JPH059201Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、自動二輪車の後車輪を片持式に支持
する後車輪支持構造に関するものである。

〔従来の技術〕 通常の自動二輪車においては、前端を車体フレ
ームにピボツト軸を介して上下に揺動自在に枢支
されたリヤフオークは、後方に向つて二股状に分
岐しており、この二股部分の内側に後車輪が配置
され、該二股部分によつて両端支持された後車軸
に前記後車輪は回転自在に支承されている。

このような後車輪にはまたブレーキ装置が設け
られており、ドラムブレーキ装置を採用する場合
には、後車輪のデイスク部にブレーキドラムを固
定し、このドラムブレーキに対向させて車軸に固
定したブレーキパネルに前記ブレーキドラムと協
動するブレーキシユーを枢動自在に装着するのが
普通である。

〔解決しようとする課題〕

このような従来の後車輪支持構造においては、
ブレーキの保守、点検、ブレーキシユーの交換等
に際しては、後車輪を車軸とともにリヤフオーク
から外し、さらに後車輪から車軸を引き抜かなけ
ればならず、作業性が良くなかつた。

また後車輪を、上記リヤフオークと同様な揺動
腕部材の後端の一方の側部に、車軸を介して片持
式に支持すれば、車軸を揺動腕部材から外すこと
なく、車輪だけを着脱できるので、保守、点検作
業が容易になる。

しかし、このような片持式後車輪支持構造にお
いては、後車輪支持部の横巾をできるだけ狭くし
て、後車輪が揺動腕部材から側方へ張出すのを極
力押える必要がある。

〔課題を解決するための手段および作用効果〕

本考案は、このような要請に応えた自動二輪車
後車輪支持構造の改良に係り、前端部を車体に枢
支された揺動腕部材と、該揺動腕部材の後端部に
車体前後位置調整可能でかつその位置で固定支持
される車軸調整用ホルダと、該車軸調整用ホルダ
の一側端部にて前記揺動腕部材より外側方に突出
したホルダハブ部の内周と前記車軸調整用ホルダ
の他側端部の内周とにそれぞれ軸受を介して車巾
方向に指向し回転自在に枢支された車軸と、前記
揺動腕部材に対向する側面にブレーキドラムを備
えて前記車輪の一端部に固定支持された後車輪
と、前記ブレーキドラムと協動する制動片を備え
て前記ブレーキドラムおよび揺動腕部材間におい
て前記車軸調整用ホルダのホルダハブ部材に支持
されたブレーキパネルと、前記車軸の他端部に設
けられた後車輪駆動用スプロケツトからなること
を特徴とするものである。

本考案は、前記したように後車輪は片持式に揺
動腕部材に枢支され、かつ制御装置はドラムブレ
ーキ方式であるので、車軸を揺動腕部材から外す
ことなく後車輪を着脱自在に容易に装着でき、ま
た後車輪を取外した場合に、ブレーキパネルに装
着されたドラムブレーキ装置の各内部部品が露出
されるため、タイヤ交換作業、ブレーキ装置の保
守、点検作業、制動片（ブレーキシユー）の交換
作業等を極めて容易に逐行することができる。

また本考案では、ブレーキパネルを、車軸を支
持するホルダ上に支持したので、該ブレーキパネ
ルと協動するブレーキドラム、従つて該ドラムを
形成した後車輪の側面を揺動腕部材に接近させて
装着し、後車輪の張り出し量を小さくし、後車輪
の軸支部を横巾の狭いコンパクトな構造とするこ
とができる。

さらに本考案においては、車軸調整用ホルダの
一側端部にて揺動腕部材より外側方に突出したホ
ルダハブ部の内周と前記車軸調整用ホルダの他側
端部の内周とにそれぞれ軸受を介して車巾方向に
指向し回転自在に車軸を枢支したため、前記揺動
腕部材の車巾方向寸法の増大を抑制しつつ、前記
車軸を支持する両軸受間の間隔をできるだけ増大
して、片持支持による軸受のラジアル方向負荷を
著しく軽減でき、後車輪を安定して支持すること
ができる。

さらにまた本考案では一側方へ突出したホルダ
ハブ部を利用してブレーキパネルを支持できるた
め、後車輪の側方突出量をできるだけ小さくし
て、片持式支持による揺動腕部材の捩りモーメン
トを減少させ、該揺動腕部材の軽量化を図ること
ができる。

〔実施例〕

以下、本考案を図示の実施例について説明す
る。第１図は自動二輪車の後車輪部の水平断面図
で、車輪（後車輪）１が揺動腕部材２の後端に車
軸３を介して片持式に支持されている。揺動腕部
材２の図示してない前端部（図面上方部）は車体
にピボツト軸を介して揺動自在に枢支されてい
る。揺動腕部材２の後端部に設けられた孔４に車
軸調整用ホルダ５が嵌着されており、該ホルダ５
にホイールベアリング６，７を介して車軸３が回
動自在に支承されている。車軸３の左端部にはド
リブンフランジ８を介してスプロケツト９が取付
けられており、このスプロケツト９とエンジン出
力軸との間に掛け渡されたチエンにより車軸３が
駆動される。

この車軸３はホルダ５に対して偏心している。
すなわちホルダ５の外周面が嵌合する孔４の中心
軸線と、車軸３の中心軸線とは偏位している。従
つて孔４内においてホルダ５を回動させると、車
軸３の前後位置が変化する。すなわちホルダ５に
よつて車軸３の位置が調整され、これによつてス
プロケツト９に掛け渡された駆動用チエンの緊張
度を調整することができる。

また車軸３の揺動腕部材２の右側に突出した右
端部には、車輪１がナツト１０により取付けられ
ているが、この車輪１はハブ部１１とデイスク部
１２とに分割されており、ハブ部１１が上記のよ
うにして車軸３に取付けられている。そしてハブ
部１１の外縁部に沿つてボルト１３が固設されて
おり、該ボルト１３をデイスク部１２の内周縁部
に設けたボルト穴１４に挿通しナツト１５で締付
けることにより、ハブ部１１とデイスク部１２と
が着脱自在に連結されている。

さらにデイスク部１２の外周縁部にリム１６が
一体に形成され、これにタイヤ１７が装着されて
いる。またこのデイスク部１２の内側面すなわち
揺動腕部材２に対向する側面には、ブレーキドラ
ム１８が一体に形成され、揺動腕部材２の方へ向
つて突出している。

そしてこのブレーキドラム１８の開放端面に向
かい合つてこれを覆うようにブレーキパネル１９
が揺動腕部材２側に固定されている。ブレーキパ
ネル１９はホルダ５のハブ部分、すなわち該ホル
ダ５が揺動腕部材２の側部から右方へ延出し、そ
の内孔部にホイールベアリング６を介して車軸３
を支持しているホルダハブ部分５ａの外周面上に
嵌着され、止め環２７により肩部５ｂに押し当て
られて係止されるとともに、ボルト２０により揺
動腕部材２に固定され、制動時の反力を受け止め
るようになつている。

またブレーキパネル１９には、第２図に示すよ
うに、円弧形をなす２つの制動片すなわちブレー
キシユー２１，２１がそれぞれ一端をアンカー部
材２２により枢動自在に支持されており、これら
のブレーキシユー２１，２１の互いに対向する自
由端の間にブレーキカム２３が介在している。ブ
レーキカム２３はブレーキパネル１９に枢着され
ており、かつこのブレーキカム２３からブレーキ
アーム２４が半径方向外方へ延び、その先端にブ
レーキケーブル２５が連結されている。

さらに両ブレーキシユー２１，２１はスプリン
グ２６により互いに内方へ付勢されており、ブレ
ーキケーブル２５、ブレーキアーム２４を介して
ブレーキカム２３を回動させ、ブレーキシユー２
１，２１をスプリング２６に抗して外方へ拡開さ
せることにより、前記車輪１のデイスク部１２に
設けられたブレーキドラム１８の内周面にブレー
キシユー２１，２１が摺接して車輪１が制動され
る。制動時にブレーキシユー２１が摩耗して生ず
る粉塵がホイールベアリング６に侵入しないよう
に、該ホイールベアリング６のブレーキドラム１
８内に面した端面にはダストシール２８が設けら
れている。このダストシール２８は車輪１のハブ
部１１を車軸３に沿つて延長させて形成した厚肉
のダストシール取付部２９と、前記ホルダハブ部
分５ａの先端部との間に嵌め込んで取付けられて
いる。

本実施例はこのように構成されているので、ナ
ツト１５を外してデイスク部１２をハブ部１１か
ら取外すことにより、車軸３を抜き出すことなく
車輪主要部を取り外すことができる。そしてこの
ようにしてデイスク部１２をハブ部１１から外す
だけで、ブレーキシユー２１、アンカー部材２
２、ブレーキカム２３等のブレーキ装置内部の構
成部品が直接露出するのでブレーキ装置内部の点
検、ブレーキシユー２１の交換等を極めて容易
に、能率良く行うことができる。さらに、ブレー
キパネル１９がホルダハブ部分５ａに嵌着され、
揺動腕部材２に接近して設けられているので、車
輪１の軸支部分の横巾、換言すれば車輪１の揺動
腕部材２からの張り出し量Ｂ（第１図）が狭くな
り、釣り合いの良いコンパクトな構成の車輪装置
が得られる。

第３図は本考案の他の実施例を示す。

本実施例においては、前記実施例のダストシー
ル２８の代りにベアリングカバー３０が設けられ
ている。ベアリングカバー３０は例えば金属板の
成形品からなり、ハブ部１１に圧入して装着され
ている。このようなベアリングカバー３０を使用
すれば、ダストシールおよびこれを取付けるのに
必要な部分例えば前記厚肉のダストシール取付部
２９等を廃止することができ、構造が簡単になる
とともに重量軽減につながる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す自動二輪車後
部の水平断面図、第２図はブレーキパネル部分を
車輪を取外して示した側面図、第３図は本考案の
他の実施例を示す部分的水平断面図である。 １……車輪、２……揺動腕部材、３……車軸、
４……孔、５……ホルダ、６……ホイールベアリ
ング、７……ホイールベアリング、８……ドリブ
ンフランジ、９……スプロケツト、１０……ナツ
ト、１１……ハブ部、１２……デイスク部、１３
……ボルト、１４……ボルト穴、１５……ナツ
ト、１６……リム、１７……タイヤ、１８……ブ
レーキドラム、１９……ブレーキパネル、２０…
…ボルト、２１……ブレーキシユー（制動片）、
２２……アンカー部材、２３……ブレーキカム、
２４……ブレーキアーム、２５……ブレーキケー
ブル、２６……スプリング、２７……止め環、２
８……ダストシール、２９……ダストシール取付
部、３０……ベアリングカバー。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 前端部を車体に枢支された揺動腕部材と、該揺
   動腕部材の後端部に車体前後位置調整可能でかつ
   その位置で固定支持される車軸調整用ホルダと、
   該車軸調整用ホルダの一側端部にて前記揺動腕部
   材より外側方に突出したホルダハブ部の内周と前
   記車軸調整用ホルダの他側端部の内周とにそれぞ
   れ軸受を介して車巾方向に指向し回転自在に枢支
   された車軸と、前記揺動腕部材に対向する側面に
   ブレーキドラムを備えて前記車輪の一端部に固定
   支持された後車輪と、前記ブレーキドラムと協動
   する制動片を備えて前記ブレーキドラムおよび揺
   動腕部材間において前記車軸調整用ホルダのホル
   ダハブ部材に支持されたブレーキパネルと、前記
   車軸の他端部に設けられた後車輪駆動用スプロケ
   ツトからなることを特徴とする自動二輪車後車輪
   支持構造。