JP5060253B2 - アルミニウム圧延板およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車用部材、平板印刷版支持体、一般用器物等の素材として使用される純アルミニウム圧延板およびその製造方法に関する。
JIS 1050、JIS 1100等の1000系の工業用純アルミニウム(Al:99.0質量%以上)は成形性に特に優れているため、オイルパン、ヒートインシュレータ等の自動車用部材、平板印刷版支持体、一般用器物等の素材として広く用いられる。一般的に、アルミニウムおよびアルミニウム合金板は、板材とする成分のアルミニウムまたはアルミニウム合金の鋳塊を均質化熱処理後、粗圧延および仕上げ圧延の2回の熱間圧延、中間焼鈍を伴う冷間圧延、および最終焼鈍という基本的な工程をとって、板材に製造される。
従来、純アルミニウムの熱間圧延では、圧延板の表面近傍領域は、圧延面の法線方向の結晶方位が、結晶粒の粗大な<001>である集合組織が主となり、再結晶粒微細化が困難であった。それにより、その後冷間圧延した板材や加工された製品の表面におけるリジングマーク等外観不良の原因となっていた。さらに、この<001>//ND集合組織は成形性に劣ることもあり、再結晶集合組織の圧延面法線方向の結晶方位を<111>とする開発が行われている。例えば、特許文献1には、添加されたFeの固溶量および熱間圧延における温度と歪み速度を制御することで結晶粒を微細する技術が開示されている。また、特許文献2には、Mgの添加と温間圧延における温度とその圧下率の制御により<111>//ND集合組織を発達させる技術が開示されている。そして、特許文献3,4には、上下のロールの周速度が異なる異周速圧延により、また、特許文献5には、冷間ないし温間圧延において減圧下で無潤滑圧延を施すことにより、それぞれせん断変形を生じさせて<111>//ND集合組織を発達させる技術が開示されている。
一方、平板印刷版支持体の素材とする場合のように、その表面に陽極酸化による耐食処理や、化学的または電気化学的エッチングによる粗面化を施して使用されることがある。このような粗面化された表面は、その凹凸の大きさが均一となる必要がある。特許文献6には、熱間粗圧延における温度、圧延速度および圧下率の制御により、結晶粒を微細化し、また、再結晶集合組織の結晶方位を分散させる技術が開示されている。
特開2002−129269号公報(段落0022,0025) 特開平7−41896号公報(段落0014,0025〜0026) 特開2003−305503号公報(段落0009〜0010) 特開2005−139495号公報(段落0021,0033〜0039) 特開2003−266104号公報(段落0013〜0014) 特開平11−335761号公報(段落0041〜0045)
しかしながら、特許文献1に開示の技術は、熱間圧延における諸条件の制御が困難である。また、特許文献2,4に開示の技術においても、Mg添加により、他に求められる特性、例えばエッチング性等の表面性状や機械的特性等が、Mgが入っていない成分系に比して安定性が低下するという問題がある。特許文献3に開示の技術は、<111>//ND集合組織を、表面の10%を面積率の下限としており、<001>//ND集合組織の抑制が不十分である。特許文献5に開示の技術は、減圧装置等の設備投資を必要とする。一方、特許文献6に開示の技術は、板表面に表れる組織のみを制御しているので、さらに冷間圧延等を施した場合に十分な表面性状が保持できない虞がある。
本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、表面性状に優れた純アルミニウム圧延板、特に、冷間圧延を施しても優れた表面性状を保持できる純アルミニウム圧延板を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明者らは、板材の表面近傍領域の<111>//ND再結晶集合組織を発達させることにした。そして、熱間仕上げ圧延において、圧下率を大きくすることにより再結晶粒を微細化し、先進率を大きくすることによりせん断変形を生じさせて<111>//ND再結晶集合組織を発達させる方法、およびその方法により製造された圧延板を発明するに至った。
すなわち、請求項1に係るアルミニウム圧延板は、純度99%以上の工業用純アルミニウムからなる板厚2〜10mmのアルミニウム圧延板であって、前記アルミニウム圧延板の表面から板厚方向に500μmまでの表面近傍領域において、圧延方向の平均結晶粒径が100μm以下であり、前記表面近傍領域の25%以上が<111>//ND再結晶集合組織であり、板厚0.2mmに冷間圧延した後、20℃の王水にて前記表面を30秒間エッチングして形成されたストリークが、前記圧延方向長さ平均1cm未満であることを特徴とする。
このように、アルミニウム圧延板の表面近傍領域における結晶粒径および結晶方位を特定の範囲に制御したことにより、表面性状に優れたアルミニウム圧延板とすることが可能である。
また、請求項2に係るアルミニウム圧延板の製造方法は、純度99%以上の工業用純アルミニウムからなる鋳塊を460℃以上で2時間以上の均熱処理を行う均熱処理工程と、前記均熱処理を施した鋳塊に熱間圧延を施して板厚2〜10mmのアルミニウム圧延板とする仕上げ圧延工程と、を含み、前記仕上げ圧延工程は、その最終パスにおいて、圧下率60〜80%、先進率5.5〜10.0%、終了温度320〜360℃で行うことを特徴とする。
このように、仕上げ圧延工程の条件を制御することにより、表面近傍領域における結晶粒径および結晶方位が制御された表面性状に優れたアルミニウム圧延板を製造することが可能である。
請求項1に係るアルミニウム圧延板によれば、冷間圧延を施しても優れた表面性状を保持できる純アルミニウム圧延板が得られる。また、請求項2に係るアルミニウム圧延板の製造方法によれば、冷間圧延を施しても優れた表面性状を保持できる純アルミニウム圧延板が容易に得られる。
以下、本発明に係るアルミニウム圧延板を実現するための最良の形態について説明する。本発明に係るアルミニウム圧延板は、1000系アルミニウム等の、純度99%以上すなわちAlの含有量が99質量%以上のいわゆる純アルミニウムに相当するものからなり、Al以外に、Fe、Si、その他不可避的不純物を含有する。以下に、本発明に係るアルミニウム圧延板を構成する各要素について説明する。
Feはアルミニウム圧延板の電解エッチング面に均一な凹凸を形成する作用を有する元素である。また、Feは他の元素と結合し、Al−Fe−Si系金属間化合物を形成する。この金属間化合物は、再結晶粒を微細化する効果を有すると共に、均一な凹凸を有する粗面化面を形成する効果も有している。これらの効果は、Fe含有量が0.20質量%未満では小さい。しかしながら、Fe含有量が0.50質量%を超えると、粗大な化合物が形成されることによって再結晶粒が粗大化して、粗面化面が不均一になったり、肌荒れ等の外観不良となる。したがって、Fe含有量は0.50質量%以下が好ましく、0.20〜0.40質量%がさらに好ましい。
SiはAl−Fe−Si系金属間化合物を形成し、熱間圧延時に再結晶粒の核として作用するので、熱間圧延時に形成される再結晶粒を微細化する効果を有する。しかしながら、Si含有量が0.25質量%を超えると、粗大な化合物が形成されることによって再結晶粒が粗大化して、粗面化面が不均一になったり、肌荒れ等の外観不良となる。したがって、Si含有量は0.25質量%以下が好ましく、0.10質量%以下がさらに好ましい。
なお、本発明におけるアルミニウム圧延板は、不可避的不純物として、前述した以外の金属が含有されることがあるが、Ti:0.05質量%以下、Cu,Mn,Mg,Zn等がそれぞれ0.20質量%以下であれば、本発明の効果を阻害しない。
また、本発明に係るアルミニウム圧延板は、板厚が2〜10mmであり、表面から板厚方向に500μmまでの表面近傍領域(図1参照)において、圧延方向の平均結晶粒径が100μm以下であり、この領域の25%以上が<111>//ND再結晶集合組織である。表面近傍領域における平均結晶粒径および結晶方位を制御することで、結晶粒を微細なものとし、そのばらつきも抑制できるので、エッチング等の表面処理における表面性状を良好なものとすることができる。また、表面近傍領域を表面から500μmまでの深さとすることで、本発明に係るアルミニウム圧延板にさらに冷間圧延を施しても表面性状を良好なものに保持できる。この良好な表面性状とは、板厚0.2mmに冷間圧延したアルミニウム圧延板に20℃の王水で30秒間エッチングして形成されたストリークの圧延方向の平均長さが1cm未満であることとする。
(板厚:2〜10mm)
仕上げ圧延完了時の板厚を2mm未満にすると、コイル状に巻き取ることが困難になる。また、板厚が10mmを超えても巻き取りにくくなる。したがって、仕上げ圧延後の板厚は2〜10mmとする。
(圧延方向の平均結晶粒径:100μm以下)
図1に示すように、本発明における結晶粒径は圧延方向に平行な向きの最大長さと定義する。これは、再結晶粒が圧延方向に沿って伸長して、この方向に最も長くなるからである。再結晶粒は小さいほど外観に優れた表面となる。平均結晶粒径が100μmを超えると、成形加工後の肌荒れや、粗面化処理された表面の凹凸の大きさが不均一になる原因になる。したがって、平均結晶粒径は圧延方向で100μm以下とし、好ましくは70μm以下である。
(<111>//ND再結晶集合組織:25%以上)
本発明における<111>//ND再結晶集合組織は、圧延面法線方向(ND)の結晶方位が<111>である結晶粒の集まりをいう。この<111>//ND再結晶集合組織が25%未満では、結晶粒の粗大な<001>//ND再結晶集合組織の発達を抑制できない。したがって、<111>//ND再結晶集合組織の占める割合は25%以上とし、好ましくは40%以上である。なお、本発明における結晶方位は、±15°以内のずれは同一の結晶方位に属するものと定義する。
(板厚0.2mmに冷間圧延した後の表面に20℃の王水で30秒間エッチングして形成されたストリークの圧延方向長さ:平均1cm未満)
本発明における表面性状は、本発明に係るアルミニウム圧延板をさらに冷間圧延した後の表面性状を含む。このような表面性状の評価は、この冷間圧延板の表面を王水にてエッチングして形成されるストリーク(筋模様)の大きさで判定する。板厚0.2mmに冷間圧延したアルミニウム圧延板に20℃の王水で30秒間エッチングして形成されたストリークの圧延方向の平均長さが1cm以上であると、このようなアルミニウム圧延板は、冷間圧延、成形加工等を施した際にリジングマーク等の外観不良が発生したり、粗面化処理を施すと粗面化面が不均一になる虞がある。したがって、20℃の王水で30秒間エッチングして形成されたストリークの圧延方向長さは平均で1cm未満とする。好ましくは、平均0.5cm未満である。ここで、平均1cm未満とは、最も長いものから最も短いものを含めた平均が1cm未満であることを意味する。
次に、本発明に係るアルミニウム圧延板の好適な製造方法について説明する。本発明のアルミニウム圧延板は、前述した成分を有するアルミニウム鋳塊を、必要に応じて面削、均質化熱処理し(均熱処理工程)、この鋳塊に熱間圧延を施して所望の厚さとして(仕上げ圧延工程)製造される。以下に、各工程の条件について説明する。
〔均熱処理工程:460℃以上、2時間以上〕
アルミニウム鋳塊からアルミニウム圧延板を圧延により製造する場合に、この鋳塊を圧延する前に、所定温度で均熱処理することが必要である。均熱処理を施すことによって、鋳造時に晶出した金属間化合物を拡散固溶させてミクロ偏析を軽減する。均熱処理温度が460℃未満では、アルミニウム鋳塊の均質化が不十分であるため、<111>//ND再結晶集合組織が十分に発達しない。また、2時間未満では、アルミニウム鋳塊の均質化が完了しない虞がある。一方、均熱処理温度がアルミニウム鋳塊の溶融温度(640〜660℃)に達すると溶融する。したがって、均熱処理は460℃以上、溶融温度未満で2時間以上行う。
〔仕上げ圧延工程〕
仕上げ圧延は、通常、3〜4基の圧延スタンドが連なったタンデム圧延機で行われ、その最後の圧延スタンドによる熱間圧延、すなわち最終パスにおいて、圧下率60〜80%、先進率5.5〜10.0%、終了温度320〜360℃で行う。
(圧下率:60〜80%)
熱間仕上げ圧延の圧下率が増加すると、圧延板の蓄積ひずみが増加することにより再結晶核形成サイトが増加するため、再結晶粒が微細化する。また、圧下率が増加すると、ロールと圧延板との摩擦が増加するため、圧延板にせん断変形が生じる。圧下率が60%未満では蓄積ひずみが不足して、再結晶粒が粗大化する。また、ロールとの摩擦が小さくて、せん断変形が不十分となる。一方、圧下率が80%を超えても、せん断変形が小さくなって<111>//ND再結晶集合組織が形成されない。したがって、熱間仕上げ圧延の最終パスの圧下率は60〜80%とする。
(先進率:5.5〜10.0%)
先進率とはロール周速度と圧延出側の板速度との比であり、この値が大きいとロールと圧延板との摩擦における摩擦係数が大きくなる。従来、1〜2%程度としている熱間仕上げ圧延の先進率を、5.5〜10.0%に制御し、かつ圧下率を60〜80%に制御することにより、ロールと圧延板との摩擦を大きくすることができる。そして、この摩擦によりせん断変形が生じて、圧延板の表面から板厚方向に500μmまでの表面近傍領域の25%以上を<111>//ND再結晶集合組織とすることができる。先進率が5.5%未満では、せん断変形が小さくて<111>//ND再結晶集合組織が十分に形成されず、<001>//ND再結晶集合組織が多く発達して結晶粒が粗大化し易くなる。特に、表面から板厚方向へ離れる(深くなる)ほどせん断変形は小さくなるので、表面から500μm離れた領域にまで<111>//ND再結晶集合組織が十分に形成されない。一方、先進率が10.0%を超えると、圧延板の表面に焼き付きが発生して外観が悪くなる。したがって、熱間仕上げ圧延の最終パスの先進率は5.5〜10.0%とする。なお、先進率は圧延時の潤滑性を調整することにより制御する。例えば、クーラントに潤滑成分が入っている場合はクーラント量を調整する。
(終了温度:320〜360℃)
熱間仕上げ圧延の終了時で圧延板の温度が320℃未満では、熱間仕上げ圧延の最終パスにおいて再結晶の進行が不十分で、<111>//ND再結晶集合組織が十分に発達しない。一方、360℃を超えていると、結晶粒界の移動速度が増加して再結晶粒が粗大化する。また、熱間仕上げ圧延の最終パスにおいて、温度が高いとせん断変形しやすい一方で、回復も進みやすい。すなわち、圧延終了時で360℃を超えていると、圧延終了後にせん断変形から回復してしまい、<111>//ND再結晶集合組織が減少する。したがって、熱間仕上げ圧延の終了温度は320〜360℃とする。
なお、熱間仕上げ圧延の開始温度は、再結晶が生じ、かつ圧延板が溶融しない350〜600℃の範囲が好ましく、さらに、圧延(最終パス)終了時に前記終了温度の範囲となるように設定する。
仕上げ圧延工程の前に、鋳塊に熱間圧延を施して厚板とし(粗圧延)、この厚板に仕上げ圧延を施してもよい。粗圧延は、350〜600℃の温度範囲で行うことが好ましい。これは、次の仕上げ圧延工程において、再結晶組織を得るために必要な熱間圧延開始温度とするためである。
本発明に係るアルミニウム圧延板に冷間圧延を施して所望の厚さの板や箔としてもよい。また、冷間圧延の前および途中には適宜焼鈍を施してもよい。
以上、本発明を実施するための最良の形態について述べてきたが、以下に、本発明の効果を確認した実施例を、本発明の要件を満たさない比較例と比較して具体的に説明する。なお、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(供試材作製)
表1に示す組成を有する鋳塊を表1に示す温度で2時間均熱処理し、450℃で粗圧延を施した。さらに表1に示す条件で仕上げ圧延を施して供試材とした。なお、仕上げ圧延の終了温度は、仕上げ圧延が完了してコイル状に巻き取られた直後の圧延板の端面で測定したものである。
(集合組織の評価)
供試材の圧延面を板厚方向に約0.05〜0.1mmまで機械研磨した後、電解研磨を施して、元の表面から500μm以上の位置の面を露出させた。この面でSEM−EBSP法により圧延面法線方向の結晶方位を測定した。測定結果から、TSL社のOIM(SEM−EBSP)専用解析ソフト「TSL OIM Analysis4.5」を使用して、圧延面法線方位が<111>である再結晶集合組織の面積率を求めた。なお、±15°以内の結晶方位のずれは同一の結晶方位に属するものと定義した。<111>//ND再結晶集合組織の面積率を表1に示す。
(結晶粒径の測定)
供試材の圧延面を板厚方向に約0.05〜0.1mmまで機械研磨した後、電解エッチングを施して、元の表面から500μm以上の位置の面を露出させた。この面を、偏向光学顕微鏡を用いて観察し、切片法にて圧延方向の結晶粒径を測定した。測定結果を表1に示す。
(表面性状の評価)
供試材をさらに板厚0.2mmまで冷間圧延し、その表面性状をストリーク評価により評価した。冷間圧延は、供試材の元の板厚に応じて1〜複数回行った。この冷間圧延後の供試材から、15cm(圧延方向)×10cm(圧延方向に直交する方向)の試験片を切り出し、この試験片の表面を20℃の王水で30秒間化学エッチングした後、表面に形成された圧延方向の筋模様(ストリーク)の長さを測定した。ストリークの平均長さが0.5cm未満のものを優良として「◎」、0.5cm以上1cm未満のものを良好として「○」、1cm以上のものを不良として「×」で評価した。評価結果を表1に示す。
Figure 0005060253
実施例1〜8は、製造条件(均熱温度、仕上げ圧延条件)がすべて本発明の範囲内であるので、<111>//ND再結晶集合組織の面積率が25%以上となり、圧延方向の平均結晶粒径が100μm以下に制御された。その結果、良好な表面性状の圧延板が得られた。
比較例15,19は、均熱温度が不足しているため、均質化が不十分で再結晶が進行せず、十分な<111>//ND再結晶集合組織が得られなかった。
比較例9,16は、仕上げ圧延における圧下率が少ないため、再結晶粒が粗大化した。また、蓄積ひずみが不十分で<111>//ND再結晶集合組織が得られなかった。一方、比較例10は圧下率が過剰なため、逆にせん断ひずみが小さくなって<111>//ND再結晶集合組織が十分に発達しなかった。
比較例13,18は、仕上げ圧延における終了温度が不足しているため、再結晶が不十分で<111>//ND再結晶集合組織も十分に発達しなかった。一方、比較例14は終了温度が高すぎるため、結晶粒が粗大化した上、圧延終了後にせん断変形から回復して<111>//ND再結晶集合組織が減少した。
比較例11,17は、仕上げ圧延における先進率が不足しているため、せん断ひずみが不十分で<111>//ND再結晶集合組織も十分に発達しなかった。一方、比較例12は先進率が過剰なため、<111>//ND再結晶集合組織は十分に発達したが、仕上げ圧延時に焼き付きが生じて外観が悪化し、冷間圧延後の表面性状が低下した。
以上のように、比較例9,14,16,17は、平均結晶粒径が本発明の範囲を満たさないため、表面性状が低下した。また、比較例10,11,13,15,18,19は、<111>//ND再結晶集合組織の面積率が本発明の範囲を満たさないため、結晶粒径が平均値で小さくてもばらつきが生じ、その結果、表面性状が低下した。また、比較例12は、焼き付きにより表面性状が低下した。
本発明におけるアルミニウム圧延板の、表面近傍領域および結晶粒径について説明するための外観模式図である。

Claims (2)

  1. 純度99%以上の工業用純アルミニウムからなる板厚2〜10mmのアルミニウム圧延板であって、
    前記アルミニウム圧延板の表面から板厚方向に500μmまでの表面近傍領域において、圧延方向の平均結晶粒径が100μm以下であり、
    前記表面近傍領域の25%以上が<111>//ND再結晶集合組織であり、
    板厚0.2mmに冷間圧延した後、20℃の王水にて前記表面を30秒間エッチングして形成されたストリークが、前記圧延方向長さ平均1cm未満であることを特徴とするアルミニウム圧延板。
  2. 純度99%以上の工業用純アルミニウムからなる鋳塊を460℃以上で2時間以上の均熱処理を行う均熱処理工程と、前記均熱処理を施した鋳塊に熱間圧延を施して板厚2〜10mmのアルミニウム圧延板とする仕上げ圧延工程と、を含み、
    前記仕上げ圧延工程は、その最終パスにおいて、圧下率60〜80%、先進率5.5〜10.0%、終了温度320〜360℃で行うことを特徴とするアルミニウム圧延板の製造方法。
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