JP3529269B2 - アルミニウム箔地及びその製造方法 - Google Patents

アルミニウム箔地及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食品その他包装
用、フィルムコンデンサ用、ラベル用、たばこ用等の薄
箔として好適のアルミニウム箔地及びその製造方法に関
し、特に厚さが15μm以下の極薄のアルミニウム薄用
途であってピンホール特性を向上させたアルミニウム箔
地及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、薄箔用のアルミニウム又はアルミ
ニウム合金箔地用材料としては、JIS1N30等の純
アルミニウム又はJIS8079若しくは8021等の
アルミニウム合金が使用されている。
【0003】なお、以下、純アルミニウム及びアルミニ
ウム合金を総称してアルミニウムという。アルミニウム
箔地は、一般的に、これらの組成のアルミニウム鋳塊に
均質化処理・熱間圧延・冷間圧延及び焼鈍を施し、また
必要に応じて、その後冷間圧延を施すことにより製造さ
れている。
【0004】そして、得られたアルミニウム箔地に箔圧
延及び最終焼鈍を行うことによりアルミニウム箔が得ら
れる。ところで、5.5乃至7μmのアルミニウム箔が
実用化されているが、薄箔需要は6乃至7μmが大半で
あり、同一の厚さのアルミニウム箔は箔圧延での互換性
の点よりJIS1N30純アルミニウムを使用したいと
いう要望が強い。
【0005】一般的に、箔厚の減少に伴う問題点として
は、ピンホールが著しく増加し、箔が本来有するべき機
能である光、気、液等に対するバリアー性が低下すると
共に、ピンホールによる箔破断を生ずること等が知られ
ている。
【0006】薄箔の仕上箔圧延は、通常、重合圧延によ
り行われ、ピンホールはマット面うねりの最大のところ
がブライト面オイルピット等と連結して生ずることが知
られている。また、ピンホールはオイルピット等の表面
欠陥と比べて、マット面粗度に主に支配されることも知
られている。更に、オイルピットは圧延条件(リダクシ
ョン、バックテンション)に主に支配され、マット面は
結晶粒の自由変形により形成されると考えられ、箔地に
より支配される要因が大きいことが知られている(特公
平3−60562号公報、軽金属学会第70回予稿集
33、34、35)。
【0007】そこで、従来、マット面粗度を低減させる
べく、Fe含有量の増加及び均熱以降の製造条件の変更
によりFe固溶度を減少させ、結晶粒を微細化すること
により加工硬化を抑制できる箔が開示されている(特開
昭63−26322号公報等)。また、Ni、Mn及び
Crの添加により、結晶粒を微細化し、加工硬化を抑制
する技術が提案されている(特開昭63−282228
号公報、特開昭63−282244号公報及び特開平8
−333644号公報等)。
【0008】また、ピンホールを抑制するため、6μm
以下の晶出物を多く含む熱間圧延材を、2段階に分けて
冷間圧延し、各圧延後に熱処理を施し、Si及びFe等
の元素を積極的に析出させることにより加工硬化を抑制
する方法が開示されている(特開昭61−119658
号公報)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、Fe、
Ni、Mn又はCrを添加したアルミニウム箔地では、
上述のような互換性のメリットがなく、また、JIS1
N30純アルミニウム相当の組成で、Fe含有量の増加
がない場合には、均熱以降の製造条件変更により析出促
進を行っても、箔厚が6乃至7μmのアルミニウム箔を
得る箔圧延においては、大きな加工硬化の抑制効果は得
られない。また、製造工程の変更で析出促進を図って
も、結晶粒が逆に大きくなってしまうこともあり、ピン
ホールが多発したり、箔破断が頻発したりするという問
題点がある。
【0010】また、箔地に対し、複数回の析出熱処理を
行う方法においては、工程が複雑になるばかりか、その
ピンホール抑制効果も不十分であった。
【0011】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、JIS1N30相当の純アルミニウム組成
であっても、箔圧延性及びピンホール特性を損なうこと
なく、箔を薄肉化できるアルミニウム箔地及びその製造
方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本願第1発明に係るアル
ミニウム箔地は、Fe:0.3乃至1.0重量%を含
み、不純物のSiが0.15重量%未満に規制され、残
部がAl及び不可避不純物からなるアルミニウム合金組
成を有し、0.1乃至0.8μmの金属間化合物の平均
粒子間距離を0.7乃至2.5μmとすることを特徴と
する。
【0013】このアルミニウム箔地において、前記アル
ミニウム合金は、必要に応じて、Cu:0.02重量%
以下、Ti:0.03重量%以下を含有することができ
る。
【0014】また、本願第2発明に係るアルミニウム箔
地の製造方法は、前記組成のアルミニウム合金組成を有
する溶湯を、凝固時の冷却速度を0.3乃至3.0℃/
秒として半連続鋳造し、面削した後、400乃至620
℃の温度範囲にて均質化処理を施し、熱間圧延後に冷間
圧延を行い、その後300乃至450℃にて焼鈍する
とにより、0.1乃至0.8μmの金属間化合物の平均
粒子間距離が0.7乃至2.5μmである箔地を得るこ
とを特徴とする。
【0015】このアルミニウム箔地の製造方法におい
て、前記焼鈍の後工程として、冷間圧延することができ
る。
【0016】本発明者らは、課題を解決すべくアルミニ
ウム箔・箔地に関して種々実験研究した結果、ピンホー
ルを少なくするためには、マット面粗度が低くするこ
と、即ち、仕上箔圧延時の変形ブロックを微小化するこ
とが有効であることを見出した。また、本発明者等は、
マット面は緒晶粒サイズのみではなく、転位セルサイズ
の自由変形によっても形成されることを見出した。更
に、ピンホールを少なくするには、加工硬化を抑制する
ことが有効であることは公知であるが、本願発明者等
は、この現象が転位整理によるサブ・グレイン化により
達成されていることを究明した。
【0017】そこで、上記特性を発現するためのアルミ
ニウム箔地を開発するため、鋭意研究を重ねた結果、
0.1乃至0.8μmの金属間化合物の粒子間距離を転
位セルサイズに調整することが有効であり、JIS1N
30組成の場合には、この粒子間距離の適正化は従来行
われてきた均熱以降の製造条件の変更のみでは調整困難
であり、鋳造条件の適正化と均熱以降の箔地製造条件の
組み合わせで制御することにより、その目的が達成され
ることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいてな
されたものである。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明について更に詳細に
説明する。先ず、本発明に係るアルミニウム箔地の成分
添加理由及び組成限定理由について説明する。
【0019】Fe:0.3乃至1.0重量% Feはアルミニウムへの固溶限が小さく、アルミニウム
中において他の元素と結合してAl−Fe系の金属間化
合物を生成する元素であり、同化合物は再結晶の核とし
て作用するために、Feの添加は結晶粒の微細化に効果
がある。Fe含有量が0.3重量%未満では鋳造時に晶
出する金属間化合物の数が不十分であり、結晶粒を微細
化する効果を得にくい。一方、Fe含有量が1.0重量
%を超える場合には、Al−Fe系金属間化合物の数多
く形成されるので、結晶粒の微細化効果は大きいが、箔
圧延時の変形抵抗が増大するため、圧延性が極端に低下
する。従って、Fe含有量は0.3乃至1.0重量%と
する。
【0020】Si:0.15重量%未満 Siは地金中の不可避的不純物の一つである。Siは、
粗大なAl−Fe−Si系金属間化合物を生成し易く、
ピンホールが増大する原因となるため、少ない方が良
い。このため、Si含有量は0.15重量%未満にする
ことが望ましい。
【0021】0.1乃至0.8μmの金属間化合物の
平均粒子間距離:0.7乃至2.5μm 0.1乃至0.8μmの金属間化合物は主に析出物であ
り、均質化処理、熱間圧延及び中間焼鈍にて生成する。
これらの金属間化合物の分布は、箔圧延中の転位蓄積・
整理に作用するために、その後の重合圧延における転位
セルオーダーの変形ブロックサイズに影響を及ぼす。同
サイズの金属間化合物の平均粒子間距離が0.7μm未
満では、重合圧延前のパスでピン止めとなり、即ち転位
蓄積が過多となり、後の重合圧延にて複数の転位セル単
位での変形ブロックとなるために、マット面が粗くな
り、ピンホールが多発する。一方、同サイズの金属間化
合物の平均粒子間距離が2.5μmを超えると、重合圧
延前のパスでの転位整理が容易となり、単一セルでの変
形ブロックとなるが、粗大セルが形成され易いために、
マット面が粗くなり、ピンホールが多発する。従って、
0.1乃至0.8μmの金属間化合物の平均粒子間距離
は0.7乃至2.5μmとする。
【0022】Cu:0.02重量%以下 Cuはアルミニウム中に固溶する元素であり、固溶硬化
によるO材強度の向上に有効であり、必要に応じて添加
しても良い。Cu含有量が0.005重量%未満では、
固溶硬化が不十分であり、O材強度を向上する効果を得
にくい。一方、Cu含有量が0.02重量%を超える場
合には、固溶硬化の程度が大き過ぎ、箔圧延時の変形抵
抗が増大するため、圧延性が極端に低下する。従って、
Cuは0.02重量%以下であれば、必要に応じて添加
しても良い。
【0023】Ti:0.03重量%以下 TiはAl−Ti又はAl−Ti−B母合金として添加
され、鋳塊組織を微細化するために使用される。箔圧延
後に筋模様が問題となる場合には、0.03重量%以下
の範囲で添加しても良い。しかし、Tiを添加しない
で、羽毛状晶とした方が鋳塊で晶出する金属間化合物が
微細となるため、筋模様に支障がなければTiは少ない
方が好ましい。従って、Tiは0.03重量%以下であ
れば、必要に応じて添加しても良い。
【0024】不可避不純物 アルミニウムに含有する上記以外の不可避的不純物とし
ては、Mn,Mg,Zn,Cr,V,Zr,Bi,S
n,In及びPb等が挙げられるが、JIS1100及
び1N30程度の含有範囲であれば、それが含有されて
いても、本発明の目的を損なうものではない。
【0025】次に、本発明におけるアルミニウム箔地の
製造方法における処理条件の限定理由について説明す
る。
【0026】(1)凝固時の冷却速度:0.3乃至3.
0℃/sec 上述のように、箔として優れたピンホール特性を発現す
るためには、箔地で0.1乃至0.8μmの金属間化合
物の平均粒子間距離を適正化する必要がある。この粒子
間距離の適正化は従来行われてきた均熱以降の製造条件
変更のみでは調整困難であり、鋳造条件適正化と均熱以
降の箔地の製造条件を組み合わせて制御することによ
り、その目的は達成される。
【0027】即ち、凝固時の冷却速度を適正化すること
は、粒子間距離を適正化することとなり、ピンホールの
低減に寄与する。凝固時の冷却速度が3.0℃/秒を超
えて造塊されたスラブでは、その後の均質化処理、熱間
圧処理及び中間焼鈍により、過飽和固溶したFeが微細
析出物として排出され、0.3μm以下の析出物数を極
端に増加させ、0.1乃至0.8μmの金属間化合物の
平均粒子間距離が狭くなり、ピンホールの多発を招く。
一方、凝固時の冷却速度が0.3℃/秒未満では、グラ
ススクリーン内で浮遊晶を生ずるため、圧延用スラブと
して造塊することは困難である。従って、凝固時の冷却
速度は0.3乃至3.0℃/秒、好ましくは、0.3乃
至2.4℃/秒とする。
【0028】(2)均質化処理:400乃至620℃ 前記組成・造塊条件のスラブを面削した後、均質化処理
を施す。この均質化処理は固溶及び析出調整を目的とし
て行われ、0.1乃至0.8μmの金属間化合物の平均
粒子間距離を適正化する重要な処理であり、ピンホール
の低減に寄与する。均質化処理温度が400℃未満であ
るか、又は620℃を超える場合は、固溶元素の析出に
よる析出物数が不十分となり、粒子間距離を広くするた
め、ピンホールの多発を招く。なお、均質化処理温度が
400℃未満であっても、長時間の焼鈍を行う場合には
固溶元素が充分に析出するが、生産効率が悪くなるため
好ましくない。このため、均質化処理温度は400乃至
620℃とする。この均質化処理時間は特に規定するも
のではないが、2時間以上行うことが好ましい。
【0029】(3)焼鈍:300乃至450℃ 前述の均質化処理の後、熱間圧延し、次に冷間圧延を施
し、更に焼鈍する。この焼鈍は固溶元素の析出及び再結
晶を目的として行われるものであるが、上述の粒子間距
は焼鈍温度と圧延率に影響される。焼鈍温度が300
℃未満、若しくは450℃を超える場合には、固溶元素
の析出による析出物数が不十分となり、粒子間距離を広
くするため、ピンホールの多発を招く。なお、焼鈍温度
が300℃未満であっても、長時間の焼鈍を行う場合に
は、固溶元素が充分に析出するが、生産効率が悪くなる
ため好ましくない。このため、焼鈍温度は300乃至4
50℃とする。この焼鈍時間は特に規定するものではな
いが.2時間以上行うことが好ましい。
【0030】
【実施例】以下、本発明の実施例に係るアルミニウム箔
地の特性について、本発明の特許請求の範囲から外れる
比較例と比較して具体的に説明する。 (実施例1) 下記表1に示す組成を有するアルミニウム溶湯を同表に
示す凝固時の冷却速度で半連続鋳造(DC)し、得たス
ラブを面削後、600℃の温度で8時間の均質化処理を
行い、その直後に熱間圧延を開始し、厚さが5mm厚の
アルミニウム板を得た。その後、圧延率86%で冷間圧
延を行い、得た板を400℃の温度で6時間の中間焼鈍
を行った。更に、冷間圧延して、厚さが0.3mmのア
ルミニウム箔地を製作した
【0031】得られたアルミニウム箔地を、箔圧延して
厚さが6μmのアルミニウム箔を作製し、箔圧延時にお
ける圧延性について評価した。その結果、圧延時におい
て円滑に圧延できた場合を○(良好)、同一圧延条件に
おいて、薄肉化が困難であるか、強度不足により圧延速
度を速くできない又は板厚分布等の平面性制御が困難等
のトラブルが発生する傾向が強かった場合を×(不良)
とした。なお、造塊時に浮遊晶の発生により、圧延用と
してスラブが取れなかったものも×(不良)とした。
【0032】また、厚さ6μmのアルミニウム箔につい
て、ピンホール検知機により1m2当たりのピンホール
数(直径が5μm以上のもの)を測定した。ピンホール
は100個/m2以下が優れていることを示す。
【0033】なお、下記表1に示す凝固時の冷却速度
粒子間距離は以下に示す方法により測定した。凝固時
の冷却速度は、造塊後の鋳塊より湯底側の定常部を採取
し、次に、広面中央部の表皮から100mmの位置より
小片を採取し、更に電解研磨の後に交線法と二次技法に
てDASを測定することにより算出した。交線法と二次
技法との測定値補正は下記経験式(数式1)により行っ
た。
【0034】
【数1】dr=1.49ds 但し、drは交線法によるDAS、dsは二次技法によ
るDASである。そして、凝固時の冷却速度Cは下記数
式2により算出した。
【0035】
【数2】Fe量≦0.65重量%の場合:ds=33.
4・C-0.33 Fe量>0.65重量%の場合:ds=77・C-0.42
【0036】これらの数式1及び2は、軽金属学会の研
究部会報告書No.20「アルミニウムのデントライト
アームスペーシングと冷却速度の測定法」に記載されて
いるものである。
【0037】表中の粒子間距とは、0.1乃至0.8
μmの金属間化合物の平均粒子間距離である。この粒子
間距離は透過型電子顕微鏡と画像処理装置を使用して測
定した。即ち、箔地より7.5mm角の小片を採取し、
0.1mm厚に研磨した後、直径3mmに打ち抜く。こ
れを350℃×5分の転位除去処理を行い、次にジェッ
ト研磨により厚さが約5μmの観察サンプルを作製し
た。これらを、透過型電子顕微鏡で10,000倍の倍
にて析出物を観察し、総面積が3512μm2になる
視野数の写真を撮影した。また、この観察の際に、フリ
ンジ法により観察点の厚さも測定することにより、観察
体積を算出した。更に、この観察体積と画像処理により
カウントした0.1乃至0.8μmの総金属間化合物の
数とにより、平均粒子間距離を算出した。
【0038】各実施例及び比較例のアルミニウム箔地
を、上述の圧延性評価基準、ピンホール特性及びO材強
度の測定条件に基づいて評価し、この評価結果と測定結
果を下記表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】上記表1に示すように、実施例1の試料N
o.1乃至6については、良好な圧延性を得た。また、
ピンホールについても実施例1の試料No.1乃至6は
好ましい値であり、全体にわたって良好なアルミニウム
箔を得ることができた。
【0041】一方、比較例No.1は、ピンホールは良
好であるものの、過剰のFeの添加により圧延性が低下
した。比較例No.2は、圧延性は良好であったが、F
e含有量の不足により結晶粒を小さくできず、ピンホー
ルが実施例に比べて劣った。比較例No.3及び5は、
圧延性は良好であったが、比較例No.3はSiの過剰
添加により、比較例5はTiの過剰添加により、多量の
ピンホールが発生した。比較例No.4は、Cuの過剰
添加により、圧延性及びピンホール特性が実施例に比べ
て劣った。比較例No.7、9、11、13は、圧延
良好であるものの、鋳造凝固時の冷却速度が速過ぎ、
粒子間距離が狭くなったために、マット面が粗くなり、
多量のピンホールが発生した。比較例No.6、8、1
0、12は、鋳造凝固時の冷却速度が遅すぎ、グラスス
クリーン内で浮遊晶を生じたために、圧延用スラブが製
作できなかったものである。
【0042】(実施例2) 上記表1の実施例1のNo.1、4、6と成分及び凝固
時の冷却速度が同じ鋳塊について、面削後、下記表2に
示す条件で均質化処理を行い、その直後に熱間圧延を開
始し、厚さが5mm厚のアルミニウム板を得た。その
後、冷間圧延し、下記表2に示す焼鈍温度で中間焼鈍を
行った。更に、冷間圧延して、厚さが0.3mmのアル
ミニウム箔地を製作した。得られたアルミニウム箔地を
箔圧延し、厚さが6μmのアルミニウム箔を製作した。
【0043】上述の実施例1と同じ方法で評価及び測定
した圧延性、ピンホール数及び平均粒子間距離を下記表
2に示す。
【0044】
【表2】
【0045】上記表2に示すように、実施例2のNo.
7乃至12については良好な圧延性を得た。また、ピン
ホール数についても実施例2のNo.7乃至12につい
ては好ましい値であり、全体にわたって良好な箔を得る
ことができた。
【0046】一方、比較例No.14乃至25は圧延性
については良好であったが、いずれについても、均質化
温度又は中間焼鈍温度が高すぎるか若しくは低すぎるた
、粒子間距離が広くなり、このために、マット面が粗
くなり、ピンホールが多く発生した。
【0047】
【発明の効果】以上、詳述したように、本発明によれ
ば、鋳造凝固時の冷却速度、均質化処理条件、冷間圧延
率及び中間焼鈍処理条件の制御により粒子間距離の適正
化を図ることによって、箔圧延性が優れ、箔圧延後のピ
ンホール発生数が少ないアルミニウム箔地を得ることが
できる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−333644(JP,A) 特開 平6−25781(JP,A) 特開 平6−293931(JP,A) 特開 平4−337043(JP,A) 特開 昭59−64754(JP,A) 特開 昭61−257459(JP,A) 三木功,Al−Fe合金の凝固時にお ける鉄の挙度,軽金属,日本,軽金属学 会,1975年 1月,Vol.25,No. 1,p.1−9 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 21/00 - 21/08 C22F 1/04 - 1/057

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Fe:0.3乃至1.0重量%を含み、
    不純物のSiが0.15重量%未満に規制され、残部が
    Al及び不可避不純物からなるアルミニウム合金組成を
    有し、0.1乃至0.8μmの金属間化合物の平均粒子
    間距離を0.7乃至2.5μmとすることを特徴とする
    アルミニウム箔地。
  2. 【請求項2】 前記アルミニウム合金は、Cu:0.0
    2重量%以下を含有することを特徴とする請求項1に記
    載のアルミニウム箔地。
  3. 【請求項3】 前記アルミニウム合金は、Ti:0.0
    3重量%以下を含有することを特徴とする請求項1又は
    2に記載のアルミニウム箔地。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の
    アルミニウム合金組成を有する溶湯を、凝固時の冷却速
    度を0.3乃至3.0℃/秒として半連続鋳造し、面削
    した後、400乃至620℃の温度範囲にて均質化処理
    を施し、熱間圧延後に冷間圧延を行い、その後300乃
    至450℃にて焼鈍することにより、0.1乃至0.8
    μmの金属間化合物の平均粒子間距離が0.7乃至2.
    5μmである箔地を得ることを特徴とするアルミニウム
    箔地の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記焼鈍の後工程として、冷間圧延する
    ことを特徴とする請求項4に記載のアルミニウム箔地の
    製造方法。
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三木功,Al−Fe合金の凝固時における鉄の挙度,軽金属,日本,軽金属学会,1975年 1月,Vol.25,No.1,p.1−9

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