JPH0227537Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ＜技術分野＞ 本考案は、テレビジヨン受像機等の陰極線管の
高圧整流回路へ所要の高圧パルスを供給するフラ
イバツクトランスに関する。

＜従来技術＞ 通常、テレビジヨン受像機においては、該テレ
ビジヨン受像機の様々な機能を外部機器と電気的
に接続する際に感電防止のためなどの理由によ
り、いわゆるコールドシヤーシ化が行なわれてい
る。ところで、このコールドシヤーシ化には従来
より、フライバツクトランスの巻線構造でセパレ
ートする方式がある。このセパレート方式を採用
したフライバツクトランスとしては従来、たとえ
ば第１図に示すようなものがある。

第１図において、このフライバツクトランスＡ
は低圧側巻線をセパレートするために、２組の低
圧側巻線３，４を、それぞれ合成樹脂から成型さ
れた第１、第２の筒形の低圧ボビン９，１０に巻
装している。そして、高圧側巻線５は複数の整流
ダイオード１９と交互に接続して高圧ボビン１１
に巻装してあり、第１低圧ボビン９に第２低圧ボ
ビン１０を、また第２低圧ボビン１０に高圧ボビ
ン１１をそれぞれ外嵌したうえで、絶縁性を有す
るトランスケース１内に樹脂封入してあり、予め
第１低圧ボビン９内に挿通した閉磁路コア２，２
により、前記各巻線３，４，５を互いに磁気結合
したものとなつている。

ところが、これで問題となるのは、第１、第２
両低圧ボビン９，１０とも合成樹脂から成型した
ものを採用しているため、それぞれの筒形ボビン
本体１２，１５の肉厚寸法を薄肉化するについて
も、その限度はおおよそ１〜1.5mm程度である。
したがつて、フライバツクトランスＡ自体の外回
り寸法が必然的に大形化し、小形化を図る際に支
障を来たす点にある。また、両低圧側巻線３，４
どうしの磁気的な結合度を高めようとしても、第
２低圧ボビン１０のボビン本体１５の肉厚を所望
の寸法まで薄く設定できないため、前記結合度の
調整が困難であるという問題もある。

＜目 的＞ 本考案は、かかる従来の問題に鑑みてなされた
もので、各低圧側巻線の結合度を高め、かつフラ
イバツクトランス自体の小形化を図ることを目的
とし、この目的のために第１低圧ボビンの外周面
に複数のリブを突設するとともに、第２低圧ボビ
ンのボビン本体をプラスチツクフイルムシートか
ら構成し、該シート状ボビン本体に複数の透孔を
設け、第２低圧ボビンをカールさせて、前記各透
孔をそれぞれに対応するリブに嵌合固定すること
により、第１低圧ボビンの外周に第２低圧ボビン
を外嵌固定するようにしてある。

＜実施例＞ 以下、本考案を図面に示す実施例に基づき詳細
に説明する。

第２図ないし第６図はこの実施例のフライバツ
クトランスＡを示し、第２図および第３図におい
て、このフライバツクトランスＡはテレビジヨン
受像機の陰極線管（図示せず）の高圧整流回路へ
所要の高圧出力を供給するものであつて、絶縁性
樹脂からなるトランスケース１内に一対の閉磁路
コア２，２を挿通し、この閉磁路コア２，２と、
該コア２，２によつて互いに磁気結合される高・
低・低圧側の各巻線３，４，５とを組み付け固定
して、これらを樹脂封入したもので、前記トラン
スケース１の開口部に高電圧可変抵抗器６を装着
するとともに、該トランスケース１から高圧ケー
ブル７を介して引き出されたアノードキヤツプ８
を陰極線管に接続してある。前記各巻線３，４，
５は２組の低圧側巻線３，４と１組の高圧側巻線
５とからなり、各巻線３，４，５はそれぞれに対
応するボビン９，１０，１１に巻回される。

第４図において、第１低圧側巻線３を巻装する
第１低圧ボビン９は、プラスチツク成型品であつ
て、円筒形のボビン本体１２の外周面に軸方向に
わたつて複数の隔壁１３を一定ピツチごとに互い
に並列するように突設してあり、各隔壁１３間に
前記第１低圧側巻線３を互いに分割させて巻回
し、該巻線３の軸方向の巻き幅を区画している。
前記複数の隔壁１３のうち、所要の隔壁１３の外
端面上に複数のリブ１４をほぼ２ピツチ置きに突
設してある。この第１低圧ボビン９のボビン本体
１２内には前記閉磁路コア２，２が挿通される。

第５図において、第２低圧側巻線４を巻装する
第２低圧ボビン１０は、プラスチツクフイルムシ
ートからなるボビン本体１５に前記各リブ１４に
嵌合する複数の透孔１６を形成してなるもので、
第６図に示すように、このシート状ボビン本体１
５を加熱することにより筒状にカールさせ、これ
を第１低圧ボビン９の外周に巻き付け、各透孔１
６をそれぞれに対応するリブ１４に嵌合固定し、
これにより第１低圧ボビン９の外周に第２低圧ボ
ビン１０を装着するとともに、第２低圧ボビン１
０の外周面上に突出した各リブ１４間に第２低圧
側巻線４を互いに分割させて巻回し、該巻線４の
軸方向の巻き幅を区画している。この第２低圧ボ
ビン１０を構成するプラスチツクフイルムシート
の素材としては、たとえば0.3mm〜0.5mm程度のシ
ート厚み寸法を有するポリカーボネート樹脂やポ
リエステル樹脂等が好ましい。

高圧側巻線５を巻装する高圧ボビン１１は、前
記第１低圧ボビン９と同様に円筒形のプラスチツ
ク成型品からなり、これのボビン本体１７の外周
面に高圧側巻線５の軸方向の巻き幅を区画する複
数の周回状隔壁１８が突出形成されたものであつ
て、高圧側巻線５を複数の整流ダイオード１９と
交互に接続した状態で巻装してあり、第２低圧ボ
ビン１０に外嵌されている。

なお、２０は一対の閉磁路コア２，２の抜け外
れを防ぐ締着バンドである。

上記構成のフライバツクトランスＡの各巻線
３，４，５は、たとえば次のような手順で組み付
けられる。まず、第１低圧ボビン９に第１低圧側
巻線３を各隔壁１３，１３間に巻装し、次いで予
めカールさせたフイルムシート状の第２低圧ボビ
ン１０を第１低圧ボビン９の外周に巻き付け、第
２低圧ボビン１０の各透孔１６を各リブ１４に嵌
合固定したのち、各リブ１４間に第２低圧側巻線
４を巻装する。こののち、高圧側巻線５と整流ダ
イオード１９とを装着した高圧ボビン１１を第２
低圧ボビン１０に外嵌し、閉磁路コア２，２を第
１低圧ボビン９内に嵌め込んだうえで、トランス
ケース１内に挿入し、しかるのち樹脂封入して、
組み付けを完了する。なお、第２低圧ボビン１０
を加熱変形させるについては、絶縁性を損なわな
い程度の加熱温度に設定しておく。

＜効 果＞ 以上のように本考案によれば、第１低圧ボビン
の外周面に複数のリブを突設するとともに、第２
低圧ボビンのボビン本体をプラスチツクフイルム
シートから構成し、該シート状ボビン本体に複数
の透孔を設け、第２低圧ボビンをカールさせて、
前記各透孔をそれぞれに対応するリブに嵌合固定
することにより、第１低圧ボビンの外周に第２低
圧ボビンを外嵌固定ものとしたので、従来のプラ
スチツク成型品からなるものと比較して、第１，
第２の低圧側巻線の結合度を著しく高めることが
できるうえ、その結合度の調整幅を大きく取るこ
とができ、正確な結合度調整を行なうことがで
き、性能の向上を図ることができる。また、第２
低圧ボビンの肉厚を十分に薄くすることが可能で
あるため、製品の小形化に寄与するなどの効果を
奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例を示す要部縦断面図である。第
２図ないし第６図は、本考案の実施例を示し、第
２図は縦断側面図、第３図は要部の半截斜視図、
第４図は第１低圧ボビンと第２低圧ボビンとの組
み付け状態を示す縦断側面図、第５図は第２低圧
ボビンのボビン本体の平面図、第６図は第２低圧
ボビンのカールした状態を示す要部の斜視図であ
る。 ２はコア、３は第１低圧側巻線、４は第２低圧
側巻線、５は高圧側巻線、９は第１低圧ボビン、
１０は第２低圧ボビン、１２第１低圧ボビンのボ
ビン本体、１３は隔壁、１４はリブ、１５は第２
低圧ボビンのボビン本体、１６は透孔、Ａはフラ
イバツクトランス。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. コアを介して互いに磁気結合された第１、第２
   低圧側巻線と高圧側巻線とを備え、第１低圧側巻
   線を第１低圧ボビンに巻装し、第２低圧側巻線を
   第２低圧ボビンに巻装するとともに、第２低圧ボ
   ビンを第１低圧ボビンに外嵌し、高圧側巻線を巻
   装した高圧ボビンを第２低圧ボビンに外嵌したフ
   ライバツクトランスにおいて、前記第１低圧ボビ
   ンの外周面に複数のリブを突設するとともに、第
   ２低圧ボビンのボビン本体をプラスチツクフイル
   ムシートから構成し、該シート状ボビン本体に複
   数の透孔を設け、第２低圧ボビンをカールさせ
   て、前記各透孔をそれぞれに対応するリブに嵌合
   固定することにより、第１低圧ボビンの外周に第
   ２低圧ボビンを外嵌固定したことを特徴とするフ
   ライバツクトランス。