JPH0718154A - 耐熱abs樹脂組成物 - Google Patents

耐熱abs樹脂組成物

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JPH0718154A
JPH0718154A JP18435493A JP18435493A JPH0718154A JP H0718154 A JPH0718154 A JP H0718154A JP 18435493 A JP18435493 A JP 18435493A JP 18435493 A JP18435493 A JP 18435493A JP H0718154 A JPH0718154 A JP H0718154A
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weight
copolymer
resin
vinyl
carbonate
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JP18435493A
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English (en)
Inventor
Motoyuki Sugiura
基之 杉浦
Tomio Yamada
富穂 山田
Tetsuya Ito
哲哉 伊藤
Hiroshi Omura
博 大村
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NOF Corp
Eneos Corp
Original Assignee
Nippon Petrochemicals Co Ltd
Nippon Oil and Fats Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ABS系樹脂(I)5〜95重量%およびポ
リカーボネート系樹脂(II)5〜94重量%およびポ
リオレフィン系樹脂(III) 1〜60重量%と、(I)+
(II)+(III)100重量部に対して、特定の多相構造
を有するグラフト共重合体(IV)1〜50重合部を配合
した熱可塑性樹脂組成物。 【効果】 本発明の耐熱ABS樹脂組成物は、ABS系
樹脂(I)およびポリカーボネート系樹脂(II)の各長
所を生かし、機械的物性、耐熱性、成形加工性および表
面外観性に優れた樹脂組成物である。それゆえ、自動車
部品、電気・電子部品、工業部品などに広く使用されう
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐熱性、耐衝撃性、お
よび成形加工性に優れる耐熱ABS樹脂組成物に関する
ものであり、自動車部品、電気および電子機械部品、工
業部品等の広い分野で有効に使用されるものである。
【0002】
【従来の技術】ABS系樹脂(I)、ポリカーボネート
系樹脂(II)、ポリオレフィン系樹脂(III) は優れた機
械的物性、耐熱性等が認められ多くの分野で使用されて
いる。しかしながら、ABS系樹脂(I)およびポリオ
レフィン系樹脂(III) は物性バランスに優れ、かつ良好
な成形加工性を有するものの、よりいっそうの耐熱性や
機械的物性の向上が求められている。一方、ポリカーボ
ネート系樹脂(II)は比較的高い耐熱性を有する上、耐
衝撃性などに優れた特徴を有しているものの、成形加工
性の改良が望まれている。
【0003】そこでABS系樹脂(I)およびポリカー
ボネート系樹脂(II)とをブレンドすることにより、ポリ
カーボネート系樹脂(II)およびポリオレフィン系樹脂
(III) の有している長所を、ABS系樹脂(I)に付与
した優れた樹脂組成物が得られると考えられ、その相溶
化剤の開発が行われている。例えばABS系樹脂(I)
とポリカーボネート系樹脂(II)とのブレンドにおける
相溶化剤としては、特開昭61−174257号公報と
特開平2−272057号公報に、エチレンとメタクリ
ル酸グリシジルとの共重合体およびスチレンと無水マレ
イン酸との共重合体が開示されている。しかしながら、
いずれのブレンド系においてもそれぞれの化学的構造が
異なるために相溶性が悪く、それぞれの長所を生かすに
は不十分であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的はABS系樹脂(I)およびポリカーボネート系樹
脂(II)からなる組成物の成形時に生じる層状剥離を効
果的に防止し、かつ耐熱性、機械的物性、耐衝撃性およ
び成形加工性に優れる耐熱ABS樹脂組成物を提供する
ことにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の問題
点を解決すべく鋭意研究した結果、ABS系樹脂(I)
およびポリカーボネート系樹脂(II)とをブレンドする
際に、ポリオレフィン系樹脂(III) を流動性調整剤とし
て、また特定のグラフト共重合体(IV)を相溶化剤として
配合することにより、ABS系樹脂の成形加工性を維持
しながらポリカーボネート系樹脂の耐熱性、機械的物性
等を併せ持つ優れた耐熱ABS樹脂組成物を完成させる
に至った。
【0006】すなわち本発明は、ABS系樹脂(I)5
〜94重量%、ポリカーボネート系樹脂(II)5〜94
重量%およびポリオレフィン系樹脂(III) 1〜60重量
%と、(I)+(II)+(III) 100重量部に対して、
エポキシ基含有オレフィン系重合体セグメント5〜95
重量%とビニル系重合体セグメント5〜95重量%とか
らなり、ビニル系重合体セグメントがエポキシ基含有オ
レフィン系重合体セグメントにより形成される連続相中
に粒子径000.1〜10μmの分散相を形成している
多相構造を示すグラフト共重合体(IV)が1〜50重量部
配合されていることを特徴とする耐熱ABS樹脂組成物
である。
【0007】本発明において使用されるABS系樹脂
(I)とは、ブタジエン系ゴムの存在下で、シアン化ビ
ニル化合物、芳香族ビニル化合物および不飽和カルボン
酸アルキルエステル化合物からなる群より選択された2
種以上の化合物を重合させて得られるグラフト共重合体
(a)である。また必要に応じてシアン化ビニル化合
物、芳香族ビニル化合物および不飽和カルボン酸アルキ
ルエステル化合物からなる群より選択された2種以上の
化合物を重合して得られる共重合体(b)を含有するこ
とができる。好ましくは、共重合体(a)10〜100
重量%と共重合体(b)90〜0重量%からなる樹脂で
ある。共重合体(a)が10重量%未満では充分な耐衝
撃性が得られない。
【0008】グラフト共重合体(a)における共役ジエ
ン系ゴムと上述の化合物との組成比は特に制限はない
が、共役ジエン系ゴム5〜70重量%、上述の化合物9
5〜30重量%の組成比が好ましい。また上述の化合物
の組成比には特に制限はないが、シアン化ビニル化合物
0〜30重量%、芳香族ビニル化合物30〜80重量
%、不飽和カルボン酸アルキルエステル化合物0〜70
重量%であることが好ましい。なお、共役系ジエン系ゴ
ムの粒子径は特に制限はないが、0.05〜5μmのも
のが好ましい。共重合体(b)の上述の化合物の組成比
は、シアン化ビニル化合物0〜30重量%、芳香族ビニ
ル化合物50〜90重量%、不飽和カルボン酸アルキル
エステル化合物0〜40重量%であることが好ましい。
共重合体(b)の固有粘度〔30℃、ジメチルホルムア
ミド(DMF)〕にも特に制限はないが、0.25〜
1.50が好ましい。
【0009】共役ジエン系ゴムとしてはポリブタジエ
ン、ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−アク
リロニトリル共重合体等を挙げることができ、1種また
は2種以上用いることができる。なお、共役ジエン系ゴ
ムのゲル含有量には何ら制限はない。
【0010】シアン化ビニル化合物としてはアクリロニ
トリル、メタクリロニトリル等を、芳香族ビニル化合物
としてはスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエ
ン、ジメチルスチレン、クロルスチレン等を、不飽和カ
ルボン酸アルキルエステル化合物としてはメチルアクリ
レート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、メ
チルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメ
タクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロ
キシエチルメタクリレート等を挙げることができ、1種
または2種以上用いることができる。ABS系樹脂
(I)の製造法としては乳化重合法、懸濁重合法、溶液
重合法、塊状重合法、乳化−懸濁重合法等を挙げること
ができる。
【0011】本発明において使用されるポリカーボネー
ト系樹脂(II)は、4,4−ジヒドロキシジフェニル−
2,2−プロパン(通称ビスフェノール)をはじめとす
る4,4−ジオキシジアリルアルカン系ポリカーボネー
トであるが、その中でも特に4,4−ジヒドロキシジフ
ェニル−2,2−プロパンのポリカーボネートで、数平
均分子量15000〜80000のものが好ましい。こ
れらのポリカーボネートは、任意の方法で製造される。
例えば、4,4−ジヒドロキシジフェニル−2,2−プ
ロパンのポリカーボネートの製造には、ジオキシ化合物
として4,4−ジヒドロキシジフェニル−2,2−プロ
パンを用いて、苛性アルカリ水溶液および溶剤存在下に
ポスゲンを吹き込んで製造する方法、または4,4−ジ
ヒドロキシジフェニル−2,2−プロパンと炭酸ジエス
テルとを触媒存在下でエステル交換させて製造する方法
を例示することができる。
【0012】本発明において使用されるポリオレフィン
系樹脂(III) とは、高圧ラジカル重合、中低圧イオン重
合等で得られる非極性α−オレフィン単量体の共重合
体、および非極性α−オレフィン単量体と極性ビニル系
単量体との共重合体をいう。非極性α−オレフィン単量
体としては、エチレンまたはプロピレンが好ましく、他
の非極性α−オレフィン単量体としてはブテン−1、ヘ
キセン−1、オクテン−1、4−メチルペンテン−1等
を挙げることができる。
【0013】上記非極性α−オレフィン(共)重合体の
具体例としては、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエ
チレン、超超低密度ポリエチレン、低分子量ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−プロピレ
ン共重合体等を挙げることができる。またこれらの非極
性α−オレフィン(共)重合体は、混合して使用するこ
ともできる。
【0014】非極性α−オレフィン単量体と極性ビニル
系単量体とからなる共重合体における極性ビニル単量体
とは、非極性α−オレフィン単量体と共重合可能なビニ
ル基をもった単量体であって、例えばアクリル酸、メタ
クリル酸、フマル酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無
水イタコン酸、ビシクロ(2,2,1)−5−ヘプレン
−2,3−ジカルボン酸等のα,β−不飽和カルボン酸
およびその金属塩、アクリル酸メチル、アクリル酸n−
ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチ
ル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリ酸メチ
ル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メ
タクリル酸イソブチル等のα,β−不飽和カルボン酸エ
ステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプロン酸
ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ステア
リン酸ビニル、トリアルオル酢酸ビニル等のビニルエス
テル類等が挙げられる。
【0015】非極性α−オレフィン単量体と極性ビニル
単量体とからなる共重合体の具体例として、エチレン−
アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重
合体、エチレン−アクリル酸イソプロピル共重合体、エ
チレン−アクリル酸n−ブチル共重合体、エチレン−ア
クリル酸イソブチル共重合体、エチレン−アクリル酸2
−エチルヘキシル共重合体、エチレン−メタクリル酸共
重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチ
レン−メタクリル酸イソプロピル共重合体、エチレン−
メタクリル酸n−ブチル共重合体、エチレン−メタクリ
ル酸イソブチル共重合体、エチレン−メタクリル酸2−
エチルヘキシル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合
体、エチレン−プロピオン酸ビニル共重合体、エチレン
−アクリル酸エチル−無水マレイン酸共重合体等が挙げ
られる。
【0016】これらの非極性α−オレフィンと極性ビニ
ル系単量体とからなる共重合体は、混合して使用するこ
ともできる。また、非極性α−オレフィン(共)重合体
と非極性α−オレフィンと極性ビニル系単量体とからな
る共重合体とを混合して使用することもできる。このう
ち流動性の観点からポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リブテンが好ましく、なかでも特にプロピレン含有80
重量%以上のポリピロピレンが最も好ましい。
【0017】本発明において、ABS系樹脂(I)、ポ
リカーボネート系樹脂(II)およびポリオレフィン系樹
脂(III) とのブレンドする割合は、ABS系樹脂(I)
が5〜94重量%、好ましくは20〜89重量%、最も
好ましくは50〜84重量%である。またポリカーボネ
ート系樹脂(II)の割合は、5〜94重量%、好ましく
は10〜79重量%、最も好ましくは15〜49重量部
である。さらにポリオレフィン系樹脂(III) の割合は1
〜60重量%、好ましくは1〜50重量%、最も好まし
くは1〜30重量%である。
【0018】ABS系樹脂(I)が5重量%未満でポリ
カーボネート系樹脂(II)が94重量%を越えると成形
加工性が悪く、またABS系樹脂(I)が94重量%を
越えポリカーボネート系樹脂(II)が5重量%未満であ
ると耐熱性が低く好ましいない。一方、ポリオレフィン
系樹脂(III) が1重量%以下であると成形加工性の改良
効果が低く、60重量%を越えると成形品表面に層状剥
離があり好ましくない。
【0019】本発明において使用されるグラフト共重合
体(IV)中のエポキシ基含有オレフィン系重合体とは、一
つには高圧ラジカル重合によるオレフィンと不飽和グリ
シジル基含有単量体との2元共重合体またはオレフィン
と不飽和グリシジル基含有単量体および他の不飽和単量
体との3元または多元の共重合体であり、上記共重合体
のオレフィンとしては特にエチレンが好ましく、エチレ
ン60〜99.5重量%、グリシジル基含有単量体0.
5〜40重量%、他の不飽和単量体0〜39.5重量%
からなる共重合体が好ましい。
【0020】上記不飽和グリシジル基含有単量体として
は、アクリル酸グリシジル;メタクリル酸グリシジル;
イタコン酸モノグリシジルエステル;ブテントリカルボ
ン酸モノグリシジルエステル;ブテントリカルボン酸ジ
グリシジルエステル;ブテントリカルボン酸トリグリシ
ジルエステル;およびα−クロロアリル、マレイン酸、
クロトン酸、フマール酸等のグリシジルエステル酸また
はビニルグリシジルエーテル;アリルグリシジルエーテ
ル;グリシジルオキシエチルビニルエーテル;スチレン
−p−グリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類、
p−グリシジルスチレン等が挙げられるが、特に好まし
いものとしてメタクリル酸グリシジル;アクリルグリシ
ジルエーテルを挙げることができる。
【0021】他の不飽和単量体としては、オレフィン
類、ビニルエステル類、α,β−エチレン性不飽和カル
ボン酸またはその誘導体等から選ばれた少なくとも1種
の単量体で、具体的にはプロピレン;ブテン−1;ヘキ
セン−1;デセン−1;オクテン−1;スチレン等のオ
レフィン類、酢酸ビニル;プロピレン酸ビニル;ビニル
ベンゾエート等のビニルエステル類、アクリル酸;メタ
アクリル酸;アクリル酸またはメタアクリル酸のメチル
−、エチル−、プロピル−、ブチル−、2−エチルヘキ
シル−、シクロヘキシル−、ドデシル−、オクタデシル
−等のエステル類;マレイン酸;マレイン酸無水物;イ
タコン酸;フマル酸;マレイン酸モノ−、およびジ−エ
ステル;塩化ビニル;ビニルメチルエーテル、ビニルエ
チルエーテル等のビニルエーテル類およびアクリル酸ア
ミド系化合物が挙げられるが、特にアクリル酸エステル
が好ましい。
【0022】上記エポキシ基含有オレフィン共重合体の
具体例としては、エチレン−メタクリル酸グリシジル共
重合体;エチレン−酢酸ビニル−メタクリル酸グリシジ
ル共重合体;エチレン−アクリル酸エチル−メタクリル
酸グリシジル共重合体;エチレン−一酸化炭素−メタク
リル酸グリシジル共重合体;エチレン−アクリル酸グリ
シジル共重合体;エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸グ
リシジル共重合体等が挙げられる。中でも好ましいのは
エチレン−メタクリル酸グリシジル共重合体である。こ
れらのエポキシ基含有オレフィン共重合体は、混合して
使用することもできる。
【0023】高圧ラジカル重合法によるエポキシ基含有
オレフィン共重合体の製造法は前記のエチレン60〜9
9.5重量%、1種以上の不飽和グリシジル基含有単量
体0.5〜40重量%、少なくとも1種のその他のエチ
レン系不飽和単量体0〜39.5重量%の単量体混合物
を、それらの全単量体の総重量に基づいて0.0001
〜1重量%のラジカル重合開始剤の存在下で、重合圧力
500〜4000kg/cm2 、好ましくは1000〜35
00kg/cm2 、反応温度50〜400℃、好ましくは1
00〜350℃の条件下、連鎖移動剤、必要ならば助剤
の存在下に槽型または管型反応器内で該単量体を同時
に、あるいは段階的に接触、重合させる方法である。
【0024】上記ラジカル重合開始剤としてはペルオキ
シド、ヒドロペルオキシド、アゾ化合物、アミンオキシ
ド化合物、酸素等の通例の開始剤が挙げられる。また連
鎖移動剤としては水素、プロピレン、ブテン−1、C1
〜C20またはそれ以上の飽和脂肪族炭化水素およびハロ
ゲン置換炭化水素、例えば、メタン、エタン、プロパ
ン、ブタン、イソブタン、n−ヘキサン、n−ヘプタ
ン、シクロパラフィン類、クロロホルムおよび四塩化炭
素、C1 〜C20またはそれ以上の飽和脂肪族アルコー
ル、例えば、メタノール、エタノール、プロパノールお
よびイソプロパノール、C1 〜C20またはそれ以上の飽
和脂肪族カルボニル化合物、例えば二酸化炭素、アセト
ンおよびメチルエチルケトンならびに芳香族化合物、例
えばトルエン、ジエチルベンゼンおよびキシレンのよう
な化合物等が挙げられる。
【0025】本発明のエポキシ基含有オレフィン共重合
体のもう一つの例は従来のオレフィン単独重合体または
共重合体に前記の不飽和グリシジル基含有単量体を付加
反応させた変性体である。上記オレフィン共重合体に
は、低密度、中密度、高密度ポリエチレン;ポリプロピ
レン;ポリブテン−1;ポリ−4−メチルペンテン−1
等の単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体;エチ
レン−ブテン−1共重合体;エチレン−ヘキセン−1共
重合体;エチレン−4−メチルペンテン−1共重合体;
エチレン−オクテン−1共重合体等のエチレンを主成分
とする他のα−オレフィンとの共重合体、プロピレン−
エチレンブロック共重合体等のプロピレンを主成分とす
る他のα−オレフィンとの共重合体;エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体;エチレン−アクリル酸共重合体;エチレ
ン−メタクリル酸共重合体;エチレンとアクリル酸もし
くはメタクリル酸のメチル−、エチル−、プロピル−、
イソプロピル−、ブチル−等のエステルとの共重合体;
エチレン−マレイン酸共重合体;エチレン−プロピレン
共重合体ゴム;エチレン−プロピレン−ジエン−共重合
体ゴム;液状ポリブタジエン;エチレン−酢酸ビニル−
塩化ビニル共重合体およびそれらの混合物、あるいはこ
れに異種の合成樹脂またはゴムとの混合物も本発明に包
含される。
【0026】本発明において使用されるグラフト共重合
体(IV)中のビニル系重合体とは、具体的には、スチレ
ン、核置換スチレン例えばメチルスチレン、ジメチルス
チレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、クロ
ルスチレン、α−置換スチレン例えばα−メチルスチレ
ン、α−エチルスチレン等のビニル芳香族単量体;アク
リル酸もしくはメタクリル酸の炭素数1〜7のアルキル
エステル、例えば、(メタ)アクリル酸のメチル−、エ
チル−、プロピル−、イソプロピル−、ブチル−等の
(メタ)アクリル酸エステル単量体;アクリロニトリル
もしくはメタクリロニトリル等の(メタ)アクリロニト
リル単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニ
ルエステル単量体;アクリルアミド、メタクリルアミド
等の(メタ)アクリルアミド単量体;無水マレイン酸、
マレイン酸のモノ−,ジ−エステル等のビニル単量体の
1種または2種以上を重合して得られた(共)重合体で
ある。これらの中でも特に、ビニル芳香族単量体、(メ
タ)アクリル酸エステル単量体、(メタ)アクリロニト
リル単量体およびビニルエステル単量体が好ましく使用
される。特に、ビニル芳香族単量体または(メタ)アク
リル酸エステル単量体を50重量%以上含むビニル系
(共)重合体は、相溶化効果が良好なため好ましく、ビ
ニル芳香族単量体が60〜90重量%と(メタ)アクリ
ロニトリル単量体が10〜40重量%のビニル系共重合
体が最も好ましい。
【0027】本発明でいうグラフト共重合体(IV)とは、
エポキシ基含有オレフィン系重合体セグメントにより形
成される連続相中に、ビニル系重合体セグメントが球状
に均一に分散しているものをいい、分散している重合体
の粒子径は0.1〜1μmである。分散樹脂粒子径が
0.1μm未満の場合あるいは10μmを超える場合、
ABS系樹脂(I)とポリカーボネート系樹脂(II)と
の相溶化が不十分となり、例えば外観の悪化あるいは耐
衝撃性等の改良効果が不足したりするため好ましくな
い。
【0028】本発明のグラフト共重合体(IV)中のビニル
系重合体の数平均重合度は10〜5000、好ましくは
100〜2000である。数平均重合度が10未満であ
ると、本発明の熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性を向上さ
せることは可能であるが、耐熱性が低下するため好まし
くない。また、数平均重合度が5000を超えると、溶
融粘度が高く、成形性が低下したり、表面光沢が低下す
るために好ましくない。
【0029】本発明のグラフト共重合体(IV)は、エポキ
シ基含有オレフィン系重合体が5〜95重量%、好まし
くは20〜90重量%、最も好ましくは50〜80重量
%からなるものである。したがって、ビニル系重合体は
5〜95重量%、好ましくは10〜80重量%、最も好
ましくは20〜50重量%である。エポキシ基含有オレ
フィン系重合体が5重量%未満であると、耐衝撃性改良
効果が不十分であり好ましくない。またエポキシ基含有
オレフィン共重合体が95重量%を超えると、耐衝撃性
改良効果は十分に得られるが、耐熱性が低下するために
好ましくない。
【0030】本発明において、グラフト共重合体(IV)は
樹脂(I)+(II)+(III) 100重量部に対して1〜
50重量部、好ましくは2〜30重量部、さらに好まし
くは5〜20重量部である。グラフト共重合体(IV)が1
重量部未満だと樹脂(I)と樹脂(II)の相溶性が改善
されず、層状剥離を起こしたり、充分な衝撃強度が得ら
れない。また、50重量部を超えると、機械的物性や耐
熱性が低下してしまい好ましくない。
【0031】本発明のグラフト共重合体(IV)を製造する
際のグラフト化法は、一般によく知られている連鎖移動
法、電離性放射線照射法等いずれの方法によってもよい
が、最も好ましいのは、下記に示す方法によるものであ
る。何とならば、グラフト効率が高く熱による二次的凝
集が起こらないため、性能の発現がより効果的であり、
また製造方法が簡便であるためである。
【0032】以下、本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造
方法を具体的に詳述する。すなわち、エポキシ基含有オ
レフィン系重合体100重量部を水に懸濁せしめ、別に
少なくとも1種のビニル単量体5〜400重量部に、下
記一般式(1)または(2)で表されるラジカル重合性
有機過酸化物の1種または2種以上の混合物を該ビニル
単量体100重量部に対して0.1〜10重量部と、1
0時間の半減期を得るための分解温度が40〜90℃で
あるラジカル重合開始剤をビニル単量体とラジカル重合
性有機過酸化物との合計100重量部に対して0.01
〜5重量部とを溶解せしめた溶液を加え、ラジカル重合
開始剤の分解が実質的に起こらない条件で加熱し、ビニ
ル単量体、ラジカル重合性有機過酸化物およびラジカル
重合開始剤をエポキシ基含有オレフィン系重合体に含浸
せしめ、ついでこの水性懸濁液の温度を上昇せしめ、ビ
ニル単量体とラジカル重合性有機過酸化物とをエポキシ
基含有オレフィン系重合体中で共重合せしめて、グラフ
ト化前駆体を得る。
【0033】このグラフト化前駆体を直接ポリカーボネ
ート系樹脂(I)、ABS系樹脂(II)、ポリオレフィ
ン系樹脂(III) と共に溶融混合してもよい。またグラフ
ト化前駆体を100〜300℃の溶融下、混練すること
により、本発明のグラフト共重合体(IV)を得ることもで
きる。このとき、グラフト化前駆体に、別にエポキシ基
含有オレフィン系重合体またはビニル系重合体を混合
し、溶融下に混練してもグラフト共重合体(IV)を得るこ
とができる。最も好ましいのはグラフト化前駆体を混練
し得られたグラフト共重合体(IV)である。前記一般式
(1)(化1)で表されるラジカル重合性有機過酸化物
とは、
【0034】
【化1】
【0035】(式中、R1 は水素原子または炭素数1〜
2のアルキル基、R2 は水素原子またはメチル基、R3
およびR4 はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基、R5
は炭素数1〜12のアルキル基、フェニル基、アルキル
置換フェニル基または炭素数3〜12のシクロアルキル
基を示す。mは1または2である。)で表される化合物
である。また、前記一般式(2)(化2)で表されるラ
ジカル重合性有機過酸化物とは、
【0036】
【化2】
【0037】(式中、R6 は水素原子または炭素数1〜
4のアルキル基、R7 は水素原子またはメチル基、R8
およびR9 はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基、R10
は炭素数1〜12のアルキル基、フェニル基、アルキル
置換フェニル基または炭素数3〜12のシクロアルキル
基を示す。nは0,1または2である。)で表される化
合物である。
【0038】一般式(1)で表されるラジカル重合性有
機過酸化物として、具体的には、t−ブチルペルオキシ
アクリロイロキシエチルカーボネート;t−アミルペル
オキシアクリロイロキシエチルカーボネート;t−ヘキ
シルペルオキシアクリロイロキシエチルカーボネート;
1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシアクリ
ロイロキシエチルカーボネート;クミルペルオキシアク
リロイロキシエチルカーボネート;p−イソプロピルク
ミルペルオキシアクリロイロキシエチルカーボネート;
t−ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボ
ネート;t−アミルペルオキシメタクリロイロキシエチ
ルカーボネート;t−ヘキシルペルオキシメタクリロイ
ロキシエチルカーボネート;1,1,3,3−テトラメ
チルブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボ
ネート;クミルペルオキシメタクリロイロキシエチルカ
ーボネート;p−イソプロピルクミルペルオキシメタク
リロイロキシエチルカーボネート;t−ブチルペルオキ
シメタクリロイロキシエチルカーボネート;t−アミル
ペルオキシアクリロイロキシエトキシエチルカーボネー
ト;t−ヘキシルペルオキシアクリロイロキシエトキシ
エチルカーボネート;1,1,3,3−テトラメチルブ
チルペルオキシアクリロイロキシエトキシエチルカーボ
ネート;;クミルペルオキシアクリロイロキシエトキシ
エチルカーボネート;p−イソプロピルクミルペルオキ
シアクリロイロキシエトキシエチルカーボネート;t−
ブチルペルオキシメタクリロイロキシエトキシエチルカ
ーボネート;t−アミルペルオキシメタクリロイロキシ
エトキシエチルカーボネート;t−ヘキシルペルオキシ
メタクリロイロキシエトキシエチルカーボネート;1,
1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシメタクリロ
イロキシエトキシエチルカ−ボネート;クミルペルオキ
シメタクリロイロキシエトキシエチルカーボネート;p
−イソプロピルクミルペルオキシメタクリロイロキシエ
トキシエチルカーボネート;t−ブチルペルオキシアク
リロイロキシイソプロピルカーボネート;t−アミルペ
ルオキシアクリロイロキシイソプロピルカーボネート;
t−ヘキシルペルオキシアクリロイロキシイソプロピル
カーボネート;1,1,3,3−テトラメチルブチルペ
ルオキシアクリロイロキシイソプロピルカーボネート;
クミルペルオキシアクリロイロキシイソプロピルカーボ
ネート;p−イソプロピルクミルペルオキシアクリロイ
ロキシイソプロピルカーボネート;t−ブチルペルオキ
シメタクリロイロキシイソプロピルカーボネート;t−
アミルペルオキシメタクリロイロキシイソプロピルカー
ボネート;t−ヘキシルペルオキシメタクリロイロキシ
イソプロピルカーボネート;1,1,3,3−テトラメ
チルブチルペルオキシメタクリロイロキシイソプロピル
カーボネート;クミルペルオキシメタクリロイロキシイ
ソプロピルカーボネート;p−イソプロピルクミルペル
オキシメタクリロイロキシイソプロピルカーボネート等
を例示することができる。
【0039】さらに、一般式(2)で表される化合物と
しては、t−ブチルペルオキシアリルカーボネート;t
−アミルペルオキシアリルカーボネート;t−ヘキシル
ペルオキシアリルカーボネート;1,1,3,3−テト
ラメチルブチルペルオキシアリルカーボネート;p−メ
ンタンペルオキシアリルカーボネート;クミルペルオキ
シアリルカーボネート;t−ブチルペルオキシメタリル
カーボネート;t−アミルペルオキシメタリルカーボネ
ート;t−ヘキシルペルオキシメタリルカーボネート;
1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシメタリ
ルカーボネート;p−メンタンペルオキシメタリルカー
ボネート;クミルペルオキシメタリルカーボネート;t
−ブチルペルオキシアリロキシエチルカーボネート;t
−アミルペルオキシアリロキシエチルカーボネート;t
−ヘキシルペルオキシアリロキシエチルカーボネート;
t−ブチルペルオキシメタリロキシエチルカーボネー
ト;t−アミルペルオキシメタリロキシエチルカーボネ
ート;t−ヘキシルペルオキシメタリロキシエチルカー
ボネート;t−ブチルペルオキシアリロキシイソプロピ
ルカーボネート;t−アミルペルオキシアリロキシイソ
プロピルカーボネート;t−ヘキシルペルオキシアリロ
キシイソプロピルカーボネート;t−ブチルペルオキシ
メタリロキシイソプロピルカーボネート;t−アミルペ
ルオキシメタリロキシイソプロピルカーボネート;t−
ヘキシルペルオキシメタリロキシイソプロピルカーボネ
ート等を例示することができる。中でも好ましくは、t
−ブチルペルオキシアクリロイロキシエチルカーボネー
ト;t−ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカ
ーボネート;t−ブチルペルオキシアリルカーボネー
ト;t−ブチルペルオキシメタリルカーボネートであ
る。
【0040】本発明においては前記(I)+(II)+(I
II)+(IV)を含む樹脂成分100重量部に対して150
重量部未満の無機充填剤を配合することができる。上記
無機充填剤としては、粉粒状、平板状、鱗片状、針状、
球状または中空状および繊維状等が挙げられ、具体的に
は硫酸カルシウム、珪酸カルシウム、クレー、珪藻土、
タルク、アルミナ、珪砂、ガラス粉、酸化鉄、金属粉、
グラファイト、炭化珪素、窒化珪素、シリカ、窒化ホウ
素、窒化アルミニウム、カーボンブラック等の粉粒状充
填材;雲母、ガラス板、セリサイト、パイロフィライ
ト、アルミフレーク等の金属箔、黒鉛等の平板状もしく
は鱗板状充填材;シラスバルーン、金属バルーン、ガラ
スバルーン、軽石等の中空状充填材;ガラス繊維、炭素
繊維、グラファイト繊維、ウィスカー、金属繊維、シリ
コーンカーバイト繊維、アスベスト、ウオラストナイト
等の鉱物繊維等の例を挙げることができる。充填剤の配
合量が150重量部を超えると成形品の衝撃強度が低下
するので好ましくない。
【0041】また該無機充填剤の表面は、ステアリン
酸、オレイン酸、パルチミン酸またはそれらの金属塩、
パラフィンワックス、ポリエチレンワックスまたはそれ
らの変性物、有機シラン、有機ボラン、有機チタネート
等を使用して表面処理して施すことが好ましい。
【0042】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、温度15
0〜350℃、好ましくは180〜330℃で溶融・混
合することによって製造される。上記温度が150℃未
満の場合、溶融が不完全であったり、また溶融粘度が高
く、混合が不十分となり、成形物に相分離や層状剥離が
現れるため好ましくない。また350℃を超えると、混
合される樹脂の分解もしくはゲル化が起こり好ましくな
い。溶融・混合する方法としては、バンバリーミキサ
ー、加圧ニーダー、混練押出機、二軸押出機、ロール等
の通常用いられる混練機により行うことができる。
【0043】本発明では、さらに本発明の要旨を逸脱し
ない範囲において、水酸化マグネシウム、水酸化アルミ
ニウム等の無機難燃剤、ハロゲン系、リン系等の有機難
燃剤、木粉等の有機充填剤、酸化防止剤、紫外線防止
剤、滑剤、分散剤、カップリング剤、発泡剤、架橋剤、
着色剤等の添加剤およびエラストマー等を添加しても差
し支えない。
【0044】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳しく説
明する。 (参考例1) (グラフト共重合体(IV A)の製造)容積5lのステン
レス製オートクレーブに、純水2500gを入れ、さら
に懸濁剤としてポリビニルアルコール2.5gを溶解さ
せた。この中にエポキシ基含有オレフィン系重合体とし
てエチレン−メタクリル酸グリシジル共重合体(メタク
リル酸グリシジル含有量15重量%)「レクスパールR
A−3150」[商品名、日本石油化学(株)製]70
0gを入れ、攪はん・分散した。別にラジカル重合開始
剤としてのベンゾイルペルオキシド「ナイパーB」[商
品名、日本油脂(株)製]1.5g、ラジカル重合性有
機過酸化物としてt−ブチルペルオキシメタクリロイロ
キシエチルカーボネート6gをビニル単量体としてのス
チレン300gに溶解させ、この溶液を前記オートクレ
ーブ中に投入・攪はんした。
【0045】次いでオートクレーブを60〜65℃に昇
温し、2時間攪はんすることによりラジカル重合開始剤
およびラジカル重合性有機過酸化物を含むビニル単量体
をエポキシ基含有エチレン共重合体中に含浸させた。次
いで、温度を80〜85℃に上げ、その温度で7時間維
持して重合を完結させ、水洗および乾燥してグラフト化
前駆体(IVa)を得た。このグラフト化前駆体(IVa)
中のスチレン重合体を酢酸エチルで抽出し、GPCによ
り数平均重合度を測定したところ、900であった。
【0046】次いで、このグラフト化前駆体(IVa)を
ラボプラストミル一軸押出機[(株)東洋精機製作所
製]で200℃にて押し出し、グラフト化反応させるこ
とによりグラフト共重合体(IVA)を得た。このグラフ
ト共重合体(IVA)を走査型電子顕微鏡「JEOL J
SM T300」[日本電子(株)製]により観察した
ところ、粒子径0.3〜0.4μmの真球状樹脂が均一
に分散した多相構造であった。なおこの時、スチレン重
合体のグラフト効率は77.1重量%であった。
【0047】(参考例2) (グラフト共重合体(IVB)の製造)参考例1におい
て、ビニル単量体としてのスチレン単量体300gをス
チレン単量体210g、アクリロニトリル単量体90g
との混合単量体に、またベンゾイルペルオキシド1.5
gをジ−3,5,5−トリメチルヘキサノイルペルオキ
シド「パーロイル355」[商品名、日本油脂(株)
製]3gに変更し、分子量調整剤としてα−メチルスチ
レンダイマー「ノフマーMSD」[商品名、日本油脂
(株)製]0.3gを使用した以外は、参考例1を繰り
返してグラフト化前駆体(IVb)およびグラフト共重合
体(IVB)を得た。このときスチレン−アクリロニトリ
ル系重合体の数平均重合度は1200、またこのグラフ
ト共重合体(IVB)中に分散している樹脂の平均粒子径
は0.3〜0.4μmであった。
【0048】(参考例3) (グラフト共重合体(IVC)の製造)参考例2で得たグ
ラフト化前駆体(IVb)を500gと、エチレン−メタ
クリル酸グリシジル共重合体(メタクリル酸グリシジル
含有量15重量%)「レクスパールRA−3150」
[商品名、日本石油化学(株)製]250g、およびス
チレン系重合体「サンレックスSAN−C」[商品名、
三菱モンサント化成(株)製]250gとをドライブレ
ンドした後、ラボプラストミル一軸押出機で200℃に
て押し出し、グラフト共重合体(IVC)を得た。このグ
ラフト共重合体(IVC)中に分散している樹脂の平均粒
子径は0.5〜0.8μmであった。
【0049】(参考例4) (グラフト共重合体(IVD)の製造)エチレン−メタク
リル酸グリシジル共重合体(メタクリル酸グリシジル含
有量15重量%)「レクスパールRA−3150」[商
品名、日本石油(株)製]900gに、ジクミルペルオ
キシド「パークミルD」[商品名、日本油脂(株)製]
20gをスチレン70gとアクリロニトリル30gの混
合溶液に溶かした溶液を混ぜ、ラボプラストミル一軸押
出機にて押し出し、グラフト共重合体(IVD)を得た。
このときスチレン系重合体の数平均重合度は4.7、ま
たこのグラフト共重合体(IVD)中に分散している樹脂
の平均粒子径は0.001μm以下であった。
【0050】(参考例5) (ブレンド体(IVE)の製造)エチレン−メタクリル酸
グリシジル共重合体(メタクリル酸グリシジル含有量1
5重量%)「レクスパールRA−3150」[商品名、
日本石油化学(株)製)700gおよびスチレン系重合
体「サンレックスSAN−C」(商品名、三菱モンサン
ト化成(株)製)300gとをドライブレンドした後、
ラボプラストミル一軸押出機で200℃にて押し出し、
ブレンド体(IVE)を得た。このブレンド体(IVE)中
に分散している樹脂の平均粒子径は13〜16μmであ
った。
【0051】(実施例1〜10)ABS系樹脂(I)
「スタイラックABS 283」[商品名、旭化成工業
(株)製](ABSとして表中に表示)、ポリカーボネ
ート系樹脂(II)「パンライトL1250」[商品名、
帝人化成(株)製](PCとして表中に表示)および参
考例1〜3で得たグラフト共重合体(IVA)〜(IVC)
をドライブレンドした後、シリンダー温度280℃に設
定されたスクリュー径30mmの同軸方向二軸押出機に供
給し、押出後造粒した。造粒した樹脂は150℃で3時
間乾燥させた後、射出成形によって試験片を作成した。
試験片の大きさは次のようである。
【0052】アイゾット衝撃試験片 13mm×6
5mm×6mm(ノッチ付き) 荷重たわみ温度試験片 13mm×130mm×6
mm 曲げ試験片 10mm×130mm×4
mm
【0053】なお、試験法は次のようである。 (1)アイゾット衝撃値(ノッチ付き):JIS K7
110 (2)荷重たわみ温度 :JIS K7
207 (3)曲げ試験 :JIS K6
758 (4)流動性(スパイラルフロー) 成形温度260℃において、射出成形機[田端機械工業
(株)製、TS−35−FV25型]に幅4mm、厚さ
2mmのスパイラル溝を有する金型を装着し、射出速度
95%、射出圧力1000kg/cm2 、金型温度60
℃の条件で、射出成形を行い、成形されたスパイラル長
さを測定し、流動性の指標とした。 (5)成形品の外観 成形品の外観については目視によりフローマークの有無
を判定し、次のようにランク付けした。 フローマーク ◎:フローマーク全くなし ○:僅かにフローマークあり ×:フローマークあり
【0054】
【表1】
【0055】(実施例11〜20)参考例2で得られた
グラフト化前駆体(IVb)およびグラフト共重合体(IV
B)を用いた例、SEBS「クレイトンG1650」
(V)[商品名、シェル化学(株)製]、無機充填剤とし
てガラス繊維(VI)(平均繊維長さ0.3mm×径10μ
m)を添加した例を表2に示す。
【0056】
【表2】
【0057】(比較例1〜10)実施例1〜10で用い
たグラフト共重合体(IVA)〜(IVC)の代わりに、エ
ポキシ基含有オレフィン系重合体(VIF) 「レクスパー
ルRA−3150」[商品名、日本石油化学(株)
製]、スチレン−無水マレイン酸共重合体(IV G) (9
5/5)または参考例4〜5で得たグラフト共重合体
(IVD)、ブレンド体(IVE)を用いた例、実施例で用
いたグラフト共重合体(IVB)を用いても本発明の範囲
外の配合である例を表3に示す。
【0058】
【表3】
【0059】これらの結果より、ABS系樹脂(I)
と、ポリカーボネート系樹脂(II)をブレンドする際
に、ポリオレフィン系樹脂(III) とグラフト共重合体
(IV)を添加した本発明の樹脂組成物は比較例のものと
比べ、成形加工性(流動性)を維持したまま耐熱性、機
械的物性が向上している樹脂組成物であることが解る。
【0060】
【発明の効果】本発明の耐熱ABS樹脂組成物は、AB
S系樹脂(I)およびポリカーボネート系樹脂(II)の
各長所を生かし、耐衝撃性、耐熱性、成形加工性および
表面外観性に優れた樹脂組成物である。それゆえ、自動
車部品、電気・電子部品、工業部品などに広く使用され
うる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 69/00 LPP (72)発明者 大村 博 愛知県知多郡武豊町六貫山5−3−1

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ABS系樹脂(I)5〜95重量%、ポ
    リカーボネート系樹脂(II)5〜94重量%およびポリ
    オレフィン系樹脂(III)と1〜60重量%と、(I)+
    (II)+(III) 100重量部に対して、エポキシ基含有
    オレフィン系重合体セグメント5〜95重量%とビニル
    系重合体セグメント5〜95重量%とからなり、ビニル
    系重合体セグメントがエポキシ基含有オレフィン系重合
    体セグメントにより形成された連続相中に粒子径0.0
    01〜10μmの分散相を形成している多相構造を示す
    グラフト共重合体(IV)が1〜50重量部配合されている
    ことを特徴とする耐熱ABS樹脂組成物。
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