JPS643855Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は自動車用ドラムブレーキのブレーキ
シユー取付構造に関する。

一般に、自動車用ドラムブレーキは、ホイール
と共に回転するブレーキドラムと、上記ホイール
を支承した車軸管に支持されるバツキングプレー
トと、このバツキングプレートに枢支されブレー
キドラム内周面に摩擦係合可能とされるブレーキ
シユーとを有している。上記ブレーキドラムは椀
状をなし、その一端の底部側外面が上記ホイール
と連結され、一方、同上他端の開放端は上記バツ
キングプレートで閉じられている。

上記構成において、摩耗したブレーキシユーを
交換する場合などには、ブレーキドラムとバツキ
ングプレートとを軸方向に引き離すように分解す
る必要がある。ところが、この種のブレーキが長
期間使用された場合には、ブレーキドラム内周面
がブレーキシユーとの摩擦によつて摩耗し、この
摩耗によつて周溝が形成される場合がある。

そのため、上記のようにブレーキドラムとバツ
キングプレートとを分解する際には、ブレーキシ
ユーのいずれかの部分が上記周溝に引つ掛かるこ
とがあり、しかも、ブレーキドラムは上記したよ
うに椀状でその開放端はバツキングプレートで閉
じられていてこの内部にブレーキシユーが位置す
るため、上記分解操作は容易ではない。

また、このブレーキに、ブレーキドラム内周面
とブレーキシユーとの間隙を一定に保つような調
整装置が設けられている場合（例えば実公昭49−
40232号公報）には、上記周溝の底面とブレーキ
シユーとの間隙は一定に保たれるため、ブレーキ
ドラムとブレーキシユーが摩耗しても制動時のブ
レーキ操作は一定の状態に保たれる。しかし、そ
の反面、ブレーキシユーが周溝底面の摩耗量に応
じてこの周溝に漸次嵌まり込んでゆくこととな
り、この結果、上記したようなブレーキドラムと
バツキングプレートの分解は更に困難となる。

この考案は、上記のような事情に注目してなさ
れたもので、自動車用ドラムブレーキの分解操作
を容易化することを目的とし、この目的を達成す
るためのこの考案の特徴とするところは、自動車
用ドラムブレーキにおいて、ブレーキシユーをバ
ツキングプレートに当接支持させるアンカが支持
面より一段低く形成された段部面を有し、上記ブ
レーキシユーガンの段部面へ移行することによつ
てドラム内周面から離間可能とされた点にある。

以下、この考案の実施例を図面により説明す
る。

第１図と第２図において、１は自動車用のドラ
ムブレーキで、２は車軸、３はホイールである。
上記車軸２は回転軸４と車軸管６で構成され、回
転軸４の端部には椀状のブレーキドラム７が連結
される。このブレーキドラム７の底部側は車体外
方側に位置し、この部分の外面に上記ホイール３
が連結される。一方、車軸管６にはバツキングプ
レート８が支持され、このバツキングプレート８
はブレーキドラム７の開放端を覆うように設けら
れる。

上記ブレーキドラム７内には、周方向に並ぶ二
つのブレーキシユー９，９が２リーデイング式と
なるように設けられ、各ブレーキシユー９はブレ
ーキドラム７の内周面７ａに対面するように配置
される。これらブレーキシユー９，９間にはそれ
ぞれ油圧シリンダ１１，１１が設けられる。この
各油圧シリンダ１１は、バツキングプレート８に
支持されたシリンダチユーブ１２と、このシリン
ダチユーブ１２内に挿入されたピストン１３とを
有している。

上記シリンダチユーブ１２の一端がアンカ１４
とされ、このアンカ１４にブレーキシユー９の一
端が支持される。また、同上ブレーキシユー９の
他端はピストン１３の進出端に形成された係合溝
１３ａに嵌合してこのピストン１３に支持され
る。また、上記両ブレーキシユー９，９にはスプ
リング１６，１６が引張状態で架設され、これら
ブレーキシユー９，９はスプリング１６，１６に
よつてブレーキドラム７の径方向内方に向うよう
付勢されている。

そして、ブレーキ操作時には、アンカ１４を中
心として油圧シリンダ１１，１１がブレーキシユ
ー９，９を回動させ、このブレーキシユー９，９
がスプリング１６の弾性力に抗してブレーキドラ
ム７の内周面７ａに摩擦係合し、ブレーキ操作が
なされる。

上記構成において、上記各アンカ１４にはブレ
ーキシユー９の端部を支持する支持面１７が形成
される。この支持面１７はブレーキシユー９の端
部を当接させることにより、ブレーキドラム７の
内周面７ａとブレーキシユー９との間に所定の間
隙を形成する。また、同上アンカ１４には、上記
支持面１７のバツキングプレート８側とは反対側
に隣接して、この支持面１７より一段低く形成さ
れた段部面１８が設けられている。また、同上ブ
レーキシユー９の端部はアンカ１４に取着された
板ばね１９に押圧され、バツキングプレート８側
に付勢されている。また、このブレーキシユー９
への押動操作で、板ばね１９の付勢力に抗して同
上ブレーキシユー９端部が支持面１７を摺動して
段部面１８側に移行可能とされる。上記ブレーキ
シユー９の押動操作を可能とする操作孔２１がバ
ツキングプレート８に形成され、この操作孔２１
に貫挿される工具２２でブレーキシユー９が押動
される。この操作孔２１は不使用時には弾性の蓋
２３で閉じられる。

次に上記構成におけるドラムブレーキ１の分解
手順を説明すると、例えば、ドラムブレーキ１が
長期間使用された場合には、ブレーキドラム７の
内周面７ａがブレーキシユー９との摩擦により摩
耗して周溝Ａが形成される。この場合、ブレーキ
ドラム７とバツキングプレート８を軸方向に引き
離そうとしても、ブレーキシユー９が周溝Ａに引
つ掛かつておればこの分解は困難である。そこ
で、操作孔２１から工具２２を挿入し板ばね１９
の付勢力に抗してブレーキシユー９を押動すれ
ば、ブレーキシユー９端部が段部面１８側に移行
し、スプリング１６の弾性力で段部面１８に当接
する。この段部面１８はブレーキドラム７の径方
向内方に向つて形成されているため、その分、ブ
レーキシユー９がブレーキドラム７の内周面７ａ
から離れることとなり、ブレーキシユー９と周溝
Ａとの係合が解除され、バツキングプレート８と
ブレーキシユー９の分解が可能となる（図中二点
鎖線図示）。

なお、以上は図示の例によるが、上記支持面１
７と段部面１８をピストン１３の進出端に形成し
てもよい。

第３図はこの考案の他の実施例を示し、ブレー
キシユー９，９がリーデイング、トレーリング式
となるように設けられ、アンカ１４の両端にそれ
ぞれ支持面１７と段部面１８が形成され、板ばね
１９の両端がそれぞれブレーキシユー９，９の端
部を押圧する。他の構成は前記実施例と同様であ
る。

この考案によれば、ブレーキシユーがドラムの
内周面から離間する方向に常時付勢され、このブ
レーキシユーをバツキングプレートに支持させる
アンカが支持面より一段低く形成された段部面を
有し、上記ブレーキシユーがこの段部面へ移行可
能とされたため、ブレーキシユーを段部面側へ移
動させれば、ブレーキドラムの内周面から離間す
る方向に付勢されたブレーキシユーは自動的に段
部面に当接するよう移行する。そして、この移行
によつて、ブレーキシユーはブレーキドラムの内
周面から離れることとなり、これら両者の干渉が
解除されてブレーキドラムとバツキングプレート
の分解が可能となる。従つて、ブレーキシユーに
対する単なる移動操作でドラムブレーキの分解が
可能とされるのであり、この分解操作は容易化さ
れる。

【図面の簡単な説明】

図はこの考案の実施例を示し、第１図はドラム
ブレーキの側面断面図、第２図は第１図の−
線矢視断面図、第３図は他の実施例を示す第２図
に相当する断面図である。 １…ドラムブレーキ、３…ホイール、７…ブレ
ーキドラム、８…バツキングプレート、９…ブレ
ーキシユー、１７…支持面、１８…段部面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ホイールと共に回転するブレーキドラムが設け
   られ、このブレーキドラムの開放端側で車体固定
   側にバツキングプレートが支持され、このバツキ
   ングプレートにブレーキドラム内周面に摩擦係合
   するブレーキシユーが設けられ、このブレーキシ
   ユーがブレーキドラムの内周面から離間する方向
   に常時スプリングにより付勢された自動車用ドラ
   ムブレーキにおいて、上記ブレーキシユーをバツ
   キングプレートに支持させるアンカが、ブレーキ
   シユーの端面を当接支持する支持面と、この支持
   面のバツキングプレート側とは反対側に隣接して
   この支持面より一段低く形成された段部面とを有
   する一方、前記ブレーキシユーをバツキングプレ
   ート側にスプリングにより常時付勢すると共に、
   バツキングプレートに操作孔を設け、該操作孔よ
   りブレーキシユーの側面をバツキングプレート側
   より押動したときブレーキシユーが段部面側に移
   行可能とされたことを特徴とする自動車用ドラム
   ブレーキのブレーキシユー取付構造。