JP3197774B2 - Al−Li合金の熱間圧延方法 - Google Patents
Al−Li合金の熱間圧延方法Info
- Publication number
- JP3197774B2 JP3197774B2 JP04125995A JP4125995A JP3197774B2 JP 3197774 B2 JP3197774 B2 JP 3197774B2 JP 04125995 A JP04125995 A JP 04125995A JP 4125995 A JP4125995 A JP 4125995A JP 3197774 B2 JP3197774 B2 JP 3197774B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- alloy
- rolling
- hot rolling
- temperature
- ingot
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Metal Rolling (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、Al−Li合金の熱間
圧延方法、とくに、熱間圧延工程のおいて、耳割れなど
の割れの発生、縞模様などの表面欠陥の発生を防止でき
るAl−Li合金の熱間圧延方法に関する。
圧延方法、とくに、熱間圧延工程のおいて、耳割れなど
の割れの発生、縞模様などの表面欠陥の発生を防止でき
るAl−Li合金の熱間圧延方法に関する。
【0002】
【従来の技術】Al−Li合金は、強度、剛性率が高く
密度が低いため、比強度、比剛性に優れ、航空・宇宙用
材料として期待されているが、その製造技術はまだ十分
に確立されていない。例えば、熱間圧延においても、従
来のアルミニウム合金以上に耳割れや表面欠陥が生じ易
く、圧延技術の確立が要望されている。
密度が低いため、比強度、比剛性に優れ、航空・宇宙用
材料として期待されているが、その製造技術はまだ十分
に確立されていない。例えば、熱間圧延においても、従
来のアルミニウム合金以上に耳割れや表面欠陥が生じ易
く、圧延技術の確立が要望されている。
【0003】発明者らは、Al−Li合金の熱間圧延時
に発生する割れや表面結果を防止するために、合金成
分、鋳塊の面削方法、鋳塊の均質化処理、圧延条件とそ
れらの関連性について多角的に基礎的実験検討を行い、
種々の知見を得た。
に発生する割れや表面結果を防止するために、合金成
分、鋳塊の面削方法、鋳塊の均質化処理、圧延条件とそ
れらの関連性について多角的に基礎的実験検討を行い、
種々の知見を得た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の基礎
的実験検討から得られた知見に基づいてなされたもので
あり、その目的は、熱間圧延の工程で耳割れなどの割れ
や模様発生などの表面欠陥を生じることが防止されるA
l−Li合金の熱間圧延方法を提供することにある。
的実験検討から得られた知見に基づいてなされたもので
あり、その目的は、熱間圧延の工程で耳割れなどの割れ
や模様発生などの表面欠陥を生じることが防止されるA
l−Li合金の熱間圧延方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明によるAl−Li合金の熱間圧延方法は、L
i0.5 〜3.0 %を含有し、さらにCu1.0 〜3.0 %( 但
し、Mgを含有しない場合は1.5 〜5.5 %)、Mg0.5
〜2.0 %、Zr0.06〜0.3 %、V0.06〜0.3 %、Mn0.
06〜0.3 %、Cr0.06〜0.3 %、Ti0.02〜0.3 %のう
ちの1種または2種以上を含有し、残部がAlおよび不
可避的不純物からなるAl−Li合金の鋳塊を、520 ℃
±50℃の温度範囲に加熱して、1 〜24時間保持したの
ち、該温度範囲で熱間圧延を開始し、250 ℃以上の温度
で熱間圧延を終了することを第1の特徴とする。
めの本発明によるAl−Li合金の熱間圧延方法は、L
i0.5 〜3.0 %を含有し、さらにCu1.0 〜3.0 %( 但
し、Mgを含有しない場合は1.5 〜5.5 %)、Mg0.5
〜2.0 %、Zr0.06〜0.3 %、V0.06〜0.3 %、Mn0.
06〜0.3 %、Cr0.06〜0.3 %、Ti0.02〜0.3 %のう
ちの1種または2種以上を含有し、残部がAlおよび不
可避的不純物からなるAl−Li合金の鋳塊を、520 ℃
±50℃の温度範囲に加熱して、1 〜24時間保持したの
ち、該温度範囲で熱間圧延を開始し、250 ℃以上の温度
で熱間圧延を終了することを第1の特徴とする。
【0006】また、Li0.5 〜3.0 %を含有し、さらに
Zr0.06〜0.3 %、V0.06〜0.3 %、Mn0.06〜0.3
%、Cr0.06〜0.3 %のうちの1種または2種以上を含
有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなるAl−
Li合金、またはZr0.06〜0.3 %、V0.06〜0.3 %、
Mn0.06〜0.3 %、Cr0.06〜0.3 %のうちの1種また
は2種以上、Cu1.0 〜3.0 %(但し、Mgが含有され
ない場合はCu1.5 〜5.5 %)、Mg0.5 〜2.0 %のう
ちの1種以上およびTi0.02〜0.3 %を含有し、残部が
Alおよび不可避的不純物からなるの鋳塊を、450℃
±30℃の温度範囲に1〜30時間加熱したのち、52
0±50℃の温度範囲に加熱して、1〜24時間保持
し、ついで該温度範囲で熱間圧延を開始し、250℃以
上の温度で熱間圧延を終了することを本発明の第2の特
徴とする。
Zr0.06〜0.3 %、V0.06〜0.3 %、Mn0.06〜0.3
%、Cr0.06〜0.3 %のうちの1種または2種以上を含
有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなるAl−
Li合金、またはZr0.06〜0.3 %、V0.06〜0.3 %、
Mn0.06〜0.3 %、Cr0.06〜0.3 %のうちの1種また
は2種以上、Cu1.0 〜3.0 %(但し、Mgが含有され
ない場合はCu1.5 〜5.5 %)、Mg0.5 〜2.0 %のう
ちの1種以上およびTi0.02〜0.3 %を含有し、残部が
Alおよび不可避的不純物からなるの鋳塊を、450℃
±30℃の温度範囲に1〜30時間加熱したのち、52
0±50℃の温度範囲に加熱して、1〜24時間保持
し、ついで該温度範囲で熱間圧延を開始し、250℃以
上の温度で熱間圧延を終了することを本発明の第2の特
徴とする。
【0007】さらに、熱間圧延の1回当たりの圧下量
を、最終圧延を除いて3 〜30mmとすると、総圧延回数の
うちの20%以上の回数の圧延段階で、それぞれ圧延板側
面部に片側5 〜50mmの幅方向圧延を行うこと、およびA
l−Li合金の鋳塊の圧延面および側面が5mm 以上面削
され、面粗度Raが2 μm 以下、うねりが200 μm 以下
に仕上げられていることをそれぞれ第3、第3および第
4の特徴とする。
を、最終圧延を除いて3 〜30mmとすると、総圧延回数の
うちの20%以上の回数の圧延段階で、それぞれ圧延板側
面部に片側5 〜50mmの幅方向圧延を行うこと、およびA
l−Li合金の鋳塊の圧延面および側面が5mm 以上面削
され、面粗度Raが2 μm 以下、うねりが200 μm 以下
に仕上げられていることをそれぞれ第3、第3および第
4の特徴とする。
【0008】本発明の目的を達成するためには、まず本
発明のAl−Li合金の組成を特定の範囲に限定しなけ
ればならない。本発明において使用するAl−Li合金
における合金元素の意義および限定理由について説明す
ると、Liは、合金材料を軽量化し強度を向上させる元
素であり、好ましい含有範囲は0.5 〜3.0 %であり、1.
0 %未満では軽量化および比強度、比剛性向上の効果が
得られず、3.0 %を越えて含有すると、鋳造割れ感受性
を増加させると同時に、粗大なδ´相を生成し合金の延
性および靭性を低下させる。
発明のAl−Li合金の組成を特定の範囲に限定しなけ
ればならない。本発明において使用するAl−Li合金
における合金元素の意義および限定理由について説明す
ると、Liは、合金材料を軽量化し強度を向上させる元
素であり、好ましい含有範囲は0.5 〜3.0 %であり、1.
0 %未満では軽量化および比強度、比剛性向上の効果が
得られず、3.0 %を越えて含有すると、鋳造割れ感受性
を増加させると同時に、粗大なδ´相を生成し合金の延
性および靭性を低下させる。
【0009】Cuは、Al−Cu系の板状析出物θ´
(Al2 Cu)やAl−Cu−Li系の板状析出物T1
相( Al2 CuLi)を生成し、強度および靭性の向上
に寄与する。好ましい含有範囲は1.0 〜3.0 %であり、
1.0 %未満ではその効果が不十分となり、3.0 %を越え
ると強度および靭性の向上効果が飽和するとともに軽量
化が損なわれる。なお、合金中にMgが含有されない場
合にはCuを1.5 〜5.5%の範囲で含有させるのが好ま
しい。また合金中にMgが含有される場合には、Mgに
よる強度向上効果が期待できるので、Cuの含有量を1.
0 〜2.5 %の範囲に減少することもできる。
(Al2 Cu)やAl−Cu−Li系の板状析出物T1
相( Al2 CuLi)を生成し、強度および靭性の向上
に寄与する。好ましい含有範囲は1.0 〜3.0 %であり、
1.0 %未満ではその効果が不十分となり、3.0 %を越え
ると強度および靭性の向上効果が飽和するとともに軽量
化が損なわれる。なお、合金中にMgが含有されない場
合にはCuを1.5 〜5.5%の範囲で含有させるのが好ま
しい。また合金中にMgが含有される場合には、Mgに
よる強度向上効果が期待できるので、Cuの含有量を1.
0 〜2.5 %の範囲に減少することもできる。
【0010】Mgは、合金マトリックス中に固溶して合
金の延性および靭性を低下させることなく合金を強化す
ると同時に、Al−Cu−Mg系の準安定相の板状析出
物、S´(Al2 CuMg)を生成することにより、さ
らに強度を向上させる。好ましい含有範囲は0.5 〜2.0
%であり、0.5 %未満ではその効果が小さく、2.0 %を
越えて含有すると、強度は向上するが合金の延性および
靭性を劣化させる。
金の延性および靭性を低下させることなく合金を強化す
ると同時に、Al−Cu−Mg系の準安定相の板状析出
物、S´(Al2 CuMg)を生成することにより、さ
らに強度を向上させる。好ましい含有範囲は0.5 〜2.0
%であり、0.5 %未満ではその効果が小さく、2.0 %を
越えて含有すると、強度は向上するが合金の延性および
靭性を劣化させる。
【0011】Zr、V、Mn、CrおよびTiは、合金
組織を微細化するとともに再結晶を抑制する効果があ
り、合金組織を微細で未再結晶状態の結晶組織とするた
めに含有させるもので、好ましい含有範囲は、Zr、
V、MnおよびCrは0.06〜0.3%、Tiは0.02〜0.3
%である。それぞれ下限未満では十分効果が得られず、
それぞれ上限を越えると、粗大金属間化合物を生成して
強度および靱性を低下させ、またその効果も飽和する。
組織を微細化するとともに再結晶を抑制する効果があ
り、合金組織を微細で未再結晶状態の結晶組織とするた
めに含有させるもので、好ましい含有範囲は、Zr、
V、MnおよびCrは0.06〜0.3%、Tiは0.02〜0.3
%である。それぞれ下限未満では十分効果が得られず、
それぞれ上限を越えると、粗大金属間化合物を生成して
強度および靱性を低下させ、またその効果も飽和する。
【0012】本発明のAl−Li合金において、0.30%
以下のSi、0.25%以下のFe、0.25%以下のZnは、
本発明の効果を損なうことがなく、不純物として許容さ
れるが、これらの不純物は、化合物の生成、あるいは亜
粒界への偏析などにより靱性をていかさせるおそれがあ
るため、Fe0.10%以下、Si0.10%以下、Zn0.10%
以下に制限するのが好ましい。
以下のSi、0.25%以下のFe、0.25%以下のZnは、
本発明の効果を損なうことがなく、不純物として許容さ
れるが、これらの不純物は、化合物の生成、あるいは亜
粒界への偏析などにより靱性をていかさせるおそれがあ
るため、Fe0.10%以下、Si0.10%以下、Zn0.10%
以下に制限するのが好ましい。
【0013】本発明のAl−Li合金は、溶解後、連続
鋳造し、圧延用鋳塊を製造するが、鋳塊表面には合金成
分のLi、その他の含有成分が偏析し易く、このまま圧
延すると、圧延時に割れの起点となるおそれがあるた
め、熱間圧延に先立って、鋳塊の圧延面および側面を5m
m 以上面削し、表面を粗度Raが2 μm 以下、うねりが
200 μm 以下になるように仕上げるのが好ましい。
鋳造し、圧延用鋳塊を製造するが、鋳塊表面には合金成
分のLi、その他の含有成分が偏析し易く、このまま圧
延すると、圧延時に割れの起点となるおそれがあるた
め、熱間圧延に先立って、鋳塊の圧延面および側面を5m
m 以上面削し、表面を粗度Raが2 μm 以下、うねりが
200 μm 以下になるように仕上げるのが好ましい。
【0014】鋳塊には、鋳造時にAlLi、CuA
l2 、Mg2 Si、FeAl3 などの粗大な金属間化合
物が生成し、これらの金属間化合物は圧延時に割れの原
因となり、合金強化の効果を阻害するので、粗大な金属
間化合物を分解、均質化するために、面削した鋳塊を高
温に加熱、保持することにより均質化処理を行う。好ま
しい均質化処理温度は520 ℃±50℃の範囲であり、保持
時間は1 〜24時間が好ましい。均質化処理温度は高い方
が効率的であるが、高過ぎると化合物やマトリックスが
部分溶解するおそれがあり、低過ぎると長時間の温度保
持を要するため生産効率を下げ、また活性なLiが周辺
の水分と反応して酸化し、製品の性状を劣化させること
からも好ましくない。
l2 、Mg2 Si、FeAl3 などの粗大な金属間化合
物が生成し、これらの金属間化合物は圧延時に割れの原
因となり、合金強化の効果を阻害するので、粗大な金属
間化合物を分解、均質化するために、面削した鋳塊を高
温に加熱、保持することにより均質化処理を行う。好ま
しい均質化処理温度は520 ℃±50℃の範囲であり、保持
時間は1 〜24時間が好ましい。均質化処理温度は高い方
が効率的であるが、高過ぎると化合物やマトリックスが
部分溶解するおそれがあり、低過ぎると長時間の温度保
持を要するため生産効率を下げ、また活性なLiが周辺
の水分と反応して酸化し、製品の性状を劣化させること
からも好ましくない。
【0015】合金中に合金成分としてZr、V、Mn、
Crを含有している場合には、これらの元素とアルミニ
ウムの化合物をマトリックス中に微細分散析出させ、製
品板の品質、性状を高めるために、鋳塊を、まず450 ℃
±30℃の温度範囲で1 〜30時間保持し、その後520 ℃±
50℃の均質化処理温度に加熱するのが好ましい。
Crを含有している場合には、これらの元素とアルミニ
ウムの化合物をマトリックス中に微細分散析出させ、製
品板の品質、性状を高めるために、鋳塊を、まず450 ℃
±30℃の温度範囲で1 〜30時間保持し、その後520 ℃±
50℃の均質化処理温度に加熱するのが好ましい。
【0016】発明者らは、Al−Li合金における加工
温度と限界加工率との関係を調査するために、Cu、Z
r、Mgを含むAl−Li合金について、直径20mm、高
さ20mmの試料を作製し、これらの試料について各温度で
すえこみ鍛造した場合の割れ発生から、各加工温度にお
ける限界加工率を求めた。その結果の一例を図1に示
す。図1にみられるように、Al−Li合金において
は、加工時の割れ発生を防ぐために、特定の温度域で熱
間加工を行う必要があることがわかる。
温度と限界加工率との関係を調査するために、Cu、Z
r、Mgを含むAl−Li合金について、直径20mm、高
さ20mmの試料を作製し、これらの試料について各温度で
すえこみ鍛造した場合の割れ発生から、各加工温度にお
ける限界加工率を求めた。その結果の一例を図1に示
す。図1にみられるように、Al−Li合金において
は、加工時の割れ発生を防ぐために、特定の温度域で熱
間加工を行う必要があることがわかる。
【0017】上記の実験に基づいて、本発明のAl−L
i合金における熱間圧延温度を検討した結果、均質化処
理後、鋳塊を熱間圧延するに際しては、圧延時における
側部割れ(耳割れ)、圧延面割れなどの割れ発生、縞状
模様などの表面欠陥の発生を防止するために、520 ℃±
50℃の温度域で熱間圧延を開始し、250 ℃以上の温度で
熱間圧延を終了するのが好ましいことが判明した。終了
温度は300 ℃以上とするのがより好ましい。
i合金における熱間圧延温度を検討した結果、均質化処
理後、鋳塊を熱間圧延するに際しては、圧延時における
側部割れ(耳割れ)、圧延面割れなどの割れ発生、縞状
模様などの表面欠陥の発生を防止するために、520 ℃±
50℃の温度域で熱間圧延を開始し、250 ℃以上の温度で
熱間圧延を終了するのが好ましいことが判明した。終了
温度は300 ℃以上とするのがより好ましい。
【0018】また、Al−Li合金の熱間圧延において
は、圧延一回当たりの圧下量が割れの発生に大きな影響
があることが見出された。割れ発生の観点からは、一回
当たりの圧下量は出来るだけ小さいほうが好ましいが、
小さ過ぎると、所定厚の板に圧延するまでの圧延回数が
増加し、圧延時間が長くなるため、圧延板の温度が上記
の終了温度より低下し易く、また生産効率もわるくなる
という難点があり、一方、一回当たりの圧下量が大き過
ぎると圧延時に耳割れなどが生じる。実験、検討の結果
として見出された圧延一回当たりの最適圧下量は、板厚
を調整するための最終圧延を除き、3 〜30mmであり、可
逆式圧延機を使用して熱間圧延を実施するのが好まし
い。
は、圧延一回当たりの圧下量が割れの発生に大きな影響
があることが見出された。割れ発生の観点からは、一回
当たりの圧下量は出来るだけ小さいほうが好ましいが、
小さ過ぎると、所定厚の板に圧延するまでの圧延回数が
増加し、圧延時間が長くなるため、圧延板の温度が上記
の終了温度より低下し易く、また生産効率もわるくなる
という難点があり、一方、一回当たりの圧下量が大き過
ぎると圧延時に耳割れなどが生じる。実験、検討の結果
として見出された圧延一回当たりの最適圧下量は、板厚
を調整するための最終圧延を除き、3 〜30mmであり、可
逆式圧延機を使用して熱間圧延を実施するのが好まし
い。
【0019】さらに、Al−Li合金の熱間圧延時に生
じる欠陥、とくに耳割れの発生を防止するためには、圧
延機に設置されている幅圧延ロールの使用が有効であ
る。幅圧延ロールは、圧延用鋳塊または圧延板の側面部
を圧延するためのものであり、圧延一回毎に幅圧延を行
うのがより望ましいが、生産性を低下させ、側面部の温
度低下を生じて耳割れを引き起こす原因となるなどの難
点があるから、本発明においては、熱間圧延の総圧延回
数のうち少なくとも20%に当たる回数の圧延において、
片側5 〜50mmの幅方向圧延を行う。
じる欠陥、とくに耳割れの発生を防止するためには、圧
延機に設置されている幅圧延ロールの使用が有効であ
る。幅圧延ロールは、圧延用鋳塊または圧延板の側面部
を圧延するためのものであり、圧延一回毎に幅圧延を行
うのがより望ましいが、生産性を低下させ、側面部の温
度低下を生じて耳割れを引き起こす原因となるなどの難
点があるから、本発明においては、熱間圧延の総圧延回
数のうち少なくとも20%に当たる回数の圧延において、
片側5 〜50mmの幅方向圧延を行う。
【0020】
【作用】本発明においては、Li:0.5〜3.0 %を含み、
さらに選択成分として特定量のCu、Mg、Zr、V、
Mn、Cr、Tiを含有させたAl−Li合金を用い、
鋳塊面削条件、鋳塊の均質化処理条件、熱間圧延条件を
特定し、これらの組み合わせにより、Al−Li合金の
熱間圧延時の割れおよび表面欠陥の発生を防止し、品
質、性状の優れたAl−Li合金の板材を得るものであ
る。
さらに選択成分として特定量のCu、Mg、Zr、V、
Mn、Cr、Tiを含有させたAl−Li合金を用い、
鋳塊面削条件、鋳塊の均質化処理条件、熱間圧延条件を
特定し、これらの組み合わせにより、Al−Li合金の
熱間圧延時の割れおよび表面欠陥の発生を防止し、品
質、性状の優れたAl−Li合金の板材を得るものであ
る。
【0021】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例と対比して説
明する。 実施例1 表1に示す組成を有するAl−Li合金の鋳塊を連続鋳
造により製造し、鋳塊の圧延面を10mm面削して、試験鋳
塊とした。まず、表1の試験鋳塊No.A〜Dを450 ℃
の温度で24時間加熱処理したのち、520 ℃の温度に昇温
し、6 時間保持した。ついで、500 ℃で熱間圧延を開始
した。試験鋳塊の厚さは260mm であり、一回当たり20mm
の圧下量で合計14回圧延し、20mm厚のAl−Li合金板
を得た。熱間圧延は400 ℃の温度で終了した。幅方向圧
延は行わなかったが、発生した耳割れは10mm程度でAl
−Li合金板材として十分に使用できるものであった。
明する。 実施例1 表1に示す組成を有するAl−Li合金の鋳塊を連続鋳
造により製造し、鋳塊の圧延面を10mm面削して、試験鋳
塊とした。まず、表1の試験鋳塊No.A〜Dを450 ℃
の温度で24時間加熱処理したのち、520 ℃の温度に昇温
し、6 時間保持した。ついで、500 ℃で熱間圧延を開始
した。試験鋳塊の厚さは260mm であり、一回当たり20mm
の圧下量で合計14回圧延し、20mm厚のAl−Li合金板
を得た。熱間圧延は400 ℃の温度で終了した。幅方向圧
延は行わなかったが、発生した耳割れは10mm程度でAl
−Li合金板材として十分に使用できるものであった。
【0022】
【表1】
【0023】実施例2 実施例1において、奇数回目の圧延終了毎に7 回( 総圧
延回数の50%に相当する回数)、片側10mmの幅方向圧延
を行った。その結果、耳割れの発生は完全に防止され
た。
延回数の50%に相当する回数)、片側10mmの幅方向圧延
を行った。その結果、耳割れの発生は完全に防止され
た。
【0024】比較例1 表2の試験鋳塊No.E(260mm 厚) を、450 ℃の温度
に10時間加熱したのち、540 ℃の温度に昇温して6 時間
保持し、ついで、420 ℃の温度で熱間圧延を開始した。
一回当たり圧下量15mmで圧延を行い、圧延一回毎に片側
15mmの幅方向圧延を行ったところ、圧延回数16回で板厚
20mmまで圧延されたが、圧延板の温度が230 ℃となり大
きな耳割れが生じた。
に10時間加熱したのち、540 ℃の温度に昇温して6 時間
保持し、ついで、420 ℃の温度で熱間圧延を開始した。
一回当たり圧下量15mmで圧延を行い、圧延一回毎に片側
15mmの幅方向圧延を行ったところ、圧延回数16回で板厚
20mmまで圧延されたが、圧延板の温度が230 ℃となり大
きな耳割れが生じた。
【0025】実施例3 比較例1において、熱間圧延開始温度を500 ℃とし、圧
延を380 ℃で終了したところ、耳割れは完全に防止され
た。
延を380 ℃で終了したところ、耳割れは完全に防止され
た。
【0026】実施例4 表3の試験鋳塊No.F(260mm 厚) を、450 ℃の温度
で24時間加熱したのち、550 ℃の温度に昇温して10時間
保持し、ついで、550 ℃の温度で熱間圧延を開始した。
一回当たり圧下量を25mmとし、最初の圧延で片側15mmの
幅方向圧延を行い、10回の圧延と圧下量12mmの最終圧延
により、圧延終了温度450 ℃となり、板厚8mm の板材を
得た。板材には、板として全く使用できないレベルでは
ないが、かなりの耳割れが発生し、歩留りのわるいもの
となった。
で24時間加熱したのち、550 ℃の温度に昇温して10時間
保持し、ついで、550 ℃の温度で熱間圧延を開始した。
一回当たり圧下量を25mmとし、最初の圧延で片側15mmの
幅方向圧延を行い、10回の圧延と圧下量12mmの最終圧延
により、圧延終了温度450 ℃となり、板厚8mm の板材を
得た。板材には、板として全く使用できないレベルでは
ないが、かなりの耳割れが発生し、歩留りのわるいもの
となった。
【0027】実施例5 実施例4において、1回目、3回目および5回目の圧延
終了後に片側15mmの幅方向圧延を実施したところ、耳割
れは完全に防止された。
終了後に片側15mmの幅方向圧延を実施したところ、耳割
れは完全に防止された。
【0028】比較例2 実施例4において、熱間圧延開始温度を420 ℃としたと
ころ、圧延終了温度は210 ℃となり、板表面全面に縞状
の模様が生じ、板製品として不合格であった。
ころ、圧延終了温度は210 ℃となり、板表面全面に縞状
の模様が生じ、板製品として不合格であった。
【0029】実施例6 表1の試験鋳塊No.Fと同一組成の鋳塊を、圧延面お
よび側面をそれぞれ10mm面削し、実施例4と同一の工程
で処理したところ、圧延板には10mm程度の耳割れが発生
しただけであった。
よび側面をそれぞれ10mm面削し、実施例4と同一の工程
で処理したところ、圧延板には10mm程度の耳割れが発生
しただけであった。
【0030】
【発明の効果】以上のとおり、本発明によれば、Al−
Li合金を熱間圧延する場合、耳割れ、圧延面割れなど
の割れ発生および縞模様などの表面欠陥の発生を防止す
ることができるAl−Li合金の熱間圧延方法が提供さ
れ、Al−Li合金の実用化に有用である。
Li合金を熱間圧延する場合、耳割れ、圧延面割れなど
の割れ発生および縞模様などの表面欠陥の発生を防止す
ることができるAl−Li合金の熱間圧延方法が提供さ
れ、Al−Li合金の実用化に有用である。
【図1】Al−Li合金の加工温度と限界加工率の関係
を示すグラフである。
を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−166938(JP,A) 特開 平3−183750(JP,A) 特開 平6−158248(JP,A) 特公 昭64−1543(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21B 3/00 C22C 21/00 C22F 1/04
Claims (4)
- 【請求項1】 Al−Li合金を熱間圧延する方法にお
いて、Li0.5 〜3.0 %(wt%、以下同じ)を含有し、
さらにCu1.0 〜3.0 %(但し、Mgが含有されない場
合はCu1.5 〜5.5 %)、Mg0.5 〜2.0 %、Zr0.06
〜0.3 %、V0.06〜0.3 %、Mn0.06〜0.3 %、Cr0.
06〜0.3 %、Ti0.02〜0.3 %のうちの1種または2種
以上を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からな
るAl−Li合金の鋳塊を520±50℃の温度範囲に
加熱して、1〜24時間保持したのち、該温度範囲で熱
間圧延を開始し、250℃以上の温度で熱間圧延を終了
し、熱間圧延における1回の圧下量を、最終圧延を除い
て3〜30mmとし、総圧延回数のうち20%以上の回
数の圧延段階で、圧延板側面部にそれぞれ片側5〜50
mmの幅方向圧延を行うことを特徴とするAl−Li合
金の熱間圧延方法。 - 【請求項2】 Al−Li合金を熱間圧延する方法にお
いて、Li0.5 〜3.0 %を含有し、さらにZr0.06〜0.
3 %、V0.06〜0.3 %、Mn0.06〜0.3 %、Cr0.06〜
0.3 %のうちの1種または2種以上を含有し、残部がA
lおよび不可避的不純物からなるAl−Li合金の鋳塊
を、450℃±30℃の温度範囲に1〜30時間加熱し
たのち、520±50℃の温度範囲に加熱して、1〜2
4時間保持し、ついで該温度範囲で熱間圧延を開始し、
250℃以上の温度で熱間圧延を終了し、熱間圧延にお
ける1回の圧下量を、最終圧延を除いて3〜30mmと
し、総圧延回数のうち20%以上の回数の圧延段階で、
圧延板側面部にそれぞれ片側5〜50mmの幅方向圧延
を行うことを特徴とするAl−Li合金の熱間圧延方
法。 - 【請求項3】 請求項2において、Al−Li合金がL
i0.5 〜3.0 %を含有し、さらにZr0.06〜0.3 %、V
0.06〜0.3 %、Mn0.06〜0.3 %、Cr0.06〜0.3 %の
うちの1種または2種以上、Cu1.0 〜3.0 %(但し、
Mgが含有されない場合はCu1.5 〜5.5 %)、Mg0.
5 〜2.0 %のうちの1種以上およびTi0.02〜0.3 %を
含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなる組成
を有することを特徴とするAl−Li合金の熱間圧延方
法。 - 【請求項4】 前記Al−Li合金の鋳塊の圧延面およ
び側面が5mm以上切削され、粗度Raが2μm以下、
うねり200μm以下に仕上げられていることを特徴と
する請求項1〜3のいずれかに記載のAl−Li合金の
熱間圧延方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04125995A JP3197774B2 (ja) | 1995-02-06 | 1995-02-06 | Al−Li合金の熱間圧延方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04125995A JP3197774B2 (ja) | 1995-02-06 | 1995-02-06 | Al−Li合金の熱間圧延方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08206706A JPH08206706A (ja) | 1996-08-13 |
JP3197774B2 true JP3197774B2 (ja) | 2001-08-13 |
Family
ID=12603454
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP04125995A Expired - Lifetime JP3197774B2 (ja) | 1995-02-06 | 1995-02-06 | Al−Li合金の熱間圧延方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3197774B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4775911B2 (ja) * | 2007-06-28 | 2011-09-21 | 株式会社アルバック | アルミニウム−リチウム合金ターゲットの製造方法およびアルミニウム−リチウム合金ターゲット |
CN115418534B (zh) * | 2022-09-19 | 2023-05-09 | 郑州轻研合金科技有限公司 | 一种8090铝锂合金细晶板材及其制备方法 |
-
1995
- 1995-02-06 JP JP04125995A patent/JP3197774B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH08206706A (ja) | 1996-08-13 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US5055257A (en) | Superplastic aluminum products and alloys | |
EP0610006B1 (en) | Superplastic aluminum alloy and process for producing same | |
EP0097319B1 (en) | A cold-rolled aluminium-alloy sheet for forming and process for producing the same | |
EP0480402B1 (en) | Process for manufacturing aluminium alloy material with excellent formability, shape fixability and bake hardenability | |
TWI789871B (zh) | 沃斯田鐵系不鏽鋼帶的製造方法 | |
JPH07252573A (ja) | 靭性に優れたAl−Zn−Mg−Cu系合金及びその製造方法 | |
JPS59159961A (ja) | 超塑性Al合金 | |
JPH07252574A (ja) | 靭性に優れたAl−Cu−Mg系合金及びその製造方法 | |
CN111254324A (zh) | 一种Al-Mg-Si合金板材及其制造方法 | |
JPH0726342A (ja) | 冷間予成形可能な超塑性成形用アルミニウム合金板およびその製造方法 | |
EP0846781B1 (en) | Process of forming an aluminium sheet with excellent high speed superplastic formability | |
JP3197774B2 (ja) | Al−Li合金の熱間圧延方法 | |
JPS6318041A (ja) | アルミニウム箔地の製造方法 | |
JP3161141B2 (ja) | アルミニウム合金薄板の製造方法 | |
JPS5953347B2 (ja) | 航空機ストリンガ−素材の製造法 | |
JP3897926B2 (ja) | 成形性に優れたアルミニウム合金板の製造方法 | |
JP2001262265A (ja) | 高成形性アルミニウム合金板の熱間圧延材 | |
JP4996854B2 (ja) | 高温高速成形用アルミニウム合金材及びその製造方法、並びにアルミニウム合金成形品の製造方法 | |
JP3286119B2 (ja) | アルミニウム合金箔地及びその製造方法 | |
JPS63125645A (ja) | 微細結晶粒を有するアルミニウム合金材料の製造方法 | |
JP2945178B2 (ja) | 成形用アルミニウム合金板の製造方法 | |
JPH0718389A (ja) | 成形用Al−Mg系合金板の製造方法 | |
JP2858069B2 (ja) | 耐応力腐食割れ性高強度アルミニウム合金板およびその製造方法 | |
JP3539996B2 (ja) | 成形加工用高強度アルミニウム合金板の製造法 | |
JPH10216806A (ja) | Al−Mg系合金の熱間圧延方法 |