JP2945178B2 - 成形用アルミニウム合金板の製造方法 - Google Patents

成形用アルミニウム合金板の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、成形用アルミニウム合
金板の製造方法に関するもので、さらに詳しくはピック
アップ、グレインストリーク等の表面品質に優れ、絞り
加工において耳率が低く、且つ耳率の値のコイル内での
ばらつきが少ない成形用アルミニウム合金板の製造方法
を提供するものであり、特にキャップ用として用いられ
るアルミニウム合金板を製造するのに適している。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】キャッ
プ成形用として使用される純アルミニウム系合金板は、
通常板の状態で表面に印刷し、その後にプレス絞り加工
を行いキャップに成形される。従って耳率が大きいとキ
ャップ成形後の字や絵が乱雑になるため、耳率が低く且
つ表面品質に優れていることが要求される。
【0003】ところでこのような成形用アルミニウム合
金板の製法としては、DC鋳造した合金鋳塊を均質化処
理後、熱間圧延、冷間圧延、焼鈍の工程で製造されてい
るが、上記の要求特性を満足するために、それぞれ以下
の製造方法がとられている。
【0004】まずピックアップは、熱間圧延中にロール
コーティングがはがれて板に埋め込まれたり、板の表面
の一部が局所的にロールに付着しむしり取られたもの
で、光沢のある表面仕上げにすると明瞭になる欠陥であ
る。これを防止する対策としては、圧延油の管理、ブラ
シロールの駆動が行われ、さらに熱間圧延温度を高くし
ない等の熱間圧延条件の適正化が行われている。
【0005】グレインストリークはキャップ成形後の表
面に沿って筋状に生じる欠陥である。これは熱間圧延で
生じる繊維状組織が、焼鈍を行うだけでは集合組織とし
て残存することが原因とされており、熱間圧延のパスと
パスの間で再結晶を起こさせ、繊維状組織を消滅させる
ことが有効とされている。具体的には、熱間圧延の各パ
スの圧下量を上げ、圧延温度を上げることで達成されて
いる。
【0006】耳率は、均質化処理条件、熱間圧延終了板
厚や最終冷間圧延率を適正化することにより低耳材が得
られている。
【0007】さて、以上のように条件の適正化が行われ
ているが、現在次の2つの大きな問題が生じている。第
1の問題は上記すべてを完全に満足する製造条件が得ら
れていないことである。すなわち、ピックアップレベル
を向上させるには、熱間圧延温度の低温化が望ましい
が、これは、グレインストリークを悪化させる傾向にあ
る。
【0008】第2の問題は、同一圧延材において、幅方
向や長手方向で特性の差が生じることである。具体的に
は耳率において顕著に生じ、製品コイルの板幅、長手の
中心では0%程度の耳率のものが、幅,長手の端部では
−6%〜+6%にばらつくことがしばじ生じる。さら
に、板幅の端部のみでグレインストリークが生じたり、
板幅中央部のピックアップレベルが悪化することもあ
る。このようなばらつきが生じた場合製品の歩留まりが
極端に低下し、製造上好ましくない。これには鋳造時の
冷却速度が幅方向の端部の方が大きいことや熱間圧延時
に幅方向、長手方向で温度差が生じることが原因である
と考えられるが、このような発生原因を防止することは
困難である。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明はかかる問題点を
解決するためになされたもので、ピックアップやグレイ
ンストリークといった表面品質に優れ、さらに絞り加工
において耳率が低く且つそのコイル内でのばらつきが少
ない成形用アルミニウム合金板の製造方法を開発したも
のである。
【0010】即ち本発明は、 0.5wt%を超え 2.0wt%以
下のSi, 0.8wt%を超え2.0 wt%以下のFeで且つS
iとFeを合計3wt%以下含有し、0.5 wt%以下のCu
を含有し、さらに0.2wt %以下のTiもしくは0.05wt%
以下のBのいずれか1種又は2種を含有し、残部が実質
的にAlからなるAl合金鋳塊を均質化処理後、熱間圧
延、冷間圧延および焼鈍を行って成形用アルミニウム合
金板を製造する方法において、熱間圧延において120mm
以下の板厚からの圧延を8パス以上で行い、及び30〜60
mmの板厚で行う熱間圧延パスのうち少なくとも1パスを
板厚120mm より数えて5パス目以降で且つ圧延率30%以
上で行い、並びに熱間圧延の終了温度を280 ℃以下と
し、さらに最終製品までの冷間圧延率を40〜98%とする
ことを特徴とするものである。
【0011】
【作用】まず、本発明の合金組成を上記の如く限定した
理由について説明する。Siは製品強度を向上させ、さ
らにLDR(限界絞り比)等の成形性を向上させる働き
を有する。しかし、その含有量が 0.5wt%以下ではLD
Rが低すぎてキャップ用材料には使用できず、2.0 wt%
を超えて含有しても成形性の向上は望めないばかりか、
耳率が0−90°方向に大きくなり、さらにA1−Fe−
Si系の金属間化合物を生じ、キャップが正常に開栓で
きなくなる等の開栓性の問題が生じてしまう。
【0012】Feは製品の焼鈍時に生じる再結晶粒を微
細化する作用を有しており、成形性の向上と肌荒れの防
止に効果的である。しかし、その含有量が0.8wt %を以
下ではその効果が十分ではなく、2.0 wt%を超えると耳
率が45°方向に大きくなってしまう。
【0013】さらにSiとFeの合計量が3wt%を超え
ると、成形中の加工硬化が進み過ぎて強度が高くなるこ
とに加え、靱性が劣化して脆い製品となってしまい開栓
性の問題が発生してしまう。
【0014】次にCuは耳率のばらつきを減少させ、さ
らに強度や成形性を向上させるものである。
【0015】またTi、Bは鋳造組織の微細化のために
含有させるものであるが、Tiが0.2wt%を超え、Bが
0.05wt%を超えても上記効果は飽和してしまう。
【0016】さらに本発明においては上記元素以外に、
0.5wt%以下のMgを強度向上等の目的で添加したり、
0.5wt%以下のMnを耳率の安定化のために添加した
り、また 0.3wt%以下のCr, Zr 0.3wt%を結晶粒の
安定化のために添加しても、本発明の製造法はなんら影
響を受けない。
【0017】また上記以外の添加元素として、あるいは
不可避的不純物としては、それぞれ0.05wt%以下でかつ
合計0.15wt%以下であれば、それらの元素は本発明の顕
著な特性には影響をおよぼさないので添加されてもかま
わない。
【0018】次に製造方法について説明する。本発明に
用いる合金鋳塊は通常の半連続鋳造法によればよい。従
来鋳造時に幅方向に冷却速度差が生じて幅方向でFe、
Siの固溶量差が生じて特性をばらつかせていたが、本
発明法によればこれを原因とするばらつきは生じない。
【0019】先ず上記組成のアルミニウム合金鋳塊に均
質化処理を施す。均質化処理は面削後に熱間圧延前の加
熱をかねて行ってもよいし、均質化処理として熱間圧延
の加熱の前に別に行ってもよい。なお予め均質化処理を
行い、その後面削して再加熱した後熱間圧延を行うと、
圧延前の鋳塊表面の酸化皮膜が少なくなり表面品質の向
上に効果的である。また、均質化処理温度は600 ℃以下
が望ましく、特に560℃付近で優れた耳率特性を示す。
【0020】本発明では熱間圧延において、120mm 以下
の板厚での圧延を8パス以上のパス数で行い、且つ熱間
圧延の終了温度が280 ℃以下となるように行う。これは
ピックアップレベルの向上及び製品特性のコイル内ばら
つきをなくすために行うものである。このように圧延の
パス数を増やすことにより各パスの圧延率を下げ、且つ
終了温度を通常の300 ℃付近よりも低くした効果により
ピックアップレベルは極めて向上する。
【0021】さて、上記の熱間圧延条件によって特性の
コイル内ばらつきを防止できる理由について、以下に説
明する。まず、ピックアップであるが、上記のような理
由で全体的に向上するため、コイル内のいずれの位置で
も優れた特性となる。
【0022】グレインストリークに関しては、上記熱間
圧延条件のパス数と終了温度だけではこれらの特性を非
常に悪化させる条件である。これは本発明における熱間
圧延の条件は熱間圧延最終パス近傍で再結晶を生じさせ
ない条件だからである。そこで本発明では30〜60mmの板
厚で実施する熱間圧延の圧延パス数のうち少なくとも1
パスを、板厚120mm 以下より数えて5パス目以降で且つ
圧延率30%以上で行う、という条件を加える。このよう
な圧延パスによれば、板の極表層部分のみに微細な再結
晶を生じてグレインストリークが向上する。このパスは
上記のように120mm 以下で数える5パス目以降で行う
が、これを5パス目未満で行った場合はそれまでの圧延
パスによる歪みの蓄積効果が十分でないため、再結晶が
十分に生じずグレインストリークは改善しない。また圧
延率が30%未満の場合も同様に再結晶が十分に進行しな
いのでグレインストリーク向上しない。
【0023】次に耳率であるが、本発明の熱間圧延条件
を実施することでコイルの幅,長手方向の耳率のばらつ
きをなくすことができる。即ち従来は、耳率は冷間圧延
と焼鈍条件によって低耳率とすることができると考えら
れており、熱間粗圧延条件はピックアップ、グレインス
トリーク及び生産性によって決められてきた。そうする
ことで確かに幅、長手の中心部の耳率を低くすることは
できるが、コイル内の耳率の値に差が生じていた。そこ
で、発明者らが耳率のばらつきの発生機構について詳細
に検討を行ったところ、ばらつきの発生原因は熱間圧延
での最終圧延パスの近傍のパスでの、 1再結晶挙動、及
び 2析出挙動にあることが分った。即ち熱間圧延におい
ては圧延パス中に動的な回復が生じ、再結晶開始前に板
材中に蓄積されている歪量が少ないことが原因で、圧延
パスとパスとの間で生ずる再結晶挙動は再結晶するとき
の板の温度や固溶・析出状態の影響を非常に受けやすい
のである。そのため、鋳造によって生じる固溶元素量の
幅方向のばらつきや、熱間圧延中の幅、長手方向の温度
差によって再結晶挙動に差が生じ、これが耳率のばらつ
きを生み出すのである。
【0024】上記 1についてさらに詳しく説明すると、
熱間圧延の最終パスの近傍で再結晶を生じさせることは
グレインストリークの向上のために一般に行われている
が、板幅端部での温度は中心部より低いため、圧延パス
とパスとの間で生じる再結晶が端部で完全に完了しない
場合が生ずる。このような場合、完全に再結晶が完了し
ている板幅中心部と比較し端部では圧延集合組織が多く
残存するため、45°耳が強く生じてしまう。また、たと
え板の温度が全体的に高く熱間粗圧延の最終パスの近傍
で板全面に再結晶を生じたとしても、板材内の温度差や
固溶・析出状態に差があると、板幅端部の再結晶組織が
立方体方位を多く含んだものになるが、この場合は板端
部の耳率を0−90°耳とする。そして、このような耳率
の差が一旦生じた場合に、後の工程で差をなくすことは
容易でない。
【0025】以上のように熱間圧延時に耳率のばらつき
が生じてそのばらつきが最終製品まで残存することに加
え、最終焼鈍時に生じる再結晶集合組織が焼鈍前の固溶
量や析出状態の影響を受けやすいこともコイル内の耳率
のばらつきを大きくしている原因となっている。この現
象は、熱間圧延の最終パス近傍の板厚で再結晶を生じた
場合に顕著であるが(最終パスで再結晶集合組織が形成
され、そこでの板厚から焼鈍時の板厚までの加工量が少
ないので、焼鈍は圧延集合組織が十分に発達していない
状態で行われるため、影響受けやすい)、熱間圧延で板
の固溶・析出状態の違いを解消できなければ焼鈍時に形
成される再結晶集合組織は大きく変化するのである。
【0026】さて、本発明の熱間圧延条件は上記検討に
もとずいて決定されたもので、圧延パス数を増やすこと
により少なくとも120mm 以下の板厚で再結晶を生じにく
く圧延し、且つ圧延での析出量を多くすることで、耳率
の幅方向の差をなくすものである。即ち熱間圧延中に再
結晶を生じなければ、熱間圧延中に耳率の差が生じるこ
とはなく、さらに再結晶を生じさせないことにより圧延
集合組織を強く集積させ、且つ熱間圧延板の析出状態の
差をなくすことにより、固溶・析出状態が原因となって
焼鈍時に生じる耳率のばらつきをなくすことができるの
である。
【0027】上記熱間圧延の開始温度は 480℃以下で38
0 ℃以上が望ましい。これは480 ℃以下の条件はピック
アップレベルの向上のためであり、380 ℃以上の条件は
板厚30〜60mmで表層部に微細な再結晶粒を生じさせるた
めである。そして望ましくは430℃以下の温度が最も推
奨される。これは熱間圧延開始温度を 430℃以下とする
と熱間圧延の初期のパスでの再結晶を防止できるため、
120mm よりも厚い板厚から圧延集合組織が形成されるの
で焼鈍前の圧延集合組織が強く集積されることになり耳
率のばらつきがより減じるためである。
【0028】本発明では120mm 以下の板厚での圧延の圧
延パス数を8パス以上と定める。なおここでいう120mm
とは圧延パスの開始板厚である。従来は、通常5パス又
は6パスで行われているが、このように8パス未満の場
合は圧延パス毎の圧延率が増し且つ最終パスまでの温度
低下が不十分であり、熱間圧延の最終パス近傍で板全体
に再結晶しやすくなり、耳率のばらつきを生じてしま
う。さらに圧延パス数が少なく析出量が少ないので、析
出が進むことで幅,長手の析出量の差をなくす効果が不
十分となり冷間圧延後の焼鈍において再結晶挙動が異な
り耳率のばらつきを生ずることとなる。
【0029】ここで各パスの圧下率は特に定めないが、
圧下率を40%以下で行った場合に圧延による再結晶が防
止されてより安定した特性となる。なお各圧延パスの圧
下率とは1回の圧延パス前後の板厚をそれぞれtn 、t
n+1 とした場合に、{(tn-tn+1 )/tn }×100
(%)で表したものである。
【0030】本発明においては板厚120mm までの圧延条
件は特に規定しないが、120mm を超える板厚の圧延にお
いても各パスの圧延率を40%以下とした場合、120mm よ
りも厚い板厚から圧延集合組織が形成されるので、焼鈍
前の圧延集合組織が強く集積されことになり、耳率のば
らつきを減じるのにより効果的である。
【0031】また本発明において板厚120mm 以下での圧
延の温度は430℃以下が推奨される。これは、ピックア
ップレベル向上と耳率の安定化のためであり、後者につ
いては各圧延パスのパス間で再結晶が進行しないように
するためである。なお 430℃を越えた温度で圧延を行う
場合には、各圧延パスの圧下量を30%以下とし、パスと
パスとの間の時間を5分以内に行うことが推奨される。
【0032】本発明では板厚120mm 以下の圧延について
定めるが、特に30mm以上60mm以下の板厚で圧延率30%以
上で圧延を行う際に、そのパスの圧延終了温度は330 ℃
以上400 ℃以下が望ましい。これは温度が330 ℃未満で
は再結晶が十分進行しない可能性があり、400 ℃を超え
ると再結晶粒が粗大化してグレインストリークが低下す
ることがあるからである。
【0033】上記の耳率に関し、熱間圧延で再結晶が生
じていない状態とは、再結晶率が40%以下の状態をいう
ものである。このように熱間圧延の再結晶について問題
としているのは、圧延集合組織の集積が再結晶によって
減じてしまうからであるが、再結晶率が40%以下である
ときは再結晶粒の大部分は圧延集合組織と同じ方位を有
する再結晶粒であるため、圧延集合組織の集積の減少は
ほとんど発生しないからである。従って熱間圧延におい
て30〜60mmの板厚で行う圧延パスのうち少なくとも1パ
スを、板厚120mm 以下から数えるパスの5パス目以降で
且つ圧延率30%以上で行っても、この場合は最大で表面
から20%程度しか再結晶していないので、耳率に関して
はそのばらつきを減ずる点で問題はなく、逆に熱間圧延
終了時の圧延集合組織が過度に発達することを防止し、
最終製品の耳率を低くする働きを有する。
【0034】また本発明においては熱間圧延は終了温度
が 280℃以下になるように行う。280℃を超えて圧延が
終了した場合、コイルが冷却中に冷却されにくい中心部
で再結晶を生じ、耳率のコイル内ばらつきを引き起こす
ためである。さらに熱間圧延の終了板厚は、製品板厚に
より定まるが本発明の冷間圧延条件を実施できる板厚で
あればよく、通常3〜12mmであり、適用される製品板厚
は0.1 〜0.5mm 程度である。
【0035】なお熱間圧延は熱間粗圧延と仕上げ圧延と
を異なった圧延機で行ってもよく、また1台の圧延機で
行ってもよい。
【0036】熱間圧延を終了したコイルは冷間圧延・焼
鈍を行うが、本発明では、最終製品板厚までの冷間圧延
率を40%以上98%以下とする。このように冷間圧延率を
40〜98%とする理由は耳率を低くするためである。しか
して冷間圧延率が40%未満では加工集合組織が不十分で
0−90°耳が大きくなり、また98%を超えた冷間圧延率
ではたとえ途中工程で焼鈍を実施しても45°耳を小さく
することができないためである。
【0037】次に焼鈍条件であるが、完全に再結晶を生
じる条件であれば特に規定しない。通常、バッチ式の焼
鈍であれば 300℃〜 450℃で0.5〜6時間程度であれば
よいし、連続式の焼鈍であれば430 ℃〜 580℃で 0.5〜
60秒程度であればよい。
【0038】
【実施例】以下に実施例にもとづき本発明を詳細に説明
する。表1の組成のアルミニウム合金(A〜F)を通常
のDC鋳造により、厚さ 500mm、幅1000mmの鋳塊を各1
〜6種類鋳造した。
【0039】
【表1】
【0040】また上記合金鋳塊に対して施す均質化処
理,面削,熱間圧延の条件を表2のように〜まで定
めた。そしてこれら合金とこれら圧延条件を表3及び表
4のように組み合わせて均質化処理,面削,熱間圧延を
行い、引き続いて表3及び表4に示す条件で冷間圧延と
焼鈍を行って本発明法No.1〜5及び比較法No.6〜14
による圧延コイルを製造した。
【0041】このように得られた各コイルについて、長
手方向の前部,中央部,後部での幅方向の端部と中央部
の6箇所でピックアップ,グレインストリーク,耳率を
調べてその結果を表3及び表4に記載した。ここでピッ
クアップは板表面を目視で調べ、グレインストリークは
板を王水でエッチングした後目視で調べ、その結果これ
らが通常材と比較して優れていた場合は◎、同等の場合
は○、劣っている場合は×で示した。さらに耳率につい
てはブランク径61mm、ポンチ径33mmでカップを絞り、0
−90°耳を+耳とし、45°耳を−耳として同じく表3及
び表4に示した。
【0042】また上記各圧延コイルの6箇所から、それ
ぞれキャップ製品を作製し、これらキャップの開栓性に
ついて、その開栓トルク値を測定し、通常材のトルク値
と比較して良好なものには◎、同等のものには○及び劣
るものには×をつけて、表3に示した。
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】
【0046】表3及び表4によれば本発明法による圧延
コイルはいずれもピックアップ,グレインストリークに
優れ、絞り加工において耳率が低く、且つそれらの特性
のコイル内でのばらつきが少なく、さらに開栓性も良好
であることが判る。
【0047】
【発明の効果】このように本発明によれば、成形用アル
ミニウム合金板材の表面品質に優れており、また絞り加
工において耳率が低く、且つこれらのばらつきも少な
く、さらにキャップとしたときの開栓性が良好であるの
でキャップ用として特に優れた板材が得られる等の顕著
な効果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22F 1/04 - 1/057 C22C 21/00 - 21/18

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 0.5wt%を超え 2.0wt%以下のSi, 0.8
    wt%を超え2.0 wt%以下のFeで且つSiとFeを合計
    3wt%以下含有し、0.5 wt%以下のCuを含有し、さら
    に0.2wt %以下のTiもしくは0.05wt%以下のBのいず
    れか1種又は2種を含有し、残部が実質的にAlからな
    るAl合金鋳塊を均質化処理後、熱間圧延、冷間圧延お
    よび焼鈍を行って成形用アルミニウム合金板を製造する
    方法において、熱間圧延において120mm 以下の板厚から
    の圧延を8パス以上で行い、及び30〜60mmの板厚で行う
    熱間圧延パスのうち少なくとも1パスを板厚120mm より
    数えて5パス目以降で且つ圧延率30%以上で行い、並び
    に熱間圧延の終了温度を280 ℃以下とし、さらに最終製
    品までの冷間圧延率を40〜98%とすることを特徴とする
    成形用アルミニウム合金板の製造方法。
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