JPH10310836A - リサイクル性に優れた高容量磁気ディスク基板用アルミニウム合金クラッド板およびその製造方法 - Google Patents
リサイクル性に優れた高容量磁気ディスク基板用アルミニウム合金クラッド板およびその製造方法Info
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- JPH10310836A JPH10310836A JP12001297A JP12001297A JPH10310836A JP H10310836 A JPH10310836 A JP H10310836A JP 12001297 A JP12001297 A JP 12001297A JP 12001297 A JP12001297 A JP 12001297A JP H10310836 A JPH10310836 A JP H10310836A
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- B32B—LAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
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- C22—METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 表面が平滑で、芯材と皮材の境界に段差が生
じ難く、発生屑を芯材原料として転回できる磁気ディス
ク基板用アルミニウム合金板を提供する。 【解決手段】 芯材の片面または両面に皮材をクラッド
した磁気ディスク基板用Al合金クラッド板において、皮
材が Mg2.0〜6.0wt%, Cu0.01〜0.15wt%,Zn0.05〜2.0wt%
を含有し、Mn0.01〜0.40wt%,Cr0.01〜0.30wt%,Zr0.01〜
0.12wt%,Ni0.01〜0.05wt% のうちの1元素または2元素
以上を含有し、不純物元素としてSi0.05wt% 以下、Fe0.
05wt% 以下、Ti0.02wt%以下、その他の不純物元素が各
々0.02wt%以下で、残部Alからなり、芯材がMg,Cu,Znを
含有し、Mn,Cr,Zr,Ni のうちの1元素または2元素以上
を含有し、残部Alと不可避不純物からなり、Mg,Cu,Znの
各々の皮材と芯材の含有量の比(皮材/芯材)を 0.7〜
1.3 、Cr,Mn,Zr,Ni の各々の皮材と芯材の含有量の比を
1.3 以下、Si,Fe の各々の皮材と芯材の含有量の比を1.
0 以下とする。
じ難く、発生屑を芯材原料として転回できる磁気ディス
ク基板用アルミニウム合金板を提供する。 【解決手段】 芯材の片面または両面に皮材をクラッド
した磁気ディスク基板用Al合金クラッド板において、皮
材が Mg2.0〜6.0wt%, Cu0.01〜0.15wt%,Zn0.05〜2.0wt%
を含有し、Mn0.01〜0.40wt%,Cr0.01〜0.30wt%,Zr0.01〜
0.12wt%,Ni0.01〜0.05wt% のうちの1元素または2元素
以上を含有し、不純物元素としてSi0.05wt% 以下、Fe0.
05wt% 以下、Ti0.02wt%以下、その他の不純物元素が各
々0.02wt%以下で、残部Alからなり、芯材がMg,Cu,Znを
含有し、Mn,Cr,Zr,Ni のうちの1元素または2元素以上
を含有し、残部Alと不可避不純物からなり、Mg,Cu,Znの
各々の皮材と芯材の含有量の比(皮材/芯材)を 0.7〜
1.3 、Cr,Mn,Zr,Ni の各々の皮材と芯材の含有量の比を
1.3 以下、Si,Fe の各々の皮材と芯材の含有量の比を1.
0 以下とする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面の平滑性に優
れ、芯材と皮材の境界に段差が生じ難く、発生屑を芯材
用原料としてそのままリサイクル(転回)できる磁気デ
ィスク基板用アルミニウム合金板およびその製造方法に
関する。
れ、芯材と皮材の境界に段差が生じ難く、発生屑を芯材
用原料としてそのままリサイクル(転回)できる磁気デ
ィスク基板用アルミニウム合金板およびその製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】磁気ディスクは基板表面に磁性体皮膜を
形成した記録媒体である。この磁気ディスクには、近
年、マルチメディアなどのニーズから大容量化(2GB
/枚)および高密度化が求められ、それに応じて磁気デ
ィスクの1ビットあたりの磁気領域は益々微小化され、
磁気ヘッドと磁気ディスクとの間隔も狭まる傾向にあ
る。このような状況の中で磁性体皮膜には高度の表面平
滑性が要求されている。
形成した記録媒体である。この磁気ディスクには、近
年、マルチメディアなどのニーズから大容量化(2GB
/枚)および高密度化が求められ、それに応じて磁気デ
ィスクの1ビットあたりの磁気領域は益々微小化され、
磁気ヘッドと磁気ディスクとの間隔も狭まる傾向にあ
る。このような状況の中で磁性体皮膜には高度の表面平
滑性が要求されている。
【0003】このような磁気ディスク基板は、非熱処
理型(非析出硬化型)の軽合金からなり、各種の加工お
よび使用時の高速回転に耐える十分な強度を有し、研
磨によりマイクロピット等の無い良好な鏡面が得られ、
下地めっき後の表面が平滑でマイクロピット等の欠陥
が生じず、下地めっき層の密着性が良好であること、
などが要求される。またこの磁気ディスク基板の製造に
は、例えば、半連続鋳造法で得られた鋳塊(スラブ)を
熱間圧延し、次いで焼鈍を交えながら冷間圧延し、得ら
れた冷間圧延材を円板状に打抜き、この円板状体に切
削、研削、研磨、エッチング、ジンケート処理の諸工程
を施し、次いでNi−P等の硬質非磁性体金属の無電解
めっきとポリッシングを施し、次いでCo−Ni−P合
金磁性体をスパッタリングして行われている。ところ
で、磁気ディスク基板には、従来より、マイクロピット
の原因になるFeやSiなどの不純物元素を規定したJ
IS−A−5086合金が用いられてきたが、表面の平
滑性が十分でなかった。その原因は、基板表面近傍の金
属間化合物がジンケート処理時に脱落してマイクロピッ
トとなるためである。このマイクロピットは無電解めっ
き厚さが20μm程度に厚いと、その後のポリッシング
研磨により消える場合が多いが、昨今はめっき厚さが薄
くなったためポリッシング研磨後もピットが残存するこ
とがある。表面平滑性が低下する他の原因としてノジュ
ール(凸状欠陥)がある。このノジュールは、表層に突
出したAl−Fe系金属間化合物、または小さな凹部に
優先成長したジンケートの凸状部がめっきされて生成す
る。このようなことから、前記のピットやノジュールの
原因になる金属間化合物の数と大きさを低減する対策が
種々講じられているが十分な成果が得られていない。ま
た前記対策により工程が複雑になり、製造コストが高く
なってきている。
理型(非析出硬化型)の軽合金からなり、各種の加工お
よび使用時の高速回転に耐える十分な強度を有し、研
磨によりマイクロピット等の無い良好な鏡面が得られ、
下地めっき後の表面が平滑でマイクロピット等の欠陥
が生じず、下地めっき層の密着性が良好であること、
などが要求される。またこの磁気ディスク基板の製造に
は、例えば、半連続鋳造法で得られた鋳塊(スラブ)を
熱間圧延し、次いで焼鈍を交えながら冷間圧延し、得ら
れた冷間圧延材を円板状に打抜き、この円板状体に切
削、研削、研磨、エッチング、ジンケート処理の諸工程
を施し、次いでNi−P等の硬質非磁性体金属の無電解
めっきとポリッシングを施し、次いでCo−Ni−P合
金磁性体をスパッタリングして行われている。ところ
で、磁気ディスク基板には、従来より、マイクロピット
の原因になるFeやSiなどの不純物元素を規定したJ
IS−A−5086合金が用いられてきたが、表面の平
滑性が十分でなかった。その原因は、基板表面近傍の金
属間化合物がジンケート処理時に脱落してマイクロピッ
トとなるためである。このマイクロピットは無電解めっ
き厚さが20μm程度に厚いと、その後のポリッシング
研磨により消える場合が多いが、昨今はめっき厚さが薄
くなったためポリッシング研磨後もピットが残存するこ
とがある。表面平滑性が低下する他の原因としてノジュ
ール(凸状欠陥)がある。このノジュールは、表層に突
出したAl−Fe系金属間化合物、または小さな凹部に
優先成長したジンケートの凸状部がめっきされて生成す
る。このようなことから、前記のピットやノジュールの
原因になる金属間化合物の数と大きさを低減する対策が
種々講じられているが十分な成果が得られていない。ま
た前記対策により工程が複雑になり、製造コストが高く
なってきている。
【0004】そこで、磁気ディスク基板用に、高強度の
Al−Mg−Zn(7000)系時効硬化型合金芯材
に、めっき性の良いAl−Mg(5000)系合金皮材
をクラッドした材料が最近開発された(特開平5−96
33号、特開平5−43970号)。 この材料は、強
度およびめっき性には優れるが、芯材と皮材の境界に段
差が生じ、この段差が、磁気ディスクをシャフトに装填
する際にシャフトの入口に引掛かり皮材が剥離するとい
う問題がある。この段差は、前記芯材はZn含有量が多
いため電位が卑で皮材との電位差が大きく、ジンケート
前のエッチング工程で芯材が優先的に溶解するため生じ
る。また、この材料には、芯材と皮材の組成を適正に選
定しないと、熱間または冷間圧延で芯材と皮材が圧接さ
れなかったり、圧接しても十分な接合強度が得られない
という問題がある。また製造で発生する屑を芯材の原料
として転回しようとするとMgが多くなり過ぎて十分な
量を転回できず、原料コストが高くなるという問題があ
る。また、本発明者等は、地金に高純度地金を用いるこ
とにより表面欠陥の原因になるAl−Fe系金属間化合
物を減少させた磁気ディスク基板用アルミニウム合金板
を開発した(特開平2ー97639)。このものは無電
解めっき(Ni−P合金めっき)上りの表面が平滑で一
部で実用化され高い評価を得ているが、純度99.99
wt%以上の地金を用いるため高価であった。
Al−Mg−Zn(7000)系時効硬化型合金芯材
に、めっき性の良いAl−Mg(5000)系合金皮材
をクラッドした材料が最近開発された(特開平5−96
33号、特開平5−43970号)。 この材料は、強
度およびめっき性には優れるが、芯材と皮材の境界に段
差が生じ、この段差が、磁気ディスクをシャフトに装填
する際にシャフトの入口に引掛かり皮材が剥離するとい
う問題がある。この段差は、前記芯材はZn含有量が多
いため電位が卑で皮材との電位差が大きく、ジンケート
前のエッチング工程で芯材が優先的に溶解するため生じ
る。また、この材料には、芯材と皮材の組成を適正に選
定しないと、熱間または冷間圧延で芯材と皮材が圧接さ
れなかったり、圧接しても十分な接合強度が得られない
という問題がある。また製造で発生する屑を芯材の原料
として転回しようとするとMgが多くなり過ぎて十分な
量を転回できず、原料コストが高くなるという問題があ
る。また、本発明者等は、地金に高純度地金を用いるこ
とにより表面欠陥の原因になるAl−Fe系金属間化合
物を減少させた磁気ディスク基板用アルミニウム合金板
を開発した(特開平2ー97639)。このものは無電
解めっき(Ni−P合金めっき)上りの表面が平滑で一
部で実用化され高い評価を得ているが、純度99.99
wt%以上の地金を用いるため高価であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、無電解めっ
き皮膜が薄くても表面が平滑で、芯材と皮材の境界に段
差が生じ難く、発生屑を芯材用原料としてそのまま転回
でき、安価な磁気ディスク基板用アルミニウム合金板お
よびその製造方法を提供することを目的とする。
き皮膜が薄くても表面が平滑で、芯材と皮材の境界に段
差が生じ難く、発生屑を芯材用原料としてそのまま転回
でき、安価な磁気ディスク基板用アルミニウム合金板お
よびその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
芯材の片面または両面に皮材をクラッドした磁気ディス
ク基板用アルミニウム合金クラッド板において、前記皮
材がMg2.0〜6.0wt%、Cu0.01〜0.15
wt%、Zn0.05〜2.0wt%を含有し、Mn0.0
1〜0.40wt%、Cr0.01〜0.30wt%、Zr
0.01〜0.12wt%、Ni0.01〜0.05wt%
のうちの1元素または2元素以上を含有し、不純物元素
としてSi0.05wt%以下、Fe0.05wt%以下、
Ti0.02wt%以下、その他の不純物元素が各々0.
02wt%以下で、残部Alからなり、前記芯材がMg、
Cu、Znを含有し、Mn、Cr、Zr、Niのうちの
1元素または2元素以上を含有し、残部Alと不可避不
純物からなり、前記Mg、Cu、Znの各々の皮材と芯
材の含有量の比(皮材/芯材)が0.7〜1.3、C
r、Mn、Zr、Niの各々の皮材と芯材の含有量の比
が1.3以下、Si、Feの各々の皮材と芯材の含有量
の比が1.0以下であることを特徴とするリサイクル性
に優れた高容量磁気ディスク基板用アルミニウム合金ク
ラッド板である。
芯材の片面または両面に皮材をクラッドした磁気ディス
ク基板用アルミニウム合金クラッド板において、前記皮
材がMg2.0〜6.0wt%、Cu0.01〜0.15
wt%、Zn0.05〜2.0wt%を含有し、Mn0.0
1〜0.40wt%、Cr0.01〜0.30wt%、Zr
0.01〜0.12wt%、Ni0.01〜0.05wt%
のうちの1元素または2元素以上を含有し、不純物元素
としてSi0.05wt%以下、Fe0.05wt%以下、
Ti0.02wt%以下、その他の不純物元素が各々0.
02wt%以下で、残部Alからなり、前記芯材がMg、
Cu、Znを含有し、Mn、Cr、Zr、Niのうちの
1元素または2元素以上を含有し、残部Alと不可避不
純物からなり、前記Mg、Cu、Znの各々の皮材と芯
材の含有量の比(皮材/芯材)が0.7〜1.3、C
r、Mn、Zr、Niの各々の皮材と芯材の含有量の比
が1.3以下、Si、Feの各々の皮材と芯材の含有量
の比が1.0以下であることを特徴とするリサイクル性
に優れた高容量磁気ディスク基板用アルミニウム合金ク
ラッド板である。
【0007】請求項2記載の発明は、アルミニウム合金
クラッド板の皮材の表層部分に存在する長径が5μmを
超えるMg2 Si金属間化合物粒子が1mm2 当たり2
0個以下または長径が5μmを超えるAl−Fe系金属
間化合物粒子が1mm2 当たり10個以下であることを
特徴とする請求項1記載のリサイクル性に優れた高容量
磁気ディスク基板用アルミニウム合金クラッド板であ
る。
クラッド板の皮材の表層部分に存在する長径が5μmを
超えるMg2 Si金属間化合物粒子が1mm2 当たり2
0個以下または長径が5μmを超えるAl−Fe系金属
間化合物粒子が1mm2 当たり10個以下であることを
特徴とする請求項1記載のリサイクル性に優れた高容量
磁気ディスク基板用アルミニウム合金クラッド板であ
る。
【0008】請求項3記載の発明は、アルミニウム合金
芯材の片面または両面にアルミニウム合金皮材を重ねた
合わせ材に、熱間圧延、冷間圧延、最終焼鈍を施す高容
量磁気ディスク基板用アルミニウム合金クラッド板の製
造方法において、熱間圧延後の冷却、冷間圧延途中の中
間焼鈍後の冷却、および最終焼鈍後の冷却を、各々24
0〜150℃間を30〜600℃/hrの冷却速度で行
い、冷間圧延を1パスあたり20%以上の圧延率で3パ
ス以上、全圧延率60%以上の条件で行うことを特徴と
する請求項2記載のリサイクル性に優れた高容量磁気デ
ィスク基板用アルミニウム合金クラッド板の製造方法で
ある。
芯材の片面または両面にアルミニウム合金皮材を重ねた
合わせ材に、熱間圧延、冷間圧延、最終焼鈍を施す高容
量磁気ディスク基板用アルミニウム合金クラッド板の製
造方法において、熱間圧延後の冷却、冷間圧延途中の中
間焼鈍後の冷却、および最終焼鈍後の冷却を、各々24
0〜150℃間を30〜600℃/hrの冷却速度で行
い、冷間圧延を1パスあたり20%以上の圧延率で3パ
ス以上、全圧延率60%以上の条件で行うことを特徴と
する請求項2記載のリサイクル性に優れた高容量磁気デ
ィスク基板用アルミニウム合金クラッド板の製造方法で
ある。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明では、磁気ディスク基板を
クラッド板とし、表面品質が問題になる皮材にのみ高純
度地金を用い、かつ芯材と皮材の組成を近似させること
により製造中に発生するクラッド板の屑を芯材の原料に
そのまま転回できるようにして原料コストの低減を図
り、また芯材と皮材との合金組成が近似しているため両
者の電位差が小さくなりエッチング工程でクラッド板端
面に段差が生じ難い。さらに本発明のクラッド板は、合
金元素を適正に選定することにより、母相と金属間化合
物との電位差を小さくし、素材の結晶粒径を微細にし、
ジンケート皮膜を薄く均一緻密に付着させることによ
り、Ni−P合金の無電解めっき皮膜の密着性向上とめ
っき皮膜中の微少欠陥の低減を図り、以て無電解めっき
上がりの表面を十分に平滑化したものである。このもの
は耐食性にも優れる。
クラッド板とし、表面品質が問題になる皮材にのみ高純
度地金を用い、かつ芯材と皮材の組成を近似させること
により製造中に発生するクラッド板の屑を芯材の原料に
そのまま転回できるようにして原料コストの低減を図
り、また芯材と皮材との合金組成が近似しているため両
者の電位差が小さくなりエッチング工程でクラッド板端
面に段差が生じ難い。さらに本発明のクラッド板は、合
金元素を適正に選定することにより、母相と金属間化合
物との電位差を小さくし、素材の結晶粒径を微細にし、
ジンケート皮膜を薄く均一緻密に付着させることによ
り、Ni−P合金の無電解めっき皮膜の密着性向上とめ
っき皮膜中の微少欠陥の低減を図り、以て無電解めっき
上がりの表面を十分に平滑化したものである。このもの
は耐食性にも優れる。
【0010】本発明のクラッド板は、種々の方法により
製造できるが、特に、ブレージングシートなどの製造に
使用されている圧延圧着法は生産性に富み好適である。
この圧延圧着法は、芯材と皮材の合わせ材に、熱間圧
延、冷間圧延、最終焼鈍を施して行われる。前記冷間圧
延では途中に中間焼鈍を入れるのが一般的である。
製造できるが、特に、ブレージングシートなどの製造に
使用されている圧延圧着法は生産性に富み好適である。
この圧延圧着法は、芯材と皮材の合わせ材に、熱間圧
延、冷間圧延、最終焼鈍を施して行われる。前記冷間圧
延では途中に中間焼鈍を入れるのが一般的である。
【0011】以下に本発明クラッド板の合金元素につい
て説明する。先ず、皮材の合金元素について説明する。
Mgは切削性および研削性を改善して表面品質を高め
る。その含有量を2.0〜6.0wt%に規定した理由
は、2.0wt%未満ではその効果が十分に得られず、
6.0wt%を超えるとAl−Mg系金属間化合物が生成
し、また溶解鋳造時の高温酸化によりMgO等の非金属
介在物が多量に生成し、マイクロピット等の発生原因に
なるためである。Mgの特に望ましい含有量は、切削
性、研削性、製造の容易さなどの兼ね合いから2.0〜
5.0wt%である。
て説明する。先ず、皮材の合金元素について説明する。
Mgは切削性および研削性を改善して表面品質を高め
る。その含有量を2.0〜6.0wt%に規定した理由
は、2.0wt%未満ではその効果が十分に得られず、
6.0wt%を超えるとAl−Mg系金属間化合物が生成
し、また溶解鋳造時の高温酸化によりMgO等の非金属
介在物が多量に生成し、マイクロピット等の発生原因に
なるためである。Mgの特に望ましい含有量は、切削
性、研削性、製造の容易さなどの兼ね合いから2.0〜
5.0wt%である。
【0012】CuとZnはジンケート処理時のAl溶解
量を減少させ、またジンケート皮膜を均一に薄く緻密に
付着させる。その結果、無電解めっき(下地めっき)層
の密着性が向上し、良好な表面平滑性が得られる。Cu
の含有量を0.01〜0.15wt%に規定した理由は、
0.01wt%未満ではその効果が十分に得られず、0.
15wt%を超えると材料自体の耐食性が低下するためで
ある。耐食性が低下するとジンケート皮膜厚さが不均一
になり、下地めっき層の密着性や下地めっき層表面の平
滑性が低下する。Znの含有量を0.05〜2.0wt%
に規定した理由は、0.05wt%未満ではその効果が十
分に得られず、2.0wt%を超えると加工性および耐食
性が低下するためである。
量を減少させ、またジンケート皮膜を均一に薄く緻密に
付着させる。その結果、無電解めっき(下地めっき)層
の密着性が向上し、良好な表面平滑性が得られる。Cu
の含有量を0.01〜0.15wt%に規定した理由は、
0.01wt%未満ではその効果が十分に得られず、0.
15wt%を超えると材料自体の耐食性が低下するためで
ある。耐食性が低下するとジンケート皮膜厚さが不均一
になり、下地めっき層の密着性や下地めっき層表面の平
滑性が低下する。Znの含有量を0.05〜2.0wt%
に規定した理由は、0.05wt%未満ではその効果が十
分に得られず、2.0wt%を超えると加工性および耐食
性が低下するためである。
【0013】Mn、Cr、Zr、およびNiは鋳造時や
焼鈍時に微細な金属間化合物を生成し、また再結晶組織
を微細にするためアルミニウム合金基板(皮材)の切削
性、研削性が向上し、その結果無電解めっき(Ni−P
めっき)被膜の密着性が向上する。各元素の含有量を前
記範囲にそれぞれ規定した理由は、前記下限未満ではそ
の効果が十分に得られず、上限を超えると鋳造時に過剰
分が晶出すると同時に粗大な金属間化合物が生成し、エ
ッチング、ジンケート処理、切削や研削加工などの際に
金属間化合物が脱落してマイクロピットの発生原因にな
るためである。これらの中でも、Mn、Cr、Zrは単
独で添加してもその効果が得られるが、複合して添加す
ることによって更に大きな効果が得られる。このうちM
nはAl−Fe系化合物と結合して粗大なAl−Mn−
Fe系化合物を生成する。またCrにも同様の傾向が認
められる。従ってMnの上限は0.03wt%、Crの上
限は0.04wt%にするのが望ましい。
焼鈍時に微細な金属間化合物を生成し、また再結晶組織
を微細にするためアルミニウム合金基板(皮材)の切削
性、研削性が向上し、その結果無電解めっき(Ni−P
めっき)被膜の密着性が向上する。各元素の含有量を前
記範囲にそれぞれ規定した理由は、前記下限未満ではそ
の効果が十分に得られず、上限を超えると鋳造時に過剰
分が晶出すると同時に粗大な金属間化合物が生成し、エ
ッチング、ジンケート処理、切削や研削加工などの際に
金属間化合物が脱落してマイクロピットの発生原因にな
るためである。これらの中でも、Mn、Cr、Zrは単
独で添加してもその効果が得られるが、複合して添加す
ることによって更に大きな効果が得られる。このうちM
nはAl−Fe系化合物と結合して粗大なAl−Mn−
Fe系化合物を生成する。またCrにも同様の傾向が認
められる。従ってMnの上限は0.03wt%、Crの上
限は0.04wt%にするのが望ましい。
【0014】本発明において、不純物元素のSiとFe
を各々0.05wt%以下、Tiを0.02wt%以下に規
定する理由は、各々の元素が前記上限値を超えるとマイ
クロピットの原因になるAl−Fe系、Mg2 Si等の
粗大な金属間化合物が多数生成するためである。その他
の不可避不純物元素のNi、Bなどの元素を各々0.0
2wt%以下に規定する理由は、前記規定値を超えるとデ
ィスク基板としての特性に悪影響がでてくるためであ
る。
を各々0.05wt%以下、Tiを0.02wt%以下に規
定する理由は、各々の元素が前記上限値を超えるとマイ
クロピットの原因になるAl−Fe系、Mg2 Si等の
粗大な金属間化合物が多数生成するためである。その他
の不可避不純物元素のNi、Bなどの元素を各々0.0
2wt%以下に規定する理由は、前記規定値を超えるとデ
ィスク基板としての特性に悪影響がでてくるためであ
る。
【0015】次に芯材の合金元素について説明する。芯
材の合金元素となるMg、Cu、Zn、Mn、Cr、Z
r、Niの各々の作用は皮材における作用と同じであ
る。前記Mg、Cu、Znの各々の皮材と芯材の含有量
の比(皮材/芯材)を0.7〜1.3に規定する理由
は、前記比が0.7未満でも、1.3を超えても皮材と
芯材との変形抵抗差が大きくなって両者の圧延圧接が良
好に行えなくなるためである。また前記比が1.3を超
えると、クラッド材屑を芯材原料として十分な量転回で
きなくなる。Cr、Mn、Zr、Niの各々の皮材と芯
材の含有量の比を1.3以下に規定する理由は、前記C
r、Mn、Zr、Niの各々の皮材と芯材の含有量の比
(皮材/芯材)が1.3を超えると、クラッド材屑を芯
材原料として十分な量転回できなくなるためである。ま
た芯材については、記憶媒体としての機能に関係なく、
これらの元素は一般の展伸材の屑にもそれほど多く含ま
れないため、芯材含有量の上限は規定する必要がない。
そこで、上記4元素については皮材と芯材の含有量の比
の下限値は特に規定しない。不純物元素のSi、Feの
各々の皮材と芯材の含有量の比(皮材/芯材)を1.0
以下に規定する理由は、Si、Feはマイクロピットや
ノジュールの原因となるので記憶媒体としての機能に影
響する皮材には高純度地金を用いてその量を規制する必
要があるが、芯材にはその必要がないばかりか、芯材を
高純度にして前記比が1.0を超えるようにするのは不
経済なためである。
材の合金元素となるMg、Cu、Zn、Mn、Cr、Z
r、Niの各々の作用は皮材における作用と同じであ
る。前記Mg、Cu、Znの各々の皮材と芯材の含有量
の比(皮材/芯材)を0.7〜1.3に規定する理由
は、前記比が0.7未満でも、1.3を超えても皮材と
芯材との変形抵抗差が大きくなって両者の圧延圧接が良
好に行えなくなるためである。また前記比が1.3を超
えると、クラッド材屑を芯材原料として十分な量転回で
きなくなる。Cr、Mn、Zr、Niの各々の皮材と芯
材の含有量の比を1.3以下に規定する理由は、前記C
r、Mn、Zr、Niの各々の皮材と芯材の含有量の比
(皮材/芯材)が1.3を超えると、クラッド材屑を芯
材原料として十分な量転回できなくなるためである。ま
た芯材については、記憶媒体としての機能に関係なく、
これらの元素は一般の展伸材の屑にもそれほど多く含ま
れないため、芯材含有量の上限は規定する必要がない。
そこで、上記4元素については皮材と芯材の含有量の比
の下限値は特に規定しない。不純物元素のSi、Feの
各々の皮材と芯材の含有量の比(皮材/芯材)を1.0
以下に規定する理由は、Si、Feはマイクロピットや
ノジュールの原因となるので記憶媒体としての機能に影
響する皮材には高純度地金を用いてその量を規制する必
要があるが、芯材にはその必要がないばかりか、芯材を
高純度にして前記比が1.0を超えるようにするのは不
経済なためである。
【0016】本発明において、皮材のクラッド率(クラ
ッド板全厚さに対する皮材厚さの比率)は、片面圧接の
場合30%以下が望ましい。その理由はクラッド率が3
0%を超えると圧延圧接時に界面に発生する剪断力が弱
くなって十分な接合強度が得られなくなるためである。
ッド板全厚さに対する皮材厚さの比率)は、片面圧接の
場合30%以下が望ましい。その理由はクラッド率が3
0%を超えると圧延圧接時に界面に発生する剪断力が弱
くなって十分な接合強度が得られなくなるためである。
【0017】請求項3記載の発明において、熱間圧延
後、冷間圧延途中の中間焼鈍後、および最終焼鈍後のそ
れぞれの冷却過程における冷却速度を規制する温度範囲
を各々240〜150℃間にした理由は、240℃を超
える温度ではMg2 Siは析出せず、150℃未満では
析出に時間が掛かり実質的に問題がないためである。ま
た前記温度範囲での冷却速度を30〜600℃/hrに
規定する理由は、前記冷却速度が30℃/hr未満では
Mg2 Siが多量に析出し、600℃/hrを超えると
熱ひずみが大きくなり素板の平坦度が悪化するためであ
る。
後、冷間圧延途中の中間焼鈍後、および最終焼鈍後のそ
れぞれの冷却過程における冷却速度を規制する温度範囲
を各々240〜150℃間にした理由は、240℃を超
える温度ではMg2 Siは析出せず、150℃未満では
析出に時間が掛かり実質的に問題がないためである。ま
た前記温度範囲での冷却速度を30〜600℃/hrに
規定する理由は、前記冷却速度が30℃/hr未満では
Mg2 Siが多量に析出し、600℃/hrを超えると
熱ひずみが大きくなり素板の平坦度が悪化するためであ
る。
【0018】請求項3記載の発明において、冷間圧延
を、1パスあたり20%以上の圧延率で3パス以上、全
圧延率60%以上の条件で行う理由は、表面欠陥、特に
ノジュールの原因となるFe系金属間化合物を十分小さ
く粉砕するためである。
を、1パスあたり20%以上の圧延率で3パス以上、全
圧延率60%以上の条件で行う理由は、表面欠陥、特に
ノジュールの原因となるFe系金属間化合物を十分小さ
く粉砕するためである。
【0019】皮材は半連続鋳造法などにより鋳造後、均
質化処理し、次いで熱間圧延して所定の厚さに仕上げ
る。均質化処理と熱間圧延の条件は、合金組成ごとに最
適に選定される。この時の温度が余り高いと、鋳塊や圧
延材の結晶粒が粗大化したり、極端な場合は溶融したり
する。また温度が低すぎると熱間圧延時の変形抵抗が大
きくなり、圧延機の能力を超えた時には圧延できなくな
る。このため均質化処理および熱間圧延温度は350〜
550℃の範囲が望ましい。芯材(鋳塊)の均質化処理
温度も前記と同様の理由により350〜550℃が望ま
しい。
質化処理し、次いで熱間圧延して所定の厚さに仕上げ
る。均質化処理と熱間圧延の条件は、合金組成ごとに最
適に選定される。この時の温度が余り高いと、鋳塊や圧
延材の結晶粒が粗大化したり、極端な場合は溶融したり
する。また温度が低すぎると熱間圧延時の変形抵抗が大
きくなり、圧延機の能力を超えた時には圧延できなくな
る。このため均質化処理および熱間圧延温度は350〜
550℃の範囲が望ましい。芯材(鋳塊)の均質化処理
温度も前記と同様の理由により350〜550℃が望ま
しい。
【0020】クラッド板は、鋳造後均質化処理した芯材
(鋳塊)と熱間圧延材後の皮材とを重ねて合わせ材と
し、これを熱間圧延、冷間圧延、最終焼鈍して製造され
る。合わせ材とする前の芯材と皮材は表面が酸化されて
いるので合わせ面を面削または硝酸や苛性ソーダなどで
素洗いして酸化層を除去しておくと圧接が良好に行え
る。
(鋳塊)と熱間圧延材後の皮材とを重ねて合わせ材と
し、これを熱間圧延、冷間圧延、最終焼鈍して製造され
る。合わせ材とする前の芯材と皮材は表面が酸化されて
いるので合わせ面を面削または硝酸や苛性ソーダなどで
素洗いして酸化層を除去しておくと圧接が良好に行え
る。
【0021】
【実施例】以下に本発明を実施例により詳細に説明す
る。表1に示す組成の皮材および芯材を用いて合わせ材
を作製し、この合せ材を500℃に再加熱後、圧延開始
温度470℃で種々の厚さに熱間圧延し、次いで厚さ
0.82mmに冷間圧延し、これを所定の寸法に切断
し、素洗いしてクラッド率約10%の片面クラッド板を
製造した。熱間圧延後、中間焼鈍後、最終焼鈍後の各冷
却速度、冷間圧延での圧延率は種々に変化させた。
る。表1に示す組成の皮材および芯材を用いて合わせ材
を作製し、この合せ材を500℃に再加熱後、圧延開始
温度470℃で種々の厚さに熱間圧延し、次いで厚さ
0.82mmに冷間圧延し、これを所定の寸法に切断
し、素洗いしてクラッド率約10%の片面クラッド板を
製造した。熱間圧延後、中間焼鈍後、最終焼鈍後の各冷
却速度、冷間圧延での圧延率は種々に変化させた。
【0022】前記皮材と芯材は下記のようにして製造し
た。 皮材:常法にて鋳造した厚さ30mmの鋳塊を片面5m
mずつ切削し、これを均質化処理(450℃×2時間+
520℃×2時間)後、厚さ5mmの板材に熱間圧延し
(圧延開始温度470℃、終了温度230℃、冷却速度
20℃/時間)、この板材を所定の寸法に切断し、素洗
い〔湯洗→3%硝酸デスマット(1分)→5%苛性ソー
ダ(5分)→3%硝酸デスマット(1分)→湯洗〕し
た。 芯材:常法にて鋳造した厚さ60mmの鋳塊を均質化処
理(450℃×2時間+520℃×2時間)後、片面1
0mmずつ切削して厚さ40mmにした。なお合わせ材
の素洗いは前記皮材の素洗いと同じ条件で行った。
た。 皮材:常法にて鋳造した厚さ30mmの鋳塊を片面5m
mずつ切削し、これを均質化処理(450℃×2時間+
520℃×2時間)後、厚さ5mmの板材に熱間圧延し
(圧延開始温度470℃、終了温度230℃、冷却速度
20℃/時間)、この板材を所定の寸法に切断し、素洗
い〔湯洗→3%硝酸デスマット(1分)→5%苛性ソー
ダ(5分)→3%硝酸デスマット(1分)→湯洗〕し
た。 芯材:常法にて鋳造した厚さ60mmの鋳塊を均質化処
理(450℃×2時間+520℃×2時間)後、片面1
0mmずつ切削して厚さ40mmにした。なお合わせ材
の素洗いは前記皮材の素洗いと同じ条件で行った。
【0023】次いで、前記厚さ0.82mmのクラッド
板から直径96mm、内径24mmのドーナツ板を打抜
き、340℃で4時間焼鈍後、グラインディング加工、
表面処理、無電解めっきを行った。なお、表面処理は、
アセトンで脱脂→5%NaOH水溶液(40℃)に30
秒間浸漬してエッチングし、次いで30%硝酸水溶液
(室温)で30秒間デスマットし、次いでアーブ302
ZN(商標名、奥野製薬)を用いてダブルジンケート処
理し、次いでナイクラッド719(商標名、奥野製薬)
を用いてNi−Pを17μm厚さに無電解めっきし、次
いで羽布により仕上げ研磨(研磨量4μm)して行っ
た。
板から直径96mm、内径24mmのドーナツ板を打抜
き、340℃で4時間焼鈍後、グラインディング加工、
表面処理、無電解めっきを行った。なお、表面処理は、
アセトンで脱脂→5%NaOH水溶液(40℃)に30
秒間浸漬してエッチングし、次いで30%硝酸水溶液
(室温)で30秒間デスマットし、次いでアーブ302
ZN(商標名、奥野製薬)を用いてダブルジンケート処
理し、次いでナイクラッド719(商標名、奥野製薬)
を用いてNi−Pを17μm厚さに無電解めっきし、次
いで羽布により仕上げ研磨(研磨量4μm)して行っ
た。
【0024】次いで、前記の(A)グラインディング加
工したドーナツ板、(B)エッチング後のドーナツ板、
(C)めっき後のドーナツ板について下記の評価を行っ
た。 (A)グラインディング加工したドーナツ板の評価。 Mg2 Si:走査式電子顕微鏡(SEM)にて3mm2
の視野での個数を計測した。 5μmを超えるものが20
個/mm2 以下が合格レベルである。 Al−Fe系金属間化合物:走査式電子顕微鏡(SE
M)にて3mm2 の視野での個数を計測した。 5μmを
超えるものが10個/mm2 以下を合格とした。 (B)エッチング後のドーナツ板の評価。 端面に段差がないものを○、段差が生じないものを×と
した。 (C)めっき後のドーナツ板の評価。 マイクロピット:光学顕微鏡にて3mm2 の視野での個
数を計測した。 前記個数が5個未満をA、5個以上15
個未満をB、15個以上25未満をC、25個以上をD
と表示した。 ノジュール:光学顕微鏡にて3mm2 の視野での個数を
計測した。 前記個数が5個未満をA、5個以上15個未
満をB、15個以上25未満をC、25個以上をDと表
示した。 密着性:無電解めっき材から50mm2 のサンプルを切
り出し、これを400℃に30分間加熱後、直ちに水冷
してめっき皮膜の剥離または膨れを調査した。剥離また
は膨れが生じなかったものを○(良好)、生じたものを
×(不良)と表示した。コストは、合金元素のうちのC
u、Mn、Mg、Cr、Zn、Zr、Niの含有量の皮
材と芯材の比(皮材/芯材)が1.3倍を超えるもの
は、製造工程中発生した屑をそのまま芯材の原料に転回
できないので×(不良)と表示した。それ以外は○(良
好)で表示した。最後にマイクロピット、ノジュール、
端面性状を総合的に見てA〜Eの5段階で評価した、A
〜Cは合格レベル、D、Eは不合格、製造不可は×で表
示した。結果を表2に示す。 また各々の元素の皮材と芯
材の含有量の比(皮材/芯材)を表3に示した。表3で
は本発明の規定を満足するものを○、満足しないものを
×で示した。
工したドーナツ板、(B)エッチング後のドーナツ板、
(C)めっき後のドーナツ板について下記の評価を行っ
た。 (A)グラインディング加工したドーナツ板の評価。 Mg2 Si:走査式電子顕微鏡(SEM)にて3mm2
の視野での個数を計測した。 5μmを超えるものが20
個/mm2 以下が合格レベルである。 Al−Fe系金属間化合物:走査式電子顕微鏡(SE
M)にて3mm2 の視野での個数を計測した。 5μmを
超えるものが10個/mm2 以下を合格とした。 (B)エッチング後のドーナツ板の評価。 端面に段差がないものを○、段差が生じないものを×と
した。 (C)めっき後のドーナツ板の評価。 マイクロピット:光学顕微鏡にて3mm2 の視野での個
数を計測した。 前記個数が5個未満をA、5個以上15
個未満をB、15個以上25未満をC、25個以上をD
と表示した。 ノジュール:光学顕微鏡にて3mm2 の視野での個数を
計測した。 前記個数が5個未満をA、5個以上15個未
満をB、15個以上25未満をC、25個以上をDと表
示した。 密着性:無電解めっき材から50mm2 のサンプルを切
り出し、これを400℃に30分間加熱後、直ちに水冷
してめっき皮膜の剥離または膨れを調査した。剥離また
は膨れが生じなかったものを○(良好)、生じたものを
×(不良)と表示した。コストは、合金元素のうちのC
u、Mn、Mg、Cr、Zn、Zr、Niの含有量の皮
材と芯材の比(皮材/芯材)が1.3倍を超えるもの
は、製造工程中発生した屑をそのまま芯材の原料に転回
できないので×(不良)と表示した。それ以外は○(良
好)で表示した。最後にマイクロピット、ノジュール、
端面性状を総合的に見てA〜Eの5段階で評価した、A
〜Cは合格レベル、D、Eは不合格、製造不可は×で表
示した。結果を表2に示す。 また各々の元素の皮材と芯
材の含有量の比(皮材/芯材)を表3に示した。表3で
は本発明の規定を満足するものを○、満足しないものを
×で示した。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
【表3】
【0028】表2より明らかなように、本発明例の試料
No.1〜16は、エッチング後の端面に段差が生じず、下地
処理である無電解めっき皮膜の密着性に優れ、めっき上
がりの表面が平滑であった。このうち請求項3記載の条
件で製造したもの (No.1〜6,11,14)はMg2 SiやFe
系化合物の個数が少なく、またマイクロピットやノジュ
ールも少なかった。また請求項3記載の条件外で製造し
たもの(No.7 〜10,12,13,15,16) はMg2 SiやFe系
化合物が十分に粉砕されていないため、請求項3記載の
条件内で製造したものよりマイクロピットやノジュール
がやや多くなり総合評価が若干劣った。なお、本発明例
で用いた合金A〜Eはいずれも芯材のSiとFeの含有
量が皮材のそれより多いが、表面品質には何ら影響を及
ぼしていない。これに対し、比較例の試料No.17,18はS
i、Feが多いためノジュールまたはマイクロピットが
多発した。 No.19〜21はCu、Znの含有量が多かった
ため無電解めっき皮膜に剥離や膨れが生じた。No.22 は
芯材のZn含有量が皮材のそれの1.3倍を超えたため
屑転回の面で不利となりコスト高となった。また皮材と
芯材のZn含有量の差が大きかったため端面に段差が生
じた。
No.1〜16は、エッチング後の端面に段差が生じず、下地
処理である無電解めっき皮膜の密着性に優れ、めっき上
がりの表面が平滑であった。このうち請求項3記載の条
件で製造したもの (No.1〜6,11,14)はMg2 SiやFe
系化合物の個数が少なく、またマイクロピットやノジュ
ールも少なかった。また請求項3記載の条件外で製造し
たもの(No.7 〜10,12,13,15,16) はMg2 SiやFe系
化合物が十分に粉砕されていないため、請求項3記載の
条件内で製造したものよりマイクロピットやノジュール
がやや多くなり総合評価が若干劣った。なお、本発明例
で用いた合金A〜Eはいずれも芯材のSiとFeの含有
量が皮材のそれより多いが、表面品質には何ら影響を及
ぼしていない。これに対し、比較例の試料No.17,18はS
i、Feが多いためノジュールまたはマイクロピットが
多発した。 No.19〜21はCu、Znの含有量が多かった
ため無電解めっき皮膜に剥離や膨れが生じた。No.22 は
芯材のZn含有量が皮材のそれの1.3倍を超えたため
屑転回の面で不利となりコスト高となった。また皮材と
芯材のZn含有量の差が大きかったため端面に段差が生
じた。
【0029】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明のクラッド
板は、芯材と皮材の境界に段差が生じ難く、無電解めっ
き層の密着性、めっき後の表面平滑性に優れ、磁気ディ
スクの高容量化および高密度化が可能である。また皮材
のみに高純度地金を用いるので大幅なコストアップにな
らない。発生屑は芯材の原料としてそのまま転回でき、
原料コストを安くできる。また本発明のクラッド板は従
来法の製造条件を規定することにより容易に製造でき
る。依って、工業上顕著な効果を奏する。
板は、芯材と皮材の境界に段差が生じ難く、無電解めっ
き層の密着性、めっき後の表面平滑性に優れ、磁気ディ
スクの高容量化および高密度化が可能である。また皮材
のみに高純度地金を用いるので大幅なコストアップにな
らない。発生屑は芯材の原料としてそのまま転回でき、
原料コストを安くできる。また本発明のクラッド板は従
来法の製造条件を規定することにより容易に製造でき
る。依って、工業上顕著な効果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C22F 1/00 684 C22F 1/00 684A 685 685Z 692 692A 692B 694 694A G11B 5/62 G11B 5/62
Claims (3)
- 【請求項1】 芯材の片面または両面に皮材をクラッド
した磁気ディスク基板用アルミニウム合金クラッド板に
おいて、前記皮材がMg2.0〜6.0wt%、Cu0.
01〜0.15wt%、Zn0.05〜2.0wt%を含有
し、Mn0.01〜0.40wt%、Cr0.01〜0.
30wt%、Zr0.01〜0.12wt%、Ni0.01
〜0.05wt%のうちの1元素または2元素以上を含有
し、不純物元素としてSi0.05wt%以下、Fe0.
05wt%以下、Ti0.02wt%以下、その他の不純物
元素が各々0.02wt%以下で、残部Alからなり、前
記芯材がMg、Cu、Znを含有し、Mn、Cr、Z
r、Niのうちの1元素または2元素以上を含有し、残
部Alと不可避不純物からなり、前記Mg、Cu、Zn
の各々の皮材と芯材の含有量の比(皮材/芯材)が0.
7〜1.3、Cr、Mn、Zr、Niの各々の皮材と芯
材の含有量の比が1.3以下、Si、Feの各々の皮材
と芯材の含有量の比が1.0以下であることを特徴とす
るリサイクル性に優れた高容量磁気ディスク基板用アル
ミニウム合金クラッド板。 - 【請求項2】 アルミニウム合金クラッド板の皮材の表
層部分に存在する長径が5μmを超えるMg2 Si金属
間化合物粒子が1mm2 当たり20個以下または長径が
5μmを超えるAl−Fe系金属間化合物粒子が1mm
2 当たり10個以下であることを特徴とする請求項1記
載のリサイクル性に優れた高容量磁気ディスク基板用ア
ルミニウム合金クラッド板。 - 【請求項3】 アルミニウム合金芯材の片面または両面
にアルミニウム合金皮材を重ねた合わせ材に、熱間圧
延、冷間圧延、最終焼鈍を施す高容量磁気ディスク基板
用アルミニウム合金クラッド板の製造方法において、熱
間圧延後の冷却、冷間圧延途中の中間焼鈍後の冷却、お
よび最終焼鈍後の冷却を、各々240〜150℃間を3
0〜600℃/hrの冷却速度で行い、冷間圧延を1パ
スあたり20%以上の圧延率で3パス以上、全圧延率6
0%以上の条件で行うことを特徴とする請求項2記載の
リサイクル性に優れた高容量磁気ディスク基板用アルミ
ニウム合金クラッド板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12001297A JPH10310836A (ja) | 1997-05-12 | 1997-05-12 | リサイクル性に優れた高容量磁気ディスク基板用アルミニウム合金クラッド板およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12001297A JPH10310836A (ja) | 1997-05-12 | 1997-05-12 | リサイクル性に優れた高容量磁気ディスク基板用アルミニウム合金クラッド板およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10310836A true JPH10310836A (ja) | 1998-11-24 |
Family
ID=14775723
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP12001297A Pending JPH10310836A (ja) | 1997-05-12 | 1997-05-12 | リサイクル性に優れた高容量磁気ディスク基板用アルミニウム合金クラッド板およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10310836A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002275568A (ja) * | 2001-03-15 | 2002-09-25 | Kobe Steel Ltd | 磁気ディスク用アルミニウム合金及び磁気ディスク用基板 |
WO2009062866A1 (en) * | 2007-11-15 | 2009-05-22 | Aleris Aluminum Koblenz Gmbh | Al-mg-zn wrought alloy product and method of its manufacture |
JP2010168602A (ja) * | 2009-01-20 | 2010-08-05 | Kobe Steel Ltd | 磁気ディスク用アルミニウム合金基板およびその製造方法 |
WO2017188320A1 (ja) * | 2016-04-27 | 2017-11-02 | 株式会社Uacj | 磁気ディスク用基板 |
CN109957690A (zh) * | 2019-05-09 | 2019-07-02 | 广西南南铝加工有限公司 | 一种电子产品外观件用铝合金复合材料制备方法 |
US11208710B2 (en) * | 2017-02-27 | 2021-12-28 | Uacj Corporation | Aluminum alloy substrate for magnetic disks, method for producing same, and magnetic disk using this aluminum alloy substrate for magnetic disks |
-
1997
- 1997-05-12 JP JP12001297A patent/JPH10310836A/ja active Pending
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2002275568A (ja) * | 2001-03-15 | 2002-09-25 | Kobe Steel Ltd | 磁気ディスク用アルミニウム合金及び磁気ディスク用基板 |
WO2009062866A1 (en) * | 2007-11-15 | 2009-05-22 | Aleris Aluminum Koblenz Gmbh | Al-mg-zn wrought alloy product and method of its manufacture |
US9039848B2 (en) | 2007-11-15 | 2015-05-26 | Aleris Aluminum Koblenz Gmbh | Al—Mg—Zn wrought alloy product and method of its manufacture |
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