JP2000054046A - 薄箔用アルミニウム箔地及びその製造方法 - Google Patents
薄箔用アルミニウム箔地及びその製造方法Info
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Abstract
延及びピンホール特性を損なうことなく、箔を薄箔化で
きるアルミニウム箔地及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 Fe:0.3乃至1.0重量%、Si:
0.15重量%未満を含有し、残部がAl及び不可避的
不純物である組成のアルミニウム合金の溶湯を、凝固時
の冷却速度を0.3乃至3.0℃/secで半連続鋳造
し、面削した後、400乃至620℃の温度範囲で均質
化処理を施し、320乃至450℃の温度範囲で、1パ
ス当たり37乃至60%の圧延率で熱間粗圧延を行い、
終了温度が200乃至260℃の温度範囲となるように
仕上熱間圧延し、前記仕上熱間圧延終了後に圧延率50
%以上の冷間圧延を行い、300乃至450℃で中間焼
鈍を施し、更に冷間圧延をすることにより、粒径が0.
1乃至0.8μm以下の金属間化合物の平均粒子間距離
が0.7乃至2.5μmであり、平均結晶粒径が35μ
m以下であるアルミニウム箔地を製作する。このアミニ
ウム合金に添加されるCu及びTiの量は夫々0.02
重量%以下及び0.03重量%以下である。
Description
包装、フィルムコンデンサ、ラベル又はたばこ等に使用
される箔、特に箔厚が15μm以下の極薄のアルミニウ
ム箔用途に使用されるピンホール特性に優れるアルミニ
ウム箔地に関する。
ニウム合金は箔地材料としては、JIS1N30等の純
アルミニウム、8079合金又は8021合金等が使用
されている。なお、以下、純アルミニウム及びアルミニ
ウム合金を総称してアルミニウムという。アルミニウム
箔地は、一般的に、これらのアルミニウム鋳塊に均質化
処理、熱間圧延、冷間圧延及び中間焼鈍を施し、また、
必要に応じてその後、冷間圧延を施すことにより製造さ
れている。
延及び最終焼鈍を行うことによりアルミニウム箔が得ら
れる。ところで、5.5乃至7μmのアルミニウム箔が
実用化されているが、箔需要は6乃至7μmが大半であ
り、同じ厚さのアルミニウム箔は箔圧延での互換性の点
によりJIS1N30を使用したいとの要望が強い。一
般的に、箔厚の減少に伴う問題点としては、ピンホール
が著しく増加し、箔が本来有するべき性能である光、気
体及び液体等に対するバリアー性が低下すると共に、ピ
ンホールによる箔断裂が生じることが知られている。
われ、ピンホールはマット面うねりの最大のところがブ
ライト面オイルピット等と連結して生ずることが知られ
ている。また、ピンホールはオイルピット面等の表面欠
陥と比べて、主にマット粗度に支配されることも知られ
ている。更に、オイルピットは圧延条件(リダクション
・バックテンション)に主に支配され、マット面は結晶
粒の自由変形により形成されると考えられ、箔地により
支配される要因が大きい(特公平3−60562号公
報、軽金属学会第70回予行集33,34,35)。
Fe含有量の増加や均質化処理以降の製造条件変更によ
りFe固溶度を減少させ、結晶粒を微細化することによ
り加工硬化を抑制できる箔として特開昭63−2632
2号公報等に開示されている。また、他の元素を添加す
るものも知られていて、例えば、Ni、Mn及びCrの
添加により結晶粒の微細化及び加工硬化の抑制を発現す
ることができる箔として特開昭63−282228号公
報、特開昭63−282244号公報及び特開平8−3
3644号公報等に開示されている。
Ni、Mn、Crを添加するアルミニウム箔地では前述
のような互換性のメリットがない。また、JIS1N3
0相当の組成(Fe含有量のない場合)では、均質化処
理以降の製造条件変更により析出促進を行っても、箔厚
が6乃至7μmのアルミニウム箔を得る箔圧延において
は、大きな加工硬化の抑制効果を得られないばかりか、
工程変更によっては結晶粒が逆に大きくなってしまうこ
ともあり、ピンホールの発生量の増加及び圧延中に箔切
れの頻発を生じ易い等の問題があった。
であり、JIS1N30相当の組成であっても、箔圧延
及びピンホール特性を損なうことなく、箔を薄箔化でき
るアルミニウム箔地及びその製造方法を提供することを
目的とする。
ミニウム箔地は、Fe:0.3乃至1.0重量%、S
i:0.15重量%未満を含有し、残部がAl及び不可
避的不純物からなるアルミニウム合金において、粒径が
0.1乃至0.8μmの金属間化合物の平均粒子間距離
が0.7乃至2.5μmであると共に、前記アルミニウ
ム合金の平均結晶粒径が35μm以下であることを特徴
とする。
造方法は、Fe:0.3乃至1.0重量%、Si:0.
15重量%未満を含有し、残部がAl及び不可避的不純
物である組成のアルミニウム合金の溶湯を、凝固時の冷
却速度を0.3乃至3.0℃/secで半連続鋳造し、
面削した後、400乃至620℃の温度範囲で均質化処
理を施し、終了温度が200乃至260℃の温度範囲と
なるように仕上熱間圧延し、前記仕上熱間圧延終了後に
圧延率50%以上の冷間圧延を行い、300乃至450
℃で中間焼鈍を施し、更に冷間圧延をすることにより、
粒径が0.1乃至0.8μm以下の金属間化合物の平均
粒子間距離が0.7乃至2.5μmであると共に、平均
結晶粒径が35μm以下であるアルミニウム箔地を製作
することを特徴とする。
においては、320乃至450℃の温度範囲で、1パス
当たり37乃至60%の圧延率で熱間粗圧延を行うこと
が好ましい。
ム合金に添加するCuの添加量が0.02重量%以下で
あると共に、Tiの添加量も0.03重量%以下である
ことが好ましい。
却速度、均質化処理条件、冷間圧延率及び中間焼鈍条件
の制御により平均粒子間距離の適正化を図ることによ
り、箔圧延性に優れ、箔圧延後、ピンホールの発生数が
少ないアルミニウム箔地を得ることができる。
における温度範囲及び1パス当たりの圧延率並びに熱間
仕上圧延の終了温度を適正に組み合わせることにより、
結晶粒の微細化が図れる。
ミニウム箔及び箔地に関する研究から、ピンホールを少
なくすることは、マット面粗度を低くすること、即ち、
仕上箔圧延時の変形ブロックを微小化することが必要で
あることを見出した。更には、マット面は結晶粒サイズ
のみではなく、転位セルサイズの自由変形によっても形
成されることも見出した。また、ピンホールを少なくす
るには、加工硬化を抑制することが有効であることは知
られているが、これは、転位整理によるサブグレイン化
により達成されることも究明した。
ム箔地を開発するため、鋭意研究を重ねた結果、粒径が
0.1乃至0.8μmの金属間化合物の平均粒子間距離
を転位セルサイズに調整することが有効であることを見
出した。また、JIS1N30組成の場合には、この平
均粒子間距離の適正化は、従来行われてきた均質化処理
以降の製造条件変更のみでは、調整困難であり、鋳造条
件の適正化と均質化処理以降の箔地製造条件を組合わせ
て制御すると共に、箔圧延の温度領域を管理することに
より、その目的が達成されることを見出した。本発明は
この知見に基づいてなされたものである。
至1.0重量%、Si:0.15重量%未満を含有し、
残部がAl及び不可避的不純物である組成のアルミニウ
ム合金の溶湯を、凝固時の冷却速度を0.3乃至3.0
℃/secで半連続鋳造し、面削した後、400乃至6
20℃の温度範囲で均質化処理を施し、320乃至45
0℃の温度範囲で、1パス当たり37乃至60%の圧延
率で熱間粗圧延を行い、終了温度が200乃至260℃
の温度範囲となるように仕上熱間圧延し、前記仕上熱間
圧延終了後に圧延率50%以上の冷間圧延を行い、30
0乃至450℃で中間焼鈍を施し、更に冷間圧延をする
ことにより、粒径が0.1乃至0.8μm以下の金属間
化合物の平均粒子間距離が0.7乃至2.5μmである
と共に、平均結晶粒径が35μm以下であるアルミニウ
ム箔地を製作する。
成分限定理由について説明する。
ム中において他の元素と結合してAl−Fe系の金属間
化合物を生成する元素である。また、このAl−Fe系
の金属間化合物は、再結晶の核として作用するために、
Fe添加は結晶粒の微細化に効果がある。Fe含有量が
0.3重量%未満の場合では、鋳造時に晶出する金属間
化合物の数が不十分であり、結晶粒を微細化する効果を
得にくい。一方、Fe含有量が1.0重量%を超える場
合には、Al−Fe系の金属間化合物の数が多く形成さ
れるので、結晶粒の微細化効果は大きいが、箔圧延時の
変形抵抗が増大するため、圧延性が極端に低下する。従
って、Fe含有量は0.3乃至1.0重量%とする。
は、粗大なAl−Fe−Si系金属間化合物を生成し易
く、ピンホールが増大する原因となるため、少ない方が
良い。このため、Si含有量は0.15重量%未満であ
ることが望ましい。
物の平均粒子間距離:0.7乃至2.5μm 粒径が0.1乃至0.8μmの金属間化合物は、主に析
出物であり、均質化処理、熱間圧延及び中間焼鈍にて生
成する。これらの金属間化合物の分布は、箔圧延中の転
位蓄積及び整理に作用するために、その後の重合圧延に
おけるセルオーダーの変形ブロックサイズに影響を及ぼ
す。金属間化合物の平均粒子間距離が0.7μm未満の
場合には、重合圧延前パスで転位蓄積が過多となり、後
の重合圧延にて個々のセルがピン止めされ、複数の転位
セル単位での変形ブロックとなるために、マット面が粗
くなり、ピンホールが多発する。一方、変形ブロックサ
イズの金属間化合物の平均粒子間距離が2.5μmを超
える場合には、重合圧延前パスでの転位整理は容易とな
り、単一セルでの変形ブロックとなるが、粗大セルが形
成され易いために、マット面が粗くなり、ピンホールが
多発する。従って、粒径が0.1乃至0.8μmの金属
間化合物の平均粒子間距離は0.7乃至2.5μmとす
る。
結晶粒径は、重合圧延における変形ブロックサイズと軟
質強度に影響を及ぼす。平均結晶粒径が35μmを超え
る場合には、マット面粗度が粗くなり、ピンホールの多
発を招くと共に、軟質強度が不足する。
化によるO材強度の向上に有効であり、必要に応じて添
加しても良い。Cu含有量が0.005重量%未満の場
合には、固溶硬化が不十分であり、O材強度を向上する
強度を得にくい。一方、Cu含有量が0.02重量%を
超える場合には、固溶硬化の程度が大きすぎ、箔圧延時
の変形抵抗が増大するため、圧延性が極端に低下する。
従って、Cuは、0.02重量%以下であれば、必要に
応じて添加しても良い。
加され、鋳塊組織を微細化するために使用される。箔圧
延後に筋模様が問題となる場合には、0.03重量%以
下の範囲で添加しても良いが、添加しないで羽毛状晶と
した方が鋳塊で晶出する金属間化合物が微細になるた
め、筋模様に支障がなければTiは少ない方が好まし
い。従ってTiは、0.03重量%以下であれば、必要
に応じて添加しても良い。
ては、Mn,Mg,Zn,Cr,V,Zr,Bi,S
n,In,Pb等が挙げられるが、JIS1100及J
IS1N30程度の含有範囲であれば本発明の目的を損
なうものではない。
製造方法における条件処理の限定理由について説明す
る。
sec 前述のように、箔として優れたピンホール特性を発現す
るためには、箔地で粒径が0.1乃至0.8μmの金属
間化合物の平均粒子間距離を適性化する必要がある。こ
の平均粒子間距離の適性化は、従来行われてきた均質化
処理以降の製造条件の変更のみでは調整困難であり、鋳
造条件の適正化と均質化処理以降の箔地製造条件を組合
わせて制御することにより、その目的は達成される。即
ち、凝固時の冷却速度を適正化することは平均粒子間距
離を適正化することとなり、ピンホールの低減に寄与す
る。
えた場合には、造塊されたスラブは、その後の均質化処
理、熱間圧延処理及び中間焼鈍により、過飽和固溶した
Feが微細析出物として排出され、粒径が0.3μm以
下の析出物数を極端に増加させ、粒径が0.1乃至0.
8μmの金属間化合物の平均粒子間距離が狭くなり、ピ
ンホールの多発を招く。一方、0.3℃/sec未満の
場合には、グラススクリーン内で浮遊晶を生じるため、
圧延用スラブとして造塊することは困難となる。従っ
て、凝固時の冷却速度は0.3乃至3.0℃/secと
する。好ましくは、凝固時の冷却速度は0.3乃至2.
4℃/secである。
化処理を施す。この均質化処理は、固溶及び析出調整を
目的として行われ、粒径が0.1乃至0.8μmの金属
間化合物の平均粒子間距離を適正化する重要な処理であ
り、ピンホールの低減に寄与する。均質化処理温度が4
00℃未満の場合には、固溶元素の析出による析出数が
不十分となり、平均粒子間距離を広くするため、ピンホ
ールの多発を招く。なお、長時間の焼鈍を行う場合には
均質化処理温度が400℃未満でも固溶元素が充分に析
出するが、生産効率が悪くなるために好ましくない。一
方、均質化処理温度が620℃を超える場合には、固溶
元素の析出による析出数が不十分となり、平均粒子間距
離を広くするため、ピンホールの多発を招く。従って、
均質化処理温度は、400乃至620℃とする。この均
質化処理時間は特に規定するものではないが、工業的な
生産を考慮すると2時間以上行うことが好ましい。
50℃ 前述の均質処理の後、熱間圧延し、次に冷間圧延を施
し、更に中間焼鈍する。この焼鈍は固溶元素の析出及び
再結晶を目的として行われるものであるが、前述の平均
粒子間距離は、中間焼鈍温度と圧延率に影響される。圧
延率が50%未満又は、中間焼鈍温度が300℃未満の
場合には、固溶元素の析出による析出数が不十分とな
り、平均粒子間距離を広くするため、ピンホールの多発
を招く。なお、長時間の焼鈍を行う場合には中間焼鈍温
度が300℃未満でも固溶元素が充分に析出するが、生
産効率が悪くなるために好ましくない。一方、中間焼鈍
温度が450℃を超える場合には、固溶元素の析出によ
る析出数が不十分となり、平均粒子間距離を広くするた
め、ピンホールの多発を招くと共に、平均結晶粒径が粗
大化し、O材強度も不足する。従って、中間焼鈍温度は
300乃至450℃とする。この中間焼鈍時間は特に規
定するものではないが、2時間以上行うことが好まし
い。
℃ 箔地の結晶粒微細化を図るには熱間仕上圧延を低温で終
了することにより、再結晶核を増加させることが有効で
ある。即ち、再結晶核の増加は、仕上熱間圧延温度によ
り変化し、熱間圧延終了温度を低温にすることでホット
コイルの厚みを厚くすることなくR方位を増加させ、中
間焼鈍での再結晶粒微細化を図ることができる。仕上熱
間圧延終了温度が200℃未満の場合には、箔地として
必要なコイル形状が得られず、箔圧延での圧延性に劣
る。一方、仕上熱間圧延終了温度が260℃を超える場
合には、R方位強度が不足し、中間焼鈍であまり微細な
再結晶粒が得られない。従って、結晶粒微細化するため
に、仕上熱間圧延終了温度を200乃至260℃の範囲
で終了する必要がある。
当たり圧延率:37乃至60% O材強度の向上及びマット面粗度の低減には、結晶粒の
微細化も有効である。熱間粗圧延で確実な再結晶を繰り
返すことは、結晶粒微細化に有効であるために、必要に
応じて熱間粗圧延を施しても良い。この再結晶粒径の適
正化には、熱間圧延での1パス当たりの圧延率と温度範
囲とを適正化する必要がある。1パス当たりの圧延率が
37%未満又は、熱間粗圧延温度が320℃未満の場合
には、再結晶に至らず、結晶粒の微細化の程度が不足す
る。一方、1パス当たりの圧延率が60%を超える又
は、熱間粗圧延温度が450℃を超える場合には、再結
晶に伴う粒成長が生じ、結晶粒が粗大化する。従って、
必要に応じて結晶粒を微細化する場合には、熱間粗圧延
を320乃至450℃で1パス当たりの圧延率を37乃
至60%で行っても良い。
てその比較例と比較して具体的に説明する。
表1に示す凝固時の冷却速度で半連続鋳造し、スラブを
面削した後、550℃の温度で5時間の均質化処理を行
い、その直後に熱間圧延を開始し、240℃で熱間圧延
を終了し、板厚5mmのアルミニウム板を得た。その
後、圧延率86%で冷間圧延を行い、得た板を375℃
の温度で4時間の中間焼鈍を行った。更に、冷間圧延し
て、厚さが0.3mmのアルミニウム箔地を製作した。
得られたアルミニウム箔地を表1に示す温度で箔圧延
し、最終焼鈍することにより厚さが6μmのアルミニウ
ム箔を製作した。
おける圧延性について評価した。但し、圧延性評価欄に
おいて、○(良好)は圧延時において円滑に圧延できた
ことを示し、×(不良)は同一圧延条件において、薄肉
化が困難であるか、強度不足により圧延速度を速くでき
ない又は板厚分布等の平面性制御が困難等のトラブルが
発生する傾向が強いことを示す。また、造塊時に浮遊晶
の発生により、圧延用としてスラブが取れなかったもの
も×(不良)とした。
を幅が15mm、有効長さが100mmの短冊状に形成
した試験片を製作した。試験片をインストロン式の引張
試験機により引張強さを測定し、これをO材の強度とし
た。O材の強度は、60MPa未満が劣り、60乃至7
5MPaが優れ、75MPaを超えるものが特に優れる
ことを示す。
について、ピンホール検知機により1m3当たりのピン
ホール数(直径5μm以上のもの)を測定した。ピンホ
ールは100個/m2以下が優れる。
間距離及び平均結晶粒径は以下により測定した。凝固時
の冷却速度は、造塊後の鋳塊により湯底側の定常部を採
取し、次に長辺面中央部の表皮より100mmの位置よ
り小片を採取し、更に電解研磨の後に交線法と二次枝法
にてDASを測定することにより算出した。詳細には、
軽金属学会の研究報告書No.20「アルミニウムのデン
トライトアームスペーシングと冷却速度の測定法」に記
載の方法にて行い、交線法と二次枝法との測定値補正は
数式1に示される経験式を使用した。凝固時の冷却速度
の算出については、Fe量が0.65重量%以下の場合
は数式2を用い、Fe量が0.65重量%を超える場合
は数式3を用いて算出する。
S
8μmの金属間化合物の平均粒子間距離である。この平
均粒子間距離は、透過型電子顕微鏡と画像処理装置を使
用し、測定した。即ち、アルミニウム箔地より7.5m
m角の小片を採取し、箔厚0.1mmに研磨後、直径3
mmの円盤状に打ち抜く。これを温度350℃、時間5
分の条件で転位除去処理を行い、次に、ジェット研磨に
より箔厚が5μmの観察サンプルを作製した。これらを
倍率10000倍にて析出物の観察をし、総面積が35
12μm2になる視野数の写真を撮影した。また、この
観察の際に、フリンジ法により観察点の厚さも測定する
ことにより、観察体積を算出した。更に、この観察体積
と画像処理によりカウントした粒径が0.1乃至0.8
μmの総金属間化合物の数とにより平均粒子間距離を算
出した。
り小片を採取し、電解研磨後に偏光光学顕微鏡により倍
率100倍で撮影した写真から、交線法を用いて算出し
た。
O材強度の測定条件に基づいて評価し、又は測定した結
果を表2に示す。
至6は、良好な圧延性を得た。また、ピンホール数及び
O材強度に関しても実施例No.1乃至6は、好ましい値
であり、全体に亘って良好なアルミニウム箔を得ること
ができた。
びO材強度は良好であるものの、過剰なFeの添加によ
り圧延性が低下した。比較例No.21は、圧延性は、良
好であったが、Feの添加不足により結晶粒を微細にす
ることができないために、ピンホール数及びO材強度が
実施例に比べて劣った。比較例22及び24は、圧延性
及びO材強度は良好であったが、比較例No.22は過剰
なSiの添加により、比較例No.24は過剰なTiの添
加により、多量のピンホールが発生した。比較例No.2
3は、O材強度は良好なものの、過剰なCuの添加によ
り、圧延性が不良で及びピンホールの発生量が多かっ
た。
性及びO材強度は良好であるものの、凝固時の冷却速度
が請求項に規定される範囲よりも速すぎ、平均粒子間距
離が狭くなった。このためにマット面が粗くなり、極め
て多量のピンホールが発生した。比較例25、27、2
9及び31は、凝固時の冷却速度が請求項に規定される
範囲よりも遅すぎ、グラススクリーン内で浮遊晶を生じ
たために、圧延用スラブが製作できなかったものであ
る。
凝固時の冷却速度がそれぞれ同じ鋳塊について、面削し
た後、表3に示す均質化処理を施し、その直後に仕上熱
間圧延を開始し表3に示す温度で圧延を終了し、板厚5
mmのアルミニウム板を得た。その後、表3に示す圧延
率及び焼鈍温度で冷間圧延及び中間焼鈍を行った。更
に、冷間圧延して、厚さ0.3mmのアルミニウム箔地
を製作した。得られたアルミニウム箔地を箔圧延し、最
終焼鈍することにより、厚さが6μmのアルミニウム箔
を製作した。
及び圧延評価基準並びにピンホール特性及びO材強度の
測定条件に基づいて評価及び測定した結果を表4に示
す。
7乃至12については、良好な圧延性を得た。また、ピ
ンホール数及びO材強度についても同様に実施例No.7
乃至12については、好ましい値であり、全体に亘って
良好な箔を得ることができた。
については良好であった。しかしながら、比較例No.3
3乃至44においては、均質化処理温度、仕上熱間圧延
終了温度又は中間焼鈍温度若しくは圧延率が請求項に規
定する範囲から外れているために、平均粒子間距離が広
くなり、マット面が粗くなり、ピンホールが多発した。
凝固時の冷却速度がそれぞれ同じ鋳塊について、面削し
た後、温度600℃で8時間の均質化処理を行い、その
直後に熱間圧延を開始し表3に示す熱間粗圧延及び熱間
仕上圧延を行い、板厚5mmのアルミニウム板を得た。
その後、圧延率86%で冷間圧延を行い、得た板を温度
350℃で6時間の中間焼鈍を行った。更に、冷間圧延
をして、厚さ0.3mmのアルミニウム箔地を製作し
た。得られたアルミニウム箔地を箔圧延し、最終焼鈍す
ることにより、厚さが6μmのアルミニウム箔を製作し
た。
及び圧延評価基準並びにピンホール特性及びO材強度の
測定条件に基づいて評価及び測定した結果を表6に示
す。
13乃至15については、良好な圧延性を得た。また、
ピンホール数及びO材強度についても同様に実施例No.
13乃至15については、好ましい値であり、第1実施
例及び第2実施例に示す実施例No.1乃至12と比較し
て化学成分が同一であっても、80MPa以上の高いレ
ベルのO材強度を得ることができ、全体に亘って良好な
箔を得ることができた。
度は良好であったが、仕上熱間圧延終了温度が請求項に
規定する範囲よりも終了温度が低い。このために、良好
なコイル形状を得ることができないと共に、箔圧延性及
びピンホール特性に劣る。比較例No.46、47及び4
8は、箔圧延性、ピンホール数及びO材強度は良好であ
るが、第1実施例及び第2実施例に示される実施例No.
1乃至12と比較しても評価項目の特性は同等であり、
特に優れたものではない。比較例No.47及び49は、
圧延性及びピンホール数は良好であったが、熱間粗圧延
の温度範囲又は圧延率が請求項に規定する範囲より高い
ために、結晶粒成長が促進されて結晶粒が粗大化して、
O材強度が優れることはない。従って、第1実施例及び
第2実施例に示される実施例No.1乃至12と比較して
も評価項目の特性は同等であり、特に優れたものではな
い。
造凝固時の冷却速度、均質化処理条件、仕上熱間圧延終
了温度、冷間圧延率及び中間焼鈍条件の制御により平均
粒子間距離の適正化を図ることにより、箔圧延性に優
れ、箔圧延後、ピンホールの発生数が少ないアルミニウ
ム箔地を得ることができる。
る温度範囲及び1パス当たりの圧延率並びに仕上熱間圧
延の終了温度を適正化に組み合わせることにより、結晶
粒の微細化が図れ、箔圧延性が優れ、箔圧延後のピンホ
ールの発生数が少ないと共に、O材強度にも優れるアル
ミニウム箔地を得ることができる。
Claims (7)
- 【請求項1】 Fe:0.3乃至1.0重量%、Si:
0.15重量%未満を含有し、残部がAl及び不可避的
不純物からなるアルミニウム合金において、粒径が0.
1乃至0.8μmの金属間化合物の平均粒子間距離が
0.7乃至2.5μmであると共に、前記アルミニウム
合金の平均結晶粒径が35μm以下であることを特徴と
する薄箔用アルミニウム箔地。 - 【請求項2】 前記アルミニウム合金に添加するCuの
添加量が0.02重量%以下であることを特徴とする請
求項1に記載の薄箔用アルミニウム箔地。 - 【請求項3】 前記アルミニウム合金に添加するTiの
添加量が0.03重量%以下であることを特徴とする請
求項1又は2に記載の薄箔用アルミニウム箔地。 - 【請求項4】 Fe:0.3乃至1.0重量%、Si:
0.15重量%未満を含有し、残部がAl及び不可避的
不純物である組成のアルミニウム合金の溶湯を、凝固時
の冷却速度を0.3乃至3.0℃/secで半連続鋳造
し、面削した後、400乃至620℃の温度範囲で均質
化処理を施し、終了温度が200乃至260℃の温度範
囲となるように仕上熱間圧延し、前記仕上熱間圧延終了
後に圧延率50%以上の冷間圧延を行い、300乃至4
50℃で中間焼鈍を施し、更に冷間圧延をすることによ
り、粒径が0.1乃至0.8μm以下の金属間化合物の
平均粒子間距離が0.7乃至2.5μmであると共に、
平均結晶粒径が35μm以下であるアルミニウム箔地を
製作することを特徴とする薄箔用アルミニウム箔地の製
造方法。 - 【請求項5】 320乃至450℃の温度範囲で、1パ
ス当たり37乃至60%の圧延率で熱間粗圧延を行うこ
とを特徴とする請求項4に記載の薄箔用アルミニウム箔
地の製造方法。 - 【請求項6】 前記アルミニウム合金に添加するCuの
添加量が0.02重量%以下であることを特徴とする請
求項4又は5に記載の薄箔用アルミニウム箔地の製造方
法。 - 【請求項7】 前記アルミニウム合金に添加するTiの
添加量が0.03重量%以下であることを特徴とする請
求項4乃至6のいずれか1項に記載の薄箔用アルミニウ
ム箔地の製造方法。
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