JP5079486B2 - 軒裏天井構造、耐火補強体及び軒裏天井構造の耐火補強方法 - Google Patents

軒裏天井構造、耐火補強体及び軒裏天井構造の耐火補強方法 Download PDF

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Description

本発明は、住宅等の建物の軒裏天井構造、耐火補強体及び軒裏天井構造の耐火補強方法に関する。
従来、住宅等の建物においては、隣家の火災による延焼・類焼の抑制・防止を目的として、隣家に対向する軒についても耐火性能を要求され、軒の裏に耐火性能を有するけい酸カルシウム板等の成形板(軒裏天井板)を敷設する軒裏天井構造が公知である(例えば特許文献1参照)。
また、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)においては、建築基準法により定められる耐火性能以上の耐火性能を住宅に付与することについての規定が盛り込まれる等、住宅に対する耐火性能向上の要請は近年さらに増してきており、軒裏天井の構造についても上記建築基準法で定められている所定時間の耐火性能を凌ぐ耐火性能を付与することが望まれている。
これに対し、耐火性能を向上させるべく、上記軒裏天井板に代えて厚さを増した軒裏天井板を使用することが考えられる。
特開平6−73828号公報
しかしながら、上述の如き軒裏天井板の厚さは、8mm、12mm、16mm等、製造元によりいくつかの厚さに限定されたものが一般に流通しており、流通している厚さ以外の厚さの軒裏天井板を使用者側で準備することがきわめて困難である。また、軒裏天井板の種類によっては、公知の製造方法では流通している軒裏天井板の厚さ以上の厚さのものをそもそも製造することができないものも存在する。したがって、厚さを増大させることで軒裏天井板に所望の耐火性能を付与することは困難であるという問題がある。
また、軒裏天井板の重量は一般に大きく、当該軒裏天井板の軒裏への取付けには、建物の施工時に形成される足場の如く軒の桁行き方向に沿って堅固な連続作業床の形成が必須であるところ、既設の建物に対し軒裏天井板の交換するためだけに上述の如き作業床を形成することは、施工性の観点からも費用の観点からも望ましくないという問題があった。
そこで、本発明は、軒裏天井板の厚さを維持した状態で軒裏の耐火性能を向上させることができる軒裏天井構造を提供することを目的とする。
また、本発明は、軒裏天井板の厚さを維持した状態で軒裏の耐火性能を向上させることができる耐火補強材を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、既設の建物の軒裏天井構造の耐火性能を向上させるための耐火性能補強方法において、軒の桁行き方向に沿う連続作業床を不要として脚立等の簡易な足場のみで施工を行うことを可能とすることを目的とする。
上記課題解決のための具体的手段として、本願発明に係る軒裏天井構造は、
(1)建物の軒の裏側に所定の耐火性能を備える軒裏天井板が設けられ、該軒裏天井板の上方に軒裏空間が形成される軒裏天井構造において、
前記軒裏天井板は、軒の裏側の梁間方向に沿って設けられた野縁に懸架され、前記軒裏天井板の上面は、建物の桁行方向きに沿って前記野縁に載置された耐火補強体に覆われて、軒裏天井板と耐火補強体の間に空気層が形成され、前記耐火補強体は、耐火断熱層熱遮断層、又は吸熱層のいずれか1つの層により、又は2つ若しくは全ての層を積層して形成されていることを特徴としている。
(2)また、前記軒の裏側には、さらに軒裏空間に通ずる通気孔が設けられていることを特徴とすることもできる。
(3)また、前記通気孔が加熱により塞がれるように構成されていることを特徴とすることもできる。
なお、軒裏とは、建物の外壁よりも突出する庇の裏側を含むことはもちろん、下階よりも突出して設けられる上階ベランダや上階居室の裏側等、下階よりも上階を突出させて形成される建物の当該下階より見上げることができる上階の裏側や、1階部分をピロティとする建物の当該ピロティの天井部分をも含む。
また、軒裏天井板の所定の耐火性能とは、例えば、軒裏天井板を敷設した軒に対して国土交通大臣認定として規定される所定の耐火試験を行った際に、当該軒裏空間と外壁との間に設けられる板(標準板という)裏面の温度を所定時間の間一定の温度以下の雰囲気に維持すること可能とする性能のことを示すが、建築基準法により規定されている性能についても当然に含み、将来規定されるあらゆる評価試験において規定される性能のことをも含む。
なお、軒裏天井板は、構成材料や素材によって、30分〜45分程度の耐火性能を有するものが存在する。
これに対し、上記構成によれば、火災時に火熱により軒裏天井板が熱せられると軒裏天井板の表面温度は上昇し、次いで該軒裏天井板を介して空気層に熱が供給されることで当該空気層の温度は上昇することとなるものの、該空気層の上方には耐火補強体が備えられているため、該耐火補強体により空気層から軒裏空間に向かう熱の移動が抑制されることとなるので、軒裏空間の温度上昇が鈍化し、これによって、軒裏天井板単体による耐火性能以上の耐火性能を確保することができる。
ここで、軒裏天井板上に直接に上記耐火補強体を載置せずに空気層を介することとしているのは、火熱により軒裏天井板の表面温度はきわめて高温となるためである。即ち、当該軒裏天井板に耐火補強体を当接させると該耐火補強体に伝導により容易に熱が供給され、これによって該耐火補強材が高温による強度低下や変形、さらには溶融等して損傷を受けてしまう虞がある。また、軒裏天井板に耐火補強体を載置すると、両部材の断熱効果によってこれらの部材間の温度が急上昇することとなり、その結果、耐火補強体のみでなく軒裏天井板も損傷等してしまう虞もある。かかる問題を回避すべく、上記構成においては、空気層を介在させて軒裏天井板の上方に耐火補強材を設けているのである。
また、前記軒裏天井板の上面は、建物の桁行方向きに沿って前記野縁に載置された耐火補強体に覆われて、軒裏天井板と耐火補強体の間に空気層が形成されることにより当該空気層からの熱の上昇を可及的に遮断し又は防止することができ、これによって制御困難な火災時の熱の移動をある程度制限し又は制御することができるものとなる。この結果、軒裏空間への熱の移動を抑制することも可能となっているのである。
ここで、熱の移動について詳述すると、熱移動には、熱伝導、熱対流、熱輻射の3つのプロセスが混在している。そこで、少なくともこれらのうちの1つでも抑制することが可能であれば、全体として熱の移動を抑制させることができ、その結果、耐火性能を維持すべき時間(耐火時間)の延長を図ることができる。
また、軒裏空間への伝熱自体を減少させることができれば、当該軒裏空間に向かう熱の総量を減少させることができ、これによっても軒裏天井板の裏面の温度上昇を鈍化させることができる。
上記耐火補強体の耐火断熱層は、熱伝導を主として抑制することができる層であって、火熱により熱せられた空気が渦巻く空気層の上方に当該耐火断熱層を設けることにより、空気層から軒裏空間に向かう熱の移動を抑制させることができる。この結果、軒裏空間の温度上昇を鈍化させることができる。
また、熱遮断層は、熱伝導を除く熱輻射、熱対流を主として遮断することができるものであって、当該熱遮断層を空気層の上方に設けることにより、空気層から軒裏空間に向かう熱輻射や当該空気層内での対流熱の軒裏空間への抜けが確実に遮断されることとなり、これによって、空気層から軒裏空間に向かう熱の移動を抑制させることができる。
さらに、吸熱層は、軒裏空間に進入する熱を適宜吸収するものであって、当該吸熱層を空気層の上方に積層することにより空気層から軒裏空間に伝達される熱の総量が低減され、これによっても空気層から軒裏空間に向かう熱の移動を抑制させることができる。
上記耐火補強体は、これら耐火断熱層と熱遮断層と吸熱層いずれか1つの層により、又は2つ若しくは全ての層を積層して形成されているので、軒裏天井板を通じて軒裏空間に至る熱は空気層に蓄積するものの、当該空気層から軒裏空間に向けての熱移動は著しく抑制され、又は抑制されると共に伝熱の総量が低減されることとなり、これによって軒裏天井板のみによる軒裏天井構造の耐火性能よりも耐火性能を著しく向上させることができるのである。
(4)また、前記耐火断熱層は、ロックウールにより形成されていることが好ましい。これによれば、ロックウールを構成する細かい繊維によって対流作用で動き回る空気の移動が妨げられ、高い断熱性能が発揮されるものとなる。また、ロックウールは、基材自体の持つ高い耐熱性により、火災時の高温雰囲気に晒される場合であっても容易に融解することはないので、かかる点からも耐火断熱層として好適である。
また、ロックウールを採用することにより、耐火断熱層は可撓性を有することとなってきわめて容易に軒裏天井板の上方に設けることができる。また、軽量であるので、耐火補強体の軽量化を向上させることができる。また、火災状況下ばかりでなく通常の温熱環境下においても断熱性能を発揮することができるので、当該軒裏天井構造を有する住宅の断熱性能の向上にも貢献することができる。
(5)また、前記熱遮断層は、アルミニウム薄膜、亜鉛鉄板又は鋼板により形成されていることが好ましい。
前記熱遮断層がアルミニウム薄膜により形成されると、当該熱遮断層はきわめて薄く且つ軽量に形成され、耐火補強体の軽量化が図られることとなる。また、アルミニウムは、高い熱反射率(一般には97%程度)を有しているので、輻射熱がアルミニウム薄膜に到達する場合であっても、殆どの輻射熱はアルミニウム薄膜表面で反射されることとなり、きわめて僅かな輻射熱がアルミニウム薄膜を貫通するのみである。したがって、アルミニウム薄膜は主として熱輻射を遮断する熱遮断層として好適である。
また、前記熱遮断層を亜鉛鉄板又は鋼板により形成すると、これらは主として熱対流を遮断する熱気遮断層を形成するので、上述如く熱気流及び熱輻射を遮断することが可能となる。特に、これら亜鉛鉄板及び鋼板は火災時の高温雰囲気の温度に比して融点が著しく高いので、火災時においても容易に融解することなく板形状を維持することができ、これによって、熱対流を長期に亘って遮断することができるのである。また、熱対流のうち、特に熱気流が問題となるが、これら亜鉛鉄板や鋼板を熱遮断層として採用すると当該熱気流も確実に抑制することができる。
なお、熱気流とは、火災時に発生する高温度の気流であって、その上昇速度は中心で最大となり、一般に実測値で12m/sec〜14m/sec程度であるとされる(建築大辞典(彰国社、第2版)参照)。
また、アルミニウム薄膜は主として輻射熱を遮断・反射するものであることはもちろん、膜状を維持することにより対流熱も当然に遮断することができる。同様に、亜鉛鉄板や鋼板は主として対流熱を遮断するものであることはもちろん、輻射熱も当然に遮断することができる。
(6)また、前記吸熱層は、水酸化アルミニウムを主材として形成されていることが好ましい。
これによれば、吸熱層をきわめて薄く且つ軽量に形成することができ、耐火補強体の軽量化が図られることとなる。また、水酸化アルミニウムは、火災時の高温雰囲気に近接する280℃前後で脱水するので、火災時に伝熱を吸収する層としては好適である。
(7)また、上記課題解決のための具体的手段として、本願発明に係る上記の(1)に記載した耐火補強体は、所定の耐火性能を備えて建物の軒の裏側に設けられる軒裏天井板の上方に設けられ、耐火断熱層と、熱遮断層と、吸熱層のいずれか1つの層により、又は2つ若しくは全ての層を積層して形成されていることを特徴としている。
(8)また、上記課題解決のための具体的手段として、本願発明に係る軒裏天井構造の耐火補強方法は、
軒の桁行き方向に沿って所定の耐火性能を有する複数枚の軒裏天井板を敷きべて軒裏空間を形成する上記の(1)に記載した軒裏天井構造の耐火補強方法であって、
いずれか1枚の軒裏天井板を取り外して開口部を形成し、
該開口部から軒裏空間に向けて可撓性を有し且つ軒裏天井板数枚分に相当する長さを有する耐火補強体を挿入すると共に前記桁行き方向に当該耐火補強体を送り込んで前記軒裏天井板の上方に敷き並べ、その後、前記取り外した軒裏天井板を開口部に再び取り付けることを特徴としている。
上記構成によれば、1枚の軒裏天井板を取り外し及び取り付けだけで当該軒裏天井板を含む複数枚の軒裏天井板により形成される軒裏に耐火補強体を設けることができる。
(9)また、前記いずれか1枚の軒裏天井板を取り外して前記開口部を形成した後、
所定の間隔を空けてさらに1枚の軒裏天井板を取り外して他の開口部を設け、
前記開口部から軒裏空間に向けて前記耐火補強体を挿入すると共に前記桁行き方向に当該耐火補強体を送り込みつつ他の開口部側から当該耐火補強体を引き寄せて前記軒裏天井板の上面に敷き並べることが好ましい。
上記構成によれば、2枚の軒裏天井板を取り外し、その後再び取り付けるだけで当該2枚の軒裏天井板を含む複数枚の軒裏天井板により形成される軒裏に耐火補強体を設けることができる。
本発明の軒裏天井構造によれば、軒裏天井板の厚さを維持した状態で軒裏の耐火性能を向上させることができる。
また、本発明の耐火補強体によれば、軒裏天井板の厚さを維持した状態で軒裏の耐火性能を向上させることができる。
さらに、本発明の軒裏天井構造の耐火性能補強方法によれば、軒の桁行き方向に沿う連続作業床を不要として脚立等の簡易な足場のみで施工を行うことが可能となる。
以下、図1〜図12に基づき、本発明を住宅として使用される建物に採用した実施の形態につき、詳細に説明する。
なお、図1〜図4については、寄棟屋根を有する住宅に本願発明の軒裏天井構造を採用した第1実施形態についての図面であって、図5及び図6は軒裏天井構造の第2実施形態等であり、図7及び図8については陸屋根を有する住宅に本願発明の軒裏天井構造を採用した第3実施形態についての図面であって、図9〜図12は本願発明に関する実施例の実験についての図面である。
<第1実施形態>
本発明に係る戸建て住宅1は、所謂寄棟屋根を有する住宅1であって、軽量鉄骨を組み合わせて形成される架構1aと、該架構1aに取り付けられて住宅の側面を形成する外壁構造1bと、架構1aに取り付けられて住宅の上面を形成する屋根構造1cとを備えている。
架構1aは、基礎B上に立設される複数の柱材や面材と、これら柱材や面材を連結する梁材とを備えて形成される軸組構造として構成されている。柱材は、鋼製の角パイプや該角パイプの端部に柱頭部材や柱脚部材を取り付けて形成され、面材は、一対の角パイプをブレースや制振フレームにより連結して形成される。梁材は、H型鋼や鋼製の角パイプにより形成されている。
外壁構造1bは、平板状の外壁2と、該外壁2よりも屋内側に設けられる断熱層(図示省略)とを備えている。
外壁2は、平板状の軽量気泡コンクリート(ALC)パネルにより形成される複数の外壁材を並列状に列べて形成されている。各外壁材は、前記架構1aの最外枠を構成する梁に取り付けられる自重受け金具やイナズマプレート等の金物(図示省略)を介して当該梁に支持されている。
上記ALCパネルは、軽量で且つ高い断熱性能を有するため外壁材として好ましく用いることが可能である。
また、図1に示す如く、本発明に係る戸建て住宅1は、本屋に対し下屋を突出して形成されており、屋根構造1cは、上方に下屋の屋根を形成する片流れ状の1階屋根3と、2階の屋根を形成する切妻状の2階屋根4とを備えている。各屋根3、4は、屋根3、4の下方に位置する各外壁2よりも外方に突出した位置に軒5を備えており、これによって、各屋根3、4の軒5と外壁2との間には軒裏空間Sが形成されている。
なお、実施形態の説明の便宜上、図1の紙面垂直方向(法線方向)を桁行き方向とし、図1の紙面平行方向を梁間方向と称呼する。
これら各軒5の構成は略同様であるので、以下は2階部分の軒5の構成について述べることとし、1階部分の軒5についてはその説明を省略する。
図2に示す如く、当該軒5は、2階部分の外壁2よりも突出して設けられる軒先構造10と、該軒先構造10により包囲される軒裏空間Sを塞ぐ軒裏天井構造30とを備えている。
なお、軒の出寸法は、2000mm以下が好ましく、1000mm以下が最も好ましい。本実施形態においては、軒の出寸法Lは720mmである。
軒先構造10は、屋根を形成する軒屋根11と、該軒屋根11を支持する垂木部材12と、該垂木部材12の先端部に取り付けられたジョイント金物13と、該ジョイント金物13に取り付けられた鼻隠部材14とを備えている。
軒屋根11は、平板状の構造用合板からなる下地板16と、該下地板16の一方の面(上面)に敷設された屋根板部材17とを備えて形成されている。
当該軒屋根11を支持する垂木部材12は、平板状の金属板をプレス加工により断面コ字状の長尺部材として形成されている。また、垂木部材12は、長手方向を梁間方向に向けた状態で所定の間隔を空けて棟から軒に向けて下り傾斜状に複数本架設されている。また、各垂木部材12は、中途部が金物部材k1を介して架構1aを形成する軒桁2bに支持されている。
ジョイント金物13は、垂木部材12の先端部に連結される連結部18と、該連結部18から垂下される垂下部19とを備えている。
鼻隠部材14は、下地板16と同様の平板状の構造用合板により形成されており、複数のジョイント金物13に跨った状態で各ジョイント金物13の垂下部19にタッピングネジ等を介して取り付けられている。また、鼻隠部材14は、上端縁を垂木部材12の上端面により形成される傾斜面12aに沿わせた状態でジョイント金物13に取り付けられており、これによって鼻隠部材14の下端部は住宅1の2階部分の外壁2の上端部に相対する。
また、鼻隠部材14の一方の面(表面)には、屋根板部材17を流れ落ちてくる雨水等を受ける軒樋15が取り付けられている。
上述の如く各部材10〜14が配備されることにより、当該軒5には、軒桁2b、軒屋根11の下地板16、鼻隠部材14により包囲される軒裏空間Sが形成されており、軒裏天井構造30は、当該軒裏空間Sを下方から塞ぐ構造である。
ところで、住宅1が密集する都市においては、ある住宅1に火災が発生することにより該住宅1に隣接する隣家に当該火災の火炎が燃え移り(かかる現象を延焼又は類焼という)、これによって隣家まで当該火災に巻き込まれてしまう虞がある。このような隣家への延焼の発端は、外壁2から突出している上述の如き軒5等が火災による火熱に相当時間晒されることにより軒5が燃えてしまうこと等であることが知られており、この種の延焼を防止すべく、軒裏には、所定の耐火性能を備えることが要求されている。
本実施形態の軒裏天井構造30は、上述の如く軒裏に要求される耐火性能を向上させるものであって、鼻隠部材14の下端部に取り付けられるL字状金物31と、該L字状金物31に支持される軒先取付金物32と、軒桁2bの下端部に取り付けられて外壁2を支持するZ金物k2に連結される外壁取付金物33と、これら軒先取付金物32と外壁取付金物33の間に組まれる野縁組立体34と、軒先取付金物32と外壁取付金物33に亘って架設されると共に野縁組立体34に懸架される軒裏天井板35と、野縁組立体34の上方に設けられる耐火補強体70とを備えている。
L字状金物31は、長手方向を桁行き方向に一致させた状態で鼻隠部材14の下端部に取り付けられており、該鼻隠部材14の表裏一方の面(本実施形態においては表面)に連結される連結板部37と、該連結板部37の下端から外壁2に向けて水平に突出する水平板部38とを備えている。
軒先取付金物32は、L字状金物31の水平板部38にボルト等を介して締結される断面コ字状の取付部40と、該取付部40の下部に取り付けられる平板状の見切り板42とを備えている。当該取付部40をL字状金物31の水平板部38に取り付けると、該水平板部38の下面と見切り板42の上面は互いに平行となった状態で対向する。
外壁取付金物33は、金属板をプレス成形等を施して形成されており、外壁2を支持するZ金物k2にタッピンネジ等を介して連結されるブラケット部43と、該ブラケット部43の先端に形成される軒天保持部46とを備えている。また、ブラケット部43には、平板部に通気孔44aが開設されている。
また、該軒天保持部46は、一対の挟持片47、47と該一対の挟持片47、47を連結する連結部48とを備えている。また、該外壁取付金物33をZ金物k2に取り付けると、軒天保持部46の連結部48の一方の面が所定間隔を有して外壁2と対向することとなるが、該一方の面には加熱により所定温度に達すると少なくとも前記所定間隔の厚さを有するまで厚さ方向に膨張する加熱膨張材49が取り付けられている。
また、軒先取付金物32の取付部40と外壁取付金物33の連結部48とは同一の高さを有している。また、該高さは軒裏天井板35の厚さと同一又は僅かに大きい。また、該軒先取付金物32の見切り板42の上面と外壁取付金物33の下側の挟持片47の上面とは同一の高さ位置に設定されている。
野縁組立体34は、外壁取付金物33に支持される野縁受け51と、野縁受け51に亘って架設される複数本の野縁52とを備えている。
野縁受け51は、金属板をプレス成形してなる断面コ字状の長尺部材として形成され、平坦状の側面部53の一端に上面部54が屈曲形成されると共に他端に下面部55が屈曲形成されており、該側面部53が外壁取付金物33のブラケット部43にタッピンネジ等を介して取り付けられている。
野縁52は、金属板をプレス成形してなる角筒状に形成されており、梁間方向に沿って設置され、一方の端部が野縁受け51の上下面部54、55及び側面部53の間に嵌り込んだ状態で当該野縁受け51にタッピンネジ等を介して取り付けられると共に、他方の端部がL字状金物31の水平板部38の上面に載置されている。
軒裏天井板35は、所定の耐火性能を有する平板状の繊維混入けい酸カルシウム板により形成されており、軒先側の側縁部をL字状金物31の水平板部38と軒先取付金物32の見切り板42に挟持されると共に、外壁側の側縁部を外壁取付金物33の軒天保持部46の一対の挟持片47、47に挟持された状態で軒裏に設けられ、これによって軒裏空間Sを下方より塞いでいる。また、軒裏天井板35は、一方の側縁部が当該軒裏天井板35の下方より螺合されるタッピンネジ等を介してL字状金物31の水平板部38に締結されると共に、他の複数箇所が当該軒裏天井板35の下方より螺合されるタッピンネジ等を介して野縁組立体34の野縁52に締結されている。
なお、当該けい酸カルシウム板の厚さは、6mm〜16mmが好ましく、耐火性能の観点からは16mmの厚さを有するものが最も好ましい。
また、軒裏天井板35の所定の耐火性能とは、例えば、軒裏天井板35を敷設した軒5に対して国土交通大臣認定として規定される所定の耐火試験を行った際に、当該軒5の軒裏空間Sと外壁2との間に設けられる板(標準板という)裏面の温度を所定時間の間一定の温度以下の雰囲気に維持すること可能とする性能のことを示すが、建築基準法により規定されている性能についても当然に含み、将来規定されるあらゆる評価試験において規定される性能のことをも含む。
本実施形態においては、軒裏天井板35として繊維混入けい酸カルシウム板を採用しているが、軒裏天井板35としては、繊維混入けい酸カルシウム板に代えて、繊維混入セメントけい酸カルシウム板、繊維補強セメント板、石灰・けい酸カルシウム板、硬質木片セメント板等の窯業系サイディングボード等が用いられ、軒裏天井板35としての厚さは、要求される耐火性能や材質によって8mm〜25mm程度の間で選択される。
また、上記厚さ16mmの繊維混入けい酸カルシウム板により形成される軒裏天井板35は、35〜45分程度の耐火性能を有するものであって、耐火補強体70は、当該軒裏天井板35の耐火性能を補強して軒裏天井構造30全体の耐火時間の延長を図るものである。
該耐火補強体70は、軒裏天井板35を通じて軒裏空間Sに向かう熱の移動を抑制するものであって、これにより軒裏空間Sの温度上昇が鈍化し、軒裏天井板35単体による所定時間の耐火性能以上の耐火性能が確保されることとなる。
ここで、熱の移動について詳述すると、熱移動には、熱伝導、熱対流、熱輻射の3つのプロセスが混在している。そこで、少なくともこれらのうちの1つでも抑制することが可能であれば、全体として熱の移動を抑制させることができ、その結果、耐火性能を維持すべき時間(耐火時間)の延長を図ることができる。
また、一方で、軒裏空間Sに向かう熱を吸収することができれば、当該軒裏空間Sに向かう熱の総量を減少させることができるので、これによっても軒裏空間Sの温度上昇が抑制される。耐火補強体70にこの様な吸熱効果が付与されれば、軒裏空間Sに至る熱の移動は抑制されることとなる。
したがって、耐火補強体70は、耐火断熱層と、熱遮断層と、吸熱層いずれか1つの層により、又は2つ若しくは全ての層を積層して形成されているものが好ましく、本実施形態において、耐火補強体70は、空気層Eを介して軒裏天井板35の上方に設けられている。より具体的には、L字状金物33の水平板部38上には、高さを野縁受け51と同一若しくは略同一とするロックウール製のブロック75が野縁52間に載置されており、耐火補強体70は、該ブロック75及び野縁組立体34を構成する野縁52、野縁受け51上に載置されている。
これにより、図2に示す如く、軒裏天井板35と耐火補強体70との間に空気層Eが設けられているのである。
なお、空気層Eの厚さは10mm〜80mm程度を確保することが好ましく、他の部材との収まり等を考慮すると、40mm〜50mm程度の厚さを確保することが最も好ましい。
耐火補強体70を構成する耐火断熱層71は、熱伝導を主として抑制する層であって、火熱により熱せられた空気が渦巻く空気層Eの上方に当該耐火断熱層71が設けられていることにより、空気層Eから軒裏空間に向かう熱の移動が抑制されることとなるのである。
当該耐火断熱層71としては、密度60kg/m〜200kg/mのロックウールを厚さ25mm〜50mmの範囲で用いるのが好ましく、本実施形態においては、厚さ50mmとする密度60kg/mのロックウール又は厚さ25mmとする密度200kg/mのロックウールを用いている。
また、該耐火補強体70は、野縁組立体34の野縁受け51の側面部53からは鼻隠部材14に亘る幅を有する平板状に形成されているものの、上述の如くロックウール製であるため可撓性を有している。
また、耐火補強体70の耐火断熱層71がロックウールに形成されていることにより、該ロックウールを構成する細かい繊維によって対流作用により動き回る空気の移動が妨げられ、これによって高い断熱性能が発揮されている。また、ロックウールは、基材自体の持つ高い耐熱性(熱間収縮温度600℃以上)により、火災時の火熱によっても容易に収縮変形又は溶融することはないので、かかる点からも耐火断熱層71として好適である。
また、ロックウールは軽量であるため、耐火補強体70の軽量化が図られているのである。さらには、ロックウールを耐火断熱層71として採用することにより、火災状況下ばかりでなく通常の温熱環境下においても断熱性能が発揮されるので、当該軒裏天井構造30を備える住宅1の断熱性能の向上も図られる。
なお、耐火断熱層71としては、ロックウールに限定されず、セラミックファイバーやセラミックボード等の鉱物繊維系素材を主材とする材料を採用可能である。
また、該耐火補強体70は、野縁組立体34上に載置されており、これによって、軒裏天井板35と耐火補強体70との間には、当該軒裏天井板35、耐火補強体70及び野縁組立体34に包囲される空気層Eが形成されている。
本実施形態においては、火災時に火熱により軒裏天井板35が熱せられると、軒裏天井板35の表面温度は急上昇し、次いで該軒裏天井板35を介して空気層Eに熱が供給されることで当該空気層Eの温度は上昇することとなるものの、該空気層Eの上方に耐火補強体70が設けられているため、該耐火補強体70により空気層Eから軒裏空間Sに向かう熱の移動が抑制されることとなるので、軒裏空間Sの温度上昇が鈍化し、これによって、軒裏天井板35単体による耐火性能以上の耐火性能を確保することができる。
ここで、軒裏天井板35の上に直接に上記耐火補強体70を載置せずにこれら軒裏天井板35に上記耐火補強体70との間に空気層Eを介することとしているのは、加熱によるこれらの部材35、70の損傷を防止するためである。即ち、火熱により軒裏天井板35の表面温度はきわめて高温となり、これによって当該軒裏天井板35の表面に耐火補強体70を当接させると、伝導による伝熱によりきわめて高温の熱が容易に耐火補強体70に供給されることとなり、その結果、耐火補強体70が高温による強度低下や変形、さらには溶融等して損傷を受けてしまう虞があるからである。また、軒裏天井板35に耐火補強体70を載置すると、両部材35、70の断熱効果によってこれらの部材35、70間の温度が急上昇することとなって耐火補強体70のみでなく軒裏天井板35も上面側から損傷等してしまう虞もあるからである。
また、軒裏天井板35及び耐火補強体70はいずれも耐火性・断熱性を有し、当該耐火断熱性を有する層によって空気層Eを挟み込む構成とすることにより、当該空気層Eは急速に温度を上昇させることとなるものの、当該空気層Eからの熱の移動はこれら耐火断熱層71により可及的に規制されることとなる。特に、かかる高温空気からの熱が対流により軒裏空間Sにより供給されると、該軒裏空間Sの温度は早急に上昇することとなるが、当該空気層Eは軒裏天井板35、耐火補強体70及び野縁組立体34により比較的密閉に近い状態に維持されているので、当該空気層E内の熱が対流によって軒裏空間Sに移動することは著しく制限されるものとなっている。
また、金属製の野縁組立体34が熱橋となって軒裏空間Sに熱を供給することも考えられるが、当該野縁組立体34上に耐火補強体70が備えられているので、当該野縁組立体34からの熱の移動も耐火補強体70により制限される。
なお、当該野縁組立体34による熱橋の影響を低減すべく、野縁受け51の上下面部54、55の間にロックウール等の断熱材を設置することは好ましい。
上記構成によれば、軒裏天井板35、空気層E及び耐火補強体70からなる層構成の厚さは50mm〜130mmが好ましく、他の部材との収まり考慮すると65mm〜100mmの厚さが最も好ましい。
本実施形態によれば、軒裏天井板35の上方に空気層Eを介して耐火断熱層71からなる耐火補強体70が設けられているので、軒裏天井板35を経由して軒裏空間Sに至る熱の移動が著しく抑制され、これによって軒裏天井板35のみによる軒裏天井構造30の耐火性能よりも耐火性能を向上が図られる。
また、軒裏天井板35の重量が13.0kg/m〜16.0kg/m程度であるのに対し、耐火補強体70の重量が3.0kg/m〜5.0kg/m程度であり、これによって本実施形態の軒裏天井構造30は、軒裏天井板35単体を支持するもの比較しても僅かに重量が増すに過ぎない。このため、該軒裏天井板35単体を支持する建物の躯体構成を変更・改修することなく軒裏天井板35の軒裏への取り付けが可能となっている。
また、火災等の加熱により軒下周辺部が所定の温度雰囲気となると、外壁取付金物33の軒天保持部46の加熱膨張材49が膨張して外壁2に達する。これにより、通気孔44aは加熱膨張材49により塞がれることとなり、当該通気孔44aを通じての熱気流の流入が抑制され、軒裏空間Sの温度上昇も抑制されることとなる。
また、上記実施形態の軒裏天井構造30は、各軒裏天井板35を軒裏に取り付ける前に耐火補強体70を野縁組立体34の上面に設置すると共にL字状金物33の水平板部38上にブロック75を設置し、その後、軒裏天井板35を取り付ける施工を行うことで形成可能であり、かかる施工により新築の住宅1の軒5に当初から耐火補強体70を備え付ける構成とすることは可能である。
一方、軒裏天井板35単体を保持する軒裏天井構造30を有する既設の住宅1に上述の如く耐火補強体70を設置することにより形成することももちろん可能である。
以下、軒裏天井板35単体を保持する既設の住宅1の軒裏天井構造30に耐火補強体70を設置する方法について、図3を用いて説明する。
図3(a)及び(b)に示す如く、まず、既存の軒裏天井構造30において、軒5の延設方向となる桁行き方向に列べて敷設されている複数枚の軒裏天井板35のうち、いずれか一枚の軒裏天井板35を保持している軒先取付金物32を取り外すと共に、当該軒裏天井板35と野縁組立体34との連結を解除する。ここで、軒先取付金物32と軒裏天井板35及びL字状金物33との連結、或いは軒裏天井板35と野縁組立体34の野縁52との連結は当該軒裏天井板35の下側からタッピンネジ等を介して締結されているので、軒裏天井板35の下方(軒下)から各タッピンネジを取り外すことにより、各部材は容易に連結状態を解除することとなる。
そして、当該軒裏天井板35のみを取り外して、軒下から軒裏に連通可能な開口部P1を形成する。
次に、該開口部P1から軒裏空間Sに向けてブロック75を挿し入れる。ここで、ブロック75はロックウールによって形成されているため、ある程度の可撓性を備えている。このため、当該1枚の軒裏天井板35を外して形成される開口部P1であっても、当該開口部P1から容易にブロック75を軒裏空間Sに向けて挿し入れることが可能となっている。
ここで、ブロック75の設置については、長尺部材等を用いて公知の方法により野縁52の間に設置することとなるが、野縁52の先端部とL字状金物31の連結板部37との間にある程度の隙間があれば、桁行き方向の大きさを軒裏天井板35の桁行き方向の長さの複数枚の長さに相当する大きさに形成し、当該隙間に送り込むことでL字状金物31の水平板部38上に設置することが可能である。
そして、図3(c)に示す如く、さらに軒裏空間Sに向けて耐火補強体70を挿し入れる。ここで、ブロック75と同様、耐火補強体70も上述の如く耐火断熱層71を形成するロックウールによって形成されているので、ある程度の可撓性を備えている。このため、当該1枚の軒裏天井板35を外して形成される開口部P1であっても、当該開口部P1から容易に耐火補強体70を軒裏空間Sに向けて挿し入れることが可能となっている。
そして、当該開口部P1を基点として桁行き方向に当該耐火補強体70を送り込み、各軒裏天井板35を懸架する野縁組立体34の及びブロック75の上面に耐火補強体70を載置する。ここで、耐火補強体70の桁行き方向の長さは、軒裏天井板35の桁行き方向の長さの複数枚の長さに相当する大きさとされているので、耐火補強体70を開口部P1から送り込むことにより軒裏天井板35の上方は順次耐火補強体70に覆われることとなる。そして、各軒裏天井板35と耐火補強体70との間に空気層Eが形成されることとなる。引き続き耐火補強体70を送り込むことにより、該耐火補強体70を当該開口部P1の上方にも設け、これによって開口部P1を耐火補強体70により覆う。
その後、図3(d)に示す如く、先ほど取り外した軒裏天井板35を開口部P1に再び取り付けると共に、タッピンネジを介して軒裏天井板35を野縁組立体34に懸架させると共に軒先取付金物32をL字状金物31に取り付け、作業を完了する。これにより、当該一度取り外した軒裏天井板35の上方にも耐火補強体70及び空気層Eが設けられることとなる。
上記設置方法によれば、軒裏天井板35のみを保持する既存の軒裏天井構造30であっても、1枚の軒裏天井板35を取り外した後再び取り付ける作業を通じて軒裏天井構造30に耐火補強体70を備え付けることができ、これによって、軒裏天井構造30の耐火性能の向上が図られるのである。また、当該設置方法により、耐火補強体70を軒裏天井板35よりも上方に設けることが可能となるので、既存の軒裏天井構造30の意匠性を損なうことなく当該軒裏天井構造30の耐火性能の向上が図られる。
また、上記設置方法によれば、1枚の軒裏天井板35を取り外し、再び取り付けることで当該軒裏天井板35を含む複数枚の軒裏天井板35により形成される軒裏に耐火補強体70が備え付けられるため、軒5に沿う桁行き方向に沿って連続作業床を必要とすることはなく、取り外す予定の軒裏天井板35の直下に脚立等を設置することで作業を行うことが可能となって作業の簡素化が図られる。
また、軒裏天井板35単体を保持する軒裏天井構造30に耐火補強体70を設置する方法は、図4に示す方法を採用することも可能である。
まず、図4(a)又は(b)に示す如く、既存の軒裏天井構造30において、軒5の延設方向となる桁行き方向に列べて敷設されている複数枚の軒裏天井板35のうち、いずれか一枚の軒裏天井板35を保持している軒先取付金物32を取り外すと共に、当該軒裏天井板35と野縁組立体34との連結を解除する。そして、当該軒裏天井板35を取り外して、軒下から軒裏に連通可能な一の開口部P2を形成する。
そして、当該軒裏天井板35取り外して形成される一の開口部P2から所定間隔を空けた位置に設けられている軒裏天井板35を保持している軒先取付金物32を取り外すと共に、当該軒裏天井板35と野縁組立体34との連結を解除する。そして、当該軒裏天井板35を取り外して、軒下から軒裏に連通可能な他の開口部P3を形成する。ここで、当該一の開口部P2と他の開口部P3と間の所定間隔とは、2〜5枚程度の軒裏天井板35を一方向に敷設したものに等しい。
そして、軒裏空間Sに向けて一の開口部P2からブロック75を挿し入れ、当該一の開口部P2から他の開口部P3に向けてブロック75を送り込む。同時に、他の開口部P3側から当該耐火補強体70を引き寄せ、これによってこれら両開口部P2、P3間のL字状金物33の上面にブロック75を載置する。
そして、図4(c)に示す如く、さらに軒裏空間Sに向けて一の開口部P2から耐火補強体70を挿し入れ、当該一の開口部P2から他の開口部P3に向けて耐火補強体70を送り込む。同時に、他の開口部P3側から当該耐火補強体70を引き寄せ、これによってこれら両開口部P2、P3間の軒裏天井板35を懸架する野縁組立体34の上面に耐火補強体70を載置する。これにより、各軒裏天井板35の上方が耐火補強体70により覆われると共に、各軒裏天井板35と耐火補強体70との間に空気層Eが形成される。そして、該耐火補強体70を両開口部P2、P3の上方にも設ける。
その後、図4(d)に示す如く、先ほど取り外した軒裏天井板35及び軒先取付金物32を各開口部P2、P3にそれぞれ再び取り付けると共に、タッピンネジ等を介して各軒裏天井板35を野縁組立体34に懸架させると共に軒先取付金物32、L字状金物31及び外壁取付金物33により挟持させ、作業を完了する。これにより、当該軒裏天井板35の上方にも耐火補強体70及び空気層Eが設けられることとなる。
上記設置方法によれば、2枚の軒裏天井板35を取り外し、再び取り付ける作業で軒裏天井構造30に耐火補強体70を備え付けることができ、1枚の軒裏天井板35を取り外す場合と同様2台の脚立を用意することで作業を行うことが可能となって、作業の容易化が図られることはもちろん、他方の開口部から耐火補強体70を引き込む作業が加わることにより、1枚の軒裏天井板35を取り外す場合よりも正確且つ迅速に耐火補強体70を敷設することが可能となっている。
<第2実施形態>
図5に示す如く、本実施形態は、軒裏天井構造30の層構成は上記第1実施形態と異なるものの、他の構成は上記第1実施形態と同様であるので、軒裏天井構造30の層構成のみについて説明し、それ以外の構成は第1実施形態と同じ符号を付することでその説明を省略する。
本実施形態において、軒裏天井構造30は、軒裏天井板35の上方に空気層Eを介して耐火補強体70が設けられ、該耐火補強体70は、野縁組立体34及びブロック75上に載置される耐火断熱層71と、該耐火断熱層71の上面に積層される熱遮断層72と、該熱遮断層72の上面に積層される吸熱層73とを備えて構成されている。
耐火断熱層71は、上記第1実施形態と同様にロックウールにより形成されている。なお、当該耐火断熱層71は、60kg/mのロックウールを厚さは25mm程度としたものを採用することが好ましく、その重量は1.5kg/m程度である。
熱遮断層72は、熱伝導を除く熱輻射、熱対流を主として遮断するものであって、当該熱遮断層72を耐火断熱層71の上方に設けることにより、空気層から耐火断熱層71を貫通して軒裏空間に向かう熱輻射や当該空気層から耐火断熱層71を通じて熱遮断層72に達する対流熱の軒裏空間への抜けが確実に遮断されることとなり、これによって、空気層から軒裏空間に向かう熱の移動を抑制させることが可能となる。
本実施形態においては、熱遮断層72として厚さを0.2mmとし、重量を0.5kg/m程度とするアルミニウム薄膜(アルミニウム箔)を用いており、これによって、当該熱遮断層72はきわめて薄く且つ軽量に形成され、耐火補強体70の軽量化が図られることとなる。
また、アルミニウムは、きわめて高い熱反射率(一般には97%程度)を有しているので、空気層内の輻射熱がアルミニウム薄膜に到達する場合であっても、殆どの輻射熱はアルミニウム薄膜表面で反射され、きわめて僅かな輻射熱がアルミニウム薄膜を貫通するのみとなり、これによって、空気層から軒裏空間への熱の移動、ひいては軒裏空間の温度上昇の鈍化が図られるのである。
なお、アルミニウム箔としては、0.1〜1.0kg/m程度のものを採用することが好ましく、その他、アルミニウム箔をガラス繊維により補強してなるアルミガラスクロスとうを上記アルミニウム箔相当の単位重量で用いることも好ましい。
吸熱層73は、熱遮断層72からの伝熱を吸収するものであって、当該吸熱層73により、空気層を介して軒裏空間に伝達される熱の総量が低減され、これによっても軒裏空間の温度上昇の鈍化が図られるのである。
本実施形態においては、吸熱層73として粉末状の水酸化アルミニウムを1.0kg/m程度に均一に散布したものを用いているが、当該水酸化アルミニウム粉末を吸熱層として採用する場合は、0.5〜6.0kg/m程度の単位重量で用いるのが好ましく、軒裏構造に付与される重量とのバランスを考慮すると1.0kg/m程度の単位重量で用いることが最も好ましい。これにより、吸熱層73をきわめて薄く且つ軽量に形成することができ、耐火補強体70の軽量化が図られるのである。また、水酸化アルミニウムは、火災時の火熱雰囲気の温度付近に相当する280℃前後で脱水するので、火災時の熱遮断層72からの伝熱を有効に吸収する。
本実施形態においても、軒裏天井板35及び空気層Eを経由して軒裏空間Sに至る熱の移動が著しく抑制され、これによって軒裏天井板35のみによる軒裏天井構造30の耐火性能よりも耐火性能を向上が図られる。
また、軒裏天井板35の重量が13.0kg/m〜16.0kg/m程度であるのに対し、耐火補強体70の重量は、上記3層を合計しても3.0kg/m〜8.0kg/m程度であり、これによって本実施形態の軒裏天井構造30は、軒裏天井板35単体を支持するもの比較しても僅かに重量が増すに過ぎない。このため、該軒裏天井板35単体を支持する建物の躯体構成を変更・改修することなく耐火補強体70の軒裏への取り付けが可能となっている。
また、上記構成によれば、軒裏天井板35、空気層E及び耐火補強体70からなる層構成の厚さは30mm〜90mmが好ましく、他の部材との収まり考慮すると55mm〜80mmの厚さが最も好ましい。本実施形態においては、軒裏天井板35の厚さを16mm、空気層Eの厚さを40mm、熱遮断層72の厚さを0.2mm、吸熱層73の厚さを10mmとし、これらの層構成は56.2mmとなる。このため、当該層構成は薄いものとなり、軒裏空間Sを構成する他の部材との収まりに不具合を生じる虞はないものとなっているのである。
また、本願発明の構成は、上記実施形態に限定されず、上記実施形態以外の構成も採用可能である。
例えば、熱遮断層72として、亜鉛鉄板や鋼板等の金属板を採用することが可能である。当該金属板としては、厚さを0.1mm〜1.0mm程度に設定することが好ましく、0.27mm程度が最も好ましい。熱遮断層72としての金属板は、主として熱対流を遮断する熱気遮断層を形成するので、熱気流を遮断することが可能となる。特に、これら亜鉛鉄板や鋼板は火災時の火熱雰囲気の温度に比して融点が著しく高いので、火災時においても容易に融解することなく板形状が維持され、これによって、熱気流が長期に亘って遮断されるものとなる。特に、上述の如く高い断熱性を有する軒裏天井板35と耐火断熱層71により挟み込まれることにより、空気層には著しく高温の熱気流が存在することとなるが、当該熱気流の上昇も上述の如く火災時の火熱雰囲気に比して著しく高い融点を有する金属板により当該熱気流の上昇も確実に遮断されるのである。
なお、熱気流とは、火災時に発生する高温度の気流であって、その上昇速度は中心で最大となり、実測値で12m/sec〜14m/secである。
また、上記実施形態のアルミニウム箔は主として輻射熱を遮断・反射するものであることはもちろん、膜状を維持することにより対流熱も当然に遮断することができ、同様に、亜鉛鉄板や鋼板の金属板は主として対流熱を遮断するものであることはもちろん、輻射熱をも当然に遮断することができる。
また、水酸化アルミニウムを吸熱層73として使用するにつき、水酸化アルミニウム粉末を含む塗膜、又は水酸化アルミニウム粉末を接着剤で定着させた定着膜、又は水酸化アルミニウムを含有する紙体、又は水酸化アルミニウム粉末定着樹脂フィルムによって吸熱層73を形成することももちろん可能である。また、当該粉末状の水酸化アルミニウムを不織布等で形成される袋体に封入してなる吸熱袋を吸熱層73として採用することも可能である。
また、耐火補強体70の層構成についても、上記実施形態に限定されることはなく、耐火断熱層71と、熱遮断層72と、吸熱層73のいずれか1層を有していれば、これらの上下の位置関係や層数は必要に応じて適宜変更することができる。
したがって、図6に示す如く、アルミニウム箔からなる熱遮断層72にロックウールからなる耐火断熱層71を積層し、当該耐火断熱層71に亜鉛鉄板からなる熱遮断層72を積層し、さらに、当該熱遮断層72の上面に吸熱袋73aからなる吸熱層73を載置する構成も可能である。
また、亜鉛鉄板からなる熱遮断層72上に吸熱袋73aからなる吸熱層73を載置する構成も採用可能であり、該吸熱層73に代えて火熱膨張材からなる耐火断熱層71を積層する構成も採用可能である。
また、野縁組立体34上方にアルミガラスクロスを熱遮断層72として配備すると共に、当該熱遮断層72上に吸熱層73としての吸熱袋73aを設けることも可能である。かかる構成においては、アルミガラスクロスによって野縁組立体34を含んで空気層Eを覆うことにより、当該空気層Eに気密処理が施されることとなる。これにより、火災時に生じる空気層E内の高温熱気流を当該空気層E内に閉じ込めることが可能となり、これによって、軒裏空間Sの温度上昇を鈍化させることが可能となるのである。
<第3実施形態>
図7に示す如く、本発明に係る戸建て住宅1は、所謂陸屋根を有する住宅1であって、軽量鉄骨を組み合わせて形成される架構1aと、該架構1aに取り付けられて住宅の側面を形成する外壁構造1bと、架構1aに取り付けられて住宅の上面を形成する屋根構造1cとを備えている。
架構1aは、基礎B上に立設される複数の柱材や面材と、これら柱材や面材を連結する梁材とを備えて形成される軸組構造として構成されている。
外壁構造1bは、平板状の外壁2と、該外壁2よりも屋内側に設けられる断熱層(図示省略)とを備えている。
外壁2は、平板状の軽量気泡コンクリート(ALC)パネルにより形成される複数の外壁材を並列状に並べて形成されている。
また、屋根構造1cは、平板状の軽量気泡コンクリートパネルを水平に敷き並べて形成される所謂陸屋根として形成されており、2階部分の外壁2よりも突出する軒5を備えている。
図8に示す如く、当該軒5は、2階部分の外壁2よりも突出して設けられる軒先構造10と、該軒先構造10を支持する支持構造20と、該軒先構造10により包囲される軒裏空間Sを塞ぐ軒裏天井構造30とを備えている。
支持構造20は、一対の柱材の間に架設されて2階部分の外壁2及び屋根板2cを支持する軒桁2bと、該軒桁2bから外壁2の外方に向けて伸びる持出し梁21と、これら持出し梁21の先端同士を連結する軒先桁22とを備えている。これらの梁21及び桁2b、22は、梁間や梁と桁の間にジョイントピース(図示省略)を配備し、当該梁及び桁とジョイントピースとをボルト等により締結することにより連結される。
軒先構造10は、支持構造20の軒桁2bから軒先桁22に亘って架設される軒板部材23と、該軒板部材23の先端に取り付けられる役物部材24と、該役物部材24の下方に位置すると共に軒先桁22の上端部から該軒先桁22の下端部よりも下方に伸びる鼻隠部材25とを備えている。
軒板部材23は、平板状の軽量気泡コンクリート(ALC)パネルにより形成されている。また、軒桁2b及び軒先桁22の上面には剛床金物26が取り付けられており、該剛床金物26と軒板部材23との間にはモルタルが充填されている。また、隣接する軒板部材23の間にはコッター(図示省略)が取り付けられており、これら隣接する軒板部材23はコッター及びモルタルを介して連結されている。
役物部材24は、軒先桁22の上端部にボルト等を介して締結されて該軒先桁22の上端部から水平に伸びる平坦部24aと、該平坦部24aの先端部から直角に屈曲されて上方に伸びる立上り部24bと、該立上り部24bの先端から軒板部材23に向けて傾斜状に屈曲して形成される屈曲部24cとを備えて形成されている。また、役物部材24は、平坦部24aが軒先桁22の上端部にボルト等を介して締結されている。また、平坦部24aの先端部と立上り部24bと傾斜部との間には裏打ち材26が充填されると共に、該裏打ち材と軒板部材23との間にはモルタルが充填されている。
鼻隠部材25は、軒板部材23と同様に平板状の軽量気泡コンクリート(ALC)パネルにより形成されており、一方の面を軒先桁22に対向させた状態で設けられ、上端部及び下端部が金物部材k3を介して軒先桁22に取り付けられている。また、鼻隠部材25の他方の面には、軒樋15が取り付けられている。
上述の如く各部材が配備されることにより、当該軒5には、軒桁2b、軒板部材23、軒先桁22及び鼻隠部材25により包囲される軒裏空間Sが形成されており、軒裏天井構造30は、当該軒裏空間Sを下方から塞ぐ構造である。
軒裏天井構造30は、軒先桁から鼻隠部材25の下端部まで延設される先桁下金物36と、該先桁下金物36の下端部に取り付けられるブラケット金物31aと、該ブラケット金物31aに懸架される軒先取付金物32と、軒桁2bの下端部に取り付けられて外壁2を支持するZ金物k2に連結される外壁取付金物33と、これら軒先取付金物32と外壁取付金物33の間に組まれる野縁組立体34と、軒先取付金物32と外壁取付金物33に亘って架設されると共に野縁組立体34に懸架される軒裏天井板35と、該野縁組立体34上に載置される耐火補強体70とを備えている。また、当該耐火補強体70と軒裏天井板35との間には、これら耐火補強体70、軒裏天井板35及び野縁組立体34により包囲される空気層Eが形成されている。
ブラケット金物31aは、先桁下金物36に重なった状態でタッピンネジ等を介して鼻隠部材25に取り付けられる取付部31bと、建物の外壁に向けて延びる水平板部31cとを備えている。また、軒先取付金物32aは、金属板をプレス成形等を施して形成されており、ブラケット金物31aの水平板部31cにボルト等を介して締結される締結部32bと、該締結部32bの先端部から屈曲して形成される小口部32cと、該小口部32cの下端部から屈曲して形成される座部32dとを備えている。
残りの軒裏天井構造30の各構成については、上記第1実施形態と同様であるので、上記第1実施形態と同様の符号を付してその説明を省略する。
本実施形態においても、上記第1実施形態と同様に、軒裏天井板35上に空気層Eを介して少なくとも耐火断熱層71、熱遮断層72、吸熱層73のいずれか1層を備える耐火補強体70が設けられているので、軒裏天井板35を経由して軒裏空間Sに至る熱の移動が抑制されるばかりでなく、当該熱の総量も低減されることとなり、これによって軒裏天井板35のみによる軒裏天井構造30の耐火性能よりも耐火性能を向上が図られる。
また、当該実施形態は、上記屋根構造Rのみに拘らず、図1に示す如く、住宅1の2階に設けられる張出しベランダDの張出し床の下部構造dに採用することも可能である。かかる構成においては、役物部材24及び鼻隠部材25に代えて、手摺り壁26が取り付けられている。該手摺り壁26は、軒板部材23と同様に平板状の軽量気泡コンクリート(ALC)パネルにより形成されており、下端部を軒先桁22よりも下方に位置すると共に上端部を2階外壁2の中途部に位置させた状態で取付金物等を介して軒先桁22に取り付けられている。
以上、本発明の軒裏天井構造30の実施形態について詳述したが、本発明は上記実施形態にのみ限定されるものではない。
例えば、上記軒裏天井構造30は、1階をピロティとする住宅1の当該1階部分の天井構造に採用することも可能である。
ところで、本願発明の有効性を確認すべく、本願発明者らは、耐火補強体70及び軒裏天井板35として、以下に示す複数の実施例と比較例とを用いて実験を行った。
<実施例1>
<比較例1>
(試験方法)
図9及び図10は、耐火補強体を除いて各試験体に共通の構成を示している。図に示す如く、各試験体は、上記第1実施形態の垂木部材12、ジョイント金物13、鼻隠部材14、耐火補強体70を除く軒裏天井構造30を共通して備えており、当該軒裏天井構造30の所定位置に各実施例の耐火補強体70を設ける。なお、比較例においては耐火補強体70を設けない。
当該試験体は、住宅1にて桁行き方向に沿設される軒のうち、互いに等間隔に列ぶ3本の垂木部材12によって規定される部分のみを抽出してモデル化したものであって、軒の出L1を550mm、桁行き方向の長さL2を1000mmとするものが採用されている。また、実施例の軒裏天井板35及び比較例の軒裏天井板35は、梁間方向に427mm、桁行き方向に500mmのものを2枚並べて敷設している。
また、各試験体は、軒裏天井板35の下面を除く全ての面を厚さ25mmの繊維混入けい酸カルシウム板を2枚積層してなる耐熱壁Wにより隙間なく覆い、これによって軒裏天井板35の下面のみを露出させている。さらに、垂木部材12上に載置される外壁と擬制される耐熱壁Wと軒の取り合い位置に形成されている開口部を平坦な標準板Qにより塞いておく。
また、当該試験体には、図9及び図10のa、b、cの位置に熱電対を夫々仕込んでおく。
なお、熱電対a及びbは、標準板Qの一対の平板面のうち、軒裏空間Sに対向している面(表面)の反対側となる面(裏面)に設けられ、熱電対cは軒裏空間Sの中央部に設けられている。
そして、当該試験体を耐火試験炉内に設置し、その後、当該耐火試験炉内にて試験体の軒裏天井板35の露出面に向けて火炎を放射して火災時を再現し、当該火炎放射による各熱電対の温度変化を記録する。
そして、a又はbの平均温度が140℃以上になるまでの時間を耐火時間として計測すると共に、各熱電対の温度上昇の履歴を観察する。
なお、当該火炎の火熱設定は、ISO834に規定される標準火熱曲線に沿うものであって、温度曲線は以下の式1によって規定される。
また、当該試験方法は、上記実施形態に記載の所定の試験に相当し、国土交通大臣認定の耐火試験に相当する。
(試験結果)
図11は、実施例1の試験結果であって、グラフ(イ)は標準耐火曲線、グラフ(ロ)は140℃を示す直線、グラフ(ハ)はaとbの平均温度曲線、(ニ)はcの温度曲線を示している。また、図12は比較例1の試験結果であって、各グラフは図11と同様である。図から明らかなとおり、実施例1の耐火時間は比較例1の耐火時間よりも長く、これによって実施例1の構成は耐火性能の向上に効果的であることが確認される。なお、当該比較例1の耐火時間は35分であるのに対し、実施例1の耐火時間は、73分である。
本願発明の第1実施形態の軒裏天井構造を備える寄席棟屋根の住宅の断面図である。 該軒裏天井構造の断面図である。 耐火補強体を備え付ける手順を示す断面図である。 耐火補強体を備え付ける他の手順を示す断面図である。 本願発明の第2実施形態の軒裏天井構造の要部断面図である。 他の軒裏天井構造の要部断面図である。 本願発明の第3実施形態の軒裏天井構造を備える陸屋根の住宅の断面図である。 該軒裏天井構造の断面図である。 実施例1及び比較例1の試験体の構成を示す断面図である。 図9中A−A線に沿う断面であって、測定点の位置を示す概略図である。 実施例1の試験結果を示すグラフである。 比較例1の試験結果を示すグラフである。
符号の説明
1 住宅
2 建物本体
3 1階屋根
4 2階屋根
5 軒
6 軒先
10 軒先構造
11 屋根板部材
12 垂木部材
13 ジョイント金物
14 鼻隠部材
30 軒裏天井構造
31 L字状金物
32 軒先取付金物
33 外壁取付金物
34 野縁組立体
35 軒裏天井板
51 野縁
52 野縁受け
70 耐火補強体
71 耐火断熱層
72 熱遮断層
73 吸熱層
75 ブロック
S 軒裏空間
E 空気層

Claims (9)

  1. 建物の軒の裏側に所定の耐火性能を備える軒裏天井板が設けられ、該軒裏天井板の上方に軒裏空間が形成される軒裏天井構造において、
    前記軒裏天井板は、軒の裏側の梁間方向に沿って設けられた野縁に懸架され、
    前記軒裏天井板の上面は、建物の桁行方向きに沿って前記野縁に載置された耐火補強体に覆われて、軒裏天井板と耐火補強体の間に空気層が形成され、
    前記耐火補強体は、耐火断熱層熱遮断層、又は吸熱層のいずれか1つの層により、又は2つ若しくは全ての層を積層して形成されていることを特徴とする軒裏天井構造。
  2. 前記軒の裏側には、さらに軒裏空間に通ずる通気孔が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の軒裏天井構造。
  3. 前記通気孔が加熱により塞がれるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の軒裏天井構造。
  4. 前記耐火断熱層は、ロックウールにより形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の軒裏天井構造。
  5. 前記熱遮断層は、アルミニウム薄膜、亜鉛鉄板又は鋼板により形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の軒裏天井構造。
  6. 前記吸熱層は、水酸化アルミニウムを主材として形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の軒裏天井構造。
  7. 所定の耐火性能を備えて建物の軒の裏側に設けられる軒裏天井板の上方に設けられ、耐火断熱層と、熱遮断層と、吸熱層のいずれか1つの層により、又は2つ若しくは全ての層を積層して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の耐火補強体。
  8. 軒の桁行き方向に沿って所定の耐火性能を有する複数枚の軒裏天井板を敷き並べて軒裏空間を形成する請求項1に記載した軒裏天井構造の耐火補強方法であって、
    いずれか1枚の軒裏天井板を取り外して開口部を形成し、
    該開口部から軒裏空間に向けて可撓性を有し且つ軒裏天井板数枚分に相当する長さを有する耐火補強体を挿入すると共に前記桁行き方向に当該耐火補強体を送り込んで前記軒裏天井板の上方に敷き並べ、その後、前記取り外した軒裏天井板を開口部に再び取り付けることを特徴とする軒裏天井構造の耐火補強方法。
  9. 前記いずれか1枚の軒裏天井板を取り外して前記開口部を形成した後、
    所定の間隔を空けてさらに1枚の軒裏天井板を取り外して他の開口部を設け、
    前記開口部から軒裏空間に向けて前記耐火補強体を挿入すると共に前記桁行き方向に当該耐火補強体を送り込みつつ他の開口部側から当該耐火補強体を引き寄せて前記軒裏天井板の上面に敷き並べることを特徴とする請求項8に記載の軒裏天井構造の耐火補強方法。
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