JPH059674A - 成形性に優れたアルミニウム合金板の製造方法 - Google Patents

成形性に優れたアルミニウム合金板の製造方法

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JPH059674A
JPH059674A JP18295291A JP18295291A JPH059674A JP H059674 A JPH059674 A JP H059674A JP 18295291 A JP18295291 A JP 18295291A JP 18295291 A JP18295291 A JP 18295291A JP H059674 A JPH059674 A JP H059674A
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JP
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hot
less
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JP18295291A
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English (en)
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Takenobu Dokou
武宜 土公
Shinobu Kamata
忍 鎌田
Satotoki Aiba
里時 相場
Hideshi Karakawa
英志 唐川
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Furukawa Aluminum Co Ltd
Original Assignee
Furukawa Aluminum Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ピックアップやグレインストリーク等の表面
品質に優れ、絞り加工においてリビングマークおよび肌
荒れが発生せず、さらに耳率が低く、且つそれら特性の
コイル内でのばらつきが少ない成形用アルミニウム合金
板材の開発。 【構成】 Si 0.5wt%以下,Fe 0.8wt%以下を含有
し、且つTi 0.1wt%以下,B 0.1wt%以下の1種以上
を含有し、さらにCu 0.5wt%以下,Mn 0.5wt%以
下, Mg 0.5wt%以下, Cr 0.3wt%以下, Zr 0.3wt
%以下の1種以上を含有し残部Alと不可避的不純物か
らなるAl合金鋳塊から成形用Al合金板を製造するに
際し、150mm 以下の板厚からの熱間粗圧延を7パス以上
とし、熱間粗圧延の最終パスの圧延率を30〜70%とし、
熱間粗圧延の終了温度を330 〜370 ℃とし、且つ熱間仕
上げ圧延の終了温度を280 ℃とし、さらに中間焼鈍を行
わずに最終製品板厚までの冷間圧延率を25〜70%として
最終板厚にて焼鈍を行う製造。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、成形用アルミニウム合
金板の製造方法に関するもので、さらに詳しくはピック
アップ、グレインストリーク等の表面品質に優れ、絞り
加工においてリビングマークおよび肌荒れが生じず、さ
らに耳率が低く、且つ耳率の値のコイル内でのばらつき
が少ない成形用アルミニウム合金板の製造方法を提供す
るものである。
【0002】
【従来の技術】成形用として使用される工業純度の純ア
ルミニウム系合金板は、通常プレスやスピニング等の絞
り加工を受ける。その特性としてはピックアップやグレ
インストリークといった表面品質や絞り加工時に生じる
リビングマークおよび肌荒れ、さらに耳率が優れている
ことが要求される。
【0003】ところでこのような成形用アルミニウム合
金板の製法としては、DC鋳造した合金鋳塊を均質化処
理後、熱間圧延、冷間圧延、焼鈍の工程で製造されてい
るが、上記の要求特性を満足するために、それぞれ以下
の製造方法がとられている。
【0004】まずピックアップは、熱間圧延中にロール
コーティングがはがれて板に埋め込まれたり、板の表面
の一部が局所的にロールに付着しむしり取られたもの
で、アルマイト処理等を行うと明瞭になる欠陥である。
これを防止する対策としては、圧延油の管理、ブラシロ
ールの駆動が行われ、さらに熱間圧延温度を高くしない
等の熱間圧延条件の適正化が行われている。
【0005】グレインストリークは製品にアルマイト処
理等を行ったときに表面に筋状に生じる欠陥であり、リ
ビングマークは製品に絞り加工を行った際に圧延方向に
沿って生じるしま状の凹凸である。この2つはいずれも
熱間圧延で生じる繊維状組織が、焼鈍を行うだけでは集
合組織として残存することが原因とされており、熱間圧
延のパスとパスの間で再結晶を起こさせ、繊維状組織を
消滅させることが有効とされている。具体的には、熱間
圧延の各パスの圧下量を上げ、圧延温度を上げることで
達成されている。
【0006】肌荒れは絞り加工時に生じるものである
が、これは製品の再結晶粒径が大きいと生じるものであ
る。そこで最終冷間圧延率や最終焼鈍時の昇温速度によ
って微細な粒径の組織が得られるようにコントロールさ
れている。
【0007】耳率は、均質化処理条件、熱間圧延終了板
厚や最終冷間圧延率を適正化することにより低耳材が得
られている。
【0008】さて、以上のように条件の適正化が行われ
ているが、現在次の2つの大きな問題が生じている。第
1の問題は上記すべてを完全に満足する製造条件が得ら
れていないことである。すなわち、ピックアップレベル
を向上させるには、熱間圧延温度の低温化が望ましい
が、これは、グレインストリークやリビングマークを悪
化させる傾向にある。
【0009】第2の問題は、同一圧延材において、幅方
向や長手方向で特性の差が生じることである。具体的に
は耳率において顕著に生じ、製品コイルの板幅、長手の
中心では0%程度の耳率のものが、幅、長手の端部では
−6%〜+6%にばらつくことがしばじ生じる。さら
に、板幅の端部のみでグレインストリークが生じたり、
板幅中央部のピックアップレベルが悪化することもあ
る。このようなばらつきが生じた場合製品の歩留まりが
極端に低下し、製造上好ましくない。これには鋳造時の
冷却速度が幅方向の端部の方が大きいことや熱間圧延時
に幅方向、長手方向で温度差が生じることが原因である
と考えられるが、このような発生原因を防止することは
困難である。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明はかかる問題点を
解決するためになされたもので、ピックアップやグレイ
ンストリークといった表面品質に優れ、さらに絞り加工
においてリビングマークおよび肌荒れが生じず、さらに
耳率が低く且つそのコイル内でのばらつきが少ない成形
用アルミニウム合金板の製造方法を開発したものであ
る。
【0011】即ち本発明は、Si 0.5wt%以下、Fe
0.8wt%以下を含有し、且つTi 0.1wt%以下もしくは
B 0.1wt%以下の1種又は2種を含有し、さらにCu
0.5wt%以下,Mn 0.5wt%以下, Mg 0.5wt%以下,
Cr 0.3wt%以下, Zr 0.3wt%以下の1種又は2種以
上を含有し残部Alと不可避的不純物からなるアルミニ
ウム合金鋳塊を均質化処理後、熱間粗圧延、熱間仕上げ
圧延、冷間圧延および焼鈍を行って成形用アルミニウム
合金板を製造する方法において、150mm 以下の板厚から
の熱間粗圧延を7パス以上とし、熱間粗圧延の最終パス
の圧延率を30〜70%とし、熱間粗圧延の終了温度を330
〜370 ℃とし、且つ熱間仕上げ圧延の終了温度を280 ℃
とし、さらに中間焼鈍を行わずに最終製品板厚までの冷
間圧延率を25〜70%として最終板厚にて焼鈍を行うこと
を特徴とするものである。
【0012】
【作用】まず、本発明の合金組成を上記の如く限定した
理由について説明する。Siは製品強度を向上させ、さ
らにLDR(限界絞り比)等の成形性を向上させる働き
を有する。しかし、その量を 0.5wt%を越えて添加して
も成形性の向上は望めないばかりか、耳率が0−90°方
向に大きくなり、さらにA1−Fe−Si系の金属間化
合物を生じ、加えてアルマイト色調にむらが生じやすく
なる。Feは製品の焼鈍時に生じる再結晶粒を微細化す
る作用を有しており、成形性の向上と肌荒れの防止に効
果的である。しかし、その量が0.8wt %を越えると耳率
が45°方向に大きくなる。
【0013】またTi 0.1wt%以下もしくはB 0.1wt%
以下の1種又は2種を含有させるのは鋳造組織微細化の
ためである。しかしていずれも0.1 wt%を超えて含有し
ても上記効果がなくなってしまう。
【0014】さらに本発明においては上記元素以外に、
Cu 0.5wt%以下,Mn 0.5wt%以下, Mg 0.5wt%以
下, Cr 0.3wt%以下, Zr 0.3wt%以下の1種又は2
種以上を含有するものである。ここでCuは耳率のばら
つきを減少させ、さらに強度や成形性を向上させるもの
であり、Mnは耳率を安定化させ、成形性を向上させる
ものである。そしてMgは強度を向上させ、またCrと
Zrは結晶粒の安定化のために添加するものであるが、
それぞれ上記の規定量を超えて含有してもその効果はみ
られない。
【0015】また上記以外の添加元素として、あるいは
不可避的不純物として、それぞれ0.05wt%以下でかつ合
計0.15wt%以下であれば、それらの元素は本発明の顕著
な特性には影響をおよぼさないので添加されてもかまわ
ない。
【0016】次に製造方法について説明する。本発明に
用いる合金鋳塊は通常のDC鋳造法によればよい。この
DC鋳造法によれば鋳造時に幅方向に冷却速度差が生じ
て幅方向でFe、Siの固溶量差が生ずるので、特性を
ばらつかせていたが、本発明法によればこれを原因とす
るばらつきは生じない。
【0017】先ず上記組成のアルミニウム合金鋳塊に均
質化処理を施す。均質化処理は面削後に熱間圧延前の加
熱をかねて行ってもよいし、均質化処理として熱間圧延
の加熱の前に別に行ってもよい。なお予め均質化処理を
行い、その後面削して再加熱した後熱間圧延を行うと、
圧延前の鋳塊表面の酸化皮膜が少なくなり表面品質の向
上に効果的である。また、均質化処理温度は600 ℃以下
が望ましく、特に560℃付近で優れた耳率特性を示す。
【0018】熱間圧延は、熱間粗圧延と熱間仕上げ圧延
とからなるが、これらはそれぞれ異なった圧延機で行
う。これは本発明では粗圧延から仕上げ圧延に移行する
間に再結晶をコントロールし、グレインストリークとリ
ビングマークの発生を抑えるためである。さて本発明で
は熱間粗圧延の条件を、150mm 以下の板厚での圧延パス
数を7パス以上行い、該圧延の最終パスを30〜70%の圧
延率で行い、該圧延の終了温度を330 〜370 ℃とする。
このような条件を規定することにより、グレインストリ
ークとリビングマークの発生を防止し、ピックアップレ
ベルの向上および製品特性のコイル内ばらつきをなくす
ことができる。
【0019】さて、上記の熱間粗圧延条件によって特性
の向上する理由について、以下に説明する。まず、ピッ
クアップであるが、圧延のパス数を従来の4パス以下か
ら7パス以上に増やすことで各パスの圧延率が下がり、
又粗圧延終了温度を通常の400 ℃付近よりも低くする効
果により、ピックアップレベルは極めて向上する。この
ためピックアップレベルは全体に向上し、コイルのいず
れの位置でも優れた特性を示すのでコイル内でのばらつ
きを防止できる。
【0020】グレインストリークおよびリビングマーク
に関しては、上記熱間粗圧延条件のパス数と終了温度だ
けではこれらの特性を非常に悪化させる条件である。こ
れは本発明における150mm 以下での熱間粗圧延の条件
が、再結晶を生じさせない条件だからである。このよう
な圧延の場合は、従来後工程である冷間圧延・焼鈍の工
程で焼鈍を2回行うことでグレインストリークおよびリ
ビングマークの悪化を回避している。しかしながら本発
明において焼鈍を2回以上行うと、耳率は強い0−90°
耳を示してしまう。これを防止するため本発明では熱間
粗圧延の最終パスを30〜70%の圧延率で行い、熱間粗圧
延の終了温度を330 〜370 ℃と限定する。即ち熱間粗圧
延の最終パスを上記のように行うことにより、粗圧延か
ら仕上げ圧延への移行の間に最表面のみに微細な再結晶
を生じさせてグレインストリーク及びリビングマークを
向上させるものである。ここで圧延率が30%未満の場合
及び温度が330 ℃未満の場合は再結晶が十分に進行しな
いためグレインストリーク及びリビングマークは向上し
ない。また圧延率が70%を超え及び温度が370 ℃を超え
た場合はピックアップレベルが低下してしまう。
【0021】肌荒れは最終製品の再結晶粒径が大きい場
合に生じる現象であり、最終冷間圧延率によりほとんど
決定されてしまう特性であり、熱間圧延条件の影響は実
質的にほとんど受けない。したがって熱間圧延条件によ
ってばらつきは発生しないといえる。
【0022】最後に耳率であるが、従来は耳率は冷間圧
延と焼鈍条件によって低耳率とすることができると考え
られており、熱間粗圧延条件はピックアップ、グレイン
ストリーク、リビングマーク及び生産性によって決めら
れてきた。そうすることで確かに幅、長手の中心部の耳
率を低くすることはできるが、コイル内の耳率の値に差
が生じていた。そこで、発明者らが耳率のばらつきの発
生機構について詳細に検討を行ったところ、ばらつきの
発生原因は熱間粗圧延での最終圧延パスの近傍のパスで
の再結晶挙動にあることが分った。即ち熱間圧延におい
ては圧延パスとパスとの間で再結晶が生ずる場合がある
が、圧延パス中に動的な回復が生ずると再結晶開始前に
板材中に蓄積されている歪量が少ないために、再結晶挙
動は板の温度や固溶・析出状態の影響を非常に受けやす
いのである。そのため、鋳造によって生じる固溶元素量
の幅方向のばらつきや、熱間圧延中の幅、長手方向の温
度差によって再結晶挙動に差が生じ、これが耳率のばら
つきを生み出すのである。
【0023】さらに詳しく説明すると、熱間粗圧延の最
終パスの近傍で再結晶を生じさせることはグレインスト
リークやビングマークレベルの向上のために一般に行わ
れているが、板幅端部での温度は中心部より低いため、
圧延パスとパスとの間で生じる再結晶が端部で完全に完
了しない場合が生ずる。このような場合、完全に再結晶
が完了している板幅中心部と比較し端部では圧延集合組
織が多く残存するため、45°耳が強く生じてしまう。ま
た、たとえ板の温度が全体的に高く熱間粗圧延の最終パ
スの近傍で板全面に再結晶を生じたとしても、板材内の
温度差や固溶・析出状態に差があると、板幅端部の再結
晶組織が立方体方位を多く含んだものになるが、この場
合は板端部の耳率を0−90°耳とする。そして、このよ
うな耳率の差が一旦生じた場合に、後の工程で差をなく
すことは容易でない。
【0024】以上のように熱間圧延時に耳率のばらつき
が生じてそのばらつきが最終製品まで残存することに加
え、最終焼鈍時に生じる再結晶集合組織が焼鈍前の固溶
量や析出状態の影響を受けやすいこともコイル内の耳率
のばらつきを大きくしている原因となっている。この現
象は、熱間圧延の最終パス近傍の板厚で再結晶を生じた
場合に顕著であるが(最終パスで再結晶集合組織が形成
され、そこでの板厚から焼鈍時の板厚までの加工量が少
ないので、焼鈍は圧延集合組織が十分に発達していない
状態で行われるため、影響受けやすい)、熱間圧延で板
の固溶・析出状態の違いを解消するか、強い圧延集合組
織を形成できなければ焼鈍時に形成される再結晶集合組
織は大きく変化するのである。
【0025】さて、本発明の熱間圧延条件は上記検討に
もとずいて決定されたもので、圧延パス数を増やすこと
により少なくとも150mm 以下の板厚で再結晶を生じにく
く圧延し、且つ圧延での析出量を多くすることで、耳率
の幅方向の差をなくすものである。即ち熱間粗圧延中に
再結晶を生じなければ、熱間圧延中に耳率の差が生じる
ことはなく、さらに再結晶を生じさせないことにより圧
延集合組織を強く集積させることで、固溶・析出状態が
原因となって焼鈍時に生じる耳率のばらつきをなくすこ
とができるのである。このためには150mm以下の板厚で
のパス数が7パス未満では不十分である。またパス数に
上限は特にないが、生産性と粗圧延終了温度との関係か
ら最大で20パス程度が望ましい。なお上記板厚の150mm
は圧延パスの開始板厚をいう。
【0026】上記熱間圧延の開始温度は 480℃以下で40
0 ℃以上が望ましい。これは480 ℃以下の条件はピック
アップレベルの向上のためであり、400 ℃以上の条件は
粗圧延の最終パスで表層部に微細な再結晶粒を生じさせ
てグレインストリーク及びピックアップレベルを向上さ
せるためである。そして望ましくは 440℃付近の温度が
最も推奨される。これは熱間圧延開始温度を 440℃付近
とすると上記のグレインストリーク向上効果に加え、熱
間粗圧延の初期のパスでの再結晶を防止できるため、12
0mm よりも厚い板厚から圧延集合組織が形成されるので
焼鈍前の圧延集合組織が強く集積されることになり耳率
のばらつきがより減じるためである。
【0027】ここで各パスの圧下率は特に定めないが、
圧下率を40%以下で行った場合に圧延による再結晶が防
止されてより安定した特性となる。なお各圧延パスの圧
下率とは1回の圧延パス前後の板厚をそれぞれtn 、t
n+1 とした場合に、{(tn-tn+1 )/tn }×100
(%)で表したものである。
【0028】本発明においては板厚150mm までの圧延条
件は特に規定しないが、150mm を超える板厚の圧延にお
いても各パスの圧延率を40%以下とした場合、120mm よ
りも厚い板厚から圧延集合組織が形成されるので、焼鈍
前の圧延集合組織が強く集積されことになり、耳率のば
らつきを減じるのにより効果的である。
【0029】また本発明において板厚150mm 以下での圧
延の温度は430℃以下が推奨される。これは、ピックア
ップレベル向上と耳率の安定化のためであり、後者につ
いては各圧延パスのパス間で再結晶が進行しないように
するためである。なお 430℃を越えた温度で圧延を行う
場合には、各圧延パスの圧下量を30%以下とし、パスと
パスとの間の時間を5分以内に行うことが推奨される。
【0030】上記の耳率に関して熱間圧延で再結晶が生
じていない状態とは、再結晶率が40%以下の状態をいう
ものである。このように熱間圧延の再結晶について問題
としているのは、圧延集合組織の集積が再結晶によって
減じてしまうからであるが、再結晶率が40%以下である
ときは再結晶粒の大部分は圧延集合組織と同じ方位を有
する再結晶粒であるため、圧延集合組織の集積の減少は
ほとんど発生しないからである。従って熱間粗圧延の最
終パスを圧延率30%以上で行っても、この場合は最大で
表面から20%程度しか再結晶していないので、耳率に関
してはそのばらつきを減ずる点でら問題はなく、逆に熱
間圧延終了時の圧延集合組織が過度に発達することを防
止し、最終製品の耳率を低くする働きを有する。
【0031】また本発明においては熱間仕上げ圧延は終
了温度が 280℃以下になるように行う。 280℃を超えて
圧延が終了した場合、コイルが冷却中に冷却されにくい
中心部で再結晶を生じ、耳率のコイル内ばらつきを引き
起こすためである。さらに熱間仕上げ圧延の終了板厚
は、製品板厚により定まるが本発明の冷間圧延条件を実
施できる板厚であればよく、通常の適用される製品板厚
1〜6mmに対して通常3〜12mm程度である。
【0032】熱間圧延を終了したコイルは冷間圧延・焼
鈍を行うが、本発明では、最終製品板厚までの冷間圧延
率を25%以上70%以下とし、最終板厚で焼鈍を行うこと
とする。即ち本発明では最終製品板厚まで冷間圧延を行
う途中で中間焼鈍を行わない。これはグレインストリー
ク及びリビングマークの発生を防止するためや、耳率を
低くするために熱間圧延条件をコントロールしているた
めである。
【0033】上記のように冷間圧延率を25〜70%とする
理由は耳率を低くするためである。本発明の熱間圧延条
件で圧延を行った板材は、焼鈍を行う前は圧延集合組織
が強く発達し、且つ析出量のばらつきが小さい。そのた
め、焼鈍を行ったときに、コイルの幅、長手に多少の組
織差があってもほとんどその影響を受けないため、耳率
はコイル内でほぼ同じ値となるのである。しかし、冷間
圧延率が70%を超えると45°方向で強い耳が発生してし
まい、25%未満では焼鈍時の再結晶駆動力が小さいので
耳率が0−90°方向に高い値を示し、さらに再結晶粒径
が大きくなって肌荒れが発生してしまう。通常は肌荒れ
防止には40%以上の最終冷間圧延率が必要であるが、本
発明では熱間圧延時に歪みが蓄積された状態で冷間圧延
が行われるので25%の冷間圧延率でも肌荒れは生じな
い。ここで最終冷間圧延率は耳率と表面品質との観点か
ら50%程度が推奨される。また上記冷間圧延は1パスで
行う必要はないが、生産性の点からは1パスが望まし
い。
【0034】次に焼鈍条件であるが、完全に再結晶を生
じる条件であれば特に規定しない。通常、バッチ式の焼
鈍であれば 300℃〜 450℃で0.5〜6時間程度であれば
よいし、連続式の焼鈍であれば430 ℃〜 580℃で 0.5〜
60秒程度であればよい。
【0035】
【実施例】以下に実施例にもとづき本発明を詳細に説明
する。表1の組成の本発明に係るアルミニウム合金(A
〜F)を通常のDC鋳造により、厚さ 500mm、幅1000mm
の鋳塊を各1〜8本鋳造した。
【0036】
【表1】
【0037】次に上記合金に対して表2に示すように均
質化処理の後面削、又は面削の後均質化処理を施し、そ
の後熱間圧延に供するため加熱又は炉冷して、熱間圧延
供試材a〜kを作製した。
【0038】
【表2】
【0039】次に本発明に係る熱間圧延条件(本発明例
(1) 〜本発明例(6) )及び比較熱間圧延条件(比較例
(7) 〜比較例(12))を表3のように定めておき、上記熱
間圧延供試材a〜kに対して、これらの熱間圧延条件
と、さらに表4に示す中間焼鈍及び最終製品板厚までの
冷間圧延率の条件とを、表4のように組み合わせて本発
明製造法No.1〜No.8、比較製造法No.8〜No.15 及び従来
製造法No.16 によりアルミニウム合金のO材コイルを製
造した。なお表3の熱間圧延パススケジュールは150mm
以下の板厚のものに対して施すものであり、板厚150mm
までの熱間圧延における各圧延パスの圧延量は30〜90mm
とした。また表3中のパススケジュール欄における、→
は熱間粗圧延の最終パスの位置を示し、下線付の温度は
熱間粗圧延終了温度を示す。また最終より3パス以降は
熱間仕上げ圧延である。
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
【0042】得られた各コイルの長手方向の前、中、後
部での、幅方向の端部と中心部の6個所について、ピッ
クアップ、グレインストリーク、リビングマーク、肌荒
れおよび耳率の特性について調べた。それらの結果を表
5及び表6に示す。ここでピックアップについては板表
面を目視で調べ、グレインストリークについては板を王
水でエッチングの後目視で調べ、さらにリビングマー
ク、肌荒れおよび耳率についてはブランク径61mm、ポン
チ径33mmでカップを絞った後、リビングマーク、肌荒れ
については目視で調べ、耳率については0−90°耳を+
耳とし、45°耳を−耳として評価した。またこれらの表
中の記号は次の意味で用いた。 ・ピックアップレベル及びグレインストリーク ◎:良好、○:可、△:悪い、×:非常に悪い ・リビングマーク及び肌荒れ ◎:発生なし、○:軽度に発生、△:発生、×:強く発
【0043】
【表5】
【0044】
【表6】
【0045】表5及び表6より本発明法により製造した
アルミニウム合金板は、ピックアップ、グレインストリ
ーク品質に優れ、絞り加工においてリビングマークおよ
び肌荒れが生じず、さらに耳率が低く、且つこれら特性
のばらつきが少ないことが明らかである。
【0046】
【発明の効果】このように本発明の製造方法によれば、
ピックアップ、グレインストリーク等の表面品質に優
れ、絞り加工においてリビングマークおよび肌荒れが生
じず、さらに耳率が低く、それら特性のコイル内でのば
らつきが少ない成形用アルミニウム合金板材の製造が可
能となる等工業上顕著な効果を奏するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 唐川 英志 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古 河アルミニウム工業株式会社内

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 Si 0.5wt%以下、Fe 0.8wt%以下を
    含有し、且つTi0.1wt%以下もしくはB 0.1wt%以下
    の1種又は2種を含有し、さらにCu 0.5wt%以下,M
    n 0.5wt%以下, Mg 0.5wt%以下, Cr 0.3wt%以
    下, Zr 0.3wt%以下の1種又は2種以上を含有し残部
    Alと不可避的不純物からなるアルミニウム合金鋳塊を
    均質化処理後、熱間粗圧延、熱間仕上げ圧延、冷間圧延
    および焼鈍を行って成形用アルミニウム合金板を製造す
    る方法において、150mm 以下の板厚からの熱間粗圧延を
    7パス以上とし、熱間粗圧延の最終パスの圧延率を30〜
    70%とし、熱間粗圧延の終了温度を330 〜370 ℃とし、
    且つ熱間仕上げ圧延の終了温度を280 ℃とし、さらに中
    間焼鈍を行わずに最終製品板厚までの冷間圧延率を25〜
    70%として最終板厚にて焼鈍を行うことを特徴とする成
    形用アルミニウム合金板の製造方法。
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