JPH0249687Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、モールド形計器用変圧器の高圧コイ
ル構造体における絶縁コイルボビンの改良に関す
るものである。

この種の高圧コイル構造体は、第１図に示され
るように、筒形の絶縁コイルボビン１に高圧コイ
ル２が層間絶縁紙３により層間絶縁されて巻かれ
た構造のものであるが、絶縁コイルボビン１の幅
に対し層間絶縁紙３の幅は小さく設計されるのが
普通である。

この理由は、もし絶縁コイルボビン１の幅と層
間絶縁紙３の幅とが等しければ、高圧コイル２の
巻幅端部と低圧コイル（図示せず、絶縁コイルボ
ビン１内に配置される）との間の内部沿面距離が
短くなり、また、絶縁コイルボビン１の厚み寸法
の内部沿面距離中に占める比率が大となるためで
ある。更に、高圧コイル構造体に低圧コイルを組
み込み、モールド用金型内でモールドするに際し
て、モールド用金型の内壁に当接することによつ
て高圧コイル構造体を位置決めするために、絶縁
コイルボビン１に凸起４が設けられているが、こ
の凸起４のためにも絶縁コイルボビン１の幅は層
間絶縁紙３の幅より大きくなる。

しかしながら、このような高圧コイル構造体を
多連巻き用の巻線機によつて製造しようとする場
合、下記のような問題点がある。即ち、多連巻き
用巻線機を使用する場合、本来、全層間絶縁紙の
幅は、（１個のコイルの層間絶縁紙幅×多連巻き
するコイルの個数）であり、一層巻き終つた時点
でコイル間を切り離すのであるが、絶縁コイルボ
ビン１の幅と層間絶縁紙の幅が異なるため、巻線
は予め所定寸法に切断された層間絶縁紙を高圧コ
イル２の一層毎に挿入しつつ行うか、または、
（絶縁コイルボビン幅×多連巻きするコイルの個
数）の幅の層間絶縁紙を用いて、コイルボビン幅
に切り離しながら巻線し、巻線終了後に、層間絶
縁紙の両端部を切り落すようにしなければならな
い。前者の場合には、巻線中の層間絶縁紙のくず
れを防ぐことがむずかしく、後者の場合には工程
が増えると共に、層間絶縁紙の両端部の切り落し
が正確にできないといつた問題点があつた。以上
の点から、多連巻き用巻線機を使用することは有
益ではなかつたのである。

本考案の目的は、上述した問題点を解決し、多
連巻き用巻線機を使用して多数個の同時巻きを行
うことができ、しかも絶縁コイルボビンの幅を層
間絶縁紙の幅より大きくすることによつて、高圧
低圧コイル間の絶縁性能を良くすることができる
モールド形計器用変圧器の高圧コイル構造体を提
供することである。

この目的を達成するために、本考案は、絶縁コ
イルボビンを、層間絶縁紙の幅に等しい幅の、筒
状の本体部と、該本体部の筒面と同一平面となる
筒面を有する部分のみから成り、本体部の両側面
に取り付けられる側面部とから形成し、以て、高
圧コイルを巻線する際には、側面部を取り付けて
いない状態の本体部の上にコイル及び層間絶縁紙
を巻くようにし、モールドの際には、本体部に側
面部を取り付けて、側面部の幅の分だけ絶縁コイ
ルボビンの幅を層間絶縁紙の幅より大きくするよ
うにしたことを特徴とする。

以下、本考案を図示の実施例に基づいて詳細に
説明する。

第２図は本考案の一実施例を示す。第１図と同
様な部分は、同一符号にて示す。第２図は巻線後
の状態を示すが、巻線前では絶縁コイルボビン５
は、第３図に示される本体部６と、第４図に示さ
れる２個の側面部７とに分離されている。

本体部６の両側には、傾斜切込み８が設けられ
る。本体部６の幅は層間絶縁紙３の幅と同一寸法
に定められている。

側面部７の片側には、本体部６の傾斜切込み８
に嵌合する傾斜突出９が設けられる。側面部７に
は、モールド用金型内での位置を決める凸起４が
設けられる。第２図で、１０は高圧コイル２の口
出線である。

多連巻き用巻線機による巻線工程においては、
絶縁コイルボビン５の本体部６のみが複数個、多
連巻き用巻線機に取り付けられ、高圧コイル２が
一層巻き終る毎に、層間絶縁紙が切断される。高
圧コイル２が全層巻き終り、多連巻き用巻線機か
ら取り外された後、絶縁コイルボビン５の本体部
６の両側に、側面部７が嵌合により取り付けられ
る。

側面部７の取付けにより、側面部７の分だけ絶
縁コイルボビン５の幅は層間絶縁紙３の幅より大
きくなるので、高圧コイル２と、絶縁コイルボビ
ン５の内側に配置される低圧コイル（図示せず）
との間の内部沿面距離が延長され、絶縁性能は向
上する。また、多連巻き用巻線機による量産化が
可能になつたので、製作工数の低減化、低価格化
を達成することができる。

本実施例においては、凸起４を設けることによ
り、モールド用金型内での位置決めを容易にして
いるが、凸起４を設けることに限定されるもので
はない。また、本体部６への側面部７の取付け
は、嵌合に限らず、接着やその他の手段をとるこ
ともできる。

以上説明したように、本考案によれば、絶縁コ
イルボビンを、層間絶縁紙の幅に等しい幅の、筒
状の本体部と、該本体部の筒面と同一平面となる
筒面を有する部分のみから成り、本体部の両側面
に取り付けられる側面部とから形成し、以て、高
圧コイルを巻線する際には、側面部を取り付けて
いない状態の本体部の上にコイル及び層間絶縁紙
を巻くようにし、モールドの際には、本体部に側
面部を取り付けて、側面部の幅の分だけ絶縁コイ
ルボビンの幅を層間絶縁紙の幅より大きくするよ
うにしたから、多連巻き用巻線機を使用して多数
個の同時巻きを行うことができ、しかも、沿面距
離を長くして、高圧低圧コイル間の絶縁性能を良
くすることができる。したがつて絶縁性能の高い
コイル構造体の量産化、製作工数の低減化、低価
格化を達成することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図Ａ，Ｂは従来のモールド形計器用変圧器
の高圧コイル構造体の一例を示す正面図及び一部
断面側面図、第２図Ａ，Ｂは本考案の一実施例を
示す正面図及び一部断面側面図、第３図Ａ，Ｂは
本考案の一実施例における絶縁コイルボビンの本
体部を示す正面図及び一部断面側面図、第４図
Ａ，Ｂは同じく絶縁コイルボビンの側面部を示す
正面図及び一部断面側面図である。 ２……高圧コイル、３……層間絶縁紙、５……
絶縁コイルボビン、６……本体部、７……側面
部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 内部に低圧コイルが配置されるべき筒状の絶縁
   コイルボビンと、該絶縁コイルボビン上に巻かれ
   た高圧コイルと、該高圧コイルの層間を絶縁し、
   絶縁コイルボビンの幅より小さい幅を有する層間
   絶縁紙とから成るモールド形計器用変圧器の高圧
   コイル構造体において、前記絶縁コイルボビン
   を、層間絶縁紙の幅に等しい幅の、筒状の本体部
   と、該本体部の筒面と同一平面となる筒面を有す
   る部分のみから成り、本体部の両側面に取り付け
   られる側面部とから形成したことを特徴とするモ
   ールド形計器用変圧器の高圧コイル構造体。