JP5325869B2 - 磁気ディスク用アルミニウム合金基板およびその製造方法 - Google Patents
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Description
従来、このようなアルミニウム合金板としては、ハードディスクドライブ用の耐衝撃性で必要となる十分な強度を有し、十分な表面平滑性が得られる等の理由からJIS H 4000に規定の5086合金(Al−Mg合金)が使用されてきた。
特許文献1に記載の発明によれば、このような構成とすることにより、微小うねりの発生が少なく、精密切削性が優れるとともに、磁気ディスクの高記録密度化にも十分対応することができると記載されている。
特許文献2に記載の発明によれば、Zn含有量を規定量未満に規制し、GaおよびBeを特定の範囲とすることで、鏡面仕上げ性および耐食性が良好で、更に均一微細なNiPめっき層を形成することができると記載されている。
特許文献3に記載の発明によれば、Gaの含有量を所定値以下に規制することによってマトリックスからの金属間化合物の脱落を抑制し、表面欠陥を生じ難くすることができると記載されている。
特許文献4に記載の発明によれば、Znの含有量を特定の範囲とすることでジンケート処理後のアルミニウム合金基板表面に生じる結晶粒の分布を反映した模様(結晶粒模様)の形成を抑制し、もってNiPめっき膜表面の微小な凹凸の発生を抑制し、結果的に表面に微小なうねりが発生することなく、高平坦度および高平滑度な表面を得ることができると記載されている。
ここで、最近の記録密度の向上要求は非常に強く、年々記録密度の向上がなされているが、高記録密度化のためには磁性粒子の微細化が必要となる。一般に磁性粒子の微細化とともに、記録された磁化の向きを保持する力(保磁力)が低下し、室温程度の熱エネルギーでも減磁してしまう「熱揺らぎ」と呼ばれる問題が生じる。その熱揺らぎの問題により、現行の垂直記録方式での記録密度の限界は、1Tb/inch2(テラバイト毎平方インチ)といわれている。そのため、さらなる高密度記録化を図る技術として、熱アシスト磁気記録方式が注目されている。
なお、熱アシスト磁気記録方式では、磁気ディスク上に記録する微小領域のみが瞬間的に加熱されるだけであり、加熱時間も極めて短時間であるので下地基板となる磁気ディスク用アルミニウム合金基板への影響は殆どない。
さらに、前記作用に加えて、Cr,MnおよびZrの群から選択される少なくとも一つを所定量含有しているので、結晶粒の粗大化をより抑制することが可能となる。
さらに、CuおよびZnの群から選択される少なくとも一つを所定量含有し、不可避的不純物のうちSiとFeを所定量以下に規制しているので、Mg−Si系金属間化合物およびAl−Fe系金属間化合物の生成を抑制することができ、めっき後のピットの生成を抑制することが可能となる。
はじめに、本発明に係る磁気ディスク用アルミニウム合金基板の第1実施形態について説明する。
第1実施形態に係る磁気ディスク用アルミニウム合金基板は、Mgを3.5質量%以上6質量%以下含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなり、500℃で10秒間加熱された前後における平坦度の変化量が5μm以下であり、かつ500℃で10秒間加熱された前後における平均結晶粒径の変化量が10μm以下というものである。
Mgは、磁気ディスク用アルミニウム合金基板として必要な強度を得るために必要な元素である。
Mg量が3.5質量%未満であると耐力が95MPa以下となり、磁気ディスク用アルミニウム合金基板として必要とされる耐力を得ることができない。そのため、落下時の衝撃で変形しやすくなるとともに、磁気ヘッドと基板の接触による傷も付きやすくなるため、ハードディスクドライブの耐衝撃性のスペックを満たすことができない。
その一方で、Mg量が6質量%を超えると熱間割れ感受性が高くなり、熱間圧延中に割れが生じてしまう。割れずに熱間圧延ができた場合であっても、積み付け焼鈍後の冷却中にβ相(Al3Mg2相)が析出しやすいため好ましくない。なお、β相は、めっき前処理工程の一つであるエッチング工程で優先的にエッチングを受けるため、めっき面の凹凸が大きくなり、めっき面の平滑性が悪化する。めっき面の平滑性が悪化すると、平滑化のため長時間のポリッシュが必要となり、生産性も劣るため好ましくない。
よって、Mg量は3.5質量%以上6質量%以下とする。なお、Mg量は3.8質量%以上、4質量%以上または4.5質量%以上などとすることもでき、5.5質量%以下または5質量%以下などとすることもできる。
残部はAlおよび不可避的不純物である。不可避的不純物として、例えば、Si、Fe、Ti、BおよびVなどを挙げることができる。これらの不可避的不純物のうち、SiおよびFeは金属間化合物を形成するため含有量が少ないほど好ましいが、Siについては0.03質量%以下、Feについては0.05質量%以下であれば本発明の所望する効果に影響しない。その他のTi、BおよびVなどの不可避的不純物についてはそれぞれ、0.01質量%以下であれば本発明の所望する効果に影響しない。よって、前記した各不可避的不純物を前記した含有量程度以下であればこれらを含有することは許容される。
500℃で10秒間加熱された前後における平坦度の変化量が5μmを超えるということは、磁性材料のスパッタ(加熱)を500℃で行った際に、磁気ディスク用アルミニウム合金基板の平坦度が大きく悪化することを意味するものであるため、熱アシスト磁気記録方式に適した基板とすることができない。
よって、500℃で10秒間加熱された前後における平坦度の変化量は5μm以下とする。
したがって、500℃で10秒間加熱処理する前後におけるP−V値を測定し、その差を求めれば、500℃で10秒間加熱された前後における平坦度の変化量として得ることができる。
500℃で10秒間加熱された前後における平均結晶粒径の変化量が10μmを超えるということは、磁性材料のスパッタ(加熱)を500℃で行った際に、磁気ディスク用アルミニウム合金基板の結晶粒が粗大化することを意味するものであるため、熱アシスト磁気記録方式に適した基板とすることができない。
よって、500℃で10秒間加熱された前後における平均結晶粒径の変化量は10μm以下とする。
したがって、500℃で10秒間加熱処理する前後における平均結晶粒径を測定し、その差を求めれば、500℃で10秒間加熱された前後における平均結晶粒径の変化量として得ることができる。
次に、本発明に係る磁気ディスク用アルミニウム合金基板の第2実施形態について説明する。
第2実施形態に係る磁気ディスク用アルミニウム合金基板は、Mgを3.5質量%以上6質量%以下含有し、かつCrを0.05質量%以上、Mnを0.05質量%以上、およびZrを0.05質量%以上の群から選択される少なくとも一つを含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなり、500℃で10秒間加熱された前後における平坦度の変化量が5μm以下であり、かつ500℃で10秒間加熱された前後における平均結晶粒径の変化量が10μm以下というものである。
Cr,MnおよびZrは結晶粒粗大化抑制効果を有する。Crを0.05質量%以上、Mnを0.05質量%以上、およびZrを0.05質量%以上の群から選択される少なくとも一つを含有させると、500℃で10秒間加熱された場合であっても結晶粒の粗大化をより確実に抑制することができる。そのため、500℃で10秒間加熱された前後における平均結晶粒径の変化量をより確実に10μm以下とすることができ、3μm以下とすることも可能となる。Cr,MnおよびZrの全てが前記した含有量未満である場合、前記した効果を奏することができない。
よって、Crを0.05質量%以上、Mnを0.05質量%以上、およびZrを0.05質量%以上の群から選択される少なくとも一つを含有することとする。
次に、本発明に係る磁気ディスク用アルミニウム合金基板の第3実施形態について説明する。
第3実施形態に係る磁気ディスク用アルミニウム合金基板は、Mgを3.5質量%以上6質量%以下含有し、かつCrを0.05質量%以上0.3質量%以下、Mnを0.05質量%以上0.5質量%以下、およびZrを0.05質量%以上0.5質量%以下の群から選択される少なくとも一つを含有するとともに、Cuを0.01質量%以上0.2質量%以下およびZnを0.01質量%以上0.4質量%以下の群から選択される少なくとも一つを含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなり、さらに前記不可避的不純物のうちSiを0.03質量%以下、Feを0.05質量%以下に規制し、500℃で10秒間加熱された前後における平坦度の変化量が5μm以下であり、かつ500℃で10秒間加熱された前後における平均結晶粒径の変化量が10μm以下というものである。
前記したように、Cr,MnおよびZrは結晶粒粗大化抑制効果を有する。これらの元素について下限値を規定することによって得られる効果等については既に説明しているとおりであるので、説明を省略する。
Crを0.3質量%、Mnを0.5質量%またはZrを0.5質量%を超えて添加した場合には、それぞれCr系、Mn系、Zr系の粗大な初晶が晶出し、めっき面の平滑性が悪化することがある。めっき面の平滑性が悪化すると、平滑化のため長時間のポリッシュが必要となり、生産性も劣るため好ましくない。
よって、Crを0.05質量%以上0.3質量%以下、Mnを0.05質量%以上0.5質量%以下、およびZrを0.05質量%以上0.5質量%以下の群から選択される少なくとも一つを含有することとした。
なお、Cr量は0.06質量%以上または0.1質量%以上などとすることができ、0.3質量%以下などとすることができる。また、Mn量は0.3質量%以下または0.4質量%以下などとすることができる。Zr量は0.2質量%以上0.4質量%以下などとすることもできる。
熱アシスト磁気記録方式では、めっき皮膜にも耐熱性が求められる。そのため、一般的に用いられているNi−Pめっきよりも耐熱性に優れたNi−Cu−PめっきやNi−Mo−Pめっき、Ni−W−Pめっきなどの適用が検討されている。いずれの場合もめっき前にはジンケート処理と呼ばれる前処理が行われる。めっき面の平滑性は、ジンケート処理によって形成されるジンケート面の平滑性の影響を受けることがよく知られている。CuおよびZnはともに、めっき面の平滑性に影響を及ぼすジンケート面を平滑化する効果がある。
よって、Cuを0.01質量%以上0.2質量%以下およびZnを0.01質量%以上0.4質量%以下の群から選択される少なくとも一つを含有するのが好ましい。
なお、Cu量は0.02質量%以上、0.04質量%以上または0.05質量%以上などとすることができ、0.12質量%以下などとすることができる。また、Zn量は0.02質量%以上とすることができ、0.2質量%以下または0.1質量%以下などとすることができる。
SiおよびFeは、前記したように不可避的不純物として含有されるものであり、その含有量の増加とともにそれぞれMg−Si系金属間化合物およびAl−Fe系金属間化合物の大きさおよび個数が増大し、めっき後のピットなどの原因となる。そのため、Si量およびFe量が高くなると、めっき面の平滑化のために長時間のポリッシュが必要となり、生産性が劣ることとなるので、これらの含有量は少ないほど好ましい。
なお、Si量は0.01質量%以下とすることができ、Fe量は0.02質量%以下、0.01質量%以下などとすることができる。
Si量とFe量の規制は、例えば使用地金に高純度地金を添加することで行うことができる。
次に、前記した第1実施形態から第3実施形態に係る磁気ディスク用アルミニウム合金基板を製造するための製造方法について説明する。
なお、かかる積み付け焼鈍は、複数枚のブランクを積重ね、その両端に厚さ20〜30mmのスペーサを設け、スプリングを用いてスペーサ同士が近接する方向に加圧された状態で焼鈍が行われる。ブランクは、スプリングを用いた加圧によってスペーサと同じ平坦度まで矯正され、また、この状態で焼鈍されることにより形状が固定され、残留応力が除去される。なお、スプリングでの加圧は、積み付け焼鈍で行われる一般的な圧力にて行うことができる。
特許文献1にも記載されているように、従来は、結晶粒の微細化の観点から、積み付け焼鈍時の昇温速度を10℃/分以上としたり、特許文献4に記載されているように、粒界へのAl−Mg−Zn系金属間化合物の析出防止の観点から、積み付け焼鈍時の冷却速度(降温速度)を200℃/分以上としたりしていた。しかし、発明者が鋭意研究したところ、500℃という高温でスパッタする際の平坦度の悪化を防止するためには、積み付け焼鈍の昇温中および降温中の熱歪みを防止することが重要であることが明らかになった。昇温速度が2℃/分を超える場合、および降温速度が2℃/分を超える場合のいずれにおいても、熱応力の発生により内部に歪みが残留しやすくなり、スパッタ工程での急速加熱時に平坦度の変化量が増加してしまう。そのため、昇温速度を2℃/分以下とし、降温速度を2℃/分以下とする必要がある。
なお、かかる降温速度での降温は200℃程度まで、より好ましくは150℃程度まで行えばよい。当該温度まで降温した後は降温速度の影響をほとんど受けないからである。したがって、前記した温度まで降温した後は、降温速度を2℃/分よりも速くしてもよい。
積み付け焼鈍の保持温度が350℃未満であったり、保持時間が2時間未満であったりすると、積み付け焼鈍時に磁気ディスク用アルミニウム合金基板(ブランク)の残留歪みを完全に除去することができず、スパッタ工程での急速加熱により平坦度の変化量が増加してしまう。また、残留歪みにより結晶粒の安定性も低下し、加熱時に結晶粒が粗大化しやすくなる。ブランク内の残留歪みは積み付け焼鈍の保持温度を350℃以上とし、保持時間を2時間以上とすることで除去することが可能である。
なお、積み付け焼鈍の保持温度は350〜450℃とするのが好ましく、保持時間は2〜5時間とするのが好ましい。このようにすれば、結晶粒の異常成長の抑制を図ることができ、また、エネルギーコストの増加を抑制することができる。
なお、比較例8は特許文献1の実施品に相当する。特許文献2〜4は、積み付け焼鈍の条件、すなわち昇温速度、保持温度、保持時間および降温速度のうちの少なくとも一つの条件が不明であったため、比較することができなかった。
また、実施例1〜13と比較例1〜8における積み付け焼鈍以前の製造工程における製造条件は一般的なものとした。
表1中の「−」は検出限界以下の含有量であることを示す。
なお、実施例1〜13と比較例1〜8の残部はAlと不可避的不純物からなるが、これらは表1中に示していない。
耐力は、製造した実施例1〜13と比較例1〜8を用いて、JIS Z 2201 5号に基づいた引張試験により測定した。
耐力は、95MPaを超えるものを良(○)、95MPa以下のものを不良(×)とした。
平坦度の変化量は、NIDEK社製FT−17を用いて、500℃でのスパッタを想定した加熱処理を行う前後におけるP−V値の差より求めた。
加熱処理は、アルバック理工社製の赤外線ランプ加熱装置(RTP−6型)を使用し、昇温速度600℃/分で昇温し、500℃で10秒間加熱するという条件で行った。
ブランクの平坦度の変化量は、1μm以下のものを優(◎)、1μmを超え5μm以下のものを良(○)、5μmを超えるものを不良(×)とした。
平均結晶粒径は、基板の表面を機械研磨後、ホウフッ化水素酸0.5%を用いて20V、90秒間、室温で電解エッチングを行い、電解エッチングを行った基板の表面を光学顕微鏡により100倍で撮影し、組織画像を切片法で解析することで測定した。
平均結晶粒径の変化量は、前記した加熱処理前後の基板について前記した手法で平均結晶粒径の測定を行い、その差より求めた。
平均結晶粒径の変化量は、3μm以下のものを優(◎)、3μmを超え10μm以下のものを良(○)、10μmを超えるものを不良(×)とした。
金属間化合物の最大サイズの測定は、基板(ブランク)表面をダイヤモンドバイトで切削して鏡面とし、この面を走査型電子顕微鏡(SEM)のCOMPO像(倍率1000倍)で20視野観察した画像を2値化し、マトリックスより白く写る粒子(Al−Fe系金属間化合物、Al−Fe−Mn系金属間化合物、Al−Fe−Cr系金属間化合物など)もしくは黒く写る粒子(Mg−Si系金属間化合物)をカウントすることによりその最大長さを測定した。1000倍で20視野分析した際の最大サイズが5μm以下のものを◎、10μm以下のものを○、10μmを超えるものを△とした。
ジンケート表面の表面粗度の測定は次のようにして行った。
表1に示す条件で積み付け焼鈍を行って平坦度を矯正した基板(ブランク)をPVA砥石による研削加工によりブランクの表面を片面10μm研削して鏡面加工することでGRサブストレートを作製した。
次いで、このようにして作製したGRサブストレートをめっき前処理液(上村工業社製UAD−68)に浸漬し、70℃、5分間の脱脂を行った。
その後、めっき前処理液(上村工業製AD−101F)で68℃、2分間の酸エッチングを行い、30%硝酸でデスマット処理を行った。
デスマットを行ったGRサブストレートに、ジンケート処理液(上村工業製AD−301F−3X)を用いて20℃、30秒間のジンケート処理を行い、一旦、30%硝酸でZnを溶解させた後に、再度、20℃、15秒間のジンケート処理を行った。
前記処理後の表面(ジンケート表面)をVecco社製WYKO NT−3300を用いて、対物レンズ×10、FOV×1、VSIモードで表面を測定し、粗度(Ra)を求めた。粗度が10nm以下のものを◎、粗度が20nm以下のものを○、20nmを超えるものを△とした。
また、比較例7は、Mg量が上限を外れるため、熱間圧延中に熱間割れが生じ、圧延板を製造することができなかった。そのため、耐力、平坦度の変化量および平均結晶粒径の変化量について評価結果を得ることができなかった。
そこで、赤外線ランプ加熱装置(RTP−6型)による加熱温度および加熱時間を表3のように変更して実施例1、3と比較例1、2を加熱し、これらの平坦度の変化量および平均結晶粒径の変化量を評価した。なお、平坦度の変化量および平均結晶粒径の変化量の測定方法並びにその評価基準は前記と同様とした。
また、表3に示す比較例2は、400℃×5秒間の加熱および500℃×5秒間の加熱のいずれも、平坦度の変化量および平均結晶粒径の変化量が大きくなり、良好でない評価結果となった。
Claims (5)
- Mgを3.5質量%以上6質量%以下含有し、
残部がAlおよび不可避的不純物からなり、
2℃/分以下の昇温速度で360℃以上となるまで昇温し、360℃以上で2時間以上保持し、次いで、2℃/分以下の降温速度で冷却するという条件の積み付け焼鈍を行い、
500℃で10秒間加熱された前後における平坦度の変化量が5μm以下であり、かつ
500℃で10秒間加熱された前後における平均結晶粒径の変化量が10μm以下である
ことを特徴とする磁気ディスク用アルミニウム合金基板。 - Mgを3.5質量%以上6質量%以下含有し、
かつCrを0.05質量%以上、Mnを0.05質量%以上、およびZrを0.05質量%以上の群から選択される少なくとも一つを含有し、
残部がAlおよび不可避的不純物からなり、
2℃/分以下の昇温速度で360℃以上となるまで昇温し、360℃以上で2時間以上保持し、次いで、2℃/分以下の降温速度で冷却するという条件の積み付け焼鈍を行い、
500℃で10秒間加熱された前後における平坦度の変化量が5μm以下であり、かつ
500℃で10秒間加熱された前後における平均結晶粒径の変化量が10μm以下である
ことを特徴とする磁気ディスク用アルミニウム合金基板。 - Mgを3.5質量%以上6質量%以下含有し、
かつCrを0.05質量%以上0.3質量%以下、Mnを0.05質量%以上0.5質量%以下、およびZrを0.05質量%以上0.5質量%以下の群から選択される少なくとも一つを含有するとともに、
Cuを0.01質量%以上0.2質量%以下およびZnを0.01質量%以上0.4質量%以下の群から選択される少なくとも一つを含有し、
残部がAlおよび不可避的不純物からなり、さらに
前記不可避的不純物のうちSiを0.03質量%以下、Feを0.05質量%以下に規制し、
2℃/分以下の昇温速度で360℃以上となるまで昇温し、360℃以上で2時間以上保持し、次いで、2℃/分以下の降温速度で冷却するという条件の積み付け焼鈍を行い、
500℃で10秒間加熱された前後における平坦度の変化量が5μm以下であり、かつ
500℃で10秒間加熱された前後における平均結晶粒径の変化量が10μm以下である
ことを特徴とする磁気ディスク用アルミニウム合金基板。 - 前記平坦度の変化量が1μm以下であり、
前記平均結晶粒径の変化量が3μm以下である
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の磁気ディスク用アルミニウム合金基板。 - 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の磁気ディスク用アルミニウム合金基板を製造するための製造方法であって、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の組成からなる磁気ディスク用アルミニウム合金基板について行う積み付け焼鈍を、
2℃/分以下の昇温速度で360℃以上となるまで昇温し、360℃以上で2時間以上保持し、次いで、2℃/分以下の降温速度で冷却するという条件で行う
ことを特徴とする磁気ディスク用アルミニウム合金基板の製造方法。
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