JP3314812B2 - グロー放電を利用した金属表面のイオン窒化方法 - Google Patents

グロー放電を利用した金属表面のイオン窒化方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、グロー放電を利用した
イオン窒化による鉄鋼やステンレススチール等の金属部
材の表面硬化法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、金属部材の表面を硬化する方法と
して窒化が多く用いられて来た。近年は、イオン工学的
処理方法として原料ガスをプラズマによりイオン化させ
て窒化を行うイオン窒化法も用いられるようになった。
このプラズマを用いた表面硬化処理法は、基本的には図
5に示すような装置において、数Torrの窒素含有ガ
スを真空容器内1に導入し、被処理物2の周囲に巻いた
誘導加熱用高周波コイル9に高周波電流を通じると同時
に真空容器1と被処理物2との間に直流電圧を印加する
事によりグロー放電を発生させて、ガス雰囲気中の窒素
イオンを被処理物2の表面に衝突させ被処理物2を加熱
するとともに被処理物表面の結晶粒界を通して窒素を侵
入させ或は反応させて表面硬化層を形成するものであ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このようにイオンを用
いた方法では、被処理物表面に衝突する窒素イオンは分
子、原子状態に比べ、衝突エネルギーが1000〜5000倍も
高い為、塩浴窒化、ガス窒化よりも効率よく表面硬化が
出来る利点を有している。しかしながら、このような処
理方法では通常被処理物表面に、数μm〜数十μmの硬
くて脆い脆化層(γ−FeN,ε−Fe2−3N)が生じ
る。通常、これらの脆化層は混在して被処理物表面に形
成されるが、各々、結晶構造、格子定数、熱膨張係数が
異なる。その為に、耐摩耗性、耐衝撃性を必要とする金
属部材、例えば金型や機械部品等に窒化処理を施した場
合、衝撃荷重が加わるとクラックが生じやすくなり、被
処理物の寿命低下につながる。また、これらの脆化層が
存在すると、被処理物の耐食性が劣化する傾向にある。
その為に、従来の窒化処理では、窒化処理を行った後、
最表面に生じる脆化層を研磨により除去して使用する。
即ち、窒化により表面硬化を実施した後は必ず研磨処理
を行う必要性があり、労力、コストに問題が残る。ま
た、複雑形状を有する金型、機械部品等に窒化処理を施
す場合、研磨が均一に行われない可能性があり、窒化処
理品の信頼性、安全性が問題となる。脆化層を生じさせ
ないようにする為に、従来は、窒素ガスの分率や直流電
圧を低減させたり、窒化処理後、H或はArで被処理物
表面をスパッタし、脆化層を除去する方法もあるが、こ
れらの場合は、窒化速度が減少したり、1行程の処理時
間が長くなる為、効率が悪くなるという問題を持つ。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を
解決する為に、脆化層を生じる事なく複雑な形状を有す
る被処理物に対しても容易に効率よく窒化による表面硬
化が行える方法を提供するものである。
【0005】ここで、まず本発明の実施を図1,2,
3,4に示す装置を用いて説明する。なお各図とも、1
は真空容器、2は被処理物、3は電極、4は原料ガス吹
き出しノズル、5はDC電源、6はRF電源、7はヒー
ターである。図1に示すように、真空容器1の内側に被
処理物2を設置する設置台兼用の電極が設けられ、この
電極3に対向して真空容器1の空間に容器1を貫通して
複数の吹き出し口を備える原料ガス吹き出しノズル4が
設けられる。真空容器1は概略的にしか示していない
が、外部の真空排気系とつながる排気孔10を備えてい
る。また前記電極3はこれに設置される被処理物2を加
熱するヒーター7を備えている。図のように、RF電
源、例えば周波数が13.56MHzの電源6の一方の
端子と、これと並列に直流電源5の負側端子が電極3に
接続され、両電源の他方端子は接地され、また真空容器
1の内壁も接地される。また、図2に示す装置では、図
1に示す装置と相違して、電極3と原料ガス吹き出しノ
ズル4との間に金属メッシュ電極8を保持し、このメッ
シュ電極8をRF電源の一方の端子と接続し、電極3に
はDC電源6のみが接続され、双方の他端子は接地され
る。さらに、図3の装置は真空容器1の中心に複数の吹
き出し口を備える原料ガス吹き出しノズル4が真空容器
1を貫通して設けられ、このノズル4と同心状に環状の
ヒーター7が配置され、このノズル4と環状のヒーター
7との間に、環状の被処理物3が配置できるように、設
置台兼用の電極3が配置される。DC電源5、およびR
F電源6の装置に対する接続は図1の場合と同じであ
り、真空容器1の内壁は接地される。また、図4の装置
は、その構成においては図3のものと相違して原料ガス
吹き出しノズル4と被処理物2の配置される位置との間
に円筒状の金属メッシュ電極8を備え、DC電源5およ
びRF電源6の一端はそれぞれ電極3、金属メッシュ電
極8に接続されている。
【0006】
【作用】図5に示す従来の装置およびこの装置による処
理方法では、被処理物2に負の電圧を加え、真空容器1
の内壁を接地して、容器内を減圧し、両者間でグロー放
電を発生させて処理を行っている。この際真空容器1に
導入された窒素ガス、水素等はグロー放電によりイオン
化される。このイオン化された窒素イオンは正の電気を
帯びている為、負に帯電している被処理物に激しく衝突
する。この場合、被処理物は窒化処理を実施している
間、即ちグロー放電を維持している間は常に負に帯電し
ている為、絶えず正の窒素イオンが被処理物の表面に衝
突する事になり、被処理物表面の鉄原子はこの窒素イオ
ンと結合し窒化鉄として析出する。また、被処理物に衝
突した窒素イオンにより、表面近くの格子欠陥密度が増
加するが、イオン衝撃によって生じた転位の移動方向と
窒素の拡散方向が一致する為、窒素は被処理物内部へ拡
散することになる。内部へ拡散した窒素は被処理物中に
含まれるCr,V,Mo,Al等と結合して硬度の高い
これらの窒化物を形成する。その結果、被処理物の硬度
は高くなる。しかしながら、グロー放電により生成され
る窒素イオンの被処理物表面への供給量が、被処理物内
部への拡散量よりも高すぎる時、被処理物表面での窒素
イオンの過飽和状態が起こり、被処理物表面での窒素イ
オンの滞在時間が多くなる為、結果として被処理物の主
成分である鉄と結合し硬くて脆い窒化鉄を形成すること
になる。
【0007】一方、本発明による窒化処理の原理を記
す。図1,2は高周波電極と対向電極が平行して設置さ
れている容量結合型RF放電真空容器である。図1の装
置で被処理物に周波数f=13.56MHzの高周波を
加え、接地した真空容器内壁との間でグロー放電を発生
させる場合、被処理物は交番電圧の為に交互に陽極と陰
極になるが、プラズマ中の窒素イオンと電子の移動度の
差により高周波を加えた電極には数十〜数百Vの自己バ
イアス(SELF BIAS)が加わる。高周波電極側
に設置した被処理物が負の電位にある時は、窒素イオン
が被処理物表面に衝突するが、次の瞬間、被処理物が正
の電位に換わると、被処理物表面に衝突した窒素イオン
が表面に吸着し表面の鉄原子と結合する前に一部の窒素
イオンは対向電極である真空容器内壁側に引き寄せられ
る。この様に、高周波放電を用いて窒化を行った場合、
前述の直流放電の場合とは異なり、常に窒素イオンが被
処理物表面に供給される事がない。即ち、被処理物表面
の窒素イオン濃度が過飽和になる確率が少ない為、脆化
層が生じ難くなる。また、高周波放電により被処理物表
面はパルス的に窒素イオンによって衝撃を受ける為、連
続的に衝撃を受ける直流放電の場合よりも被処理物内に
転位を生じ易い。前述の如く、転位生成密度が大きいほ
ど、窒素は内部に拡散し易くなる為に結果として少ない
窒素イオン密度でも効率よく被処理物を窒化出来る。こ
の場合、プラズマ密度が、5W/cmよりも高くなる
と、被処理物表面が炭素を含む鋼である場合は脱炭現象
が生じ脆くなる。また、被処理物表面に肌荒れが生じ外
観を損ねる。また、プラズマ密度が0.1W/cm
りも低い場合は、プラズマによる被処理物表面近傍の転
位生成密度が小さくなる為に、窒素は被処理物内部にま
で拡散し難くなる。また、図2ではRF出力をメッシュ
電極8に、DC出力を被処理物に加えて窒化を行う場合
を示す。この場合は、RF出力によってメッシュに生じ
る自己バイアスと被処理物に加えるDC出力との大小に
より、前述の様に被処理物にパルス的に窒化イオンが衝
突し効率的に窒化される。以上、述べた窒化処理は0.
2〜5Torrの圧力範囲内で施行される。容器内圧力
が0.1Torrりも高真空の場合は、プラズマ中の窒
素イオンの密度が低い為、窒化が生じにくい。また5T
orrよりも低真空の場合はプラズマ中の電子温度が低
くなる為、窒化が生じにくくなる。そして図3、図4に
示す装置においても、窒化処理中、それぞれ図1、図2
について説明した作用と同様な作用を生ずる。これらの
装置は被処理物の硬化対象面の形状に従って適宣選択し
て用いられる。以下本発明による実施例を示す。
【0008】
【実施例1】本発明による窒化方法により冷間加工用金
型(直径80mm、厚さ55mm)へのイオン窒化を実
施した場合を示す。被処理物である冷間加工用金型を真
空容器内に具備されているRF電極に設置した後、真空
容器内を排気系ポンプ(不図示)により0.003〜
0.05Torrに減圧させた。Hを流しながらヒー
ターにより500℃にまで金型を加熱した後、HとA
rの混合ガスをガス吹き出しノズルにより真空容器内に
供給すると同時にDC電源より金型にDC出力を加え、
金型の表面を10分〜30分スパッタクリーニングす
る。クリーニング終了後、Arガスの供給を中止すると
共にNガスを加え、NとHの混合ガスを真空容器
内に供給し、反応圧力を0.4Torrに保つ。N
の混合比は、目標とする窒化層深さに応じて1:1
0〜10:1に変化させれば良い。また、反応圧力は、
目標とする窒化層厚さに応じて0.2Torr〜4To
rrに変化させれば良い。NとHの混合ガスを真空
容器内に供給すると同時にDC出力供給を中止し、RF
電源より金型にRF出力を供給する。供給するRF出力
は、金型の寸法形状及び目標とする窒化層深さに応じて
100W〜3,000Wに変化させれば良い。また、目
標とする窒化層深さに応じてDC出力を併用して用いて
も良い。窒化層を深く迅速に生成したい時にDC出力を
併用すると効果的である。イオン窒化を開始してから1
時間後、RF出力(或はRF出力とDC出力)の供給を
中止し、Nガスの供給を中止する。窒化処理時間は、
目標とする窒化層深さに応じて数十分〜8時間に変化さ
せれば良い。その後、Hガスを流しながら金型を冷却
する。
【0009】このようにして窒化処理した金型は窒化処
理前と比べて表面光沢、色調等は全く変化がなかった。
図6〜図9にこの金型の硬度分布、断面プロフィール、
結晶構造回折及び断面方向のEPMAの結果を示す。図
6には、通常のイオン窒化(処理時間=1時間)を施し
た同じ形状の冷間加工用金型の硬度分布を併せて示す。
図6より、本発明による窒化の生成速度は、従来のイオ
ン窒化と変わらない事が明かである。また、図7の断面
プロフィール及び図8(イ)、(ロ)のX線構造回折の
結果より、この金型の表面には脆化層が生成していない
ことが判明した。さらに、EPMAの結果より、図9に
示すように窒素は表面から約50μmに亘り拡散してい
ることがわかった。このように窒化処理したパンチを未
処理物とともに鍛造作業に供した。その結果、未処理物
のパンチは3,500ショットで表面にヒートクラック
が発生し、8,000ショットでかじりが発生した。窒
化処理を行ったパンチは12,000ショットまでヒー
トクラックが発生しなかった。
【0010】
【実施例2】次に本発明による窒化処理をアルミニウム
ダイカストピン(直径20mm×長さ50〜200m
m)へ応用した場合を示す。アルミニウムダイカストピ
ンへのイオン窒化は熱間用ダイス鋼(SKD61)で行
われ、表面はHv=1100〜1200に処理され耐摩
耗性を向上させるとともにヒートクラックを減少させる
ことが出来る。アルミニウムダイカストピンを図2に示
すような真空容器内に設置する。アルミニウムダイカス
トピンにはDC電源が接続されている。また、原料ガス
を真空容器内に供給する。原料ガス吹き出しノズルとア
ルミニウムダイカストピンとの間には、RF電源と接続
されているメッシュが設置されている。真空容器の排
気、アルミニウムダイカストピンの加熱及びスパッタク
リーニングは、実施例1と同様である。スパッタクリー
ニング後、原料ガス吹き出しパイプよりNとHの混
合ガスを真空容器内に供給する。また、同時に、メッシ
ュにRF出力を1500W加えると同時にアルミニウム
ダイカストピンに−200VのDC出力を加える。アル
ミニウムダイカストピンの寸法形状及び目標とする窒化
層深さに応じて、RF出力は100W〜3,000W、
DC出力は−50V〜−500Vに変化させると良い。
また、窒化処理時間は、アルミニウムダイカストピンの
寸法形状及び目標とする窒化層深さに応じて、数十分〜
8時間に変化させると良い。このようにして窒化処理し
たアルミニウムダイカストピンは窒化処理前と比べて表
面光沢、色調等は全く変化がなかった。図10〜図12
にこのアルミニウムダイカストピンの硬度分布、断面プ
ロフィール、結晶構造回折の結果を示す。断面プロフィ
ール及びX線構造回折の結果より、このアルミニウムダ
イカストピンの表面には脆化層が生成していない事が判
明した。また、このようにして窒化処理したアルミニウ
ムダイカストピンを未処理のアルミニウムダイカストピ
ンとともにADC12のダイカスト工程に投入し性能評
価を実施した。試験条件は次の通りである。 溶湯温度: 680℃ ショットサイクル: 35〜40sec 湯速度: 55m/sec 製品: 自動車用トランスミッションケース 性能判定は、50ショット毎のかじり現象の有無とし
た。その結果、ショット数は未処理のアルミニウムダイ
カストピンは105ショットでかじりついたのに対し窒
化処理を行ったアルミニウムダイカストピンは563シ
ョットまでかじり現象が観察されなかった。
【0011】
【実施例3】本発明による窒化処理方法を筒形状内面に
応用した例として、窒化鋼からなる射出成形機シリンダ
ー内面への窒化処理を次に示す。射出成形機シリンダー
には耐摩耗性が要求される。用いたシリンダーは、内径
50mm、長さ600mmの直管形状を有している。こ
のシリンダーを図3に示すような装置を用いて窒化し
た。具体的に以下に説明する。被処理物であるシリンダ
ーを周囲と絶縁させて真空容器内に設置する。シリンダ
ーには、RF電源とDC電源が接続されていて、RF出
力及びDC出力が加えられるようになっている。シリン
ダーの中央に同心円軸状に直径20mm〜40mmのガ
ス吹き出しパイプを設置する。ガス吹き出しパイプの側
面には均一にガス吹き出し穴が設けられ、ガス吹き出し
パイプ内に導入された窒素混合ガスが均一にシリンダー
内面に供給されるようになっている。シリンダーの周囲
には、加熱用ヒーターが設置されている。このようにシ
リンダーを設置して、実施例1と同様にして6時間窒化
処理を行った。その結果、シリンダー内面には、図13
に示すような硬度分布及び断面プロフィールを示すよう
な窒化層が形成された。このようにして窒化処理したシ
リンダーを用いて未処理のシリンダーとともにフェノー
ル樹脂を成形した。この結果、未処理シリンダーは、3
ケ月で凝着が生じたが、本発明による窒化処理を施した
シリンダーは、7ケ月で凝着の微候が観察された。
【0012】
【実施例4】次に本発明による窒化処理品の耐食性を通
常のガス窒化と従来のイオン窒化を施したサンプル及び
未処理サンプルと比較する事により評価した。基材材質
は30×60×5mmのステンレス鋼(SUS304)
を用いた。本発明によるイオン窒化は、実施例1で示し
た方法を用いた。この窒化処理を行ったステンレス鋼
は、外観上、処理前と全く変化は無かった。ガス窒化
は、520℃でNとHの混合ガスを用いて18時間
処理を行った後連続して550℃で50時間処理を行っ
た。また、従来のイオン窒化は、NとHの混合ガス
を用いて480℃で1時間処理を施したものを用いたも
のとイオン窒化処理後を施した後研磨により脆化層を除
去したものを用いた。ガス窒化を行ったステンレス鋼は
灰色に、従来のイオン窒化のみを行ったステンレス鋼は
黒色を帯びていた。これらの窒化処理を行ったステンレ
ス鋼と未処理のステンレス鋼を常温で、15%の塩酸水
溶液に15時間浸した。その結果を表1に示す。
【0013】表1
【0014】この結果より、ガス窒化及び従来のイオン
窒化のみを施したサンプルは未処理サンプルに比べ、耐
食性が著しく低下しており、イオン窒化処理後の研磨に
より脆化層を除去する事により未処理サンプルと同等の
耐食性を示した。これに対し、本発明による窒化処理サ
ンプルは未処理サンプルと殆ど変わらない事がわかる。
【0015】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
鋼、ステンレス等の金属部材の表面を脆化層を生じる事
なく効率的に窒化する事が出来る。その為に、金属部材
の耐食性を損なう事なく耐摩耗性を向上させる事が出来
ると共に窒化処理後の脆化層除去が不用な為、著しい効
率向上、コスト低減が可能となる。また、以上の説明は
イオン窒化について述べたが、本発明は、イオン浸炭、
イオンほう化に対しても適用できることは言うまでもな
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるイオン窒化処理法に用いられる装
置の概略図を示す。
【図2】本発明によるイオン窒化処理法に用いられる図
1と別の装置の概略図を示す。
【図3】本発明によるイオン窒化処理法に用いられる図
1,2と別の装置の概略図を示す。
【図4】本発明によるイオン窒化処理法に用いられる図
1,2,3と別の装置の概略図を示す。
【図5】従来のイオン窒化処理に用いられる装置の概略
図を示す。
【図6】本発明の窒化処理を施した冷間加工用金型の硬
度分布と従来の窒化処理を施した前記金型の硬度分布を
示す。
【図7】本発明の窒化処理を施した冷間加工用金型の断
面プロフィールを示す。
【図8】(イ)図は未処理、(ロ)図は本発明の窒化処
理を施した冷間加工用金型の結晶構造回折結果を示す。
【図9】本発明の窒化処理を施した冷間加工用金型の断
面方向のEPMAを示す。
【図10】本発明の窒化処理を施したアルミニウムダイ
カストピンの硬度分布を示す。
【図11】本発明の窒化処理を施したアルミニウムダイ
カストピンの断面プロフィールを示す。
【図12】本発明の窒化処理を施したアルミニウムダイ
カストピンの結晶構造回折結果を示す。
【図13】本発明の窒化処理を施したシリンダーの硬度
分布を示す。
【符号の説明】
1 真空容器 2 被処理物 3 電極 4 ガス吹き出しノズル 5 DC電源 6 RF電源 7 ヒーター 8 メッシュ電極 9 誘導加熱コイル 10 高周波電源
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川合 弘 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住 友電気工業株式会社伊丹製作所内 (56)参考文献 特開 昭62−103368(JP,A) 特開 昭58−141379(JP,A) 特開 昭60−56061(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 8/38 C23C 14/00 - 14/58 C23C 16/00 - 16/56

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空容器内に設置した鉄鋼やステンレス
    スチール等の鉄系合金よりなる金属部材と前記容器の間
    に、高周波、又は高周波と直流を印加し、プラズマによ
    りイオン化された窒素イオンにより前記鉄系合金の表面
    を窒化するグロー放電を利用した金属表面のイオン窒化
    方法であって、前記真空容器が容量結合型の放電型式を
    採り、印加する高周波電力によるプラズマ密度が、0.1
    〜5W/cm であり、処理圧力が0.1〜5Torr、基材温
    度が500℃以上であることを特徴とするグロー放電を利
    用した金属表面のイオン窒化方法。
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