、クレー、タルク等、ゴム工業で使用されている種々の補強材や充填材を配合することもできるが、一般にはカーボンブラックを配合することが好ましい。カーボンブラックの種類は特に限定されるものではなく、従来からゴム工業で使用されている各種のもの、即ち粒子径の小さい順にSAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF等を使用することができる。カーボンブラックやシリカなどの補強材や充填材を用いる場合、その配合量は、ゴム100質量部あたり通常10〜150質量部であり、好ましくは20〜100質量部である。
さらに架橋用ゴム組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で公知の耐熱安定剤、難燃剤、老化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、分散剤、発泡剤、紫外線防止剤、着色剤、滑剤、可塑剤、鉱物油系軟化剤等の1種又は2種以上を、必要に応じて常法に従い配合してもよい。
架橋用ゴム組成物はそのまま使用することもできるが、通常架橋(加硫)して、架橋ゴムとして用いられる。架橋に用いられる架橋剤としては、イオウ系化合物及び有機過酸化物等を挙げることができる。イオウ系化合物としては、イオウ、塩化イオウ、二塩化イオウ、モルフォリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジチオカルバミン酸セレン等を挙げることができる。これらの中ではイオウが好ましい。イオウ系化合物の使用量は、架橋用ゴム100質量部に対して、通常0.1〜10質量部、好ましくは0.5〜5質量部である。
上記有機過酸化物としては、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α'−ビス(t−ブチルパーオキシジイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、2,4−ジクロルベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)バレレート、t−ブチルパーオキシクメン等が挙げられる。これらの中で、好ましくはジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α'−ビス(t−ブチルパーオキシジイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等が挙げられる。さらに、これらの中ではジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ベンゾイルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンが好ましい。有機過酸化物の使用量は、架橋用ゴム100gに対して、通常3×10−3〜5×10−2モル、好ましくは1×10−3〜3×10−2モルである。
架橋剤としてイオウ系化合物を使用する場合には、加硫促進剤を併用することが好ましい。加硫促進剤としては、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N′−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(2,4−ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、2−(2,6−ジエチル−4−モルフォリノチオ)ベンゾチアゾール、ジベンゾチアジル−ジスルフィド等のチアゾール系:ジフェニルグアニジン、トリフェニルグアニジン、ジオルソトリルグアニジン等のグアニジン系;アセトアルデヒド−アニリン縮合物、ブチルアルデヒド−アニリン縮合物等のアルデヒドアミン系;2−メルカプトイミダゾリン等のイミダゾリン系;ジエチルチオウレア、ジブチルチオウレア等のチオウレア系;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等のチウラム系;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸テルル等のジチオ酸塩系;ジブチルキサントゲン酸亜鉛等のザンテート系;その他亜鉛華等が挙げられる。これらの加硫促進剤の使用量は、架橋用ゴム100質量部に対して通常0.1〜20質量部、好ましくは0.2〜10質量部である。
架橋剤として有機過酸化物を使用するときには、架橋助剤を併用することが好ましい。架橋助剤としては、P−キノンジオキシム等のキノンジオキシム系;エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等のアクリル系;ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレート等のアリル系;その他マレイミド系、ジビニルベンゼン等が挙げられる。架橋助剤の使用量は、使用する有機過酸化物1モルに対して通常0.5〜2モル、好ましくは均等モルである。
架橋用ゴム組成物及び架橋ゴムは、例えば次のような方法で調製することができる。まず、成分(A)グラフト共重合体及び成分(B)脂肪酸アミド、並びに必要により配合する成分(C)エチレン系共重合体や他の添加剤をバンバリーミキサー等のミキサー類を用いて約80〜220℃の温度で約3〜10分間混練する。次に、架橋剤、架橋助剤等の添加剤をオープンロール等のロール類を用いて追加混合し、ロール温度約40〜80℃で約3〜30分間混練し、リボン状(ロール幅よりも狭い帯状)又はシート状の架橋用ゴム組成物(未架橋ゴム配合物)を調製する。
このようにして調製した架橋用ゴム組成物を、押出成形機、カレンダーロール、プレス成形機、射出成形機、トランスファー成形機等により所望の形状に成形し、成形と同時に又はその成形品を架橋槽内で、通常約150〜270℃で約1〜60分間加熱して架橋することにより、架橋ゴムを得ることができる。
〔実施形態により発揮される作用及び効果のまとめ〕
・ 本実施形態の架橋用ゴム組成物では、成分(A)のグラフト共重合体が成分(B)の脂肪酸アミドとの親和性に優れるオレフィン系重合体セグメント(a)と、脂肪酸アミドとの親和性に劣るビニル系重合体セグメント(b)とを有している。従って、これらのオレフィン系重合体セグメント(a)とビニル系重合体セグメント(b)との種類及び量のバランスにより、脂肪酸アミドの表面移行性を調整することができ、架橋用ゴムに対して単に脂肪酸アミドをブレンドするだけでは得られなかった表面滑性効果を発揮することができる。しかも、脂肪酸アミドの過剰な表面移行を抑えることができ、耐ブルーミング性も向上させ、良好な外観を得ることができる。
〔実施形態により発揮される作用及び効果のまとめ〕
・ 本実施形態の架橋用ゴム組成物では、成分(A)のグラフト共重合体が成分(B)の脂肪酸アミドとの親和性に優れるオレフィン系重合体セグメント(a)と、脂肪酸アミドとの親和性に劣るビニル系重合体セグメント(b)とを有している。従って、これらのオレフィン系重合体セグメント(a)とビニル系重合体セグメント(b)との種類及び量のバランスにより、脂肪酸アミドの表面移行性を調整することができ、架橋用ゴムに対して単に脂肪酸アミドをブレンドするだけでは得られなかった表面滑性効果を発揮することができる。しかも、脂肪酸アミドの過剰な表面移行を抑えることができ、耐ブルーミング性も向上させ、良好な外観を得ることができる。
よって、架橋用ゴム組成物又はその組成物を架橋して得られる架橋ゴムは、摩擦係数が低く、優れた耐擦傷性を有すると共に、耐ブルーミング性を発揮することができる。
・ グラフト共重合体組成物に成分(C)のエチレン系共重合体を配合することにより、該エチレン系共重合体は流動性が高く、架橋用ゴムとの親和性に優れることから、架橋用ゴム組成物の成形性を向上させることができる。さらに、このエチレン系共重合体は脂肪酸アミドとの親和性に劣ることから、脂肪酸アミドの表面移行性を促進させることが可能となり、その表面滑性効果を一層向上させることができる。
・ グラフト共重合体組成物に成分(C)のエチレン系共重合体を配合することにより、該エチレン系共重合体は流動性が高く、架橋用ゴムとの親和性に優れることから、架橋用ゴム組成物の成形性を向上させることができる。さらに、このエチレン系共重合体は脂肪酸アミドとの親和性に劣ることから、脂肪酸アミドの表面移行性を促進させることが可能となり、その表面滑性効果を一層向上させることができる。
・ グラフト共重合体組成物中における成分(A)の含有量が50〜99質量%及び成分(B)の含有量が1〜50質量%であることにより、成分(B)の脂肪酸アミドの表面移行を十分に図ることができ、優れた表面滑性効果を得ることができる。
・ 成分(A)のグラフト共重合体を構成するオレフィン系重合体セグメント(a)の割合が50〜80質量%及びビニル系重合体セグメント(b)の割合が20〜50質量%であることにより、成分(B)の脂肪酸アミドの表面移行を十分に調整することができる。
以下、参考例、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。各例中の部及び%は特に断りのない限り質量部及び質量%を表す。実施例及び比較例における物性測定に用いた試験方法は以下の通りである。
(1)耐擦傷性
各実施例及び比較例で得られた試験用シートについて、学振式堅牢度摩擦摩耗試験機〔(株)安田精機製作所製〕を用い、重さ700gの荷重を載せ、カナキン3号布により30回往復摩耗させた後の試験用シート表面を目視にて観察し、下記評価基準で評価した。
(1)耐擦傷性
各実施例及び比較例で得られた試験用シートについて、学振式堅牢度摩擦摩耗試験機〔(株)安田精機製作所製〕を用い、重さ700gの荷重を載せ、カナキン3号布により30回往復摩耗させた後の試験用シート表面を目視にて観察し、下記評価基準で評価した。
4:傷が観察されない。3:傷が僅かに観察される。2:傷が明確に観察される。1:傷が明確に観察され、摩耗粉が発生する。
(2)動摩擦係数
各実施例及び比較例で得られた試験用シートについて、新東科学(株)製、表面性状測定機HEIDON-14Dを用いて荷重1kgで測定を行った。
(3)耐ブルーミング性
各実施例及び比較例で得られた試験用シートを70℃のオーブン中に72時間放置し、試験用シート表面にブリード(ブルーム)する脂肪酸アミドを目視にて観察し、下記評価基準で評価した。
(2)動摩擦係数
各実施例及び比較例で得られた試験用シートについて、新東科学(株)製、表面性状測定機HEIDON-14Dを用いて荷重1kgで測定を行った。
(3)耐ブルーミング性
各実施例及び比較例で得られた試験用シートを70℃のオーブン中に72時間放置し、試験用シート表面にブリード(ブルーム)する脂肪酸アミドを目視にて観察し、下記評価基準で評価した。
◎:ブルームが観察されない。○:ブルームが僅かにあり。×:ブルームが明らかにあり。
以下の参考例及び表中の略記号は次の物質を表す。
以下の参考例及び表中の略記号は次の物質を表す。
EPDM−1:エチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴム(商品名:ノーデルIP4770R、Dow Chemical Co.製)
NR:天然ゴム
BR:ブタジエンゴム〔商品名:BR01、JSR(株)製〕
NBR:アクリロニトリル・ブタジエン共重合体ゴム〔商品名:N220SH、JSR(株)製〕
EPR:エチレン・プロピレン共重合体ゴム〔商品名:EP07P、JSR(株)製〕
EOR:エチレン・オクテン共重合ゴム〔商品名:エンゲージ8100、(株)デュポン・ダウ・エラストマー製〕
EPDM−2:エチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴム〔商品名:EP57P、JSR(株)製〕
EEA:エチレン・アクリル酸エチル共重合体〔商品名:NUCコポリマーDPD-J6169、日本ユニカー(株)製〕
EMMA:エチレン・メタクリル酸メチル共重合体〔商品名:アクリフトWH401、住友化学工業(株)製〕
EVA:エチレン・酢酸ビニル共重合体〔商品名:NUCコポリマーNUC−3461、日本ユニカー(株)製〕
MMA:メタクリル酸メチル
MAA:メタクリル酸
HPMA:メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル
BA:アクリル酸ブチル
St:スチレン
AN:アクリロニトリル
GMA:メタクリル酸グリシジル
OA:オレイン酸アミド〔商品名:アルフローE−10:日油(株)製〕
EA:エルカ酸アミド〔商品名:アルフローP−10:日油(株)製〕
(参考例1、グラフト共重合体の製造)
容積5リットルのステンレス鋼製オートクレーブに、純水2500gを入れ、さらに懸濁剤としてポリビニルアルコール2.5gを溶解させた。この中にEPRを700g入れ、攪拌、分散した。別に、ラジカル重合開始剤としてのジ−3,5,5−トリメチルヘキサノイルペルオキシド1.5g、ラジカル重合性有機過酸化物としてt−ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボネート9gをビニル系単量体としてのSt100g、BA100g及びHPMA100gの混合液に溶解させた。この溶液を前記オートクレーブ中に投入して攪拌した。
NR:天然ゴム
BR:ブタジエンゴム〔商品名:BR01、JSR(株)製〕
NBR:アクリロニトリル・ブタジエン共重合体ゴム〔商品名:N220SH、JSR(株)製〕
EPR:エチレン・プロピレン共重合体ゴム〔商品名:EP07P、JSR(株)製〕
EOR:エチレン・オクテン共重合ゴム〔商品名:エンゲージ8100、(株)デュポン・ダウ・エラストマー製〕
EPDM−2:エチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴム〔商品名:EP57P、JSR(株)製〕
EEA:エチレン・アクリル酸エチル共重合体〔商品名:NUCコポリマーDPD-J6169、日本ユニカー(株)製〕
EMMA:エチレン・メタクリル酸メチル共重合体〔商品名:アクリフトWH401、住友化学工業(株)製〕
EVA:エチレン・酢酸ビニル共重合体〔商品名:NUCコポリマーNUC−3461、日本ユニカー(株)製〕
MMA:メタクリル酸メチル
MAA:メタクリル酸
HPMA:メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル
BA:アクリル酸ブチル
St:スチレン
AN:アクリロニトリル
GMA:メタクリル酸グリシジル
OA:オレイン酸アミド〔商品名:アルフローE−10:日油(株)製〕
EA:エルカ酸アミド〔商品名:アルフローP−10:日油(株)製〕
(参考例1、グラフト共重合体の製造)
容積5リットルのステンレス鋼製オートクレーブに、純水2500gを入れ、さらに懸濁剤としてポリビニルアルコール2.5gを溶解させた。この中にEPRを700g入れ、攪拌、分散した。別に、ラジカル重合開始剤としてのジ−3,5,5−トリメチルヘキサノイルペルオキシド1.5g、ラジカル重合性有機過酸化物としてt−ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボネート9gをビニル系単量体としてのSt100g、BA100g及びHPMA100gの混合液に溶解させた。この溶液を前記オートクレーブ中に投入して攪拌した。
次いで、オートクレーブを60〜65℃に昇温し、3時間攪拌することによりラジカル重合開始剤、ラジカル重合性有機過酸化物及びビニル系単量体をEPR中に含浸させた。続いて、含浸されたビニル系単量体、ラジカル重合性有機過酸化物及びラジカル重合開始剤の合計量が添加量の30質量%以上になっていることを確認した。その後、温度を70〜75℃に上げ、その温度で6時間維持して重合を完結させ、水洗及び乾燥してグラフト化前駆体を得た。
このグラフト化前駆体からテトラヒドロフランでSt/BA/HPMA共重合体を抽出し、GPCで重量平均分子量(THF中、スチレン換算による)を測定したところ、600,000であった。
次に、このグラフト化前駆体をラボプラストミル一軸押出機〔(株)東洋精機製作所製〕で180℃にて押し出し、グラフト化反応させることによりグラフト共重合体を得た。このグラフト共重合体を走査型電子顕微鏡〔(株)日立製作所製〕により観察したところ、EPRにビニル共重合体が粒子径0.3〜0.4μmの真球状で均一に分散した多相構造型の熱可塑性樹脂であった。なお、このときSt/BA/HPMA共重合体のグラフト効率は80%であった。また、グラフト共重合体の温度230℃、測定荷重21N(2.16kg・f)の条件でのメルトフローレート(MFR)は5g/10分であった。
(参考例2)
容積5リットルのステンレス鋼製オートクレーブに、純水2500gを入れ、さらに懸濁剤としてポリビニルアルコール2.5gを溶解させた。この中にEORを500g入れ、攪拌、分散した。別に、ラジカル重合開始剤としてのベンゾイルペルオキシド0.5g、ラジカル重合性有機過酸化物としてt−ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボネート3gをビニル系単量体としてのMMA200g、BA200g及びMAA100gの混合液に溶解させた。この溶液を前記オートクレーブ中に投入して攪拌した。
(参考例2)
容積5リットルのステンレス鋼製オートクレーブに、純水2500gを入れ、さらに懸濁剤としてポリビニルアルコール2.5gを溶解させた。この中にEORを500g入れ、攪拌、分散した。別に、ラジカル重合開始剤としてのベンゾイルペルオキシド0.5g、ラジカル重合性有機過酸化物としてt−ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボネート3gをビニル系単量体としてのMMA200g、BA200g及びMAA100gの混合液に溶解させた。この溶液を前記オートクレーブ中に投入して攪拌した。
次いで、オートクレーブを60〜65℃に昇温し、2時間攪拌することによりラジカル重合開始剤、ラジカル重合性有機過酸化物及びビニル系単量体をEOR中に含浸させた。続いて、含浸されたビニル系単量体、ラジカル重合性有機過酸化物及びラジカル重合開始剤の合計量が添加量の30質量%以上になっていることを確認した後、温度を80〜85℃に上げた。そして、その温度で5時間維持して重合を完結させた後、水洗及び乾燥してグラフト化前駆体を得た。
このグラフト化前駆体からテトラヒドロフランでメタクリル酸メチル−アクリル酸ブチル−メタクリル酸共重合体を抽出し、GPCで重量平均分子量(THF中、スチレン換算による測定)を測定したところ、800,000であった。
次いで、このグラフト化前駆体をラボプラストミル一軸押出機〔(株)東洋精機製作所製〕で200℃にて押し出し、グラフト化反応させることによりグラフト共重合体を得た。このグラフト共重合体を走査型電子顕微鏡〔(株)日立製作所製〕により観察したところ、EORにビニル共重合体が粒子径0.2〜0.3μmの真球状で均一に分散した多相構造型の熱可塑性樹脂であった。このとき、メタクリル酸メチル−アクリル酸ブチル−メタクリル酸共重合体のグラフト効率は70%であった。また、参考例1と同条件で測定したグラフト共重合体のMFRは10g/10分であった。
(参考例3)
表1に示した成分及び配合割合に変更して、参考例1と同様の操作でグラフト共重合体を得た。また、参考例1と同条件で測定したグラフト共重合体のMFRは2g/10分であった。
(参考例3)
表1に示した成分及び配合割合に変更して、参考例1と同様の操作でグラフト共重合体を得た。また、参考例1と同条件で測定したグラフト共重合体のMFRは2g/10分であった。
表2に示す成分及び配合割合でドライブレンドした後、シリンダー温度180℃に設定されたスクリュー径30mmの同軸方向二軸押出機で溶融、混合して、グラフト共重合体組成物のペレットを得た。
表3に示す配合にてバンバリーミキサーで200℃、100rpm、6分間の条件にて混練後、プレス加硫にて縦200mm、横200mm及び厚さ2mmの架橋ゴムのシートを作製した。このシートを4分割し、試験用シートとした。該試験用シートについて、前記耐擦傷性、動摩擦係数及び耐ブルーミング性を測定し、それらの結果を表3に示した。
表4に示す配合にてバンバリーミキサーで150℃、100rpm、6分間の条件にて混練後、150℃、15分のプレス加硫で縦200mm、横200mm及び厚さ2mmの架橋ゴムのシートを作製した。このシートを4分割し、試験用シートとした。該試験用シートについて、前記耐擦傷性、動摩擦係数及び耐ブルーミング性を測定し、それらの結果を表4に示した。
表5に示す配合にてバンバリーミキサーで150℃、100rpm、6分間の条件にて混練後、150℃、15分のプレス加硫で縦200mm、横200mm及び厚さ2mmのシートを作製した。このシートを4分割し、試験用シートとした。該試験用シートについて、前記耐擦傷性、動摩擦係数及び耐ブルーミング性を測定し、それらの結果を表5に示した。
表3〜5に示したように、実施例1〜12の架橋ゴムでは、耐擦傷性の評価が全て4であり、動摩擦係数が0.2〜0.6であり、かつ耐ブルーミング性の評価が◎又は〇であり、いずれも優れた結果であった。
その一方、比較例1ではEPDM−1単体であるため、耐ブルーミング性は良好であったが、耐擦傷性及び動摩擦係数が劣る結果であった。比較例2では脂肪酸アミドをブレンドしただけであるため、耐擦傷性と動摩擦係数は良好であったが、耐ブルーミング性が劣る結果であった。比較例3はグラフト共重合体組成物の含有量が少量であるため、耐ブルーミング性は良好であったが、耐擦傷性及び動摩擦係数が劣る結果を示した。比較例4ではグラフト共重合体組成物の含有量が過剰であるため、耐擦傷性及び動摩擦係数は良好であったが、耐ブルーミング性が劣る結果であった。比較例5では架橋用ゴムにエチレン・アクリル酸エチル共重合体と脂肪酸アミドを配合したものであるため、脂肪酸アミドの表面移行性が激しく、耐擦傷性と動摩擦係数は優れていたが、耐ブルーミング性が劣る結果であった。
比較例6では天然ゴム単体であるため、耐ブルーミング性は良好であったが、耐擦傷性及び動摩擦係数で劣る結果を示した。比較例7及び8では脂肪酸アミドをブレンドしただけであるため、耐擦傷性と動摩擦係数は良好であったが、耐ブルーミング性が劣る結果であった。比較例9ではNBR単体であるため、耐ブルーミング性は良好であったが、耐擦傷性及び動摩擦係数が劣る結果であった。比較例10では脂肪酸アミドをブレンドしただけであるため、耐擦傷性と動摩擦係数は良好であったが、耐ブルーミング性が劣る結果であった。
なお、前記実施形態を次のように変更して実施することも可能である。
・ 前記成分(C)エチレン系共重合体として、極性の異なる複数種類のものを使用し、成分(B)脂肪酸アミドの表面移行性や架橋用ゴム組成物の成形性を所望程度に容易に調整できるように構成することもできる。
・ 前記成分(C)エチレン系共重合体として、極性の異なる複数種類のものを使用し、成分(B)脂肪酸アミドの表面移行性や架橋用ゴム組成物の成形性を所望程度に容易に調整できるように構成することもできる。
・ 前記成分(A)グラフト共重合体のオレフィン系重合体セグメント(a)を、架橋用ゴムの種類と同種のものに合せ、分子量も近くなるように設定し、架橋用ゴムに対するオレフィン系重合体セグメント(a)の親和性を高めるように構成することもできる。
さらに、前記実施形態より把握される技術的思想について以下に記載する。
〇 成分(A)グラフト共重合体は、オレフィン系重合体セグメント(a)中にビニル系重合体セグメント(b)が粒子径0.001〜10μmの微粒子として分散相を形成している多相構造型のものである請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の架橋用ゴム組成物。このように構成した場合、請求項1から請求項4のいずれかに係る発明の効果に加えて、グラフト共重合体のオレフィン系重合体セグメント(a)及びビニル系重合体セグメント(b)の機能をそれぞれ有効に発揮させることができる。
〇 成分(A)グラフト共重合体は、オレフィン系重合体セグメント(a)中にビニル系重合体セグメント(b)が粒子径0.001〜10μmの微粒子として分散相を形成している多相構造型のものである請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の架橋用ゴム組成物。このように構成した場合、請求項1から請求項4のいずれかに係る発明の効果に加えて、グラフト共重合体のオレフィン系重合体セグメント(a)及びビニル系重合体セグメント(b)の機能をそれぞれ有効に発揮させることができる。
Claims (5)
- 架橋用ゴム及び下記成分(A)と成分(B)とを含むグラフト共重合体組成物を含有し、グラフト共重合体組成物の含有量が架橋用ゴム100質量部に対して0.1〜20質量部であることを特徴とする架橋用ゴム組成物。
成分(A):オレフィン系重合体セグメント(a)を幹成分とし、少なくとも1種のビニル系単量体から形成されるビニル系重合体セグメント(b)を枝成分とするグラフト共重合体。
成分(B):脂肪酸アミド - 前記グラフト共重合体組成物中にさらに下記成分(C)を含有することを特徴とする請求項1に記載の架橋用ゴム組成物。
成分(C):エチレンと少なくとも1種のビニル系単量体から形成されるエチレン系共重合体。 - 前記グラフト共重合体組成物中における成分(A)の含有量が50〜99質量%及び成分(B)の含有量が1〜50質量%であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の架橋用ゴム組成物。
- 前記成分(A)のグラフト共重合体を構成するオレフィン系重合体セグメント(a)の割合が50〜80質量%及びビニル系重合体セグメント(b)の割合が20〜50質量%であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の架橋用ゴム組成物。
- 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の架橋用ゴム組成物を架橋してなることを特徴とする架橋ゴム。
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