JPH0580722U - ピンゲート金型 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】キヤビティへの溶融樹脂の流れを円滑にし、か
つ圧力損失をなくし、正常動作が可能なピンゲート金型
を提供する。 【構成】型開き時において、ランナーＲをランナーロッ
クピン１の埋没部２の食い付きにより保持してキャビテ
ィ９に連続するピンゲートＰＧを破断し、引き続いてラ
ンナーＲを離型するように構成されたピンゲート金型で
あって、ランナーロツクピン１のランナーストリッパー
プレート５側にランナー側に向けて次第に断面積を大き
くする空間型部５ａを形成して、型閉め時において埋没
部２を空間部内に位置させる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案はピンゲート金型に係り、特にスプールランナーストリッパー突出方式 の金型に適用されるピンゲート金型に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来より、型開き時において、ランナーをランナーロックピンの埋没部の食い 付きにより保持してキャビティに連続するピンゲートを破断し、引き続いてラン ナーを離型するように構成されるスプールランナーストリッパー突出方式の金型 が知られている。

【０００３】 図面を参照の上で、この構成を述べると、図３は従来のスプールランナースト リッパー突出方式の金型の要部断面図であり、型閉め後に樹脂注入が完了した様 子を示している。本図において、ランナーロックピン１は頭部３とランナーＲに 埋没するとともに逆テーパ部または溝部を設けた埋没部２を一体的に設けており 、頭部３が固定側取付板４の座グリ部４ａ中に位置されており、型開き時におい て固定側取付板４が分離面Ｐ２から離れる際に、ランナーロックピン１を矢印方 向に移動できるようにしている。このランナーロックピン１はさらにランナース トリッパープレート５において長手方向に移動自在にされている。このランナー ストリッパープレート５に対しては固定側型板６が分離面Ｐ１を介して設けられ る一方、この固定側型板６、もしくは不図示のスプールにはランナーＲ用のラン ナー型部６ａと、第２スプールＧ用のスプール型部６ｂとピンゲートＰＧ用のピ ンゲート型部６ｃと、キャビティ９用のキャビティ型部６ｄとが夫々形成されて いる。

【０００４】 この固定側型板６に対しては分離面Ｐ３を介してコア板７が設けられており、 このコア板７に形成される入れ子部７ａとキャビティ型部６ｄとの間において、 キャビティ９を形成している。このキャビティ９にはエジェクターピン８の端面 部が型開き時に突出移動できるように構成されている。 以上の構成により、成形機ノズル部から射出された溶融樹脂は高温高圧状態を 保ちランナー型部６ａ内を図中の矢印Ｕ方向に移動してランナーＲを形成しなが ら、スプール型部６ｂと、ピンゲート型部６ｃを経てキャビティ９に流入して成 型品を得るものである。

【０００５】 この後に、樹脂の冷却硬化を待ち、ランナーＲをランナーロックピン１の埋没 部２のランナーＲへの食い付きにより保持した状態で分離面Ｐ１から型開きをし て、ピンゲートＰＧをキャビティ９内の成型品から引きちぎり破断する。次に、 分離面Ｐ２において型開きをして、ランナーＲをランナーロックピン１から外し て、最後に分離面Ｐ２の型開きを進行させつつ分離面Ｐ３の分離を行ってエジェ クターピン８により成形品をキャビティから分離させ、かつランナーＲの外部へ の取り出しを行うものである。

【０００６】 また、図４（ａ）は実公昭６２−２４４９６号公報の第１図の要部断面図であ り、上述のように型開きしてランナーＲを外部に取り出す際に、大型化するラン ナーＲを自動的に分離できるようにする構造を開示している。図４（ａ）におい て、上述の共通部分には同一の符号を付して相違部分に限定して述べると、ラン ナーＲの途中部位にはサブマリン部１１が形成されており、型開き時において、 サブマリン部１１の作用により、ランナーＲを自動的に分離できるようにして、 廃材となる不要なランナーのかさばりを小さくして、取り扱いを容易にするもの である。

【０００７】 また、この提案ではランナーロックピン１の埋没部２は、図示のようにランナ ーロックピン１の外直径寸法にクリアランス寸法分を加えた内径の円筒状のロッ クピン埋設部Ｒａにおいて埋設するようにして、ランナーＲへの食い付きを行う ようにしている。

【０００８】

【考案が解決しようとする課題】 しかしながら、図３で述べた前者の場合には、型閉め時において、ランナスト リッパープレート５の分離面Ｐ１からランナー型部６ａ内にランナーロックピン １の埋没部２が突出しているので、溶融樹脂の流れを妨害する結果、圧力損失を 招いてキヤビティ９への充填不足によるヒケなどの成形不良を招く問題点があつ た。この溶融樹脂の流れを妨害しないようにするためにはランナー型部６ａの断 面積を大きく設定すれば良いが、このようにすると廃材のランナー体積が増加し てしまうので断面積は極力小さくしたい事情がある。

【０００９】 また、図４の提案においては、ランナーロックピン１の埋没部２は円柱状のロ ックピン埋設部Ｒａ中に埋設されることになる結果、ランナーとの継ぎ目部分は ９０度の角度を持つことになるので、図４（ｂ）に示すように型開き時に応力集 中がこの継ぎ目部分に発生してクラックＫが発生し、最後にはこの部分から破断 してしまい型内にランナー他が残留してしまう問題点がある。さらにまた、型開 き後にロックピン１の埋没部２が正常にランナーから外れた場合であっても、ラ ンナーを介して隣接する複数のロックピン埋没部Ｒａ間には、樹脂の冷却による 収縮作用が働き、この収縮力によりロックピン埋没部Ｒａがランナーストリッパ ープレート５に食い付いてしまい、ランナーＲを取り出す際に離型不良を起こす 問題点があった。 したがって、本発明は上述の問題点に鑑みてなされものであり、その目的はキ ヤビティへの溶融樹脂の流れを円滑にし、かつ圧力損失をなくし、正常動作が可 能なピンゲート金型を提供することにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】及び

【作用】

この課題を解決し、目的を達成するため、本考案のピンゲート金型は、型開き 時において、ランナーをランナーロックピンの埋没部の食い付きにより保持して キャビティに連続するピンゲートを破断し、引き続いて前記ランナーを離型する ように構成されたピンゲート金型であって、前記ランナーロツクピンのランナー ストリッパープレート側に前記ランナー側に向けて次第に断面積を大きくする空 間型部を形成させ、型閉め時において前記埋没部を前記空間型部内に位置させる ことにより、キヤビティへの溶融樹脂の流れを円滑にし、かつ圧力損失をなくし 、また型開き時において、ランナーロックピンの埋没部のランナーに対する食い 付き強度を十分にするように働く。 また、好ましくは、前記空間型部は略円錐状に形成され、前記ピンゲートの中 心線とを略共通にして形成されて、ピンゲート破断時に分力が発生しないように して正常な破断をするように働く。

【００１１】

【実施例】

以下に、本考案のピンゲート金型の好適な実施例について、図面を参照しなが ら説明する。図１は一実施例のピンゲート金型の要部断面図であり、上述のスプ ールランナーストリッパー突出方式の金型であって、型閉め後に樹脂注入が完了 した様子を示している。本図において、外直径寸法φＤのランナーロックピン１ は頭部３と逆テーパ部または溝部を設けた埋没部２を一体的に設けており、頭部 ３が固定側取付板４の座グリ部４ａ中に位置されており、型開き時において固定 側取付板４が分離面Ｐ２から離れる際に、ランナーロックピン１を矢印方向に移 動できるようにしている。

【００１２】 このランナーロックピン１はさらにランナーストリッパープレート５において 長手方向に移動自在にされており、このランナーストリッパープレート５に対し ては固定側型板６が分離面Ｐ１を介して設けられる一方、この固定側型板６、も しくは不図示のスプールにはランナーＲ用のランナー型部６ａと、ゲートＧ用の スプール型部６ｂと、ピンゲートＰＧ用のピンゲート型部６ｃと、キャビティ９ 用のキャビティ型部６ｄとが夫々形成されている。

【００１３】 この固定側型板６に対しては分離面Ｐ３を介してコア板７が設けられており、 このコア板７に形成される入れ子部７ａとキャビティ型部６ｄとの間において、 キャビティ９を形成している。このキャビティ９にはエジェクターピン８の端面 部が型開き時に突出移動できるように構成されている。

【００１４】 また、ランナーストリッパープレート５には本考案の特徴部分であって、ラン ナーロックピン１の埋没部２を埋没させるロックピン用型部５ａがランナー側に 向けて次第に断面積を大きくするように形成されている。このロックピン用型部 ５ａは上面の直径がφＤにｅを加えた直径を有し、下面が直径φＥの台形円錐か ら形成されるとともに、ロックピン１の端面部が寸法ｆ分だけ図示のように埋設 されるようにしている。ｅ寸法を１、ｆ寸法を０．５ミリにして良好な結果を得 た。

【００１５】 以上の構成により、成形機ノズル部から射出された溶融樹脂は高温高圧状態を 保ちランナー型部６ａ内を図中の矢印Ｕ方向に移動してランナーＲを形成しつつ 、スプール型部６ｂと、ピンゲート型部６ｃを経てキャビティ９に流入して成形 品を得る一方、溶融樹脂の一部はロックピン用型部５ａ内に流入してロックピン １の埋設部２の逆テーパ部により食い付かせるランナーロックピン食い付部Ｒａ を形成させる。

【００１６】 この後に、樹脂の冷却硬化を待ち、ランナーＲをランナーロックピン１の埋没 部２のランナーロックピン食い付部Ｒａへの食い付きにより保持した状態で分離 面Ｐ１から型開きをして、ピンゲートＰＧをキャビティ９内の成型品から引きち ぎるようにする。次に、分離面Ｐ２において型開きをして、ランナーＲをランナ ーロックピン１から外し、最後に分離面Ｐ２の型開きを進行させつつ分離面Ｐ３ の分離を行ってエジェクターピン８により成形品をキャビティから分離させ、か つランナーＲの外部への取り出しを行う。

【００１７】 以上のようにして、ランナーロックピン食い付部の強度を十分に確保した状態 で、スプールランナーストリッパー突出方式が達成できる。また、ランナーＲの 横断面形状を扁平にした場合においても十分な溶融樹脂流れを確保できる。さら にまた、ランナーＲに向けて次第に断面積を大きくするようなテーパ状に形成さ れているので、樹脂の冷却による収縮力はランナーＲがランナーストリッパープ レート５から離れる方向に作用するので、ロックピン埋没部Ｒａがロックピン用 型部５ａに食い付いていまうことはない。

【００１８】 次に、図２はランナーロックピン食い付状態の別実施例を示した要部断面図で あり、（ａ）は埋没部２が尖端状になっており、逆テーパ分ｇを設けた様子を示 している。また、（ｂ）は埋没部２に溝部を形成した様子を、そして（ｃ）はラ ンナーロックピン食い付部Ｒａの斜面部分を半径ｒの曲面で形成した例を示して いる。

【００１９】 ここで、ランナーロックピン食い付部Ｒａは上述のように円錐形状に限定され ず、ランナーＲとの関係上から楕円錐、四角錐など種々あることは勿論である。 また、このようにランナーロックピン食い付部Ｒａを設けることは、スプールラ ンナーストリッパー突出方式以外の射出成型金型にも適用できる。

【００２０】

【考案の効果】

以上説明のように、本考案によれば、キヤビティへの溶融樹脂の流れを円滑に し、かつ圧力損失をなくし、正常動作が可能なピンゲート金型を提供することが できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】一実施例のピンゲート金型の要部断面図であ
る。

【図２】ランナーロックピン食い付状態の別実施例を示
した要部断面図である。

【図３】従来のスプールランナーストリッパー突出方式
の金型の要部断面図である。

【図４】実公昭６２−２４４９６号公報の第１図の要部
断面図である。

【符号の説明】

１ ランナーロツクピン、 ２ 埋設部、 ３ 頭部、 ４ 固定側取付板、 ５ ランナーストリツパープレート、 ５ａ ロックピン用型部、 ６ 固定側型板、 ７ コア、 ９ キヤビティである。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 型開き時において、ランナーをランナー
   ロックピンの埋没部の食い付きにより保持してキャビテ
   ィに連続するピンゲートを破断し、引き続いて前記ラン
   ナーを離型するように構成されたピンゲート金型であっ
   て、 前記ランナーロツクピンのランナーストリッパープレー
   ト側に前記ランナー側に向けて次第に断面積を大きくす
   る空間型部を形成させ、型閉め時において前記埋没部を
   前記空間部内に位置させることを特徴とするピンゲート
   金型。
2. 【請求項２】前記空間型部は略円錐状に形成され、前記
   ピンゲートの中心線とを略共通にして形成されることを
   特徴とする請求項１に記載のピンゲート金型。