JP2000054094A - アルミニウム箔の製造方法 - Google Patents

アルミニウム箔の製造方法

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JP2000054094A JP22500098A JP22500098A JP2000054094A JP 2000054094 A JP2000054094 A JP 2000054094A JP 22500098 A JP22500098 A JP 22500098A JP 22500098 A JP22500098 A JP 22500098A JP 2000054094 A JP2000054094 A JP 2000054094A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 JIS1N30相当の組成であっても、箔圧
延及びピンホール特性を損なうことなく、箔を薄箔化で
きるアルミニウム箔の製造方法を提供する。 【解決手段】 Fe:0.3乃至1.0重量%、Si:
0.15重量%未満を含有し、残部がAl及び不可避的
不純物である組成のアルミニウム合金の溶湯を、凝固時
の冷却速度を0.3乃至3.0℃/secで半連続鋳造
し、面削した後、400乃至620℃の温度範囲で均質
化処理を施し、終了温度が200乃至260℃の温度範
囲となるように熱間圧延し、熱間圧延終了後に冷間圧延
を行い、300乃至450℃で中間焼鈍を施し、更に冷
間圧延をすることにより、粒径が0.1乃至0.8μm
以下の金属間化合物の平均粒子間距離が0.7乃至2.
5μmであるアルミニウム箔地を70乃至110℃の温
度範囲で箔圧延をする。そして、このアルミニウム合金
に添加されるCuの添加量が0.02重量%以下である
と共に、Tiの添加量も0.03重量%以下である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食品及びその他の
包装、フィルムコンデンサ、ラベル又はたばこ等に使用
される箔の製造方法に関し、特に箔厚が15μm以下の
極薄のアルミニウム箔用途に使用されるピンホール特性
が優れたアルミニウム箔の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、薄箔用のアルミニウム又はアルミ
ニウム合金は、箔地材料としては、JIS1N30等の
純アルミニウム、8079合金又は8021合金等が使
用されている。なお、以下、純アルミニウム及びアルミ
ニウム合金を総称してアルミニウムという。アルミニウ
ム箔地は、一般的に、これらのアルミニウム鋳塊に均質
化処理、熱間圧延、冷間圧延及び中間焼鈍を施し、ま
た、必要に応じてその後、冷間圧延を施すことにより製
造されている。
【0003】そして、得られたアルミニウム箔地に箔圧
延及び最終焼鈍を行うことによりアルミニウム箔が得ら
れる。ところで、5.5乃至7μmのアルミニウム箔が
実用化されているが、箔需要は6乃至7μmが大半であ
り、同じ厚さのアルミニウム箔は箔圧延での互換性の点
によりJIS1N30を使用したいとの要望が強い。一
般的に、箔厚の減少に伴う問題点としては、ピンホール
が著しく増加し、箔が本来有するべき性能である光、気
体及び液体等に対するバリアー性が低下すると共に、ピ
ンホールによる圧延中の箔切れが生じることが知られて
いる。
【0004】薄箔の仕上箔圧延は通常重合圧延により行
われ、ピンホールはマット面うねりの最大のところがブ
ライト面オイルピット等と連結して生ずることが知られ
ている。また、ピンホールはオイルピット面等の表面欠
陥と比べて、主にマット粗度に支配されることも知られ
ている。更に、オイルピットは圧延条件(リダクション
・バックテンション)に主に支配され、マット面は結晶
粒の自由変形により形成されると考えられ、箔地により
支配される要因が大きい(特公平3−60562号公
報、軽金属学会第70回予行集33,34,35)。
【0005】そこで、マット面粗度を低減させるべく、
Fe含有量の増加や均質化処理以降の製造条件変更によ
りFe固溶度を減少させ、結晶粒を微細化することによ
り加工硬化を抑制できる箔として特開昭63−2632
2号公報等に開示されている。また、他の元素を添加す
るものも知られていて、例えば、Ni、Mn及びCrの
添加により結晶粒の微細化及び加工硬化の抑制を発現す
ることができる箔として特開昭63−282228号公
報、特開昭63−282244号公報及び特開平8−3
3644号公報等に開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、Fe、
Ni、Mn、Crを添加するアルミニウム箔地では前述
のような互換性のメリットがない。また、JIS1N3
0相当の組成(Fe含有量のない場合)では、均質化処
理以降の製造条件変更により析出促進を行っても、箔厚
が6乃至7μmのアルミニウム箔を得る箔圧延において
は、大きな加工硬化の抑制効果を得られないばかりか、
工程変更によっては結晶粒が逆に大きくなってしまうこ
ともあり、ピンホールの発生量の増加及び箔断裂の頻発
を生じ易い等の問題があった。
【0007】本発明はかかる問題に鑑みてなされたもの
であり、JIS1N30相当の組成であっても、箔圧延
及びピンホール特性を損なうことなく、箔を薄箔化でき
るアルミニウム箔の製造方法を提供することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係るアルミニウ
ム箔の製造方法は、Fe:0.3乃至1.0重量%、S
i:0.15重量%未満を含有し、残部がAl及び不可
避的不純物である組成のアルミニウム合金の溶湯を、凝
固時の冷却速度を0.3乃至3.0℃/secで半連続
鋳造し、面削した後、400乃至620℃の温度範囲で
均質化処理を施し、終了温度が200乃至260℃の温
度範囲となるように熱間圧延し、熱間圧延終了後に冷間
圧延を行い、300乃至450℃で中間焼鈍を施し、更
に70乃至110℃の温度領域で冷間圧延をすることに
より、粒径が0.1乃至0.8μm以下の金属間化合物
の平均粒子間距離が0.7乃至2.5μmであるアルミ
ニウム箔地を70乃至110℃の温度範囲で冷間圧延を
することを特徴とする。
【0009】また、本発明においては、前記アルミニウ
ム合金に添加するCuの添加量が0.02重量%以下で
あると共に、Tiの添加量も0.03重量%以下である
ことが好ましい。
【0010】更に、本発明においては、鋳造凝固時の冷
却速度、均質化処理条件、冷間圧延率及び中間焼鈍条件
の制御により粒子間距離の適正化を図ることにより、箔
圧延性に優れ、箔圧延後、ピンホールの発生数が少ない
アルミニウム箔を得ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明者等らは、これまでのアル
ミニウム箔及び箔地に関する研究から、ピンホールを少
なくすることは、マット面粗度を低くすること、即ち、
仕上箔圧延時の変形ブロックを微小化することが必要で
あることを見出した。更には、マット面は結晶粒サイズ
のみではなく、転位セルサイズの自由変形によっても形
成されることも見出した。また、ピンホールを少なくす
るには、加工硬化を抑制することが有効であることは知
られているが、これは、転位整理によるサブグレイン化
により達成されていることも究明した。
【0012】そこで、前述の特性を発現するアルミニウ
ム箔地を開発するため、鋭意研究を重ねた結果、粒径が
0.1乃至0.8μmの金属間化合物の粒子間距離を転
位セルサイズに調整することが有効であることを見出し
た。また、JIS1N30組成の場合には、この粒子間
距離の適正化は、従来行われてきた均質化処理以降の製
造条件変更のみでは、調整困難であり、鍛造条件の適正
化と均質化処理以降の箔地製造条件を組合わせて制御す
ると共に、箔圧延の温度領域を管理することにより、そ
の目的が達成されることを見出した。本発明はこの知見
に基づいてなされたものである。
【0013】即ち、本発明においては、Fe:0.3乃
至1.0重量%、Si:0.15重量%未満を含有し、
残部がAl及び不可避的不純物である組成のアルミニウ
ム合金の溶湯を、凝固時の冷却速度を0.3乃至3.0
℃/secで半連続鋳造し、面削した後、400乃至6
00℃の温度範囲で均質化処理を施し、終了温度が20
0乃至260℃の温度範囲となるように熱間圧延し、熱
間圧延終了後に冷間圧延を行い、300乃至450℃で
中間焼鈍を施し、更に冷間圧延をすることにより、粒径
が0.1乃至0.8μm以下の金属間化合物の平均粒子
間距離が0.7乃至2.5μmであるアルミニウム箔地
を得る。このアルミニウム箔地を70乃至110℃の温
度範囲で箔圧延することによりアルミニウム箔を得る。
【0014】以下、本発明におけるアルミニウム箔の成
分限定理由について説明する。
【0015】Fe:0.3乃至1.0重量% Feは、アルミニウムへの固溶度が小さく、アルミニウ
ム中において他の元素と結合してAl−Fe系の金属間
化合物を生成する元素である。また、このAl−Fe系
の金属間化合物は再結晶の核として作用するために、F
e添加は結晶粒の微細化に効果がある。Fe含有量が
0.3重量%未満の場合では、鋳造時に晶出する金属間
化合物の数が不十分であり、結晶粒を微細化する効果を
得にくい。一方、Fe含有量が1.0重量%を超える場
合には、Al−Fe系の金属間化合物の数が多く形成さ
れるので、結晶粒の微細化効果は大きいが、箔圧延時の
変形抵抗が増大するため、圧延性が極端に低下する。従
って、Fe含有量は0.3乃至1.0重量%とする。
【0016】Si:0.15重量%未満 Siは、地金中の不可避的不純物の1つである。Si
は、粗大なAl−Fe−Si系金属間化合物を生成し易
く、ピンホールが増大する原因となるため、少ない方が
良い。このため、Si含有量は0.15重量%未満であ
ることが望ましい。
【0017】粒径が0.1乃至0.8μmの金属間化合
物の平均粒子間距離:0.7乃至2.5μm 粒径が0.1乃至0.8μmの金属間化合物は、主に析
出物であり、均質化処理、熱間圧延及び中間焼鈍にて生
成する。これらの金属間化合物の分布は、箔圧延中の転
位蓄積及び整理に作用するために、その後の重合圧延に
おけるセルオーダーの変形ブロックサイズに影響を及ぼ
す。変形ブロックサイズの金属間化合物の平均粒子間距
離が0.7μm未満の場合には、重合圧延前パスでピン
止めとなり、即ち、転位蓄積が過多となり、後の重合圧
延にて複数の転位セル単位での変形ブロックとなるため
に、マット面が粗くなり、ピンホールが多発する。一
方、変形ブロックサイズの金属間化合物の平均粒子間距
離が2.5μmを超える場合には、重合圧延前パスでの
転位整理は容易となり、単一セルでの変形ブロックとな
るが、粗大セルが形成され易いために、マット面が粗く
なり、ピンホールが多発する。従って、粒径が0.1乃
至0.8μmの金属間化合物の平均粒子間距離は0.7
乃至2.5μmとする。
【0018】箔圧延温度:70乃至110℃ 箔圧延温度は転位蓄積及び整理の程度に作用するため
に、その後の重合圧延における転位セルオーダーの変形
ブロックサイズに影響を及ぼす。箔圧延温度が70℃未
満の場合には、上がり前箔の転位整理を発現できず、後
の重合圧延にて複数の単位せる単位での変形ブロックと
なるために、マット面が粗くなり、ピンホールが多発す
る。一方、箔圧延温度が110℃を超える場合には、余
りに転位整理が容易になり過ぎ、上がり前々での転位消
滅を生じ、次の上がり前での転位蓄積を生じ、後の重合
圧延にて複数の転位セル単位での変形ブロックとなるた
めに、マット面が粗くなり、ピンホールが多発する。
【0019】Cu:0.02重量%以下 Cuは、アルミニウム中に固溶する元素であり、固溶硬
化によるO材強度の向上に有効であり、必要に応じて添
加しても良い。Cu含有量が0.005重量%未満の場
合には、固溶硬化が不十分であり、O材強度を向上する
強度を得にくい。一方、Cu含有量が0.02重量%を
超える場合には、固溶硬化の程度が大きすぎ、箔圧延時
の変形抵抗が増大するため、圧延性が極端に低下する。
従って、Cuは、0.02重量%以下であれば、必要に
応じて添加しても良い。
【0020】Ti:0.03重量%以下 Tiは、Al−Ti又はAl−Ti−B母合金として添
加され、鋳塊組織を微細化するために使用される。箔圧
延後に筋模様が問題となる場合には、0.03重量%以
下の範囲で添加しても良いが、添加しないで羽毛状晶と
した方が鋳塊で晶出する金属間化合物が微細になるた
め、筋模様に支障がなければTiは少ない方が好まし
い。従ってTiは、0.03重量%以下であれば、必要
に応じて添加しても良い。
【0021】不可避的不純物 アルミニウムに含有する前記以外の不可避的不純物とし
ては、Mn,Mg,Zn,Cr,V,Zr,Bi,S
n,In,Pb等が挙げられるが、JIS1100及J
IS1N30程度の含有範囲であれば本発明の目的を損
なうものではない。
【0022】次に、本発明におけるアルミニウム箔の製
造方法における条件処理の限定理由について説明する。
【0023】凝固時の冷却速度:0.3乃至3.0℃/
sec 前述のように、箔として優れたピンホール特性を発現す
るためには、箔地で粒径が0.1乃至0.8μmの金属
間化合物の平均粒子間距離を適性化する必要がある。こ
の粒子間距離の適性化は、従来行われてきた均質化処理
以降の製造条件の変更のみでは調整困難であり、鋳造条
件の適正化と均質化処理以降の箔地製造条件を組合わせ
て制御することにより、その目的は達成される。即ち、
凝固時の冷却速度を適正化することは粒子間距離を適正
化することとなり、ピンホールの低減に寄与する。
【0024】凝固時の冷却速度が3.0℃/secを超
えた場合には、造塊されたスラブは、その後の均質化処
理、熱間圧延処理及び中間焼鈍により、過飽和固溶した
Feが微細析出物として排出され、粒径が0.3μm以
下の析出物数を極端に増加させ、粒径が0.1乃至0.
8μmの金属間化合物の平均粒子間距離が狭くなり、ピ
ンホールの多発を招く。一方、0.3℃/sec未満の
場合には、グラススクリーン内で浮遊晶を生じるため、
圧延用スラブとして造塊することは困難である。従っ
て、凝固時の冷却速度は0.3乃至3.0℃/secと
する。好ましくは、凝固時の冷却速度は0.3乃至2.
4℃/secである。
【0025】均質化処理:400乃至620℃ 本発明の組成及び造塊条件のスラブを面削した後、均質
化処理を施す。この均質化処理は、固溶及び析出調整を
目的として行われ、粒径が0.1乃至0.8μmの金属
間化合物の平均粒子間距離を適正化する重要な処理であ
り、ピンホールの低減に寄与する。均質化処理温度が4
00℃未満の場合には、固溶元素の析出による析出数が
不十分となり、粒子間距離を広くするため、ピンホール
の多発を招く。なお、長時間の焼鈍を行う場合には均質
化処理温度が400℃未満でも固溶元素が充分に析出す
るが、生産効率が悪くなるために好ましくない。一方、
均質化処理温度が620℃を超える場合には、固溶元素
の析出による析出数が不十分となり、粒子間距離を広く
するため、ピンホールの多発を招く。従って、均質化処
理温度は、400乃至620℃とする。この均質化処理
時間は特に規定するものではないが、2時間以上行うこ
とが好ましい。
【0026】中間焼鈍:300乃至450℃ 前述の均質処理の後、熱間圧延し、次に冷間圧延を施
し、更に中間焼鈍する。この焼鈍は固溶元素の析出及び
再結晶を目的として行われるものであるが、前述の粒子
間距離は、中間焼鈍温度に影響される。中間焼鈍温度が
300℃未満の場合には、固溶元素の析出による析出数
が不十分となり、粒子間距離を広くするため、ピンホー
ルの多発を招く。なお、長時間の焼鈍を行う場合には中
間焼鈍温度が300℃未満でも固溶元素が充分に析出す
るが、生産効率が悪くなるために好ましくない。一方、
中間焼鈍温度が450℃を超える場合には、固溶元素の
析出による析出数が不十分となり、粒子間距離を広くす
るため、ピンホールの多発を招くと共に、平均結晶粒径
が粗大化し、O材強度も不足する。従って、中間焼鈍温
度は300乃至450℃とする。この中間焼鈍時間は特
に規定するものではないが、2時間以上行うことが好ま
しい。
【0027】
【実施例】以下、本発明に係る製造方法により製造され
たアルミニウム箔の実施例について、比較例と比較して
具体的に説明する。
【0028】第1実施例 下記表1乃至2に示す組成を有するアルミニウム溶湯を
表1に示す凝固時の冷却速度で半連続鋳造し、スラブを
面削した後、550℃の温度で5時間の均質化処理を行
い、その直後に熱間圧延を開始し、240℃で熱間圧延
を終了し、板厚5mmのアルミニウム板を得た。その
後、圧延率86%で冷間圧延を行い、得た板を375℃
の温度で4時間の中間焼鈍を行った。更に、冷間圧延し
て、厚さが0.3mmのアルミニウム箔地を製作した。
得られたアルミニウム箔地を表1に示す温度で箔圧延
し、最終焼鈍することにより厚さが6μmのアルミニウ
ム箔を製作した。
【0029】得られたアルミニウム箔地を、箔圧延時に
おける圧延性について評価した。但し、圧延性評価欄に
おいて、○(良好)は圧延時において円滑に圧延できた
ことを示し、×(不良)は同一圧延条件において、薄肉
化が困難であるか、強度不足により圧延速度を速くでき
ない又は板厚分布等の平面性制御が困難等のトラブルが
発生する傾向が強いことを示す。また、造塊時に浮遊晶
の発生により、圧延用としてスラブが取れなかったもの
も×(不良)とした。
【0030】また、箔圧延温度は、先進率、張力、パス
スケ及び圧延荷重を制御することにより温度管理を行
い、各箔圧延パス終了後のコイル温度を接触温度計にて
実測し、その中での最高温度とした。
【0031】更に、最終焼鈍の6μmのアルミニウム箔
について、ピンホール検知機により1m3当たりのピン
ホール数(直径5μm以上のもの)を測定した。ピンホ
ールは100個/m2以下が優れる。
【0032】なお、表中の凝固時の冷却速度、粒子間距
離及び平均結晶粒径は以下により測定した。凝固時の冷
却速度は、造塊後の鋳塊により湯底側の定常部を採取
し、次に長辺面中央部の表皮より100mmの位置より
小片を採取し、更に電解研磨の後に交線法と二次枝法に
てDASを測定することにより算出した。詳細には、軽
金属学会の研究報告書No.20「アルミニウムのデント
ライトアームスペーシングと冷却速度の測定法」に記載
の方法にて行い、交線法と二次枝法との測定値補正は数
式1に示される経験式を使用した。凝固時の冷却速度の
算出については、Fe量が0.65重量%以下の場合は
数式2を使用し、Fe量が0.65重量%を超える場合
は数式3を使用して算出する。
【0033】
【数1】dr=1.49×ds dr:交線法によるDAS、ds:二次枝法によるDA
【0034】
【数2】ds=33.4×C-0.33 C:凝固時の冷却
速度
【0035】
【数3】ds=77×C-0.42 C:凝固時の冷却速度
【0036】平均粒子間距離は、粒径が0.1乃至0.
8μmの金属間化合物の平均粒子間距離である。この平
均粒子間距離は、透過型電子顕微鏡と画像処理装置を使
用し、測定した。即ち、アルミニウム箔地より7.5m
m角の小片を採取し、箔厚0.1mmに研磨後、直径3
mmの円盤状に打ち抜く。これを温度350℃、時間5
分の条件で転位除去処理を行い、次に、ジェット研磨に
より箔厚が5μmの観察サンプルを作製した。これらを
倍率10000倍にて析出物の観察をし、総面積が35
12μm2になる視野数の写真を撮影した。また、この
観察の際に、フリンジ法により観察点の厚さも測定する
ことにより、観察体積を算出した。更に、この観察体積
と画像処理によりカウントした粒径が0.1乃至0.8
μmの総金属間化合物の数とにより平均粒子間距離を算
出した。
【0037】上述の圧延評価基準、ピンホール特性及び
O材強度の測定条件に基づいて評価し、又は測定した結
果を表2に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】上記表2に示すように、実施例のNo.1乃
至6は、良好な圧延性を得た。また、ピンホール数及び
O材強度に関しても実施例No.1乃至6は、好ましい値
であり、全体に亘って良好なアルミニウム箔を得ること
ができた。
【0041】一方、比較例No.20は、ピンホール数は
良好な数であるものの、過剰なFeの添加により圧延性
が低下した。比較例No.21は、圧延性は、良好であっ
たが、Feの添加不足により結晶粒を微細にすることが
できないために、ピンホール数が実施例に比べて劣っ
た。比較例22及び24は、圧延性は良好であったが、
比較例No.22は過剰なSiの添加により、比較例No.2
4は過剰なTiの添加により、多量のピンホールが発生
した。比較例No.23は、過剰なCuの添加により、圧
延性が不良であると共に、ピンホールの発生量が多かっ
た。
【0042】比較例26、28、30及び32は、圧延
性及びO材強度は良好であるものの、鋳造凝固時の冷却
速度が請求項に規定された範囲より速すぎ、粒子間距離
が狭くなったために、マット面が粗くなり、極めて多量
のピンホールが発生した。比較例25、27、29及び
31は、鋳造凝固時の冷却速度が請求項に規定された範
囲より遅すぎ、グラススクリーン内で浮遊晶を生じたた
めに、圧延用スラブが製作できなかったものである。比
較例No.33及び34は、箔圧延温度が請求項に規定す
る範囲から外れているためにピンホールが多発した。
【0043】第2実施例 表1及び表2に示す実施例No.1、4及び6と組成及び
凝固時の冷却速度がそれぞれ同じ鋳塊について、面削し
た後、表3に示す均質化処理を施し、その直後に熱間圧
延を開始し表3に示す温度で圧延を終了し、板厚5mm
のアルミニウム板を得た。冷間圧延して、厚さ0.3m
mのアルミニウム箔地を製作した。得られたアルミニウ
ム箔地を表3に示す温度で箔圧延し、最終焼鈍すること
により、厚さが6μmのアルミニウム箔を製作した。
【0044】前述の第1実施例と同様に粒子間距離及び
圧延評価基準並びにピンホール特性の測定条件に基づい
て評価及び測定した結果を表3に示す。
【0045】
【表3】
【0046】表3に示すように、本実施例の実施例No.
7乃至12については、良好な圧延性を得た。また、ピ
ンホール数についても同様に実施例No.7乃至12につ
いては、好ましい値であり、全体に亘って良好な箔を得
ることができた。
【0047】一方、比較例No.35乃至43は、圧延性
については良好であった。しかしながら、比較例No.3
5乃至43においては、均質化処理温度又は中間処理温
度が請求項に規定する範囲から外れているために、粒子
間距離が広くなり、よってマット面が粗くなり、ピンホ
ールが多発した。また、比較例No.44及び45は、箔
圧延温度が請求項に規定する範囲から外れるためにピン
ホールが多発した。
【0048】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、鋳
造凝固時の冷却速度、均質化処理条件、冷間圧延率及び
中間焼鈍条件の制御により粒子間距離の適正化を図るこ
とにより、箔圧延性に優れ、箔圧延後、ピンホールの発
生数が少ないアルミニウム箔を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22F 1/00 661 C22F 1/00 661Z 681 681 682 682 683 683 686 686B 691 691B 692 692A 694 694B (72)発明者 星野 晃三 栃木県真岡市鬼怒ヶ丘15番地 株式会社神 戸製鋼所真岡製造所内 Fターム(参考) 4E002 AA08 AD04 AD05 AD13 BC07 BD09 CB03 CB10

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Fe:0.3乃至1.0重量%、Si:
    0.15重量%未満を含有し、残部がAl及び不可避的
    不純物である組成のアルミニウム合金の溶湯を、凝固時
    の冷却速度を0.3乃至3.0℃/secで半連続鋳造
    し、面削した後、400乃至620℃の温度範囲で均質
    化処理を施し、終了温度が200乃至260℃の温度範
    囲となるように熱間圧延し、熱間圧延終了後に冷間圧延
    を行い、300乃至450℃で中間焼鈍を施し、更に冷
    間圧延をすることにより、粒径が0.1乃至0.8μm
    以下の金属間化合物の平均粒子間距離が0.7乃至2.
    5μmであるアルミニウム箔地を70乃至110℃の温
    度範囲で箔圧延をすることを特徴とするアルミニウム箔
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記アルミニウム合金に添加するCuの
    添加量が0.02重量%以下であることを特徴とする請
    求項1に記載のアルミニウム箔の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記アルミニウム合金に添加するTiの
    添加量が0.03重量%以下であることを特徴とする請
    求項1又は2に記載のアルミニウム箔の製造方法。
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