JP2773989B2 - 成形用アルミニウム合金板の製造方法 - Google Patents

成形用アルミニウム合金板の製造方法

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JP2773989B2 JP3106702A JP10670291A JP2773989B2 JP 2773989 B2 JP2773989 B2 JP 2773989B2 JP 3106702 A JP3106702 A JP 3106702A JP 10670291 A JP10670291 A JP 10670291A JP 2773989 B2 JP2773989 B2 JP 2773989B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は成形用アルミニウム合金
板の製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、ピ
ックアップ、グレインストリーク等の表面品質に優れ、
絞り加工においてリビングマークおよび肌荒れが生じ
ず、さらに耳率が低く、その値のコイル内でのばらつき
が少ない成形用アルミニウム合金板の製造方法を提供す
るものである。
【0002】
【従来の技術およびその課題】フィン、缶等の成形用と
して使用される工業純度の純アルミニウム系合金板は通
常プレスやスピニング等の絞り加工を受ける。その特性
としてはピックアップやグレインストリークといった表
面品質、絞り加工時に生じるリビングマークおよび肌荒
れ、さらに耳率に優れていることが要求される。ところ
でこのような成形用アルミニウム合金板は、水冷鋳造し
た合金鋳塊を均質化処理した後、熱間圧延、冷間圧延、
焼鈍の工程により製造されているが、上記の要求特性を
満足するために、それぞれ以下の製造方法がとられてい
る。まずはピックアップは、熱間圧延中にロールコーテ
ィングがはがれて板に埋め込まれたり、板の表面の一部
が局所的にロールに付着しむしり取られたもので、アル
マイト処理等を行うと明瞭になる欠陥である。これを防
止する対策として、圧延油の管理、ブラシロールの駆動
が行われ、さらに熱間圧延温度を高くしない等の熱間圧
延条件の適正化が行われている。グレインストリークは
製品にアルマイト処理を行ったときに表面に筋状に生じ
る欠陥であり、リビングマークは製品に絞り加工を行っ
た際に圧延方向に沿って生じるしま状の凹凸である。こ
の2つはいずれも熱間圧延で生じる繊維状組織が、焼鈍
を行うだけでは集合組織として残存することが原因とさ
れており、熱間圧延のパスとパスの間で再結晶を起こさ
せ、繊維状組織を消滅させることが有効とされている。
具体的には、熱間圧延の各パスの圧下量を上げ、圧延温
度を上げることで達成されている。肌荒れは絞り加工時
に生じるものであるが、これは製品の再結晶粒径が大き
いと生じるものである。最終冷間圧延率や最終焼鈍時の
昇温速度によって微細な粒径の組織が得られるようにコ
ントロールされている。耳率は、均質化処理条件や最終
冷間圧延率(熱間圧延終了板厚)を適正化し、低耳材が
得られている。
【0003】さて、以上のように条件の適正化が行われ
ているが、現在次の2つの大きな問題が生じている。ま
ず、上記すべてを完全に満足する製造条件が得られてい
ないことである。すなわち、ピックアップレベルを向上
させるには、熱間圧延温度の低温化が望ましいが、これ
は、グレインストリークやリビングマークを悪化させる
傾向にある。第2の問題は、同一圧延材において、幅方
向や長手方向で特性の差が生じることである。具体的に
は耳率において顕著に生じ、製品コイルの板幅、長手の
中心では0%程度の耳率のものが、板幅、長手の端部で
は−6%〜+6%にばらつくことがしばしば生じる。さ
らに、板幅の端部のみでグレインストリークが生じた
り、板幅中央部のピックアップレベルが悪化することも
ある。このようなばらつきが生じた場合製品の歩留りが
極端に低下し、製造上好ましくない。ここで、鋳造時の
冷却速度が幅方向の端部の方が大きいことや熱間圧延時
に幅方向、長手方向で温度差が生じることが原因である
と考えられるが、このような発生原因を防止することは
困難である。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明はかかる問題点を
解決するためになされたもので、ピックアップやグレイ
ンストリークといった表面品質に優れ、さらに絞り加工
においてリビングマークおよび肌荒れが生じず、さらに
耳率が低くかつコイル内でばらつきが少ないアルミニウ
ム合金板の製造方法を開発したものである。すなわち、
本発明は、0.5wt%以下のSi、0.8wt%以下のF
eを含有し、必要に応じてさらに0.5wt%以下のCu
を含有し残部Alと不可避的不純物とからなるアルミニ
ウム合金鋳塊を均質化処理後、熱間圧延、冷間圧延およ
び焼鈍を行う成形用アルミニウム合金板の製造方法にお
いて、熱間圧延の際120mm以下の板厚での圧延を8パ
ス以上のパス数で行い、30mm以上60mm以下の圧延開
始板厚で行う圧延パスのうち少なくとも1パスを120
mm以下で数えるパスの5パス目以降で圧延率30%以上
で行い、熱間圧延の終了温度を280℃以下とし、最終
製品板厚までの冷間圧延率を25%以上70%以下と
し、最終板厚で焼鈍を行うことを特徴とする成形用アル
ミニウム合金板の製造方法である。
【0005】
【作用】まず、本発明の合金組成について説明する。S
iは製品の強度を向上させ、さらに限界絞り比(LD
R)等の成形性を向上させる働きを有する。しかし、そ
の量を0.5wt%を超えて添加しても成形性の向上は望
めないばかりか、耳率が0−90°方向に大きくなり、
さらにAl−Fe−Si系の金属間化合物を生じ、アル
マイト色調にむらが生じやすくなる。Feは製品の焼鈍
時に生じる再結晶粒を微細化する作用を有しており、成
形性の向上と肌荒れの防止に効果的である。しかし、そ
の量が0.8wt%を超えると耳率が45°方向に大きく
なる。本発明合金の主たる添加元素はFeとSiである
が、それ以外にCuを0.5wt%以下添加した場合、耳
率のばらつきの減少、強度や成形性の向上に効果があ
る。Fe、Si、Cu以外に、0.5wt%以下のMgを
強度向上等の目的で添加したり、0.5wt%以下のM
n、Znを耳率の安定化や成形性向上のために、0.3
wt%以下のCr、Zrを結晶粒の安定化等のために、鋳
造組織微細化のために0.2wt%以下のTiやBを添加
しても、本発明の製造工程は影響を受けない。上記以外
の添加元素として、または不可避的不純物として、それ
ぞれ0.05wt%以下でかつ全部で0.15wt%以下で
あれば、その元素は本発明に影響をおよぼさないので添
加されてもかまわない。
【0006】次に製造方法について説明を行う。本発明
に用いる合金鋳塊は通常の半連続鋳造法によればよい。
鋳造時に幅方向に冷却速度差が生じ、幅方向でFe、S
iの固溶量差が生じ、特性をばらつかせていたが、本発
明方法によればこれを原因とするばらつきは生じない。
この鋳塊にまず均質化処理を施す。均質化処理は面削後
に熱間圧延前の加熱をかねて行ってもよいし、均質化処
理として熱間圧延の加熱の前に別に行ってもよい。な
お、均質化処理を行いその後面削し再加熱し熱間圧延を
行うと、圧延前の鋳塊表面の酸化皮膜が少なく表面品質
の向上に効果的である。また、均質化処理温度は600
℃以下が望ましく、特に560℃付近で優れた耳率特性
を示す。熱間圧延は、120mm以下の板厚での圧延を8
パス以上のパス数で行い、熱間圧延の終了温度が280
℃以下となるように行う。これは、ピックアップレベル
の向上および製品特性のコイル内ばらつきをなくするた
め行われる。圧延のパス数を増やすことで各パスの圧延
率を下げ、また終了温度を通常の300℃付近よりも低
くする効果によりピックアップレベルは極めて向上す
る。さて、上記の熱間圧延条件によって特性のコイル内
ばらつきを防止できる理由について、以下に説明する。
まず、ピックアップであるが、前述のような理由で全体
的に向上するため、いずれの位置でも優れた特性とな
る。グレインストリークおよびリビングマークに関して
は、上記熱間圧延条件だけではこれらの特性を非常に悪
化させる条件である。これは、本熱間圧延条件は熱間圧
延最終パス近傍で再結晶を生じない条件であるためであ
る。このような場合、冷間圧延・焼鈍の工程で焼鈍を2
回以上行うことでこれを回避しているが、本発明で焼鈍
を2回以上行うと耳率は強い0−90°耳を示してしま
う。したがって本発明では、30mm以上60mm以下の圧
延開始板厚で行う圧延パスのうち少なくとも1パスを1
20mm以下より数えるパスの5パス目以降で圧延率30
%以上で行う条件を付け加える。この圧延パスにより、
板の極表層部分にのみ微細な再結晶を生じさせ、グレイ
ンストリークおよびリビングマークを向上させる。上記
パスは120mm以下で数える5パス目以降で行うが、5
パス未満で行った場合そこまでの圧延パスによるひずみ
の蓄積効果が十分でないため、再結晶が十分に生じず、
グレインストリークは改善しない。また、圧延率が30
%未満の場合同様に再結晶が十分に進行しない。肌荒れ
は最終製品の再結晶粒径が大きい場合に生じる現象であ
り、最終冷間圧延率によりほとんど決定されてしまう特
性であり、熱間圧延条件の影響は実質的にほとんど受け
ない。したがって熱間圧延条件によってばらつきは発生
しない。最後に耳率であるが、本発明の熱間圧延条件を
行うことで耳率の幅、長手方向の耳率のばらつきをなく
すことができる。すなわち、従来は耳率は冷間圧延と焼
鈍条件によって低耳とすることができると考えられてお
り、熱間圧延条件はピックアップ、グレインストリー
ク、リビングマークと生産性によって決められてきた。
そうすることで確かに幅、長手の中心部の耳率を低くす
ることはできるが、コイル内の耳率の値に差が生じてい
る。そこで、発明者らが耳率のばらつきの発生機構につ
いて詳細に検討を行ったところ、ばらつきの発生原因は
熱間圧延での最終圧延パスの近傍のパスでの:再結晶
挙動と:析出挙動にあることが分かった。すなわち、
:熱間圧延においては、圧延パス中に動的な回復が生
じ、再結晶開始前に板材中に蓄積されている歪量が少な
いことが原因で、熱間圧延での圧延パスとパスとの間で
生じる再結晶挙動は再結晶するときの板の温度や固溶・
析出状態の影響を非常に受けやすいのである。そのた
め、鋳造によって生じる固溶元素量の幅方向のばらつき
や、熱間圧延中の幅、長手方向の温度差によって再結晶
挙動に差が生じ、これが耳率のばらつきを生み出すので
ある。についてさらに説明すると、熱間圧延の最終パ
スの近傍で再結晶を生じさせることはグレインストリー
クやリビングマークレベルの向上のために一般に行われ
ているが、板幅端部での温度は板幅中心部より低いた
め、圧延パスとパスとの間で生じる再結晶が端部で完全
に完了しない場合が生じ、このような場合、完全に再結
晶が完了している板幅中心部と比較し端部では圧延集合
組織が多く残存するため、45°耳が強く生じるのであ
る。また、たとえ板の温度が全体的に高く熱間圧延の最
終パスの近傍で板全面に再結晶を生じたとしても、板材
内の温度差や固溶・析出状態の差があると、板幅端部の
再結晶組織が立方体方位を多く含んだものになり、これ
は板端部の耳率を0−90°耳とする。そして、このよ
うな耳率の差が一旦生じた場合に、後の工程で差をなく
すことは容易でない。以上のように熱間圧延時に耳率の
ばらつきが生じ、そのばらつきが最終製品まで残存する
ことに加え、最終焼鈍時に生じる再結晶集合組織が焼鈍
前の固溶量、析出状態の影響をうけやすいこともコイル
内の耳率のばらつきを大きくしている原因となってい
る。これは、熱間圧延の最終パス近傍の板厚で再結晶を
生じた場合に顕著であるが(最終パスで再結晶組織が形
成され、そこでの板厚から焼鈍時の板厚までの加工量が
少ないため、焼鈍は圧延集合組織が十分に発達していな
い状態で行われるため影響を受けやすい)、熱間圧延で
の板の固溶・析出状態に違いを解消できなければ焼鈍時
に形成される再結晶集合組織は大きく変化するのであ
る。さて、本発明の熱間圧延条件は上記検討に基づいて
決定されたもので、圧延パス数を増やすことにより、少
なくとも120mm以下の板厚で再結晶を生じにくく圧延
しかつ圧延での析出量を多くすることで耳率の幅方向の
差をなくする方法である。すなわち、熱間圧延中に再結
晶を生じなければ、熱間圧延中に耳率の差が生じること
はなく、さらに再結晶を生じさせないことで圧延集合組
織を強く集積させ、かつ熱間圧延板の析出状態の差をな
くすことにより、固溶・析出状態が原因となって焼鈍時
に生じる耳率のばらつきをなくすることができるのであ
る。熱間圧延の開始温度は480℃以下で380℃以上
が望ましい。これは前者がピックアップレベルの向上の
ためであり、後者が板厚30mm〜60mmで表層部に微細
な再結晶粒を生じさせるためである。そして、さらに4
30℃以下の温度が最も推奨される。熱間圧延開始温度
を430℃以下とすると熱間圧延の初期のパスでの再結
晶を防止できるため、120mmよりも厚い板厚から圧延
集合組織が形成されることになり、焼鈍前の圧延集合組
織が強く集積されることになり、耳率のばらつきがより
減じるためである。本発明では120mm以下の板厚での
圧延の圧延パス数を8パス以上と定める。なお、ここで
いう120mmとは圧延パスの開始板厚である。通常は5
パスまたは6パスで行われているが、8パス未満の場
合、圧延パス毎の圧延率が増しかつ最終パスまでの温度
低下が不十分であり、熱間圧延の最終パス近傍で板全体
に再結晶しやすくなり、耳率のばらつきを生じる。さら
に、圧延パス数が少なく析出量が少ないので、析出が進
むことで、幅・長手の析出量の差をなくする効果が不十
分であり冷間圧延後の焼鈍において再結晶挙動が異なり
耳率のばらつきが生じる。ここで各パスの圧下率は特に
定めないが、圧下率を40%以下で行った場合に圧延に
よる再結晶が防止され、特に安定した特性となる。な
お、各圧延パスの圧下率とは1つの圧延パス前後の板厚
をそれぞれtn、tn+1 とすると、 (tn −tn+1 )/tn ×100(%) で表したものである。120mmまでの圧延条件は本発明
では特に規定しないが、各パスの圧延率を120mmを超
えた板厚の圧延においても40%以下とした場合、12
0mmよりも厚い板厚から圧延集合組織が形成されること
になり、焼鈍前の圧延集合組織が強く集積されることに
なり、耳率のばらつきを減じるためにより効果的であ
る。120mm以下の板厚での温度は430℃以下が推奨
される。これは、ピックアップレベル向上と耳率の安定
化のためであり、後者については各圧延パスのパス間で
再結晶が進行しないようにするためである。430℃を
超えた温度で圧延を行う場合には、各圧延パスの圧下量
を30%以下とし、パスとパスとの間の時間を5分以内
に行うことが推奨される。本発明では120mm以下の圧
延について定めるが、特に30mm以上60mm以下の板厚
で圧延率30%以上で圧延を行う際にそのパスの圧延終
了温度が330℃以上400℃以下が望ましい。温度が
330℃未満では再結晶が十分に進行しない可能性があ
り、400℃を超えると再結晶粒が粗大化し、グレイン
ストリークやリビングマーク特性が低下することがあ
る。なお、本発明の耳率に関し、熱間圧延で再結晶が生
じていない状態とは、再結晶率が40%以下の状態をい
うものである。これは、熱間圧延の再結晶について問題
としているのは、圧延集合組織の集積が再結晶によって
減じる効果についてであり、再結晶率が40%以下であ
るとき、再結晶粒の大部分は圧延集合組織と同じ方位を
有する再結晶粒であり、圧延集合組織の集積の減少はほ
とんど生じないためである。したがって、30mm以上6
0mm以下の圧延開始板厚で行う圧延パスのうち少なくと
も1パスを120mm以下で数えるパスの5パス目以降で
かつ圧延率30%以上で行っても、この場合は最大で表
面から20%程度しか再結晶しないので耳率に対しては
ばらつきを減じる点で問題がなく、逆に、熱間圧延終了
時の圧延集合組織が過度に発達することを防止し、最終
製品の耳率を低くする働きを有する。熱間圧延は終了温
度が280℃以下になるように行う。280℃を超えた
温度で圧延が終了した場合、コイルの冷却中に冷却され
にくい中心部で再結晶を生じ、耳率のコイル内ばらつき
を惹き起こすためである。熱間圧延の終了板厚は、製品
板厚により定まるが本発明の冷間圧延条件を実施できる
板厚であればよく、通常3mm〜12mm程度であり、適用
される製品は1mm〜6mm程度である。なお、熱間圧延は
熱間粗圧延、仕上げ圧延と異なった圧延機で行ってもよ
く、また1つの圧延機で行ってもよい。熱間圧延を終了
したコイルは冷間圧延・焼鈍を行うが、本発明では、最
終製品板厚までの冷間圧延率を25%以上70%以下と
し、最終板厚で焼鈍を行うこととする。本発明では最終
製品板厚まで冷間圧延を行う途中で中間焼鈍を行う必要
がない。これは、グレインストリーク、リビングマーク
の発生を防止するためや耳率を低くするためには熱間圧
延条件をコントロールしているためである。冷間圧延率
を25%以上70%以下とする理由は耳率を低くするた
めである。本発明の熱間圧延条件で圧延を行った板材
は、焼鈍を行う前は圧延集合組織が強く発達し、析出量
のばらつきが小さい。そのため、焼鈍を行ったときに、
コイルの幅、長手に多少の組織差があってもほとんどそ
の影響を受けないため、耳率はコイル内でほぼ同じ値と
なるのである。しかし、圧延集合組織が強く発達した状
態で焼鈍を行うので、冷間圧延率を70%以下にしない
と45°方向で強い耳が発生してしまう。また、25%
未満の場合、焼鈍時の再結晶駆動力が小さく、耳率が0
−90°方向に高い値を示し、さらに再結晶粒径が大き
くなり肌荒れが発生する。通常は、肌荒れ防止には40
%以上の最終冷間圧延率が必要であるが、本発明では熱
間圧延時にひずみが蓄積された状態で冷間圧延が行われ
るので25%の冷間圧延率でも肌荒れを生じないのであ
る。ここでの最終冷間圧延率は耳率と表面品質との観点
から、50%程度が推奨される。なお、ここで冷間圧延
は1パスで行う必要はないが生産性の観点からは1パス
が推奨される。焼鈍条件であるが、完全に再結晶を生じ
る条件であれば特に規定しない。通常、バッチ式の焼鈍
であれば300℃〜450℃で0.5〜6時間程度であ
ればよいし、連続式の焼鈍であれば、430℃〜580
℃で0.5〜60秒程度であればよい。
【0007】
【実施例】以下に実施例にもとづき本発明を詳細に説明
する。表1に示す組成のアルミニウム合金を、通常の水
冷鋳造により、厚さ500mm、幅1000mmの鋳塊を各
1〜5本鋳造した。これを表2、3の均質化処理、面
削、熱間圧延の工程で熱間圧延コイルを作製した。ここ
で120mmまでの熱間圧延の各圧延パスの圧延量は30
〜90mmとした。得られた熱間圧延コイルを、表4の条
件にて冷間圧延、焼鈍を行い、O材コイルを作製した。
得られたコイルの長手方向の前、中、後部での、幅方向
の端部と中心部の6箇所について、ピックアップ、グレ
インストリーク、リビングマーク、肌荒れおよび耳率の
特性について調べた。結果を表5、6、7に示す。ここ
でピックアップは板表面を目視で、グレインストリーク
は板を王水でエッチング後目視で、リビングマーク、肌
荒れおよび耳率についてはブランク径61mm、ポンチ径
33mmでカップを絞り、リビングマーク、肌荒れについ
ては目視で、耳率については0−90°耳を+耳とし、
45°耳を−耳として評価した。
【0008】
【表1】
【0009】
【表2】
【0010】
【表3】
【0011】
【表4】
【0012】
【表5】
【0013】
【表6】
【0014】
【表7】
【0015】表5、6、7より明らかなように本発明法
を行ったものは、ピックアップ、グレインストリーク品
質に優れ、絞り加工においてリビングマークおよび肌荒
れが生じず、さらに耳率が低く、これら特性のばらつき
が少ないことが判る。
【0016】
【発明の効果】以上述べたように本発明製造方法によれ
ば、ピックアップ、グレインストリーク等の表面品質に
優れ、絞り加工においてリビングマークおよび肌荒れが
生じず、さらに耳率が低く、それら特性のコイル内での
ばらつきが少ない成形用アルミニウム合金板の製造が可
能であり、工業上顕著な効果を奏するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−271348(JP,A) 特開 平1−186202(JP,A) 特公 昭54−36891(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B21B 3/00 C22F 1/04 B21B 1/26

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 0.5wt%以下のSi、0.8wt%以下
    のFeを含有し、残部Alと不可避的不純物とからなる
    アルミニウム合金鋳塊を均質化処理後、熱間圧延、冷間
    圧延および焼鈍を行う成形用アルミニウム合金板の製造
    方法において、熱間圧延の際120mm以下の板厚での圧
    延を8パス以上のパス数で行い、30mm以上60mm以下
    で開始する熱間圧延パスのうち少なくとも1パスを12
    0mm以下より数えて5パス目以降かつ圧延率30%以上
    で行い、熱間圧延の終了温度を280℃以下とし、最終
    製品板厚までの冷間圧延率を25%以上70%以下と
    し、最終板厚で焼鈍を行うことを特徴とする成形用アル
    ミニウム合金板の製造方法。
  2. 【請求項2】 0.5wt%以下のSi、0.8wt%以下
    のFe、0.5wt%以下のCu、を含有し、残部Alと
    不可避的不純物とからなるアルミニウム合金鋳塊を均質
    化処理後、熱間圧延、冷間圧延および焼鈍を行う成形用
    アルミニウム合金板の製造方法において、熱間圧延の際
    120mm以下の板厚での圧延を8パス以上のパス数で行
    い、30mm以上60mm以下で開始する熱間圧延パスのう
    ち少なくとも1パスを120mm以下より数えて5パス目
    以降かつ圧延率30%以上で行い、熱間圧延の終了温度
    を280℃以下とし、最終製品板厚までの冷間圧延率を
    25%以上70%以下とし、最終板厚で焼鈍を行うこと
    を特徴とする成形用アルミニウム合金板の製造方法。
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