JPH0594765A - パターニング方法 - Google Patents

パターニング方法

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Abstract

(57)【要約】 【目的】例えば微小電界放出陰極の絶縁膜を成膜する場
合のように、マスクを用いてパターニングする方法に関
し、マスクを用いてパターニングする際に、マスクの外
周部の下に傾斜が生じるのを抑制し、垂直に近いパター
ン輪郭を形成可能とすることを目的とする。 【構成】マスクmの上から成膜物質を被着させ、マスク
m以外の領域に成膜を行なうことでパターン形成する際
に、マスクmに向けてイオンビームIBを照射し、マスク
m上に堆積する被着物質をイオンミリングして除去しな
がら成膜を行なう。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば微小電界放出陰
極の絶縁膜を成膜する場合のように、マスクを用いてパ
ターニングする方法に関する。
【0002】
【従来の技術】マスクの上から真空蒸着などによって成
膜物質を被着させ、マスク以外の領域に成膜を行なう場
合、マスク上の堆積物質が次第に拡大し、実質的にマス
ク領域が次第に拡がっていくため、成膜されたパターン
の縁が傾斜面になるといった問題が生じており、微小電
界放出陰極の絶縁膜などを成膜する場合に障害となって
いる。
【0003】図4はマイクロ真空管などに用いる微小冷
陰極の断面図である。Si基板1上に先端の尖った円錐状
の陰極ティップ(エミッタティップ)2が形成されてお
り、エミッタティップ2を囲むように形成された絶縁層
3の上に、電子引き出し用のゲート電極4が形成されて
いる。エミッタティップ2とゲート電極4間に電圧を印
加すると、エミッタティップ2のコーン先端に大きな電
圧が加わり、電界放射が起こる。 マイクロ真空管は、
半導体素子に比べ、電子の移動度が大きく高速動作が可
能であり、高温、放射線損傷に強い。これらの特徴をい
かし、マイクロウェーブ素子、超高速演算素子、耐放射
線環境(宇宙、原子炉)素子、耐高温環境素子、表示素
子などに応用が期待できる。
【0004】図5は微小冷陰極の製造方法を工程順に示
す断面図である。まず、工程(1) において、Si基板1の
表面を熱酸化させ、工程(2)において、該熱酸化膜5を
円形にパターニングして、酸化膜のマスク5mを形成す
る。次に、工程(3) でSi基板1をエッチングする。この
とき、図示のようにサイドエッチングが行われるように
アンダエッチングを行なう。
【0005】次に、工程(4) でSi基板表面を再度熱酸化
させると、酸化膜6の内側に、鋭い尖端を有するエミッ
タティップ2が形成される。この状態で、工程(5) にお
いて、SiO2などの絶縁体を蒸着すると、エミッタティッ
プ2を囲むように絶縁層3が形成される。続いて、金属
を蒸着すると、絶縁層3の上にゲート電極4が形成され
る。
【0006】次いで、工程(6) で弗酸などで酸化膜6の
みをエッチングすることで、マスク5m以上をリフトオフ
し、ゲート開口部7を形成する。最後に、ゲート電極4
をパターニングすることで完成する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、図4、図5
に示すように、ゲート開口部7の内壁8が、マスク5mに
忠実な垂直に形成されれば問題ないが、実際には、図6
に示すように、すり鉢状の傾斜面8sとなり、開口部が次
第に拡がり、大口径Dとなる。図7は図5における従来
の蒸着工程(5) を拡大して示した断面図である。
【0008】蒸着開始時の膜厚t1の時点では、マスク5m
の外形に対し比較的忠実に絶縁層3が成膜されるが、マ
スク5m上に堆積する蒸着物質10は、膜厚t1の時点では、
マスク5mとほぼ同じ大きさであるが、膜厚がt1、t2、t3
…というように次第に厚くなってくると、マスク5m上に
おける蒸着物質10の縁が次第にマスク5mの外側にはみ出
してくる。
【0009】すなわち、蒸着物質の粒子10aで示すよう
に、マスク5mの外周部からわずかにはみ出して付着した
粒子の上に、次の粒子が付着する際も、同様にわずかに
はみ出した状態で付着する。このように、あたかも屋根
の縁に積雪していくときのように、少しずつ外側にはみ
出しながら蒸着物質10が堆積していく。
【0010】すなわち、基板1に対し蒸着物質が垂直に
入射するようにセッティングしても、マスク5m上に堆積
した蒸着物質10が次第にはみ出して、実質的にマスク5m
の外径が拡大し、マスク5mの蔭が拡がってくるため、絶
縁層3としては、膜厚が厚くなるにしたがって、ゲート
開口部7の開口が大きくなり、すり鉢状になる。
【0011】このようにゲート開口部7の内壁8sが傾斜
し、マスク5mの外径dより大きなすり鉢状となるため、
ゲート電極4とエミッタティップ2の尖端との間隔が 1
/2・Dと大きくなる。その結果、図6に示すように、エ
ミッタティップ2とゲート電極4間に電圧を印加した際
に、等電位線9の密度が低下していることからも明らか
なように、エミッタティップ2における電界集中が弱く
なり、電界放出の低電圧化の妨げとなる。
【0012】図4に示すように、ゲート開口部7の内壁
8が垂直になっていると、ゲート開口部7が小口径dと
なり、ゲート電極4とエミッタティップ2の尖端の間隔
が 1/2・dと小さくなる。その結果、等電位線9の密度
が高くなり、エミッタティップ2に効果的に電界集中す
る。
【0013】したがって、絶縁層3を成膜する際に、ゲ
ート開口部7の内壁8がマスク5mの外形に忠実に垂直と
なるように形成することが必要となる。このような要求
は、通常のマスクを用いたパターニングの際にも生じて
くる。膜厚が薄いパターンの場合は、さほど問題となら
ないが、膜厚が厚くなるに従って、マスクの縁の下の傾
斜による弊害が顕著になってくる。
【0014】本発明の技術的課題は、このような問題に
着目し、マスクを用いてパターニングする際に、マスク
の外周部の下に傾斜が生じるのを抑制し、垂直に近いパ
ターン輪郭を形成可能とすることにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】図1は本発明によるパタ
ーニング方法の基本原理を説明する断面図である。請求
項1の方法は、マスクmの上から成膜物質を被着させ、
マスクm以外の領域に成膜を行なうことでパターン形成
する際に、マスクmに向けてイオンビームIBを照射し、
マスクm上に堆積する被着物質をイオンミリングして除
去しながら成膜を行なう方法である。
【0016】請求項2の方法は、請求項1記載のイオン
ビームIBとしてアルゴンイオンを用いるものである。請
求項3の方法は、成膜される層が酸化膜の場合は、前記
のイオンビームIBとして酸素イオンを用いるもであり、
請求項4の方法は、成膜される層が窒化膜の場合は、前
記のイオンビームとして窒素イオンを用いるものであ
る。
【0017】
【作用】請求項1のように、マスクmの上から成膜を行
なう場合に、マスクmに向けてイオンビームIBを照射し
ながら行なうため、イオンビームIBによって、マスクm
上に堆積する被着物質10の外周がイオンミリングされ
る。その結果、マスクm上の被着物質10が外側に拡大し
て、マスクの蔭が拡がるのを防止でき、堆積膜3aは、マ
スクmに忠実なパターン形状となる。
【0018】マスクm上の被着物質10をイオンミリング
して除去するためのイオンビームIBの種類は、被着物質
10の種類にもよるが、通常は請求項2に記載のように、
アルゴンイオンが適している。成膜される層が酸化膜の
場合は、請求項3のように、酸素イオンを用いるのが有
効であり、また成膜される層が窒化膜の場合は、請求項
4のように、窒素イオンを用いるのが有効である。
【0019】
【実施例】次に本発明によるパターニング方法が実際上
どのように具体化されるかを実施例で説明する。図2は
本発明方法を微小冷陰極の作製に実施した例を示す断面
図である。図5における蒸着工程(5) において、マスク
5mの上からSiO2を蒸着して絶縁層3を形成する際に、図
2のように、イオンビームIBを照射しながら、蒸着を行
なう。
【0020】マスク5m上に蒸着物質10が膜厚t1だけ堆積
する時点では、図7で説明したように、マスク5mの外側
にはみ出して堆積しようとするが、外周のエッジ部分
は、イオンビームIBでミリングされる。マスク5m上で外
側にはみ出そうとする外周部では、粒子の付着強度が弱
いこともあって、容易にイオンミリングされるため、マ
スク5m上では蒸着物質10の堆積は進行するが、外周部に
おけるはみ出し部は発生しない。
【0021】したがって、蒸着が完了するまでに、従来
の方法では、破線10aで示すように逆台形の蒸着物質が
形成されるのに対し、本発明の方法では、実線10で示す
ように台形状に堆積するため、従来のように蒸着物質10
がマスク外周よりも拡大して、実質的にマスク外形が次
第に拡大していくのを防止でき、マスクの蔭の部分が拡
がっていくのを防止できる。その結果、基板1上では、
堆積膜厚の増大にともなってゲート開口部7の口径が拡
がるようなことはなく、基板面に垂直に切り立った、設
計どおりのゲート開口部7が得られる。ちなみに、絶縁
層3の膜厚が1μm、マスク5mの径が1μmの場合に、
ゲート口径dはほぼ1μmとり、マスク5mの外径にほぼ
等しいゲート口径が得られた。
【0022】図3は本発明の方法を実施する装置の側面
図である。11は真空容器であり、その中において、基板
ホルダー12に基板1が保持され、外部のモータMで回転
駆動される。基板1と対向する位置に、蒸発源13とイオ
ン銃14が配設され、真空ポンプPで真空容器11内を排気
しながら、蒸着が行われる。
【0023】蒸発源13から基板1に向かって発生する蒸
着粒子流15の中心線に対し、イオン銃14から発生するイ
オンビームIBの中心線が30度程度の傾きとすることで、
マスク5m上に堆積する蒸着物質10の外周を効率的にミリ
ングでき、除去された粒子は真空容器11の外に排出され
る。また、イオンビームIBは、マスク5m上だけでなく、
基板1上に成膜される絶縁層3にも到達し、ミリング作
用が行われる。この際、絶縁層3上における結合が不完
全で結合力の弱い粒子はミリング作用で除去され、真空
容器から排出されるため、結合強度の強い絶縁層3が得
られる。
【0024】マスク上の蒸着物質10の外周をミリングす
るためのイオンとしては、アルゴンイオンを用いると、
各種の成膜物質に有効である。成膜物質が酸化膜の場合
は、ミリング用のイオンとしては、酸素イオンが適して
おり、また窒化膜(Si3N4) の場合は窒素イオンが適して
いる。
【0025】なお、真空蒸着によるパターニングに実施
した例を説明したが、本発明は、他の成膜方法に実施し
ても同様な効果が得られる。
【0026】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、マスクの
上から成膜を行ないパターニングする場合に、マスクに
向けてアルゴンなどのイオンビームを照射し、マスク上
に堆積する被着物質の外周をミリングして除去しながら
成膜を行なう。そのため、マスク上の被着物質の堆積に
よって、マスクの蔭が拡がり、パターンの端部が傾斜す
るのを未然に防止し、側面が垂直なパターン輪郭を得る
ことができ、特に膜厚の厚いパターンを形成する際に有
効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるパターニング方法の基本原理を説
明する断面図である。
【図2】本発明のパターニング方法を微小冷陰極の作製
に実施した例を示す断面図である。
【図3】本発明のパターニング方法を実施する装置を例
示する側面図である。
【図4】マイクロ真空管に用いる微小冷陰極の断面図で
ある。
【図5】微小冷陰極の製造方法を工程順に示す断面図で
ある。
【図6】従来の方法でパターニングされた微小冷陰極の
断面図である。
【図7】図5における従来のパターニング工程を拡大し
て示した断面図である。
【符号の説明】
1 基板 2 陰極ティップ(エミッタティップ) 3 絶縁層 4 ゲート電極 5 熱酸化膜 5m,m マスク d マスクの外径 6 酸化膜 7 ゲート開口部 8 ゲート開口部の内壁 8s 傾斜面 9 等電位線 10 蒸着物質 10a 蒸着物質の粒子 11 真空容器 12 基板ホルダー M 基板ホルダーの駆動モータ 13 蒸発源 14 イオン銃 15 蒸着(被着)粒子流

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マスク(m) の上から成膜物質を被着さ
    せ、マスク(m) 以外の領域に成膜を行なうことでパター
    ン形成する際に、 マスク(m) に向けてイオンビーム(IB)を照射し、マスク
    (m) 上に堆積する被着物質をイオンミリングして除去し
    ながら成膜を行なうことを特徴とするパターニング方
    法。
  2. 【請求項2】 前記のイオンビームとしてアルゴンイオ
    ンを用いることを特徴とする請求項1記載のパターニン
    グ方法。
  3. 【請求項3】 成膜される層が酸化膜の場合は、前記の
    イオンビームとして酸素イオンを用いることを特徴とす
    る請求項1記載のパターニング方法。
  4. 【請求項4】 成膜される層が窒化膜の場合は、前記の
    イオンビームとして窒素イオンを用いることを特徴とす
    る請求項1記載のパターニング方法。
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