JPH0598422A - イオン窒化〜セラミツクスコーテイング連続処理方法 - Google Patents

イオン窒化〜セラミツクスコーテイング連続処理方法

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JPH0598422A
JPH0598422A JP3334426A JP33442691A JPH0598422A JP H0598422 A JPH0598422 A JP H0598422A JP 3334426 A JP3334426 A JP 3334426A JP 33442691 A JP33442691 A JP 33442691A JP H0598422 A JPH0598422 A JP H0598422A
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ion nitriding
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久典 大原
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剛 吉岡
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来、鉄鋼やステンレススチール等の鉄系合
金基材に、予め前記基材に窒化処理を行った後セラミッ
クスコーティングをする際、直流印加によって真空容器
中の窒素ガスをイオン化して加熱されている被処理物に
窒素イオンを衝突させて表面を窒化させた後、直ちにセ
ラミックスコーティングを行うと、窒化により被処理物
表面に脆化物も生じるので、良質のセラミックスコーテ
ィングはできなかった。本発明はこれを改善して良質の
セラミックスコーティング材を得ようとするものであ
る。 【構成】 真空容器内で高周波電源を用いてプラズマを
発生させて発生した窒素イオンを被処理物に衝突させて
硬化層を作り、そのまま直ちにセラミックスコーティン
グ工程に入る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、セラミックス被膜と鉄
鋼やステンレススチール等の対象基材との密着性を改善
し、高度な機械的特性を発揮することが出来る部品を形
成するイオン窒化〜セラミックスコーティング連続処理
方法及びセラミックスコーティング膜構造に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】産業機
械部品や金型には、摺動特性、焼き付き摩耗特性、離型
性等の種々の特性が要求される。これらの要求に応える
為、これらの基材の成分比や焼結条件等の基材の合成条
件を変化させたり、或は、窒化、浸炭、ほう化等に代表
される表面硬化処理を基材に施す方法が試みられてい
る。しかしながら、表面硬化による基材の表面硬度はビ
ッカース硬度(Hv)で 600〜1,200 程度であり、産業機
械部品や金型が用いられる条件下では充分な硬度とは言
えず、必ずしも満足すべき効果を得るものではなかっ
た。
【0003】また、近年は、PVD(物理蒸着)やCV
D(化学蒸着)等の気相合成法により硬質のセラミック
ス被膜を基材表面に数μm被覆し、これらの長寿命化を
図る試みも行われている。しかしながら、セラミックス
コーティングをこれらに施した場合、基材とセラミック
ス被膜との熱膨張率の違いや弱い密着力の為に或は基材
自身の硬度が低い為に、膜剥離が生じる事があり、信頼
性に問題が残る。
【0004】かかる問題を解決する為に、例えば、特開
62-103368 や特開60-56061のように、予め基材表面に硬
化処理を施し、その後セラミックス被膜を被覆する方法
が考案された。これらの方法によると、基材に鉄系合金
を用いた場合、窒化処理により形成した硬化層の表面に
黒色の硬くて脆い脆化層(γ’−Fe4N,ε−Fe2-3N)が
生じるが、セラミックス被膜と基材との密着性を向上さ
せる為に次のセラミックスコーティングに先立ちこの脆
化層を研磨、研削等で除去しなければならない。従っ
て、この方法では、研磨、研削に労力がかかるとともに
コストに問題が生じる。また、複雑形状を有する産業機
械部品や金型に窒化処理を施す場合、研磨による脆化層
の除去の厚みが均一でない可能性がある。その為に、セ
ラミックス被膜と基材との密着性が部分的に異なる可能
性があり、表面処理品の信頼性に問題が生じる。
【0005】この解決方法として、例えば特開昭58-643
77号公報や特開平2-125861号公報に示されるように、同
一の真空容器内で、窒化とセラミックスコーティングを
途中で真空を破ることなく連続して行う方法が提案され
ているが、前記脆化層発生を抑制する具体的対策につい
ては何も示唆されていなかった。又、窒化と連続して基
材表面に形成するセラミックス被膜の膜材質としては、
Ti等のIVa族やV族などのVa族の炭化物、窒化物、
酸化物セラミックス及びこれらの混合物の単層或は複層
被膜が提案されているが、現実にはTi系セラミックス
のみが実用化されている。これはTi系以外のセラミッ
クスは密着強度などの品質の安定化が困難であったり、
コスト的に実現できないなどの理由による。しかしなが
ら、Ti系セラミックス被膜は約500 ℃で酸化されてT
iO2 に変化し、500 ℃以上の高温において耐摩耗性を
発揮させることは困難である。従って500 ℃以上の高温
にさらされる部品や温間、熱間鍛造用金型では、コーテ
ィングの効果が短期間で著しく低下してしまうという欠
点があった。
【0006】従って、本発明は産業機械部品や金型等に
用いられる鉄系合金に窒化処理とそれに引き続くセラミ
ックスコーティングを施す場合、密着性に優れたセラミ
ックス被膜を形成する為に、脆化層を生じる事の無い窒
化処理を行い、連続してセラミックスコーティングが可
能な処理方法を提供するものである。さらに、特に高温
下において耐熱性及び密着性に優れたセラミックスコー
ティング膜構造を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によるイオン窒化
〜セラミックスコーティング連続処理は、例えば図1〜
図4に示すような真空容器で、鉄系合金に、該合金表面
に脆化層を生じない硬化層を形成するイオン窒化処理
と、該硬化層を被覆するセラミックス被膜を形成するセ
ラミックスコーティングを該イオン窒化に引き続き連続
して処理することを特徴とする。さらに、形成されるセ
ラミックス被膜の構造は、イオン窒化処理による硬化層
を有し、さらにその上にセラミックス被膜を有する膜構
造であって、前記セラミックス被覆は複層構造又は傾斜
構造からなり、最下層部がTiの窒化物、炭化物若しく
は炭窒化物であって、最上層部がSiの窒化物、炭化物
若しくは炭窒化物又はAlの窒化物若しくは酸化物から
なることを特徴とするものである。
【0008】ここで、本発明の実施に用いる装置は、図
1,2,3,4に示すものである。なお各図とも、1は
真空容器、2は被処理物、3は電極、4は原料ガス吹き
出しノズル、5はDC電源、6はRF(高周波)電源、
7はヒーターである。まず、図1に示すものから説明す
ると、真空容器1の内側に被処理物2を設置する設置台
兼用の電極が設けられ、この電極3に対向して真空容器
1の空間に容器1を貫通して複数の吹き出し口を備える
原料ガス吹き出しノズル4が設けられる。真空容器1は
概略的にしか示していないが、外部の真空排気系とつな
がる排気孔11を備えている。また前記電極3はこれに設
置される被処理物2を加熱するヒーター7を備えてい
る。図のように、RF電源、例えば周波数が13.56MHzの
電源6の一方の端子と、これと並列に直流電源5の負側
端子が電極3に接続され、両電源の他方端子は接地さ
れ、また真空容器1の内壁も接地される。
【0009】また、図2に示す装置では、図1に示す装
置と相違して、電極3と原料ガス吹き出しノズル4との
間に金属メッシュ電極8を保持し、このメッシュ電極8
をRF電源の一方の端子と接続し、電極3にはDC電源
6のみが接続され、双方の他端子は接地される。
【0010】さらに、図3の装置は真空容器1の中心に
複数の吹き出し口を備える原料ガス吹き出しノズル4が
真空容器1を貫通して設けられ、このノズル4と同心状
に環状のヒーター7が配置され、このノズル4と環状の
ヒーター7との間に、環状の被処理物3が配置できるよ
うに、設置台兼用の電極3が配置させる。DC電源5、
およびRF電源6の装置に対する接続は図1の場合と同
じであり、真空容器1の内壁は接地される。
【0011】また、図4の装置は、その構成においては
図3のものと相違して原料ガス吹き出しノズル4と被処
理部2の配置される位置との間に円筒状の金属メッシュ
電極8を備え、DC電源5およびRF電源6の一端はそ
れぞれ電極3、金属メッシュ電極8に接続されている。
【0012】
【作用】基材表面へのコーティングによるセラミックス
被膜の避け難い課題として、基材に対する集中荷重によ
る膜剥離がある。この課題に対する解決策の一つとして
例えば窒化による基材の表面硬化がある。表面硬化を施
す事により、セラミックス被膜の密着性が改善され剥離
が低減する理由を図6を用いて説明する。図6は応力と
それに対する基材の歪の変化の関係が示されている。
今、硬度の異なる2種類の基材A,B(Aの方がBより
硬い)に同一のセラミックス被膜がコーティングされて
いるとする。これらのコーティング基材に同一の応力が
加わった場合、図6より基材Bの方が歪量が大きい。従
って、硬度の小さい基材Bにコーティングを施したセラ
ミックス被膜の方が剥離を生じ易くなる。以上説明した
ように、セラミックス被膜密着性を改善させる為には、
窒化処理に代表される硬化処理を行い基材の表面硬度を
向上させる事が重要である。このような処理は、鋼の焼
戻し温度以上で使用される金型や機械部品の硬度低下を
抑制するためにも有効である。
【0013】ところで窒化には、塩浴窒化、ガス窒化、
イオン窒化があるが、近年は、環境問題、生産性向上の
為に、イオン窒化が注目されている。前述の如く、セラ
ミックスコーティングと窒化との組合せに於いても、イ
オン窒化が採用されている例もある。しかしながら、鉄
系合金をイオン窒化によって表面硬化処理を施した場
合、基材表面の鉄と窒化処理の原料ガスである窒素とが
反応し、硬くて脆い窒化鉄を析出し易い。析出する窒化
鉄には、鉄と窒素との化合比によって、γ’−Fe4Nとε
−Fe2-3Nの2種類があるが、これらは、各々熱膨張係
数、格子定数、結晶構造が異なる。これらのγ’相とε
相が混在すると脆化層にクラックが発生し易く、その上
にセラミックス被膜を被覆するとセラミックス被膜にク
ラックが伝播し剥離の原因となるばかりかセラミックス
被膜と基材との密着力の低下にもつながる。その為に、
従来は、鉄系合金にイオン窒化を施した場合、生成した
脆化層を研磨、研削等の機械加工或はイオンボンバード
(イオンスパッタリング)等の粒子衝撃によって脆化層
を除去した後、セラミックスコーティングを行ってい
た。しかしながら、この方法によると、前述の如く、効
率、信頼性の点から問題があった。
【0014】かかる問題を解決する為に、本発明者は鋭
意研究を重ねた結果、高周波(RF)を主体とした放電
を用いて適宣にイオン窒化を行えば、脆化層を生じる事
なく鉄系合金を効率よく窒化出来る事を見出した。その
理由を以下に示す。 (脆化層生成のメカニズム)まず従来のイオン窒化方法
を図5を用いて説明する。従来のイオン窒化は、被処理
物に負の直流電圧を加え、真空容器内壁を接地して両者
間で直流(DC)電圧によるグロー放電を発生させて処
理を行う。被処理物は、DCグロー放電におけるイオン
衝撃により所定の温度まで加熱されるか(図5
(a))、或はその周囲に巻いた高周波コイルに高周波
電流を流し、誘導加熱によって加熱される(図5
(b))。
【0015】真空容器内に導入された窒化に必要なガス
(窒素ガス、水素ガス等)はDCグロー放電によってイ
オン化される。このイオン化された窒素イオンは正の電
気を帯びている為、負に帯電している被処理物に激しく
衝突する。この場合、被処理物は、窒化処理を実施して
いる間、即ちDCグロー放電を維持している間は常に負
に帯電している為、絶えず正の窒素イオンが被処理物の
表面に衝突する事になる。このようにして表面に衝突、
結合した窒素原子は被処理物表面とその内部で窒素の濃
度差により、窒化処理中の被処理物の温度(通常500
℃〜600℃)で決まる熱拡散現象を生じる。即ち、窒
素イオンの衝突により、被処理物表面近くの格子欠陥密
度が増加するが、イオン衝撃によって生じた転位の移動
方向と窒素の拡散方向が一致する為、窒素は被処理物内
部へ拡散する事になる。内部に拡散した窒素は被処理物
に含まれているCr,Al,V,Mo等と結合して硬質のこれ
らの窒化物を形成する。
【0016】しかしながら、DCグロー放電により生成
される窒素イオンの被処理物表面への供給量が被処理物
内部への拡散量よりも高すぎる時、被処理物表面での窒
素イオンの過飽和状態が起こり、被処理物表面での窒素
イオンの滞在時間が多くなる為、結果として窒素イオン
は被処理物の主成分である鉄と結合して硬くて脆い窒化
鉄を形成する事になる。特に、図5(a)においては、
被処理物の加熱をDCグロー放電によるイオン衝突に依
存しているため、窒化に必要な窒素イオンの生成と被処
理物の加熱を独立に制御することができず、結果的に脆
化層の形成を抑制することが困難である。
【0017】(脆化層の生成が抑制できる理由)次に、
本発明によるイオン窒化〜セラミックスコーティング連
続処理のイオン窒化の手法について説明する。図1は、
被処理物1に周波数f=13.56MHzの高周波電力を主とし
て加え、接地した真空容器内壁2との間で高周波グロー
放電を発生させた場合を示す。この場合、被処理物1は
交番電流の為に交互に陽極と陰極になるが、プラズマ中
の窒素イオンと電子の移動度の相違によって高周波を加
えた電極3には数十〜数百Vの自己バイアス(SELFBIA
S)が加わる(図7)。高周波電極3に設置した被処理
物1が負の電位にある時は、窒素イオンが被処理物表面
に衝突するが、次の瞬間、被処理物1が正の電位に換わ
ると、被処理物表面に衝突した窒素イオンが表面に吸着
し表面の鉄原子と結合する前に一部の窒素イオンは対向
電極である真空容器内壁2に引き寄せられる。
【0018】この様に、高周波放電を用いて窒化を行っ
た場合、前述の直流放電の場合とは異なり、常に窒素イ
オンが被処理物表面に供給される事が無い。即ち、被処
理物表面の窒素イオン濃度が過飽和になる確率が少ない
為に脆化層が生じ難くなる。また、高周波放電により被
処理物1はパルス的に窒素イオンによって衝撃を受ける
為、連続的に衝撃を受ける直流(DC)放電の場合より
も被処理物内に転位を生じ易い。転位生成密度が大きい
ほど窒素は内部に拡散し易い為に、結果として少ない窒
素イオン密度でも効率よく被処理物1を窒化する事がで
きる。
【0019】(イオン窒化処理の諸条件)このイオン窒
化処理を施すにあたり、真空容器内の圧力は 0.1〜8To
rrに保持する事が望ましい。イオン窒化処理時の真空容
器内の圧力が0.1Torr よりも高真空度を有する時は、窒
化に必要な窒素イオン濃度が低いため、窒化効果が低減
される。また、イオン窒化処理時の真空容器内の圧力が
8Torrよりも低真空度を有する時は、プラズマによる電
子温度が低くなり、効率よく窒化する事が困難となる。
【0020】さらに、このイオン窒化処理時のプラズマ
密度は 0.2〜5W/cm2 の範囲内である事が望ましい。
プラズマ密度が 0.2W/cm2 以下である場合は窒化に必
要な窒素イオンが十分に励起されない為、効率的に窒化
されない。また、プラズマ密度が5W/cm2 以上である
時、鋼等の被処理物表面に脱炭現象が生じる為、引き続
き行うセラミックスコーティングに好ましくない影響を
及ぼす事がある。
【0021】本発明によるイオン窒化〜セラミックスコ
ーティング連続処理のうち、セラミックスコーティング
に先立つイオン窒化は、真空内の圧力が 0.1Torr〜8To
rrと比較的高い為に、プラズマCVD法によるセラミッ
クスコーティングと組み合わされる事が多いが、PVD
法との組合せも可能であることは言うまでもない。即
ち、PVD法との組合せに於いては、イオン窒化を前記
の如く 0.1Torr〜8Torrで実施した後、拡散ポンプ等で
真空容器内をPVD処理に必要な所定圧力にまで排気、
保持し、H2或はAr等で被処理物をスパッタした後、引き
続きセラミックスコーティングを行えばよい。
【0022】(別態様の処理装置について)図2は、R
F出力を被処理物1と真空容器内壁2の間に設置した金
属製メッシュ8に、DC出力を被処理1に加えてイオン
窒化を行う場合を示す。この場合は、RF出力によって
メッシュ8に生じる自己バイアスと被処理物1に加える
DC出力との大小により、図1と同様にパルス的に窒素
イオンが被処理物1に衝突し、効率よく窒化される。
又、被処理物の加熱をヒーター7により行うため、窒化
に必要な窒素イオンの生成と被処理物の加熱を独立に制
御することが可能であり、脆化層生成を抑制することが
容易である。尚、図3、図4は、図1、図2の原理に従
い、筒状内部への窒化処理に適用したものである。
【0023】(イオン窒化処理に関するまとめ)以上、
説明したように、本発明によるイオン窒化〜セラミック
スコーティング連続処理のうち、セラミックスコーティ
ングに先立つイオン窒化に於て脆化層が生じない為、イ
オン窒化後の脆化層除去行程は一切不要である。従っ
て、イオン窒化後直ちに連続してセラミックスコーティ
ングを行う事ができるため、セラミックス被膜と被処理
物表面との間に吸着不純物を介さずに被覆でき、従来見
られたような窒化層と被覆との密着性低下を防ぐことが
できる。また、その為に、被処理物が高温に曝される時
間が最小限に留まる上、幾度も熱履歴を与えなくてよ
い。従って、熱に対する被処理物の歪、変形等の問題が
解消される。さらに、脆化層が存在しない為に、セラミ
ックス被膜が被処理物表面に不純物を介さずに被覆され
る為に密着性良くコーティングされる。
【0024】(イオン窒化に引き続くセラミックスコー
ティングについて)一方、セラミックスコーティング
は、例えばTiN等による単層の被膜でもよいが、前記
のように複層構造又は傾斜構造の膜を形成することが好
ましい。この場合、最下層部がTiの窒化物、炭化物若
しくは炭窒化物であって、最上層部がSiの窒化物、炭
化物若しくは炭窒化物又はAlの窒化物若しくは酸化物
からなる膜構造とすれば、密着性、耐熱性の点で優れた
ものが得られる。
【0025】(複層或は傾斜構造のセラミックス被膜)
複層構造の被膜を形成するには、例えばプラズマCVD
法により、容易に実現できる。形成されるセラミックス
被膜とその原料ガスの組み合わせ例を挙げると次のよう
なものがある。 TiNの場合、原料ガスにTiCl4 とNH3 あるい
はN2 を供給する。 TiCNの場合は、に加えCH4 あるいはC22
を供給する。 AlNの場合は、AlCl3 とNH3 あるいはN2
供給する。 Al23 の場合は、AlCl3 とCO2 を供給す
る。 Si34 の場合は、SiCl4 とNH3 あるいはN
2 を供給する。 SiCの場合は、SiCl4 とCH4 あるいはC2
2 を供給する。 このような組み合わせの原料ガスを、順次切り替えて流
すことで複層構造のセラミックス被膜が形成できる。
【0026】複層構造の具体例としては、(表面側)A
23 /TiN(基材側)、Al23 /TiC、A
23 /TiCN/TiN、Al23 /TiCN/
TiC、Al23 /TiN/TiCN/TiN、Al
23 /TiAlN/TiN、Al23 /TiAlC
/TiC、Al23 /TiAlON/TiN、AlN
/TiAlN/TiN、AlN/SiAlN/TiAl
N/TiN、SiC/SiCN/TiN、SiC/Ti
C、SiC/TiCN/TiN、Si34 /TiN、
Si34 /TiCN/TiC等がある。又、これらの
構造をいくつか組み合わせた構造でもよい。
【0027】一方、傾斜構造を有するセラミックス被膜
は、複層構造の被膜同様にプラズマCVD法により容易
に形成することができる。この場合セラミックス被膜の
形成に必要な複数組の原料ガスを漸減あるいは漸増させ
ることで行う。例えば、TiNからAl23 への傾斜
組成においては、所定厚みのTiN形成後にTiN形成
に必要な原料ガス(TiCl4 +NH3 +H2 )を徐々
に減らしながら、Al23 の形成に必要な原料ガス
(AlCl3 +CO2+H2 )を徐々に増やすことで、
(表面側)Al23 /TiN+Al23 混合・傾斜
組成/TiN(基材側)という膜構造を実現できる。
【0028】このような混合膜構造は、従来の熱CVD
では実現できなかった。これは、熱CVD法が熱平衡反
応であり、Ti系とAl系のような異なる化学反応を同
時に進行させることが困難であること、及び基材表面で
の核生成密度が制御できないために、コーティングでき
る基材と被膜の組み合わせが限られていたことなどの原
因による。一方、プラズマCVD法は、非熱平衡反応で
あるため、異なる化学反応を同時に進行させることが可
能であり、又コーティング中の荷電粒子の衝撃によって
核生成が促進されるため、あらゆる基材上に均一に被膜
を形成できるというメリットをもつ。即ち、プラズマC
VD法によって、初めて自由に膜構造、膜組成の制御が
可能になった。
【0029】(セラミックス被膜の形成方法)上記のよ
うな複層或は傾斜構造のセラミックス被膜は、イオンプ
レーティング等のPVD法による形成も可能であるが、
以下に述べる理由からプラズマCVD法を用いることが
好ましい。前記の複層或は傾斜構造のセラミックスコー
ティングを行うには、被膜の主な構成成分としてTi、
Al、Siの3種類の金属元素が同時に或は引き続いて
必要であるため、通常のPVD法では各原料金属に対応
する金属蒸発源を一つの装置内部に設置する必要があ
る。又、TiN+Al23 等の複合セラミックス層を
形成するには、所定の混合比の金属(合金)蒸発源が必
要になる。原理的には複数の蒸発源を備えることは可能
であるが、現実的には装置内部に設置できる蒸発源の数
は限られ、任意組成の金属供給は困難である。
【0030】この点、金属元素の供給をガスで行うプラ
ズマCVD法であれば、使用するガスを切り替えたり適
宜混合することで任意組成の金属元素の供給が可能であ
るため、装置が必要異常に複雑になることがない。又、
表面層に絶縁層を形成するときにも、高周波を用いたプ
ラズマCVD法とすることで、複雑な電極構造が不要と
なる。以上の2つの理由から本発明におけるセラミック
スコーティングを行うにはプラズマCVD法によること
が好ましい。
【0031】(セラミックスコーティング処理に関する
まとめ)以上説明したようなセラミックスコーティング
をイオン窒化処理に引き続いて行うことで、Ti系セラ
ミックスよりも耐酸化性に優れ、高温強度の高いSi系
あるいはAl系セラミックス被膜を密着性よくコーティ
ングすることができる。従って、500℃以上の温度下
でも使用可能なセラミックスコーティング部品或は金型
が実現できる。特に、熱伝導率がTiN等に比べて低い
Alの酸化物被膜を最表面に形成すると、ヒートショッ
クを受けるような温間・熱間金型やアルミニウムダイキ
ャスト金型及び鋳抜きピンにおいて、母材への熱伝導を
抑える効果が得られるために、金型或はピンの寿命向上
に効果的である。尚、セラミックス被膜が複層構造であ
り、さらに中間層を設ける場合は、セラミックス被膜の
熱応力、熱膨張係数、格子定数あるいは隣接するセラミ
ックス被膜同志の馴染みを考慮して傾斜組成などの構造
を設計すればよい。
【0032】
【実施例】
(実施例1)本発明によるイオン窒化〜セラミックスコ
ーティング連続処理の実施例を以下に説明する。鉄系合
金としてSKH51,SKD61,SKD8,SUS304 ,
SCM645 を選択し、これらの部品に図1に示す真空容
器を用いてプラズマCVD法により本発明によるイオン
窒化〜セラミックスコーティング連続処理を施した。セ
ラミックス材質は耐摩耗性材料として広く用いられてい
る窒化チタン(TiN )をコーティングした。
【0033】これらの部品を真空容器内に具備されてい
るRF電極3に設置した後、真空容器内2を排気系ポン
プ(不図示)により 0.003〜0.05Torrに減圧させた。H2
を流しながらヒーター3により 500℃にまでこれらの部
品を加熱させた後、H2とArの混合ガスをガス吹き出しノ
ズル4により真空容器内に供給すると同時にDC電源5
より部品にDC出力を加え、部品の表面を10分〜30分ス
パッタクリーニングした。クリーニング終了後、Arガス
の供給を中止すると共にN2ガスを加え、N2とH2の混合ガ
スを真空容器内に供給し、真空容器内を0.2Torr に保っ
た。N2とH2の混合比は1:1である。N2とH2の混合ガス
を真空容器内に供給すると同時にDC出力供給を中止
し、RF電源より部品にRF出力を供給した。RF出力
は1000Wである。
【0034】イオン窒化を開始してから1時間後、N2
スの供給を中止すると同時にTiN コーティングに必要な
原料ガス(TiCl4, NH3,H2,Ar)を所定量ガス吹き出
しノズルより供給し、真空容器内を0.4Torr に保った。
また、RF出力を1000Wから1500Wに増加させた。さら
に、−100 VのDC出力を部品に供給した。この状態で
1時間TiN コーティングを行った後、RF、DC出力の
供給を中止すると共にH2以外の全てのガス供給を中止し
冷却を行った。このようにして、膜厚約2μmのTiN 膜
をコーティングした。また、比較材として、SKH51に
次の3種類の処理を施した部品を用いた。 従来のイオン窒化を行った後連続してTiN 膜をコーテ
ィングした部品、 従来のイオン窒化を行った後に表面から数μm〜十数
μm研磨し、その上にTiN 膜をコーティングした部品、 イオン窒化を施さずにTiN 膜をコーティングした部
品。 TiN 膜の膜厚はいずれも約2μmである。
【0035】これらの処理を行った部品の評価の比較を
以下に示す。評価項目としては、部品の硬度分布、断面
プロフィール及び元素分布、被覆したTiN 膜のX線解析
と密着度である。 (部品の硬度分布、断面プロフィール及び元素分析結
果)まず、本発明によるイオン窒化〜セラミックスコー
ティング連続処理を行った部品の硬度分布曲線、断面プ
ロフィールを図8と図9に示す。また、本発明による連
続処理を施したSKH51の断面方向のEPMAの結果を
図10に示す。これら一連の評価結果より、本発明の連続
処理により部品の表面から内部へ数十μmに亘り窒素が
拡散しており、この為に部品基材の硬度が向上している
事が分かる。
【0036】(X線解析結果)次に、本発明による連続
処理を実施したTiN膜と前記3種類の比較材のX線解析
結果を図11及び図12に示す。(a)は本発明によるイオ
ン窒化〜TiN コーティング連続処理の結果を示し、
(b)は従来のイオン窒化+TiN コーティングの結果を
示し、(c)は従来のイオン窒化+研磨+TiN コーティ
ングの結果を示し、(d)はTiN コーティングのみの結
果を示す。TiN 膜の回折パターンはいずれも(200 )に
配向している。また、従来のイオン窒化とTiN コーティ
ングの連続処理を行った部品(b)のみ、TiN 膜の回折
パターン以外にTiN 膜が薄い為に部品基材表面に生じて
いる脆化層(γ’−Fe4N,ε−Fe2-3N)の回折パターン
が認められる。
【0037】(密着力測定結果)本発明による連続処理
を施したTiN 膜と比較材の密着力測定結果を以下に示
す。密着力の測定は、定荷重型スクラッチテスター及び
連続荷重型アコースティックエミッション(A.E)ス
クラッチテスターを用いて評価した。A.Eスクラッチ
テスターによる評価チャート及び定荷重型スクラッチ試
験後の各部品の膜剥離状態を各々図13、図14及び図15に
示す。図14、図15はダイヤモンド針に荷重をかけて各膜
構造を引掻いた後の引掻き傷の状態を示す拡大写真であ
る。(a)は本発明によるイオン窒化+TiN コーティン
グ連続処理、(b)は従来のイオン窒化+TiN コーティ
ング、(c)は従来のイオン窒化+研磨+TiNコーティ
ング、(d)はTiN コーティングによるものを示す。こ
れらのスクラッチテスターによる測定結果をまとめて表
1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】以上より、従来のイオン窒化を施した場
合、基材の表面に硬くて脆い脆化層が生じる為に、その
上に被覆したTiN 膜には外部からの荷重により大きな歪
が加わる。その結果、低荷重でも剥離が生じると考えら
れる。また、本発明による連続処理によると、イオン窒
化による表面硬化処理を施さずに基材に直接TiN 膜をコ
ーティングした場合よりも密着性が向上する事が確認さ
れた。さらに、本発明による連続処理によると、従来の
イオン窒化を行った後に脆化層を除去し、TiN 膜をコー
ティングした場合と同等の密着力が得られる事が明らか
になった。本実施例はイオン窒化後のTiN コーティング
をプラズマCVD法により行ったが、イオンプレーティ
ングに代表されるPVDによっても実施することができ
る。
【0040】(実施例2)次に、基材として直径80m
m、厚さ30mmのSKH製の部品に、以下の処理を行
い、後に述べる熱疲労試験を行った。 ケース1:図1に示す真空容器を用いて本発明による
イオン窒化及び(表面側)Al23 /TiN(基材
側)からなる複層構造のセラミックスコーティングを施
した。その断面写真を図16に示す。イオン窒化及びコー
ティングの条件は前記実施例1と同様である。原料ガス
は、TiN用としてTiCl4 、NH3 、H2 、Arを
用い、Al23 用としてAlCl3 、CO2、H2
Arを用いた。基材表面にイオン窒化を行った後、30
分間TiNコーティングを行い、次に30分間Al2
3 コーティングを行って、約2μm厚のAl23 /T
iN膜を形成した。各層の膜厚はそれぞれ1μmであ
る。 ケース2:イオン窒化とTiNコーティングを連続し
て処理したもの(実施例1と同様の処理)。 ケース3:従来のイオン窒化を施した後、脆化層を除
去せずにTiN膜をコーティングしたもの。 ケース4:イオン窒化をせず、TiN膜のみコーティ
ングしたもの。
【0041】(熱疲労試験)上記の各処理品を580℃
に保持した熱源に60秒接触させた後、水噴流にて室温
まで急冷させる操作を繰り返した。そして一定の繰り返
し回数を経た後、基材表面のヒートクラックと膜剥離な
どの表面状態を走査型電子顕微鏡で観察することにより
評価を行った。その結果を表2に示す。
【0042】
【表2】
【0043】これらの結果より、イオン窒化とTiN膜
コーティングの連続処理品(ケース2)はTiN膜のみ
のコーティング品(ケース4)に比べ耐熱疲労特性は極
めて優れているが、Al23 を最表面に有する複層構
造の被膜とすることで、耐熱疲労特性を更に大幅に向上
できることが確認された。
【0044】(実施例3)次に、外径120mm、内径
60mm、長さ100mmのSKD61よりなる自動車
部品の温間鍛造用ダイの内面に以下の処理を施し、その
耐久性を比較した。 ケース1:本発明によるイオン窒化と(表面側)Si
34/TiCN/TiN(基材側)の複層構造のセラ
ミックスコーティングを連続して施した。 ケース2:イオン窒化とTiNコーティングを連続し
て処理したもの。 ケース3:従来のイオン窒化を施した後、脆化層を除
去せずにSi34 /TiCN/TiN膜をコーティン
グしたもの。 ケース4:イオン窒化をせず、TiN膜のみコーティ
ングしたもの。
【0045】イオン窒化及びセラミックスコーティング
はいずれも図3に示すような装置により行った。イオン
窒化の処理条件は実施例1と同様で(イオン窒化処理に
よる基材の硬度分布及び元素分布も実施例1と同様)、
又セラミックスコーティングの条件は次のものとした。 原料ガス : Si34 用としてSiCl4 、NH
3 、H2 、Arを、TiCN用としてTiCl4 、NH
3 、CH4 、H2 、ArをTiN用としてTiCl4
NH3 、H2 、Arを用いた。 処理温度 : いずれも550℃とした。 膜厚 : いずれも総膜厚が3μmとなるようにし
た。
【0046】このように処理した各ダイを用いて自動車
部品の温間鍛造を行って、ダイの寿命(ショット回数)
を比較した。鍛造時にはダイの表面は600から700
℃に加熱される。その比較結果を表3に示す。
【0047】
【表3】
【0048】同表に示すように、イオン窒化処理を行
い、さらにSi34 を最表面にコーティングする連続
処理により、ダイの寿命は飛躍的に向上することが確認
された。尚、本実施例が、図4に示す装置を用いても同
様に処理できることはいうまでもない。
【0049】(実施例4)さらに、基材にステンレスス
チール(SUS304)を用いてイオン窒化をした後、
(表面側)Al23 /TiN(基材側)からなる複層
構造の被膜を形成した例を示す。処理手順を以下に述べ
る。ステンレススチール製の基材を図1に示すような真
空容器内に設置し、真空排気後500℃まで加熱した。
次に真空容器内の圧力を0.3Torrに保持してN2
とH2 を2:1の割合で供給しながら基材に800Wの
高周波電力を加えて1.5時間の窒化処理を行った。こ
の窒化処理に引き続きN2 とH2 の代わりにTiCl4
とNH3 を供給し、基材に−500Vの直流電圧を加え
て約1μm厚のTiN膜を形成した。その後、AlCl
3 とCO2 を供給して、前記TiN膜の上に約1μm厚
のAl23 を形成した。
【0050】これらの連続処理による複層被膜の元素分
布をAES、ESCAで評価したところ、基材表面から
約100μmにわたり窒素が浸透していることがわかっ
た。又、TiN膜と基材の界面には何等不純物元素が認
められなかった。これらの結果より、ステンレススチー
ルの基材表面層に窒素が拡散浸透し、又セラミックス被
膜は窒化された下地層と強固に密着していることが確認
された。
【0051】(摺動試験)前記処理を施したステンレス
スチール(試験材1)、窒化処理のみを施したステンレ
ススチール(試験材2)及び未処理のステンレススチー
ル(試験材3)について摺動試験を行いその結果を比較
した。試験方法は、Al23 製の直径5mmのボール
を試験材表面に500gfの力で押しつけ、無潤滑状態
にて30mmの距離を往復摺動させ、所定回数摺動後の
試験材の重量減少で評価した。その結果、試験材1が4
00回の摺動試験後約0.03gの重量減少であったの
に対し、同じく400回の摺動試験において、試験材2
は0.1g減少し、試験材3に至っては僅か50回の摺
動で0.03g減少し、400回の摺動では試験材1の
20倍もの重量減少が見られた。これらの実験結果よ
り、本発明によるイオン窒化〜セラミックスコーティン
グ連続処理はステンレススチールの耐摩耗性向上に非常
に有効であることが確認された。
【0052】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に依れば、
イオン窒化による表面硬化処理の後に研磨を行う事なく
連続してセラミックスコーティングを施す事が可能であ
ると共に、イオン窒化を行わずにコーティングのみを実
施した場合よりも被膜の密着性が大幅に改善できる。さ
らに、セラミックス被膜の最下層部をTi系被膜とし、
最上層部を耐熱性、耐酸化性、高温強度等に優れたAl
23 、SiC、Si34 等からなる複層構造或は傾
斜構造の被膜とすることで、高度な耐摩耗性、耐熱性等
が要求される機械部品、金型などの寿命を著しく向上さ
せることができる。従って、高度な耐摩耗性等の機械的
特性が要求される産業機械部品、金型等に有効利用され
ることが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるイオン窒化〜セラミックスコーテ
ィング連続処理実施用装置の概略図を示す。
【図2】本発明によるイオン窒化〜セラミックスコーテ
ィング連続処理実施用の図1とは別の装置の概略図を示
す。
【図3】本発明によるイオン窒化〜セラミックスコーテ
ィング連続処理実施用の図1,2と別の装置の概略図を
示す。
【図4】本発明によるイオン窒化〜セラミックスコーテ
ィング連続処理実施用の図1,2,3と別の装置の概略
図を示す。
【図5】従来のイオン窒化〜セラミックスコーティング
連続処理装置を概略図で示す。
【図6】膜剥離に及ぼす基材硬さの影響説明図示す。
【図7】自己バイアス発生説明図を示す。
【図8】本発明によるイオン窒化〜TiN コーティング連
続処理を施した部品の断面方向の硬度分布を示す。
【図9】本発明によるイオン窒化〜TiN コーティング連
続処理を施した部品の断面写真で、TiNコーティング
面を対向させて見たものである。
【図10】本発明によるイオン窒化〜TiN コーティング連
続処理を施した部品の断面方向のEPMA結果を示す。
【図11】本発明によるイオン窒化〜TiN コーティング連
続処理によるもの及び比較例のTiN コーティング膜のX
線解析結果を示す。(a)本発明によるイオン窒化〜Ti
N コーティング連続処理、(b)従来のイオン窒化+Ti
N コーティング。
【図12】比較例のTiN コーティング膜のX線解析結果を
示す。(c)従来のイオン窒化+研磨+TiN コーティン
グ、(d)TiNコーティング。
【図13】本発明によるイオン窒化〜TiN コーティング連
続処理によるもの及び比較例のA,Eスクラッチテスタ
ー測定結果を示す。(a)本発明によるイオン窒化〜Ti
N コーティング連続処理、(b)従来のイオン窒化+Ti
N コーティング、(c)従来のイオン窒化+研磨+TiN
コーティング、(d)TiN コーティング。
【図14】本発明によるイオン窒化〜TiN コーティング連
続処理によるもの及び比較例のTiN コーティング膜の定
荷重型スクラッチテスター測定後の膜剥離状態を示す写
真。(a)本発明によるイオン窒化〜TiN コーティン
グ、(b)従来のイオン窒化+TiN コーティング。
【図15】比較例のTiN コーティング膜の定荷重型スクラ
ッチテスター測定後の膜剥離状態を示す写真。(c)従
来のイオン窒化+研磨+TiNコーティング、(d)TiNコ
ーティング。
【図16】本発明によるイオン窒化〜TiN〜Al23
コーティング連続処理を施した部品の断面写真。
【符号の説明】
1 真空容器 2 被処理物 3 電極 4 ガス吹き出しノズル 5 DC電源 6 RF電源 7 ヒーター 8 メッシュ電極 9 誘導加熱コイル 10 高周波電源
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年9月30日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図9
【補正方法】変更
【補正内容】
【図9】本発明によるイオン窒化〜TiNコーティング
連続処理を施した部品の断面金属組織写真で、TiNコ
ーティング面を対向させて示したものである。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図14
【補正方法】変更
【補正内容】
【図14】本発明によるイオン窒化〜TiNコーティン
グ連続処理によるもの及び比較例のTiNコーティング
膜の定荷重型スクラッチテスター測定後の膜剥離状態を
示す金属組織写真で、(a)は本発明イオン窒化〜Ti
Nコーティング、(b)は従来のイオン窒化+TiNコ
ーティングを施したものである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図15
【補正方法】変更
【補正内容】
【図15】比較例のTiNコーティング膜の定荷重型ス
クラッチテスター測定後の膜剥離状態を示す金属組織写
真で、(c)は従来のイオン窒化+研磨+TiNコーテ
ィング、(d)はTiNコーティングを施したものであ
る。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図16
【補正方法】変更
【補正内容】
【図16】本発明によるイオン窒化〜TiN〜Al
コーティング連続処理を施した部品の金属組織断面写
真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川合 弘 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住友 電気工業株式会社伊丹製作所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄鋼やステンレススチール等の鉄系合金
    基材に、該基材表面に脆化層を生じない硬化層を形成す
    るイオン窒化処理と、該硬化層を被覆するセラミックス
    被膜を形成するセラミックスコーティングを該イオン窒
    化に引き続き連続して処理する事を特徴とするイオン窒
    化〜セラミックスコーティング連続処理方法。
  2. 【請求項2】 イオン窒化処理による硬化層が、イオン
    窒化処理後に脆化層除去を一切必要としないイオン窒化
    処理で形成された層とすることを特徴とする請求項1の
    イオン窒化〜セラミックスコーティング連続処理方法。
  3. 【請求項3】 イオン窒化処理において、放電の発生に
    高周波を主体として用いることを特徴とする請求項1又
    は2記載のイオン窒化〜セラミックスコーティング連続
    処理方法。
  4. 【請求項4】 イオン窒化処理による硬化層に施すセラ
    ミックスコーティングにプラズマCVD法或はPVD法
    を用いることを特徴とする請求項1又は2記載のイオン
    窒化〜セラミックスコーティング連続処理方法。
  5. 【請求項5】 基材の上にイオン窒化処理による硬化層
    を有し、さらにその上にセラミックス被膜を有する膜構
    造であって、前記セラミックス被覆は複層構造又は傾斜
    構造からなり、最下層部がTiの窒化物、炭化物若しく
    は炭窒化物であって、最上層部がSiの窒化物、炭化物
    若しくは炭窒化物又はAlの窒化物若しくは酸化物から
    なることを特徴とするセラミックスコーティング膜構
    造。
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