JP5135132B2 - 軒裏耐火補強方法及び耐火補強体 - Google Patents

軒裏耐火補強方法及び耐火補強体 Download PDF

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Description

本発明は、住宅等の建物の軒裏を耐火補強する方法と軒裏を耐火補強するための耐火補強体に関する。
従来、住宅等の建物においては、隣家の火災による延焼・類焼の抑制・防止を目的として、隣家に対向する軒についても耐火性能を要求され、軒の裏に耐火性能を有するけい酸カルシウム板等の成形板(以下、軒裏天井板)を敷設する軒裏天井構造が公知である(例えば特許文献1参照)。
また、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)においては、建築基準法により定められる耐火性能以上の耐火性能を住宅に付与することについての規定が盛り込まれる等、住宅に対する耐火性能向上の要請は近年さらに増してきており、軒裏天井の構造についても上記建築基準法で定められている耐火性能を凌ぐ耐火性能を付与することが望まれている。
かかる要請に応じるべく、従来の軒裏天井板よりも厚さを増大させることで耐火性能を向上させた軒裏天井板を敷設することが考えられる。
特開平6−73828号公報
しかしながら、上述の如き軒裏天井構造においては、既存の軒裏天井板の厚さに対応した納まりが形成されているのが一般的であり、上述の如く厚さを増大させた軒裏天井板を従来の軒裏天井板に代えて設置するには、軒裏天井板を支持する支持部材や軒を形成する各部材等の設計を変更してこれまでの納まりを変更しなければならない。このため、これまでの耐火性能のままで構わないとする場合と耐火性能向上を要する場合との間で軒の仕様が著しく異なることとなって、これらの間で部材の共通化を図ることができないばかりでなく、これまで単一であった軒の仕様が複数生じることとなり、設計や現場での対応が複雑化してしまうという問題がある。
そこで、本願発明は、既往の軒の仕様を維持しつつ耐火性能を向上させることができる耐火補強方法及び耐火補強体を提供することを目的とする。
上記課題解決のための具体的手段として、本願発明は、
(1)建物の軒の裏側に所定の耐火性能を備える軒裏天井板を支持部材に懸架させた状態で設け、該軒裏天井板の上方に軒裏空間が形成される軒裏天井構造の前記軒裏天井板の上方に耐火補強体を設置する軒裏耐火補強方法であって、
前記耐火補強体は、面外曲げに対する剛性を互いに直交する方向で異にする板形状に形成されており、
前記支持部材に軒裏天井板を支持させる前まで前記軒を組み上げ、
前記耐火補強体を小さい剛性側となる弱軸廻りに湾曲させた状態で軒裏空間に挿入した後、当該軒裏空間上で拡げて板形状に復元し、大きい剛性となる強軸廻りで端縁となる縁部を主支持端として前記支持部材に架設し、その後、
前記支持部材に軒裏天井板を取り付ける
ことを特徴としている。
これによれば、軒裏天井板を支持する支持部材上に耐火補強体を架設する構成であるので、軒裏天井板及び支持部材を変更することなく、耐火性能を向上させることができる。
ところで、上記軒裏天井構造は、軒裏天井板は支持部材に懸架される構成であるため、耐火補強体は軒裏天井板及び支持部材を覆う状態で設けられることとなるが、このとき、如何にして耐火補強体を軒裏天井板及び支持部材の上方に設けるかが問題となる。
先ず、支持部材及び軒裏天井板を取り付けない状態まで軒を形成しておき、その後、耐火補強体を設ける構成が考えられるが、この場合、この様にして軒裏空間に配備した耐火補強体を支持することができず、実質的には採用し難い。
そこで、先ず支持部材を取り付ける状態まで軒を形成しておき、その後、耐火補強体を設ける構成が考えられるが、この場合、当該支持部材が耐火補強体の軒裏空間への挿入を阻害することが考えられる。
そこで、前記耐火補強体を面外曲げに対する剛性を互いに直交する方向で異にする板状に形成することとし、これによって、耐火補強体を小さい剛性側となる弱軸周りに湾曲させることができ、この様に耐火補強体を湾曲させることによって、支持部材の間から軒裏空間に向けて耐火補強体を挿入することができるのである。そして、軒裏空間上で耐火補強体を拡げることで該耐火補強体をもとの板状に復元させることができ、当該板状の耐火補強体によって軒裏天井板及び支持部材を覆うことが可能となるのである。
また、ここで、耐火補強体は支持部材に架設されることとなるが、上述の如く容易に湾曲する構成であれば当該支持部材間から垂れ下がってしまい、遂には落下してしまうことも考えられるものとなるが、本願発明の耐火補強体は、面外曲げに対する弱軸を有する一方当該弱軸に直交する方向に強軸を有しているので、当該強軸の端部となる縁部を支持部材に対応させる向きで耐火補強体を設置することにより、該支持部材間からの耐火補強体の垂れ下がりは著しく抑制されるものとなるのである。
したがって、本願発明によれば、支持部材を軒に設けた後であって軒裏天井板を軒裏に取り付ける前に耐火補強体を設けることができるのみならず、該耐火補強体の支持部材間からの落下も防止することができ、きわめて効率よく軒裏の耐火補強を行うことができるものとなるのである。
(2)また、前記耐火補強体は、少なくとも互いに隣り合って対向する支持部材の間隔相当の長さを有する平面視正方形形状に形成されていることが好ましい。
これによれば、耐火補強体は、面外曲げに対する剛性を互いに直行する方向で異にしつつ正方形形状を呈することとなるので、耐火補強体のいずれの辺を軒先に沿って設けても、平面視での納まりは同一とすることができ、これによって、軒の出方向に対し垂直となる方向に向けて設けられた支持部材に耐火補強体を支持させるほうが好ましい場合は当該支持部材の上方に強軸周りの端部を位置付けるように耐火補強体を配備することができると共に、軒の出方向に対し平行となる方向に向けて設けられた支持部材に耐火補強体を支持させるほうが好ましい場合には当該支持部材の上方に強軸周りの端部を位置付けるように耐火補強体を配備することができ、いずれの場合であっても当該耐火補強体により覆われることとなる領域は同じものとなる。
したがって、支持部材の配置を考慮することなく耐火補強体を割り付けていくことができ、割付作業の簡略化を図ることができるばかりでなく、支持部材の配置に拘らず耐火補強体の向きを変えるだけで支持部材に当該耐火補強体を安定した状態で設けることができ、いずれの支持部材に耐火補強体を支持させるかについての判断を現場にて設置すべき耐火補強体ごとに行うことができ、きわめて効率よく作業を行うことができるものとなるのである。
(3)また、前記耐火補強体は、水酸化アルミニウムを含有するシート単体により又は該シートを複数枚積層して形成されていることが好ましい。
かかる構成の如く水酸化アルミニウムを含有するシート単体及び該シートを複数枚積層したものを耐火補強体として軒裏空間に配置した軒裏天井構造においては、水酸化アルミニウムの脱水温度が、200〜400℃であるため、火災の発生時には脱水によって発生する水分によって軒裏空間の熱を効果的に冷却し、軒裏空間の温度上昇を確実に抑制することができる。
該水酸化アルミニウムは、加熱によって脱水する際に、脱水反応が生じるとともに水分が発生し、軒裏空間の温度を一定時間の間100℃程度に保持することができ、高い防火性能を発揮することができる。軒裏天井板に向けて火災等の火炎が放射される場合、当該軒裏天井板直下は1000℃以上になることが想定されており、軒裏空間の温度との間には温度勾配があるため、当該軒裏天井板直近などに温度上昇の大きい部分には脱水開始温度が高い物質を配置することで、効果的に防火性能を発揮することができる。
(4)また、前記耐火補強体は、波付け加工又は山折加工されていることが好ましい。
これにより、きわめて容易に耐火補強体を面外曲げに対する剛性を互いに直交する方向で異にする構成に形成することができる。さらには、波付け加工または山折加工されていれば、シート単体により耐火補強体が形成される場合には該耐火補強体の下方に、シートを複数層積層して耐火補強体を形成する場合には該耐火補強体の下方及びシート間に空気層を形成することができるため空気断熱による効果が生じる。また、比表面積が大きく、表面活性が高くなることから、脱水効果がより発現しやすく、温度上昇の抑制に非常に効果的である。
(5)また、上記課題解決のための他の具体的手段として、本願発明は、
建物の軒の裏側に所定の耐火性能を備える軒裏天井板を支持部材に懸架させた状態で設け、該軒裏天井板の上方に軒裏空間が形成される軒裏天井構造の前記軒裏天井板の上方に設置する耐火補強体であって、面外曲げに対する剛性を互いに直交する方向で異にする板状に形成されていることを特徴としている。
これによれば、耐火補強体は、湾曲させることも可能であると共に耐火補強体の本来的な形状である板形状を維持して面外曲げ((自重による)撓み)に抵抗可能な剛性を維持可能であり、耐火補強体を軒裏にて支持部材上に設ける作業を当該支持部材によって阻害されることなく行うことができるばかりでなく、当該支持部材による支持状態を維持させることが可能となる。
(6)また、前記耐火補強体は、少なくとも互いに隣り合って対向する支持部材の間隔相当の長さを有する平面視正方形形状に形成されていることが好ましい。
本発明の軒裏耐火補強方法及び耐火補強体によれば、本願発明は、軒裏天井板を代替することなく耐火性能を向上させることができる(既往の軒の仕様を維持しつつ(承継した状態で)耐火性能を向上させる音ができる)。
以下、図1〜図9に基づき、本発明を2階建ての戸建て住宅に採用した実施の形態につき、詳細に説明する。
なお、図1及び図2については、寄棟屋根を有する住宅に本願発明の軒裏耐火補強方法を採用した軒裏天井構造についての図面であって、図3については支持部材によって耐火補強体を支持した状態を説明する図面であって、図4については耐火補強体の構成を説明する図面であって、図5については耐火補強体の強軸と弱軸の方向および支持部材による支持状態を説明する図面であって、図6については本願発明の軒裏耐火補強方法を実施する際の手順を説明する図面であって、図7については図6に示す方法の一部を他の方法とした手順を説明する図面であって、図8および図9については軒裏天井における支持部材の配置方向と耐火補強体の敷設方向との関係を説明する図面である。
本発明に係る戸建て住宅1は、所謂寄棟屋根を有する住宅1であって、軽量鉄骨を組み合わせて形成される架構1aと、該架構1aに取り付けられて住宅の側面を形成する外壁構造1bと、架構1aに取り付けられて住宅の上面を形成する屋根構造1cとを備えている。
架構1aは、基礎B上に立設される複数の柱材や面材と、これら柱材や面材を連結する梁材とを備えて形成される軸組構造として構成されている。柱材は、鋼製の角パイプや該角パイプの端部に柱頭部材や柱脚部材を取り付けて形成され、面材は、一対の角パイプをブレースや制振フレームにより連結して形成される。梁材は、H型鋼や鋼製の角パイプにより形成されている。
外壁構造1bは、平板状の外壁2と、該外壁2よりも屋内側に設けられる断熱層(図示省略)とを備えている。
外壁2は、平板状の軽量気泡コンクリート(ALC)パネルにより形成される複数の外壁材を並列状に列べて形成されている。各外壁材は、前記架構1aの最外枠を構成する梁に取り付けられる自重受け金具やイナズマプレート等の金物(図示省略)を介して当該梁に支持されている。上記ALCパネルは、軽量で且つ高い断熱性能を有するため外壁材として好ましく用いることが可能である。
また、図1に示す如く、本発明に係る戸建て住宅1は、本屋に対し下屋を突出して形成されており、屋根構造1cは、上方に下屋の屋根を形成する片流れ状の1階屋根3と、2階の屋根を形成する切妻状の2階屋根4とを備えている。各屋根3、4は、屋根3、4の下方に位置する各外壁2よりも外方に突出した位置に軒5を備えており、これによって、各屋根3、4の軒5と外壁2との間には軒裏空間Sが形成されている。なお、実施形態の説明の便宜上、図1の紙面垂直方向(法線方向)を桁行き方向とし、図1の紙面平行方向を梁間方向と称呼する。
これら各軒5の構成は略同様であるので、以下は1階部分の軒5の構成について述べることとし、2階部分の軒5についてはその説明を省略する。
図2に示す如く、当該軒5は、1階部分の外壁2よりも突出して設けられる軒先構造10と、該軒先構造10により包囲される軒裏空間Sを塞ぐ軒裏天井構造30とを備えている。なお、軒の出寸法は、2000mm以下が好ましく、1000mm以下が最も好ましい。本実施形態においては、軒の出寸法Lは720mmである。
軒先構造10は、屋根を形成する軒屋根11と、該軒屋根11を支持する垂木部材12と、該垂木部材12の先端部に取り付けられたジョイント金物13と、該ジョイント金物13に取り付けられた鼻隠部材14とを備えている。
軒屋根11は、平板状の構造用合板からなる下地板16と、該下地板16の一方の面(上面)に敷設された屋根板部材17とを備えて形成されている。当該軒屋根11を支持する垂木部材12は、平板状の金属板をプレス加工により断面コ字状の長尺部材として形成されている。また、垂木部材12は、長手方向を梁間方向に向けた状態で所定の間隔を空けて棟から軒に向けて下り傾斜状に複数本架設されている。また、各垂木部材12は、中途部が金物部材k1を介して架構1aを形成する軒桁2bに支持されている。
ジョイント金物13は、垂木部材12の先端部に連結される連結部18と、該連結部18から垂下される垂下部19とを備えている。
鼻隠部材14は、下地板16と同様の平板状の構造用合板により形成されており、複数のジョイント金物13に跨った状態で各ジョイント金物13の垂下部19にタッピングネジ等を介して取り付けられている。また、鼻隠部材14は、上端縁を垂木部材12の上端面により形成される傾斜面12aに沿わせた状態でジョイント金物13に取り付けられており、これによって鼻隠部材14の下端部は1階部分の外壁2の上端部に相対する。また、鼻隠部材14の一方の面(表面)には、屋根板部材17を流れ落ちてくる雨水等を受ける軒樋15が取り付けられている。
上述の如く各部材10〜14が配備されることにより、当該軒5には、軒桁2b、軒屋根11の下地板16、鼻隠部材14により包囲される軒裏空間Sが形成されており、軒裏天井構造30は、当該軒裏空間Sを下方から塞ぐ構造である。
ところで、住宅1が密集する都市においては、ある住宅に火災が発生することにより該住宅に隣接する隣家に当該火災の火炎が燃え移り(かかる現象を延焼又は類焼という)、これによって隣家まで当該火災に巻き込まれてしまう虞がある。このような隣家への延焼の発端は、外壁2から突出している上述の如き軒5等が火災による火熱に相当時間晒されることにより軒5が燃えてしまうこと等であることが知られており、この種の延焼を防止すべく、軒裏には、所定の耐火性能を備えることが要求されている。
本実施形態の軒裏天井構造30は、上述の如く軒裏に要求される耐火性能を向上させるものであって、鼻隠部材14の下端部に取り付けられるL字状金物31と、該L字状金物31に支持される軒先取付金物32と、軒桁2bの下端部に取り付けられて外壁2を支持するZ金物k2に連結される外壁取付金物33と、これら軒先取付金物32と外壁取付金物33の間に組まれる野縁組立体34と、軒先取付金物32と外壁取付金物33に亘って架設されると共に野縁組立体34に懸架される軒裏天井板35とを備えている。
L字状金物31は、長手方向を桁行き方向に一致させた状態で鼻隠部材14の下端部に取り付けられており、該鼻隠部材14の表裏一方の面(本実施形態においては表面)に連結される連結板部37と、該連結板部37の下端から外壁2に向けて水平に突出する水平板部38とを備えている。
軒先取付金物32は、L字状金物31の水平板部38にボルト等を介して締結される断面コ字状の取付部40と、該取付部40の下部に取り付けられる平板状の見切り板42とを備えている。当該取付部40をL字状金物31の水平板部38に取り付けると、該水平板部38の下面と見切り板42の上面は互いに平行となった状態で対向する。
外壁取付金物33は、金属板をプレス成形等を施して形成されており、外壁2を支持するZ金物k2にタッピンネジ等を介して連結されるブラケット部43と、該ブラケット部43の先端に形成される軒天保持部46とを備えている。また、ブラケット部43には、平板部に通気孔44aが開設されている。
また、該軒天保持部46は、一対の挟持片47、47と該一対の挟持片47、47を連結する連結部48とを備えている。また、該外壁取付金物33をZ金物k2に取り付けると、軒天保持部46の連結部48の一方の面が所定間隔を有して外壁2と対向することとなるが、該一方の面には火熱により所定温度に達すると少なくとも前記所定間隔の厚さを有するまで厚さ方向に膨張する加熱膨張材49が取り付けられている。
また、軒先取付金物32の取付部40と外壁取付金物33の連結部48とは同一の高さを有している。また、該高さは軒裏天井板35の厚さと同一又は僅かに大きい。また、該軒先取付金物32の見切り板42の上面と外壁取付金物33の下側の挟持片47の上面とは同一の高さ位置に設定されている。
野縁組立体34は、外壁取付金物33に支持される野縁受け51と、該野縁受け51から軒先の鼻隠部材14に向けて配設される複数本の野縁52とを備えている。
野縁受け51は、金属板をプレス成形してなる断面コ字状の長尺部材として形成され、平坦状の側面部53の一端に上面部54が屈曲形成されると共に他端に下面部55が屈曲形成されており、該側面部53が外壁取付金物33のブラケット部43にタッピンネジ等を介して取り付けられている。
野縁52は、金属板をプレス成形してなる角筒状に形成されており、梁間方向に沿って設置され、一方の端部が野縁受け51の上下面部54、55及び側面部53の間に嵌り込んだ状態で当該野縁受け51にタッピンネジ等を介して取り付けられると共に、他方の端部がL字状金物31の水平板部38の上面に載置されている。
野縁52の桁行き方向における配置間隔は、軒先側のL字状金物31の水平板部38および軒先取付金物32の見切り板42と外壁側の外壁取付金物33の軒天保持部46の一対の挟持片47、47との距離と略等しく設定されている。したがって、隣接する野縁52と前記水平板部38、見切り板42と一対の挟持片47、47と、によって構成される空間は略正方形状となっている。
上記の如く構成された野縁52には、図3に示すように、耐火補強体81の端部が載置されている。耐火補強体81は、面外曲げに対する剛性が互いに直交する方向で異なるように構成されており、大きい剛性を有する強軸廻りの端縁となる端部を主支持端(以下、「端部」または「端縁」という)として野縁52に載置されて支持されることで、安定した架設状態を保持している。
そして、全ての野縁52に耐火補強体81が架設され状態で、該耐火補強体81の下方に軒裏天井板35が取り付けられており、これにより、軒5の軒裏空間Sが塞がれている。
軒裏天井板35は、軒先側の側縁部をL字状金物31の水平板部38と軒先取付金物32の見切り板42に挟持されると共に、外壁側の側縁部を外壁取付金物33の軒天保持部46の一対の挟持片47、47に挟持された状態で軒裏に設けられ、これによって軒裏空間Sを下方より塞いでいる。そして、軒裏天井板35は、一方の側縁部が当該軒裏天井板35の下方より螺合されるタッピンネジ等を介してL字状金物31の水平板部38に締結されると共に、他の複数箇所が当該軒裏天井板35の下方より螺合されるタッピンネジ等を介して野縁組立体34の野縁52に締結されている。
軒裏天井板35は、所定の耐火性能を有する平板状の繊維混入けい酸カルシウム板により形成されており、当該けい酸カルシウム板の厚さは、6mm〜16mmが好ましく、耐火性能の観点からは16mmの厚さを有するものが最も好ましい。
ここで、軒裏天井板35の所定の耐火性能とは、例えば、軒裏天井板35を敷設した軒5に対して国土交通大臣認定として規定される所定の耐火試験を行った際に、当該軒5の軒裏空間Sと外壁2との間に設けられる板(標準板という)裏面の温度を所定時間の間一定の温度以下の雰囲気に維持すること可能とする性能のことを示すが、建築基準法により規定されている性能についても当然に含み、将来規定されるあらゆる評価試験において規定される性能のことをも含む。
本実施形態においては、軒裏天井板35として繊維混入けい酸カルシウム板を採用しているが、軒裏天井板35としては、繊維混入けい酸カルシウム板に代えて、繊維混入セメントけい酸カルシウム板、繊維補強セメント板、石灰・けい酸カルシウム板、硬質木片セメント板等の窯業系サイディングボード等が用いられ、軒裏天井板35としての厚さは、要求される耐火性能や材質によって6mm〜25mm程度の間で選択される。
また、上記厚さ16mmの繊維混入けい酸カルシウム板により形成される軒裏天井板35の断熱性能は、35〜45分程度の耐火性能を有し、耐火補強体81は、当該軒裏天井板35の耐火性能を補完して軒裏天井構造30全体の耐火時間の延長を図るものである。
次に、本発明の軒裏耐火補強方法を実施する際に用いて有利な耐火補強体81について説明する。
本発明は、野縁52、軒先側のL字状金物31の水平板部38および軒先取付金物32の見切り板42、外壁側の外壁取付金物33の軒天保持部46の一対の挟持片47、47、からなる支持部材を構成すると共に屋根1cを構成した後、野縁52に耐火補強体81を架設することで作業の合理化をはかろうとするものである。そして、耐火補強体81を曲げることで、前記支持部材によって構成される空間を通過し得るように構成しているのである。
したがって、耐火補強体81は、面外曲げに対する剛性を互いに直交する方向で異にする板形状に形成されることで、小さい剛性となる弱軸廻りでは容易に折り曲げることが可能なように、且つ大きい剛性となる強軸廻りでは端縁となる縁部を主支持端として支持部材となる野縁52に架設したときに、面外方向に作用する曲げ力に対抗して撓みに起因して落下することがないように構成されている。すなわち、耐火補強体81は、板形状に形成されており、板形状の中心を通り直交する2軸を夫々中立軸とする曲げ剛性の大きさが異なるように構成されている。
直交方向に異なる曲げ剛性を実現する構造としては特に限定するものではなく、直交する各方向の引張強度を異なるように構成すること、或いは、直交する各方向の断面形状を異なる形状として断面二次モーメントの大きさを異なるものとすること、がある。
例えば、耐火補強体81が織布であるような場合、直交する一方の繊維の引張強度を他方の繊維の引張強度よりも大きくすることで、直交する各方向の引張強度を異なるように構成することが可能である。この場合、野縁52に両端部の縁を載置して耐火補強体81の自立をはかるには繊維の引張強度を相当に大きくする必要がある。
また、板状の耐火補強材に一方向に複数の棒状の材を接着または溶接することによって、断面形状を異なるものとして耐火補強体81を構成することも可能である。この場合、直交する方向の引張強度を異なるものとすると共に、断面形状も異なるものとすることで、直交二方向の曲げ剛性を異なるものとすることが可能である。
上記の如くして直交二方向の曲げ剛性を異なるものとするには、直交する二方向に異なる材を配備することとなり、作業性の問題が生じる虞がある。このため、直交する2方向の断面形状を異なる形状とすることで、異なる曲げ剛性を持った耐火補強体81を構成することが好ましい。
耐火補強体81の断面形状を直交二方向で異なるものとする場合、例えば図4に示すように、一方向に所定のピッチで波付け加工とすることで、波に沿った方向の断面形状と、波に対し直交する方向の断面形状を異なるものとすることが可能である。耐火補強体81の断面形状を直交二方向で異なるものとする場合、一方向に波付けすることに限定するものではなく、一方向に所定のピッチで山折り加工することでも良い。
耐火補強体81の厚さは特に限定するものではなく、耐火補強体としての性能を発揮し得ることが要求される。このため、耐火補強体81としては予め設定された適度な厚さを持った材によって構成されていても良く、図4に示すように、シート状に形成された耐火補強体を複数枚積層して構成しても良い。
本実施形態では、図5に示すように、耐火補強体81を一方向に所定のピッチで波付けして形成し、波に沿った方向の軸を弱軸(Y軸)とし、波に対し直交する方向の軸を強軸(X軸)としている。そして、強軸廻り(X軸廻り)の両端縁を野縁52に支持させることで、耐火補強体81を架設している。
前述したように、隣接する野縁52と、軒先側のL字状金物31の水平板部38および軒先取付金物32の見切り板42と、外壁側の外壁取付金物33の挟持片47と、によって構成される空間は略正方形となる。このため、耐火補強体81も平面視が正方形となるように構成されている。
本実施形態において、耐火補強体81の平面寸法は特に限定するものではない。しかし、作業の容易さや部材寸法の合理性を考慮すると、建物に設定されたモジュール寸法に対応した寸法(例えばモジュール寸法の整数倍等)であることが好ましい。
また耐火補強体81の厚さも限定するものではなく、予め設定された耐火補強体として必要な性能を発揮するのに充分な寸法であれば良い。更に、耐火補強体81が単独の材によって構成されるか、複数の材によって構成されるか、も限定するものではなく、前記と同様に、耐火補強体として設定された必要な性能を発揮することが可能な材によって構成されれば良い。
上記耐火補強体81は、軒裏天井板35を通じて軒裏空間Sに向かう熱の移動を抑制するものであって、軒裏空間Sの温度上昇を鈍化させて軒裏天井板35単体による耐火時間よりも当該耐火時間を延長させ、これによって軒裏天井板35単体の耐火性能以上の耐火性能が確保される。
ここで、熱の移動について詳述すると、熱移動には、熱伝導、熱対流、熱輻射の3つのプロセスが混在している。そこで、少なくともこれらのうちの1つでも抑制することが可能であれば、全体として熱の移動を鈍化させることができ、その結果、耐火性能を維持すべき時間(耐火時間)の延長を図ることができる。
したがって、耐火補強体81は、耐火断熱層と、熱遮断層と、吸熱層のいずれか1の層により、又は2つ若しくは全ての層を積層して形成されているものが好ましい。
さらに、耐火補強体81としての吸熱層は、水酸化アルミニウムを含有するシート状物を単独でまたは複数枚積層したものを用いることが可能である。このシート状物としては水酸化アルミニウムを塗工した塗工紙や水酸化アルミニウムを漉き込んだ漉き込み紙を用いることが可能である。
吸熱層としては、水酸化アルミニウムが0.5〜6.0kg/m2 程度の範囲となるようにシート状物を構成することが好ましい。この水酸化アルミニウムは、火災時の火熱雰囲気の温度付近に相当する280℃前後で脱水するので、火災時の熱を有効に吸収することが可能となる。
耐火補強体81を、耐火断熱層を構成する膨張断熱シート、熱遮断層を構成するアルミニウム薄膜、吸熱層を構成する水酸化アルミニウムを含有するシート状物、の少なくとも1つの層或いは2つまたは全部の層によって構成した場合であっても、この耐火補強層81は面外曲げに対する剛性は直交方向で互いに異なるように構成されている。
特に本実施形態では、水酸化アルミニウムを塗工した塗工紙を波付けすると共に、この波付けした塗工紙を複数枚積層したもの(図4参照)を用いている。前記塗工紙の積層枚数は特に限定するものではなく、耐火補強体81を如何なる構成とするか(前述したように耐火断熱層、熱遮断層との複合体とするか否か等)に応じて、水酸化アルミニウムが0.5〜6.0kg/m2 程度の範囲となるように設定することが好ましい。
耐火補強体81を構成する塗工紙の厚さは特に限定するものではないが、約0.05mm〜2mm程度であることが好ましい。
また、耐火補強体81における波のピッチは特に限定するものではないが、5mm〜100mmの範囲が良く、10mm〜60mmの範囲であると好ましい。ピッチが5mmよりも小さいと、波の方向と直交する方向の曲げ剛性の差が小さくなる。またピッチが100mmよりも大きくなると曲げ剛性の差が大きくなるものの、耐火補強体81としての見掛け上の厚さが大きくなって野縁52に支持することが困難となる。
本実施形態では、軒5の軒裏空間Sに耐火補強体81が設けられているので、軒裏天井板35を経由して軒裏空間Sに至る熱の移動が抑制され、これによって軒裏天井板35のみによる軒裏天井構造の耐火性能よりも耐火性能を向上が図られる。
また、軒裏天井板35の重量が13.0kg/m2 〜16.0kg/m2 程度であるのに対し、耐火補強体81は、重量を2.0kg/m2 〜6.0kg/m2 程度とするものである。したがって、軒裏天井板35に耐火補強体81を積層した場合でも、軒裏天井板35単体と比較しても僅かに重量増となるに過ぎないにも拘らず、高い断熱性能を発揮することとなり、上述の如き軒裏天井板35を積層する場合よりも低重量であって且つ当該軒裏天井板35を積層したものと同等又はそれ以上に耐火性能を有するものとなる。この結果、該軒裏天井板35単体を支持する建物の躯体構成や仕様を変更・改修することなく軒裏への取り付けが可能となっている。
また、火災等の加熱により軒下周辺部が所定の温度雰囲気となると、外壁取付金物33の軒天保持部46の加熱膨張材49が膨張して外壁2に達する。これにより、通気孔44aは加熱膨張材49により塞がれることとなり、当該通気孔44aを通じての熱気流の流入が抑制され、軒裏空間Sの温度上昇も抑制されることとなる。
次に、耐火補強体81を軒裏空間Sに敷設して軒裏耐火補強を実現する手順について図6を用いて説明する。
本実施形態において、耐火補強体81は、水酸化アルミニウムを塗工した塗工紙を波付けすると共に、この波付けした塗工紙を複数枚積層して板形状に構成されている。また、耐火補強体81は波付けされた後の平面形状は正方形として形成されている。従って、耐火補強体81は、弱軸(Y軸)廻りに曲げることが可能であり、強軸(X軸)廻りの両端縁を支持したとき、支持姿勢を保持することが可能である。
先ず、図6(a)に示すように、軒裏空間Sに耐火補強体81を敷設するに先立って軒5を完成させる。この状態では、軒5の軒裏空間Sは下方に向けて開放されており、複数の野縁52によって複数の略正方形の空間に仕切られている。
隣接する野縁52の間に耐火補強体81を対向させ、この耐火補強体81を同図(b)に示すように弱軸(Y軸)廻りに上部に頂部がくるように曲げる。そして、耐火補強体81を弱軸廻りに曲げた状態で隣接する野縁52の間を通過させて軒裏空間Sに挿入する。
次いで、同図(c)に示すように、弱軸(Y軸)廻りに曲げた耐火補強体81を軒裏空間Sの内部で広げるとと共に90度方向転換し、強軸(X軸)廻りの両端縁を野縁52に対向させる。
上記した状態で、同図(d)に示すように、耐火補強体81の強軸(X軸)廻りの両端縁を隣接する野縁52に載置することで架設する。このように、耐火補強体81は強軸廻りの両端縁が野縁52に載置されることにより、耐火補強体81は大きい曲げ剛性を持つこととなり、自重によって面外方向に作用する曲げ力に対して対抗して撓みが小さくなる。このため、耐火補強体81は野縁52による架設状態を保持することが可能となる。
上記の如くして軒5を構成する全ての野縁52に対して耐火補強体81を架設した後、同図(e)に示すように、軒裏天井板35の一方側の端部を軒先側のL字状金物31の水平板部38と軒先取付金物32の見切り板42に挟持すると共に、他方側の端部を外壁側の外壁取付金物33の軒天保持部46の一対の挟持片47、47に挟持した状態で軒裏に取り付ける。これにより、軒裏空間Sを下方より塞いでいる。
上記の如くして軒5に形成された軒裏空間Sを複数の耐火補強体81によって塞ぐと共に軒裏天井板35によって塞ぐことが可能である。
上記作業工程は必ずしも限定するものではなく、例えば図7に示すように、耐火補強体81を弱軸(Y軸)廻りにU字状に曲げておき、一端を隣接する野縁52の一方の上部に対向させた状態で、平坦になるように伸ばして他端を他方の野縁52の上部に対向させることで、軒裏空間Sに挿入し、その後、90度方向転換して強軸(X軸)廻りの両端縁を野縁52に載置しても良い。
また、耐火補強体81を曲げた状態で軒裏空間Sに挿入した後、図6(c)に示すように広げた後、90度方向転換することに限定するものでもなく、曲げ状態を維持しつつ90度方向転換して強軸(X軸)廻りの両端縁を野縁52に載置しても良い。何れにしても、曲げた状態で軒裏空間Sに挿入した耐火補強体81を広げる作業と、90度方向転換する作業の順序は限定するものではなく、作業現場に対応させて作業がし易いようにすることが好ましい。
上記したように、野縁52に耐火補強体81を架設するに際し、軒5の下方側から施工することが可能である。このため、新築の建物に対して施工することが可能であることはもとより、既存の建物に対して追加施工することも容易である。すなわち、建物のリフォーム時に軒5の耐火性能を向上させることが可能となる。
例えば、既存の建物の軒に対し耐火補強板81を敷設する場合、先ず、既存の建物の軒を構成する軒裏天井板を取り外すと共に、支持部材となる野縁を露出させる。その後、露出させた野縁に対し、下方から前述したと同様にして弱軸(Y軸)廻りに曲げた耐火補強体81を軒裏空間に挿入して90度方向転換する。そして、強軸(X軸)廻りの両端縁を野縁に載置することで架設し、その後、取り外してある軒裏天井板を取り付けることで、軒裏空間を塞ぐ。これにより、既存の建物の軒を耐火補強板81によって耐火補強することが可能である。
次に、軒5における耐火補強体81の割付状態について図8、9により説明する。尚、図において矢印方向はY軸と平行した方向であり、X軸(強軸)廻り方向と一致した方向を示している。
図8(a)は軒の出寸法の小さい建物の角部分の軒の一部に対する割付の例を説明する図である。同図に示すように、軒部分には一定のピッチで野縁52が設けられており、耐火補強体81は強軸(X軸)廻りの両端縁が夫々野縁52に載置されて支持されている。
図8(b)は軒の出寸法が大きい(例えば同図(a)の出寸法の2倍)建物の軒の一部に対する割付の例を説明する図である。同図に示すように、野縁52は耐火補強体81の寸法に対応させて縦横に設置されており、耐火補強体81は強軸(X軸)廻りの両端縁が夫々野縁52に載置されて支持されている。
上記の如く、軒の出寸法が異なる場合であっても、耐火補強体81の平面寸法に合わせて野縁52を配置することで対応することが可能である。
図9(a)は、建物の部位によって軒の出寸法が変化する軒の一部に対する割付の例を説明する図である。同図に示すように、野縁52は耐火補強体81の寸法に対応させて建物の壁と平行に又は突出するように設置されており、耐火補強体81は強軸(X軸)廻りの両端縁が夫々野縁52に載置されて支持されている。
図9(b)は、軒の出寸法が標準的な耐火補強体81の寸法と対応しない軒の一部に対する割付の例を説明する図である。同図に示すように、野縁52は耐火補強体81の寸法に対応させて縦横に設置されており、耐火補強体81は強軸(X軸)廻りの両端縁が夫々野縁52に載置されて支持されている。
特に、耐火補強体81が波付けされている場合であっても、平面形状が正方形であるため、隣接する野縁52によって構成される空間が耐火補強体81の寸法に対応した寸法であれば、弱軸(Y軸)廻りに曲げた耐火補強体81を容易に野縁52間を通過させて軒裏空間Sに挿入することが可能である。そして、軒裏空間Sに挿入した耐火補強体81の方向を転換して野縁52によって支持することが可能であり、このようにして複数の耐火補強体81を野縁52に支持して軒5を隙間なく塞ぐことが可能である。
すなわち、耐火補強体81の平面形状が正方形であることから、この寸法にあわせて野縁52を配置すると共に軒先側のL字状金物31と外壁側の外壁取付金物33を配置することで、耐火補強体81の割付が容易であり、確実に軒裏空間Sを塞ぐことが可能である。そして、前記条件を逸脱しない限り、軒5の平面形状が複雑な場合であっても容易に対応することが可能となる。
また、耐火補強体が平面視正方形形状であるため、耐火補強体のいずれの辺を軒先に沿って設けても、平面視での納まりは同一とすることができ、これによって、図8(b)や図9(a)に示す如く軒の出方向に対し垂直となる方向に向けて設けられた支持部材に耐火補強体を支持させるほうが好ましい場合は当該支持部材の上方に強軸周りの端部を位置付けるように耐火補強体を配備することができると共に、軒の出方向に対し平行となる方向に向けて設けられた支持部材に耐火補強体を支持させるほうが好ましい場合には当該支持部材の上方に強軸周りの端部を位置付けるように耐火補強体を配備することができ、いずれの場合であっても当該耐火補強体により覆われることとなる領域は同じものとなる。
したがって、支持部材の配置を考慮することなく耐火補強体を割り付けていくことができ、割付作業の簡略化を図ることができる。
さらには、支持部材の配置に拘らず耐火補強体の向きを変えるだけで支持部材に当該耐火補強体を安定した状態で設けることができ、いずれの支持部材に耐火補強体を支持させるかについての判断を現場にて設置すべき耐火補強体毎に行うことができ、きわめて効率よく作業を行うことが可能となる。
上記の如く、軒5の平面形状がどのような形状であっても確実に且つ容易に対応し得るため、適用する軒の形状は本実施形態のように寄棟に限定することなく、下階よりも張り出して設けられるベランダの下面やピロティの天井面等にも適用することが可能である。
上記したように、本発明に係る軒裏耐火補強方法では、新築建物の軒のみに適用されることなく、既存の建物の軒を耐火補強する場合に利用して有利である。
寄棟屋根を有する住宅に本願発明の軒裏耐火補強方法を採用した軒裏天井構造である。 寄棟屋根を有する住宅に本願発明の軒裏耐火補強方法を採用した軒裏天井構造である。 支持部材によって耐火補強体を支持した状態を説明する図である。 耐火補強体の構成を説明する図である。 耐火補強体の強軸と弱軸の方向および支持部材による支持状態を説明する図である。 軒裏耐火補強方法を実施する際の手順を説明する図である。 図6に示す方法の一部を他の方法とした手順を説明する図である。 軒裏天井における支持部材の配置方向と耐火補強体の敷設方向との関係を説明する図面である。 軒裏天井における支持部材の配置方向と耐火補強体の敷設方向との関係を説明する図面である。
符号の説明
B 基礎
S 軒裏空間
1 住宅
1a 架構
1b 外壁構造
1c 屋根構造
2 外壁
2b 軒桁
3 1階屋根
4 2階屋根
5 軒
10 軒先構造
11 軒屋根
12 垂木部材
12a 傾斜面
13 ジョイント金物
14 鼻隠部材
15 軒樋
16 下地板
17 屋根板部材
18 連結部
19 垂下部
30 軒裏天井構造
31 L字状金物
32 軒先取付金物
33 外壁取付金物
34 野縁組立体
35 軒裏天井板
37 連結板部
38 水平板部
40 取付部
42 見切り板
43 ブラケット部
44a 通気孔
46 軒天保持部
47 挟持片
48 連結部
49 加熱膨張材
51 野縁受け
52 野縁
53 側面部
54 上面部
55 下面部
81 耐火補強体

Claims (6)

  1. 建物の軒の裏側に所定の耐火性能を備える軒裏天井板を支持部材に懸架させた状態で設け、該軒裏天井板の上方に軒裏空間が形成される軒裏天井構造の前記軒裏天井板の上方に耐火補強体を設置する軒裏耐火補強方法であって、
    前記耐火補強体は、面外曲げに対する剛性を互いに直交する方向で異にする板形状に形成されており、
    前記支持部材に軒裏天井板を支持させる前まで前記軒を組み上げ、
    前記耐火補強体を小さい剛性側となる弱軸廻りに湾曲させた状態で軒裏空間に挿入した後、当該軒裏空間上で拡げて板形状に復元し、大きい剛性となる強軸廻りで端縁となる縁部を主支持端として前記支持部材に架設し、その後、
    前記支持部材に軒裏天井板を取り付ける
    ことを特徴とする軒裏耐火補強方法。
  2. 前記耐火補強体は、少なくとも互いに隣り合って対向する支持部材の間隔相当の長さを有する平面視正方形形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の軒裏耐火補強方法。
  3. 前記耐火補強体は、水酸化アルミニウムを含有するシート単体により又は該シートを複数枚積層して形成されていること特徴とする請求項1又は請求項2に記載の軒裏耐火補強方法。
  4. 前記耐火補強体は、波付け加工又は山折加工されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の軒裏耐火補強方法。
  5. 建物の軒の裏側に所定の耐火性能を備える軒裏天井板を支持部材に懸架させた状態で設け、該軒裏天井板の上方に軒裏空間が形成される軒裏天井構造の前記軒裏天井板の上方に設置する耐火補強体であって、面外曲げに対する剛性を互いに直交する方向で異にする板状に形成されていることを特徴とする耐火補強体。
  6. 前記耐火補強体は、少なくとも互いに隣り合って対向する支持部材の間隔相当の長さを有する平面視正方形形状に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の耐火補強体。
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