JPH0570545A - ポリウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂組成物、磁気記録媒体の結合剤およびそれを用いた磁気記録媒体 - Google Patents

ポリウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂組成物、磁気記録媒体の結合剤およびそれを用いた磁気記録媒体

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JPH0570545A
JPH0570545A JP4018934A JP1893492A JPH0570545A JP H0570545 A JPH0570545 A JP H0570545A JP 4018934 A JP4018934 A JP 4018934A JP 1893492 A JP1893492 A JP 1893492A JP H0570545 A JPH0570545 A JP H0570545A
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polyurethane resin
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polyether
recording medium
binder
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JP4018934A
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Masanobu Fukuda
昌宣 福田
Hitomi Eguchi
ひとみ 江口
Shigeyoshi Kuroda
栄美 黒田
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Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 SO3 M基(ただし、Mはアルカリ金属また
は水素原子を表わすものとする。)を有する低分子ジオ
ールを開始剤とするポリエーテルポリオール分子鎖とポ
リオール分子鎖とをウレタン結合せしめたポリウレタン
樹脂、あるいは、さらに第3級水酸基をも有する上記の
ポリウレタン樹;ならびに、該ポリウレタン樹脂と低分
子量ポリイソシアネート化合物とから成る、磁気記録媒
体用の結合剤類;および該結合剤を用いた磁気記録媒体
類。 【効果】 合成が容易で、しかも、溶液安定性が良好な
るポリウレタンが得られる。磁性層の磁性粉分散性に優
れた磁気記録媒体の結合剤が得られるし、加えて、耐湿
熱耐久性、電磁変換特性ならびに耐摩耗性などに優れる
磁気記録媒体が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規にして有用なるポ
リウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂組成物、該ポリウレ
タン樹脂を含む磁気記録媒体用の結合剤、ならびに磁気
記録媒体に関する。さらに詳細には、本発明は、特定の
ポリウレタン樹脂を用いることから成る、とりわけ、合
成それ自体が容易であり、溶液安定性が良好であり、し
かも、磁性層の磁性粉分散性ならびに耐湿熱耐久性など
にも優れる、ポリウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂組成
物、ならびに該ポリウレタン樹脂を含む磁気記録媒体用
の結合剤および磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、オーディオテープ用、あるいは家
庭用VTRテ−プ用などの用途拡大化に伴って、その要
求性能もまた、多岐に亘っている。また、8ミリビデ
オ、DATあるいはS−VHSなどの、いわゆるハード
面での技術の進歩も著しく、したがって、磁気記録媒体
への要求もきびしいものとなって来ている。特に、記録
再生時における高画質および高信頼性が求められてい
る。
【0003】その具体例としては、鮮明なる画像および
音を再生するための高記録密度化であって、しかも、高
温高湿などの、いわゆる過酷なる条件下での高速長時間
の走行に耐え、磁性層からの磁性粉の脱落の無いことな
どが挙げられ得よう。
【0004】上記した磁性層の諸特性ならびに物性を維
持するのが、結合剤の重要なる機能であり、磁性粉の分
散性にも優れるし、高感度、高SN比ならびに高CN比
などの、いわゆる電磁特性もまた良好であり、加えて、
耐摩耗性ならびに耐湿熱性などの、いわゆる耐久性にも
優れるという、極めて実用性の高いものが求められてい
る。
【0005】これまでにも、こうした諸特性ないしは諸
物性を満足させるべく、種々の結合剤についての研究も
為されて居り、磁性層に良好なる耐摩耗性を付与し、ひ
いては、磁気記録媒体の耐久性を向上せしめる、主たる
結合剤としては、ポリウレタン樹脂が提案されている。
【0006】しかしながら、かかる用途に利用されてい
る、これまでのウレタン樹脂というものは、一般に、凝
集力が強いものである処から、充分に、磁性粉を分散さ
せることが出来なかった。
【0007】そこで、磁性粉を分散させるために、ニト
ロセルロースや塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体など
が、ポリウレタンと併用されて来た。ところが、記録密
度および電磁変換特性を向上させるために、高度に微粉
末化された強磁性粉を使用した磁気記録媒体の場合に
は、前述の如き結合剤では、磁性粉を充分に分散させる
ことは出来ない、と言った種々の不便さが有る。
【0008】この結果、微粉末化した強磁性粉を使用し
たにも拘らず、得られた磁気記録媒体の電磁変換特性が
充分には改善され得ないばかりか、分散不良の磁性粉
が、磁性層から、一部ながら、脱落してしまって、ドロ
ップアウトの原因となることすらある。
【0009】ところで、結合剤の分子鎖中に極性基を導
入することによって、磁性粉の分散性を向上化せしめる
方法という方法も、知られている。すなわち、たとえ
ば、特開昭54−157603号公報には、スルホン酸
金属塩基を規定量、含有するという特定のポリウレタン
樹脂を、結合剤として使用した形の磁気記録媒体につい
ての提案が為されている。
【0010】このものは、実質的には、スルホン酸を含
有するジカルボン酸成分を用いて、そのスルホン酸を、
ポリエステルポリオール中に導入せしめたのちに、目的
とするポリウレタンとして収得している。
【0011】また、特開昭59−132418号公報に
は、スルホン酸塩基含有の多価アルコールを縮合せしめ
た形のポリエステル樹脂からなる磁気記録媒体について
の発明が示されているし、さらに、特開昭61−204
826号公報には、かかるポリエステル樹脂を、ジイソ
シアネートと反応せしめた形のポリエステル樹脂(実質
的には、ポリウレタン樹脂である。)が示されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらのポリ
ウレタン樹脂は、磁性粉の分散性に関しては、一応の成
果こそ得られては居るものの、親水性基であるSO3
基が、加水分解を受け易いポリエステル中に存在してい
る処から、高温高湿条件下に置かれた場合には、容易
に、加水分解が誘発されて、磁気記録媒体の耐久性に劣
る嫌いがあった。
【0013】そこで、本発明者らは、先に、SO3 M基
を有する鎖伸長剤を、ポリウレタン中に導入せしめた場
合に、上述した如き種々の問題点が改善され、解消され
ることを見い出したが、この場合には、かかるSO3
基含有鎖伸長剤の反応性が低い処から、ポリウレタンの
製造に長時間を要するし、しかも、得られるポリウレタ
ンの溶液安定性もまた、充分なるものでは無かった。
【0014】したがって、本発明が解決しようとする課
題は、一にかかって、合成そのもが容易であることは勿
論ながら、溶液安定性も良好であり、加えて、磁性層の
磁性粉分散性ならびに耐湿熱耐久性などにも優れるとい
う、極めて実用性の高い、それぞれ、ポリウレタン樹
脂、ポリウレタン樹脂組成物、ならびに該ポリウレタン
樹脂を含む磁気記録媒体用の結合剤および磁気記録媒体
を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】そのために、本発明者ら
は、上記した発明が解決しようとする課題に照準を合わ
せて、鋭意、検討を重ねた結果、SO3 M基を導入せし
めるに当たっては、かかるSO3 M基を有する低分子量
ジオールを、開始剤として用いることによって、はじめ
て、ポリウレタン中へのポリエーテルポリオールの導入
が極めて容易に行い得るし、しかも、得られるポリウレ
タン樹脂の溶液安定性も良好となるし、併せて、上述の
課題が、悉く、解消され得ることを見い出すに及んで、
ここに、本発明を完成させるに到った。
【0016】すなわち、本発明は、まず、ポリオール分
子部分およびポリエーテル分子部分が、ウレタン結合を
介して鎖延長され、しかも、重量平均分子量が2万〜2
0万であり、かつ、ポリエーテル部分がSO3 M(ただ
し、Mはアルカリ金属原子または水素原子を表わすもの
とする。)なる特定の基を有する低分子量のジオール
を、開始剤として用いて得られると言う、特定のポリエ
ーテルポリウレタン樹脂を提供しようとするものである
し、
【0017】次いで、該樹脂と溶剤とから構成されるポ
リウレタン樹脂組成物をも提供しようとするものである
し、また、分子鎖中に第3級水酸基を有すると言う、上
記特定のポリウレタン樹脂と、低分子量ポリイソシアネ
ートとから構成される磁気記録媒体用の結合剤、ならび
に当該磁気記録媒体を用いて得られる磁気記録媒体をも
提供しようとするものである。
【0018】
【構成】本発明において使用される、上記した分子鎖中
にSO3 M基を有し、場合により、第3級水酸基をも有
するポリウレタン樹脂の原料として特に代表的なものの
みを例示するにとどめれば、次のものが挙げられる。
【0019】すなわち、有機ジイソシアネ−トとして
は、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシ
アネート、イソホロンジイソシアネート、キシレンジイ
ソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、トル
イジンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシア
ネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’
−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、p−フェニレン
ジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネートも
しくは1,5−ナフチレンジイソシアネートの如き、各
種の化合物、またはこれらの混合物などが挙げられる。
【0020】就中、ヘキサメチレンジイソシアネート、
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、2,4
−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソ
シアネートまたはこれらの混合物の使用が望ましい。
【0021】分子鎖中にSO3 M基含有ポリエーテルポ
リオールは、開始剤として、たとえば、2−スルホナト
リウム−1,4−ブタンジオール、1−スルホナトリウ
ム−1,4−ブタンジオール、3−スルホナトリウム−
2,5−ジメチル−3−ヘキセン−2,5−ジオール、
2,5−ジスルホカリウム−3,4−ヘキサンジオー
ル、3−スルホカリウム−1,5−ペンタンジオール、
タウリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)タウ
リンまたはスルホベタインの如き、各種の単量体類ある
いはそれらの混合物などが用いられるし、
【0022】これらの各種の開始剤に、アルキレンオキ
サイド、たとえば、エチレンオキサイドもしくはプロピ
レンオキサイドなどを、好ましくは、2〜30モル程
度、付加反応せしめることによって得られるが、当該ポ
リエーテルポリオールの数平均分子量としては、好まし
くは、2,000以下が、特に好ましくは、1,500
以下が適切である。
【0023】開始剤としてのSO3 M基含有ジオール
は、亜硫酸ナトリウムまたは−カリウムを、常法によ
り、対応する不飽和ジオールと反応せしめることによっ
て得られる。
【0024】また、タウリンやスルホベタインなどのヒ
ドロキシエチル化物(またはヒドロキシアルキル化物)
は、タウリンやスルホベタインなどに対応するクロルヒ
ドロキシアルカンを反応せしめることによって得られ
る。
【0025】ポリウレタン樹脂の一分子中当たりのSO
3 M基数としては、樹脂1トン当たり1,000個(以
下、この量を1,000モル/トンと称する。)以下
が、好ましくは、4〜1,000モル/トンなる範囲内
が適切である。
【0026】SO3 M基が1,000モル/トンを超え
る場合には、親水性の増大化によって、有機溶剤に対す
る溶解性が低下するようになると共に、耐加水分解性が
極端に悪化するようになるので、好ましくない。
【0027】また、SO3 M基中のMは、アルカリ金属
原子または水素原子を指称するものであり、アルカリ金
属原子としては、ナトリウムまたはカリウムなどが特に
代表的な例である。
【0028】本発明においては、上記したSO3 M基含
有ジオールを開始剤とするポリエーテルポリオールのほ
かにも、一般的に用いられるポリオール類を併用するこ
とが出来るのは、勿論である。
【0029】その比率としては、重量比で以て、好まし
くは、該ポリエーテルポリオール/その他のポリオール
=1/10〜1/5なる範囲内が適切である。その他の
ポリオールとしては、末端が水酸基なる、分子量が50
0〜5,000の、それぞれ、ポリエ−テルポリオー
ル、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリ
オールまたはポリカーボネートポリオールなどが挙げら
れるし、そのうちの、上記ポリエーテルポリオールとし
て特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、ポリ
エチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたは
ポリテトラメチレングリコールなどが挙げられる。
【0030】上記したポリエステルポリオールとして特
に代表的なもののみを例示するにとどめれば、エチレン
グリコール、1,2−プロピレングリコール、2,3−
ブチレングリコール、1,4ブチレングリコール、2,
2−ジメチル1,3−プロパンジオール、ジエチレング
リコール、3−メチル−1、5−ペンタンジオール、
1,5ペンタメチレングリコール、1,6−ヘキサメチ
レングリコール、シクロヘキサン−1,4−ジオールも
しくはシクロヘキサン−1,4−ジメタノールの如き、
各種のグリコール類の単独使用あるいはこれらの併用
と、
【0031】コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、グル
タル酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバ
シン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸もしく
はヘキサヒドロイソフタル酸の如き、各種の二塩基酸
類、あるいはこれらの酸エステルないしは酸ハライドな
どと重縮合せしめることによって得られるようなものが
挙げられる。
【0032】さらに、ポリカプロラクトンジオール類と
して特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、ε
−カプロラクトンの如き、各種のラクトンモノマー類
を、グリコール類またはポリエステルポリオール類ない
しはポリエーテルポリオール類などの存在下で、開環付
加重合せしめた形のものなどが挙げられる。
【0033】また、ポリカーボネートポリオールとして
特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、ポリエ
チレンカーボネート、ポリブチレンカーボネートまたは
ポリヘキシレンカーボネートなどが挙げられる。
【0034】このほかに、鎖伸長剤としての低分子量グ
リコールとして特に代表的なもののみを例示するにとど
めれば、前述したポリエステル類の製造に際して使用さ
れるような、グリコール類、ビスフェノールAまたはハ
イドロキノンなどに、エチレンオキサイドもしくはプロ
ピレンオキサイドなどを、2〜4モルなる範囲内で付加
反応せしめた形のジオール類;あるいは、ヒドロキシピ
バリン酸ネオペンチルグルコールなどのような、分子量
が1,000以下の低分子量エステルグリコールなどの
単独使用あるいは併用などである。
【0035】本発明においては、当該ポリウレタン樹脂
中に、第3級水酸基を導入せしめることも許容される。
その導入量としては、1,000モル/トン以下が、好
ましくは、10〜1,000モル/トンなる範囲内が適
切である。
【0036】第3級水酸基量が1,000モル/トンを
超える場合には、どうしても、ポリウレタン樹脂の合成
中に架橋反応を起こし易く、合成それ自体が困難となる
ので好ましくない。
【0037】第3級水酸基の導入方法としては、分子鎖
中に第3級水酸基を少なくとも1個有するポリオール
を、鎖伸長剤として用いてもよく、また、該ポリオール
を開始剤とする、分子量が500〜1,000なる範囲
内のポリカプロラクトンポリオールまたはポリエーテル
ポリオールの形で導入せしめてもよい。
【0038】分子鎖中に第3級水酸基を少なくとも1個
有するポリオールとして特に代表的なもののみを例示す
るにとどめれば、1,2,3−ヒドロキシ−2−メチル
プロパン、1,2,3−ヒドロキシ−2−エチルプロパ
ン、1,2,4−ヒドロキシ−2−メチルブタン、1,
2,5−ヒドロキシ−2−メチルペンタン、1,3,5
−ヒドロキシ−3−メチルペンタンもしくは1,3,6
−ヒドロキシ−3−メチルヘキサンなどであり、これら
の単量体状ポリオールは、単独使用でも2種以上の併用
でも良いことは、勿論である。これらのポリオールの両
末端以外の分子鎖中の水酸基は、第3級であることが必
須である。
【0039】第1級および第2級の水酸基は、第3級の
水酸基に比して、イソシアネートとの反応性が速く、ひ
いては、ポリウレタンの高分子化ないしは網目状化を生
じることとなり、樹脂の合成それ自体が困難となること
に因るものである。
【0040】本発明で使用される当該ポリウレタン樹脂
は、重量平均分子量が2万〜20万なる範囲内が、さら
に好ましくは、2万〜10万なる範囲内が適切である。
重量平均分子量が2万未満の場合には、どうしても、ポ
リウレタン樹脂の機械的性質、耐摩耗性ならびに耐湿熱
性などに劣るようになるし、一方、20万を超える場合
には、どうしても、ポリウレタン樹脂の溶液安定性や、
他樹脂との相溶性などが悪化すると共に、顔料分散性も
また低下するようになる為である。
【0041】なお、本発明で用いる当該ポリウレタン樹
脂の末端は、両末端が共に、イソシアネ−ト基であって
もよいし、水酸基でもあってよく、また、一方の末端が
イソシアネートであって、他端が水酸基であっても良い
ことは、勿論である。
【0042】本発明のポリウレタン樹脂の調製には、必
要であれば、触媒を使用することができる。かかる触媒
として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、
トリエチルアミンもしくはトリエチレンジアミンの如
き、各種の第三級アミン類;モルホリンもしくはN−メ
チルモルホリンの如き、各種の窒素化合物類;酢酸カリ
ウムもしくはステアリン酸亜鉛の如き、各種の金属塩
類;またはジブチル錫ジラウレートもしくはヂブチル錫
オキサイドの如き、各種の有機金属化合物類などが挙げ
られる。
【0043】なお、ポリオールと有機ジイソシアネート
との、NCO/OHモル比としては、特に制限はないけ
れども、本発明で規定されているような分子量を持った
ポリウレタン樹脂を得るためには、それぞれの原料中の
不純物(水分、酸または加水分解性塩素などが挙げられ
る。)をも考慮して、0.85/1.00〜1.15/
1.00なる範囲内が、好ましくは、0.95/1.0
0〜1.15/1.00なる範囲内が適切である。
【0044】当該ポリウレタン樹脂を製造するに当たっ
ては、従来公知の方法を採ることが出来る。すなわち、
所望により、触媒の存在下で、反応原料を充分に混合し
たのちに、反応混合物を、平板ないしは平らな面上へ流
して加熱し、次いで、冷却後に破砕せしめるという方法
とか、反応混合物を押出機へ注入するという方法とか、
あるいはジメチルホルムアミド、トルエン、キシレン、
ベンゼン、ジオキサン、シクロヘキサノン、メチルエチ
ルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチルまたは
酢酸ブチルなどの単一溶剤や混合溶剤系の有機溶媒中で
反応させるという溶液反応法などの製造法を用いること
が出来る。
【0045】前掲した如き各種の溶剤のうち、磁性塗料
用として好適であるものは、固形ポリウレタン樹脂の溶
解および希釈用をも含めて、水との親和性ないしは溶解
性の低い溶剤類、すなわち、たとえば、トルエン、キシ
レンまたはベンゼンなどが、溶解性に優れる溶剤類、す
なわち、たとえば、シクロヘキサノン、メチルエチルケ
トン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチルまたは酢酸
ブチルなどである。
【0046】本発明の磁気記録媒体の結合剤は、以上に
記述して来たようなポリウレタン樹脂を、硬化剤と硬化
反応させて用いられる。使用される硬化剤として特に代
表的なもののみを例示するにとどめればば、下記する市
販品の如き、各種の低分子量ポリイソシアネートなどが
挙げられる。
【0047】「バーノック D−750」、「バーノッ
ク DN−950」または「クリスボン NX」[以
上、大日本インキ化学工業(株)製品]、「コロネート
L」[日本ポリウレタン(株)製品]あるいは「タケ
ネート D−102」[武田薬品(株)製品]、「デス
モデュール L」、「デスモデュール R」または「デ
スモジュール RF」[以上、住友バイエル(株)製
品]などである。
【0048】前記ポリウレタン樹脂と、当該低分子量ポ
リイソシアネートとの比率は、特に限定されるものでは
ないが、好ましくは、固形分比で以て、ポリウレタン樹
脂の100重量部に対して、低分子量ポリイソシアネー
トを、3〜40重量部なる範囲内で加えて、硬化させる
ことによって、硬化後のウレタン樹脂の機械的強度、耐
摩耗性、耐湿熱性、耐溶剤性ならびに基材との密着性な
どを、大幅に、向上化せしめることが出来る。
【0049】なお、ポリウレタン樹脂組成物には、必要
ならば、通常、用いられているような熱可塑性ウレタン
樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、繊維素系樹
脂、塩化ビニル重合体、ポリビニルブチラール系樹脂、
熱可塑性ポリエステル樹脂、塩化ビニル−プロピオン酸
ビニル系共重合体、エポキシ樹脂またはフェノキシ樹脂
などのような、種々の市販品をそのまま、併用すること
によって、顔料の分散性を維持しつつ、樹脂の硬さの調
整などに、使用することが出来る。
【0050】本発明により得られる磁気記録媒体用結合
剤と組み合わせて用いられる磁性粉として特に代表的な
もののみを例示するにとどめれば、γ−フェライト、コ
バルトγ−フェライト、バリウム−フェライト、金属鉄
またはそれらの合金類(いわゆる、メタル粉)などが挙
げられる。
【0051】本発明により得られるポリウレタン樹脂
は、その優れた顔料分散性、耐湿熱性、耐摩耗性、流動
性ならびに永久伸びなどの諸物性に優れているものであ
る処から、磁気記録媒体の結合剤以外の用途にも、用い
ることが出来ることは、勿論である。
【0052】すなわち、たとえば、各種の印刷インキ、
磁性ゴム、各種の塗料、導電性樹脂あるいは接着剤など
が挙げられる。
【0053】
【実施例】次に、本発明を参考例、実施例および比較例
によって、一層、具体的に説明するが、これらは飽くま
でも、一実施態様の開示でしか無く、本発明は、これら
の実施例のみに限定されるものではない。以下におい
て、部および%は特に断りの無い限り、すべて重量基準
であるものとする。
【0054】参考例 1〜5(ポリエーテルポリオール
の調製例) 第1表に示されるような、開始剤とアルキレンオキサイ
ドとを、1リットルのオートクレーブに仕込み、触媒と
しての水酸化ナトリウムを、アルキレンオキサイドの
0.1%なる量を加えて、100℃で5時間、反応させ
たのちに常圧に戻して、水酸化ナトリウムを中和し、濾
過して除き、同表に示されるような、各種のポリエーテ
ルポリオールを得た。
【0055】
【表1】
【0056】《第1表の脚注》表中の「番号」は、参考
例の番号を意味し、また、表中の「参1」、「参2」、
「参3」、「参4」および「参5」は、それぞれ、「参
考例1」、「参考例2」、「参考例3」、「参考例4」
および「参考例5」を意味するものとする。
【0057】実施例 1〜3および比較例 1〜3 コンデンサー、温度計および攪拌装置が装備された、5
リットルのステンレススチール製反応容器に、第2表に
示されるような、ポリエステルポリオール、ポリエーテ
ルポリオールおよび/またはポリカプロラクトンポリオ
ールと、低分子量ポリオールなどとを仕込んで80℃に
加温し、上記したポリオール類と有機ジイソシアネート
とを合計した仕込量の1.5倍の重量に当たる量のシク
ロヘキサノンを加えて、均一に混合攪拌した。
【0058】さらに、シクロヘキサノンを基準として1
00ppmのジブチル錫ジラウレートを加えて均一化せ
しめたのち、有機ジイソシアネートを加え、90℃で反
応させた。
【0059】ポリウレタン樹脂溶液の粘度が所望の値に
達した処で、未反応イソシアネート基と等モル量のメタ
ノールと、シクロヘキサノンと同量のメチルエチルケト
ンとを加えて、ウレタン樹脂濃度が25重量%なる溶液
を得た。
【0060】それらの合成結果と、合成に要した反応時
間とを第3表に示す。
【0061】
【表2】
【0062】《第2表の脚注》 *) 3−メチル−1,5−ペンタンジオールにε−カ
プロラクトンを付加反応せしめた形のポリオール
【0063】
【表3】
【0064】
【表4】
【0065】《第3表の脚注》上表中の配合比率は、い
ずれも、モル比であるものとする。 MPT………3−メチル−1,3,5−ペンタントリオ
ールの略記 MBPI……4,4’−メチレンビスフェニルイソシア
ネートの略記 TDI………2,4−トルエンジイソシアネートの略記
【0066】
【表5】
【0067】
【表6】
【0068】《第3表の脚注》ポリウレタン樹脂の分子
量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフによりポリ
スチレン分子量換算の重量平均分子量で求められたもの
である。
【0069】《溶液安定性の評価の要領》不揮発分が2
5%なる、シクロヘキサノン/メチルエチルケトン溶液
を0℃に1週間のあいだ靜置せしめて、溶液の状態を観
察した。
【0070】○………透明で滑らかに流動する。 △………透明で、かつ、ゼリー状を示すが、室温に戻す
と、やがて、正常なる流動状態を回復する。
【0071】×………濁り・沈澱を生じ、室温に戻して
も透明とはならない。
【0072】
【表7】
【0073】実施例 5〜9および比較例 4〜7 各実施例および比較例で得られたポリウレ タン樹脂溶液(不揮発分25%) 112部 「MR−110」(日本ゼオン製の塩化ビニル 42部 −酢酸ビニル共重合体) シクロヘキサノン 320部 メチルエチルケトン 700部 Fe−Ni合金磁性粉 350部 カ−ボンブラック 12部 潤滑剤 5部 上記の混合物を、ボールミル中で、48時間練肉せし
めたのち、「バーノックD−750」[大日本インキ化
学工業(株)製の低分子量ポリイソシアネート]の20
部を添加し、さらに1時間に亘って練肉せしめて、厚さ
が10ミクロン(μm)なるポリエチレンテレフタレー
ト基体フィルム上に、乾燥後の厚みが8μmとなるよう
に塗布乾燥し、カレンダ−処理せしめたのち、所望の幅
に裁断せしめて、磁気記録テ−プを作製した。ただし、
実施例8および比較例7においては、「バーノック D
−750」を、一切、配合しなかった。
【0074】《磁気テ−プの光沢試験の要領》カレンダ
−処理前の各磁気テ−プの磁性面を、デジタル変角光沢
計を用いて、入射角を45度とし、かつ、反射角を45
度として測定した。
【0075】《磁気テ−プの角型比測定の要領》得られ
た各磁気テ−プの角型比を、VSM(Vibratin
g Sam−ple Magnetmeter)を用い
て測定した。
【0076】《磁気テ−プの耐湿熱耐久性試験の要領》
得られた各磁気テ−プを、70℃で、かつ、相対湿度が
95%なる条件で、2週間保存し、さらに、常温に24
時間放置したのち、ビデオテープレコーダーで以て走行
テストを行なって評価した。
【0077】 ○………繰り返し走行に、全く問題のないもの △………僅かに、走行ムラのあるもの ×………テープの粘着が激しく、走行停止するもの
【0078】《磁気テ−プの耐摩耗性試験の要領》得ら
れた磁気テ−プの磁性面を、テーバー式摩耗試験機を用
いて、磁性層が脱落するまでの回数を測定した。
【0079】各磁気テ−プの光沢、角型比、耐湿熱耐久
性ならびに耐摩耗性の測定結果を、第4表に示す。
【0080】
【表8】
【0081】
【表9】
【0082】
【発明の効果】第3表および第4表の結果からも明らか
なように、SO3M基を開始剤とする、分子鎖中にポリ
エーテルポリオール部分を有するポリウレタン樹脂およ
び、場合により、第3級水酸基をも有するポリウレタン
樹脂は、それ自体、合成が容易であり、溶液安定性も良
好であって、かつ、磁性粉に対して高い親和性をも示す
ものであるし、加えて、高度に微粉末化された磁性粉を
使用しても、分散性が良好であるし、しかも、得られる
磁気記録媒体の電磁変換特性も極めて優れていて、表面
平滑性も向上する一方、SO3 M基がポリエステル中に
存在しないために、耐加水分解性が良好であり、しか
も、得られる磁気記録媒体の高温高湿時の耐久性ならび
に耐摩耗性が向上するというものである。
【0083】また、第3級水酸基を含有する場合には、
低分子量ポリイソシアネートとの反応において、樹脂同
志の3次元化を、より一層、起こし易くなり、その結
果、得られる磁気記録媒体の耐久性ならびに耐摩耗性
が、一段と、向上するというものである。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオール分子部分およびポリエーテル
    分子部分が、ウレタン結合を介して鎖延長されたポリエ
    ーテルポリウレタン樹脂であって、該樹脂の重量平均分
    子量が2万〜20万で、しかも、ポリエーテル部分がS
    3 M基(ただし、Mはアルカリ金属原子または水素原
    子)を有する低分子量ジオールを開始剤とするポリエー
    テルポリオールであることを特徴とする、ポリウレタン
    樹脂。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のポリウレタン樹脂と溶
    剤とから構成される、ポリウレタン樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載のポリウレタン樹脂組成
    物と、低分子量ポリイソシアネートとから構成される、
    磁気記録媒体の結合剤。
  4. 【請求項4】 さらに、分子鎖中に第3級水酸基をも有
    する、請求項1に記載のポリウレタン樹脂と、低分子量
    ポリイソシアネートとから構成される、磁気記録媒体の
    結合剤。
  5. 【請求項5】 請求項3に記載の結合剤を用いることを
    特徴とする、磁気記録媒体。
JP4018934A 1991-04-26 1992-02-04 ポリウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂組成物、磁気記録媒体の結合剤およびそれを用いた磁気記録媒体 Pending JPH0570545A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100376275B1 (ja) * 2000-10-02 2003-03-17
US7737304B2 (en) 2007-09-28 2010-06-15 Fujifilm Corporation Sulfonic acid polyol compound, polyurethane resin, polyurethane resin for magnetic recording medium, and magnetic recording medium
JP2010163376A (ja) * 2009-01-14 2010-07-29 Fujifilm Corp スルホン酸ジオール化合物の製造方法およびポリウレタン樹脂の製造方法

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