JP2008031434A - ポリプロピレン系樹脂グラフト共重合体 - Google Patents
ポリプロピレン系樹脂グラフト共重合体 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2008031434A JP2008031434A JP2007154728A JP2007154728A JP2008031434A JP 2008031434 A JP2008031434 A JP 2008031434A JP 2007154728 A JP2007154728 A JP 2007154728A JP 2007154728 A JP2007154728 A JP 2007154728A JP 2008031434 A JP2008031434 A JP 2008031434A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- polypropylene resin
- mass
- graft copolymer
- monomer
- parts
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Landscapes
- Graft Or Block Polymers (AREA)
Abstract
【解決手段】ポリプロピレン系樹脂の存在下に、芳香族ビニル単量体及びシアン化ビニル単量体からなる単量体成分をグラフト共重合してなるポリプロピレン系樹脂グラフト共重合体であって、下記条件で得られる値Kが450以上であるグラフト共重合体。条件:値Kは、ポリプロピレン系樹脂グラフト共重合体10部を、ポリプロピレン樹脂80部及びAES樹脂20部と充分に溶融混練して得た樹脂組成物からなる比重0.92〜0.96の射出成形体のIZOD衝撃強度と曲げ弾性率から下記式(1)に従って求めた値である。 K = IS +(0.225 × FM) …(1)(式(1)中、ISはIZOD衝撃強度(単位:J/m)であり、FMは曲げ弾性率(単位:MPa)である。)
【選択図】なし
Description
また、グラフト変性したポリプロピレン樹脂は従来から知られているが、通常、未変性のポリプロピレン樹脂と混合して使用されるものであり、グラフト体単独での使用は、各種機械的物性のバランスが不十分なため行われていない(特許文献6参照)。
K = IS +(0.225 × FM) …(1)
(式(1)中、ISはIZOD衝撃強度(単位:J/m)であり、FMは曲げ弾性率(単位:MPa)である。また、上記条件におけるプロピレン単独重合体は、JIS K7210:1999に従い230℃、2.16kgの条件で求めたMFRが7〜15g/10minのものであり、上記条件におけるAES樹脂は、エチレン/プロピレン/非共役ジエン=60〜80/20〜40/0〜10(質量%)(ただし、エチレン、プロピレン及び非共役ジエンの合計は100質量%)の組成からなり且つムーニー粘度(ML1+4、100℃)が15〜40であるエチレン−プロピレン系共重合体29〜34質量%、スチレン43〜47質量%及びアクリロニトリル23〜27質量%(ただし、エチレン−プロピレン系共重合体、スチレン及びアクリロニトリルの合計は100質量%)からなるグラフト率45〜65%、アセトン可溶分の極限粘度[η](溶媒としてメチルエチルケトンを使用し、30℃で測定)0.3〜0.5dl/g、及び透過型電子顕微鏡写真にて求めた数平均ゴム粒子径0.4〜0.7μmのものである。)
T10≦Tr≦T10+30(℃) …(2)
(式(2)中、T10は前記重合開始剤の10時間半減期温度(℃)である。)
したがって、ポリプロピレン系樹脂とゴム強化AS系樹脂からなるポリマーアロイに本発明のポリプロピレン系樹脂グラフト共重合体を相溶剤として配合することにより、低比重で、しかも、耐衝撃性、剛性、流動性、耐熱性、外観および成形収縮率に優れたポリプロピレン系樹脂が提供される。
また、本発明のポリプロピレン系樹脂グラフト共重合体は、それ自体成形材料として使用でき、耐衝撃性、剛性、流動性、耐薬品性等に優れた成形品が得られる。
本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂(A)としては、プロピレン単独重合体、プロピレンを主成分とし、更にエチレンまたは炭素数4以上のα―オレフィンをコモノマーとして含有するランダムまたはブロック共重合体、並びにこれらの混合物等が挙げられる。これらのうち、プロピレン単独重合体が特に好ましい。
チーグラー(ZN)触媒としては、高活性触媒が好ましく、特に、マグネシウム、チタン、ハロゲン、電子供与体を必須成分とする固体触媒成分と有機アルミニウム化合物を組み合わせた高活性触媒が好ましい。
本発明で用いられる単量体成分(B)は、芳香族ビニル単量体及びシアン化ビニル単量体を必須成分とし、必要に応じて、これらと共重合可能な他の単量体を含有する。
また、ポリプロピレン系樹脂(A)を前記溶媒に予め溶解した後、単量体成分(B)を添加してグラフト共重合を行うことが好ましい。このとき、ポリプロピレン系樹脂が、必ずしも均一に溶解している必要はなく、一部が溶解または膨潤している状態でもよい場合がある。溶解を行う際の前記溶媒の好ましい温度は100℃以上であり、より好ましくは105℃以上であり、特に好ましくは110〜200℃、更に好ましくは110〜170℃である。この溶解は、前記温度範囲で2〜5時間程度の時間をかけて行うことが好ましい。ポリプロピレン系樹脂(A)の溶解性は、反応容器の仕様によって異なるが、通常、100℃未満では溶解性が低く、グラフト率が下がり、目的とする性能を得ることができない。
グラフト共重合を行う際の重合時間は、好ましくは1〜10時間、より好ましくは1.5〜8時間、特に好ましくは2〜6時間である。重合時間が短すぎると重合率が上がらず、グラフト率が低くなる場合があり、長すぎると生産性が低下する。
重合開始剤として10時間半減期温度(T10)が80〜120℃であるパーオキシエステル系化合物を用いて溶液重合を行う場合、下記式(2)を満たす温度(Tr)の範囲で重合を行うことが好ましい。
T10≦Tr≦T10+30(℃) …(2)
(式(2)中、T10は前記重合開始剤の10時間半減期温度(℃)である。)
また、本発明のポリプロピレン系樹脂グラフト共重合体は、220℃、10kgの条件で測定したメルトフローレート(MFR)が、5g/10分以上であることが好ましく、10〜200g/10分であることが更に好ましい。
また、本発明のポリプロピレン系樹脂グラフト共重合体は、IZOD(アイゾット)衝撃強度が、20〜200J/mであることが好ましく、90〜200J/mであることがより好ましい。
また、本発明のポリプロピレン系樹脂グラフト共重合体は、曲げ弾性率が、1400〜3000MPaであることが好ましく、1500〜3000MPaであることがより好ましい。
本発明のポリプロピレン系樹脂グラフト共重合体は、それ自体を成形材料として用いて、耐衝撃性、剛性、流動性、耐薬品性等に優れた成形品を得ることができるが、ポリプロピレン系樹脂とゴム強化AS系樹脂と混合して相溶化剤として使用することもできる。本発明のポリプロピレン系樹脂グラフト共重合体を相溶化剤として使用した場合、ポリプロピレン系樹脂とゴム強化AS系樹脂からなるポリマーアロイであって、低比重で、しかも、耐衝撃性、剛性、流動性、耐熱性、外観および成形収縮率に優れたものが得られる。
これらのうち、本発明のポリプロピレン系樹脂グラフト共重合の相溶化性能の点から、エチレン−プロピレン共重合体(EPM)、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体(EPDM)が好ましく、さらに耐衝撃性の点から、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体(EPDM)が特に好ましい。すなわち、ゴム強化AS系樹脂としては、ゴム質重合体としてEPMまたはEPDMを用いたAES樹脂が好ましい。EPMまたはEPDMのMw/Mnは通常1.2〜4.5、好ましくは1.5〜4.0、更に好ましくは1.8〜4.0である。また、EPMまたはEPDMのムーニー粘度(ML1+4、100℃)は通常5〜90、好ましくは10〜80、更に好ましくは12〜70である。エチレン/プロピレンの重量比は90/10〜20/80、好ましくは85/15〜40/60である。EPDMの不飽和基量はヨウ素価に換算して4〜40の範囲が好ましく、用いられるジエンの種類はアルケニルノルボルネン類、環状ジエン類、脂肪族ジエン類であり、好ましくは5−エチリデン−2−ノルボルネンおよびジシクロペンタジエンである。また、2種以上のエチレン−プロピレン系ゴムを混合して使用することもできる。
一般に、ポリプロピレン系樹脂のIZOD衝撃強度と曲げ弾性率はトレードオフの関係にあることが知られている。そこで、本発明者が種々のポリプロピレン系樹脂のIZOD衝撃強度と曲げ弾性率をグラフの縦軸と横軸にそれぞれプロットして検討した結果、式(1)において0.225の係数が求められ、さらに、値Kは、耐衝撃性と剛性の物性バランスを示す指標として用いることができることが判明した。
本発明によれば、成形品が耐衝撃性と曲げ弾性率の両者に優れていることは、下記条件で得られる値Kで代表させることができる。
K = IS +(0.225 × FM) …(1)
(式(1)中、ISはIZOD衝撃強度(単位:J/m)であり、FMは曲げ弾性率(単位:MPa)である。また、上記条件におけるプロピレン単独重合体は、JIS K7210:1999に従い230℃、2.16kgの条件で求めたMFRが7〜15g/10minのものであり、上記条件におけるAES樹脂は、エチレン/プロピレン/非共役ジエン=60〜80/20〜40/0〜10(質量%)(ただし、エチレン、プロピレン及び非共役ジエンの合計は100質量%)の組成からなり且つムーニー粘度(ML1+4、100℃)が15〜40であるエチレン−プロピレン系共重合体29〜34質量%、スチレン43〜47質量%及びアクリロニトリル23〜27質量%(ただし、エチレン−プロピレン系共重合体、スチレン及びアクリロニトリルの合計は100質量%)からなるグラフト率45〜65%、アセトン可溶分の極限粘度[η](溶媒としてメチルエチルケトンを使用し、30℃で測定)0.3〜0.5dl/g、及び透過型電子顕微鏡写真にて求めた数平均ゴム粒子径0.4〜0.7μmのものである。)
上記条件におけるAES樹脂の上記エチレン−プロピレン系共重合体が非共役ジエンを含む場合は、エチレン/プロピレン/非共役ジエン=60〜64/30〜34/2〜10(質量%)(ただし、エチレン、プロピレン及び非共役ジエンの合計は100質量%)の組成からなり且つムーニー粘度(ML1+4、100℃)が25〜35であるエチレン−プロピレン−非共役ジエン系共重合体32質量部、スチレン44質量部及びアクリロニトリル24質量部から構成されるグラフト率45〜55%、アセトン可溶分の極限粘度[η](溶媒としてメチルエチルケトンを使用し、30℃で測定)0.35〜0.45dl/g、及び透過型電子顕微鏡写真にて求めた数平均ゴム粒子径0.4〜0.7μmのAES樹脂が好ましい。非共役ジエンとしては、ジシクロペンタジエンが好ましい。
本実施例において用いられる各種評価方法は、以下の通りである。また、下記の評価方法は、本明細書における各種物性値の測定方法を定義するものである。
ASTM D792に準拠して23℃にて測定した。
(1−2)流動性
ポリプロピレン系樹脂グラフト共重合体の流動性は、MFRをASTM D1238に準拠して220℃、10kgの条件で測定して、評価した。また、ポリプロピレン系樹脂組成物の流動性は、同様に、230℃、2.16kgの条件で測定して、評価した。
(1−3)耐衝撃性
耐衝撃性は、IZOD(アイゾット)衝撃強度をASTM D256に準拠して、厚み1/8インチ、ノッチつきの試験片を用いて測定して、評価した。
剛性は、曲げ弾性率をASTM D790に準拠して、厚み1/4インチの試験片を用いて、曲げスパン100mm、曲げ速度30mm/分の条件で測定して、評価した。
光沢は、下記の成形条件で作成された試験片をASTM D523に準拠して、測定角度60°で測定した。
(成形条件)
成形機;新潟鐵工所社製射出成形機「NN30B」、
試験片:2.4×55×80mmプレート、
ゲート種;フィルムゲート、
シリンダー温度;220℃、
射出速度;30%、
金型温度;50℃。
ポリプロピレン樹脂として下記(i)に示すPP−5を80質量部、AES樹脂として下記(ii)のAES樹脂を20質量部、酸化防止剤として下記(iii)の酸化防止剤1を0.1質量部及び酸化防止剤2を0.1質量部用い、これらの成分と、評価に供するポリプロピレン系樹脂グラフト共重合体10質量部とをヘンシェルミキサーを用いて10分間混合した後、二軸押出機(日本製鋼所社製「TEX44αII」、バレル設定温度220℃)で充分に混練し、ペレット化した。得られたペレットを射出成形機(東芝機械社製IS1006N、設定温度220℃、金型温度50℃)を用い、各種評価用の試験片を成形した。その後、得られた試験片を用いて、前記の方法で測定し、値Kを得た。
日本ポリプロ社製「ノバテック MA3」(プロピレン単独重合体)MFR(JIS K7210:1999 230℃、2.16kg) 11g/10min。
リボン型攪拌機翼、助剤連続添加装置、温度計などを装備した容積20リットルのステンレス製オートクレーブに、エチレン−プロピレン系ゴム(エチレン/プロピレン=78/22(%)、ムーニー粘度(ML1+4、100℃)20であるエチレン−プロピレン系共重合体)32部、スチレン44部、アクリロニトリル24部、トルエン110部を仕込み、内温を75℃に昇温して、オートクレーブ内容物を1時間攪拌して均一溶液とした。その後、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート0.45部を添加し、内温を更に昇温し、100℃に達した後は、この温度を保持しながら、攪拌回転数100rpmとして重合反応を行った。重合反応開始後4時間目から、内温を120℃に昇温し、この温度を保持しながら更に2時間反応を行って終了した。最終コンバージョンは95%であった。
内温を100℃まで冷却した後、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)−プロピオネート0.2部を添加した後、反応混合物をオートクレーブより抜き出し、水蒸気蒸留により未反応物と溶媒とを留去し、40mmφベント付き押出機でシリンダー温度を220℃、真空度を770mmHgに調節して揮発分を実質的に脱気させ、ペレット化した。得られたAES樹脂のグラフト率は60%、アセトン可溶分の極限粘度[η]は0.4dl/g、透過型電子顕微鏡写真にて求めた数平均ゴム粒子径は0.57μmであった。
酸化防止剤1: チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製のフェノール系酸化防止剤である「イルガノックス1010」(商品名)。
酸化防止剤2: 旭電化製のリン系酸化防止剤である「アデカスタブPEP−36」(商品名)。
(2−1)ポリプロピレン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂グラフト共重合体製造用):
PP−1:ホモタイプポリプロピレン、日本ポリプロ社製「ノバテック MA3」(商品名)MFR(JIS K7210:1999 230℃、2.16kg) 11g/10min。
PP−2:ホモタイプポリプロピレン、日本ポリプロ社製「ノバテック MA03」(商品名)MFR(JIS K7210:1999 230℃、2.16kg) 25g/10min。
PP−3:ブロックタイプポリプロピレン、日本ポリプロ社製「ノバテック BC6C」(商品名)MFR(JIS K7210:1999 230℃、2.16kg) 2.5g/10min。
PP−4:ホモタイプポリプロピレン、日本ポリプロ社製「ノバテック EA9」(商品名)MFR(JIS K7210:1999 230℃、2.16kg) 0.5g/10min。
PO−1:パーオキシエステル系化合物、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、日本油脂社製「パーブチルI」(商品名)、10時間半減期温度(T10)98.7℃。
PO−2:パーオキシエステル系化合物、t−ブチルパーオキシラウレート、日本油脂社製「パーブチルL」(商品名)、10時間半減期温度(T10)98.3℃。
PO−3:パーオキシエステル系化合物、t−ブチルパーオキシベンゾエート、日本油脂社製「パーブチルZ」(商品名)、10時間半減期温度(T10)104.3℃。
PO−4:ジアルキルパーオキサイド系化合物、ジクミルパーオキサイド、日本油脂社製「パークミルD」(商品名)、10時間半減期温度(T10)116.4℃。
PO−5:ジアルキルパーオキサイド系化合物、ジt−ブチルパーオキサイド、日本油脂社製「パーブチルD」(商品名)、10時間半減期温度(T10)123.7℃。
(2−3)連鎖移動剤
連鎖移動剤として、t−ドデシルメルカプタンを使用した。
リボン型攪拌機翼、助剤連続添加装置、温度計などを装備した容積20リットルのステンレス製オートクレーブに、ポリプロピレン系樹脂として上記PP−1を30部、トルエンを140部仕込み、内温を120℃に昇温してこの温度を保持しながら、オートクレーブ内容物を攪拌回転数100rpmで2時間攪拌して溶解操作を行った。攪拌回転数100rpmで攪拌しながら内温を95℃に降温して、スチレン49部、アクリロニトリル21部、重合開始剤として上記PO−1を0.5部添加して、再び内温を120℃に昇温し、この温度を保持しながら3時間反応を行った。その後、内温を100℃に冷却し、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)−プロピオネート0.2部を添加した後、反応混合物をオートクレーブより抜き出し、水蒸気蒸留を行って未反応単量体と溶媒とを留去した。得られたポリプロピレン系樹脂グラフト共重合体のグラフト率は43.3%で、極限粘度[η]は0.243dl/gであった。評価結果を表1に示す。なお、ポリプロピレン系樹脂グラフト共重合体単独での評価は、PP−5、AES樹脂を配合しない以外、前述の値Kの評価と同様にして実施した(表1中のグラフト共重合体評価結果参照)。
表1〜3に示すポリプロピレン系樹脂の処方を用い、スチレンとアクリロニトリルをポリプロピレン系樹脂との合計が100質量部となるように加えた。その際、スチレンとアクリロニトリルの質量比は7対3とした。その他は実施例1と同様の方法にて、ポリプロピレン系樹脂グラフト共重合体を製造した。分析結果、及び評価結果を表1〜3に示す。
ポリプロピレン系樹脂グラフト共重合体として、日本油脂社製「モディパーA3400」(商品名)を用いた。分析結果、及び評価結果を表3に示す。
本発明のポリプロピレン系樹脂グラフト共重合体を用いた実施例1〜16によれば、比重が0.98以下で、曲げ弾性率1450MPa以上で且つ耐衝撃性95J/m以上を満たすポリオレフィン系樹脂組成物が得られることがわかる。これに対し、従来の相溶化剤を使用した比較例1は曲げ弾性率が劣る。また、比較例2〜4は、本発明の製造条件を満たさないため、成形品の曲げ弾性率と耐衝撃性のバランスに劣る。
Claims (9)
- ポリプロピレン系樹脂の存在下に、芳香族ビニル単量体及びシアン化ビニル単量体、並びに、必要に応じて、これらと共重合可能な他の単量体からなる単量体成分をグラフト共重合してなるポリプロピレン系樹脂グラフト共重合体であって、下記条件で得られる値Kが450以上であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂グラフト共重合体。
条件:値Kは、ポリプロピレン系樹脂グラフト共重合体10部を、プロピレン単独重合体80部及びAES樹脂20部と充分に溶融混練して得た樹脂組成物からなる比重0.92〜0.96の射出成形体のIZOD衝撃強度と曲げ弾性率から下記式(1)に従って求めた値である。
K = IS +(0.225 × FM) …(1)
(式(1)中、ISはIZOD衝撃強度(単位:J/m)であり、FMは曲げ弾性率(単位:MPa)である。また、上記条件におけるプロピレン単独重合体は、JIS K7210:1999に従い230℃、2.16kgの条件で求めたMFRが7〜15g/10minのものであり、上記条件におけるAES樹脂は、エチレン/プロピレン/非共役ジエン=60〜80/20〜40/0〜10(質量%)(ただし、エチレン、プロピレン及び非共役ジエンの合計は100質量%)の組成からなり且つムーニー粘度(ML1+4、100℃)が15〜40であるエチレン−プロピレン系共重合体29〜34質量%、スチレン43〜47質量%及びアクリロニトリル23〜27質量%(ただし、エチレン−プロピレン系共重合体、スチレン及びアクリロニトリルの合計は100質量%)からなるグラフト率45〜65%、アセトン可溶分の極限粘度[η](溶媒としてメチルエチルケトンを使用し、30℃で測定)0.3〜0.5dl/g、及び透過型電子顕微鏡写真にて求めた数平均ゴム粒子径0.4〜0.7μmのものである。) - 上記ポリプロピレン系樹脂グラフト共重合体が、ポリプロピレン系樹脂含有量が10〜60質量%、グラフト率が20〜200質量%、アセトン可溶分の極限粘度(溶媒としてメチルエチルケトンを使用し、30℃で測定)が0.1〜1.2dl/gであることを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂グラフト共重合体。
- 上記ポリプロピレン系樹脂グラフト共重合体が、芳香族炭化水素を主体とする溶剤、及び重合開始剤の存在下でグラフト共重合したものである請求項1又は2に記載のポリプロピレン系樹脂グラフト共重合体。
- 上記重合開始剤が、10時間半減期温度が80〜120℃であるパーオキシエステル系化合物である請求項3に記載のポリプロピレン系樹脂グラフト共重合体。
- ポリプロピレン系樹脂10〜60質量%の存在下に、芳香族ビニル単量体及びシアン化ビニル単量体、並びに、必要に応じて、これらと共重合可能な他の単量体からなる単量体成分90〜40質量%(前記ポリプロピレン系樹脂と前記単量体成分の合計は100質量%)を、芳香族炭化水素を主体とする溶剤中で重合開始剤を用いてグラフト共重合する請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂グラフト共重合体の製造方法であって、前記ポリプロピレン系樹脂と前記単量体成分の合計100質量部に対して前記溶剤50〜200質量部及び前記重合開始剤0.05〜3質量部使用することを特徴とする製造方法。
- 前記ポリプロピレン系樹脂を前記溶剤に100〜200℃で2〜5時間溶解した後、該溶液に前記単量体成分及び前記重合開始剤を添加し、下記式(2)を満たす温度(Tr)の範囲でグラフト共重合を行うことを特徴とする請求項5に記載の製造方法。
T10≦Tr≦T10+30(℃) …(2)
(式(2)中、T10は前記重合開始剤の10時間半減期温度(℃)である。) - ポリプロピレン系樹脂10〜60質量%の存在下に、芳香族ビニル単量体及びシアン化ビニル単量体、並びに、必要に応じて、これらと共重合可能な他の単量体からなる単量体成分90〜40質量%(前記ポリプロピレン系樹脂と前記単量体成分の合計は100質量%)を、芳香族炭化水素を主体とする溶剤中で重合開始剤として10時間半減期温度が80〜120℃であるパーオキシエステル系化合物を用いてグラフト共重合してなるポリプロピレン系樹脂グラフト共重合体。
- 前記ポリプロピレン系樹脂と前記単量体成分の合計100質量部に対して、前記溶剤を50〜200質量部、及び、前記重合開始剤を0.05〜3質量部使用してなる請求項7に記載のポリプロピレン系樹脂グラフト共重合体。
- 前記パーオキシエステル系化合物が、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシラウレート、およびt−ブチルパーオキシベンゾエートからなる群より選ばれた少なくとも1つである請求項7又は8に記載のポリプロピレン系樹脂グラフト共重合体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007154728A JP5134291B2 (ja) | 2006-06-27 | 2007-06-12 | ポリプロピレン系樹脂グラフト共重合体 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006176583 | 2006-06-27 | ||
JP2006176583 | 2006-06-27 | ||
JP2007154728A JP5134291B2 (ja) | 2006-06-27 | 2007-06-12 | ポリプロピレン系樹脂グラフト共重合体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008031434A true JP2008031434A (ja) | 2008-02-14 |
JP5134291B2 JP5134291B2 (ja) | 2013-01-30 |
Family
ID=39121199
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007154728A Active JP5134291B2 (ja) | 2006-06-27 | 2007-06-12 | ポリプロピレン系樹脂グラフト共重合体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5134291B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109666424A (zh) * | 2018-12-28 | 2019-04-23 | 惠州市百泉河实业有限公司 | 一种新型铝塑复合膜热熔胶及其制备方法 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH06136070A (ja) * | 1992-10-30 | 1994-05-17 | Nippon Oil & Fats Co Ltd | 流動性改良剤及び流動性の改良された樹脂組成物 |
JP2000169529A (ja) * | 1998-12-11 | 2000-06-20 | Mitsui Chemicals Inc | ビニル化合物変性オレフィン重合体の連続的製造方法 |
-
2007
- 2007-06-12 JP JP2007154728A patent/JP5134291B2/ja active Active
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH06136070A (ja) * | 1992-10-30 | 1994-05-17 | Nippon Oil & Fats Co Ltd | 流動性改良剤及び流動性の改良された樹脂組成物 |
JP2000169529A (ja) * | 1998-12-11 | 2000-06-20 | Mitsui Chemicals Inc | ビニル化合物変性オレフィン重合体の連続的製造方法 |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109666424A (zh) * | 2018-12-28 | 2019-04-23 | 惠州市百泉河实业有限公司 | 一种新型铝塑复合膜热熔胶及其制备方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP5134291B2 (ja) | 2013-01-30 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5172288B2 (ja) | 金属メッキ用樹脂組成物、その成形品及び金属メッキ成形品 | |
JP2008088315A (ja) | 熱可塑性樹脂組成物および樹脂成形品 | |
US11434360B2 (en) | Thermoplastic resin composition having reduced impact noise and molded body having reduced impact noise | |
JP3939836B2 (ja) | ゴム変性熱可塑性樹脂組成物 | |
JP5134291B2 (ja) | ポリプロピレン系樹脂グラフト共重合体 | |
JP4398826B2 (ja) | 帯電防止性熱可塑性樹脂組成物及びそれを用いた成形品 | |
JP4845608B2 (ja) | ポリプロピレン系樹脂組成物 | |
JP4055979B2 (ja) | 熱可塑性樹脂組成物 | |
JP4103972B2 (ja) | ゴム変性熱可塑性樹脂 | |
JP4103973B2 (ja) | ゴム変性熱可塑性樹脂およびその組成物 | |
JP2019210376A (ja) | Pc/abs樹脂組成物、該組成物から得られる樹脂成形体 | |
JP2018204008A (ja) | プロピレン系樹脂組成物および成形体 | |
JP2005263960A (ja) | 相溶化剤および熱可塑性樹脂組成物 | |
JPH0848842A (ja) | スチレン系樹脂組成物 | |
JP5134847B2 (ja) | 耐アルコール性成形材料及び成形品 | |
JP2004075984A (ja) | ポリプロピレン樹脂組成物 | |
JP2007070547A (ja) | 熱可塑性樹脂組成物 | |
JP4836516B2 (ja) | ポリプロピレン系樹脂組成物からなる自動車外装部品 | |
JP5784437B2 (ja) | 金属メッキ用樹脂組成物 | |
JP4260304B2 (ja) | ゴム変性芳香族ビニル樹脂組成物の製造方法 | |
JP3478550B2 (ja) | ポリスチレン系樹脂組成物 | |
JPH0665444A (ja) | 変性剤組成物およびそれを用いた熱可塑性樹脂組成物 | |
JP3543885B2 (ja) | ポリスチレン樹脂組成物 | |
JPH0742383B2 (ja) | 熱可塑性樹脂組成物 | |
JPH0665425A (ja) | 樹脂組成物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20100409 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20120221 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20120327 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20120518 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20121016 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20121109 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151116 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5134291 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |