JPH0581455B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、車体フロアに固定されるシートクツ
シヨンの取付構造に関する。

従来の技術 従来、車両用シートのシートクツシヨン取付構
造としては、第５図に示したものが提案されてい
る（実開昭56−36531号）。すなわちシートクツシ
ヨン１の下面には、クツシヨンフレーム２に固着
されたセツトロツド３が垂設されており、該セツ
トロツド３の中央部には、セツト板ばね４の端部
が外嵌されている。このセツト板ばね４には略水
平段部５が形成されており、単体フロア６に形成
された組付孔７の周部下面に前記略水平段部５を
係着して、シートクツシヨン１を固持するもので
ある。

発明が解決しようとする問題点 しかしながら、かかる従来の構造にあつては、
セツト板ばね４はセツトロツド３の下端部に外嵌
されるとともに、端部４ａを下方に突出された構
造となつている。一方シートクツシヨン１の取付
に際しては、第６図に示したように、後側部を車
体フロア６に係止後、前側部を下降させて、セツ
ト板ばね４をセツトロツド３とともに取付孔７に
挿入する作業により行なわれる。このため前記作
業に際して、シートクツシヨン１の位置ずれ等に
より、セツト板ばね４と取付孔７とが合致しない
場合には、第７図に示したように端部４ａが孔７
周部に当接し、該端部４ａがシートクツシヨン１
より受ける荷重によつて、押し広げられ、セツト
板ばね４がセツトロツド３より離脱してしまう不
具合が生ずる。かかる不具合を解消し得るものと
して、同公報に開示され、第８図に示したように
セツト板ばね８の下端部８ａを側方に指向させた
構造も提案されている。しかしこの構造にあつて
は、セツト板ばね８は上端部８ｂをもつクツシヨ
ンフレーム２に係止され、第９図に示されている
ように、中央部の膨出変形によつて、略水平段部
９を前記孔７周部下面に係着する構造である。こ
のため孔７の開口径は、セツト板ばね８の膨出時
の幅Ｈ以外以下であつて、直状時の幅ｈよりやや
大きい程度であることが必須であるとされてい
る。したがつてこのように開口径が制限されてい
る組付孔７にセツト板ばね８をセツトロツド３と
ともに挿入する作業は容易なものではなく、組付
孔７にセツトロツド３とともにセツト板ばね８を
誘導する際、該セツト板ばね８の端部８ａが車体
フロア６やフロアカーペツト１０に当接して引掻
傷等が生じてしまう不具合が懸念されるものであ
つた。

本発明は、このような従来の実情に鑑みてなさ
れるものであり、組付が容易でシートクツシヨン
を係止する部材と組付孔が不一致となつた場合
や、両者を一致させるための誘導作業において前
述した不具合の発生を解消したシートクツシヨン
取付構造を提供するものである。

また、他の従来例として例えば実開昭57−
83030号公報や実開昭54−175726号公報等に記載
されたものも提供されているが、これらはいずれ
もクリツプ全体をばね鋼板をプレス成形によつて
形成していると共に、クリツプによつて脚部の下
部全体を覆うのではなく、一部が露出しているた
め、前記従来例と同様に組付孔に挿通する際に、
クリツプ下部の両側縁等がフロアカーペツトに当
接して引掻傷を発生させる惧れがある。また、ク
リツプをばね鋼板で形成したため、該クリツプを
脚部に嵌着する際には、大きなばね力に抗してク
リツプを押し込まなければならないので、その嵌
着作業制が悪化する。

問題点を解決するための手段 本発明は、前記各従来例の問題点に鑑みて案出
されたもので、車両用シートのシートクツシヨン
下面に突設されて、下部がＵ字状に折曲形成され
た脚部と、該脚部の下部に嵌着固定されたクリツ
プ本体と、車体フロアの所定部位に穿設されて、
前記脚部をクリツプ本体を介して組み付ける組付
孔と、クリツプ本体の中央に斜状に立設されて、
クリツプ本体の組付孔への挿通時に組付孔の孔周
部下面に係着する弾性フツク片とを備えたシート
クツシヨン取付構造において、前記クリツプ本体
を合成樹脂材で一体に形成すると共に、クリツプ
本体の下部を、前記脚部のＵ字状下部を構成する
両直部と曲部に対応して略Ｕ字状の直枠部と曲枠
部により構成し、かつ前記両直部と曲部の全体を
前記直枠部と曲枠部の内部に形成されたＵ字状溝
内に嵌着して被覆したことを特徴としている。

作 用 予めクリツプ本体を脚部にアツセンブリする際
に、脚部の両直部と曲部の全体が、クリツプ本体
の直枠部と曲枠部内部のＵ字状溝内に圧入嵌着さ
れてクリツプ本体によつて被覆される。

このため、その後、組付孔に脚部と共にクリツ
プ本体を挿入する際に、クリツプ本体の直枠部や
曲枠部が組付孔の孔周部に当接しても、脚部から
クリツプの不用意な離脱が防止されることは勿論
のこと、組付孔の孔周部の表面やフローアカーペ
ツト等に引つ掛かつて引掻傷を生じさせることが
ない。したがつて、クリツプ本体を介して脚部を
組付孔内に円滑に誘導でき、迅速な組付作業を行
うことが可能になる。

特に、クリツプ本体が合成樹脂材で形成されて
いるため、クリツプ本体による引掻傷の発生をさ
らに防止することができる。

実施例 以下本発明の一実施例について、図面に従つて
説明する。すなわち、第１図に示したように、車
両用シートのシートクツシヨン１には、下面１ａ
に脚部１１が突設されており、該脚部１１の上端
部は、図示しないシートクツシヨンフレームに固
持されている。前記脚部１１は、両直部１１ａ，
１１ａと、該両直部１１ａ，１１ａの下端部に架
橋された曲部１１ｂとからなるＵ字状であつて、
ワイヤにより成形されている。この脚部１１には
硬質樹脂製のクリツプ本体１２が嵌着されてお
り、該クリツプ本体１２には前記両直部１１ａ，
１１ａを覆う直枠部１２ａ，１２ａと、前記曲部
１１ｂを覆う曲枠部１２ｂとが一体に形成されて
おり、さらに直枠部１２ａ，１２ａの上端部に
は、ベース部１２ｃが一体に成形されている。前
記各枠部１２ａ，１２ａ，１２ｂには、第２，３
図に示したように、脚部１１の径L₂と同径の溝
１３が設けられており、該溝１３には、前記径
L₂よりやや小径の口径L₁よりなる開口１３ａが
設けられている。そして前記脚部１１の各部１１
ａ，１１ａ，１１ｂは、開口１３ａより圧入され
て、溝１３内に位置している。このようにして脚
部１１に嵌着されたクリツプ本体１２の曲枠部１
２には、ヒンジ１４を介して弾性フツク片１５が
一体に成形されている。該フツク片１５は、クリ
ツプ本体１２に対して斜状に立設されており、段
部１５ａを有するとともに、第３図に二点鎖線で
示したように前記ヒンジ１４により起立する方向
の弾性変形領域を備え、自由端部には水平方向に
操作用取手部１６が延設されている。一方車体フ
ロア６には、脚部１１に嵌着されたクリツプ本体
１２に対応する部位に、該クリツプ本体１２を遊
挿可能な組付孔７が設けられており、該組付孔７
の縁部には、フランジ７ａが垂設されている。

以上の構成に係る本実施例において、シートク
ツシヨン１の組付に際しては、予めクリツプ本体
１２を前述のようにして、脚部１１にアツセンブ
リし、該脚部１１とともにクリツプ本体１２を組
付孔７内に挿入する。このとき組付孔７の位置と
クリツプ本体１２の挿入方向とが不一致となつた
場合には、クリツプ本体１２の曲枠部１２ｂ下面
が組付孔７周部に当接する。しかし前記クリツプ
本体１２は、前述のように各枠部１２ａ，１２
ａ，１２ｂに前記両直部１１ａ，１１ａと曲部１
１ｂを圧入させて、脚部１１に嵌着されているこ
とから、前記一部の当接によつてクリツプ本体１
２が脚部１１より離脱してしまうようなことはな
い。又脚部１１の曲部１１ｂは、樹脂製クリツプ
本体１２の曲枠部１２ｂによつて被覆されている
ことから、ワイヤで成形されている脚部１１が直
接車体フロア６上面に当接するようなことはな
い。よつて車体フロア６に引掻傷を付けることな
く脚部１１をクリツプ本体１２とともに組付孔７
に誘導することができる。

このようにクリツプ本体１２が取付孔７に誘導
されると、該クリツプ本体１２は脚部１１ととも
にシートクツシッヨン１より受ける荷重により、
自然に取付孔７内に挿入される。このとき斜状に
立設している弾性フツク片１５は、第３図に一点
鎖線に示されるように、フランジ７ａに摺接して
起立する方向に変位し、前記クリツプ本体１２等
の取付孔７内への挿入を許容する。そして弾性フ
ツク片１５は、フランジ７ａを乗り超える位置ま
でクリツプ本体１２が挿入されると、ヒンジ１４
に付勢されて、斜状に復元し段部１５ａをフラン
ジ７ａの下面に係着させる。よつてクリツプ本体
１２は固持され、該クリツプ半体１２が嵌着され
ている脚部１１を介してシートクツシヨン１を車
体フロア６に固定することができるのである。次
にシートクツシヨン１を車体フロア６より取り外
す場合には、操作用取手部１６を第３図矢印方向
に押圧する。これによつて弾性フツク片１５は、
起立方向に変位し、段部１５ａは、フランジ７ａ
下面より解離する。この状態でシートクツシヨン
１を上方に持ち上げれば、クリツプ本体１２を脚
部１１とともに取付孔７より引き出すことができ
るのである。

第４図は、本発明の他の実施例を示すものであ
り、フツク片１５の内側面１５ｂには、凹部１
７，１７が対向して形成されている。

前記内側面１５ｂには、補強プレートたる板ば
ね１８が、両端部の突片１９，１９を前記凹部１
７，１７に係合させて取り付けられている。かか
る実施例によれば、前記板ばね１８の反力によつ
て弾性フツク片１５のばね力を補強し得ることか
ら、取付孔７に対しクリツプ本体１２をさらに確
実に係止することができ、又シート取り外し作業
を頻繁に行なう様な場合において、弾性フツク片
１５のばね力疲幣を抑制することができるもので
ある。

発明の効果 以上説明したように本発明は、脚部の両直部と
曲部全体が、合成樹脂製のクリツプ本体の両直枠
と曲枠部にＵ字状溝を介して完全に被覆されてい
るため、シートクツシヨンを車体フロアに取り付
ける際に、前記クリツプ本体の曲枠部が取付孔の
孔周部に当接しても、該クリツプ本体が脚部から
不用意に離脱するのを防止できることは勿論のこ
と、曲枠部による孔周部の引つ掛かりが回避され
て、引掻傷の発生を確実に防止することができ
る。したがつて、脚部をクリツプ本体の曲枠部に
よつて組付孔に円滑に誘導することが可能にな
り、シートクツシヨンの迅速な取付作業が得られ
る。

特に、クリツプ本体が金属ではなく合成樹脂材
で一体に形成されているため、車体フロアに対す
る引掻傷等の発生を一層確実に防止できる。

また、クリツプ本体は、Ｕ字状溝内に脚部を嵌
着させるだけであるから、従来のように強いばね
反力に抗して押し込む場合に比較して小さな押し
込み力で十分であり、嵌着作業自体も容易にな
る。

更に、クリツプ本体は、成形容易な材料上の利
点と共に、構造も簡単であるため、製造作業能率
の向上とコストの低廉化が図れる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す分解斜視図、
第２図は組付状態における第１図−線断面
図、第３図は、組付状態における第１図−線
断面図、第４図は本発明の他の実施例を示す要部
斜視図、第５図は従来のシートクツシヨン取付構
造を示す断面図、第６図はシートクツシヨンの取
付作業を示す説明図、第７図は、従来のシートク
ツシヨン取付構造の車体フロアとの当接状態を示
す説明図、第８図は他の従来のシートクツシヨン
取付構造を示す断面図、第９図は同シートクツシ
ヨン取付構造の作用を示す断面図である。 １……シートクツシヨン、１ａ……（シートク
ツシヨンの）下面、６……車体フロア、７……組
付孔、１１……（Ｕ字状）脚部、１１ａ……両直
部、１１ｂ……曲部、１２……クリツプ本体、１
２ａ……直枠部、１２ｂ……曲枠部、１５……弾
性フツク片、１６……操作用取手部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 車両用シートのシートクツシヨン下面に突設
   されて、下部がＵ字状に折曲形成された脚部と、
   該脚部の下部に嵌着固定されたクリツプ本体と、
   車体フロアの所定部位に穿設されて、前記脚部を
   クリツプ本体を介して組み付ける組付孔と、クリ
   ツプ本体の中央に斜状に立設されて、クリツプ本
   体の組付孔への挿通時に組付孔の孔周部下面に係
   着する弾性フツク片とを備えたシートクツシヨン
   取付構造において、前記クリツプ本体を合成樹脂
   材で一体に形成すると共に、クリツプ本体の下部
   を、前記脚部のＵ字状下部を構成する両直部と曲
   部に対応して略Ｕ字状の直枠部と曲枠部により構
   成し、かつ前記両直部と曲部の全体を前記直枠部
   と曲枠部の内部に形成されたＵ字状溝内に嵌着し
   て被覆したことを特徴とするシートクツシヨン取
   付構造。