JPH0573921U - 高圧トランス用コイルボビン構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 高圧トランスの高圧巻線の層間における沿面
放電を防止することにより、絶縁性能を向上し、コンパ
クト化し、巻線作業を容易にすることができる高圧トラ
ンス用コイルボビンを提供する。 【構成】 上記コイルボビン両端部の鍔部内側壁を外側
方向に拡開した階段状に形成した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は高圧トランス用コイルボビン構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、高圧トランス用コイルボビンは、図２で示すように、中心部に鉄心を挿 通し、両端に略平板状鍔部ｂを形成した筒状のコイルボビンａの外周内層に低圧 巻線ｃを巻回し、外層に高圧巻線ｄを層間に絶縁紙ｅを介装しながら巻回してい る。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

ところが上記構造では、高圧巻線の端部において、各巻線層間の沿面距離ｆが が充分でなく絶縁性能が低いため絶縁破壊を起すおそれがあった。

【０００４】 なお、沿面距離ｆを大きくするために絶縁紙ｅの厚さを増せば外形が大きくな り、また、電力損失が増加するという欠点があった。

【０００５】 また、実開昭 63-128711号公報（図３）に見られるように、巻線用ボビンｇに 多数の鍔部ｈを形成して各巻線ｊを分割巻回する構造があるが、これは外形が大 きくなり、巻線作業が繁雑になるという欠点がある。

【０００６】 また、実開昭 62-34427 号公報（図４）に見られるように、層間絶縁紙にクレ ープ紙ｋを用い、高圧巻線層ｍの各端部において同クレープ紙ｋの端部を折り返 すことにより沿面絶縁を強化したものがあるが、これは高圧巻線層ｍの各端部が 鍔部ｎに支持されないために巻線作業が困難になり、クレープ紙折返しのための スペースを要して外形が大きくなるという欠点がある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】 本考案では、鍔付き略筒状のコイルボビンの内側に低圧巻線を巻回し、その外 側に高圧巻線を多層巻回した高圧トランスにおいて、コイルボビンの両端部に形 成した鍔部の内側壁を略同心円状に分割して環状小内側壁を形成し、この環状小 内側壁を外層になるに従って軸方向外側に変位させて、外層方向に拡開した階段 状の内側壁を形成したことを特徴とする高圧トランス用コイルボビン構造を提供 せんとするものである。

【０００８】

【実施例】

本考案の実施例を図面を参照して説明する。

【０００９】 図１は、本考案に係るコイルボビン１の外周内側に１層の低圧巻線２を巻回し 、その外側に４層の高圧巻線３を巻回した高圧トランスＴの断面を示している。

【００１０】 コイルボビン１は鉄心４を挿通させるための挿通孔５を有する略筒状であり、 その両端部に形成した鍔部Ｆの内側壁６には、低圧及び高圧巻線２、３の層の数 及び厚さに応じて内側壁６を略同心円状に分割して環状小内側壁７を形成し、こ の環状小内側壁７を外層になるに従って軸方向外側に変位８させて、外層方向に 拡開した階段状の内側壁６を形成している。したがって、巻線３を巻回し得る開 口部Ｌは外側になるに従い増大することになる。

【００１１】 かかるコイルボビン１の最内層に１層の低圧巻線２を巻回し、その外周にクラ フト紙等の絶縁膜９を巻回しており、この絶縁膜９の両端部は外側方向に延出し て前記変位８部分の外周面を覆っている。

【００１２】 上記絶縁膜９の外周には高圧巻線３の第１層31を巻回し、その外周に前記同様 に変位８部分まで被覆した絶縁膜９を巻回しており、かかる巻回作業を繰返して ４層の高圧巻線３を形成している。

【００１３】 なお、図中 21,21は低圧端子、22,22 は高圧端子である。

【００１４】 本考案の実施例は上記のように構成されており、低圧端子 21,21に低圧電圧を 入力すると、高圧端子 22,22から高圧が出力される。

【００１５】 このとき、高圧巻線３の両端部Ｅにおいて、各巻線層間に各層の巻回数に応じ た電位差が発生するのであるが、本考案ではコイルボビン１の内側壁を外側方向 に傾斜した階段状に形成したことによって、沿面距離が従来のものに比べて変位 ８の分だけ長く、沿面絶縁が向上し沿面放電の発生を防止することができる。

【００１６】 また、高圧巻線３の巻回数が外層になるにしたがって増大するので、高圧トラ ンスＴをコンパクトに構成することができ、また、高圧巻線３で発生する熱の放 散が良くなる。

【００１７】 更に、低圧及び高圧巻線２，３を巻回するコイルボビンの１の開口部Ｌが階段 状に外側に向かって拡開していることから、巻線作業が行いやすいという利点が ある。

【００１８】

【考案の効果】

本考案によれば、コイルボビンの内側壁を略同心円状に分割して環状小内側壁 を形成し、この環状小内側壁を外層になるに従って軸方向外側に変位させて、外 層方向に拡開した階段状の内側壁を形成したことにより、沿面放電の発生を防止 して、これが原因の性能低下や絶縁破壊によるトランスの破損を防止すると共に 、高圧巻線で発生する熱の放散が良くなり、更に、巻線作業が容易になるという 効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係るコイルボビンを具備した高圧トラ
ンスの軸方向断面図。

【図２】従来コイルボビンを具備した高圧トランスの軸
方向断面図。

【図３】従来コイルボビンを具備した高圧トランスの軸
方向断面図。

【図４】従来コイルボビンを具備した高圧トランスの軸
方向断面図。

【符号の説明】

Ｔ 高圧トランス Ｆ 鍔部 １ コイルボビン ２ 低圧巻線 ３ 高圧巻線 ６ 内側壁 ７ 環状小内側壁 ８ 変位

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 鍔付き略筒状のコイルボビンの内側に低
   圧巻線を巻回し、その外側に高圧巻線を多層巻回した高
   圧トランスにおいて、 コイルボビンの両端部に形成した鍔部の内側壁を略同心
   円状に分割して環状小内側壁を形成し、この環状小内側
   壁を外層になるに従って軸方向外側に変位させて、外層
   方向に拡開した階段状の内側壁を形成したことを特徴と
   する高圧トランス用コイルボビン構造。