JP6339726B1 - 磁気ディスク用アルミニウム合金板、磁気ディスク用アルミニウム合金ブランクおよび磁気ディスク用アルミニウム合金サブストレート - Google Patents
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Abstract
【課題】剛性が高く、表面に平滑性が高いめっき膜を形成することも可能な磁気ディスク用アルミニウム合金板、磁気ディスク用アルミニウム合金ブランクおよび磁気ディスク用アルミニウム合金サブストレートを提供する。【解決手段】磁気ディスク用アルミニウム合金板、磁気ディスク用アルミニウム合金ブランクおよび磁気ディスク用アルミニウム合金サブストレートは、Si:0.10質量%以下、Fe:0.50質量%以上1.50質量%以下、Mn:0.50質量%以上1.50質量%以下、Ni:1.00質量%以上2.00質量%以下、Sr:50ppm以上250ppm以下を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなり、前記Fe、前記Mnおよび前記Niの合計量が4.20質量%以下であり、前記Feの含有量と前記Niの含有量との比が0.40〜1.00であり、前記Mnの含有量と前記Niの含有量との比が0.30〜0.90である。【選択図】なし
Description
本発明は、磁気ディスク用アルミニウム合金板、磁気ディスク用アルミニウム合金ブランクおよび磁気ディスク用アルミニウム合金サブストレートに関する。
コンピュータなどが備えるハードディスクドライブ(HDD)の記録媒体としては、アルミニウム合金製の磁気ディスクが多用されている。アルミニウム合金製の磁気ディスクの基板は、円環状に打ち抜いたアルミニウム合金板に矯正焼鈍を施してブランクを作製し、ブランクに切削加工や研削加工を施してサブストレートを作製し、サブストレートに表面処理を施すことによって製造されている。
サブストレートは、多くの場合、脱脂処理、酸エッチング処理、デスマット処理、1stジンケート処理、硝酸剥離処理、2ndジンケート処理、無電解Ni−Pめっき処理を順に施される。そして、無電解Ni−Pめっき処理によって成膜されためっき膜の表面に、磁性層、保護膜などが形成されて、読み書き可能な状態の磁気ディスクが製造される。
近年、記録データの転送速度の高速化が進んでおり、これに伴って、磁気ディスクの回転数も高速になっている。磁気ディスクは、作動時の回転数が高速であるほど、また、薄肉で軽量であるほど、共振による振動によって正確な読み書きが困難になる。そのため、磁気ディスクの基板には、振動に耐える高い剛性が求められる。振動に耐え得る剛性は、基板を厚肉化することによって確保することが可能である。しかし、基板を厚肉化する手法では、磁気ディスクを軽量にすることができず、また、記録装置への搭載枚数も制約される。そのため、磁気ディスクの基板に関しては、材料自体に高い剛性が要求されるようになっている。
例えば、特許文献1には、アルミニウム合金マトリックス中にセラミックス粒子またはセラミックス繊維のうち少なくとも一方を体積比で5〜50%分散させる磁気ディスク基板用軽量高剛性アルミニウム合金板が記載されている。特許文献1では、アトマイズ法によって得られた純Al粒子と、Al2O3粒子とを混合し、その混合物を溶融温度付近でHIP処理した後、熱間圧延を行ってアルミニウム合金板を得ている。
また、特許文献2には、5.2質量%以上24.0質量%以下のSiと、0.01質量%以上3.00質量%以下のFeと、を含有し、残部Alと不可避的不純物からなる磁気ディスク用アルミニウム合金基板が記載されている。磁気ディスク用アルミニウム合金基板には、Cu、Mg、Ni、Cr、Mn、Na、Sr、P、からなる群から選択された1又は2以上の元素をさらに含有した合金を用い得るとされている。
特許文献1に記載された磁気ディスク基板用軽量高剛性アルミニウム合金板は、マトリックス粒子として用いる純Al粒子と、Al2O3粒子のようなセラミックス粒子またはセラミックス繊維との混合物をHIP処理するものであるので、粒子や繊維の密着性を高くすることが難しい。そのため、表面に無電解Ni−Pめっき膜を形成したとき、粒子などが脱落して表面に凹凸が生じ、平滑性が高い無電解Ni−Pめっき膜が成膜されない可能性が高い。また、特許文献1に記載された磁気ディスク基板用軽量高剛性アルミニウム合金板は、板毎にHIP処理することを要するため、生産コストがかかるという問題があるし、高い密着性が得られず耐力が低くなる虞がある。
また、特許文献2に記載された磁気ディスク用アルミニウム合金基板は、Siの含有量が多く、Siを粒子として存在させるものである。このような合金板では、無電解Ni−Pめっき膜を形成するために酸エッチング処理などを行うとき、Si粒子が酸に溶解せず、表面に残留したままの状態になり易い。Si粒子が表面に残存していると、めっき膜に突起状のノジュールが生じたり、Si粒子が脱落した部位にピットが生じたりし、無電解Ni−Pめっき膜の平滑性が低くなってしまう。
本発明は、前記問題に鑑みてなされたものであり、剛性が高く、表面に平滑性が高いめっき膜を形成することも可能な磁気ディスク用アルミニウム合金板、磁気ディスク用アルミニウム合金ブランクおよび磁気ディスク用アルミニウム合金サブストレートを提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意研究した結果、高いヤング率を呈する金属間化合物の体積率を適度に高くすることにより磁気ディスクの基板自体の剛性を高くし、金属間化合物の増加に伴うめっき膜の平滑性の低下や耐力の低下も抑制して、高い剛性と共に、良好なめっき性や耐力を両立する手法を見出した。すなわち、Fe、Mn、Niなどを添加した化学組成を採用し、アルミニウム合金中に適度に金属間化合物を生成させることにより、磁気ディスクの基板自体の剛性を高くするものとした。また、Siの含有量を少なくし、無電解Ni−Pめっき膜が表面に成膜されない単体Siを低減するものとした。また、Fe、MnおよびNiの比率を制限し、Al−Fe−Ni系金属間化合物などが粗大化したり、Al−Mn−Fe系金属間化合物が鋳造時に集中して晶出したりするのを抑制するものとした。なお、集中して晶出したAl−Mn−Fe系金属間化合物は、圧延で疎らな分布となることにより、圧延板に筋状欠陥を生じることが確認されている。つまり、粗大な金属間化合物や、筋状欠陥を生じる金属間化合物を低減し、金属間化合物の脱落による凹凸や、表面処理の反応の不均一を低減することにより、無電解Ni−Pめっき膜の平滑性を向上せしめた。そして、このような化学組成に対して更にSrを添加し、鋳造組織の更なる微細化を図ると、無電解Ni−Pめっき膜の平滑性が一層高くなることを見出し、本発明を完成するに至った。
前記課題を解決するため、本発明に係る磁気ディスク用アルミニウム合金板は、Si:0.10質量%以下、Fe:0.50質量%以上1.50質量%以下、Mn:0.50質量%以上1.50質量%以下、Ni:1.00質量%以上2.00質量%以下、Sr:50ppm以上250ppm以下を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなり、前記Fe、前記Mnおよび前記Niの合計量が4.20質量%以下であり、前記Feの含有量と前記Niの含有量との比が0.40〜1.00であり、前記Mnの含有量と前記Niの含有量との比が0.30〜0.90であることとした。
このような磁気ディスク用アルミニウム合金板によると、Si、Fe、MnおよびNiが所定の含有量の範囲で含まれているため、磁気ディスクの基板自体に高い剛性が備わる。このとき、Feの含有量に対するNiの含有量が所定比の範囲に制限されているため、粗大化し易いAl−Fe−Ni系金属間化合物については形成され難くなる。また、Mnの含有量に対するNiの含有量が所定比の範囲に制限されているため、圧延板に筋状欠陥を生じ得るAl−Mn−Fe系金属間化合物についても形成され難くなる。また、Srが所定の含有量の範囲で添加されているため、鋳造組織が十分な持続時間で効果的に微細化される。つまり、表面に深い窪みを生じたり、ジンケート処理をはじめとする表面処理の均一性を損ねたりする金属間化合物が微細化により一層低減されるので、無電解Ni−Pめっき膜を極めて平滑に形成することが可能になる。そのため、これを素材として、剛性が高く、表面に平滑性が高いめっき膜を形成することも可能な磁気ディスク用アルミニウム合金サブストレートを提供することができる。
本発明に係る磁気ディスク用アルミニウム合金板は、Si:0.10質量%以下、Fe:0.50質量%以上1.50質量%以下、Mn:0.50質量%以上1.50質量%以下、Ni:1.00質量%以上2.00質量%以下、Cu:0.05質量%以上1.00質量%以下、Sr:50ppm以上250ppm以下を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなり、前記Fe、前記Mnおよび前記Niの合計量が4.20質量%以下であり、前記Feの含有量と前記Niの含有量との比が0.40〜1.00であり、前記Mnの含有量と前記Niの含有量との比が0.30〜0.90であることとしてもよい。
このような磁気ディスク用アルミニウム合金板によると、Cuが所定の含有量の範囲で含まれているため、鋳造時の湯漏れが低減される。一般に、アルミニウム合金を半連続鋳造法(DC(direct chill)鋳造法)等で鋳造するときには、冷却している鋳塊が熱収縮し、鋳塊の表面と鋳型との間に空隙が生じて熱伝達が低下する。単にFe、Mn、Ni等のみを含む通常のアルミニウム合金は、状態図上、液相線と固相線によって囲まれる固液共存領域が狭いので、このように熱伝達が低下した場合、凝固殻が容易に再溶融し、湯漏れを生じる可能性が高い。これに対して、Cuが添加されていると、固相線温度が大きく低下するので、湯漏れが発生する可能性が低くなる。そのため、これを素材として、剛性が高く、表面に平滑性が高いめっき膜を形成することも可能な磁気ディスク用アルミニウム合金サブストレートを安定的に提供することができる。
本発明に係る磁気ディスク用アルミニウム合金板は、Si:0.10質量%以下、Fe:0.50質量%以上1.50質量%以下、Mn:0.50質量%以上1.50質量%以下、Ni:1.00質量%以上2.00質量%以下、Cu:0.05質量%以上1.00質量%以下を含有し、Mg:0.05質量%以上1.00質量%未満およびZn:0.05質量%以上1.00質量%未満のうちの一方または両方を含有し、Sr:50ppm以上250ppm以下を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなり、前記Fe、前記Mnおよび前記Niの合計量が4.20質量%以下であり、前記Feの含有量と前記Niの含有量との比が0.40〜1.00であり、前記Mnの含有量と前記Niの含有量との比が0.30〜0.90であり、前記Cu、前記Mgおよび前記Znの合計量が1.00質量%以下であることとしてもよい。
このような磁気ディスク用アルミニウム合金板によると、Cuと共にMgやZnが所定の含有量の範囲で含まれているため、Cuの含有量に大きく依存することなく、鋳造時の湯漏れが低減される。そのため、これを素材として、剛性が高く、表面に平滑性が高いめっき膜を形成することも可能な磁気ディスク用アルミニウム合金サブストレートを安定的に提供することができる。
本発明に係る磁気ディスク用アルミニウム合金板は、前記の磁気ディスク用アルミニウム合金板の化学組成において、Cr:0.05質量%以上0.23質量%以下を更に含有することとしてもよい。
このような磁気ディスク用アルミニウム合金板によると、Crが所定の含有量の範囲で更に含まれているため、晶出物がより微細化されて、析出強化により強度や耐力が向上する。
本発明に係る磁気ディスク用アルミニウム合金板は、表面における金属間化合物の絶対最大長が15μm以下であることが好ましい。
このような磁気ディスク用アルミニウム合金板によると、絶対最大長が15μmを超える粗大な金属間化合物が排除されているため、無電解Ni−Pめっき膜の平滑性が確実に高くなると共に、微細な組織によって高い耐力も備わる。
本発明に係る磁気ディスク用アルミニウム合金ブランクは、前記の磁気ディスク用アルミニウム合金板からなることとした。
このような磁気ディスク用アルミニウム合金ブランクによると、Si、Fe、MnおよびNiが所定の含有量の範囲で含まれているため、磁気ディスクの基板自体に高い剛性が備わる。また、Feの含有量に対するNiの含有量が所定比の範囲に制限されると共に、Mnの含有量に対するNiの含有量が所定比の範囲に制限されており、更に、Srが所定の含有量の範囲で添加されているため、無電解Ni−Pめっき膜を極めて平滑に形成することが可能になる。そのため、これを素材として、剛性が高く、表面に平滑性が高いめっき膜を形成することも可能な磁気ディスク用アルミニウム合金サブストレートを提供することができる。
本発明に係る磁気ディスク用アルミニウム合金ブランクは、ヤング率が75GPa以上、耐力が90MPa以上であることが好ましい。
このような磁気ディスク用アルミニウム合金ブランクによると、磁気ディスクの用途に望まれる剛性、耐衝撃性などを備えた磁気ディスク用アルミニウム合金サブストレートを提供することができる。
本発明に係る磁気ディスク用アルミニウム合金サブストレートは、前記の磁気ディスク用アルミニウム合金ブランクからなることとした。
このような磁気ディスク用アルミニウム合金サブストレートによると、Si、Fe、MnおよびNiが所定の含有量の範囲で含まれているため、磁気ディスクの基板自体に高い剛性が備わる。また、Feの含有量に対するNiの含有量が所定比の範囲に制限されると共に、Mnの含有量に対するNiの含有量が所定比の範囲に制限されており、更に、Srが所定の含有量の範囲で添加されているため、表面に形成される無電解Ni−Pめっき膜の平滑性が極めて高くなる。
本発明に係る磁気ディスク用アルミニウム合金板および磁気ディスク用アルミニウム合金ブランクは、剛性が高く、表面に平滑性が高いめっき膜を形成することも可能な磁気ディスク用アルミニウム合金サブストレートを提供することができる。また、本発明に係る磁気ディスク用アルミニウム合金サブストレートは、高い剛性と、表面に平滑性が高いめっき膜を形成することも可能な良好なめっき性とを備える。
以下、本発明の一実施形態に係る磁気ディスク用アルミニウム合金板、磁気ディスク用アルミニウム合金ブランクおよび磁気ディスク用アルミニウム合金サブストレートについて説明する。なお、以下の説明では、本実施形態に係る磁気ディスク用アルミニウム合金板、磁気ディスク用アルミニウム合金ブランク、および、磁気ディスク用アルミニウム合金サブストレートのそれぞれを、単に「アルミニウム合金板」、「ブランク」、「サブストレート」ということがある。
[アルミニウム合金板]
本実施形態に係るアルミニウム合金板は、所定の含有量の範囲でSi、Fe、Mn、NiおよびSrを含有するアルミニウム合金からなる。アルミニウム合金板は、Fe、MnおよびNiの含有量の合計が所定の範囲に制限されており、Feの含有量とNiの含有量との比の値、および、Mnの含有量とNiの含有量との比の値が、それぞれ、所定値の範囲に限定された化学組成を有する。
本実施形態に係るアルミニウム合金板は、所定の含有量の範囲でSi、Fe、Mn、NiおよびSrを含有するアルミニウム合金からなる。アルミニウム合金板は、Fe、MnおよびNiの含有量の合計が所定の範囲に制限されており、Feの含有量とNiの含有量との比の値、および、Mnの含有量とNiの含有量との比の値が、それぞれ、所定値の範囲に限定された化学組成を有する。
なお、アルミニウム合金板は、Si、Fe、Mn、NiおよびSrに加え、Cuを所定の含有量の範囲で更に含有する化学組成であってもよい。また、Cuに加え、MgおよびZnのうちの少なくとも一方を所定の含有量の範囲で更に含有する化学組成であってもよい。また、これらの化学組成において、所定の含有量の範囲でCrを更に含有し、その残部がAlおよび不可避的不純物からなる化学組成とされてもよい。以下、アルミニウム合金板に含まれる各成分の含有量と、含有量の限定の理由について説明する。
(Si:0.10質量%以下)
Siは、通常、地金中の不可避的不純物としてアルミニウム合金中に混入し、単体Siや、Al−Fe−Si系金属間化合物などを形成する。Siの含有量が0.10質量%を超えると、ヤング率が低くなったり、単体SiやAl−Fe−Si系金属間化合物が粗大になり、無電解Ni−Pめっき膜の平滑性が低くなったりする。そのため、Siの含有量は、0.10質量%以下とする。なお、Siの含有量は、単体Siなどの生成を抑制する観点からは、0.05質量%以下とすることがより好ましい。Siの含有量は、低いほど望ましく、0質量%でも本発明の特性を損なわないが、高純度の原料(Al地金および中間合金地金など)が必要になるのでコストが高くなる。そのため、Siの含有量は、0.004質量%以上とすることが工業的に好ましい。
Siは、通常、地金中の不可避的不純物としてアルミニウム合金中に混入し、単体Siや、Al−Fe−Si系金属間化合物などを形成する。Siの含有量が0.10質量%を超えると、ヤング率が低くなったり、単体SiやAl−Fe−Si系金属間化合物が粗大になり、無電解Ni−Pめっき膜の平滑性が低くなったりする。そのため、Siの含有量は、0.10質量%以下とする。なお、Siの含有量は、単体Siなどの生成を抑制する観点からは、0.05質量%以下とすることがより好ましい。Siの含有量は、低いほど望ましく、0質量%でも本発明の特性を損なわないが、高純度の原料(Al地金および中間合金地金など)が必要になるのでコストが高くなる。そのため、Siの含有量は、0.004質量%以上とすることが工業的に好ましい。
(Fe:0.50質量%以上1.50質量%以下)
Feは、強度やヤング率の向上に寄与する。Feの含有量が0.50質量%未満であると、金属間化合物が減ってヤング率が低くなり、高い剛性が得られなくなる虞がある。一方、Feの含有量が1.50質量%を超えると、晶出物が粗大化し、高い耐力が得られなくなる虞がある。また、Al−Fe−Ni系金属間化合物が粗大化したり、Al−Mn−Fe系金属間化合物が粗大化或いは圧延板に筋状欠陥を生じたりするので、耐力や表面に形成される無電解Ni−Pめっき膜の平滑性が低くなる虞がある。そのため、Feの含有量は、0.50質量%以上1.50質量%以下とする。なお、Feの含有量は、剛性を高くする観点からは、0.80質量%以上とすることがより好ましい。また、Feの含有量は、金属間化合物の粗大化や筋状欠陥を抑制する観点からは、1.30質量%以下とすることがより好ましい。
Feは、強度やヤング率の向上に寄与する。Feの含有量が0.50質量%未満であると、金属間化合物が減ってヤング率が低くなり、高い剛性が得られなくなる虞がある。一方、Feの含有量が1.50質量%を超えると、晶出物が粗大化し、高い耐力が得られなくなる虞がある。また、Al−Fe−Ni系金属間化合物が粗大化したり、Al−Mn−Fe系金属間化合物が粗大化或いは圧延板に筋状欠陥を生じたりするので、耐力や表面に形成される無電解Ni−Pめっき膜の平滑性が低くなる虞がある。そのため、Feの含有量は、0.50質量%以上1.50質量%以下とする。なお、Feの含有量は、剛性を高くする観点からは、0.80質量%以上とすることがより好ましい。また、Feの含有量は、金属間化合物の粗大化や筋状欠陥を抑制する観点からは、1.30質量%以下とすることがより好ましい。
(Mn:0.50質量%以上1.50質量%以下)
Mnは、強度やヤング率の向上に寄与する。Mnの含有量が0.50質量%未満であると、金属間化合物が減ってヤング率が低くなり、高い剛性が得られなくなる虞がある。また、晶出物が微細化されず、高い耐力が得られなくなる虞がある。一方、Mnの含有量が1.50質量%を超えると、晶出物が粗大化し、高い耐力が得られなくなる虞がある。また、Al−Mn−Fe系金属間化合物が粗大化したり、圧延板に筋状欠陥を生じたりするので、耐力や表面に形成される無電解Ni−Pめっき膜の平滑性が低くなる虞がある。そのため、Mnの含有量は、0.50質量%以上1.50質量%以下とする。なお、Mnの含有量は、剛性を高くする観点からは、0.80質量%以上とすることがより好ましい。また、Mnの含有量は、金属間化合物の粗大化や筋状欠陥の発生を抑制する観点からは、1.30質量%以下とすることがより好ましい。
Mnは、強度やヤング率の向上に寄与する。Mnの含有量が0.50質量%未満であると、金属間化合物が減ってヤング率が低くなり、高い剛性が得られなくなる虞がある。また、晶出物が微細化されず、高い耐力が得られなくなる虞がある。一方、Mnの含有量が1.50質量%を超えると、晶出物が粗大化し、高い耐力が得られなくなる虞がある。また、Al−Mn−Fe系金属間化合物が粗大化したり、圧延板に筋状欠陥を生じたりするので、耐力や表面に形成される無電解Ni−Pめっき膜の平滑性が低くなる虞がある。そのため、Mnの含有量は、0.50質量%以上1.50質量%以下とする。なお、Mnの含有量は、剛性を高くする観点からは、0.80質量%以上とすることがより好ましい。また、Mnの含有量は、金属間化合物の粗大化や筋状欠陥の発生を抑制する観点からは、1.30質量%以下とすることがより好ましい。
(Ni:1.00質量%以上2.00質量%以下)
Niは、強度やヤング率の向上に寄与する。Niの含有量が1.00質量%未満であると、金属間化合物が減ってヤング率が低くなり、高い剛性が得られなくなる虞がある。また、晶出物が微細化されず、高い耐力が得られなくなる虞がある。一方、Niの含有量が2.00質量%を超えると、晶出物が粗大化し、高い耐力が得られなくなる虞がある。また、Al−Fe−Ni系金属間化合物が粗大化し、耐力や表面に形成される無電解Ni−Pめっき膜の平滑性が低くなる虞がある。そのため、Niの含有量は、1.00質量%以上2.00質量%以下とする。なお、Niの含有量は、剛性を高くする観点からは、1.50質量%以上とすることがより好ましい。また、Niの含有量は、金属間化合物の粗大化を抑制する観点からは、1.95質量%以下とすることがより好ましい。
Niは、強度やヤング率の向上に寄与する。Niの含有量が1.00質量%未満であると、金属間化合物が減ってヤング率が低くなり、高い剛性が得られなくなる虞がある。また、晶出物が微細化されず、高い耐力が得られなくなる虞がある。一方、Niの含有量が2.00質量%を超えると、晶出物が粗大化し、高い耐力が得られなくなる虞がある。また、Al−Fe−Ni系金属間化合物が粗大化し、耐力や表面に形成される無電解Ni−Pめっき膜の平滑性が低くなる虞がある。そのため、Niの含有量は、1.00質量%以上2.00質量%以下とする。なお、Niの含有量は、剛性を高くする観点からは、1.50質量%以上とすることがより好ましい。また、Niの含有量は、金属間化合物の粗大化を抑制する観点からは、1.95質量%以下とすることがより好ましい。
(Sr:50ppm以上250ppm以下)
Srは、鋳造時に形成するデンドライト(Dendrite)の枝分かれを促進し、晶出物を微細化する効果がある。Srの含有量が50ppm未満であると、Srの添加による効果を十分に得ることができない。一方、Srの含有量が250ppm以上であると、Al−SrなどSrを含む化合物が粗大になり、表面に形成される無電解Ni−Pめっき膜の平滑性が低くなる虞がある。そのため、Srの含有量は、50ppm以上250ppm未満とする。なお、Srの含有量は、効果を確実に得る観点からは、70ppm以上とすることがより好ましい。また、Srの含有量は、Srを含む化合物の粗大化を抑制する観点からは、200ppm以下とすることがより好ましい。
Srは、鋳造時に形成するデンドライト(Dendrite)の枝分かれを促進し、晶出物を微細化する効果がある。Srの含有量が50ppm未満であると、Srの添加による効果を十分に得ることができない。一方、Srの含有量が250ppm以上であると、Al−SrなどSrを含む化合物が粗大になり、表面に形成される無電解Ni−Pめっき膜の平滑性が低くなる虞がある。そのため、Srの含有量は、50ppm以上250ppm未満とする。なお、Srの含有量は、効果を確実に得る観点からは、70ppm以上とすることがより好ましい。また、Srの含有量は、Srを含む化合物の粗大化を抑制する観点からは、200ppm以下とすることがより好ましい。
(Cu:0.05質量%以上1.00質量%未満)
Cuは、低い平衡分配係数を示し、アルミニウム合金の固相線温度を大きく低下させる。そのため、Cuには、状態図上の固液共存領域を広くし、鋳造時の湯漏れの発生頻度を低減させる効果がある。また、Cuは、ジンケート処理において亜鉛を均一に析出させる効果がある。Cuの含有量が0.05質量%未満であると、Cuの添加による効果を十分に得ることができない。一方、Cuの含有量が1.00質量%以上であると、状態図上の固液共存領域が過度に広くなる。その結果、Al−Mn−Fe系金属間化合物が粗大化し易くなったり、圧延板に筋状欠陥を生じ易くなったりするので、必要な耐力が得られなくなる虞や、表面に形成される無電解Ni−Pめっき膜の平滑性が低くなる虞がある。また、反対に、Al−Fe−Ni系金属間化合物は形成し難くなるので、ヤング率が低くなり、高い剛性が得られなくなる虞もある。そのため、Cuを添加する場合、Cuの含有量は、0.05質量%以上1.00質量%未満とする。なお、Cuの含有量は、Cuの添加による効果を確実に得る観点からは、0.20質量%以上とすることがより好ましい。また、Cuの含有量は、めっき膜の平滑性を高くする観点などからは、0.60質量%以下とすることがより好ましい。
Cuは、低い平衡分配係数を示し、アルミニウム合金の固相線温度を大きく低下させる。そのため、Cuには、状態図上の固液共存領域を広くし、鋳造時の湯漏れの発生頻度を低減させる効果がある。また、Cuは、ジンケート処理において亜鉛を均一に析出させる効果がある。Cuの含有量が0.05質量%未満であると、Cuの添加による効果を十分に得ることができない。一方、Cuの含有量が1.00質量%以上であると、状態図上の固液共存領域が過度に広くなる。その結果、Al−Mn−Fe系金属間化合物が粗大化し易くなったり、圧延板に筋状欠陥を生じ易くなったりするので、必要な耐力が得られなくなる虞や、表面に形成される無電解Ni−Pめっき膜の平滑性が低くなる虞がある。また、反対に、Al−Fe−Ni系金属間化合物は形成し難くなるので、ヤング率が低くなり、高い剛性が得られなくなる虞もある。そのため、Cuを添加する場合、Cuの含有量は、0.05質量%以上1.00質量%未満とする。なお、Cuの含有量は、Cuの添加による効果を確実に得る観点からは、0.20質量%以上とすることがより好ましい。また、Cuの含有量は、めっき膜の平滑性を高くする観点などからは、0.60質量%以下とすることがより好ましい。
(Mg:0.05質量%以上1.00質量%未満)
Mgは、適切に固溶させると耐力の向上に寄与する。但し、Mgの含有量が高くなると、Mgのヤング率は低いため、ヤング率が低くなる虞がある。また、Mgには、状態図上の固液共存領域を広くし、鋳造時の湯漏れの発生頻度を低減させる効果がある。Mgの含有量が0.05質量%未満であると、Mgの添加による効果を十分に得ることができない。一方、Mgの含有量が1.00質量%以上であると、必要なヤング率が得られなくなったり、Mg−Si系金属間化合物やAl−Mn−Fe系金属間化合物などの生成によりめっき性や耐力が低下したりする虞がある。そのため、Mgを添加する場合、Mgの含有量は、0.05質量%以上1.00質量%未満とする。Mgの含有量は、必要な耐力、ヤング率などを確保する観点や、Cuの効果を発揮させる観点からは、0.30質量%以下とすることがより好ましい。
Mgは、適切に固溶させると耐力の向上に寄与する。但し、Mgの含有量が高くなると、Mgのヤング率は低いため、ヤング率が低くなる虞がある。また、Mgには、状態図上の固液共存領域を広くし、鋳造時の湯漏れの発生頻度を低減させる効果がある。Mgの含有量が0.05質量%未満であると、Mgの添加による効果を十分に得ることができない。一方、Mgの含有量が1.00質量%以上であると、必要なヤング率が得られなくなったり、Mg−Si系金属間化合物やAl−Mn−Fe系金属間化合物などの生成によりめっき性や耐力が低下したりする虞がある。そのため、Mgを添加する場合、Mgの含有量は、0.05質量%以上1.00質量%未満とする。Mgの含有量は、必要な耐力、ヤング率などを確保する観点や、Cuの効果を発揮させる観点からは、0.30質量%以下とすることがより好ましい。
(Zn:0.05質量%以上1.00質量%未満)
Znには、状態図上の固液共存領域を広くし、鋳造時の湯漏れの発生頻度を低減させる効果がある。また、Znは、ジンケート処理において亜鉛を均一に析出させる効果がある。Znの含有量が0.05質量%未満であると、Znの添加による効果を十分に得ることができない。一方、Znの含有量が1.00質量%以上であると、金属間化合物が減ってヤング率が低くなる虞がある。そのため、Znを添加する場合、Znの含有量は、0.05質量%以上1.00質量%未満とする。Znの含有量は、必要なヤング率などを確保する観点や、Cuの効果を発揮させる観点からは、0.30質量%以下とすることがより好ましい。
Znには、状態図上の固液共存領域を広くし、鋳造時の湯漏れの発生頻度を低減させる効果がある。また、Znは、ジンケート処理において亜鉛を均一に析出させる効果がある。Znの含有量が0.05質量%未満であると、Znの添加による効果を十分に得ることができない。一方、Znの含有量が1.00質量%以上であると、金属間化合物が減ってヤング率が低くなる虞がある。そのため、Znを添加する場合、Znの含有量は、0.05質量%以上1.00質量%未満とする。Znの含有量は、必要なヤング率などを確保する観点や、Cuの効果を発揮させる観点からは、0.30質量%以下とすることがより好ましい。
(Cr:0.05質量%以上0.23質量%以下)
Crは、初晶を微細化して金属間化合物を均一に分布させる効果があり、強度や耐力の向上に寄与する。Crの含有量が0.05質量%未満であると、初晶が十分に微細化されず、Crの添加による強度や耐力を向上する効果が十分に得られない。一方、Crの含有量が0.23質量%を超えると、金属間化合物が粗大化し易くなり、耐力や表面に形成される無電解Ni−Pめっき膜の平滑性が低くなる虞がある。そのため、Crを添加する場合、Crの含有量は、0.05質量%以上0.23質量%以下とする。なお、Crの含有量は、強度や耐力を向上する観点からは、0.10質量%以上とすることがより好ましい。
Crは、初晶を微細化して金属間化合物を均一に分布させる効果があり、強度や耐力の向上に寄与する。Crの含有量が0.05質量%未満であると、初晶が十分に微細化されず、Crの添加による強度や耐力を向上する効果が十分に得られない。一方、Crの含有量が0.23質量%を超えると、金属間化合物が粗大化し易くなり、耐力や表面に形成される無電解Ni−Pめっき膜の平滑性が低くなる虞がある。そのため、Crを添加する場合、Crの含有量は、0.05質量%以上0.23質量%以下とする。なお、Crの含有量は、強度や耐力を向上する観点からは、0.10質量%以上とすることがより好ましい。
(Fe+Mn+Ni:4.20質量%以下)
Fe、MnおよびNiの合計量は、4.20質量%以下とする。Fe、MnおよびNiの合計量が4.20質量%を超えると、金属間化合物が粗大化し易くなったり、金属間化合物が圧延板に筋状欠陥を生じ易くなったりするので、表面に形成される無電解Ni−Pめっき膜の平滑性が低くなる可能性が高い。Fe、MnおよびNiの合計量は、必要なヤング率を高くする観点などからは、2.50質量%以上とすることがより好ましい。また、Fe、MnおよびNiの合計量は、無電解Ni−Pめっき膜の平滑性を高くする観点からは、4.00質量%以下とすることがより好ましい。
Fe、MnおよびNiの合計量は、4.20質量%以下とする。Fe、MnおよびNiの合計量が4.20質量%を超えると、金属間化合物が粗大化し易くなったり、金属間化合物が圧延板に筋状欠陥を生じ易くなったりするので、表面に形成される無電解Ni−Pめっき膜の平滑性が低くなる可能性が高い。Fe、MnおよびNiの合計量は、必要なヤング率を高くする観点などからは、2.50質量%以上とすることがより好ましい。また、Fe、MnおよびNiの合計量は、無電解Ni−Pめっき膜の平滑性を高くする観点からは、4.00質量%以下とすることがより好ましい。
(Fe/Ni:0.40〜1.00)
Feの含有量とNiの含有量との比(Feの含有量/Niの含有量)、すなわち、Niの含有量に対するFeの含有量の割合は、0.40〜1.00とする。Feの含有量とNiの含有量との比が0.40未満であると、Feの割合が低すぎて、Al−Mn−Fe系金属間化合物が形成され難くなり、ヤング率を高くするのが難しくなる。また、Niが多すぎて、Al−Fe−Ni系金属間化合物が粗大化し易くなり、表面に形成される無電解Ni−Pめっき膜の平滑性が低くなる虞がある。一方、Feの含有量とNiの含有量との比が1.00を超えると、Feの割合が高すぎて、Al−Mn−Fe系金属間化合物などが鋳造時に集中して晶出し、その部分が圧延で疎らな分布となって、筋状欠陥を生じ易くなり、表面に形成される無電解Ni−Pめっき膜の平滑性が低くなる虞がある。また、Niが少なすぎて、Al−Fe−Ni系金属間化合物が形成し難くなり、ヤング率を高くするのが難しくなる。Niの含有量に対するFeの含有量の割合が前記の範囲であれば、Al−Mn−Fe系金属間化合物が適度に晶出し、Al−Fe−Ni系金属間化合物も適度に成長するため、高い剛性とめっき性とを両立することができる。
Feの含有量とNiの含有量との比(Feの含有量/Niの含有量)、すなわち、Niの含有量に対するFeの含有量の割合は、0.40〜1.00とする。Feの含有量とNiの含有量との比が0.40未満であると、Feの割合が低すぎて、Al−Mn−Fe系金属間化合物が形成され難くなり、ヤング率を高くするのが難しくなる。また、Niが多すぎて、Al−Fe−Ni系金属間化合物が粗大化し易くなり、表面に形成される無電解Ni−Pめっき膜の平滑性が低くなる虞がある。一方、Feの含有量とNiの含有量との比が1.00を超えると、Feの割合が高すぎて、Al−Mn−Fe系金属間化合物などが鋳造時に集中して晶出し、その部分が圧延で疎らな分布となって、筋状欠陥を生じ易くなり、表面に形成される無電解Ni−Pめっき膜の平滑性が低くなる虞がある。また、Niが少なすぎて、Al−Fe−Ni系金属間化合物が形成し難くなり、ヤング率を高くするのが難しくなる。Niの含有量に対するFeの含有量の割合が前記の範囲であれば、Al−Mn−Fe系金属間化合物が適度に晶出し、Al−Fe−Ni系金属間化合物も適度に成長するため、高い剛性とめっき性とを両立することができる。
(Mn/Ni:0.30〜0.90)
Mnの含有量とNiの含有量との比(Mnの含有量/Niの含有量)、すなわち、Niの含有量に対するMnの含有量の割合は、0.30〜0.90とする。Mnの含有量とNiの含有量との比が0.30未満であると、Mnの割合が低すぎて、Al−Mn−Fe系金属間化合物が形成され難くなり、ヤング率を高くするのが難しくなる。また、Niが多すぎて、Al−Fe−Ni系金属間化合物が粗大化し易くなり、無電解Ni−Pめっき膜の平滑性が低くなる虞がある。一方、Mnの含有量とNiの含有量との比が0.90を超えると、Mnの割合が高すぎて、Al−Mn−Fe系金属間化合物が圧延板に筋状欠陥を生じ易くなり、表面に形成される無電解Ni−Pめっき膜の平滑性が低くなる虞がある。また、Niが少なすぎて、Al−Fe−Ni系金属間化合物が形成し難くなり、ヤング率を高くするのが難しくなる。Niの含有量に対するMnの含有量の割合が前記の範囲であれば、Al−Mn−Fe系金属間化合物が適度に晶出し、Al−Fe−Ni系金属間化合物も適度に成長するため、高い剛性とめっき性とを両立することができる。
Mnの含有量とNiの含有量との比(Mnの含有量/Niの含有量)、すなわち、Niの含有量に対するMnの含有量の割合は、0.30〜0.90とする。Mnの含有量とNiの含有量との比が0.30未満であると、Mnの割合が低すぎて、Al−Mn−Fe系金属間化合物が形成され難くなり、ヤング率を高くするのが難しくなる。また、Niが多すぎて、Al−Fe−Ni系金属間化合物が粗大化し易くなり、無電解Ni−Pめっき膜の平滑性が低くなる虞がある。一方、Mnの含有量とNiの含有量との比が0.90を超えると、Mnの割合が高すぎて、Al−Mn−Fe系金属間化合物が圧延板に筋状欠陥を生じ易くなり、表面に形成される無電解Ni−Pめっき膜の平滑性が低くなる虞がある。また、Niが少なすぎて、Al−Fe−Ni系金属間化合物が形成し難くなり、ヤング率を高くするのが難しくなる。Niの含有量に対するMnの含有量の割合が前記の範囲であれば、Al−Mn−Fe系金属間化合物が適度に晶出し、Al−Fe−Ni系金属間化合物も適度に成長するため、高い剛性とめっき性とを両立することができる。
(Cu+Mg+Zn:1.00質量%以下)
Cu、MgおよびZnの合計量は、1.00質量%以下とする。Cu、MgおよびZnの合計量が1.00質量%を超えると、状態図上の固液共存領域が過度に広くなる。その結果、Al−Mn−Fe系金属間化合物が粗大化し易くなったり、圧延板に筋状欠陥を生じ易くなったりするので、表面に形成される無電解Ni−Pめっき膜の平滑性が低くなる虞がある。また、反対に、Al−Fe−Ni系金属間化合物は生成し難くなるので、ヤング率が低くなり、高い剛性が得られなくなる虞もある。また、アルミニウム合金の比重が過大になるため、磁気ディスクの耐振動性が低くなる虞がある。Cu、MgおよびZnの合計量が前記の範囲であれば、めっき膜の平滑性と高いヤング率などとを両立させることができる。Cu、MgおよびZnの合計量は、めっき膜の平滑性を高くする観点などからは、0.60質量%以下とすることがより好ましい。
Cu、MgおよびZnの合計量は、1.00質量%以下とする。Cu、MgおよびZnの合計量が1.00質量%を超えると、状態図上の固液共存領域が過度に広くなる。その結果、Al−Mn−Fe系金属間化合物が粗大化し易くなったり、圧延板に筋状欠陥を生じ易くなったりするので、表面に形成される無電解Ni−Pめっき膜の平滑性が低くなる虞がある。また、反対に、Al−Fe−Ni系金属間化合物は生成し難くなるので、ヤング率が低くなり、高い剛性が得られなくなる虞もある。また、アルミニウム合金の比重が過大になるため、磁気ディスクの耐振動性が低くなる虞がある。Cu、MgおよびZnの合計量が前記の範囲であれば、めっき膜の平滑性と高いヤング率などとを両立させることができる。Cu、MgおよびZnの合計量は、めっき膜の平滑性を高くする観点などからは、0.60質量%以下とすることがより好ましい。
(不可避的不純物)
不可避的不純物は、製造過程で不可避的に混入する不純物であり、諸特性を損なわない範囲で含有することが許容される。不可避的不純物としては、例えば、Ti、Zr、V、B、Na、K、Caなどが挙げられる。不可避的不純物は、元素毎の含有量が0.005質量%以下、且つ、合計が0.015質量%以下であれば、本発明の効果を大きく阻害しない。また、含有量が前記の範囲であれば、積極的に添加される前記元素も本発明の効果を大きく阻害しない。なお、Crを添加しない化学組成とする場合、Crの含有量は0.005質量%以下であれば含有することが許容される。不可避的不純物の含有量は、例えば、三層電解法により精錬した地金を使用したり、偏析法を利用して排除したりすることによって低減することが可能である。
不可避的不純物は、製造過程で不可避的に混入する不純物であり、諸特性を損なわない範囲で含有することが許容される。不可避的不純物としては、例えば、Ti、Zr、V、B、Na、K、Caなどが挙げられる。不可避的不純物は、元素毎の含有量が0.005質量%以下、且つ、合計が0.015質量%以下であれば、本発明の効果を大きく阻害しない。また、含有量が前記の範囲であれば、積極的に添加される前記元素も本発明の効果を大きく阻害しない。なお、Crを添加しない化学組成とする場合、Crの含有量は0.005質量%以下であれば含有することが許容される。不可避的不純物の含有量は、例えば、三層電解法により精錬した地金を使用したり、偏析法を利用して排除したりすることによって低減することが可能である。
(表面における金属間化合物の絶対最大長)
アルミニウム合金の母相中には、絶対最大長が長い粗大な金属間化合物が生じる虞がある。粗大な金属間化合物を母相中から排除し、観察容易な表面における金属間化合物の絶対最大長を小さくすると、良好なめっき性や高い耐力が得られる。なお、「絶対最大長」は、粒子の輪郭線上に位置する任意の2点の間の距離の最大値を意味する。表面における金属間化合物の絶対最大長が15μmを超えていると、表面に露出している金属間化合物が粗大であるため、粒子の脱落や、酸エッチング処理、ジンケート処理などの均一性の低下により、平滑性が高い無電解Ni−Pめっき膜が形成され難くなる。したがって、表面における金属間化合物の絶対最大長は、15μm以下であることが好ましい。表面における金属間化合物の絶対最大長は、耐力や無電解Ni−Pめっき膜の平滑性を高くする観点からは、10μm未満とすることがより好ましい。
アルミニウム合金の母相中には、絶対最大長が長い粗大な金属間化合物が生じる虞がある。粗大な金属間化合物を母相中から排除し、観察容易な表面における金属間化合物の絶対最大長を小さくすると、良好なめっき性や高い耐力が得られる。なお、「絶対最大長」は、粒子の輪郭線上に位置する任意の2点の間の距離の最大値を意味する。表面における金属間化合物の絶対最大長が15μmを超えていると、表面に露出している金属間化合物が粗大であるため、粒子の脱落や、酸エッチング処理、ジンケート処理などの均一性の低下により、平滑性が高い無電解Ni−Pめっき膜が形成され難くなる。したがって、表面における金属間化合物の絶対最大長は、15μm以下であることが好ましい。表面における金属間化合物の絶対最大長は、耐力や無電解Ni−Pめっき膜の平滑性を高くする観点からは、10μm未満とすることがより好ましい。
表面における金属間化合物の絶対最大長は、化学組成を調節するなどして調整することが可能である。なお、前記の金属間化合物の種類としては、例えば、Al−Fe−Si系、Al−Fe−Ni系、Al−Mn−Fe系、その他、Al−Fe系、Al−Mn系、Al−Ni系、Al−Cr系、Al−Fe−Mn−Ni系などの金属間化合物が挙げられる。表面における金属間化合物の絶対最大長を求めるにあたっては、表面を200倍の倍率の顕微鏡で少なくとも20視野観察し、表面に占める単体Siについても金属間化合物と同様に扱って計算を行うものとする。
表面における金属間化合物の絶対最大長は、次のようにして求めることができる。例えば、日本電子株式会社製FE−SEM(Field Emission Scanning Electron Microscope、型式JSM−7001F)を用い、加速電圧を15kVとして組成像を得る。そして、付属の分析システム“Analysis Station 3, 8, 0, 31”と、粒子解析ソフト“EX−35110 粒子解析ソフトウェア Ver. 3.84”とを用い、FE−SEMで得られた組成像上で認識できる金属間化合物の絶対最大長を測定する。
[アルミニウム合金板の製造方法]
本実施形態に係るアルミニウム合金板は、磁気ディスク用の基板を製造する一般的な条件の製造方法および設備によって製造することができる。例えば、原料を溶解して、所定の化学組成に調整された溶湯を鋳塊に鋳造する鋳造工程と、鋳造された鋳塊に均質加熱処理を施す均質化熱処理工程と、均質化熱処理を施された鋳塊を熱間圧延して熱間圧延板を得る熱間圧延工程と、熱間圧延板を冷間圧延して冷間圧延板を得る冷間圧延工程とを、この順に含む製造方法によって、アルミニウム合金板を製造することができる。なお、必要に応じて、冷間圧延工程の前または冷間圧延工程の途中に中間焼鈍を行ってもよい。
本実施形態に係るアルミニウム合金板は、磁気ディスク用の基板を製造する一般的な条件の製造方法および設備によって製造することができる。例えば、原料を溶解して、所定の化学組成に調整された溶湯を鋳塊に鋳造する鋳造工程と、鋳造された鋳塊に均質加熱処理を施す均質化熱処理工程と、均質化熱処理を施された鋳塊を熱間圧延して熱間圧延板を得る熱間圧延工程と、熱間圧延板を冷間圧延して冷間圧延板を得る冷間圧延工程とを、この順に含む製造方法によって、アルミニウム合金板を製造することができる。なお、必要に応じて、冷間圧延工程の前または冷間圧延工程の途中に中間焼鈍を行ってもよい。
鋳造工程は、700〜800℃で原料を溶解し、DC鋳造法等の公知の半連続鋳造法によって鋳造する。また、鋳造された鋳塊は、面削を施すことが好ましく、その面削量は、例えば、2〜40mm/片面で行うことができる。
均質化熱処理工程は、例えば、均質化熱処理の温度400〜600℃で、その保持時間4〜48時間にて行うことができる。
熱間圧延工程は、例えば、熱間圧延の開始温度を510℃以上とすることができる。また、熱間圧延の終了温度を300〜350℃とすることができる。520℃から400℃までの熱間圧延は、30分以内に終えることが好ましく、15分以内に終えることが更に好ましい。また、熱間圧延して得る熱間圧延板の板厚を、例えば、3mmとすることができる。
冷間圧延工程は、冷間圧延して得る冷間圧延板の板厚を、例えば、0.5〜1.3mmとすることが好ましい。
[ブランク]
本実施形態に係るブランクは、前記のアルミニウム合金板からなり、穴開き円盤状の外形を有する。ブランクは、前記のアルミニウム合金板と同様に、所定の含有量の範囲でSi、Fe、Mn、NiおよびSrを含有するアルミニウム合金からなり、Fe、MnおよびNiの含有量の合計が所定の範囲に制限されており、Feの含有量とNiの含有量との比の値、および、Mnの含有量とNiの含有量との比の値が、それぞれ、所定値の範囲に限定された化学組成を有する。ブランクは、Si、Fe、Mn、NiおよびSrに加え、Cuを所定の含有量の範囲で更に含有する化学組成であってもよいし、Cuに加え、MgおよびZnのうちの少なくとも一方を所定の含有量の範囲で更に含有する化学組成であってもよいし、所定の含有量の範囲でCrを更に含有する化学組成であってもよい。
本実施形態に係るブランクは、前記のアルミニウム合金板からなり、穴開き円盤状の外形を有する。ブランクは、前記のアルミニウム合金板と同様に、所定の含有量の範囲でSi、Fe、Mn、NiおよびSrを含有するアルミニウム合金からなり、Fe、MnおよびNiの含有量の合計が所定の範囲に制限されており、Feの含有量とNiの含有量との比の値、および、Mnの含有量とNiの含有量との比の値が、それぞれ、所定値の範囲に限定された化学組成を有する。ブランクは、Si、Fe、Mn、NiおよびSrに加え、Cuを所定の含有量の範囲で更に含有する化学組成であってもよいし、Cuに加え、MgおよびZnのうちの少なくとも一方を所定の含有量の範囲で更に含有する化学組成であってもよいし、所定の含有量の範囲でCrを更に含有する化学組成であってもよい。
ブランクについての、表面における金属間化合物の絶対最大長は、アルミニウム合金板についてと同等となる。一方、ブランクについての、ヤング率、耐力などの特性値は、後記する矯正焼鈍工程を経たブランク、または、後記する矯正焼鈍工程と同等の条件の熱処理を施されたアルミニウム合金板について測定される。
(ヤング率)
ブランクのヤング率は、75GPa以上であることが好ましい。ヤング率が75GPa以上であると、材料自体に高い剛性が備わっているため、ブランクを過度に厚くしなくとも、磁気ディスクの作動時の振動を十分に低減することができる。ブランクのヤング率は、磁気ディスクの作動時の振動を抑制する観点などからは、80GPa以上とすることがより好ましい。
ブランクのヤング率は、75GPa以上であることが好ましい。ヤング率が75GPa以上であると、材料自体に高い剛性が備わっているため、ブランクを過度に厚くしなくとも、磁気ディスクの作動時の振動を十分に低減することができる。ブランクのヤング率は、磁気ディスクの作動時の振動を抑制する観点などからは、80GPa以上とすることがより好ましい。
ヤング率は、例えば、JIS Z 2280:1993(金属材料の高温ヤング率試験方法)に準拠して、圧延方向を長手方向とする60mm×10mm×1mm厚の試験片を作製し、その試験片を用いて、大気雰囲気下、室温で自由共振法により測定することができる。試験装置としては、例えば、日本テクノプラス社製JE−RT型を用いることができる。
(耐力)
ブランクの耐力は、90MPa以上であることが好ましい。ブランクの耐力は、磁気ディスクの機械的特性をより向上する観点からは、100MPa以上とすることが好ましく、120MPa以上とすることがより好ましい。
ブランクの耐力は、90MPa以上であることが好ましい。ブランクの耐力は、磁気ディスクの機械的特性をより向上する観点からは、100MPa以上とすることが好ましく、120MPa以上とすることがより好ましい。
耐力は、例えば、JIS Z 2241:2011(金属材料引張試験方法)に準拠して、圧延方向を長手方向とするJIS5号試験片を作製し、引張試験を行うことにより測定することができる。なお、JIS5号に相似し、寸法が縮尺された試験片で測定を行ってもよい。
[ブランクの製造方法]
本実施形態に係るブランクは、磁気ディスク用の基板を製造する一般的な条件の製造方法および設備によって製造することができる。例えば、冷間圧延して得られたアルミニウム合金板を円環状に打ち抜く打ち抜き工程と、打ち抜かれた基板に矯正焼鈍を施す矯正焼鈍工程とを、この順に含む製造方法によって、ブランクを製造することができる。
本実施形態に係るブランクは、磁気ディスク用の基板を製造する一般的な条件の製造方法および設備によって製造することができる。例えば、冷間圧延して得られたアルミニウム合金板を円環状に打ち抜く打ち抜き工程と、打ち抜かれた基板に矯正焼鈍を施す矯正焼鈍工程とを、この順に含む製造方法によって、ブランクを製造することができる。
打ち抜き工程は、打ち抜き加工により得る基板を、例えば、内径24mm、外径96mmの3.5インチHDD用の基板、または、内径19mm、外径66mmの2.5インチHDD用の基板に適用することができる。
矯正焼鈍工程は、基板を高い平坦度を有するスペーサで挟んで積み付け、基板に荷重をかけながら焼鈍することが好ましい。焼鈍温度は、300〜500℃とし、保持時間は、例えば、3時間とすることができる。焼鈍における昇温速度は、例えば、80℃/時間、降温速度は、例えば、80℃/時間とすることができる。
[サブストレート]
本実施形態に係るサブストレートは、前記のブランクからなり、ブランクの端面が切削加工され、主面が研削加工された外形を有する。サブストレートは、前記のアルミニウム合金板と同様に、所定の含有量の範囲でSi、Fe、Mn、NiおよびSrを含有するアルミニウム合金からなり、Fe、MnおよびNiの含有量の合計が所定の範囲に制限されており、Feの含有量とNiの含有量との比の値、および、Mnの含有量とNiの含有量との比の値が、それぞれ、所定値の範囲に限定された化学組成を有する。ブランクは、Si、Fe、Mn、NiおよびSrに加え、Cuを所定の含有量の範囲で更に含有する化学組成であってもよいし、Cuに加え、MgおよびZnのうちの少なくとも一方を所定の含有量の範囲で更に含有する化学組成であってもよいし、所定の含有量の範囲でCrを更に含有する化学組成であってもよい。
本実施形態に係るサブストレートは、前記のブランクからなり、ブランクの端面が切削加工され、主面が研削加工された外形を有する。サブストレートは、前記のアルミニウム合金板と同様に、所定の含有量の範囲でSi、Fe、Mn、NiおよびSrを含有するアルミニウム合金からなり、Fe、MnおよびNiの含有量の合計が所定の範囲に制限されており、Feの含有量とNiの含有量との比の値、および、Mnの含有量とNiの含有量との比の値が、それぞれ、所定値の範囲に限定された化学組成を有する。ブランクは、Si、Fe、Mn、NiおよびSrに加え、Cuを所定の含有量の範囲で更に含有する化学組成であってもよいし、Cuに加え、MgおよびZnのうちの少なくとも一方を所定の含有量の範囲で更に含有する化学組成であってもよいし、所定の含有量の範囲でCrを更に含有する化学組成であってもよい。
サブストレートについての、表面における金属間化合物の絶対最大長、ヤング率、耐力などの特性値は、ブランクについての特性値と同等となる。ブランクについて求めた特性値をサブストレートについての特性値と見做すことができるし、サブストレートについて求めた特性値をブランクについての特性値と見做すこともできる。
[サブストレートの製造方法]
本実施形態に係るサブストレートは、磁気ディスク用の基板を製造する一般的な条件の製造方法および設備によって製造することができる。例えば、ブランクの端面を切削加工する端面加工工程と、ブランクの主面を研削加工する研削加工工程と、をこの順に含む製造方法によって、サブストレートを製造することができる。
本実施形態に係るサブストレートは、磁気ディスク用の基板を製造する一般的な条件の製造方法および設備によって製造することができる。例えば、ブランクの端面を切削加工する端面加工工程と、ブランクの主面を研削加工する研削加工工程と、をこの順に含む製造方法によって、サブストレートを製造することができる。
[磁気ディスクの製造方法]
磁気ディスクは、磁気ディスクを製造する一般的な条件の製造方法および設備によって製造することができる。例えば、サブストレートの表面を酸エッチング処理し、無電解Ni−Pめっき膜を形成した後、無電解Ni−Pめっき膜の表面を研磨する。次いで、サブストレートの表面に、下地層、磁性層、保護膜などを形成することにより、磁気ディスクを製造することができる。
磁気ディスクは、磁気ディスクを製造する一般的な条件の製造方法および設備によって製造することができる。例えば、サブストレートの表面を酸エッチング処理し、無電解Ni−Pめっき膜を形成した後、無電解Ni−Pめっき膜の表面を研磨する。次いで、サブストレートの表面に、下地層、磁性層、保護膜などを形成することにより、磁気ディスクを製造することができる。
なお、ブランク、サブストレートなどの製造条件の詳細については、例えば、特許第3471557号公報や、特許第5199714号公報に記載されている。ブランク、サブストレートなどの製造は、これらの文献を参照して行うことができる。
以下、本発明の実施例を示して本発明について具体的に説明を行う。但し、本発明の技術的範囲は、これに限定されるものではない。
表1に示す化学組成のアルミニウム合金を用いて、No.1〜34に係るサブストレートを以下のようにして製造した。表1の各成分に関する「−」は、該当する成分が添加されてなく、その成分の含有量が検出限界値未満であることを示している。また、表1の「Fe+Mn+Ni」は、Fe、MnおよびNiの含有量の合計、「Fe/Ni」は、Feの含有量とNiの含有量との比の値、「Mn/Ni」は、Mnの含有量とNiの含有量との比の値、「Cu+Mg+Zn」は、Cu、MgおよびZnの含有量の合計を示す。
サブストレートは、鋳造工程、均質化熱処理工程、熱間圧延工程、冷間圧延工程、打ち抜き工程、矯正焼鈍工程、端面加工工程、研削加工工程をこの順で行って製造した。各工程の具体的な条件は次のとおりである。
鋳造工程は、750℃で原料を溶解して行った。得られた鋳塊は、2mm/片面の面削を施した。
均質化熱処理工程は、540℃で8時間行った。なお、均質化熱処理した鋳塊を炉から取り出した後に5分以内に熱間圧延を開始した。
熱間圧延工程は、開始温度を520〜540℃とし、終了温度を300〜330℃とし、熱間圧延後の板厚が3mmとなるように行った。
冷間圧延工程は、冷間圧延後の板厚が1mmとなるように行った。
打ち抜き工程は、冷間圧延板を内径24mm、外径96mmの円環状に打ち抜いて行った。
矯正焼鈍工程は、焼鈍温度を400℃とし、焼鈍時間を3時間として行った。また、昇温速度は、80℃/時間、降温速度は、80℃/時間とした。
端面加工工程は、ブランクの内径と外径を各1mmずつ切削加工して行った。
研削加工工程は、両面研削機に予めセットされたキャリアのポケット内に端面加工を施したブランクをセットし、PVA砥石(日本特殊研砥株式会社製 4000番)によって目標の板厚になるまで研削加工を施して行った。
製造した各サブストレートについて、表面における金属間化合物の絶対最大長、ヤング率、耐力、表面に形成した無電解Ni−Pめっき膜の平滑性、鋳造時の湯漏れリスクを、以下のようにして評価した。
(表面における金属間化合物の絶対最大長)
金属間化合物の絶対最大長は、次のようにして測定した。日本電子株式会社製FE−SEM(Field Emission Scanning Electron Microscope、型式JSM−7001F)を用い、加速電圧を15kVとし、200倍で20視野の組成像を撮像した。そして、付属の分析システム “Analysis Station 3, 8, 0, 31”と、粒子解析ソフト“EX−35110 粒子解析ソフトウェア Ver. 3.84”とを用い、FE−SEMで得られた組成像上で認識できる金属間化合物の絶対最大長を測定した。絶対最大長が10μm未満のものを「◎」、10μm以上15μm以下のものを「○」、15μmを超えるものを「×」と評価した。◎および○を合格、×を不合格と判定した。
金属間化合物の絶対最大長は、次のようにして測定した。日本電子株式会社製FE−SEM(Field Emission Scanning Electron Microscope、型式JSM−7001F)を用い、加速電圧を15kVとし、200倍で20視野の組成像を撮像した。そして、付属の分析システム “Analysis Station 3, 8, 0, 31”と、粒子解析ソフト“EX−35110 粒子解析ソフトウェア Ver. 3.84”とを用い、FE−SEMで得られた組成像上で認識できる金属間化合物の絶対最大長を測定した。絶対最大長が10μm未満のものを「◎」、10μm以上15μm以下のものを「○」、15μmを超えるものを「×」と評価した。◎および○を合格、×を不合格と判定した。
(ヤング率)
ヤング率は、JIS Z 2280:1993(金属材料の高温ヤング率試験方法)に準拠して、圧延方向を長手方向とする60mm×10mm×1mm厚の試験片を作製し、その試験片を用いて、大気雰囲気下、室温で自由共振法により測定した。試験装置としては、日本テクノプラス社製JE−RT型を用いた。ヤング率が80GPa以上のものを「◎」、75GPa以上80GPa未満のものを「○」、75GPa未満のものを「×」と評価した。◎および○を合格、×を不合格と判定した。
ヤング率は、JIS Z 2280:1993(金属材料の高温ヤング率試験方法)に準拠して、圧延方向を長手方向とする60mm×10mm×1mm厚の試験片を作製し、その試験片を用いて、大気雰囲気下、室温で自由共振法により測定した。試験装置としては、日本テクノプラス社製JE−RT型を用いた。ヤング率が80GPa以上のものを「◎」、75GPa以上80GPa未満のものを「○」、75GPa未満のものを「×」と評価した。◎および○を合格、×を不合格と判定した。
(耐力)
耐力は、冷間圧延工程で得た冷間圧延板の一部を切り出し、矯正焼鈍に相当する400℃、3時間の焼鈍を行った後、JIS Z 2241:2011(金属材料引張試験方法)に準拠して、圧延方向を長手方向とするJIS5号試験片を作製し、引張試験を行うことにより測定した。耐力が120MPa以上のものを「◎」、90MPa以上120MPa未満のものを「○」、90MPa未満のものを「×」と評価した。◎および○を合格、×を不合格と判定した。
耐力は、冷間圧延工程で得た冷間圧延板の一部を切り出し、矯正焼鈍に相当する400℃、3時間の焼鈍を行った後、JIS Z 2241:2011(金属材料引張試験方法)に準拠して、圧延方向を長手方向とするJIS5号試験片を作製し、引張試験を行うことにより測定した。耐力が120MPa以上のものを「◎」、90MPa以上120MPa未満のものを「○」、90MPa未満のものを「×」と評価した。◎および○を合格、×を不合格と判定した。
(表面に形成した無電解Ni−Pめっき膜の平滑性)
製造したサブストレートをアルカリ洗浄剤(上村工業株式会社製AD−68F)を用いて70℃、5分間の脱脂処理し、純水で洗浄した。次いで、ソフトエッチング剤(上村工業株式会社製AD−101F)を用いて68℃、2分間の酸エッチング処理を行い、純水で洗浄した。そして、30%硝酸でデスマット処理を行い、続けて、ジンケート処理液(上村工業株式会社製AD−301F−3X)を用いて20℃、30秒間のジンケート処理を行った。その後、一旦、30%硝酸で亜鉛を溶解させた後に、再度、ジンケート処理液(上村工業株式会社製AD−301F−3X)を用いて20℃、15秒間のジンケート処理を行った。そして、Ni−Pめっき液(上村工業株式会社製ニムデン(登録商標)HDX)を使用し、90℃、2時間の無電解Ni−Pめっき処理を行い、厚さが10μm程度の無電解Ni−Pめっき膜を形成した。無電解Ni−Pめっき膜を形成したサブストレートのめっき表面をブルカー社製ContourGT X3(非接触3次元光干渉型表面形状粗さ計)を用いて、対物レンズ×50、FOV×1、VSIモードで測定した。めっき膜表面において、幅3μm以上、深さ1μm以上のピットの密度が0〜1個/mm2のものを「◎」、1〜3個/mm2のものを「○」、4個/mm2以上のものを「×」と評価した。◎および○を合格、×を不合格と判定した。なお、無電解Ni−Pめっき膜を形成したサブストレートのめっき表面を、コロイダルシリカ系のスラリー(株式会社フジミインコーポレーティッド製DISKLITE Z5601A)と、パッド(カネボウ株式会社(現アイオン株式会社)製のN0058 72D)とを使用して研磨し、その表面を測定しても、研磨していない場合と同等の評価が得られた。
製造したサブストレートをアルカリ洗浄剤(上村工業株式会社製AD−68F)を用いて70℃、5分間の脱脂処理し、純水で洗浄した。次いで、ソフトエッチング剤(上村工業株式会社製AD−101F)を用いて68℃、2分間の酸エッチング処理を行い、純水で洗浄した。そして、30%硝酸でデスマット処理を行い、続けて、ジンケート処理液(上村工業株式会社製AD−301F−3X)を用いて20℃、30秒間のジンケート処理を行った。その後、一旦、30%硝酸で亜鉛を溶解させた後に、再度、ジンケート処理液(上村工業株式会社製AD−301F−3X)を用いて20℃、15秒間のジンケート処理を行った。そして、Ni−Pめっき液(上村工業株式会社製ニムデン(登録商標)HDX)を使用し、90℃、2時間の無電解Ni−Pめっき処理を行い、厚さが10μm程度の無電解Ni−Pめっき膜を形成した。無電解Ni−Pめっき膜を形成したサブストレートのめっき表面をブルカー社製ContourGT X3(非接触3次元光干渉型表面形状粗さ計)を用いて、対物レンズ×50、FOV×1、VSIモードで測定した。めっき膜表面において、幅3μm以上、深さ1μm以上のピットの密度が0〜1個/mm2のものを「◎」、1〜3個/mm2のものを「○」、4個/mm2以上のものを「×」と評価した。◎および○を合格、×を不合格と判定した。なお、無電解Ni−Pめっき膜を形成したサブストレートのめっき表面を、コロイダルシリカ系のスラリー(株式会社フジミインコーポレーティッド製DISKLITE Z5601A)と、パッド(カネボウ株式会社(現アイオン株式会社)製のN0058 72D)とを使用して研磨し、その表面を測定しても、研磨していない場合と同等の評価が得られた。
(湯漏れリスク)
湯漏れリスクは、鋳造時に発生する虞がある湯漏れの潜在的なリスクを、アルミニウム合金の固液共存領域の広さを指標として評価した。固液共存領域の広さは、アルミニウム合金を溶融させた後、冷却により凝固する過程の温度変化を熱電対で測定することで求めた。また、Thermo-Calc Sotware AB社製熱力学的計算システム(サーモカルク:Thermo-calc ver. 3.0)を用い、Thermotech社製熱力学的データベース(Al-DATA ver.8)を使用して、表1に示す化学成分の状態図を導出し、その状態図上、固相点と液相点との温度差として求めた。固相点と液相点との温度差20℃以上のものを湯漏れのリスクが略無いとして「◎」、10℃以上20℃未満のものを湯漏れのリスクが少ないとして「○」、10℃未満のものを湯漏れのリスクが有るとして「△」と評価した。そして、△をやや劣る、○を優れる、◎をより優れると判定した。
湯漏れリスクは、鋳造時に発生する虞がある湯漏れの潜在的なリスクを、アルミニウム合金の固液共存領域の広さを指標として評価した。固液共存領域の広さは、アルミニウム合金を溶融させた後、冷却により凝固する過程の温度変化を熱電対で測定することで求めた。また、Thermo-Calc Sotware AB社製熱力学的計算システム(サーモカルク:Thermo-calc ver. 3.0)を用い、Thermotech社製熱力学的データベース(Al-DATA ver.8)を使用して、表1に示す化学成分の状態図を導出し、その状態図上、固相点と液相点との温度差として求めた。固相点と液相点との温度差20℃以上のものを湯漏れのリスクが略無いとして「◎」、10℃以上20℃未満のものを湯漏れのリスクが少ないとして「○」、10℃未満のものを湯漏れのリスクが有るとして「△」と評価した。そして、△をやや劣る、○を優れる、◎をより優れると判定した。
表1に、表面における金属間化合物の絶対最大長、ヤング率、耐力、表面に形成した無電解Ni−Pめっき膜の平滑性、鋳造時の湯漏れリスクの評価の結果を示す。
表1に示すように、No.1〜14は、化学組成が適正に制御されているため、高いヤング率と、良好なめっき性とが備わっている。
特に、No.4〜6は、Crが添加されているため、ヤング率や、耐力や、めっき膜の平滑性がより高くなっている。
また、No.7〜10は、Cu、MgまたはZnが添加されているため、固液共存領域が拡大して鋳造時の湯漏れのリスクが低くなっている。
また、No.11〜14は、Crと共に、Cu、MgまたはZnが添加されているため、ヤング率や、耐力や、めっき膜の平滑性がより高くなると共に、固液共存領域が拡大して鋳造時の湯漏れのリスクが低くなっている。
これに対して、No.15は、Srの含有量が50ppm未満であったため、金属間化合物が粗大になり、無電解Ni−Pめっき膜の平滑性が低くなった。
また、No.16は、Srの含有量が250ppmを超えていたため、Srを含む粗大な化合物が生じ、無電解Ni−Pめっき膜の平滑性が低くなった。
また、No.17は、Feの含有量が0.50質量%未満であったため、高いヤング率が得られなかった。
また、No.18は、Feの含有量が1.50質量%を超えていたため、粗大なAl−Fe−Ni系金属間化合物が生じ、耐力や無電解Ni−Pめっき膜の平滑性が低くなった。
また、No.19は、Mnの含有量が0.50質量%未満であったため、高いヤング率や耐力が得られなかった。
また、No.20は、Mnの含有量が1.50質量%を超えていたため、Al−Mn−Fe系金属間化合物が粗大化或るいは筋状欠陥を生じ、耐力や無電解Ni−Pめっき膜の平滑性が低くなった。
また、No.21は、Niの含有量が1.00質量%未満であったため、高いヤング率や耐力が得られなかった。
また、No.22は、Niの含有量が2.00質量%を超えていたため、粗大なAl−Fe−Ni系金属間化合物が生じ、耐力や無電解Ni−Pめっき膜の平滑性が低くなった。
また、No.23は、Siの含有量が0.10質量%を超えていたため、単体Siなどが生じ、ヤング率や無電解Ni−Pめっき膜の平滑性が低くなった。
また、No.24は、Fe、MnおよびNiの合計量が4.20質量%を超えていたため、粗大なAl−Fe−Ni系金属間化合物や、Al−Mn−Fe系金属間化合物による筋状欠陥が生じ、無電解Ni−Pめっき膜の平滑性が低くなった。
また、No.25は、Feの含有量とNiの含有量との比が0.40未満であったため、Al−Mn−Fe系金属間化合物が形成され難くなってヤング率が低くなると共に、Al−Fe−Ni系金属間化合物が粗大化し易くなり、無電解Ni−Pめっき膜の平滑性が低くなった。
また、No.26は、Feの含有量とNiの含有量との比が1.00を超えていたため、Al−Mn−Fe系金属間化合物が粗大化或るいは筋状欠陥を生じ、無電解Ni−Pめっき膜の平滑性が低くなった。
また、No.27は、Mnの含有量とNiの含有量との比が0.30未満であったため、Al−Fe−Ni系金属間化合物が粗大化し易くなり、無電解Ni−Pめっき膜の平滑性が低くなった。
また、No.28は、Mnの含有量とNiの含有量との比が0.90を超えていたため、Al−Mn−Fe系金属間化合物が粗大化或るいは筋状欠陥を生じ、無電解Ni−Pめっき膜の平滑性が低くなった。
また、No.29は、Cuの含有量が1.00質量%以上であったため、固液共存領域が過度に広く、Al−Mn−Fe系金属間化合物が粗大化或るいは筋状欠陥を生じ易くなって無電解Ni−Pめっき膜の平滑性が低くなると共に、Al−Fe−Ni系金属間化合物が形成され難くなってヤング率が低くなった。
また、No.30は、Crの含有量が0.23質量%を超えていたため、粗大なAl−Cr−Fe系金属間化合物が生じ、ヤング率や無電解Ni−Pめっき膜の平滑性が低くなった。
また、No.31は、Mgの含有量が1.00質量%以上であったため、多量のAl−Mn−Fe系金属間化合物が粗大化或るいは筋状欠陥を生じ易くなるなどし、ヤング率や耐力や無電解Ni−Pめっき膜の平滑性が低くなった。
また、No.32は、Znの含有量が1.00質量%以上であったため、多量のAl−Mn−Fe系金属間化合物が粗大化或るいは筋状欠陥を生じ易くなるなどし、ヤング率や無電解Ni−Pめっき膜の平滑性が低くなった。
また、No.33は、Cu、MgおよびZnの合計量が1.00質量%を超えていたため、固液共存領域が過度に広く、Al−Mn−Fe系金属間化合物が粗大化或るいは筋状欠陥を生じ易くなって無電解Ni−Pめっき膜の平滑性が低くなると共に、Al−Fe−Ni系金属間化合物が形成され難くなってヤング率が低くなった。
また、No.34は、Siの含有量が0.10質量%を超えていたため、単体Siなどが生じ、無電解Ni−Pめっき膜の平滑性が低くなった。なお、No.34は、特許文献2(特許第6014785号公報)の合金No.42と同等の化学組成としたサブストレートである。
Claims (8)
- Si:0.10質量%以下、
Fe:0.50質量%以上1.50質量%以下、
Mn:0.50質量%以上1.50質量%以下、
Ni:1.00質量%以上2.00質量%以下、
Sr:50ppm以上250ppm以下を含有し、
残部がAlおよび不可避的不純物からなり、
前記Fe、前記Mnおよび前記Niの合計量が4.20質量%以下であり、
前記Feの含有量と前記Niの含有量との比が0.40〜1.00であり、
前記Mnの含有量と前記Niの含有量との比が0.30〜0.90である磁気ディスク用アルミニウム合金板。 - Si:0.10質量%以下、
Fe:0.50質量%以上1.50質量%以下、
Mn:0.50質量%以上1.50質量%以下、
Ni:1.00質量%以上2.00質量%以下、
Cu:0.05質量%以上1.00質量%以下、
Sr:50ppm以上250ppm以下を含有し、
残部がAlおよび不可避的不純物からなり、
前記Fe、前記Mnおよび前記Niの合計量が4.20質量%以下であり、
前記Feの含有量と前記Niの含有量との比が0.40〜1.00であり、
前記Mnの含有量と前記Niの含有量との比が0.30〜0.90である磁気ディスク用アルミニウム合金板。 - Si:0.10質量%以下、
Fe:0.50質量%以上1.50質量%以下、
Mn:0.50質量%以上1.50質量%以下、
Ni:1.00質量%以上2.00質量%以下、
Cu:0.05質量%以上1.00質量%以下を含有し、
Mg:0.05質量%以上1.00質量%未満およびZn:0.05質量%以上1.00質量%未満のうちの一方または両方を含有し、
Sr:50ppm以上250ppm以下を含有し、
残部がAlおよび不可避的不純物からなり、
前記Fe、前記Mnおよび前記Niの合計量が4.20質量%以下であり、
前記Feの含有量と前記Niの含有量との比が0.40〜1.00であり、
前記Mnの含有量と前記Niの含有量との比が0.30〜0.90であり、
前記Cu、前記Mgおよび前記Znの合計量が1.00質量%以下である磁気ディスク用アルミニウム合金板。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の磁気ディスク用アルミニウム合金板の化学組成において、
Cr:0.05質量%以上0.23質量%以下を更に含有する磁気ディスク用アルミニウム合金板。 - 表面における金属間化合物の絶対最大長が15μm以下である請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の磁気ディスク用アルミニウム合金板。
- 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の磁気ディスク用アルミニウム合金板からなる磁気ディスク用アルミニウム合金ブランク。
- ヤング率が75GPa以上、耐力が90MPa以上である請求項6に記載の磁気ディスク用アルミニウム合金ブランク。
- 請求項6または請求項7に記載の磁気ディスク用アルミニウム合金ブランクからなる磁気ディスク用アルミニウム合金サブストレート。
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