JP6131083B2 - 磁気ディスク基板用アルミニウム合金板及びその製造方法 - Google Patents
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Description
一般的なアルミニウム合金製磁気ディスクは、まず円環状アルミニウム合金基板を作製し、次いで該合金基板表面に磁性体を付着させることにより製造されている。
例えば前記JIS5086合金によるアルミニウム合金製磁気ディスクは以下の工程により製造される。まず、鋳塊を熱間圧延し、次いで焼鈍を施しながら冷間圧延し圧延材を作製する。次に、該圧延材を円環状に打抜き、円環状にしたアルミニウム合金板を積層し、両面から加圧して平坦化する焼鈍(加圧焼鈍)を行う工程により、円環状アルミニウム合金基板は作製される。
このようにして作製された円環状アルミニウム合金基板に、前処理として切削加工、研削加工、脱脂、エッチング、ジンケート処理(Zn置換処理)を施し、次いで下地処理として硬質非磁性金属であるNi−Pを無電解メッキし、該メッキ表面にポリッシングを施した後、磁性体をスパッタリングしてアルミニウム合金製磁気ディスクは製造される。
現在、高い保磁力を持つ磁性体としてFe−Pt系等が検討されているが、Fe−Pt系はこれまでのCo−Cr−Pt系の磁性体よりも高温(550℃程度)でのスパッタリングが必要であることが知られている。アルミニウム合金基板を用い550℃でスパッタリングを行った場合には、マトリックスの結晶粒が粗大化し軟化してしまうため、アルミニウム合金基板には高温での耐熱性が求められている。
このような実情から、近年ではアルミニウム合金基板の高温での耐熱性が強く望まれ、検討がなされている
特許文献1では、Zr等を0.05%以上選択的含んだAl−Mg系合金を、加圧焼鈍の加熱温度を350℃以上、昇温・降温速度を2℃/分以下とすることで、500℃で加熱したときのアルミニウム合金基板の結晶粒の粗大化を抑制している。
よって、本発明は、耐熱性、平坦性、メッキ表面平滑性に優れる磁気ディスク基板用アルミニウム合金板の提供を課題とする。
この結果、ある特定の大きさのAl−Zr系析出物が、高温加熱時の結晶粒粗大化や加圧焼鈍時の歪の抜け方に大きな影響を与えることを見出した。
先ず、アルミニウム合金板の製造工程から磁気ディスクの製造工程を図1に示すフローで説明する。
ステップ1:必要に応じたアルミニウム合金に配合する。例えば後述する表1に示す成分組成のアルミニウム合金に配合する。
ステップ2:配合したアルミニウム合金を鋳造する。
ステップ3:鋳塊を面削し、均質化処理をする。
ステップ4:熱間圧延し板材とする。
ステップ5:熱間圧延した板を冷間圧延してアルミニウム合金板とする。冷間圧延中もしくは前に中間焼鈍を行う(必須ではない)。
ステップ6:アルミニウム合金板を円環状に打ち抜き、ディスクブランクを作成する。
ステップ7:ディスクブランクを加圧焼鈍により平坦化しアルミニウム合金基板を作成する。
ステップ8:アルミニウム合金基板を切削加工、研削加工、脱脂、エッチングする。
ステップ9:磁気ディスク用アルミニウム合金基板表面にジンケート処理(Zn置換処理)を施す。
ステップ10:ジンケート処理した表面を下地処理(Ni−Pメッキ)する。
ステップ11:下地処理した表面にスパッタリングで磁性体を付着させ磁気ディスクとする。
Mgは主としてアルミニウム合金板の強度を向上させる効果がある。
Mgの含有量を3.5〜6.0%に規定した理由は、3.5%未満では強度が不十分であり、6.0%を超えると粗大なAl−Mg系金属間化合物が生成し、エッチング時、ジンケート処理時、切削や研削加工時に金属間化合物が脱落して大きなピットが発生し、メッキ面の平滑性が低下するためである。Mgの含有量は強度および製造の容易さの兼合いから3.5〜5.0%が特に望ましい。
Cuはジンケート処理時のAl溶解量を減少させ、またジンケート皮膜を均一に、薄く、緻密に付着させる効果がある。その結果、次の下地処理工程のNi−Pからなるメッキ表面の平滑性を向上させる。
Cuの含有量を0.005〜0.15%に規定した理由は、0.005%未満ではその効果が十分に得られず、0.15%を超えると粗大なAl−Cu−Mg−Zn系金属間化合物が生成して、メッキ処理後ピットが発生し平滑性が低下する。さらに、材料自体の耐食性を低下させるため、ジンケート処理により生成するジンケート皮膜が不均一となり、メッキの密着性や平滑性が低下する。好ましいCu含有量は、0.005〜0.1%の範囲内である。
ZnはCuと同様にジンケート処理時のAl溶解量を減少させ、またジンケート皮膜を均一に、薄く、緻密に付着させ、次の下地処理工程のメッキ表面の平滑性を向上させる効果がある。
Znの含有量を0.05〜0.6%に規定した理由は、0.05%未満ではその効果が十分に得られず、0.6%を超えると、粗大なAl−Cu−Mg−Zn系金属間化合物が生成して、メッキ処理後ピットが発生し平滑性が低下する。さらに、材料自体の加工性や耐食性を低下させる。好ましいZn含有量は、0.05〜0.5%の範囲内である。
Crは鋳造時に微細な金属間化合物を生成するが、一部はマトリックスに固溶して強度向上に寄与する。また切削性と研削性を高め、さらに再結晶組織を微細にして、メッキ層の密着性を向上させる効果がある。
Crの含有量を0.01〜0.3%に規定した理由は、0.01%未満ではその効果が十分に得られず、0.3%を超えると鋳造時に過剰分が晶出すると同時に粗大なAl−Cr系金属間化合物が生成し、エッチング時、ジンケート処理時、切削や研削加工時に金属間化合物が脱落して大きなピットが発生し、メッキ面の平滑性が低下するためである。好ましいCr含有量は、0.01〜0.2%の範囲内である。
ZrはAl−Zr系の金属間化合物として析出し、高温加熱時の結晶粒の粗大化を防止し、強度の低下を抑制する効果がある。また、Al−Zr系析出物は分散強化によって強度を向上させる効果がある。0.03%未満ではその効果は得られず、0.2%を超えると粗大な金属間化合物を形成しやすくなり、エッチング時、ジンケート処理時、切削や研削加工時に金属間化合物が脱落して大きなピットが発生し、メッキ面の平滑性が低下する。好ましいZr含有量は、0.05〜0.18%の範囲内である。
Siは本発明の必須元素であるMgと結合し、メッキ層において欠陥となる金属間化合物を生成するため、アルミニウム合金中にSiが含まれることは好ましくない。しかし、Siはアルミニウム地金に不可避的不純物として存在する。ステップ1におけるアルミニウム合金の調整には純度の高い、例えば純度99.9%以上のアルミニウム地金を採用するが、このような地金にもSiが含まれる。アルミニウム地金からSiを0.001%未満まで取り除くことはアルミニウム地金を高純度に精錬することとなり、コスト高を招き好ましくない。一方、Siの含有量が0.03%を超えると粗大なMg−Si系金属間化合物が生成して、ピットなどの発生原因になるため好ましくない。従ってSiの含有量が0.03%以下となるよう調整する。Si含有量は、0.025%未満に抑えることが好ましい。
Feはアルミニウム中には殆ど固溶せず、Al−Fe系金属間化合物としてアルミニウム地金中に存在する。このアルミニウム中に存在するFeは本発明の必須元素であるAlと結合し、メッキ層において欠陥となる金属間化合物を生成するため、アルミニウム合金中にFeが含まれることは好ましくない。しかし、Feを0.001%未満まで取り除くのはアルミニウム地金を高純度に精錬することになりコスト高を招き好ましくない。一方、含有量が0.03%を超えると粗大なAl−Fe系金属間化合物が生成して、ピットなどの発生原因になるため好ましくない。Fe含有量は、0.025%未満に抑えることが好ましい。
鋳造時に、Mgの溶湯酸化を抑制するため微量のBeを添加してもよい。従って、本発明のアルミニウム合金においても、微量のBeを含有することは許容される。但し、Be量が0.0001%未満では、上記の効果が得られず、一方、Be量が0.005%を越えて添加してもその添加効果は飽和し、それ以上の顕著な改善効果が得られない。従って、Beを添加する場合のBe添加量は、0.0001〜0.0025%の範囲内とすることが好ましい。
上記各元素の他は、Alおよび不可避的不純物である。ここで、不可避的不純物(上記Si、Feを除く、例えばTi、V、Ga、B等)は、各々が0.05%以下で、かつ合計で0.15%以下であれば、本発明で得られるアルミニウム合金板としてその特性を損なうことはない。
アルミニウム合金板中に存在する円相当直径0.02〜0.2μmのAl−Zr系析出物が1μm3当たり3〜200個とすることにより、高温での結晶粒の粗大化を抑制でき、高い耐熱性を得ることができる。また、加圧焼鈍時に粒界の移動や歪の開放が十分に起こり、高い平坦性を得ることができる。ここでAl−Zr系析出物とは主要成分としてAl、Zrを含有する析出物を指し、透過電子顕微鏡のEDX分析により確認できる。これらの分散状態も透過電子顕微鏡観察および画像解析により確認される。円相当直径0.02〜0.2μmのAl−Zr系析出物が3個/μm3未満の場合、高温で結晶粒が粗大化し、強度低下の原因となり、200個/μm3を超える場合、加圧焼鈍時にAl−Zr系析出物が粒界の移動や歪の開放を抑制し、平坦性低下の原因になる。また、円相当直径0.02μm未満または0.2μmを超える場合は、粗大化抑制向上効果が十分に得られない。0.02μm未満だと、加圧焼鈍時にAl−Zr系析出物が粒界の移動や歪の開放を抑制し、平坦性が低下する。
前記ステップ1で本発明の合金組成範囲に調整されたアルミニウム合金地金を、半連続鋳造(DC鋳造)法などの常法に従って鋳造(ステップ2)し、得られた鋳塊に均質化処理(ステップ3)、熱間圧延(ステップ4)、冷間圧延(ステップ5)を施しアルミニウム合金板を製造する。いずれの工程もZr系析出物の分布状態に関係するが、本発明者らは特にステップ3の均質化処理時の昇温速度と保持温度・時間に、ステップ4の熱間圧延における圧延時間と圧下率に注目した。
450℃から500℃の温度域は、円相当直径0.02〜0.2μmのAl−Zr系析出物が生成しやすい温度域である。
よって、均質化処理の昇温において450℃から500℃までの昇温速度が7℃/h未満では、昇温中に円相当直径0.02〜0.2μmのAl−Zr系析出物が多数発生し、加圧焼鈍時にAl−Zr系析出物が粒界の移動や歪の開放を抑制し、平坦性が低下する。従って、均質化処理時の450℃から500℃までの昇温速度は7℃/h以上とする。均質化処理の昇温速度に特に上限は設けないが、鋳塊の場所によらず均一に温度を上げるためには40℃/h以下が好ましい。
均質化処理の保持温度が500℃未満だと円相当直径0.02〜0.2μmのAl−Zr系析出物が多く生成し、加圧焼鈍時にAl−Zr系析出物が粒界の移動や歪の開放を抑制し、平坦性が低下する。更に保持温度が500℃未満だと鋳造時に発生した偏析の解消が不十分であるため、ジンケート処理により生成するジンケート皮膜が不均一となり、メッキの密着性や平滑性が低下する。一方、580℃を超えると溶解が起こる可能性がある。均質化処理の時間が1時間未満では、鋳造時に発生した偏析の解消が不十分であるため、ジンケート処理により生成するジンケート皮膜が不均一となり、メッキの密着性や平滑性が低下する。一方、20時間を越えると粗大なAl−Zr系析出物が多く生成し、円相当直径0.02〜0.2μmのAl−Zr系析出物の個数が少なくなるため高温での粗大化抑制向上効果が低下する。従って、均質化処理の温度は500〜580℃とし、保持時間は1〜20時間とする。
熱間圧延の際に450〜500℃の温度範囲に20分以上あると円相当直径0.02〜0.2μmのAl−Zr系析出物が多く生成し、加圧焼鈍時にAl−Zr系析出物が粒界の移動や歪の開放を抑制し、平坦性が低下する。従って、熱間圧延での450〜500℃の温度範囲は20分以下とする。
熱間圧延は、一般に複数回圧延が行われるが、450℃〜500℃の温度範囲での1回あたりの圧下率が30%を越えると円相当直径0.02〜0.2μmのAl−Zr系析出物が多く生成し、加圧焼鈍時にAl−Zr系析出物が粒界の移動や歪の開放を抑制し、平坦性が低下する。従って、熱間圧延での450℃〜500℃の温度範囲での1回あたりの圧下率を30%以下とする。なお、熱間圧延での450℃〜500℃の温度範囲での1回あたりの好ましい圧下率は、10%以下である。
アルミニウム合金板を磁気ディスク用として加工するには、該基板を円環状に打ち抜き(ステップ6)、大気中にて200〜430℃で30分以上の加圧焼鈍(ステップ7)を行い、平坦化したディスクブランクを切削加工、研削加工、脱脂、エッチング(ステップ8)して、ジンケート処理(ステップ9)、メッキ処理(ステップ10)、スパッタリング(ステップ11)を行い磁気ディスクとする。
ステップ1:表1に示す成分組成のアルミニウム合金溶湯を溶製した。
ステップ3:表2に示す条件で均質化処理を施した。
ステップ5:実施例No.7の合金以外の熱延板は中間焼鈍を行なわずに冷間圧延(圧延率66.7%)により最終板厚の1.0mmまで圧延し、アルミニウム合金板とした。
実施例No.7は、まず第1の冷間圧延(圧延率33.3%)を施した後、バッチ式焼鈍炉を用いて、300℃で2時間の条件で中間焼鈍を行なった。次いで、第2の冷間圧延(圧延率50.0%)により最終板厚の1.0mmまで圧延し、アルミニウム合金板とした。
ステップ6:前記アルミニウム合金板から外径96mm、内径24mmの円環状に打抜き、ディスクブランクを作製した。
ステップ7:ディスクブランクを340℃で4時間加圧焼鈍を施した。
ステップ8:端面加工、グラインディング加工(表面10μm研削)を行った。その後、AD−68F(上村工業製)により60℃で5分の脱脂を行った後、AD−107F(上村工業製)により65℃で1分のエッチングを行い、さらに30%HNO3水溶液(室温)で20秒間デスマットした。
ステップ9:表面を整えたディスクブランク表面に、AD−301F−3X(上村工業製)を用いてダブルジンケート処理を施した。
ステップ10:ジンケート処理した表面に無電解Ni−Pメッキ処理液(ニムデンHDX(上村工業製))を用いてNi−Pを17μm厚さに無電解メッキした後羽布により仕上げ研磨(研磨量4μm))を行った。
円相当直径0.02〜0.2μmのAl−Zr系析出物の分布(個/μm3)は、加圧焼鈍後のブランクの任意の断面の走査透過型電子顕微鏡(STEM)観察から求めた。Al−Zr系析出物は、STEM−EDS分析で特定を行った。観察は各サンプル倍率100000倍で10視野ずつSTEM写真の撮影を行い、円相当直径0.02〜0.2μmのAl−Zr系析出物の個数を数え、分布(個/μm3)を求めた。
円相当直径5μm以上の金属間化合物(Al−Mg系、Al−Cu−Mg−Zn系、Al−Cr系、Al−Zr系、Mg−Si系、Al−Fe系等)の分布(個/mm2)は電子線マイクロアナライザ(EPMA)により、加圧焼鈍後表面を10μm研削した基板表面の組成(COMP)像を倍率300倍にて撮影(視野:1mm2)し、円相当直径が5μm以上の金属間化合物の個数を数え、分布(個/mm2)を求めた。
金属間化合物の特定は、濃度マッピングの結果を元に行った。
加圧焼鈍後のブランク5枚を550℃、10secの条件で加熱し、加熱前後の結晶粒径を測定し、結晶粒径変化率[{(加熱後の結晶粒径)−(加熱前の結晶粒径)}/(加熱前の結晶粒径)×100]を算出し、耐熱性の評価を行った。結晶粒径変化率が50%未満のものを優良(◎印)とし、結晶粒径変化率が50%以上100%未満のものを良好(○印)、結晶粒径変化率が100%以上のものを不良(×印)とした。加熱はソルトバスを用いて、550℃に加熱して10sec保持した後、強制空冷する条件で実施した。
アルミニウム合金板を340℃、4時間の条件で加熱した後、ソルトバスを用い550℃、10secの条件で加熱し、圧延方向に切り出したJIS5号試験片の耐力を測定した。測定条件は、標点距離50mm、クロスヘッド速度10mm/分とした。耐力90MPa以上のものを優良(◎印)とし、耐力90MPa未満のものを不良(×印)とした。
加圧焼鈍後のブランク100枚の平坦度を平坦度測定器により測定し、平坦性の評価を行った。平坦度の最大値が4μm未満のものを優良(◎印)とし、平坦度の最大値が4μm以上5μm未満のものを良好(○印)とし、平坦度の最大値が5μm以上のものを不良(×印)とした。なお、この平坦度はZyGO非接触フラットネス測定機で測定した値である。
Ni−Pメッキ処理後のアルミニウム合金基板の表面を光学顕微鏡にて観察(視野:1mm2)し、ピットの個数を数え、単位面積当たりの個数(個/mm2)を求めた。ピットが0個/mm2の場合を優良(◎印)とし、1〜5個/mm2の場合を良好(○印)、6個/mm2以上の場合を不良(×印)とした。以上の評価結果を表3に示す。
一方比較例No.8〜21、23〜26は何れも本発明の規定から外れる要素を含んでいたため、耐熱性や平坦性、メッキ表面平滑性、強度のいずれかにおいて劣っていた。
即ち、比較例No.8はMgの含有量が多いために粗大なAl−Mg系金属間化合物が多く生成され、この金属間化合物がメッキ前処理時に脱落し、メッキ表面の平滑性が悪くなったものと推察できる。
比較例No.9はMgの含有量が少ないために耐力が低くなったものと推察できる。
比較例No.10はCuの含有量が多かったために粗大なAl−Cu−Mg−Zn系金属間化合物が多く生成され、この金属間化合物がメッキ前処理時に脱落し、メッキ表面の平滑性が悪くなったものと推察できる。
比較例No.11はCuの含有量が少なかったためにジンケート皮膜が不均一となり、メッキ表面の平滑性が悪くなったものと推察できる。
比較例No.12はZnの含有量が多かったために粗大なAl−Cu−Mg−Zn系金属間化合物が多く生成され、この金属間化合物がメッキ前処理時に脱落し、メッキ表面の平滑性が悪くなったものと推察できる。
比較例No.13はZnの含有量が少なかったためにジンケート皮膜が不均一となり、メッキ表面の平滑性が悪くなったものと推察できる。
比較例No.14はCrの含有量が多かったために粗大なAl−Cr系金属間化合物が多く生成され、この金属間化合物がメッキ前処理時に脱落し、メッキ表面平滑性が悪くなったものと推察できる。
比較例No.15はCrの含有量が少なかったために結晶粒が粗大化し、メッキ表面平滑性が悪くなったものと推察できる。
比較例No.16はZrの含有量が多かったために粗大なAl−Zr系析出物が多く生成され、この析出物がメッキ前処理時に脱落し、メッキ表面平滑性が悪くなったものと推察できる。
比較例No.17はZrの含有量が少なかったために円相当直径0.02〜0.2μmのAl−Zr系析出物の生成が少なく、550℃加熱時に結晶粒が粗大化し、耐力が低下したものと推察できる。
比較例No.18はFeの含有量が多かったために粗大なAl−Fe系金属間化合物が多く生成され、この金属間化合物がメッキ前処理時に脱落し、メッキ表面平滑性が悪くなったものと推察できる。
比較例No.19はSiの含有量が多かったために粗大なMg−Si系金属間化合物が多く生成され、この金属間化合物がメッキ前処理時に脱落し、メッキ表面平滑性が悪くなったものと推察できる。
比較例No.20は均質化処理時の450℃から500℃までの昇温速度が遅すぎたために円相当直径0.02〜0.2μmのAl−Zr系析出物が多く生成し、平坦度が悪くなったものと推察できる。
比較例No.21は均質化処理時の保持温度が低すぎたために円相当直径0.02〜0.2μmのAl−Zr系析出物が多く生成し、平坦度が悪くなったものと推察できる。また、均質化処理時の保持温度が低すぎたために偏析が解消されず、ジンケート皮膜が不均一となり、メッキ表面の平滑性が悪くなったものと推察できる。
比較例No.22は均質化処理中に溶解が起こったため、アルミニウム合金板の作製を行うことが出来なかったため評価は行っていない。
比較例No.23は均質化処理時の保持時間が短すぎたために偏析が解消されず、ジンケート皮膜が不均一となり、メッキ表面の平滑性が悪くなったものと推察できる。
比較例No.24は均質化処理時の保持時間が長すぎたために円相当直径0.02〜0.2μmのAl−Zr系析出物の生成が少なく、550℃加熱時に結晶粒が粗大化し、耐力が低下したものと推察できる。
比較例No.25は熱間圧延時、450℃〜500℃の温度範囲に長い時間いたために円相当直径0.02〜0.2μmのAl−Zr系析出物が多く生成し、平坦度が悪くなったものと推察できる。
比較例No.26は熱間圧延時、450℃〜500℃の温度範囲での1回あたりの圧下率が30%を越えることがあったため、円相当直径0.02〜0.2μmのAl−Zr系析出物が多く生成し、平坦度が悪くなったものと推察できる。
Claims (1)
- Mg:3.5〜6.0mass%(以下、単に%と記す。)、Cu:0.005〜0.15%、Zn:0.05〜0.6%、Cr:0.01〜0.3%、Zr:0.03〜0.2%、Si:0.001〜0.03%、Fe:0.001〜0.03%を含有し残部Alと不可避的不純物からなるAl−Mg系合金からなり、円相当直径0.02〜0.2μmのAl−Zr系析出物が3〜200個/μm3であることを特徴とする磁気ディスク基板用アルミニウム合金板。
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