JP5480599B2 - 磁気ディスク用アルミニウム合金板及びその製造方法 - Google Patents

磁気ディスク用アルミニウム合金板及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、モバイルパソコンやノートパソコン、ポータブルオーディオプレーヤなどに搭載されるハードディスクドライブのプラッタ(磁気ディスク)の基板として用いられる磁気ディスク用アルミニウム合金板及びその製造方法に関する。
ハードディスクドライブ(HDD)は、円環状のディスク上に磁性膜等を形成した磁気ディスクと、この磁気ディスクを回転させるスピンドルモータと、磁気ディスク上に位置して読み書きを行う磁気ヘッドと、この磁気ヘッドを先端部に固定しているスイングアームと、このスイングアームの基端部と接続されたボイスコイルモータとを有して構成されている。デスクトップパソコンやサーバなどには前記構成を有する所謂3.5インチHDDが多く搭載されている。
3.5インチHDDに用いられている磁気ディスクは一般的に、所定の成分組成を有するアルミニウム合金の鋳塊を得た後、均質化熱処理、熱間圧延及び冷間圧延を行って所定の板厚のアルミニウム合金板を作製した後、打ち抜いて円環状とし、これを加圧焼鈍してブランクを作製する。そして、かかるブランクの表面を研削して鏡面加工し、グラインド(GR)サブストレートを作製し、酸エッチング処理、デスマット処理及びジンケート処理を行った後、無電解NiPめっきを行ってめっきサブストレートを作製する。次いで、このめっきサブストレートの表面を研磨してスパッタリング等により磁性膜を形成し、ライナー(潤滑剤)を塗布することにより作製されている。
一方、モバイルパソコンやノートパソコン、ポータブルオーディオプレーヤなどには前記構成を有する2.5インチ以下の小型のHDD(以下、単に「小型HDD」という)が搭載されている。
この小型HDDに用いられている磁気ディスクは板厚が0.6〜0.7mm程度と薄いため、落下衝撃時に変形が生じたり、製造工程中のハンドリングにより歪みが生じたりし易い。そのため、小型HDDに用いられる磁気ディスクの基板としては、表面硬度が高く、耐衝撃性や耐歪み性に優れたガラス板が用いられている。
近年、磁気ヘッドの小型化やサスペンションの向上、加速度センサーの採用による磁気ヘッドと磁気ディスクの衝突回避機構の採用などによりHDDの耐衝撃性は飛躍的に向上しているので、小型HDDの磁気ディスクの基板としてコスト競争力に優れるアルミニウム合金板の採用について検討され始めた。
磁気ディスクの基板として用いられるアルミニウム合金板には耐力(耐衝撃性)やめっき膜表面の平滑性が要求される。かかる磁気ディスクの基板として、例えば特許文献1には、必須元素として3質量%<Mg≦6質量%、0.03質量%≦Cu<0.3質量%及び0.03質量%≦Zn≦0.4質量%を含有し、不純物のうちのFe、Siを半連続鋳造の場合はFe≦0.07質量%、Si≦0.06質量%、薄板連鋳の場合はFe≦0.1質量%、Si≦0.1質量%に規制した組成を有するとともに、Al−Feを主成分とする金属間化合物の大きさの最大値が10μm以下であって、尚且つ5μm以上の当該金属間化合物の数が5個/0.2mm2以下であり、さらに、Mg−Siを主成分とする金属間化合物の大きさの最大値が8μm以下であって、尚且つ5μm以上の当該金属間化合物の数が5個/0.2mm2以下であることを特徴とする磁気ディスク用アルミニウム合金板が記載されている。
この特許文献1によれば、Al−Feを主成分とする金属間化合物のサイズと量、及びMg−Siを主成分とする金属間化合物のサイズと量を規定することによって優れためっき付着性を有することができる旨記載されている。
また、例えば特許文献2には、Mg:7質量%以上15質量%以下、Si:0.005質量%以上0.1質量%以下、Fe:0.005質量%以上0.1質量%以下、Cr:0.02質量%以上0.35質量%以下を含み、さらに、Cu:0.01質量%以上0.2質量%以下、Zn:0.01質量%以上0.4質量%未満のうち少なくとも1種以上を含み、残部がAl及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金で構成され、Al−Fe系金属間化合物が最大長さ7μm以下のものからなり、且つ、Mg−Si系金属間化合物が最大長さ4μm以下のものからなる磁気ディスク用アルミニウム合金板が記載されている。また、特許文献2にはかかる磁気ディスク用アルミニウム合金板を薄板連鋳法により製造する旨が記載されている。
この特許文献2によれば、Mgを高濃度で含有させることによって当該磁気ディスク用アルミニウム合金板の強度を向上させることができる旨記載されている。
特開平2−111839号公報 特開2006−241513号公報
しかし、特許文献1に記載の磁気ディスク用アルミニウム合金板は、優れためっき付着性を有するものの、耐力向上に寄与するMgなどの元素の含有量が少ないため小型HDDの磁気ディスクの基板としては耐力が不十分となるおそれがあり、この点で改善の余地があった。
また、特許文献2に記載の磁気ディスク用アルミニウム合金板は、強度は向上されているものの、薄板連鋳法を用いる必要があるため偏析などに起因する表面欠陥の防止が難しいことから、優れためっき膜表面の平滑性を得ることが難しいおそれがあり、この点で改良の余地があった。
本発明は前記問題を解決するためになされたものであり、落下時の衝撃によっても基板の変形を生じさせない程度の十分な耐衝撃性を有し、且つめっき処理によって形成されるめっき膜表面の平滑性に優れる磁気ディスク用アルミニウム合金板及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは前記課題を解決するため鋭意研究した結果、特定の成分組成を有するアルミニウム合金を用いて、特定の製造条件で製造することによって、落下時の衝撃によっても基板の変形を生じさせない程度の十分な耐衝撃性を有し、且つめっき処理によって形成されるめっき膜表面の平滑性に優れる磁気ディスク用アルミニウム合金板を具現できることを見出し、本発明を完成するに至った。
〔1〕前記課題を解決した本発明に係る磁気ディスク用アルミニウム合金板は、Mg:4.5質量%以上6.0質量%以下、Mn:0.02質量%以上0.5質量%未満を含有し、さらに、Cu:0.01質量%以上0.2質量%以下、Zn:0.01質量%以上0.4質量%未満のうち少なくとも1種以上を含有し、Si:0.025質量%未満、Fe:0.03質量%未満に規制され、残部がAl及び不可避的不純物からなる成分組成を有し、表面におけるAl−Fe系金属間化合物及びAl−Fe−Mn系金属間化合物の最大長さが10μm以下、Mg−Si系金属間化合物の最大長さが3μm以下、鏡面とする研削前の表面に形成されている凹部の深さが10μm以下であることを特徴としている。
〔2〕本発明に係る磁気ディスク用アルミニウム合金板は、Cr:0.02質量%以上0.4質量%以下を含有しているのが好ましい。
本発明では、Mgをこのような特定の数値範囲で多く含有しているため耐力が向上し、落下時の衝撃によっても基板の変形を生じさせない程度の十分な耐衝撃性を得ることができる。また、SiとFeをこのような特定の数値範囲で少なく含有しているためMg−Si系金属間化合物及びAl−Fe系金属間化合物及びAl−Fe−Mn系金属間化合物の最大長さを所定値以下に抑えることができる。すなわち、Siをこのような特定の数値範囲で含有しているためMg−Si系金属間化合物の最大長さを3μm以下とすることができ、Feをこのような特定の数値範囲で含有しているためAl−Fe系金属間化合物及びAl−Fe−Mn系金属間化合物の最大長さを10μm以下とすることができる。さらに、Mnをこのような特定の数値範囲で含有しており、好ましくはCrもこのような特定の数値範囲で含有しているため結晶粒の成長を抑制して組織を均質化でき、これによりめっき処理によって形成されるめっき膜表面の平滑性が優れたものになるようにすることができる。さらに、これに加えて、Cu及びZnのうち少なくとも1種以上を前記した特定の数値範囲で含有しているので、これらがアルミニウム合金板中に均一に固溶することにより、めっき前処理のジンケート処理においてジンケート浴中のZnイオンをアルミニウム合金板の表面へ均一且つ微細に析出させることができるようになる結果、めっき膜表面に発生するノジュールを抑制することが可能となる。そして、Al−Fe系金属間化合物及びAl−Fe−Mn系金属間化合物の最大長さ、Mg−Si系金属間化合物の最大長さ、及び鏡面とする研削前の表面に形成される凹部の深さを特定の数値以下とすることにより、めっき処理によって形成されるめっき膜表面の平滑性を優れたものとすることができる。
〕そして、本発明に係る磁気ディスク用アルミニウム合金板の製造方法は、Mg:4.5質量%以上6.0質量%以下、Mn:0.02質量%以上0.5質量%未満を含有し、さらに、Cu:0.01質量%以上0.2質量%以下、Zn:0.01質量%以上0.4質量%未満のうち少なくとも1種以上を含有し、Si:0.025質量%未満、Fe:0.03質量%未満に規制され、残部がAl及び不可避的不純物からなる成分組成を有するアルミニウム合金を用いて鋳塊を鋳造する鋳造工程と、前記鋳造した鋳塊に対して均質化熱処理を行う均質化熱処理工程と、前記均質化熱処理した鋳塊を熱間圧延する熱間圧延工程と、前記熱間圧延して作製された熱間圧延板を冷間圧延する冷間圧延工程と、を含む磁気ディスク用アルミニウム合金板の製造方法であって、前記均質化熱処理工程は、前記鋳造した鋳塊に対して530℃以上560℃以下で4時間以上12時間以下という条件で1段目の均質化熱処理を行った後、さらに510℃以上530℃未満で0.5時間以上12時間以下という条件で2段目の均質化熱処理を行い、前記熱間圧延工程は、開始温度が490℃以上520℃以下、且つ圧延中の鋳塊の温度が520℃以下という条件で前記均質化熱処理した鋳塊を熱間圧延することを特徴としている。
〔4〕本発明に係る磁気ディスク用アルミニウム合金板の製造方法は、Cr:0.02質量%以上0.4質量%以下を含有しているのが好ましい。
本発明では、前記した特定の成分組成を有するアルミニウム合金を用いて鋳造した鋳塊に対して行う1段目の均質化熱処理によってMg−Si系金属間化合物の固溶を図るとともに、前記したようにあまり高温とならない温度でこれを行うことによって酸化皮膜の成長を抑えるようにしている。従って、本発明の製造方法においては当該酸化皮膜の下に水素ガスが集積され難く、図3に示すフクレと呼ばれる表面欠陥が生じるのを防止することができる。また、フクレを形成している酸化皮膜が後記する熱間圧延によって剥がされて形成されるメクレと呼ばれる窪み(凹部)状の表面欠陥が生じるのを防止することができる。続く2段目の均質化熱処理では、1段目の均質化熱処理よりも低い温度でこれを行うことによって1段目の均質化熱処理で固溶させたMg−Si系金属間化合物の再析出を抑制しつつ、次に行う熱間圧延への移行をスムーズに行うことができるようにしている。そして、続く熱間圧延を前記した特定の条件で行うことによりMg−Si系金属間化合物の再析出を抑制し、次いで行う冷間圧延によって所定の厚さとすることができる。つまり、前記〔1〕に記載の磁気ディスク用アルミニウム合金板を確実に製造することができる。
本発明に係る磁気ディスク用アルミニウム合金板は、成分組成と、表面におけるAl−Fe系金属間化合物及びAl−Fe−Mn系金属間化合物の最大長さ、Mg−Si系金属間化合物の最大長さ、及び表面に形成されている凹部の深さとが特定の範囲に規定されているので、落下時の衝撃によっても基板の変形を生じさせない程度の十分な耐衝撃性を有し、且つめっき処理によって形成されるめっき膜表面の平滑性に優れている。そのため、本発明に係る磁気ディスク用アルミニウム合金板は、小型HDDの磁気ディスクの基板として好適に使用することができる。
本発明に係る磁気ディスク用アルミニウム合金板の製造方法は、成分組成が適切化されるとともに、均質化熱処理と熱間圧延を特定の条件で行い、冷間圧延を行うことにより、落下時の衝撃によっても基板の変形を生じさせない程度の十分な耐衝撃性を有し、且つめっき処理によって形成されるめっき膜表面の平滑性に優れた磁気ディスク用アルミニウム合金板を確実に製造することができる。
高輝度非接触3次元表面形状粗さ計を用いて凹部の深さを測定した様子を示す図であって、(a)は磁気ディスク用アルミニウム合金板を上面側から測定して最深部を検出した様子を示す図であり、(b)は(a)で検出した最深部の深さの断面プロファイルを表示した図である。 本発明に係る磁気ディスク用アルミニウム合金板の製造方法の手順を示すフローチャートである。 スラブの表層(酸化皮膜)から数十μmの部分に水素ガスが集積して生じたフクレの断面図である。なお、同図中のスケールバーは500μmを示す。
以下、本発明に係る磁気ディスク用アルミニウム合金板及びその製造方法について詳細に説明する。なお、以下の説明においては「磁気ディスク用アルミニウム合金板」を「Al合金板」といい、「アルミニウム合金」を「Al合金」という。
本発明に係るAl合金板は、Mg:4.5質量%以上6.0質量%以下を含有し、さらに、Mn:0.02質量%以上0.5質量未満、Cr:0.02質量%以上0.4質量%以下のうちの少なくとも1種以上を含有するとともに、Cu:0.01質量%以上0.2質量%以下、Zn:0.01質量%以上0.4質量%未満のうち少なくとも1種以上を含有し、Si:0.025質量%未満、Fe:0.03質量%未満に規制され、残部がAl及び不可避的不純物からなる成分組成を有し、表面におけるAl−Fe系金属間化合物及びAl−Fe−Mn系金属間化合物の最大長さが10μm以下、Mg−Si系金属間化合物の最大長さが3μm以下、鏡面とする研削前の表面に形成されている凹部の深さが10μm以下という構成となっている。
Mgは耐力の向上に寄与する。Mg濃度が4.5質量%未満では耐力が不十分となり、落下衝撃時に基板の変形が生じる。一方、Mg濃度が6質量%を超えると熱間割れ感受性が高くなり、熱間圧延時に割れが生じる。耐衝撃性は耐力の増加に従い向上するので、Mg濃度は5質量%以上がより好ましい。
なお、前記した特許文献1にも記載されているように、従来はMg濃度が5質量%を超えると溶解時のMg系酸化物の生成が著しくなり、それが溶湯中に巻き込まれて圧延後の表面に線状欠陥として現れる問題が生じていた。しかし、溶湯中の介在物除去に用いられるフィルターの改善により、Mg系酸化物の除去技術が向上したため、そのような線状欠陥の防止が可能となった。これにより、Mg濃度を5質量%以上とした高強度Al合金板の製造が可能になった。
従って、Mg濃度は4.5質量%以上6.0質量%以下とする。この範囲でMgを含有させることにより、少なくとも125MPaの耐力を有するようにすることができる。125MPa以上の耐力を有すれば、70cmの高さからの落下衝撃負荷時であっても変形が生じないため小型HDD用の磁気ディスクとして好適に用いることができる。
Siは通常、地金不純物としてAl合金中に不可避的に混入するものであり、鋳造時にMg−Si系金属間化合物の形で析出する。Mg−Si系金属間化合物は均質化熱処理時に固溶し、熱間圧延中に再析出する。Mg−Si系金属間化合物の大きさと数は均質化熱処理及び熱間圧延の条件のほか、Al合金中のSi濃度にも依存し、Si濃度が0.025質量%以上の場合、最大長さが3μmを超える粗大なMg−Si系金属間化合物が析出し易くなる。析出した粗大なMg−Si系金属間化合物は、めっき前処理である酸エッチング処理によって溶解し、ピット(窪み、凹部)となるため、めっき処理によって形成されるめっき膜表面の平滑性が劣化する。また、前記酸エッチング処理でMgのみが溶解してSiが残る場合がある。この場合、Si上にはめっき前処理であるジンケート処理においてZnの置換反応が起こらないため、その後に行う無電解NiPめっき処理でめっき膜が成長しない。そのため、粗大なMg−Si系金属間化合物が析出するとNiPめっき膜の密着性が不足し、磁性膜成膜時等の加熱によってNiPめっき膜が膨れてしまう。つまり、めっき膜表面の平滑性が劣化することになる。
従って、Si濃度は0.025質量%未満とする。また、Mg−Si系金属間化合物の最大長さは3μm以下とする。
FeもSiと同様に通常、地金不純物としてAl合金中に不可避的に混入するものであり、Al合金板中にAl−Fe系金属間化合物として析出している。Fe濃度が0.03質量%以上であると、析出したAl−Fe系金属間化合物が粗大化し、最大長さが10μmを超える。最大長さが10μmを超える粗大なAl−Fe系金属間化合物を表面に有するAl合金板に対して切削加工や研削加工等の鏡面加工を施すと、粗大なAl−Fe系金属間化合物が表面から脱落してピットとなる。また、粗大なAl−Fe系金属間化合物はめっき前処理である酸エッチング処理により溶解し、ピットとなる。このようにしてできた凹部は、めっき処理によって形成されるめっき膜の表面の平滑性を劣化させる。
従って、Fe濃度は0.03質量%未満とする。また、Al−Fe系金属間化合物は10μm以下とする。
Mnは、耐力向上に寄与するため含有量の増加に伴ってAl合金板の耐力が増加する。なお、Al−Mg合金ではMgが高いほどめっき前処理である脱脂処理及び酸エッチング処理での溶解量が増加し、Al合金板の表面に凹部が生じ易くなるが、成分組成にMnを含有させるとAl−Fe系金属間化合物はMnを含むAl−Fe−Mn系金属間化合物として存在するようになるため、酸エッチング処理で溶解し難くなる。その結果、酸エッチング処理でAl−Fe系金属間化合物及びAl−Fe−Mn系金属間化合物の溶解に起因して発生するピットを減少させることができる。さらに、Mnには、鋳造工程及び均質化熱処理工程において微細な金属間化合物として析出し、結晶粒の成長を抑制する効果がある。そのため、再結晶粒の異常成長を抑えて組織を均質化する効果もある。Mn濃度が0.02質量%未満となると前記した各効果を得ることができない。一方、Mn濃度の増加とともにAl−Fe−Mn系金属間化合物の粗大化が生じ、0.5質量%以上になると最大長さが10μmを超える粗大なAl−Fe−Mn系金属間化合物が生じる。粗大なAl−Fe−Mn系金属間化合物は、鏡面加工における研削によって脱落したり、めっき前処理である酸エッチング処理によって溶解したりするため表面に大きなピットが生じてしまう。
従って、Mn濃度は0.02質量%以上0.50質量%未満とする。また、Al−Fe−Mn系金属間化合物の最大長さは10μm以下とする。Mn濃度をこのような範囲とすれば、例えば140MPa以上の耐力を有するようにすることができる。140MPa以上の耐力を有すれば、100cmの高さからの落下衝撃負荷時であっても変形が生じないため小型HDD用の磁気ディスクとしてより好適に用いることができる。
なお、ブランクの鏡面加工等における研削レートはMn濃度の増加とともに低下し、Mn濃度が0.35質量%を超えるとその低下量が顕著になる。従って、Mn濃度を0.35質量%以下とするのが好ましい。また、Mn濃度が低いと耐力向上の効果が得られ難い。そのため、Mn濃度は0.15質量%以上とするのが好ましい。
CrはMnと同様、耐力向上に寄与するだけでなく、鋳造工程及び均質化熱処理工程において微細な金属間化合物として析出し、結晶粒の成長を抑制する効果がある。そのため、再結晶粒の異常成長を抑え、組織を均質化する効果がある。Cr濃度が0.02質量%未満であると前記した各効果を得ることができない。一方、Cr濃度が0.4質量%を超えると結晶粒の成長を抑制する効果が大き過ぎるため、つまり、結晶粒を安定化する効果が大き過ぎるため、冷間圧延後に焼鈍した場合に等軸な再結晶組織とならない。従って、圧延方向に伸びた変形組織が残存することになり、組織の異方性が大きくなるため、めっき処理によって形成されるめっき膜の表面の平滑性が劣化することになる。また、初晶として粗大なAl−Cr系金属間化合物が晶出するのでAl合金板の表面を鏡面加工する際の研削加工やめっき前処理工程等によりこれが脱落してピットとなる。そのため、めっき処理によって形成されるめっき膜表面の平滑性が劣化する。
従って、Cr濃度は0.02質量%以上0.4質量%以下、より好ましくは0.35質量%以下とする。なお、Al−Cr系金属間化合物の最大長さは10μm以下であるのがよい。
CuはAl合金板中に均一に固溶し、めっき前処理のジンケート処理においてジンケート浴中のZnイオンをAl合金板の表面へ均一に微細析出させることができるため、めっき膜表面に発生するノジュールを抑制することができる。従って、めっき処理によってAl合金板の表面に形成されるめっき膜表面の平滑性を向上させることができる。Cu濃度が0.01質量%未満ではこの効果が小さく、Cu濃度が0.2質量%を超えると粒界にAl−Mg−Cu系金属間化合物が析出するため、めっき前処理である酸エッチング処理において粒界部が過エッチングを受け、めっき膜表面に発生するノジュールが多大となる。
従って、Cu濃度は0.01質量%以上0.2質量%以下とする。
ZnもCuと同様にAl合金板中に均一に固溶し、めっき前処理のジンケート処理においてジンケート浴中のZnイオンをAl合金板の表面へ均一に微細析出させることができるため、めっき膜表面に発生するノジュールを抑制することができる。また、含有量の増加に伴ってZnがAl合金板中に均一に析出するため、めっき前処理である酸エッチング処理時のエッチング起点、及びジンケート処理時のZnイオン析出拠点となる。このため、結晶粒による段差を抑制する効果を有する。従って、めっき処理によってAl合金板の表面に形成されるめっき膜表面の平滑性を向上させることができる。Zn濃度が0.01質量%未満ではこれらの効果が小さく、Zn濃度が0.4質量%以上になると、Znの析出核が大きくなるのに伴ってめっき前処理である酸エッチング処理で形成される凹部も大きくなるので、めっき処理によって形成されるめっき膜表面の平滑性が劣化する。さらに、粒界にAl−Mg−Zn系金属間化合物が析出するため、めっき前処理である酸エッチング処理において粒界部が過エッチングを受け、めっき膜表面に発生するノジュールが多大となる。また、Al−Mg−Zn系金属間化合物は酸エッチング処理によって溶解してピットとなるので、めっき処理によって形成されるめっき膜表面の平滑性が劣化することになる。
従って、Zn濃度は0.01質量%以上0.4質量%未満とする。
残部はAl及び不可避的不純物である。不可避的不純物としてはTi,V,Bなどを挙げることができ、これらを本発明のAl合金板に悪影響を与えない範囲、例えばそれぞれ0.01質量%以下であって総計0.01質量%以下であればこれらを単独で、又は複数含有していてもよい。
冷間圧延によって形成されたアルミニウム合金板には、前述した金属間化合物や後述する水素ガス等に起因して比較的大きな凹部が生じる場合がある。磁気ディスクの製造に当たっては、かかる凹部を除去するために、めっき処理前に製造したAl合金板の表面を研削して鏡面加工する必要がある。通常の研削では平均して片面20μm程度除去されるところ、板厚偏差を考慮した場合、最も板厚の薄い箇所での取り代は片面10μm程度となるため、研削前の表面にメクレ等に起因する凹部が深さ10μmを超えて存在すると研削後の表面にこれが残存し、めっき処理によって形成されるめっき膜の表面の平滑性が劣化してしまう。そのため、研削前のAl合金板の表面に形成されている凹部の深さを10μm以下に抑える必要がある。
Al合金板の表面に形成された凹部の深さは、高輝度非接触3次元表面形状粗さ計や、段差・表面粗さ・微細形状測定装置などを用いることによって測定することができる。例えば高輝度非接触3次元表面形状粗さ計を用いた場合、図1(a)に示すように、Al合金板の上面側から測定して表面に形成された最深部を検出し、同図(b)に示すように、検出した最深部を含むようにして断面プロファイルを作成することにより、Al合金板の表面に形成された凹部の深さを測定することができる。
なお、図1(b)の断面プロファイルを見て分かるように、Al合金板の表面に形成された深さ寸法の大きい凹部のほかに、Al合金板の表面には0.1〜0.5μm程度の浅い深さ寸法で形成された凹凸がある。この凹凸は所謂表面粗さとして把握されているものであり、例えばJIS B0601−1994に規定される算術平均粗さ(Ra)で規定することができる。本発明においては当該算術平均粗さを0.1〜0.5μmの範囲となるようにしているが、これは後記するように一般的な条件で行われる冷間圧延によって実現することができる。
また、Al−Fe系金属間化合物、Al−Fe−Mn系金属間化合物、及びMg−Si系金属間化合物は、例えば、表面をダイヤモンドバイトで切削して鏡面とし、この面を走査型電子顕微鏡(SEM)のCOMPO像(倍率1000倍)で20視野観察し、マトリックスより白く写る部分をAl−Fe系金属間化合物としてカウントし(なお、Mnを含有する場合はAl−Fe−Mn系金属間化合物もマトリックスより白く写り、Crを含有する場合はAl−Cr系金属間化合物もマトリックスより白く写るのでこれらを含めてカウントすることができる。)、黒く写る部分をMg−Si系金属間化合物としてカウントすることによりその最大長さを測定することができる。
次に、前記した本発明に係るAl合金板を製造するための製造方法について説明する。
本発明に係るAl合金板の製造方法は、図2に示すように、鋳造工程S1と、均質化熱処理工程S2と、熱間圧延工程S3と、冷間圧延工程S4とを含み、これらをこの手順で行うものである。以下、各工程の内容について説明する。
鋳造工程S1は、前記した成分組成を有するアルミニウム合金を用いて鋳塊(スラブ)を鋳造する工程である。なお、成分組成については既に詳述しているのでその説明については省略する。
鋳造は一般的な条件で行われる半連続鋳造法や連続鋳造法により行うことができる。そのため、薄板連鋳法で行うよりも生産性が高く、低コスト化が容易であり、また偏析などに起因する表面欠陥の防止が容易であるので安定した品質をもって製品を得ることが可能となる。もちろん、薄板連鋳法で行うことができることはいうまでもない。
前記した一般的な条件としては、例えば溶解温度を680〜720℃などとすることができる。かかる温度であれば前記成分組成を有する原料(Al合金)を十分に溶解して溶湯とすることができる。
なお、Al合金の溶解時に介在物を除去するためのフィルターを用いて溶湯中に介在する介在物を除去するとMg系酸化物の除去等を行うことができるので圧延後の表面に発生する線状欠陥を防止することができる。
次いで行う均質化熱処理工程S2は、異なる条件で2段階に分けて続けて行う。つまり、1段目の均質化熱処理は、鋳造した鋳塊を530℃以上560℃以下で4時間以上12時間以下という条件で行い、2段目の均質化熱処理は、1段目の均質化熱処理を行った後に連続して510℃以上530℃未満で0.5時間以上12時間以下という条件で行う。
均質化熱処理の目的は鋳塊のMg−Si系金属間化合物を固溶させることであるが、Mg−Si系金属間化合物を固溶させるためには50℃以上に保持することが必要である。つまり、50℃未満であるとMg−Si系金属間化合物の固溶が不十分となって粗大なMg−Si系金属間化合物が析出してしまう。その結果、NiPめっき膜の密着性が不足して磁性膜成膜時等の加熱によってNiPめっき膜が膨れてしまい、めっき膜表面の平滑性が劣化することになる。短時間で確実にMg−Si系金属間化合物を固溶させるためには高温ほど望ましいが、高温ほど酸化皮膜の成長が著しくなる。また、高温で長時間均質化熱処理するほど、鋳塊内の水素が外部に放出されようとするが、成長した酸化皮膜に阻まれてこれが放出されず、鋳塊の表層に集積してフクレと呼ばれる表面欠陥が生じ易くなる。フクレの発生部分は、その後の熱間圧延、冷間圧延により酸化皮膜が剥がれてメクレと呼ばれる凹部となり、表面欠陥に繋がってしまう。その結果、めっき処理によって形成されためっき膜表面の平滑性に劣ることとなる。
従って、1段目の均質化熱処理の温度は、Mg−Si系金属間化合物の固溶とメクレやフクレなどの表面欠陥防止の観点から530℃以上560℃以下とし、均質化熱処理の時間は4時間以上12時間以下とした。
一方、520℃を超えた温度で鋳塊を熱間圧延すると熱間割れが生じ易くなる。そのため、均質化熱処理後に520℃まで鋳塊を冷却させる必要があるが、均熱炉から出した後520℃まで下がるまで待機し、熱間圧延を行うのは生産性の面で好ましくない。1段目の均質化熱処理でMg−Si系金属間化合物を完全に固溶させた後、510℃以上で保持できればMg−Si系金属間化合物の再析出が抑制できるため、2段目の均質化熱処理は510℃以上とし、上限を1段目の均質化熱処理の下限温度である530℃未満に保持することで均質化熱処理工程S2から後記する熱間圧延工程S3に移行する際の鋳塊の冷却に要する時間を削減することができる。鋳塊の表面の温度が510℃以上530℃未満に到達した時点では通常、鋳塊の表面よりも中心部が高温であるため、中心部の温度を表面の温度と同程度とするためにも2段目の均質化熱処理で最低0.5時間は保持する必要がある。また、510℃以上530℃未満でも長時間保持された場合にはフクレ、メクレが生じ易くなるため2段目の均質化熱処理の保持時間は12時間以下とする。
従って、2段目の均質化熱処理の温度は510℃以上530℃未満とし、均質化熱処理の時間は0.5時間以上12時間以下とした。
次に行う熱間圧延工程S3は、開始温度が490℃以上520℃以下、且つ圧延中の鋳塊の温度が520℃以下という条件で前記均質化熱処理した鋳塊を熱間圧延する工程である。
熱間圧延の開始温度が490℃未満であるとMg−Si系金属間化合物が析出してしまい、520℃を超えると前記したように熱間割れが生じる。従って、圧延中の鋳塊の温度が520℃以下となるように制御する必要がある。圧延中の鋳塊の温度の制御は、例えばクーラントを用いたロールを使用して圧延中の板を冷却したり、圧下率等のパススケジュールを調整したりして行うことができる。
そして、続いて行う冷間圧延工程S4は、熱間圧延して作製された熱間圧延板を冷間圧延する工程である。この冷間圧延によってAl合金板の表面の算術平均粗さを0.1〜0.5μmとし、Al合金板を例えば1.0mm程度の所定の厚さとすることができる。かかる冷間圧延は一般的に行われる条件で行うことができ、例えば冷間圧延ロールの算術平均粗さを0.1〜0.5μmとし、圧下率を15〜40%とすることで行うことができる。
本発明に係るAl合金板の製造方法は以上に説明したとおりであり、既に詳述した本発明に係るAl合金板を好適に製造することができるが、本発明を行うにあたって前記各工程に悪影響を与えない範囲において前記各工程の間或いは前後に他の工程を含めることができる。このような他の工程としては、例えば鋳造工程S1で得られた鋳塊の表面を一定の厚さ寸法で面削して偏析を取り除く工程、鋳造工程S1で得られた鋳塊をガス切断などの切断手段によってブルームやビレットなどの任意の大きさ及び形状に切断する工程、熱間割れが生じたAl合金板や線状欠陥が生じたAl合金板を検出してこれを生産ラインから除く工程などを挙げることができる。
また、冷間圧延して作製された冷間圧延板を、例えば打ち抜き加工によって円環状等の所定の形状に成形してブランクを作製する成形工程や、成形工程により作製したブランクを焼鈍する焼鈍工程なども含めることができる。なお、この焼鈍工程はブランクを加圧しながら行ってもよく、その条件は、例えば焼鈍温度を340℃、焼鈍時間を3時間などとすることができる。かかる条件で焼鈍を行うと、ブランクをO材とすることができる。
次に、本発明の所望する効果を奏する実施例と、所望する効果を奏しない比較例とを対比して本発明に係るAl合金板及びその製造方法について具体的に説明する。
まず、表1の実施例1、参考例2、実施例3及び比較例1〜2に示す成分組成のAl合金を溶解した後、不活性ガスの吹き込み及びフィルター通湯による脱介在物処理を行った後、板厚500mmのスラブを鋳造して面削した。そして、表1に示す温度(℃)及び時間(h)で1段目と2段目の均質化熱処理を行った後、表1に示す開始温度(℃)で熱間圧延を行い、板厚3mmの熱間圧延板を作製した。そして、作製した熱間圧延板を冷間圧延し、最終板厚が0.66mmである冷間圧延板を製造した。なお、表1中の下線は、本発明の要件を満たさないことを示す。
次いで、製造した冷間圧延板を2.5インチサイズの円環状に打ち抜いて円環状の基板を作製した後、340℃で3時間加圧焼鈍し、2.5インチタイプのブランク(磁気ディスク用アルミニウム合金板)を作製した。その後、砥石による研削加工によりブランクの表面を片面10μm研削して鏡面加工することでGRサブストレートを作製した。
次いで、このようにして作製したGRサブストレートをめっき前処理液(上村工業製UA−68)に浸漬し、70℃、5分間の脱脂を行った。その後、めっき前処理液(上村工業製AD−101F)で68℃、2分間の酸エッチングを行い、30%硝酸でデスマット処理を行った。デスマットを行ったGRサブストレートに、ジンケート処理液(上村工業製AD−301F−3X)を用いて20℃、30秒間のジンケート処理を行い、一旦、30%硝酸でZnを溶解させた後に、再度、20℃、15秒間のジンケート処理を行った。その後、ジンケート処理を行ったGRサブストレートを無電解NiPめっき液(上村工業製ニムデンHDX)に浸漬し、90℃、2時間の無電解NiPめっき処理を行い、片面10μm程度の無電解NiPめっき膜を形成した。そして、形成した無電解NiPめっき膜の表面を研磨することで磁性膜形成のためのスパッタリングを行う前の状態のめっきサブストレートを作製した。その後、磁性膜スパッタリングでの加熱を模擬するため、290℃で30分間加熱を行った。
作製した実施例1、参考例2、実施例3〜8及び比較例1〜22のブランクを用いて研削加工前の表面の凹部の深さを調べた。
また、作製した実施例1、参考例2、実施例3〜8及び比較例1〜22のめっきサブストレートを用いて耐力(MPa)、金属間化合物の最大長さ(μm)、及びめっき膜表面の平滑性を調べた。なお、金属間化合物としてはAl−Fe系金属間化合物及びAl−Fe−Mn系金属間化合物と、Mg−Si系金属間化合物とを対象とした。
研削加工前の表面の凹部の深さはVeeco社製WYKO NT−3300を用いて凹部の最深部を検出し、この最深部を含むようにして深さ方向の断面プロファイルを作成し、ブランクの表面から最も深い部分までの距離を測定した。研削加工前の表面の凹部の深さがブランクの表面から10μm以下のものを優れる(○)とし、10μmを超えるものを劣る(×)とした。
耐力はJIS Z2241に準拠して調べた。耐力が125MPa未満のものを劣る(×)とし、125MPa以上145MPa未満のものを優れる(○)とし、145MPa以上のものを特に優れる(◎)とした。
金属間化合物の最大長さは、めっきサブストレートの表面をダイヤモンドバイトで切削して鏡面とし、この面を走査型電子顕微鏡(SEM)のCOMPO像(倍率1000倍)で20視野観察し、マトリックスより白く写る部分をAl−Fe系金属間化合物としてカウントし(Mnを含有する場合はAl−Fe−Mn系金属間化合物を含めてカウントし、Crを含有する倍はAl−Cr系金属間化合物を含めてカウントした。)、黒く写る部分をMg−Si系金属間化合物としてカウントすることによりその最大長さを測定した。
めっき膜表面の平滑性は、光学顕微鏡を用いて表面の1cm2の面積を観察することによりピットおよびフクレの発生の有無の確認を行い、光学顕微鏡により確認されたピット(凹部)及び粗大なMg−Si系金属間化合物に起因して発生するフクレの形状を、Veeco社製WYKO NT−3300を用いて測定した。さらに、Phase Shift社のOptiFLAT IIを使用し、FSW(Full Surface Waviness)と呼ばれるめっきサブストレートの表面全体におけるうねりの値も測定した。測定の結果、めっきサブストレートの表面に、深さ1μm以上のピットおよび高さ1μm以上のフクレの単位面積あたりの個数がそれぞれ0個/cm2であり、かつFSWの値が1.5nm以下の場合をめっき膜表面の平滑性に優れている(○)と評価し、深さ1μm以上のピットの単位面積あたりの個数が1個/cm2以上、高さ1μm以上のフクレの単位面積あたりの個数が1個/cm2以上、及びFSWの値が1.5nmを超える場合のうちの少なくとも1つに該当する場合をめっき膜表面の平滑性に劣る(×)とした。
前記のようにして評価した研削加工前の表面の凹部の深さ、耐力、金属間化合物の最大長さ、及びめっき膜表面の平滑性の結果(深さ1μm以上のピットの単位面積あたりの個数、高さ1μm以上のフクレの単位面積あたりの個数、FSW)を表2に示す。なお、表2において「−」は、熱間割れが生じたために評価を行わなかったことを示す。また、表2中の下線は、本発明の要件を満たさないことを示す。
表1に示すように、実施例1、参考例2、実施例3〜8は本発明の要件を満たしていたので表2に示す結果は全て優れていた。従って、実施例1、参考例2、実施例3〜8は、小型HDD用の磁気ディスクとして好適であることが示唆された。
これに対し、比較例1〜22は本発明の要件を1つ以上満たしていないため表2に示すように、その結果の少なくとも1つが劣っていた。従って、比較例1〜22は、小型HDD用の磁気ディスクとして好適でないことが示唆された。
具体的に説明すると、比較例1はMgが下限を外れたため耐力が低く、耐衝撃性が劣っていた。
比較例2はMgが上限を超えたため熱間圧延中に熱間割れが生じた。
比較例3はMnが上限を超えたため粗大なAl−Fe−Mn系金属間化合物が析出した。そして、これが研削工程で脱落したり、めっき前処理で溶解、脱落したりしたため、深さ1μm以上のピットの単位面積あたりの個数が1個以上となり、めっき膜表面の平滑性が劣っていた。
比較例4はSiが上限を超えたため粗大なMg−Si系金属間化合物が析出した。そして、これがめっきにピット及びフクレを発生させる原因となり、深さ1μm以上のピットの単位面積あたりの個数、及び高さ1μm以上のフクレの単位面積あたりの個数がそれぞれ1個以上となったため、めっき膜表面の平滑性が劣っていた。
比較例5はFeが上限を超えたため粗大なAl−Fe系金属間化合物が析出した。そして、これが研削工程で脱落したり、めっき前処理で溶解、脱落したりしたため、深さ1μm以上のピットの単位面積あたりの個数が1個以上となり、めっき膜表面の平滑性が劣っていた。
比較例6はCu及びZnが下限未満であるため、ジンケート浴中のZnイオンをAl合金板の表面に、均一に微細析出させる効果が得られなかった。その結果、無電解NiPめっき処理によって形成されるめっき膜の表面が均一とならなかったためFSWの値が高くなり、めっき膜表面の平滑性が劣っていた。
比較例7はCuが上限を超えたためめっき膜表面におけるノジュールの発生が多大となった。そのため、FSWの値が高くなり、めっき膜表面の平滑性が劣っていた。
比較例8はZnが上限を超えたためZnの析出核が大きくなり、めっき前処理である酸エッチングによって凹部も大きくなった。その結果、めっき膜表面にピットが発生し、深さ1μm以上のピットの単位面積あたりの個数が1個以上となるとともにFSWの値が高くなったため、めっき膜表面の平滑性が劣っていた。
比較例9はCrが上限を超えたため粗大なAl−Cr系金属間化合物が析出した。そして、これが研削工程で脱落したり、めっき前処理で溶解、脱落したりしたため、深さ1μm以上のピットの単位面積あたりの個数が1個以上となり、めっき膜表面の平滑性が劣っていた。
比較例10はMn及びCrがともに上限を超えたため、粗大なAl−Fe−Mn系金属間化合物及びAl−Cr系金属間化合物が存在した。これがめっきピットの原因となり、深さ1μm以上のピットの単位面積あたりの個数が1個以上となったため、めっき面の平滑性に劣った。
比較例11はMn及びCrがともに下限未満であるため、均質化熱処理中に結晶粒が粗大化した。その結果、組織の異方性が大きくなり、FSWの値が高くなったため、めっき面の平滑性に劣った。
比較例12は1段目の均質化熱処理の温度が下限未満であったため、Mg−Si系金属間化合物の固溶が不十分となり、3μmを超えるMg−Si系金属間化合物が存在した。そして、これがめっきにピット及びフクレを発生させる原因となり、深さ1μm以上のピットの単位面積あたりの個数、及び高さ1μm以上のフクレの単位面積あたりの個数がそれぞれ1個以上となったため、めっき膜表面の平滑性が劣っていた。
比較例13は1段目の均質化熱処理の温度が上限を超えたため、水素ガスの集積に起因するメクレやフクレといった表面欠陥が生じた。その結果、深さ1μm以上のピットの単位面積あたりの個数、及び高さ1μm以上のフクレの単位面積あたりの個数がそれぞれ1個以上となったため、めっき表面の平滑性が劣っていた。
比較例14は1段目の均質化熱処理の時間が下限未満であったため、Mg−Si系金属間化合物の固溶が不十分となり、3μmを超えるMg−Si系金属間化合物が存在した。そして、これがめっきにピット及びフクレを発生させる原因となり、深さ1μm以上のピットの単位面積あたりの個数、及び高さ1μm以上のフクレの単位面積あたりの個数がそれぞれ1個以上となったため、めっき膜表面の平滑性が劣っていた。
比較例15は1段目の均質化熱処理の時間が上限を超えたため、均質化熱処理後の表面に水素ガスの集積に起因するメクレやフクレが発生した。発生したメクレやフクレに起因する表面欠陥は研削加工後にも残り、深さ1μm以上のピットの単位面積あたりの個数、及び高さ1μm以上のフクレの単位面積あたりの個数がそれぞれ1個以上となったため、めっき表面の平滑性が劣っていた。
比較例16は2段目の均質化熱処理の温度が上限を超えたため、均質化熱処理後の表面に水素ガスの集積に起因するメクレやフクレが発生した。発生したメクレやフクレに起因する表面欠陥は研削加工後にも残り、深さ1μm以上のピットの単位面積あたりの個数が1個以上となったため、めっき表面の平滑性が劣っていた。
比較例17は2段目の均質化熱処理の温度が下限未満であったため、粗大なMg−Si系金属間化合物が析出した。そして、これがめっきにピット及びフクレを発生させる原因となり、深さ1μm以上のピットの単位面積あたりの個数、及び高さ1μm以上のフクレの単位面積あたりの個数がそれぞれ1個以上となったため、めっき膜表面の平滑性が劣っていた。
比較例18は2段目の均質化熱処理時間が上限を超えたため、均質化熱処理後の表面に水素ガスの集積に起因するメクレやフクレが発生した。発生したメクレやフクレに起因する表面欠陥は研削加工後にも残り、深さ1μm以上のピットの単位面積あたりの個数が1個以上となったため、めっき表面の平滑性が劣っていた。
比較例19は熱間圧延の開始温度が上限を超えたため、熱間割れが生じた。
比較例20は熱間圧延の開始温度が下限未満であったため、粗大なMg−Si系金属間化合物が析出した。そして、これがめっきにピット及びフクレを発生させる原因となり、深さ1μm以上のピットの単位面積あたりの個数、及び高さ1μm以上のフクレの単位面積あたりの個数がそれぞれ1個以上となったため、めっき膜表面の平滑性が劣っていた。
比較例21は熱間圧延中の鋳塊の温度が520℃を超えたため熱間割れが生じた。
比較例22は1段目の均質化熱処理を行わなかったため、Mg−Si系金属間化合物の固溶が不十分となった。そして、これがめっきにピット及びフクレを発生させる原因となり、深さ1μm以上のピットの単位面積あたりの個数、及び高さ1μm以上のフクレの単位面積あたりの個数がそれぞれ1個以上となったため、めっき膜表面の平滑性が劣っていた。
S1 鋳造工程
S2 均質化熱処理工程
S3 熱間圧延工程
S4 冷間圧延工程

Claims (4)

  1. Mg:4.5質量%以上6.0質量%以下、Mn:0.02質量%以上0.5質量%未満を含有し、さらに、Cu:0.01質量%以上0.2質量%以下、Zn:0.01質量%以上0.4質量%未満のうち少なくとも1種以上を含有し、Si:0.025質量%未満、Fe:0.03質量%未満に規制され、残部がAl及び不可避的不純物からなる成分組成を有し、
    表面におけるAl−Fe系金属間化合物及びAl−Fe−Mn系金属間化合物の最大長さが10μm以下、
    Mg−Si系金属間化合物の最大長さが3μm以下、
    鏡面とする研削前の表面に形成されている凹部の深さが10μm以下である
    ことを特徴とする磁気ディスク用アルミニウム合金板。
  2. Cr:0.02質量%以上0.4質量%以下を含有していることを特徴とする請求項1に記載の磁気ディスク用アルミニウム合金板。
  3. Mg:4.5質量%以上6.0質量%以下、Mn:0.02質量%以上0.5質量%未満を含有し、さらに、Cu:0.01質量%以上0.2質量%以下、Zn:0.01質量%以上0.4質量%未満のうち少なくとも1種以上を含有し、Si:0.025質量%未満、Fe:0.03質量%未満に規制され、残部がAl及び不可避的不純物からなる成分組成を有するアルミニウム合金を用いて鋳塊を鋳造する鋳造工程と、前記鋳造した鋳塊に対して均質化熱処理を行う均質化熱処理工程と、前記均質化熱処理した鋳塊を熱間圧延する熱間圧延工程と、前記熱間圧延して作製された熱間圧延板を冷間圧延する冷間圧延工程と、を含む磁気ディスク用アルミニウム合金板の製造方法であって、
    前記均質化熱処理工程は、前記鋳造した鋳塊に対して530℃以上560℃以下で4時間以上12時間以下という条件で1段目の均質化熱処理を行った後、さらに510℃以上530℃未満で0.5時間以上12時間以下という条件で2段目の均質化熱処理を行い、
    前記熱間圧延工程は、開始温度が490℃以上520℃以下、且つ圧延中の鋳塊の温度が520℃以下という条件で前記均質化熱処理した鋳塊を熱間圧延する
    ことを特徴とする磁気ディスク用アルミニウム合金板の製造方法。
  4. Cr:0.02質量%以上0.4質量%以下を含有していることを特徴とする請求項3に記載の磁気ディスク用アルミニウム合金板の製造方法。
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