JPH0581709B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明は、開いたドアを閉じるためのドアク
ローザーに関する。

（従来の技術） ドアクローザーの型式の一つに、ドアの開動作
に連動して出力軸を回転させ、この回転に連動し
てスライダーを直線移動させてばねを蓄勢し、こ
のばねの解放力によつてドアを閉じる機械式ドア
クローザーが提案されている。出力軸の回転は、
増速輪列を介して制動手段に伝達されて、ドアの
閉じ速度に制動を掛けるようになつている。

ドアが閉じるときの速度は、閉じ始めは早く、
閉じる寸前には比較的ゆつくりとなるのがドアク
ローザー作動のフイーリング上望ましい。本願出
願人は、特願昭63−19032号において、出力軸と
制動手段との間の回転伝達系中にカムを設けるこ
とによつてドア閉方向におけるドアの閉じ速度を
変化させるドアクローザーを提案した。

（発明が解決しようとする課題） 上記ドアクローザーは、一応所期の目的を達成
するものではあるが、増速比の変化をカム機構で
実行させているので、カムにかかる部分的な荷重
のためにカムとカムフオロワの偏摩耗が早期に発
生する。これを解消しようとすると、材料費が高
くなる問題がある。また、カムを原位置に復帰さ
せるための機構も必要となり、構造の複雑化とこ
れに伴うコスト高を免れない。更に、カム方式に
よる速度変更のために速度変化のパターンと作動
範囲が制限されるという問題もある。

（課題を解決するための手段） 本発明は、上記問題を解決するためになされた
ものであつて、出力軸の回転を増速して制動手段
に伝達する増速輪列中に、ドアが閉じる方向に回
動するに連れてその増速比が大きくなる非円形の
歯車の噛合い機構を設けたことを特徴とする。

（作 用） ドアを開くと、出力軸が回転してスライダーを
移動させてばねを蓄勢する。ドアを開く作用を解
除すると、スライダーがばねの解放力で移動させ
られて、出力軸を回転させてドアを閉じる向きに
回動する。出力軸の回転は、増速輪列を介して制
動手段に伝達される。このときの増速輪列の増速
比は、非円形歯車対の作用によつて、ドアが閉じ
るに連れて次第に大きくなり、制動手段による制
動力が大きくなつて、ドアの閉じ速度をゆつくり
としたものにする。

（実施例） 以下、図示の実施例に基づいて本発明を詳細に
説明する。

第１図乃至第４図において、２枚の樋状の部材
を互いに組み合わされてねじ止めされることによ
り形成された外観直方体状のケース１の略中央部
には、一対の軸受２，２によつて出力軸３が回転
自在に支承されている。ケース１は図示されない
ドアの適所に固定される。出力軸３の両端３ａ，
３ｂは、ケース外に突出させられていて、何れか
一方の端部に係合されたリンク（図示せず）を介
して図示されないドア枠に連結されている。軸方
向において出力軸３の略中央部には、ピニオン３
ｃが形成され、下端部にはスプライン部３ｄが形
成されている。ピニオン３ｃには、スライダー４
に形成されたラツク４ａが噛み合つている。スラ
イダー４は、第１図に示すように、平面図に見た
とき横向きのＵ字状に形成されていて、その両側
縁４ｂ，４ｃをケースの上下部内壁面に沿つて配
設された案内部材５に摺接させている。案内部材
５は、耐摩耗性に優れた合成樹脂からなつてい
て、ケース１と軸受３ｂに係合されて位置決めさ
れている。案内部材５には、後述する一対のばね
がこれの伸縮時に干渉するのを防止する隔壁５ａ
が形成されている。スライダー４の上面は、ケー
ス１の内面に設けられた案内部材６のリブ６ａ，
６ｂ，６ｃによつて案内され、その下面は出力軸
に一体に嵌合された案内円板７によつて案内され
る。従つて、スライダー４は、第３図に良く示す
ように、案内部材５，６と案内円板７によつて直
線移動自在に案内される。ケース１の右端には、
ステー８でその移動を規制されたばね受け９が配
設されていて、このばね受け９とスライダー４の
一端４ｄとの間には、２本のコイルスプリングか
らなるばね１０，１０が弾装されている。

出力軸３のスプライン部３ｄには、大径の非円
形歯車としての部分渦巻歯車１１が係合されてい
る。部分渦巻歯車１１は、図示の例の場合、鋼板
を打ち抜いて形成した２枚の歯車を重ねて構成さ
れていて、第１図に示すように、時計方向に向か
うに連れてその歯部の半径が連続的に次第に大き
くなるように形成されている。

ケース１には、支持軸１２が固定されていて、
この軸には合成樹脂製のスリーブ１３を介して管
軸１４が回転自在に支持されている。管軸１４の
下端１４ａには、小径の部分渦巻歯車１５が、ま
た、その上端１４ｂには増速歯車１６がそれぞれ
スプライン結合されている。部分渦巻歯車１５
は、第１図において時計方向に向かうに連れてそ
の歯部の半径が連続的に次第に大きくなるように
形成されていて、部分渦巻歯車１１に常時噛み合
つている。部分渦巻歯車１５と増速歯車１６と
は、それぞれ鋼板を打ち抜いて形成されたものを
２枚重ねたもので構成されている。

ケース１には、支持軸１７が固定されていて、
この軸にはスプリングクラツチからなる一方向伝
達クラツチ１８が支持されている。この一方向伝
達クラツチ１８は、増速歯車１６に噛み合う小径
の駆動歯車１９と、コイルスプリング２０と、ウ
オームホイールからなる従動歯車２１とからなつ
ている。駆動歯車１９は、合成樹脂製のスリーブ
２２を介して軸に支承されている。コイルスプリ
ング２０は、駆動歯車の筒部１９ａと従動歯車の
筒部２１ａとの間に介装されていて、駆動歯車１
９がドア閉方向に回転するときの該歯車の回転を
従動歯車２１に伝達し、逆方向の回転はこれを伝
達しないように作用する。コイルスプリング２０
と従動歯車の筒部内周面との間には金属製スリー
ブ２３が配設されている。従動歯車の歯部２１ｂ
は、ウオーム２４に噛み合つている。ウオーム２
４は、プレート２５にそれぞれ固定支持された軸
受２６，２７にその両端のホゾ部で回転自在に支
持されている。出力軸３がドア閉方向に回転する
ときの回転は、部分渦巻歯車１１、同１５、増速
歯車１６、駆動歯車１９、従動歯車２１を介して
ウオーム２４に伝達される。この歯車列で増速輪
列を構成していて、部分渦巻歯車１１，１５によ
つて増速比を変える非円形歯車対を構成してい
る。

ウオーム２４には、制動手段４０が設けられて
いる。この制動手段４０は、ウオーム２４に固着
されていてその外周縁に切欠き２８ａを形成され
た被調整歯車２８と、フリクシヨンパツド２９
と、ウオームに回転可能に挿通された回り止め円
板３０と、この円板３０に形成されたピン３０
ａ，３０ａを係合された摩擦板３１，３１（第５
図参照）と、Ｅリングで軸方向の移動を規制され
てウオーム２４に固着されていて摩擦板のピン３
２ａ，３２ａを形成された摩擦板支持板３２と、
摩擦板３１，３１を囲繞していてプレート２５に
固定された制動用カツプ３３とからなつている。
摩擦板３１，３１には、第５図に示すように、回
り止め円板３０側に円弧状の長孔３１ａ，３１ａ
が、支持板３２側に円弧状の溝３１ｂ，３１ｂが
それぞれ形成されている。プレート２５の折曲部
２５ａ，２５ｂには、調整軸３４が移動自在に挿
通されている。調整軸３４の一端３４ａは、ケー
ス１に形成された孔１ａに臨ませられている。調
整軸の他端３４ｂには、被調整歯車２８に係脱す
る調整歯車３５が固着されている。また、調整軸
３４には、ばね３６によつて、調整歯車３５と被
調整歯車２８との係合を解除する向きの移動習性
が与えられている。この移動習性は、第６図に示
すように、ストツパ３４ｃが折曲部２５ａに衝合
することによつて規制される。制動手段４０を支
持しているプレート２５は、ねじ３７によつてケ
ース１に固定されている。なお、第１図に示す調
整軸３４は、制動力調整のために、調整歯車３５
を被調整歯車２８に係合させて状態を表わしてい
るが、平常時には、両歯車は第６図に互いに離間
させられている。

以上のように構成された実施例の作用を説明す
る。

第１図において、スライダー４、部分渦巻歯車
１１及び部分渦巻歯車１５は、図示されないドア
が開かれている状態における態様を示している。
すなわち、部分渦巻歯車１５はその大径部を部分
渦巻歯車１１の小径部に係合し、ピニオン３ｃ
は、ラツク４ａを介してスライダー４を左方に移
動させている。これにより、ばね１０，１０は、
押し縮められて蓄勢され、スライダー４をドア閉
方向に付勢している。

開いているドアに対する拘束力を解除すると、
ばね１０，１０の解放力によつてスライダー４が
図にて左方へ押し動かされて、ラツク４ａがピニ
オン３ｃを介して出力軸３を反時計方向へ回転さ
せる。出力軸３が反時計方向へ回転すると、これ
に連結されているリンクを介してドアが閉じる向
きに回動し始める。入力軸３の回転は、部分軸渦
巻歯車１１を介して部分渦巻歯車１５に増速して
伝達される。この増速比は、両歯車の回転が進む
に連れて、すなわち、ドアが閉じる方向に回動す
るに連れて大きくなる。部分渦巻歯車１５の回転
は、増速歯車１６を介して一方向伝達クラツチ１
８の駆動歯車１９に伝達されて、これを増速して
回転駆動する。駆動歯車１９の回転は、ばね２０
を介して従動歯車２１に伝達されてこれを回転す
る。従動歯車２１は、ウオーム２４に噛み合つて
いるので、これを高速回転させる。ウオーム２４
の回転が所定回転数になると、摩擦板３１，３１
がピン３０ａ，３０ａを揺動中心として、第５図
に示す矢印の向きに遠心力で揺動し、制動用カツ
プ３３の内周壁を摺擦してウオーム２４の回転に
制動を掛ける。ウオームにかかる制動は、増速歯
車列を介してピニオン３ｃすなわち出力軸３への
制動力として作用し、閉じる向きに回動している
ドアの閉じ速度にブレーキを掛けることになる。

第６図は、図示されないドアが閉じた状態に置
かれたときの各部材の位置を示していて、部分渦
巻歯車１１の大径部と部分渦巻歯車１５の小径部
が噛み合つている。第１図に示す位置から第６図
に示す位置へ部分渦巻歯車の噛み合いが変化する
とき、歯車比は、次第に増大する。従つて、出力
軸３の回転は、ドアが閉じる向きに回動するに連
れてその増速比を増大されるので、制動手段４０
の制動力は、第７図に示すように、ドア開度が小
さくなるに従つて次第に大きくなる。制動力が増
大すると、出力軸３の回転速度が次第に遅くなる
ので、ドアの閉じ速度は、第７図に示すように、
ドア開度が小さくなるに連れて次第に遅くなる。

そして、ドアが閉じた状態に置かれたとき、両
部分渦巻歯車１１，１５は、第６図に示すよう
に、互いに噛み合つた位置で停止するようになつ
ている。

次に、閉じているドアを開く場合の作用を説明
する。第６図において、ドアが開かれると、出力
軸３が時計方向へ回転させられて、これに噛み合
つているラツク４ｃを介してスライダー４を図に
て右方へ移動させ、ばね１０，１０を蓄勢する。
出力軸３が時計方向へ回転するとき、部分渦巻歯
車１１が同方向へ回転して、これに噛み合つてい
る部分渦巻歯車１５を反時計方向へ回転させる。
歯車１５の回転は、増速歯車１６を介して駆動歯
車１９を時計方向へ回転させる。ドア閉じ方向に
回転するときの駆動歯車１９の回転は、ばね２０
の作用によつて従動歯車２１には伝達されないの
で、ウオーム２４は回転しない。すなわち、ドア
が開かれるときには制動手段４０が作動しないの
で、ドアは制動手段の負荷を受けることなくこれ
を開くことができる。

ここで、制動手段４０の制動力調整について、
第１図を参照して簡単に説明しておくと、ケース
の孔１ａからドライバーを挿入して、ばね３６の
弾力に抗して調整軸３４を押し込み、調整歯車３
５を被調整歯車２８に噛み合わせると共にその先
端を回り止め円板３０の切欠き３０ａの一つに係
合させる。かかる状態において、調整軸３４を回
転させると、支持板３２のピン３２ａ，３２ａが
円弧状溝３１ｂ，３１ｂを介して摩擦板３１，３
１を押すので、第５図において、ピン３０ａ，３
０ａが円弧状孔３１ａ，３１ａ中で移動して、摩
擦板３１，３１の揺動中心位置が変化させられ
る。ピン３０ａ，３０ａの位置が変わると、摩擦
板３１，３１は、これに作用する遠心力に応じて
拡開し制動用カツプ３３を摺擦する力が変動させ
られるので、出力軸３すなわちドアに対する制動
力を変化させることができる。

（発明の効果） 以上のように、増速輪列中にドア閉じ方向で増
速比を大きくする非円形歯車の噛み合せを設けた
本発明ドアクローザーによれば、増速比を変化さ
せる部材が全体的に噛合する歯車であるから、偏
摩耗が防止でき、安定した閉じ速度が維持でき
る。また、非円形歯車の形状を選択することによ
つて、速度変化のパターンの自由度が増すから、
ユーザーの希望に応え易い。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示すドアクローザ
ーの平断面図、第２図は同上の縦断面図、第３図
及び第４図は第１図中の要部断面側面図、第５図
は制動手段の要部を示す縦断面図、第６図はドア
が閉じられた状態を示す第１図の作用図、第７図
はドア開度に対するドアの閉じ速度と制動力の変
化を示す線図である。 ３……出力軸、４……スライダー、１０……ば
ね、１１，１５，１６，１９，２１，２４……増
速輪列、１１，１５……非円形歯車対、４０……
制動手段。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ドアの開閉に連動して回転する出力軸と、こ
   の出力軸の回転に連動して直線移動するスライダ
   ーと、上記出力軸に連動して上記スライダーがド
   ア開方向に移動させられたとき、該スライダーを
   ドア閉方向に付勢するばねと、上記出力軸がドア
   閉方向に回転するときの回転を増速して伝達する
   増速輪列と、この増速輪列の終端に配設されてい
   て、上記入力軸の回転に制動を掛ける制動手段と
   を備えたドアクローザーにおいて、 ドアが閉じる方向に回動するに連れてその増速
   比が大きくなる非円形歯車対を上記増速輪列中に
   設けたことを特徴とするドアクローザー。