JPH06116409A - 合成樹脂被膜の形成方法 - Google Patents

合成樹脂被膜の形成方法

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JPH06116409A
JPH06116409A JP3279186A JP27918691A JPH06116409A JP H06116409 A JPH06116409 A JP H06116409A JP 3279186 A JP3279186 A JP 3279186A JP 27918691 A JP27918691 A JP 27918691A JP H06116409 A JPH06116409 A JP H06116409A
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淳 勝部
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久雄 松浦
Masayuki Iijima
正行 飯島
Yoshikazu Takahashi
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 真空中で2種以上の合成樹脂原料モノマ−を
蒸発させ、これを基体上で重合させて合成樹脂被膜を形
成させる方法において、基体上への余分なモノマ−の付
着を防止する。 【構成】 真空槽2の下部に、原料モノマ−を蒸発させ
るための蒸発源5を複数個設け、蒸発源5の周囲を覆う
冷却遮蔽板6を設置し、冷却遮蔽板6は冷却水循環方式
により使用するモノマ−のうち最も低い融点以下に冷却
される。この方法により、真空中で2種以上の合成樹脂
原料モノマ−を蒸発させ、これを基体上で重合させて合
成樹脂被膜を形成させる場合に、基体上への余分なモノ
マ−の付着を防止することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体素子または静電
チャックの絶縁膜、パッシベ−ション膜、ソフトエラ−
膜、プラスチックコンデンサの誘電体などに用いられる
薄い合成樹脂被膜の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、合成樹脂被膜の形成方法として
は、合成樹脂の原料モノマ−を適当な溶媒に溶かして基
体に塗布し、これを基体上で重合させる「湿式法」、合
成樹脂自体を基体上に蒸着する「ポリマ−蒸着法」、ま
たは合成樹脂の原料モノマ−をプラズマ状態にしてプラ
ズマ中で重合させる「プラズマ重合法」などが知られて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような従
来の合成樹脂被膜の形成方法では、「湿式法」の場合は
極めて薄い膜が得られ難く、また基体に対する合成樹脂
の密着力が不十分で、しかも塗液の調合や溶媒の除去
(乾燥)・回収などの工程が入るために不純物の混入が
起こりやすい。また「ポリマ−蒸着法」の場合は解重合
とともに分解などが起こり、重合度が十分でない、「プ
ラズマ重合法」の場合は原料モノマ−自体の分解などに
より分子構造の制御が困難であるなどの課題があった。
【0004】そこで特開昭61−78463号公報に見
られるように、例えば、4、4’ジフェニル・メタン・
ジイソシアネ−トのような芳香族ジイソシアネ−トと、
例えば、4、4’ジアミノ・ジフェニル・エ−テルのよ
うな芳香族ジアミンを用いて真空中で両原料モノマ−を
蒸発させて、これを基体上で重合させて尿素樹脂被膜を
形成させる方法が提案されている。しかし、通常の金属
の蒸着などではシャッタ−を閉じれば蒸発物は基体上に
付着することはないが、上記のように原料モノマ−を真
空中で蒸発させて基体上で蒸着を行う場合、シャッタ−
を閉じた状態でもモノマ−が基体上に付着してしまう。
このように基体上に付着したモノマ−は小型薄膜コンデ
ンサ−などでは基体と保護膜層との付着力を低減させ封
止性を著しく劣化させていた。
【0005】本発明はこのような課題を解決するもの
で、基体上への余分なモノマ−の付着を低減させること
のできる合成樹脂被膜の形成方法を提供することを目的
とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に本発明は、真空中で2種以上の合成樹脂原料モノマ−
を蒸発させ、これを基体上で重合させて樹脂被膜を形成
する方法において、原料モノマ−蒸発源の周囲を覆う遮
蔽板を設け、その遮蔽板を原料モノマ−の融点のうち最
も低い温度以下に冷却する合成樹脂被膜を形成するよう
にしたものである。
【0007】
【作用】従来の合成樹脂被膜の形成方法においては、蒸
発口の上30mmに設置したシャッタ−を閉じたままの状
態で基体を真空槽内に10分間設置したところ、基体上
の付着物が0.2μmの膜厚で付着することが確認され
た。つまり原料モノマ−蒸発源は加熱状態にあるので、
蒸発口からは常に原料モノマ−は蒸発しているが、真空
排気量に比べて蒸発量のほうが大きいため、シャッタ−
から漏れた原料モノマ−の一部は真空槽の壁面に付着す
るが、多くは真空槽内に残留してしまう。この残留モノ
マ−は真空槽内に搬送された基体上にも付着することが
明確になった。そこで残留モノマ−を基体上に付着させ
ないために、原料モノマ−蒸発源とシャッタ−の周囲を
覆う冷却した遮蔽板を設置することにより、シャッタ−
が閉じた状態で発生するモノマ−蒸気は遮蔽板によって
基体上への進行を遮られる。また同時に蒸発モノマ−は
冷却された遮蔽板上にトラップされ、基体上へのモノマ
−の付着を防ぐことが可能となる。このときの冷却遮蔽
板の温度は使用する原料モノマ−の融点のうち最も低い
融点以下であれば良い。
【0008】
【実施例】以下に本発明の一実施例の合成樹脂被膜の形
成方法を図面を参照しながら説明する。
【0009】図1に本実施例の合成樹脂被膜形成装置の
構成を示す。図に示すように、真空排気系1に接続され
た真空槽2内には合成樹脂被膜を形成するための基体3
が基体ホルダ−4によって下向きに保持されている。ま
た真空槽2の下部には、原料モノマ−を蒸発させるため
の蒸発源5が設けられ、ヒ−タ−(図示せず)と熱電対
(図示せず)とによって原料モノマ−の蒸発量が一定と
なるよう所定温度に制御されている。冷却遮蔽板6は蒸
発源5の周囲を覆うように設置され、真空排気系1によ
って排気される。冷却遮蔽板6と蒸発源5の間にはシャ
ッタ−7が設けられ、その開閉により基体3に形成され
る膜厚が調整される。
【0010】つぎに、上記の装置を用いた重付加反応に
よる尿素樹脂被膜の形成方法の1例を説明する。蒸発源
容器5に4、4’メチレン・ジアニリン(融点91℃、
以下MDAと記す)を、もう一方の蒸発源容器5に4、
4’ジフェニル・メタン・ジイソシアネ−ト(融点39
℃、以下MDIと記す)を充填し、シャッタ−を閉じた
状態で真空槽2内の雰囲気ガスの全圧が1×10-3Pa以
下になるまで真空排気系1により排気する。ついで蒸発
源容器5のヒ−タ−を制御して、MDAを110±1℃
に、MDIを80±1℃に加熱する。そのとき冷却遮蔽
板6は表面温度を20℃に冷却した。このときの真空槽
2内の雰囲気ガスの全圧は4×10-3Paであった。つぎ
にシャッタ−7を閉じた状態で基体3を挿入し、20分
間放置した後、基体3を取り出し基体上の付着物Aを得
た。
【0011】図2に、比較例として、冷却遮蔽板を設置
していない製膜装置の構成を示す。この装置を用いて、
その他の条件は上記の実施例の製膜設備と全く同様にし
て、基体上に付着物Bを得た。
【0012】本実施例によって得られえた付着物Aは触
針式の膜厚段差計では測定不能であった。また光学顕微
鏡観察によっても付着物の有無は確認できなかった。比
較例で得られた付着物Bの膜厚を同様に計測したところ
0.5μmであった。
【0013】さらに上記実施例および比較例で用いた合
成樹脂被膜の形成方法により保護膜層を有する薄膜コン
デサ−素子を作成し、耐湿試験(温度:60℃、湿度:
95%、時間:500h)を行った。その容量変化を図
3に、誘電損失を図4に示す示す。図からわかるよう
に、実施例の方法によって作成した素子は、試験前の特
性(容量、誘電損失、絶縁抵抗)を維持することができ
たが、比較例の方法では100hで内部電極層に腐食が
発生し、誘電損失の劣化が生じた。さらに時間が経過す
ると腐食は素子対向部まで進行しオ−プン不良が発生し
た。以上の結果より、冷却遮蔽板を設置しないと基体上
に余分なモノマ−が付着し、封止性を確保するための保
護層と基体間の付着強度が弱まり耐湿性を確保できない
ことが判明した。
【0014】以上説明したように本実施例によれば、原
料モノマ−蒸発源とシャッタ−の周囲を覆う冷却された
遮蔽板を設置することにより基体上への余分なモノマ−
の付着を低減することができる。なお本実施例では、合
成樹脂として尿素樹脂を用いた場合について説明した
が、合成樹脂としてポリイミド樹脂を用いても同様の効
果が得られた。
【0015】
【発明の効果】以上の実施例の説明からも明らかなよう
に本発明によれば、真空中で2種以上の合成樹脂原料モ
ノマ−を蒸発させ、このモノマーを基体上で重合させて
合成樹脂被膜を形成する方法において、原料モノマ−蒸
発源の周囲を覆う冷却された遮蔽板を設置した製膜装置
で合成樹脂被膜を形成することにより、基体上への余分
なモノマ−の付着を防ぐことができる優れた合成樹脂被
膜の形成方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の合成樹脂被膜の形成方法に
使用する製膜装置の構成図
【図2】従来の合成樹脂被膜の形成方法に使用する製膜
装置の構成図
【図3】本発明の実施例および比較例の薄膜コンデンサ
素子の容量の耐湿試験結果を示す図
【図4】同薄膜コンデンサ素子の誘電損失の耐湿試験結
果を示す図
【符号の説明】
1 真空排気系 2 真空槽 3 基体 4 基体ホルダ− 5 蒸発源容器 6 冷却遮蔽板 7 シャッタ−
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 飯島 正行 神奈川県茅ケ崎市萩園2500番地 日本真空 技術株式会社内 (72)発明者 高橋 善和 神奈川県茅ケ崎市萩園2500番地 日本真空 技術株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】真空中で2種以上の合成樹脂原料モノマ−
    を蒸発させ、これを基体上で重合させて樹脂被膜を形成
    する方法において、原料モノマ−蒸発源の周囲を覆う遮
    蔽板を設け、その遮蔽板を原料モノマ−の融点のうち最
    も低い温度以下に冷却する合成樹脂被膜の形成方法。
  2. 【請求項2】合成樹脂被膜がジイソシアネ−トとジアミ
    ンとの重付加反応によって形成される尿素樹脂である請
    求項1記載の合成樹脂被膜の形成方法。
  3. 【請求項3】合成樹脂被膜がジアミンと酸二無水物との
    加熱重合反応によって形成されるポリイミド樹脂である
    請求項1記載の合成樹脂被膜の形成方法。
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