JPH0578699B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、或る種の揺動および／または振動の
下にある２つの堅い要素の間に、支持と緩衝のた
めに挿入される油圧式緩衝支持装置、とくに、緩
衝作用が少くともある運転状態の下では液が絞り
流路を通して移動せしめられるように行われる緩
衝支持装置に関する。

制限的意味を含まない実例を挙げれば、このよ
うな緩衝支持装置は、車両のシヤシーとこの車両
用の内燃機関（エンジン）との間に、その車両が
地上を走行しているとき、地面が平担ではなくあ
るいは勾配の変化があることによつて、シヤシー
がこうむる不規則な揺動だけでなく、エンジンの
運転による振動、殊にアイドリング運転中、また
はその他の場合、始動時では最初の、または停止
時では最後の爆発行程によつて該機関が衝撃をう
けるときの振動をも吸収させるために取付けられ
うるものである。

［従来の技術］ 本発明に係るものは、上記の種類の緩衝支持装
置の中で、とくに、２つの堅い要素間に挿入され
る密閉されたケースで形成された緩衝支持装置に
関し、該装置は、該ケースが２つの堅い要素の一
方に固定された剛い底部材と、他方の堅い要素に
固定される堅いリングと、底部材とリングを密封
的に連結している弾力ある支持用環状壁体と、リ
ングに密封的に結合された可撓性膜部材とを含
み、前記ケースの内部は、環状壁体と膜部材間で
リングに結合された密封仕切壁によつて２つのチ
ヤンバー、すなわち環状壁体側の作用チヤンバー
と、膜部材側の補償チヤンバーに分けられてお
り、これらの２つのチヤンバーは、絞り流路によ
つて相互に常時連通され、絞り流路は望ましくは
環状壁体とリングとの間の連結領域に好適に位置
した弯曲流路で形成され、さらに、絞り流路と同
様に２つのチヤンバーも満たしている液体とを含
んでいる。

本発明は、さらに詳しくは、ケースは、中間の
密封式仕切壁が、浮動式の「弁」を形成する変形
可能または可能の部分と、該弁の自動運動の振幅
をある小さい値、望ましくは0.5mmより小さい値
に制限するために弁の軸方向両側に設けられた２
つの機械的止め具とを含んでいる。

このような緩衝支持装置を用いた場合、２つの
堅い要素間で生じた揺動または振動はこれら２つ
の要素を軸方向に互いに近づいたり離れたりする
ように動かす。

このような振動のうちの、比較的周波数が低く
（＜20Hz）かつ比較的振幅が大きい（＞0.5mm）不
規則なハツシまたはチヨツピング運動と言われる
揺動は、２つのチヤンバーの一方から他方へ、お
よびその逆に、絞り流路を通じて液を移動させ、
上記周波数が実質上上記絞り流路の寸法に左右さ
れるある値のものであれば、この絞り流路を通つ
て流れる液の共振効果によつて、当該振動の大き
な減衰が見られる。

さきに述べた振動のうちの、比較的周波数が高
く（＞20mm²）かつ比較的振幅が小さい（＜0.5mm）
振動においては、絞り流路を通つて液が現実に移
動することなしに弁が対応して振動することにな
り、結局は振動を起した堅い要素から他方の堅い
要素への問題の振動の伝達は吸収されることにな
る。

上述の弁の効用はある場合には有用であるが、
別のある場合にはこの弁が望ましくない過渡的振
動のもととなる。

このことは例えば、ある種の車両のエンジンの
始動や停止の際に起り、この際は、もし弁が閉じ
られていなかつたならば弁の衝突すなわち大きい
音を発する突発的な動きが生ずるおそれがある。

このような望ましくない振動をなくするか、ま
たは少なくとも軽減するために、弁の軸方向両側
にあつて弁がその自由な運動の方向が反転すると
きに突き当る２つの止め具のうちの一方のものの
軸方向位置を調節することによつて、一時的に弁
の自由な運動の振幅を制限することが既に提案さ
れて来た。

このような調節は、一般的には電磁石を用いて
行われている。すなわち、少くとも一部に磁性材
料が用いられている止め具が動かされることで調
節が行われる。

この問題を解決する機械的手段も提案されてお
り、それによれば調節は、動かされる止め具に固
定されていて膜部材によつて軸方向に動かされる
円筒形の部材を設けることによつて行われる。こ
の問題解決方法は実用されにくい。何故ならば、
調節のためには膜部材が軸方向に動かなければな
らず、さらに、この円筒形部材が補償チヤンバー
を同軸の２つの別個の室に分けていて、緩衝支持
装置の作動中にこれら２つの室が異なる動作を行
うことになるからである。

［発明が解決しようとする課題］ 本発明の目的は、とくに緩衝支持装置における
上記のような欠点をなくすることである。

［課題を解決するための手段］ この目的のために、本発明によれば、上記形式
の緩衝支持装置は、さらに、弁の運動の振幅を調
節するための機械的手段を含み、この手段は実質
上、次のものを含むことを特徴とする。すなわ
ち、 緩衝支持装置の２つのチヤンバーの一方に浸漬
されかつ弁の振幅を規定する２つの止め具の一方
を自身で構成している回転カム、すなわち、弁の
運動方向に対して垂直方向に向いた偏心回転中心
軸線の周りでこのカムの角度位置と関数関係をも
つて弁の運動の振幅が最大値から最小値、可及的
にはゼロまで変わるような回転カムと、 上記カムに固定され、かつ前記チヤンバーの壁
を密封する装置を介して貫通しているロツドと、 緩衝支持装置の外部にあつて上記ロツドの回転
運動を制御する手段と、を含む。

好適実施態様において、さらに次の事柄のうち
の１つおよび／または他のものを含まなければな
らない。

カムが液中に浸漬されているチヤンバーが緩衝
支持装置の作用チヤンバーであること、 カムがその回転中心軸線に対して偏心した円筒
形の外形を有していること、 緩衝支持装置が、望ましくは中間仕切壁の中に
形成されていて前記２つのチヤンバー相互を連通
させる第２の絞り流路と、前記カムに結合されて
いてこの第２の絞り流路を調節可能に閉じる回転
部材とを含み、この第２の絞り流路の開状態にお
いて弁の最大の閉塞作用に対応し、第２の絞り流
路の閉状態において弁の最大の閉塞作用の解除が
対応するように構成されていることである。

本発明は上記のような主たる構造上の事柄のほ
か、同時に用いられることが望ましい幾つかの他
の構造上の事柄を含むものであつて、それらにつ
いては以下の説明で明らかにする。

［実施例］ 以下に、本発明の一つの実施例を、添付の図面
を用いて説明するが、これは本発明の制限するも
のと解されるべきではない。

本発明による緩衝支持装置は、車両のシヤシー
で形成される堅い支持部材と、内燃機関（エンジ
ン）で形成される堅い被支持部材間に、垂直方向
または垂直からわずかに傾いた方向をもつて間装
されるものである。

以下の説明において、上端、下端、上方、下方
および皿形という言葉が用いられるが、これはこ
のとおりでなければならないというものではな
い。すなわち、本明細書で説明する緩衝支持装置
は、説明する向きとは逆の向きにしても全く支障
なく使うことができる。

緩衝支持装置は、概ねの形状としては軸線Ｘの
周りでの回転体の形態の密閉されたケースを有
し、このケースは、 中心を貫通して上方に延びるねじ山つきのシヤ
ンクを有するスタツドボルト３によつてそれ自身
で車両のエンジンを支持できる、上向きに突出し
た金属の皿形部材２に、その周縁の外側にかつ水
方向に延びる堅いリング１と、 下向き開口非貫通のねじ穴を有しかつ、該ねじ
穴に取付けられたボルトによつて車両のシヤシー
に固定される下方底部材４と、 実質上上方が開いた切頭円錐形の２つの面を有
し、その下方に向いた小径の底部は底部材４に固
着され、大径の底部はリング１に密封的に結合さ
れ、エンジンの荷重をシヤシーに伝える、十分な
厚さをもつ弾力性の環状壁体６と、 皿形部材２の内部にあり、その周縁がリング１
に密封的に固定された密封性でかつ可撓性の上方
膜部材７とを含む。

中間仕切壁８が、上記により形成されたケース
の内部を２つのチヤンバー、すなわち下側の作用
チヤンバーＡと上側の補償すなわちバランスチヤ
ンバーＢとに分けている。

このために、仕切壁８の周辺部は厚い環状壁体
６と膜部材７間でリング１に密封的に結合されて
いる。

絞り流路９を設けたことによつて、２つのチヤ
ンバーＡとＢとは相互に常時連通している。

絞り流路９は、この例では、仕切壁８の周辺部
に形成され、軸線Ｘ周りの円周の一部に沿つて延
びている少くとも一つの曲つた形の流路である。

中間仕切壁８の中央部分には、堅いデイスクで
ある弁１０が配設されている。

この弁は、軸線Ｘの方向へ、２つの堅い止め具
の間で動きうるように浮動式に取付けられてお
り、これら止め具の一方のものは、仕切壁８に設
けられた受入れ溝に収まつている閉塞用ワツシヤ
ー１１で形成されている。

チヤンバーＡとＢおよび、絞り流路９はすべて
液体で充満されており、弁１０はこの液の中に浸
漬されている。

公知のように、このような弁１０を設けること
により、堅い要素の一方から他方へ向う望ましく
ない振動があつたとき、この望ましくない振動に
よつて弁がその運動範囲で動くので、この振動の
伝達は減衰される。

本発明は、上記以外の場合、すなわちこの弁の
運動自体が望ましくない場合に、弁の運動の振幅
を狭めること、またはなくしてしまうことを提案
している。

このために、緩衝支持装置では、望ましくはそ
のチヤンバーＡの中で、偏心回転カム１３が液中
に浸漬されていて、このカムの不動の回転中心軸
線Ｙは軸線Ｘと直角に交差して緩衝支持装置の直
径方向に沿つて延びている。

前記カム１３は、 その１つの角度位置（第１図の位置、第３図で
は実線の位置）において、弁１０に、その１つの
直径の全長にわたつて接触し、弁の周辺部をワツ
シヤー１１に軸方向に押し付け、 上記角度位置から90゜ずれたもう１つの角度位
置（第２図の位置、第３図では破線の位置）にお
いて、弁がその最大振幅を強いられたときのみに
弁に接触する、ように構成されている。

カム１３は、軸線Ｙ上に位置するロツド１４に
固定され、ロツド１４は密封装置１５を介してリ
ング１を貫通し、その端部は緩衝支持装置の外部
にあり、そこにおいて回わすことができる形のヘ
ツド１６を形成している。

図示の例では、ヘツド１６は直径方向のスリツ
ト１７を有するボルトヘツドを形成している。

しかし、このヘツドは、弁を閉塞することが望
ましいような現象が現れるか否かによつて、付勢
される小型電動モーターのような適切な駆動部材
に連結されるように構成することもできる。

したがつて、好適実施例においては、エンジン
の停止や始動の際に、弁が衝突を起すことが防止
されるように、エンジンの始動では毎回始動後の
時間T₀の間、停止ならば毎回停止前の時間T₁の
間にわたつて弁を閉塞状態にするような手段が設
けることができる。ただし、これらの時間T₁と
Ｔ。は例えば秒のオーダーの時間である。

ここでなお述べておくが、弁１０の完全な閉塞
作用と完全な閉塞解除作用のそれぞれに対応する
カム１３の２つの両極端の角度位置の間には、弁
の運動の振幅がどれだけ許されるかの種々の値に
対応するカムの中間角度位置が無限に存在する。

図示された好適実施例において、第１の絞り流
路９と並列に第２の絞り流路１８が設けられお
り、第２の絞り流路は仕切壁８において軸線Ｘに
平行に形成された短かくかつ断面積が比較的大き
いまつすぐな流路である。

より詳細に言うならば、絞り流路１８は、中間
仕切壁８の中に設けられた「弁体」を形成する補
助ハウジングの中に収まつた回転円筒部材１９の
中に形成されていて、回転円筒部材１９はロツド
１４に固定されている。

したがつて、カム１３の回転と回転円筒メンバ
ー１９の回転とは同時に行われる。すなわち、弁
１０の完全な閉塞作用は絞り流路１８の完全開状
態に対応し、弁１０の最大の閉塞作用解除は絞り
流路１８の完全閉状態に対応するような回転体組
立体を構成している。

この回転体組立体の両極端位置の間での角度位
置においては、絞り流路１８は部分的にしか開と
ならず、弁は部分的にしか閉塞作用を行わない。
すなわち、弁においては、その自由な運動の振幅
が制限されるだけとなる。

このように漸進的調節が可能であることによつ
て、緩衝支持装置が受けるある周波数範囲にある
振動のうちの、減衰が最大になる上述したような
振動の周波数の値を連続的に変えることが可能と
なる。

すなわち、この周波数の値は、第２の絞り流路
１８が完全閉の状態にあるならばわずかに５Hzの
オーダーの小さな値となり、この第２の絞り流路
が完全開の状態にあるならば25〜30Hzのオーダー
の比較的大きい値となる。

このようにカムと第２の絞り流路を結合するこ
とが有利に適用される場合の１つは、前述のよう
にエンジンの毎回始動後の時間T₀の間と、この
エンジンの毎回停止前の時間T₁の間にわたつて
は弁が閉塞されなければならないという場合であ
る。

実際上は、ある期間内に車両を停止させたうえ
で、アイドリングしているこの車両のエンジンに
よつて起こされる振動が減衰されるようにこの緩
衝支持装置を適合させることが推奨されるが、上
記の数字を掲げた例において、第２の絞り流路の
完全開状態が弁の閉塞作用と同期して対応できる
のは正確に上記の速度においてである。

どのような実施態様が採用されても、十分に前
述と同様であるような構造、作動および利点を有
する緩衝支持装置が最終的には得られる。

当然のことであり、また上述から帰結されるこ
とでもあるが、本発明は、特定の場合として、上
記で説明された適用のされ方や実施例に限るもの
でなく、それのすべての変形、特に言うならば、
上述した弁の代わりに中間仕切壁８の中央部分に
変形可能な膜部材が用いられ、この膜部材が中間
仕切壁の残りの堅い部分に密封的に結合されてい
るというような変形例を含む。

【図面の簡単な説明】

第１図と第２図は、本発明による緩衝支持装置
の縦断面図において、それぞれ、弁の最大の閉塞
作用と最大の閉塞作用解除とに対応する２つの状
態を示す図、第３図は、第１図の緩衝支持装置の
一部分、第１図で−における断面図である。 １……リング、４……底部材、６……環状壁
体、７……膜部材、８……中間仕切壁、９……絞
り流路、１０……弁、１３……回転カム、１４…
…ロツド、１５……密封装置、１８……絞り流
路、１９……回転部材。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ２つの堅い要素間に支持と緩衝のために間装
   される油圧式緩衝支持装置であつて、一方の堅い
   要素に固定される堅い底部材４と、他方の堅い要
   素に固定される堅いリング１と、底部材とリング
   を密封的に連結している弾力ある支持用環状壁体
   ６と、リングに密封的に連結されている可撓性膜
   部材７とを含んだ密閉されたケースで形成されて
   おり、前記ケースの内部が中間仕切壁８によつて
   ２つのチヤンバー、すなわち環状壁体側の作用チ
   ヤンバーＡと膜部材側の補償チヤンバーＢに分け
   られており、これら２つのチヤンバーが、絞り流
   路９によつて相互に常時連通していて、これら２
   つのチヤンバーおよび絞り流路のいずれもが液体
   で充満されており、中間仕切壁が、浮動式の弁に
   なつている可動または変形可能の部分１０、およ
   び前記弁の運動の振幅を制限するように該弁の軸
   方向両側に設けられた２つの止め具を含み、さら
   に、弁の運動の振幅を制限するための手段が設け
   られている緩衝支持装置において、前記振幅制限
   手段が、緩衝支持装置の前記チヤンバーの一方に
   浸漬されていて弁１０の運動の振幅を制限する２
   つの止め具の一方のものとなつている回転カム１
   ３、すなわち、弁の運動方向Ｘに対して垂直方向
   の偏心回転中心軸線Ｙの周りでの該カムの角度位
   置に応じて弁の運動の振幅が最大値から最小値、
   可及的にはゼロまで変わるような回転カムと、前
   記カムに固定されてかつ前記チヤンバーの壁を密
   封装置１５を介して貫通しているロツド１４と、
   緩衝支持装置の外部にあつて前記ロツドの回転運
   動を制限する手段とを含んでいることを特徴とす
   る緩衝支持装置。 ２ 前記中間仕切壁８の中に、形成されかつ前記
   ２つのチヤンバー相互を連通させる第２の絞り流
   路１８と、前記回転カム１３に結合されかつ前記
   第２の絞り流路を調節可能に閉じるための回転部
   材１９とを含み、弁の最大の閉状態が前記第２の
   絞り流路の開状態に対応し、弁の最大の閉解除状
   態が前記の第２の絞り流路の閉状態に対応されて
   いる、請求項１記載の緩衝支持装置。 ３ 車両のシヤシー上にこの車両用の内燃機関
   （エンジン）を取付けるために用いられていて、
   前記エンジンの毎回の始動後または毎回の停止
   前、それぞれ所定の短時間にわたつて前記弁を自
   動的に閉じる手段が取付けられている、請求項１
   または２記載の緩衝支持装置。