JPH0211777Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は樹脂モールド形変成器、特にその絶
縁層の界面で発生するコロナ放電の防止に関する
ものである。

〔従来の技術〕

第２図は従来の樹脂モールド変成器としての変
流器を示す断面図である。厚板の絶縁板からなる
巻枠１の上に第１の巻線である低圧コイル２が巻
回され、その上に絶縁層３が設けられている。絶
縁層３の外周には第２の巻線である高圧コイル４
が巻回され、その外部には外被樹脂８が設けられ
ている。高圧コイル４の巻始め口出線５と巻終り
口出線６は、それぞれ一次端子７，１７に接続さ
れている。空間部８ａ，８ｃには、コ字状の鉄心
９が挿入され固定されている。第３図は低圧コイ
ル２・高圧コイル４に垂直な面における部分断面
図である。巻枠１・低圧コイル２・絶縁層３・高
圧コイル４が外被樹脂８によつて固定されてい
る。線落ち防止用部材１１は高圧コイル４の第１
層４ａを絶縁層３の上に巻回する際に絶縁層３の
上に予め設けられたものである。線テープ、テト
ロンテープ等からなつている。線落ち防止用部材
１１の端部は、高圧コイル４の第２層4b〜第４
層４ｄの線間に図示のように引きまわされ、第２
層4b〜第４層４ｄの脱落を防いでいる。高圧コ
イル４の第１層４ａと低圧コイル２の第４層２ｄ
との間には電位差があるが、絶縁層３により絶縁
破壊が生じないようにされている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

ところが、線落ち防止用部材１１内には無数の
微小空〓が存在し、この空〓内に外被樹脂８が含
浸せずボイドが発生することがあつた。線落ち防
止用部材１１は高圧コイル４によつて押えつけら
れているのでなおさら外被樹脂８は含浸しにくく
ボイドが発生しやすかつた。ボイドの部分は絶縁
層３よりも絶縁耐圧が低いので、ボイド内にコロ
ナ放電を生じる。このコロナ放電によりボイドが
徐々に大きくなつて、ついには絶縁層３にまでボ
イドが延長し、絶縁破壊を起こす。

この考案は上記のような問題点を解消して、ボ
イドによるコロナ放電を生じない樹脂モールド形
変成器を得ることを目的としている。

〔問題点を解決するための手段〕

この考案では、線落ち防止用部材を第２の巻線
の第１層と第２層の間に通し、線落ち防止用部材
の両端部を第１層の両端部の巻線に巻回して設け
た。

〔作用〕

第２の巻線の第１層の中心部と絶縁層の間には
線落ち防止用部材が配されていないので、外被樹
脂によつて満たされボイドを生じない。また、第
１層の両端部と絶縁層の間には線落ち防止用部材
が配されているが、端部であるため外被樹脂が含
浸しやすく、コロナを発生させるおそれのあるボ
イドが発生することはない。さらに、第１層と第
２層の間に配された線落ち防止用部材の中にはボ
イドが生じるが、第１層と第２層の間には電位差
がないのでコロナ放電は生じない。

〔実施例〕

この考案の一実施例を第１図に示す。巻枠１の
上に第１の巻線たる低圧コイル２が巻回され、そ
の上に絶縁層３が設けられている。絶縁層３の外
周には第２の巻線である高圧コイル４が巻回さ
れ、その外部には外被樹脂８が設けられている。
線落ち防止用部材１１は、第２の巻線４の第１層
４ａと第２層４ｂとの間に配され、両端部のみが
第１層４ａの巻線を巻回している。この線落ち防
止用部材１１は、線テープ・テトロンテープ等か
らなつている。線落ち防止用部材１１をこのよう
に配置すると、高圧コイル４と絶縁層３の界面に
は外被樹脂８がよく含浸しボイドの存在もなくな
る。

〔考案の効果〕

この考案によれば、高圧コイル４の第１層４ａ
と絶縁層３との界面にボイドがほとんど発生しな
いためコロナ放電等による絶縁破壊を防止するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例を示す断面図、第
２図は従来の変流器を示す断面図、第３図はその
巻線部分の断面図である。 １は巻枠、２は低圧コイル、３は絶縁層、４は
高圧コイル、８は外被樹脂、１１は線落ち防止用
部材である。なお、各図中同一符号は同一または
相当部分を示す。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 第１の巻線、 第１の巻線の外周に設けられた絶縁層、 絶縁層の外周上に複数層に分けて巻回された第
   ２の巻線、 少なくとも第２の巻線の第１層と第２層の間を
   通り、両端部においては第１層の両端部の巻線を
   包むように設けられた線落ち防止用部材、 第１の巻線、絶縁層、第２の巻線および線落ち
   防止用部材を一体にモールドした外被樹脂、 を備えたことを特徴とする樹脂モールド形変成
   器。