JPH0559756U - 異方感圧導電性エラストマーシート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 エラストマーシートに加わる圧力の分布状態
及び圧力点の座標を正確に検知できると共に、絶縁部分
と感圧導電部分とが明確に分離された一枚のシートを提
供し、もって圧力検出精度の向上を図ると共に用途の拡
大を図り、更には量産性の向上、持ち運び及び搬送の容
易化、機器への組み付け性の向上等を図る。 【構成】 平板状の絶縁性エラストマーシート２に、別
体として製造された感圧導電性エラストマー部材３…３
を複数箇所に埋設一体化し、個々の箇所の感圧導電性エ
ラストマー部材３…３を、相互間で電気的に遮断させ且
つシート２の厚さ方向に対して独立して感圧導電特性を
示すように構成する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、主としてコンピュータ又はワープロの入力用タブレットや医療用床 ずれ防止マット、関節部分の換合を圧力分布として測定する装置のセンサーに利 用可能な異方感圧導電性エラストマーシートに係り、詳しくは、エラストマーシ ートの厚さ方向に加わる圧力を点又は分布として感知できるのみならず圧力の強 弱をも感知できる異方感圧導電性エラストマーシートに関する。

【０００２】

【従来の技術】

周知のように、加圧力に伴う圧縮変形に起因して電気抵抗値が低下していく特 性を有する感圧導電性ゴムは、ゴム又はエラストマー等の絶縁性弾性体の中に金 属又はカーボンブラック等の導電性粒子を混入分散させたものである。そして、 この感圧導電性ゴムは、無加圧時には個々の導電性粒子が互いに離れているため に電気的に絶縁状態にあるが、圧力を加えて圧縮変形を生じさせた場合には前記 個々の導電性粒子が互いに接近或いは接触し合うために電気抵抗値が低下すると いうものである。 このような特性を有する感圧導電性ゴムは、種々の分野において、センサー類 やスイッチ類等として、実用に供され或いは試用の途にある。その一例を述べる と、実開昭５３−１４６９４６号公報によれば、繰り返し変形下で応力一歪曲線 の再現性が優れた絶縁性弾性体中に感圧抵抗体を埋め込み且つ両者の界面を接合 してなる感圧抵抗体の構造物が開示されている。また他の例として、特開昭５３ −１４７７７２号公報によれば、導電性磁性体を含有する絶縁性高分子弾性体か らなる混合物をシート状に成形した後、これを架橋時または架橋する前に、凹凸 のある磁極板で上下に挟んた状態で磁石を用いて磁束線が平行な磁場を作用させ ることにより、前記シート状成形物内における導電性磁性体を不均一に分布させ てなる加圧導電性エラストマーが開示されている。このものは、電気的接続を計 るために接続物体間に介在させることを目的とするものであって、半田付不要な 導電方向に異方性を有するものである。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、上記列挙した従来例のうちの前者については、絶縁性弾性体の 中に感圧抵抗体を一個のみ埋め込んだものであるため、用途としては、可変抵抗 器や感圧スイッチのようにその圧力作用面に加わる圧力の大きさを単に検知する ものに限定されてしまい、圧力の分布状態や圧力点の座標等を検知することは到 底不可能であった。 一方、後者においては、同一のエラストマーシート中に磁場の作用により加圧 導電部分と絶縁部分とを生成したものであるため、双方間の境界線が明確なもの とならず、従って細かいピッチで複数の加圧導電性部分を配列させた場合には、 各加圧導電性部分が相互間で電気的に分離されず、シートの変形に伴う電気抵抗 値を取り出す際に相隣接する部分同士で干渉し合うという問題点があった。また 、磁場のみの作用により導電性磁性体を所定のピッチで集中分布させて複数の加 圧導電性部分を生成するものであるため、各加圧導電性部分における導電性磁性 体の存在密度にバラツキが生じ、圧力−抵抗特性を各部分で同一にできないとい う問題が生じていたことに加えて、導電性粒子として必ず磁性体を使用せねばな らず、この磁性体は絶縁性高分子弾性体との間の接着性が悪く、充分な耐久性を 確保できない等の難点がある。更に、製造方法の特徴から考えれば、細かいピッ チで加圧導電部分を配列させることが困難であることに加えて、電気抵抗値の変 化が連続的な変化とはならず、一定の荷重点を超えれば急激な変化が現れ、ＯＮ −ＯＦＦスイッチに近い性能が得られるに留まり、圧力点及び圧力範囲は検知で きるものの、圧力の強弱を微妙に検知できないという不具合がある。また、同一 種類材料のみのシート状感圧導電性ゴムの場合には、絶縁性高分子弾性体の中に 占める導電性粒子の割合が非常に高くなるのが通例であり、このため繰り返し変 形に対する耐久性が極めて悪化するという問題をも有している。

【０００４】 本考案は上記諸事情に鑑みてなされたものであり、エラストマーシートに加わ る圧力の分布状態及び圧力点の座標を正確に検知できると共に、圧力の強弱を微 妙に検知でき、且つ各感圧導電部分が確実に相互間で電気的に分離されて相隣接 する部分同士で干渉しない構成の一枚のエラストマーシートを提供し、もって検 知精度の向上並びに検知し得る項目の増加を図ると共に、用途の拡大をも図るこ とを技術的課題とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記技術的課題を達成すべくなされた本考案に係る異方感圧導電性エラストマ ーシートは、以下に示すような特徴を有するものである。 即ち、絶縁性エラストマーシート中に、別体として製造された感圧導電性エラ ストマー部材を複数箇所に埋設一体化すると共に、個々の箇所の感圧導電性エラ ストマー部材を、相互間で電気的に遮断させ且つ当該シートの厚さ方向に対して 独立して感圧導電特性を示すように構成したものである。 そして、好ましくは、前記絶縁性エラストマーシートがシリコーンゴムで構成 される。 また、前記感圧導電性エラストマー部材の形状としては、円形、楕円形、三角 形、四角形若しくは多角形が挙げられる。

【０００６】

【作用】

上記手段によると、絶縁性エラストマーシート中に、別体として製造された感 圧導電性エラストマー部材を、相互間で電気的に遮断させた状態で複数箇所に埋 設一体化したから、当該シートの厚さ方向に圧力を加えた場合には、個々の箇所 の感圧導電性エラストマー部材が干渉し合うことなく変形を来たし、当該部材の 変形に伴う電気抵抗変化を個々に独立して厚さ方向に得ることができる。 また、感圧導電性エラストマー部材を所定の規則性をもって複数箇所に配列さ せると共に電極を適切に配置して個々の感圧導電性エラストマー部材の変形に伴 う電気抵抗変化を個別に取り出すようにしておけば、当該シートに加わる圧力点 の位置並びに圧力分布状態を正確に検知できることとなる。

【０００７】

【実施例】

以下、本考案に係る異方感圧導電性エラストマーシートの実施例を、図面に基 づいて説明する。 先ず、本考案の第１実施例を説明すると、図１に示すように、異方感圧導電性 エラストマーシート１は、平板状の絶縁性エラストマーシート２に複数の感圧導 電性エラストマー部材３…３を一定のピッチで規則正しく埋設一体化したもので ある。 前記絶縁性エラストマーシート２は、絶縁性ゴム状弾性体、例えばシリコーン ゴムをプレス成型すること等により得られたものであり、図２に示すように、平 面視が正方形を呈する複数の貫通孔４…４が一定のピッチで縦横に規則正しく形 成された厚み０．３mm〜０．５mmのシートである。 そして、この絶縁性エラストマーシート２の複数の貫通孔４…４に、感圧導電 性エラストマーを架橋前の状態で圧入させ、この後、加熱するか或いは室温で放 置することにより該感圧導電性エラストマーを架橋させると同時に、この架橋に より絶縁性エラストマーシート２の貫通孔４…４の内面と接着させ、これにより 、絶縁性エラストマーシート２に感圧導電性エラストマー部材３…３が相互間で 電気的に遮断された状態の一枚の異方感圧導電性エラストマーシート１を得る。 前記感圧導電性エラストマーとしては、シリコーンゴムの中に金属やカーボン ブラック等の導電性粒子を混入分散させたものを使用してもよく、また他のゴム や熱可塑性エラストマー等の中に導電性粒子を混入分散させたものを使用しても よい。

【０００８】 以上の構成からなる第１実施例の異方感圧導電性エラストマーシート１を用い て実際に圧力の検出を行うには、例えば以下に示すような手段が採用される。 即ち、図３に示すように、一定のピッチで縦方向に延びる複数条の電極５ａ… ５ａを有する上面側フレキシブルプリント基板５と、一定のピッチで横方向に延 びる複数条の電極６ａ…６ａを有する下面側フレキシブルプリント基板６との間 に、異方感圧導電性エラストマーシート１を介設し、図４に示すように、縦方向 に延びる電極５ａ…５ａと横方向に延びる電極６ａ…６ａとが全ての感圧導電性 エラストマー部材３を介して交差状態となるように接合させる。このようにして おけば、個々の感圧導電性エラストマー部材３の圧縮変形に伴う電気抵抗変化が 上下の電極５ａ，６ａより取り出されると共に、取り出された電極５ａ，６ａの Ｘ−Ｙ座標の知得つまりどの位置にどの程度の大きさの圧力が加わっているかの 知得を容易に行えることとなり、圧力値の大きさのみならず圧力分布をも認識で きることとなる。 また、圧力検出を行う場合の他の例として、図５に示すものは、下面側プリン ト基板７に、一個の感圧導電性エラストマー部材３につき一対の電極７ａ，７ａ を配設し、この一対の電極７ａ，７ａにより対応する感圧導電性エラストマー部 材３の電気抵抗変化を取り出すようにしたものである。尚、この異方感圧導電性 エラストマーシート１の上面は、保護フィルム８により覆われている。

【０００９】 上記説明した第１実施例は、平面視で図６に示すように正方形の感圧導電性エ ラストマー部材３…３を絶縁性エラストマーシート２に埋設一体化したものであ るが、本考案はこれに限定されるものではなく、感圧導電性エラストマー部材３ として、図７に示すように長方形のもの、図８に示すように三角形のもの、図９ に示すように六角形のもの（或いは他の多角形のもの）、図１０に示すように円 形のもの（或いは楕円形のもの）等を使用し、これらを所定の規則性をもって絶 縁性エラストマーシート２に埋設一体化するようにしてもよい。尚、感圧導電性 エラストマー部材３の形状及び配列が異なれば、絶縁性エラストマーシート２の 貫通孔４の形状及び配列も必然的に異なることになる。また、絶縁性エラストマ ーシート２の材質についても、既述のようにシリコーンゴムを使用するに限らず 、他のゴムや熱可塑性エラストマー等を使用してもよい。

【００１０】

【考案の効果】

以上のように本考案に係る異方感圧導電性エラストマーシートによれば、絶縁 性エラストマーシート中に、別体として製造された感圧導電性エラストマー部材 を複数箇所に埋設一体化したから、感圧導電性エラストマー部材の特性を全ての 箇所において同一にすることが可能となり、圧力検出精度の向上が図られると共 に、細かいピッチで感圧導電性エラストマー部材を配列させても、絶縁部分と感 圧導電部分との境界が明確になり、電気抵抗変化を取り出す際に隣接する相互間 で干渉し合うことがなくなり、誤差の原因が可及的に少なくなる。 また、個々の箇所の感圧導電性エラストマー部材により微妙な圧力の検出が行 えるのみならず、全体としての圧力分布を検知することも可能となり、用途の拡 大が図られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る異方感圧導電性エラストマーシー
トの第１実施例を示す斜視図である。

【図２】上記第１実施例の構成要素である絶縁性エラス
トマーシートを示す斜視図である。

【図３】上記第１実施例の使用例を示す部品分解配列図
である。

【図４】上記第１実施例の使用例を示す縦断正面図であ
る。

【図５】上記第１実施例の他の使用例を示す縦断正面図
である。

【図６】上記第１実施例を示す平面図である。

【図７】本考案に係る異方感圧導電性エラストマーシー
トの第２実施例を示す平面図である。

【図８】本考案に係る異方感圧導電性エラストマーシー
トの第３実施例を示す平面図である。

【図９】本考案に係る異方感圧導電性エラストマーシー
トの第４実施例を示す平面図である。

【図１０】本考案に係る異方感圧導電性エラストマーシ
ートの第５実施例を示す平面図である。

【符号の説明】

１ 異方感圧導電性エラストマーシート ２ 絶縁性エラストマーシート ３ 感圧導電性エラストマー部材

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 絶縁性エラストマーシート中に、別体と
   して製造された感圧導電性エラストマー部材を複数箇所
   に埋設一体化すると共に、個々の箇所の感圧導電性エラ
   ストマー部材を、相互間で電気的に遮断させ且つ当該シ
   ートの厚さ方向に対して独立して感圧導電特性を示すよ
   うに構成したことを特徴とする異方感圧導電性エラスト
   マーシート。
2. 【請求項２】 絶縁性エラストマーシートがシリコーン
   ゴムで構成されていることを特徴とする請求項１に記載
   の異方感圧導電性エラストマーシート。
3. 【請求項３】 感圧導電性エラストマー部材の形状が、
   円形、楕円形、三角形、四角形若しくは多角形とされて
   いることを特徴とする請求項１又は２に記載の異方感圧
   導電性エラストマーシート。