JPH0571748B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、構築物の基礎部分に建て込まれる基
礎鉄筋柱の施工方法に関するものである。

「技術背景」 本発明の出願人は、柱部分を鉄筋構造に、ま
た、梁を鉄骨構造とした複合構造の鉄筋鉄骨複合
柱を開発している。この鉄筋鉄骨複合柱は、梁鉄
骨を交差状態で一体化して構成された梁鉄骨部と
前記梁鉄骨部の交差部分を囲んで梁鉄骨部に一体
化された型枠兼用プレート部とからなり、前記型
枠兼用プレート部の内側の梁鉄骨部の上下両面に
各々対向して複数の挿通孔が形成されてなる複数
の仕口構成体と、前記複数の仕口構成体の挿通孔
を通して全仕口構成体を連結した複数の柱主筋と
からなり、各仕口構成体が柱主筋の長さ方向の所
要位置に所定間隔離間して固定されて構成される
ものである。

そしてさらに本発明の出願人は、前記鉄筋鉄骨
複合柱を基礎の上に建て込む場合に好適な基礎鉄
筋柱を開発し、本発明に至つた。

「発明の目的」 本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、通
常の鉄筋組柱の下端部としての利用は勿論、本発
明者が開発た鉄筋鉄骨複合柱の建込みに用いて好
適な基礎鉄筋柱の施工方法を提供することを目的
とする。

「問題点を解決するための手段」 上部を露出させて構築物の基礎に鉛直に埋設さ
れる基礎鉄筋柱の施工方法であつて、対向して設
けられ、かつそれぞれの中央部に透孔が形成され
たテンプレートとベースプレートとの間に複数の
柱主筋がこれらプレートに直角に配設され、前記
柱主筋の両端部がそれぞれ前記テンプレートとベ
ースプレートに連結されてなる基礎鉄筋柱を用意
し、まず、基礎鉄筋柱を施工する位置を掘削した
後、この掘削孔の底面に捨てコンクリートを打設
するとともに、この捨てコンクリートにアンカー
を打ち、次いで、前記基礎鉄筋柱をベースプレー
トが下端になるようにして前記捨てコンクリート
上に吊り込むとともに、前記ベースプレートを水
平に前記アンカーに固定し、次いで、前記基礎鉄
筋柱の下端部にフーチングを造成した後、このフ
ーチングの上方において、前記基礎鉄筋柱に交差
する地中梁を形成し、次いで、基礎鉄筋柱にコン
クリートを前記テンプレートの真下までテンプレ
ートに形成された透孔から打設する工程と、基礎
鉄筋柱の上端が整地レベルから突出するように土
を埋め戻す工程とを行い、最後に、前記テンプレ
ートを柱主筋から取り外すことを特徴としてい
る。

「作用」 本発明の基礎鉄筋柱の施工方法にあつては、テ
ンプレートとベースプレートと柱主筋とを一体化
した基礎鉄筋柱を使用し、この基礎鉄筋柱をその
下端のベースプレートを水平にアンカーに固定す
るようにしたので、基礎部分に埋設する際の位置
決めおよび据え付け精度の向上が可能になり、ま
た前記基礎鉄筋柱は工場や現場等の作業場におい
て簡単に組み立てることができるので、基礎部分
への施工が容易となる。また、最終的にテンプレ
ートを取り外すことによつて、基礎鉄筋柱への構
築物の鉄筋鉄骨複合柱等の柱の接続が容易にな
る。

「実施例」 第１図ないし第１０図は本発明の一実施例を説
明するためのもので、本発明の施工方法に使用さ
れる基礎鉄筋柱Ａは、対向して設けられた、各々
正方形状のテンプレート１およびベースプレート
２と、これらテンプレート１およびベースプレー
ト２を連結した複数のネジ鉄筋状の柱主筋３とこ
の柱主筋３の周囲に巻かれたフープ筋４とを主体
として構成されている。

前記テンプレート１の中央部にはテンプレート
１の一辺の半分程の直径を有する透孔１ａが形成
されるとともに、テンプレート１の周辺部には前
記透孔１ａより径の小さな挿通孔１ｂが12個、透
孔１ａの周囲を囲んで定間隔で形成されている。

前記ベースプレート２は前記テンプレート１よ
りも若干大きく形成され、その中央にはテンプレ
ート１の透孔１ａより若干大きな透孔２ａが形成
され、この透孔２ａの周囲には、前記挿通孔１ｂ
と同じ大きさの12個の挿通孔２ｂが、また、ベー
スプレート２の四隅には固定孔２ｃが各々形成さ
れている。なお、これら挿通孔２ｂの形成位置
は、ベースプレート２とテンプレート１を互いの
中心を同一中心軸上にして対向させた場合に、挿
通孔２ｂと挿通孔１ｂとが同一中心軸位置にくる
ように設定されている。

前記柱主筋３は、平行に対向させたテンプレー
ト１とベースプレート２に、直角に、かつ、互い
に対向したテンプレート１の第一挿通孔１ｂとベ
ースプレート２の第二挿通孔２ｂとを挿通してテ
ンプレート１とベースプレート２の第二挿通孔２
ｂに連結され、柱主筋３の端部にテンプレート１
とベースプレート２を各々挟むように螺入された
ナツト２０，２０によつてテンプレート１とベー
スプレート２を連結してかご鉄筋状に配置されて
いる。

次に、基礎鉄筋柱Ａを用いた本発明に係る基礎
鉄筋柱の施工方法について説明する。

まず、第４図に示したように、柱を建てる位置
を深く掘つて、基礎鉄筋柱Ａの建込み用の根切り
を行い、そして捨てコンクリートC₁を打つ。そ
の際、捨てコンクリートC₁の四隅に４つのフツ
ク７を埋め込む。柱が建てられる中央部分におけ
る捨てコンクリートC₁は、125mm程度に比較的厚
く打たれる。

その後、捨てコンクリートC₁上にて柱の芯の
墨だしを行い、その墨に合わせて４本の樹脂アン
カー８を打つ（第５図参照）。このアンカー８は、
捨てコンクリートC₁が比較的厚いために確実に
固定される、それから、第５図に表すように、前
述した柱の基礎鉄筋Ａを立てた状態で吊り込み、
その下端のベースプレート２の四隅の固定孔２ｃ
にアンカー８を挿通する。それから、ベースプレ
ートを上下から挟むようにアンカー８にねじ付け
られたナツト９を締め付ける。このようにして、
基礎鉄筋柱Ａの下端の位置決めおよび水平度が一
義的に精度良く、かつ速やかに行なわれる。それ
から、基礎鉄筋柱Ａの上端のテンプレートの四隅
とフツク７との間のそれぞれに、チエーン１０と
ターンバツクル１１と鉄筋フツク１２を連ねて掛
け渡し、その計４本のターンバツクル１１を調整
して基礎鉄筋柱Ａの建て入れ直しをすることによ
りその頂部の位置を精度よく固定する。。

その後、第６図に表すようにフーチング配筋と
ラス型枠１３の取り付けを行い、コンクリート
C₂を打つてフーチングを造設する。

その後、４本のターンバツクル１１を再び調整
して、基礎鉄筋柱Ａの２度目の建て入れ直しをし
て再び頂部位置を精度良く固定する。それから、
第７図に表すようにフーチングの天端まで土を埋
め戻す。その際、水締めをおこなう。そして、同
図に表すように基礎鉄筋柱Ａに交差するように地
中梁配筋と、地中配筋のラス型枠の取り付けを行
つてから、コンクリートを打つて鉄筋コンクリー
トの地中梁１４を成す。本実施例の場合は、地中
梁配筋の際に、基礎鉄筋柱Ａの中間部分のフープ
筋４が初めて定位置に固定される。なおここで用
いるフープ筋４はスパイラルフープに限るもので
は無く、通常のフープ筋やリング筋等でもよい。

その後、チエーン１０とターンバツクル１１を
撤去してから柱位置および周辺を除き整地レベル
Ｌまで土を埋め戻し、そして柱型枠をセツトして
から柱の立ち上がり部分のコンクリート打ちを行
う。この場合、埋め戻しと型枠コンクリート打ち
とが、逆の順序であつてもよいし、同時作業であ
つても良い。この結果、第８図に表すように鉄筋
コンクリートの地中梁１４と、鉄筋コンクリート
の柱の基礎側が施工されたことになる。その柱の
基礎側は、基礎鉄筋柱Ａが地中の基礎Ｇから整地
レベルＬの若干上方に至る長さであることから、
その立ち上がり部分が整地レベルＬの若干上方に
位置することになる。

そしてこの基礎鉄筋柱Ａテンプレート１を取り
外したその上部において、スリーブジヨイント１
５を介して本発明者が先に開発した鉄筋鉄骨複合
柱Ｔを第１０図に示すように接合し、この鉄骨鉄
筋複合柱Ｔの周囲にコンクリートの打設を行つて
構築物の柱を構成するのである。

前記の如く基礎鉄筋柱Ａを用いた場合、工場や
現場等で予め組み立てておいた基礎鉄筋柱Ａを即
座に取り付けることができるために、一般の鉄筋
組作業に必要であつた鉄筋の組み付け作業は不要
になつて、基礎部分の構築作業の簡略化をなしう
る。

「発明の効果」 以上説明したように、本発明によれば、施工に
用いる基礎鉄筋柱を、テンプレートとベースプレ
ートとの間に複数の柱主筋を、これらプレートに
直角に配設するとともに、前記柱主筋の両端部を
それぞれ前記テンプレートとベースプレートに連
結した構成としたので、該基礎鉄筋柱を工場や現
場等で予め組み立てておいて、基礎部分に即座に
埋設できるために、工場現場における基礎部分の
鉄筋組作業を省略できて、基礎構築作業の簡略化
をなしえる。また、テンプレートとベースプレー
トとを柱主筋で連結した剛構造のために、据え付
け場所に一本一本の鉄筋を組み付ける、一般の鉄
筋組みに比較して、速やかに、かつ、精度の極め
て高い据え付けが可能である。さらに、対向して
設けられたテンプレートとベースプレートとの間
に柱主筋をこれらプレートに直角に連結してなる
基礎鉄筋柱を、その下端のベースプレートを水平
にアンカーに固定するようにしたので、該基礎鉄
筋を容易かつ確実に鉛直に立設保持することで
き、よつて基礎部分に埋設する際の位置決めおよ
び据え付け精度を向上させることができる。加え
て、ベースプレートを水平にアンカーに固定する
ことによつて、基礎鉄筋柱を鉛直に据え付けた
後、当該基礎鉄筋柱の下端部にフーチングを造成
し、その後、このフーチングの上方において、前
記基礎鉄筋柱に交差する地中梁を形成したので、
鉛直に据え付けられた基礎鉄筋柱は、その鉛直性
を強固に保持することができるとととともに、基
礎鉄筋柱を含む基礎の構造的強度を高いものとす
ることができる。よつて本発明の採用により、鉄
筋鉄骨複合柱の建込みが精度良く行えるので、工
事現場における施工能率が極めて良好になること
に加えて、品質管理上も信頼性の高い建造物を提
供することができる。また、最終的に基礎鉄筋柱
上端のテンプレートを取り外すようにしたので、
施工後は基礎鉄筋柱上端は柱主筋が突出してい
る。したがつて、この基礎鉄筋柱に、構築物の鉄
筋鉄骨複合柱等の柱のを接続する場合、当該柱の
柱主筋を前記突出した柱主筋に接続することによ
つて、接続を確実かつ容易に行うことができる。

また、柱主筋の端部に固定されたベースプレート
に固定孔を形成し、この固定孔に、基礎底部に打
ち込まれたアンカーを挿通するようにしたので、
柱主筋をベースプレートとともに基礎底部に確実
に固定することができ、柱主筋の位置保持、据え
付け精度が極めて高いものとなる。

さらに、テンプレートの中央部に透孔を形成
し、この透孔の周囲に主筋柱が挿通される複数の
第一挿通孔を形成したので、透孔から主筋柱の内
側に容易かつ確実にコンクリートを打設すること
ができるとともに、ベースプレートの中央部にも
透孔を形成したので、打設されたコンクリートが
透孔から出てベースプレートを固定する基礎底部
に行き渡つて、ベースプレートの固定をより強固
なものとすることができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例を説明するためのもの
で、第１図は基礎鉄筋柱の側面図、第２図はテン
プレートの平面図、第３図はベースプレートの平
面図、第４図は根切り作業完了状態を示す断面
図、第５図は基礎鉄筋柱の立設状態を示す断面
図、第６図は基礎鉄筋柱の仮固定状態を示す断面
図、第７図は地中梁の設置状態を示す断面図、第
８図は基礎鉄筋柱の据え付け完了状態を示す断面
図、第９図は基礎鉄筋柱の捨てコンクリートに対
する取り付け部分を示す側面図、第１０図は基礎
鉄筋柱に対する鉄骨鉄筋複合柱の取り付け作業状
態を示す側面図である。 Ａ……基礎鉄筋柱、１……テンプレート、１ｂ
……第一挿通孔、２……ベースプレート、２ｂ…
…第二挿通孔、３……柱主筋。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 上部を露出させて構築物の基礎に鉛直に埋設
   される基礎鉄筋柱の施工方法であつて、 対向して設けられ、かつそれぞれの中央部に透
   孔が形成されたテンプレートとベースプレートと
   の間に、複数の柱主筋がこれらプレートに直角に
   配設され、前記柱主筋の両端部がそれぞれ前記テ
   ンプレートとベースプレートに連結されてなる基
   礎鉄筋柱を用意し、 まず、基礎鉄筋柱を施工する位置を掘削した
   後、この掘削孔の底面に捨てコンクリトを打設す
   るとともに、この捨てコンクリートにアンカーを
   打ち、 次いで、前記基礎鉄筋柱をベースプレートが下
   端になるようにして前記捨てコンクリート上に吊
   り込むとともに、前記ベースプレートを水平に前
   記アンカーに固定し、 次いで、前記基礎鉄筋柱の下端部にフーチング
   を造成した後、このフーチングの上方において、
   前記基礎鉄筋柱に交差する地中梁を形成し、 次いで、基礎鉄筋柱にコンクリートを前記テン
   プレートの真下まで当該テンプレートに形成され
   た透孔から打設する工程と、基礎鉄筋柱の上端が
   整地レベルから突出するように土を埋め戻す工程
   とを行い、 最後に、前記テンプレートを柱主筋から取り外
   すことを特徴とする基礎鉄筋柱の施工方法。