JP5973952B2 - 磁気ディスク用アルミニウム合金基板およびその製造方法 - Google Patents
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Description
そして、モバイルパソコンやノートパソコン、ポータブルオーディオプレーヤーなどのモバイル機器に搭載されるHDDとしては、所謂、2.5インチHDDや、2.5インチ以下のHDD(以下、適宜、「小型HDD」という)が用いられている。
しかし、ガラス基板は製造コスト面において改善の余地があったため、小型HDDの磁気ディスク用基板として、ガラス基板よりも製造コスト面で優位であるアルミニウム合金基板の採用が検討されており、以下に示すような様々なアルミニウム合金基板が開発されている。
そして、特許文献1および特許文献2に開示されるアルミニウム合金板は、Mg含有量を前記範囲に規定することにより、耐衝撃性の向上が図られている。
そして、特許文献3に開示されているアルミニウム合金基板は、Mgをはじめとした各成分を所定範囲に規定することにより、めっき面の平滑性の向上が図られている。
さらに、特許文献1および特許文献2に開示された技術は、Mg含有量が多いことから、粒界へのMgの偏析により粒界にピットが生じ易く、表面欠陥の防止が難しいため、めっき面の平滑性の点において、改善の余地が存在する。
なお、この磁気ディスク用アルミニウム合金基板によれば、Mg含有量を所定の範囲に規定していることから、熱間割れの感受性が高まることを回避することができるため、従前の設備による熱間圧延が可能となり、その結果、特許文献1および特許文献2に記載された技術のように、工業生産効率の点で劣ってしまったり、新たな設備投資費用が必要となったりという事態を回避することもできる。
また、本発明に係る磁気ディスク用アルミニウム合金基板によれば、平坦度を所定値以下に規定することにより、高記録密度化を図ることができる程度の平坦度を確保することができる。
また、本発明に係る磁気ディスク用アルミニウム合金基板によれば、所定の加熱処理前後における平坦度の変化量を所定値以下に規定することにより、熱の影響を受けても平坦度が悪化せず、優れた平坦度を維持することができる。
本発明に係る磁気ディスク用アルミニウム合金基板(以下、適宜、アルミニウム合金基板または基板という)は、所定量のSi、Fe、Mg、Crを含有するとともに、所定量のCuとZnの少なくとも一方を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金で構成され、平坦度が所定値以下であり、かつ、基板表面における等軸粒の面積率が所定値以下であることを特徴とする。
また、本発明に係る磁気ディスク用アルミニウム合金基板は、耐力が所定値以上であることが好ましく、さらに、所定の加熱処理前後の平坦度の変化量が所定値以下であることが好ましい。
以下、本発明に係る磁気ディスク用アルミニウム合金基板の各合金成分、等軸粒の面積率、耐力、平坦度、および加熱処理前後の平坦度の変化量について、数値限定した理由を説明する。
Siは、通常、地金不純物としてアルミニウム合金中に混入する元素であり、鋳造時にMg−Si系金属間化合物の形で存在する。
Mg−Si系金属間化合物は、均質化熱処理時に固溶し、熱間圧延中に再析出する。そして、Mg−Si系金属間化合物の大きさと数は均熱、熱延条件の他、合金中のSi含有量にも依存し、Si含有量が0.03質量%以上の場合、3μmを超える粗大なMg−Si系金属間化合物が析出し易くなる。その結果、Mg−Si系金属間化合物は、めっき前処理のエッチングにおいて溶解してピット(窪み、凹部)となるため、めっき処理によって形成されるめっき面の平滑性を低下させてしまう。また、前記エッチングでMgのみが溶解してSiが残る箇所もあるが、めっき前処理のジンケート処理においてSi上ではZnの置換反応が起こらないため、このような箇所では無電解NiPめっき処理でめっき膜が成長しない。その結果、NiPめっき膜の密着性が不足し、磁性膜の成膜時等の加熱によりNiPめっき膜にフクレが生じ、めっき面の平滑性を低下させてしまう。
したがって、Siの含有量は、0.03質量%未満とする。
Feは、Siと同様、通常、地金不純物としてアルミニウム合金中に混入する元素であり、アルミニウム合金基板中にAl−Fe系金属間化合物として存在する。
Feの含有量が0.03質量%以上となると、このAl−Fe系金属間化合物が10μmを超える粗大な金属間化合物となってアルミニウム合金基板の表面に析出する。そして、このようなアルミニウム合金基板に切削加工、研削加工等の鏡面加工を施すと、このAl−Fe系金属間化合物は表面から脱落しピットの発生原因となる。また、めっき前処理のエッチングにおいても、Al−Fe系金属間化合物は溶解してピットとなり、めっき面の平滑性を低下させてしまう。
したがって、Feの含有量は、0.03質量%未満とする。
Mgは、耐力の向上に寄与する元素である。
Mgの含有量が3.5質量%以下であると耐力が不十分となる。一方、4.5質量%以上であると熱間圧延が困難になって、生産性が悪化する。さらに、粒界にMgが偏析することにより、めっき前処理工程においてピットが生じやすくなる。
したがって、Mgの含有量は3.5質量%を超え4.5質量%未満とする。
Crは、鋳塊を作製する工程および鋳塊を均質化熱処理する工程において、微細な金属間化合物として析出し、結晶粒成長を抑制する効果があり、再結晶粒の異常成長を抑え組織を均質化する効果がある。
Crの含有量が0.20質量%以上となると、結晶粒を安定化する効果が大きすぎるため、冷間圧延後に焼鈍した場合、等軸な再結晶組織とならず、圧延方向に伸びた変形組織が残存した組織となるため、組織の異方性が大きくなり、NiPめっき面の平滑性が悪化する。さらに、初晶として粗大なAl−Cr系金属間化合物が晶出し、アルミニウム合金基板作製時の研削加工等で脱落し、NiPめっき面のピットの発生原因となる。
したがって、Crの含有量は、0.20質量%未満とする。
Cuは、アルミニウム合金基板のNiPめっき性を向上させる効果がある。
Cuはアルミニウム合金基板中に均一に固溶し、めっき前処理のジンケート処理において、ジンケート浴中のZnイオンをアルミニウム合金基板の表面へ均一に微細析出させる。これによってNiPめっき面のノジュールの発生を抑制することができる。Cuの含有量が0.01質量%以下では、この効果が小さい。一方、Cuの含有量が0.20質量%以上であると、粒界にAl−Mg−Cu系金属間化合物が析出するため、めっき前処理のエッチングにおいて粒界部が過エッチングを受け、NiPめっき面のノジュールやピットの発生が多大となる。
したがって、Cuの含有量は、0.01質量%を超え0.20質量%未満とする。
Znも、アルミニウム合金基板のNiPめっき性を向上させる効果がある。
ZnもCuと同様に、アルミニウム合金基板中に均一に固溶し、めっき前処理のジンケート処理において、ジンケート浴中のZnイオンをアルミニウム合金基板の表面へ均一に微細析出させる。これによってNiPめっき面のノジュールの発生を抑制することができる。また、含有量の増加に伴いZnがアルミニウム合金基板中に均一に析出して、めっき前処理のエッチングでのエッチング起点、およびジンケート処理時のZnイオン析出拠点になる。このため、結晶粒による段差を抑制する効果を有する。Znの含有量が0.01質量%以下では、これらの効果が小さい。一方、Znの含有量が0.40質量%以上になると、Znの析出核が大きくなるのに伴い、めっき前処理のエッチングで形成される窪みも大きくなるので、めっき処理によって形成されるめっき面の平滑性が悪化する。さらに、粒界にAl−Mg−Zn系金属間化合物が析出するため、めっき前処理のエッチングにおいて粒界部が過エッチングを受け、NiPめっき面のノジュールの発生が多大となる。また、Al−Mg−Zn系金属間化合物も溶解してピットとなって、それがめっき後も残存する。
したがって、Znの含有量は、0.01質量%を超え0.40質量%未満とする。
残部は、Alおよび不可避的不純物である。上記のSi、FeおよびCr以外の不可避的不純物としては、Mn、Ti、B、Sn、Sc、Ni、Zr、C、In、Na、Ca、V、Bi、Srなどを挙げることができ、これらを本発明のアルミニウム合金基板に悪影響を与えない範囲、例えば、それぞれ0.01質量%以下であって、総計0.01質量%以下であれば、これらを単独又は複数含有してもよい。
等軸粒とは、結晶粒のうち、基板の圧延方向における粒径と、圧延方向に直行する板幅方向における粒径とがほぼ等しい等軸な結晶である。詳細には、等軸粒とは、アルミニウム合金基板表面の結晶粒のうち、圧延方向の粒径に対する板幅方向の粒径の比(板幅方向の粒径/圧延方向の粒径)が、0.7〜1.3となるものである。
アルミニウム合金基板の製造において、冷間圧延後の基板表面の結晶粒組織は、圧延方向に伸張した細長い粒からなるが、その後の焼鈍(積み付け焼鈍)により軟化が進行するにしたがい、圧延方向と板幅方向との結晶粒径のほぼ等しい等軸な再結晶粒が出現し、軟化とともに、その割合が増す。よって、軟化の度合いは、基板表面における等軸粒の面積率で示すことができ、その面積率が30%以下であれば、残留歪みが十分残っており、耐衝撃性に必要な強度である耐力140MPaを満たすことができる。
したがって、基板表面における等軸粒の面積率は、30%以下とする。
また、基板表面における等軸粒の面積率は、Mgの含有量、積み付け焼鈍の温度および時間により制御することができる。
基板の耐力は、耐衝撃性に影響を与えるものである。
ここで、耐衝撃性としては、基板をHDDの内部に設置した状態で、1mの高さから落下させた場合に、基板がほとんど塑性変形しないレベル(詳細には、平坦度の変化が1μm以下)の耐衝撃性が要求される。そして、耐衝撃性は前記のとおり基板の耐力に依存し、前記レベルの耐衝撃性を得るためには、基板の耐力は140MPa以上である必要がある。一方、基板の耐力が200MPaを超えると、平坦度の熱的安定性が悪くなる可能性がある。
したがって、耐力は、140MPa以上であるのが好ましい。また、耐力は、200MPa以下であるのがより好ましい。
また、耐力は、Mgの含有量、積み付け焼鈍の温度および時間により制御することができる。
平坦度とは、基板の平らな度合いであり、水平な基準面に基板を置いた際の最大高さから最小高さ部分の差分に相当する。
平坦度が5μmを超えると、磁気ディスク上に位置する磁気ヘッドの浮上高さが安定せず、磁気ヘッドでの信号の読み取り精度が悪化する。
したがって、平坦度は5μm以下であるのが好ましい。
また、平坦度は、積み付け焼鈍の温度および時間により制御することができる。
加熱処理前後の平坦度の変化量とは、加熱処理前の平坦度を基準として、加熱処理後の平坦度がどの程度変化したかを示すものである。
ここで、加熱処理とは、270℃で30minの加熱処理であり、近年の低温化した磁性膜の成膜(スパッタ)工程における加熱処理を想定したものである。
アルミニウム合金基板の積み付け焼鈍後の磁性膜の成膜工程において、基板の平坦度が悪化しないことが要求されるとともに、HDDは動作時に70℃前後まで温度が上昇し、その環境下に数年間保持されていても平坦度が大きく変化しないことも要求される。よって、アルミニウム合金基板には、270℃で30minというめっき後の加熱工程を模擬した条件であるとともに、HDDの動作環境よりも苛酷な条件の下、平坦度には熱的安定性が求められる。
したがって、加熱処理(270℃、30min)前後の平坦度の変化量は、1μm以下であるのが好ましい。
磁気ディスクは、ハードディスクドライブ(HDD)内部に搭載される円環状を呈する記録媒体である。
本発明に係るアルミニウム合金基板は、磁気ディスク用であり、この磁気ディスクとしては、直径が3.5インチと2.5インチ、2.5インチよりも小さな1.8インチといったもの等、様々な大きさのものが存在する。
ここで、HDDの磁気ディスクは、精工な記録媒体であるため、ある程度の耐衝撃性が要求されるが、磁気ディスクの中でも外径が2.5インチ以下の磁気ディスクはモバイル機器のHDDに用いられることから、耐衝撃性が特に要求される。
言い換えると、本発明に係るアルミニウム合金基板は、磁気ディスクの中でも、外径が2.5インチ以下、特に、2.5インチ(内径:19mm、外径:66mm)の磁気ディスクに適用するのが好ましく、顕著な効果(耐衝撃性)を発揮することとなる。
[磁気ディスク用アルミニウム合金基板の製造方法]
本発明に係る磁気ディスク用アルミニウム合金基板の製造方法は、所定の成分組成を有するアルミニウム合金の鋳塊を製造(鋳造)した後、均質化熱処理、熱間圧延、冷間圧延を行って所定の板厚のアルミニウム合金基板を製造し、打ち抜いて円環状(成形)とし、これに積み付け焼鈍(矯正焼鈍)を施す、というものである。
本発明に係る磁気ディスク用アルミニウム合金基板の製造方法において特徴となる積み付け焼鈍を中心に説明する。
積み付け焼鈍とは、円環状に打ち抜いた複数枚のアルミニウム合金基板を、高平坦度のスペーサ間に積み付けし、全体を加圧しながら焼鈍するというものである。
しかし、近年、磁性膜の成膜温度が低温化(例えば、200℃以下)しており、従来の積み付け温度やめっき後の加熱温度よりも低温化することによる高強度化が達成できるようになった。
よって、積み付け焼鈍の条件を以下のように規定した。
したがって、積み付け焼鈍の温度は、200〜290℃であり、積み付け焼鈍の時間は1〜5時間である。
なお、保持温度までの昇温速度や、保持温度からの降温速度については、特に限定されないが、昇温速度は、30〜200℃/h、降温速度は、30〜200℃/hが好ましい。
例えば、均質化熱処理については、500〜580℃で4時間以上保持し、熱間圧延については、500〜520℃の温度で熱間圧延を開始し、3〜5mmまで行い、冷間圧延については、100℃以下の温度で最終製品の板厚まで行えばよい。
[供試材の作製]
表1に示す組成のアルミニウム合金を溶解した後、不活性ガスの吹き込みにより脱水素処理を行った。そして、板厚50mmのスラブを鋳造して面削した後、540℃で4時間の均質化熱処理を行った。その後、均質化熱処理したスラブを熱間圧延し、板厚が3mmとなる熱間圧延板を作製した。そして、この熱間圧延板を冷間圧延し、最終板厚が0.82mmとなる冷間圧延板を作製した。
作製したブランクは、その後、砥石による研削加工によりブランクの表面を片面20μm研削して鏡面加工することでGRサブストレートを作製した。
(等軸粒の面積率)
等軸粒の面積率は、積み付け焼鈍後の供試材(ブランク)の表面(約10×10mm)を、機械研磨後、室温で電解エッチング(室温、ほうフッ化水素酸35vol%を用いて20V、90秒間)を行い、電解エッチングを行った表面を光学顕微鏡により100倍で撮影し、撮影した画像を市販の画像解析ソフト(例えば、IMAGE PRO Plus Ver6)で解析し算出した。
なお、等軸粒の面積率については、積み付け焼鈍後の供試材(ブランク)を測定対象としたが、鏡面加工したGRサブストレートを測定対象としても、めっきサブストレート(めっき後の加熱工程を模した加熱処理(270℃、30min保持)を施したもの、および、施していないもの)のめっき部分を除去したものを測定対象としても、ほぼ同じ結果となる。
供試材の一部の画像データを図1(a)〜(c)に示す。図1(a)は、供試材No.4の画像データ、図1(b)は、供試材No.8の画像データ、図1(c)は、供試材No.16の画像データである。
耐力は、次の引張試験に基づいて測定した。
引張試験は、前記のとおり積み付け焼鈍後の供試材から長手方向が引張方向となるようにJIS Z2201に準拠する5号の引張試験片を作製した。この試験片を用いて、JIS Z2241に準じて、株式会社島津製作所(SHIMADZU CORPORATION) 製床置形万能引張試験機AG−Iにて引張試験を行い、耐力(0.2%耐力)を測定した。なお、クロスヘッド速度は5mm/分で、試験片が破断するまで一定の速度で行い、それぞれ5回測定して平均値で算出した。
(耐衝撃性)
耐衝撃性の評価は、HDDに供試材(めっきサブストレート)を設置した状態で、1mの高さから落下させた時の供試材の平坦度の変化量に基づいて行った。平坦度の変化量が1μm以下の場合は良好(○)、1μmを超える場合は不良(×)と評価した。
なお、HDDとしては、市販の2.5インチHDD(HGST Travelster 5K320)を用い、当該HDDを分解し、スピンドル部分にネジで供試材(めっきサブストレート)を固定し、耐衝撃性の評価試験を行った。また、平坦度の測定は、NIDEK社製のFT−17を用い、後記の評価試験でも同様の装置を用いて測定した。
平坦度の評価は、積み付け焼鈍後の供試材(ブランク)表面の平坦度の測定値に基づいて行った。平坦度が5μm以下の場合は良好(○)、5μmを超える場合を不良(×)と評価した。
めっき面の平滑性の評価は、めっきポリッシュ後の供試材(めっきサブストレート)の表面を光学顕微鏡で面積観察(1cm2)した結果に基づいて行った。幅1μm以上のピット(凹部)あるいはフクレ(凸部)がない場合を良好(○)、1個以上あった場合を不良(×)と評価した。
平坦度の熱的安定性の評価は、磁性膜の成膜工程を模した加熱処理(270℃、30min保持)前後の平坦度の変化量に基づいて行った。平坦度の変化量が1μm以下の場合を良好(○)、1μmを超える場合を不良(×)と評価した。
供試材No.1〜6については、本発明の規定する要件を全て満たしていることから、耐衝撃性、平坦度、平滑性について良好という結果となった。その中でも、供試材No.1〜5については、平坦度の熱的安定性についても良好という結果となった。
供試材No.8は、Feの含有量が本発明で規定する数値範囲の上限から外れるため、粗大なAl−Fe系金属間化合物が存在し、めっき面にピットが生じたことで、平滑性が不良という結果となった。
供試材No.9は、Mgの含有量が本発明で規定する数値範囲の下限から外れるとともに、等軸粒の面積率が本発明で規定する数値範囲の上限から外れるため、耐力が低く、耐衝撃性が不良という結果となった。
供試材No.10は、Mgの含有量が本発明で規定する数値範囲の上限から外れるため、熱間圧延中に割れが生じ、圧延を続けることができなかった。
供試材No.11は、Cu、Znの含有量とも本発明で規定する数値範囲の下限から外れるため、ジンケート面が粗く、めっき面にピットが生じたことで、平滑性が不良という結果となった。
供試材No.12は、Cuの含有量が本発明で規定する数値範囲の上限から外れるため、粒界が過エッチングを受け、めっき面にピットが生じたことで、平滑性が不良という結果となった。
供試材No.13は、Znの含有量が本発明で規定する数値範囲の上限から外れるため、酸エッチング後に粒界にピットが発生し、めっき面にピットが生じたことで、平滑性が不良という結果となった。
供試材No.14は、Crの含有量が本発明で規定する数値範囲の上限から外れるため、粗大なAl−Cr系金属間化合物が存在し、めっき面にピットが生じたことで、平滑性が不良という結果となった。
供試材No.15は、積み付け焼鈍の温度が低かったため、平坦度、平坦度の熱的安定性が不良という結果となった。
供試材No.16は、積み付け焼鈍の温度が高く、等軸粒の面積率が本発明で規定する数値範囲の上限から外れるため、耐力が低く、耐衝撃性が不良という結果となった。
供試材No.17は、Mgの含有量が本発明で規定する数値範囲の上限から外れるため、めっき面にピットが生じたことで、平滑性が不良という結果となった。
供試材No.18は、Znの含有量が本発明で規定する数値範囲の上限から外れるとともに、積み付け焼鈍の温度が高かったため、耐力が低く、耐衝撃性が不良という結果となった。
Claims (4)
- Si:0.03質量%未満、Fe:0.03質量%未満、Mg:3.5質量%を超え4.5質量%未満、Cr:0.20質量%未満、を含有するとともに、Cu:0.01質量%を超え0.20質量%未満、Zn:0.01質量%を超え0.40質量%未満、の少なくともいずれか一方を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金で構成され、
平坦度が5μm以下であり、
かつ、基板表面における等軸粒の面積率は30%以下であることを特徴とする磁気ディスク用アルミニウム合金基板。 - 耐力が140MPa以上であることを特徴とする請求項1に記載の磁気ディスク用アルミニウム合金基板。
- 270℃で30分間の加熱処理前後における平坦度の変化量が1μm以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の磁気ディスク用アルミニウム合金基板。
- 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の磁気ディスク用アルミニウム合金基板の製造方法であって、
請求項1に記載のアルミニウム合金を、鋳造、均質化熱処理、熱間圧延、冷間圧延、成形し、
200〜290℃で1〜5時間保持するという条件で積み付け焼鈍を施す
ことを特徴とする磁気ディスク用アルミニウム合金基板の製造方法。
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