JP3587993B2 - 深絞り成形用アルミニウム合金板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高強度および高展延性を有し、アルミニウム合金製飲料缶などの深絞り成形に際して耳率を著しく低減できる深絞り成形用アルミニウム合金板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
缶入り飲料などの需要増大に伴い、最近ではその容器として好適なアルミニウム合金製のいわゆるDI(Deep Drawing&Ironing)缶が大量に生産されるようになっている。このアルミニウム合金製DI缶の本体の一般的な製造方法としては、アルミニウム合金板を多段に深絞り加工し、さらにしごき加工を行って缶本体を成形し、焼付け塗装後に、耐圧強度の向上や比較的高価な蓋部材の材料の使用量を削減するために縮径するネック加工を行う。ここで使用するアルミニウム合金板には、製缶後の十分な強度と、多段深絞りやしごきに耐える成形性とが共に要求される。
一般に、深絞り用アルミニウム基合金としては、Al−Mn−Mg系の、例えばAA3004合金などが広く用いられている。この合金から深絞り用アルミニウム合金板を製造するには、先ず半連続鋳造法で得た厚さ550〜600mmの鋳塊を熱間圧延し、次に(a)熱間圧延した板材を中間焼鈍し、または(b)中間焼鈍せず、または(c)熱間圧延した板材を冷間圧延して適度な板厚の板材とし、この冷間圧延後の板材に中間焼鈍を施し、さらに要求される強度に応じて冷間圧延による硬化2処理が行われる。この場合、大きな鋳塊を熱間圧延しなければいけないので、大規模かつ高価の熱間圧延機が必要となる。この問題点を解決するために、熱間圧延後の工程は前記の半連続鋳造法の(a)〜(b)と同じであるが、近年連続鋳造法で得た厚さ20mm程度の鋳造ストリップを熱間圧延する製造工程も採用されてきた。
【0003】
これらの深絞り成形用アルミニウム合金板の製造工程において、板材の強度を向上させるためには冷間圧延における冷間圧下率を高くする必要がある。しかし冷間圧下率を上げると、いわゆる圧延集合組織が発達し、塑性変形に際して異方性が顕著に現れるようになり、深絞り成形したときの板材の圧延方向に応じて、成形した缶本体の上縁の高さが山谷状に変化する現象が起こる。この山谷状に変形した部分は通常、「耳」と呼ばれている。深絞り成形後の缶体は、次いでしごき加工を行った後に、蓋部材を取付けるために開口部を水平に切断し缶高を揃えるトリム加工が行われる。このトリム加工の際には上記した耳も除去されるので、耳の高さが高いと、除去すべき板材の量割合(以下「耳率」という)が増大し、歩留りが低下して製造コストが上昇するという問題がある。特に、前記連続鋳造法で得た鋳造ストリップにより作製した板材は、上記耳率が高い。そこで、低耳率となる板材が求められた。
【0004】
一般にアルミニウム合金板を冷間圧延すると、圧延方向に対して45〜60゜の方向に耳の山となる圧延集合組織が発達する傾向がある。そこで、耳率を低下させるには圧延集合組織の発達を抑制する必要がある。これは冷間圧延前の板材における再結晶集合組織の生成状態を制御することによって達成できることがわかっている。すなわち、一般には、冷間圧延以前に、0〜90゜の方向に深絞り耳を生じるような、「立方体方位」と呼ばれる再結晶集合組織を発達させる方法が用いられる。立方体方位が発達すると0〜90゜方向の耳を生じることになるが、その後の冷間圧延によってこの方向の耳はあまり発達せず、一方、45゜耳を生成する圧延集合組織の発達も抑制され、結果として、開口部周縁における耳の山が均一化されることになる。この方法によって、圧下率80%以上の冷間圧延の後に、僅かな0〜90゜耳と45゜耳とが混在する低耳性板材が得られるようになった。
【0005】
前記の立方体方位の再結晶集合組織を発達させる具体的な方法としては、半連続鋳造法で得た鋳塊の場合、熱間圧延時の諸条件を調節し、熱間圧延後に巻き取ったコイルが冷却するまでの間、あるいは巻き取ったコイルを焼鈍する際に生じる再結晶を制御する方法(特開平5−125500号公報)が知られている。この方法では、熱延時またはその後の冷却中に再結晶した熱間圧延板、または中間焼鈍を施すことにより再結晶した熱間圧延板に冷間圧延を施す。現在、DI缶用として主に用いられている板材の厚さは約0.3mm程度であるので、この方法を適用して最終の冷間圧下率を80〜90%とする場合には、熱間圧延により板厚が1.5〜3mmとなるように圧延する必要がある。そこで普通、リバース式熱間圧延機を用いて圧延した後にさらにタンデム式の仕上用熱間圧延機または圧延機の両側にコイル巻取り装置を装備したリバース式熱間仕上圧延機を用いて圧延する方法が用いられる。しかしこれらの熱間仕上圧延機は、前述したように、大規模で、かつ高価であり、これを用いることによる製造コスト上の負担が大きい。 更に、缶用素材の薄肉化に伴い、圧延ロールやパス間での温度低下の影響が大きくなり、適切な熱間圧延条件を維持するためには設備能力を更に増大させる必要があって一層コストが嵩む傾向にあった。
【0006】
一方、連続鋳造法で得た鋳造ストリップの場合、前記半連続鋳造法で得た鋳塊と同様に、熱間圧延時の諸条件を調節し、熱間圧延後に巻き取ったコイルが冷却するまでの間、あるいは巻き取ったコイルを焼鈍する際に生じる再結晶を制御し、さらに中間焼鈍と冷間圧延時の圧下率を調節する方法(特開平4−503534号公報)が知られている。しかし、この方法では、最終冷間圧延時の圧下率が50%以上に高くなると、耳率が、前記半連続鋳造工程で作製した缶用合金板より顕著に高くなるうえに、0〜90゜耳と45゜耳とが混在する低耳板材が得られないため、冷間加工による強度向上に限度がある。また、熱間圧延の制御も厳しくコストが高くなる傾向があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、最近、経済的およびデザイン的な要求からDI缶用素材の薄肉化に関する要求は一層高まる傾向にあり、耳率が低く、かつ低コストで製造できる深絞り成形用アルミニウム合金板が求められている。
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであって、従ってその目的は、低コスト化が可能な連続鋳造法で得た比較的薄い鋳造ストリップを用いて、半連続鋳造法で得た鋳塊を用いて製造した缶用板材の同等以上に、深絞り成形時の耳率を低減できる深絞り成形用アルミニウム合金板の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために本発明のうち第1の発明は、深絞り成形用アルミニウム合金板の製造方法において、
(1)質量%(以下同じ)で、Mg:0.8%〜1.5%、Mn:0.8%〜1.5%、Fe:0.3%〜0.6%、Si:0.1%〜0.4%、Cu:0.05%〜0.4%を含有し、残部がAlと不可避不純物とからなる組成を有するアルミニウム合金溶湯をストリップキャスターにて厚さ15〜30mmの鋳造ストリップに鋳造し、
(2)前記鋳造ストリップを、熱間圧延工程により厚さ1.5mm〜3.5mmまで熱間圧延して、第2厚さのアルミニウム合金板を得、
(3)前記熱間圧延板に昇温速度が10℃/時間〜100℃/時間、焼鈍温度が350℃〜450℃、焼鈍時間が4時間〜16時間の中間焼鈍を行い、
(4)前記焼鈍板を圧下率50%〜90%の範囲内で冷間圧延して第3厚さのアルミニウム合金板を得、
(5)前記第3厚さの冷間圧延板に昇温速度が10℃/秒〜250℃/秒、焼鈍温度が280℃〜400℃、焼鈍時間が1秒〜30秒、冷却速度が10℃/秒〜250℃/秒の中間焼鈍を行い、
(6)前記焼鈍板を圧下率5%〜30%範囲内で冷間圧延して第4厚さのアルミニウム合金板を得、
(7)前記第4厚さの冷間圧延板材に昇温速度が10℃/時間〜100℃/時間、焼鈍温度が300℃〜450℃、焼鈍時間が2時間〜24時間の中間焼鈍を行い、
(8)前記焼鈍板を、圧下率50%〜90%範囲内で最終厚さまでに冷間圧延することを特徴とする。
【0011】
本製法によれば、連続鋳造法で得た比較的薄い鋳造ストリップを基材として比較的小型かつ廉価な熱間圧延機を用いて缶用板材を製造しても、深絞り成形時の耳率を、半連続鋳造法で得た大型鋳塊を用いて大型かつ高価な熱間圧延機によって製造した缶用板材の同等以上に低減でき、しかも強度と成形性とが両立した缶用アルミニウム合金板材が得られる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図1に基づき詳しく説明する。
本発明の深絞り成形用アルミニウム合金板の製造方法は、基本的に、連続鋳造法で製造された15mm〜30mm厚(第1厚さ)の鋳造ストリップを基材として得る(1)の工程と、それぞれ特定の条件に設定された以下の各工程を経ることを内容としている。
(2):1.5mm〜3.5mm(第2厚さ)までに熱間圧延する熱間圧延工程、
(3):第1中間焼鈍工程、
(4):第3厚さまでに冷間圧延する第1冷間圧延工程、
(5):第2中間焼鈍工程、
(6):第4厚さまでに冷間圧延する第2冷間圧延工程、
(7):第3中間焼鈍工程、および
(8):製品厚さまでに冷間圧延する最終冷間圧延工程を順次経由する。
以下、各工程について具体的に説明する。
【0013】
(アルミニウム合金)
先ず、本製法に用いるアルミニウム合金の組成としては、深絞り成形に適したものが選択されるが、重量%で、Mgを0.8%〜1.5%、Mnを0.8%〜1.5%、Feを0.3%〜0.6%、Siを0.1%〜0.4%、Cuを0.05%〜0.4%、残り不可避不純物とAlを含むものが好適である。この基本的な組成は、リサイクルされたアルミニウム缶を原料として経済的にかつ効率よく本合金板を製造するのに適したものである。
このうちMgは、固溶体硬化作用を有し、圧延による加工硬化性を高めると共に、SiやCuと共存することによって析出硬化作用を現す。その含有量は、0.8重量%未満では所望の強度が得られず、1.5重量%を越えると加工性が低下するようになる。
Mnは、Fe、Si、Alなどと化合物を形成し易く、晶出相および分散相となって分散硬化作用を現すと共に、しごき成形時のダイスに対する焼付きを防止する効果がある。その含有量は、0.8重量%未満では所望の硬化特性が得られず、1.5重量%を越えると加工性が劣化する。
Feは、結晶の微細化およびしごき成形時のダイスに対する焼付きを防止する効果がある。その含有量は、0.3重量%未満では所望の効果が得られず、0.6重量%を越えると加工性を劣化させる。
Siは、同時に含有するMgと化合物を形成し易く、固溶体硬化作用および析出硬化作用を有する他、Al、Mn、Feなどと化合物を形成し、しごき成形時のダイスに対する焼付きを防止する効果がある。その含有量は0.1重量%未満では所望の潤滑特性を確保することができず、また0.4重量%を越えると加工性が劣化して不都合である。
Cuは、Mg、Alと化合物を形成し易く、固溶体硬化および析出硬化に寄与する。その含有量は、0.05重量%未満では所望の効果が得られず、0.4重量%を越えると加工性を劣化させる。
また、必須とはしないが、前記のMg、Mn、Fe、SiおよびCuに加えて、さらに、Crを0.25重量%以下、Znを0.05〜0.25重量%、Tiを0.2重量%以下の範囲内で添加してもよい。
このうちCrは、熱間圧延後の再結晶を抑制する作用を有する。ただしその含有量が0.25重量%を越えるとかえってこの作用が低下する。
Znは、Mg、Si、Cuの析出物を微細化する作用を有する。その含有量は、0.05重量%未満では所望の効果が得られず、0.25重量%を越えると耐食性を劣化させる。
Tiは、結晶粒を微細化して加工性を改善する効果がある。ただし、その含有量は0.2重量%を越えると、粗大な化合物を生成し、かえって加工性を劣化させる。
【0014】
(1)鋳造ストリップの製造
本発明は、上記組成等からなるアルミニウム合金を用いて帯板材を製造するに際し、該合金溶湯からストリップキャスターを用いて比較的厚さの薄い第1厚さの帯板材を得る。具体的には、15〜30mm厚の鋳造ストリップを連続鋳造により連続的に得ることができる。この工程に用いられるストリップキャスターには、ブロックキャスター、ベルトキャスター等、いくつかの構造のものが知られているが、本発明としては特定の構造のものに限定されるものではなく、要は、上記厚さ以下で鋳造ストリップを製造できるものであればよい。
なお、鋳造ストリップの厚さについては、後工程における熱間圧延で鋳造組織を破壊するように圧下率を80%位とるため15mm以上の厚さが必要であり、一方、厚さが30mmを超えると熱間圧延での圧下率が大きくなりすぎて負担が大きくなるので、15〜30mmの範囲に定める。
なお、上記鋳造における凝固速度は特に限定しないが、5〜40℃/秒の範囲内で制御することが好ましい。
【0015】
(2)熱間圧延工程
次に、上記鋳造ストリップを熱間圧延する(2)の熱間圧延工程は、前記の鋳造された第1厚さのアルミニウム合金板材(鋳造ストリップ)を熱間圧延して1.5mm〜3.5mm厚の第2厚さの板材を形成するために行われる。ここで板厚が1.5mmより薄くなると、熱間圧延以降の第一中間焼鈍工程から最終冷間圧延工程に至る間での制御が困難となり、耳率が高くなる。また板厚が3.5mmを超えて厚くなると、冷間圧延工程の負担が重くなり、全体製造工程の効率が低下する。なお、同様の理由で第2厚さは、下限を1.9mm、上限を3.3mmとするのが望ましい。また本発明は、上記板厚範囲への熱間圧延工程を比較的小型かつ廉価な熱間圧延機を用いて行い得ることが特長である。さらにこの熱間圧延工程においては、圧延終了後にコイルとして板材を巻き取る温度、巻き取られた板材の冷却速度などは特に制御しなくてもよいことも一つの特徴である。
【0016】
(3)第1中間焼鈍工程
次に、上記(3)の工程である第1中間焼鈍工程では、(2)の工程で熱間圧延された板材を軟化させるために、または熱間圧延材のAl−Mn−Fe系化合物のサイズを適切な範囲に制御するために処理が行われる。この際に、焼鈍温度を350℃〜450℃の範囲内、焼鈍時間を4時間〜16時間の範囲内とすることが好ましい。これは、焼鈍温度が低く、焼鈍時間が短くなると、軟化が不十分なために、またはAl−Mn−Fe系化合物のサイズが小さすぎるために、最終冷間圧延後の板材の耳率が高くなるからであり、また、焼鈍温度が高く、焼鈍時間が長くなると、耳率の低下が飽和するうえに生産効率が低下するからである。またこの中間焼鈍工程において、昇温速度を10℃/時間〜100℃/時間の範囲内に調節することが好ましい。これは、昇温速度が100℃/時間を超えると、Al−Mn−Fe系化合物が成長しにくくてサイズが小さすぎ、また昇温速度が10℃/時間未満になると、生産効率が低下するからである。
【0017】
(4)第1冷間圧延工程
次に、上記(4)の工程であって、アルミニウム合金板を前記2厚さから第3厚さにまで冷間圧延する第1冷間圧延工程は、前記の第1中間焼鈍工程で軟化させた板材を、望ましくは圧下率が50〜90%の範囲内となるように冷間圧延する。このときのパス数は適宜選択できる。この工程における圧下率が50%未満では耳率が大となる。なお、圧下率は高いほど、後工程の第2中間焼鈍工程において0〜90゜耳となる立方体方位組織が多く生成されるが、圧下率が90%を越えると、サイドクラックが起こるようになり、最終冷間圧延工程における圧下率が低下し、十分な加工硬化が得られなくなるので、上記した圧下率範囲が望ましい。
【0018】
(5)第2中間焼鈍工程
次に、上記(5)の工程であって、第3厚さの冷間圧延板を中間焼鈍する第2中間焼鈍工程では、前記冷間圧延後の板材を、A条件により焼鈍する。ただし、
A条件:昇温速度が10℃/秒〜250℃/秒範囲内、焼鈍温度が280℃〜400℃範囲内、焼鈍時間が1秒〜30秒範囲内
第2中間焼鈍工程は、板材を半軟化状態にもたらすものであって、焼鈍前の引張強さをTSH、完全焼鈍材の引張強さをTSO、半軟化焼鈍後の引張強さをTSとすると、
(TSH−TS)/(TSH一TSO)×100(%)=40〜88% 式1
式1が成立するように焼鈍することが好ましい。この条件は満足できないと、軟化が不十分または過剰となり、耳率が高くなる。
A条件は連続焼鈍ライン(CAL)に適切なものである。これらの条件を満足できないと、軟化が不十分または過剰となり、製品の耳率が高くなる。
【0019】
(6)第2冷間圧延工程
次に、上記(6)の工程であって、アルミニウム合金板を前記3厚さから第4厚さにまで冷間圧延する第2冷間圧延工程は、第2中間焼鈍工程で軟化させた板材を、望ましくは圧下率が5〜30%の範囲内となるように冷間圧延する。このときのパス数も適宜選択できるができるだけ少ないパス数が望ましい。実際上、圧下率が10〜20%の範囲内において後述する第3中間焼鈍後の0〜90゜耳が最も高くなることがわかった。圧下率が5%未満では工程全体としての圧延パス数が増大して生産効率が低下する可能性があり好ましくない。一方、圧下率が30%を越えると、耳率が高くなるので上記範囲内が望ましい。
【0020】
(7)第3中間焼鈍工程
(7)の工程である第3中間焼鈍工程は、前記の第2冷間圧延工程を経た板材を、望ましくは、昇温速度が10℃/時間〜100℃/時間の範囲内、焼鈍温度が300℃〜450℃の範囲内、焼鈍時間が2〜24時間の範囲内で焼鈍する工程である。この工程は、前記(2)から(6)の工程を順次経た板材を完全に再結晶させ、立方体方位組織を十分に発達させ、高い0〜90゜耳が発生する軟質材を得る工程である。この際、焼鈍温度に達するまでの昇温速度は、10℃/時間〜100℃/時間とすることが好ましい。これは、昇温速度が100℃/時間を超えると、再結晶が十分になされず、昇温速度が10℃/時間未満になると、生産効率が低下するためである。また、焼鈍温度が300℃未満または焼鈍時間が2時間未満では焼鈍の効果が不十分であり、耳率改善効果が得られない。焼鈍温度が450℃を越え、または焼鈍時間が24時間を越えても、耳率は更には改善されず、生産効率が低下する他、表面酸化などの弊害が生じ易くなるので上記焼鈍温度、焼鈍時間範囲が望ましい。
【0021】
(8)最終冷間圧延工程
前記(8)の工程である最終冷間圧延工程では、第3中間焼鈍後の板材を、所定の板厚(最終板厚)となるように、望ましくは50〜90%の圧下率範囲内で冷間圧延する。この工程を経た後に板材は所定の板厚の本合金板としてコイルに巻き取られ、製品化される。
この工程における圧下率が50%未満では、生産効率は高まるが缶体成形時やネック成形時に加工硬化を生じ易くなり、圧下率が90%を越えると耳率が高くなるので、この範囲内の圧下率が望ましく、この範囲内では、耳率と耐力とのバランスを考慮してパス数、圧下率を定めることができる。
【0022】
【実施例】
次に、本発明を実施例により更に詳しく説明する。
重量%で、Mg:1.47%、Mn:0.99%、Fe:0.57%、Si:0.35%、Cu:0.39%を含有し、残部がAlと不可避不純物からなる組成を有するアルミニウム合金の溶湯を、ベルトキャスターと呼ばれるストリップキャスターにより鋳造ストリップに鋳造し、板厚18mm程度の板材(第1厚さ)を得、それを更に熱間圧延により板厚2.6mmまたは3.2mmの板材(第2厚さ)とした。さらに、第2厚さの板材について、表1に示す条件で順次、第1中間焼鈍工程、第1冷間圧延工程、第2中間焼鈍工程、第2冷間圧延工程、第3中間焼鈍工程および最終冷間圧延工程を施し、深絞り成形用アルミニウム合金板を製造した。表記以外の各工程の条件は全試料共通に下記の通りとした。
第1中間焼鈍工程:昇温速度は平均50℃/時間、焼鈍温度は400℃±3℃とし、この温度範囲に4時間保持して焼鈍を行った。
第2中間焼鈍工程:A昇温速度は平均195℃/秒とし、連続焼鈍ラインにて、またはB昇温速度は平均50℃/時間とし、バッチ式焼鈍炉にて行った。
第3中間焼鈍工程:バッチ式焼鈍炉を用い、平均加熱速度は50℃/時とした。
最終冷間圧延工程:表1の「最終冷延率」によって、板厚0.28mmの深絞り成形用アルミニウム合金板を製造した。
【0023】
上記により得られた深絞り成形用アルミニウム合金板について深絞り試験および耐力測定試験を行った。
具体的には、「耳率」は、深絞り加工、によって絞られたカップについて、下式
耳率=耳の高さ÷カップ高さ×100(%)
により計算した。
耐力は、前記の深絞り成形用アルミニウム合金板を焼付塗装の焼付け条件に相当する210℃で10分間の加熱を行った後、JIS13B号引張試験片に加工し、JIS B7771に従って0.2%耐力を求めた。
これらの結果を表1に示す。
【0024】
【表1】
【0025】
上記表1の結果から、本発明の条件を充たす実施例1〜実施例8の深絞り成形用アルミニウム合金板は、いずれも優れた耐力を維持したまま2.1〜2.6%の低い耳率を示した。これに対し、本発明の条件から外れた実施例9〜実施例11(二回中間焼鈍材)および実施例12(一回中間焼鈍材)は、耳率が4.8〜6.7となって、いずれも実施例1〜8より著しく劣っていることが明らかとなった。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の深絞り成形用アルミニウム合金板の製造方法によれば、
(1)質量%(以下同じ)で、Mg:0.8%〜1.5%、Mn:0.8%〜1.5%、Fe:0.3%〜0.6%、Si:0.1%〜0.4%、Cu:0.05%〜0.4%を含有し、残部がAlと不可避不純物とからなる組成を有するアルミニウム合金溶湯をストリップキャスターにて厚さ15〜30mmの鋳造ストリップに鋳造し、
(2)前記鋳造ストリップを、熱間圧延工程により厚さ1.5mm〜3.5mmまで熱間圧延して、第2厚さのアルミニウム合金板を得、
(3)前記熱間圧延板に昇温速度が10℃/時間〜100℃/時間、焼鈍温度が350℃〜450℃、焼鈍時間が4時間〜16時間の中間焼鈍を行い、
(4)前記焼鈍板を圧下率50%〜90%の範囲内で冷間圧延して第3厚さのアルミニウム合金板を得、
(5)前記第3厚さの冷間圧延板に昇温速度が10℃/秒〜250℃/秒、焼鈍温度が280℃〜400℃、焼鈍時間が1秒〜30秒、冷却速度が10℃/秒〜250℃/秒の中間焼鈍を行い、
(6)前記焼鈍板を圧下率5%〜30%範囲内で冷間圧延して第4厚さのアルミニウム合金板を得、
(7)前記第4厚さの冷間圧延板材に昇温速度が10℃/時間〜100℃/時間、焼鈍温度が300℃〜450℃、焼鈍時間が2時間〜24時間の中間焼鈍を行い、
(8)前記焼鈍板を、圧下率50%〜90%範囲内で最終厚さまでに冷間圧延するので、大規模かつ高価な熱間圧延機を用いることなく缶用板材の製造が可能であり、しかも得られる板材は、深絞り成形に際し、耳率の発生が低く、したがって、低コストで耳率の発生が低い缶用板材が得られる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造工程を示すフローチャートである。
Claims (1)
- 深絞り成形用アルミニウム合金板の製造方法において、
(1)質量%(以下同じ)で、Mg:0.8%〜1.5%、Mn:0.8%〜1.5%、Fe:0.3%〜0.6%、Si:0.1%〜0.4%、Cu:0.05%〜0.4%を含有し、残部がAlと不可避不純物とからなる組成を有するアルミニウム合金溶湯をストリップキャスターにて厚さ15〜30mmの鋳造ストリップに鋳造し、
(2)前記鋳造ストリップを、熱間圧延工程により厚さ1.5mm〜3.5mmまで熱間圧延して、第2厚さのアルミニウム合金板を得、
(3)前記熱間圧延板に昇温速度が10℃/時間〜100℃/時間、焼鈍温度が350℃〜450℃、焼鈍時間が4時間〜16時間の中間焼鈍を行い、
(4)前記焼鈍板を圧下率50%〜90%の範囲内で冷間圧延して第3厚さのアルミニウム合金板を得、
(5)前記第3厚さの冷間圧延板に昇温速度が10℃/秒〜250℃/秒、焼鈍温度が280℃〜400℃、焼鈍時間が1秒〜30秒、冷却速度が10℃/秒〜250℃/秒の中間焼鈍を行い、
(6)前記焼鈍板を圧下率5%〜30%範囲内で冷間圧延して第4厚さのアルミニウム合金板を得、
(7)前記第4厚さの冷間圧延板材に昇温速度が10℃/時間〜100℃/時間、焼鈍温度が300℃〜450℃、焼鈍時間が2時間〜24時間の中間焼鈍を行い、
(8)前記焼鈍板を、圧下率50%〜90%範囲内で最終厚さまでに冷間圧延することを特徴とする深絞り成形用アルミニウム合金板の製造方法
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