JPH0584345B2

JPH0584345B2 -

Info

Publication number: JPH0584345B2
Application number: JP61029977A
Authority: JP
Inventors: Shuichi Fujii; Kyomori Nakano
Original assignee: Kawasaki Heavy Industries Ltd
Current assignee: Kawasaki Heavy Industries Ltd
Priority date: 1986-02-13
Filing date: 1986-02-13
Publication date: 1993-12-01
Also published as: US4794032A; SG94890G; EP0241116A1; CA1281237C; EP0241116B1; JPS62189251A; DE3764993D1

Description

【発明の詳細な説明】

［産業上の利用分野］この発明は車両や船舶のほか、特に、火災に対
する配慮が必要な乗物や建築物の床構造に関する
ものである。［従来の技術］従来の床構造では、火災など耐火耐熱のための
構成として、耐熱材料、たとえば、石膏ボードや
コンクリートなどが使用されていたが、軽量で、
かつ、高い強度を要求される床の構造は金属によ
つて構成されることが多い。この一例として、特
開昭60−234065号公報のように金属の床構造の上
下面に断熱材を張り、下面を鋼板で覆つたものが
知られている。［発明が解決しようとする課題］従来のこのような床構造では、床構造の溶融破
壊を防げても、その温度上昇が急激で、特に、車
両などの乗物では乗客の避難に十分な時間が確保
できるとは言い難い。さらに、床下に機器類を装
架する場合、下面の金属板を貫いて床構造物の梁
に直接取り付ける必要があり、このとき断熱材を
一部切欠いたり、あるいは、別途の梁を金属板の
さらに下側に付設する必要があり、作業上および
構造上の問題が残る。即ち、前記特開昭60−234065号公報の第１図を
みると、梁１と鋼板６の間に断熱材７がある。こ
の床下に機器類をとりつける場合、機器類を構造
強度を負担する梁１に取付ける必要から、鋼板６
だけでなく断熱材７を取付け箇所すべてにわたつ
て切欠く必要があることから、作業上および構造
上に問題がある。一方、アメリカの耐火基準ASTM Ｅ−119に
適合させなければ、米国、および、この基準を準
用する国では乗物として実用できないことから、
この基準を満足し、加えて、前述の取付作業上や
構造上の問題をも解決する必要がある。アメリカでは、ASTM Ｅ−119 Standard
Methods of Fire Tests of Building
Construction and Materialsに耐火試験の方法
が規定されており、これによれば、構造、およ
び、材料の温度上昇の許容値は250〓（139℃）以
下とされている。また、アメリカの規格NFPA 130 FIXED
GUIDEW−AY TRANSIT SYSTEMの第４章
車両の規定では、最低限ASTM Ｅ−119による
こととあり、この方法で少なくとも15分間、また
は、乗客が脱出できる間、この基準の温度以下で
ある必要があり、前述の公知技術では対応できな
いことは明らかである。［課題を解決するための手段］従来技術の課題を解決する本発明の構成は、水
酸化物を含有するゴムを主成分とする上層と、こ
の上層の全面に接してこれを支持する中層と、該
中層の下面を覆う下層とからなり、少くとも、前
記中層と下層は不燃物によつて構成するととも
に、前記中層と下層間に断熱材の層を介設したこ
と、および水酸化物を含有するゴムを主成分とす
る上層と、この上層の全面に接してこれを支持す
る中層と下層とからなり、少くとも、前記中層と
下層は不燃物によつて構成するとともに、前記中
層と下層との間に断熱材の層を設け、中層に設け
た取付部、または、中層に取付けた連結部材に下
層を止着せしめ、前記取付部、または、連結部材
に、床下機器のボルト頭を装架するための奥が幅
広のＴ形の溝を構成し、この溝部を外部に露出さ
せたものである。［作用］この発明の作用を説明すると、第１図は本発明
の構成を示す実施例の全体的な図で、上層１は、
少なくとも、水酸化物を含有するゴムからなる床
の敷物で構成される。この上層１は室内の床の表
面を構成し、外部より火炎で熱せられた際には、
この上層に含まれた水成分が水蒸気となつて蒸発
し、気化熱をうばうことで床構造物の温度上昇を
抑える作用をなす。中層２は金属などの不燃物で構成するととも
に、床の強度を確保する部分で、燃焼を防止して
人が避難する間安全な構造として作用する。ま
た、その間に空間を設けることによつて冷却、お
よび、断熱の効果を持たせる一方、軽量にして強
度を向上させることができる。下層３は火炎に直接さらされるところで、不燃
物で構成する。下層３と中層２との間に断熱材４
を設けることで断熱効果を高め、また、火炎から
主構造を保護することができる。下層３は中層２
から垂下した取付部５によつて直接、あるいは、
連結部材６によつて間接的に中層２に取付けられ
る。［実施例］第２図は本発明の上層１を構成する敷物の実施
例を示す図で、敷物１０は３層の材料からなり、
表面層１１は床敷物としての耐摩耗性が高く、か
つ、クツシヨン機能を有するゴム材料などからな
る。また、中間層１２は低熱伝導率のゴム配合物
材料からなる。裏面層１３は水酸化物を含有する
ゴム材料からなり、この水酸化物が加熱された際
結晶水を放出し、敷物１０、および、中層２の熱
を蒸気として放出して全体の温度上昇を抑える。水酸化物としては水酸化アルミニウム（Al₂
O₃・3H₂Ｏ）、あるいは、水酸化マグネシウムな
どが適当で、その他にもヒドロキシ塩、アクオ
塩、亜硫酸ナトリウムの７水塩なども適用でき
る。中間層１２は、たとえば、0.35kcal／ｍ・ｈ・
deg以下の熱伝導率を有する材料がよく、このた
めの配合材としてコルク粒、木くず、ガラス、あ
るいは、無機質バルーン、繊維くず、綿くずなど
を用いるとよい。尚、図中８は壁である。後述する耐火試験に用いた実施例の敷物１０の
材料配合は次のとおりである。表面層１１配合剤重量部 SBR＃1500 70 ハイスチレンSBR 30 ハードクレー 150 軽質炭酸カルシウム 70 ナフテン系油３亜鉛華５スラアリン酸２加硫促進剤（MBTS） 2.5 加硫促進剤（TS） 0.2 硫黄５計 337.7 中間層１２配合剤重量部天然ゴム（RSS−４） 50 再生ゴム 100 軽質炭酸カルシウム 50 コルク粒 60 亜鉛華５ステアリン酸２加硫促進剤（NOB） 1.2 硫黄３計 217.2 裏面層１３配合剤重量部天然ゴム（RSS−４） 50 再生ゴム 100 水酸化アルミニウム 100 亜鉛華５ステアリン酸２加硫促進剤（NOB） 1.2 硫黄３計 261.2 以上の成分配合では、結晶水放出温度は、150
〜300℃となる。また、各層の厚みと熱伝導率の
値は次のようになる。表面層２mm 0.410kcal／ｍ・ｈ・deg 中間層 1.5mm 0.210 〃裏面層 1.5mm 0.380 〃上層は少なくとも以上の実施例を上回る特性が
あればよく、必要に応じてその他の層構成をとる
ことができる。第３図は本発明の中層２の実施例の一つを示す
図で、構造物２１は、アルミニウムの押出形材の
ブロツク２２をいくつか組合せ、溶接などによつ
て結合されており、内部は中空構成で、重量が軽
い割に強度を高くできる。取付部５は上記構造物２１の下面に設けられて
おり、ここに設けられた奥が幅広のＴ形溝５１は
機器（図示略）を床下に装架する際に、取付け用
ボルト（図示略）の頭をここに引掛けるためのも
のである。取付部５の間には下層３に相当する下
板３１が設けられ、ボルト、リベツトなど公知の
締結手段７で取付けられる。床下機器や室外から
の火災の際は、この下板３１が直接火炎にさらさ
れる訳で、この材料は不燃性である必要がる。耐
火試験ではステンレスの薄板を用いた。取付部５のＴ形溝５１は必要な部分だけ外部に
露出しており、不必要な部分の他の短いＴ形溝５
２は露出していない。しかし、場合によつては床
下に機器を装架する際、必要に応じて同様なＴ形
溝を用意しなければならないことがある。このた
め、Ｔ形溝５２は連結部材６によつて下板３１ま
でその役割を延長する。この場合、連結部材６
は、必要な長さだけＴ形溝５２にボルトとナツト
で取付けられ、連結部材６に設けた奥が幅広のＴ
形溝６１を機器の装架に用いる。さらに、このＴ形溝６１の必要な部分が露出す
るよう下板３１と連結部材６とを締結する。構造
物２１と下板３１との空間には断熱材４としてグ
ラスフアイバー、または、セラミツクフアイバー
を挿入する。この断熱材４は市販している通常の
もので、不燃物として知られているものである。以上のような実施例の構成において、前述の
ASTM Ｅ−119に基づく耐火試験を実施した。
以下にこの概要と結果を述べる。第４図は耐火試
験の供試品Ｓの図である。なお、基準では供試品
Ｓはサイズを指定されているが、実物のサイズ
（この場合は車両）がこれを下回つたため、サイ
ズのみ規定と異なるが、その他の条件は規定のと
おりである。第５図ａは耐火試験に用いた炉９の断面と供試
品Ｓをセツトした状態を示す図、第５図ｂは同上
平面図である。供試品Ｓは固定部材１０に設けた
ハンガー１０ａで吊下げられ、床の全面（l₁……
2.12ｍ×l₂……2.85ｍ）に想定した荷重324Kg／m²
（機器145Kg／m²＋乗客179Kg／m²）を負荷してい
る。尚壁８を含めた供試品Ｓの長手方向のl₃は
3.064ｍ、固定部材１０間の距離l₄は1.50ｍであ
る。全荷重は1958Kgである。炉の全長は７ｍで両
側からバーナー１１で燃焼加熱する。炉９の温度変化値はASTM Ｅ−119に定めら
れており、第６図の実線に示す値に対し10％まで
許容する。温度をサンプリングする熱伝対Ａ，Ｂ
の配設箇所は、第７図ａ，ｂ，ｃに示すとおり
で、炉９の温度は、1Aから6Aまでの各点で、供
試品Ｓの温度は床面に設けられた1Bから9Bまで
を熱伝対によつて計測し、１分毎に記録してい
る。なお、1Bから9Bの各点には綿を置いて発火
燃焼するかを同時に確認した。ちなみに、炉９に配設される熱伝対Ａは、例え
ば1A〜6Aの６ケ所、供試品Ｓにとりつけられる
熱電対Ｂは例えば1B〜9Bの９ケ所であつて、第
７図ｂ，ｃで示すように、供試品Ｓの長手方向に
２列、詳しくは、1A，3A，5Aの列と、2A，
4A，6Aの列に熱電対Ａを配設し、1Aと2A，3A
と4A，5Aと6Aの供試品Ｓの巾方向に対する間隔
l₅は720mm、1A，2Aと3A，4A、および、3A，
4Aと5A，6Aの供試品Ｓの長手方向に対する間隔
l₆は690mmとし、また、1A〜6Aと供試品Ｓの下層
下面との距離l₇は305mmである。また、第７図ａで示すように、熱電対Ｂは供試
品Ｓの長手方向に対して３列、詳しくは、2Bと
4Bが供試品Ｓの一側に同列、5B，6B，7B，8B，
9Bが供試品Ｓの中央に同列、1Bと3Bが供試品Ｓ
の他側に同列に配設されており、2B，4B列と5B
〜9B列との供試品Ｓの巾方向間隔l₈が540mm、
1B，3B列と5B〜9B列との供試品Ｓの巾方向間
隔l₈が540mmに設定され、5Bと6B間、および、8B
と9B間の長手方向間隔l₉が700mm、6Bと8Bの長手
方向間隔l₁₀が680mm、1B（2B）と7B、および、
7Bと3B（4B）の長手方向間隔l₁₁が夫々690mmとな
るように熱電対Ｂは配設されている。想定によると、各点の温度上昇の平均値が139
℃（250〓）を上回つてはならず、この温度上昇
が生ずるまでの時間が判断の基準となる。実験によれば、床上各店の平均初期温度5.4℃
で、139℃の温度上昇の場合、5.4＋139＝144.4℃
の平均温度まで許容される。第８図に温度変化の様子を示す各測点1Bから
9Bまでの平均温度が144.4℃になるには、点火後
約45分を要している。なお、45分経過後の各点の
平均上昇温度は135.8℃である。また綿は発火せ
ず、負荷した荷重によつて構造が損傷し、また
は、破壊することもなかつた。このことは、本発明の床構造が火災発生後、少
なくとも、45分間ASTM Ｅ−119の基準を満た
し得ることを意味し、室内に発火がなく、前述し
た文献に開示されたような高温度になることもな
く、人が避難するための十分な時間を提供するこ
とができることを示している。［発明の効果］上述のように本発明の構成によれば、次のよう
な効果が得られる。 (a) 上層を水酸化物を含むゴムを主成分とする敷
物で構成し、下層を不燃性の板で構成し、ま
た、上層に全面で接して支持する中層を不燃性
の強度部材で構成せしめ、下層と中層との間に
断熱材を設けたので、第８図で示すように、耐
火、耐熱性の床構造とすることができる。 (b) また、中層に設けた下板との取付部、また
は、連結部材に奥が幅広のＴ形の溝を設け、こ
の溝部のみを外部に露出したので、溝部を除い
た他は全て下層で覆われるとともに、中層との
間に断熱材を設けたことと相俟つて、耐火、耐
熱性能が向上しうる。更に、溝部を利用し床下
に機器設備等の取付けが容易となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例で、構成の概要を示
す全体図、第２図は本発明の敷物の構成を示す実
施例の図、第３図は本発明の床構造と下板の取付
関係を示す図、第４図は耐火試験の供試品Ｓの
図、第５図ａ，ｂは耐火試験の炉と供試品Ｓとの
関係を示す説明図、第６図は外部温度変化の炉温
度一時間の曲線図、第７図ａ，ｂ，ｃは温度測定
箇所を示す説明図、第８図は室内温度変化を示す
床温度一時間曲線図である。１……上層、２……中層、３……下層、４……
断熱材、５……取付部、６……連結部材、７……
締結手段、１０……敷物、１１……表面層、１２
……中間層、１３……裏面層、２１……構造物、
３１……下板、５１，５２，６１……Ｔ形溝。

Claims

【特許請求の範囲】１水酸化物を含有するゴムを主成分とする上層
と、この上層の全面に接してこれを支持する中層
と、該中層の下面を覆う下層とからなり、少くと
も、前記中層と下層は不燃物によつて構成すると
ともに、前記中層と下層間に断熱材の層を介設し
たことを特徴とする床構造。２水酸化物を含有するゴムを主成分とする上層
と、この上層の全面に接してこれを支持する中層
と下層とからなり、少くとも、前記中層と下層は
不燃物によつて構成するとともに、前記中層と下
層との間に断熱材の層を設け、中層に設けた取付
部、または、中層に取付けた連結部材に下層を止
着せしめ、前記取付部、または、連結部材に、床
下機器のボルト頭を装架するための奥が幅広のＴ
形の溝を構成し、この溝部を外部に露出させたこ
とを特徴とする床構造。