JP4390971B2 - 力検出子およびこれを用いた力センサ - Google Patents

力検出子およびこれを用いた力センサ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は力検出子およびこれを用いた力センサに関し、特に、コンピュータゲームの入力機器や小型電子機器などに用いるのに適した力検出子およびこれを用いた力センサに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的な力センサとしては、ピエゾ抵抗素子、圧電素子、容量素子などを利用した種々のタイプのものが普及しているが、コンピュータゲーム用の入力装置としては、構造が単純で安価なセンサが求められている。このため、いわゆるジョイスティックなどのゲーム用入力装置としては、一対の端子間の機械的な接触を電気的に検出するスイッチ式のセンサが広く普及している。このようなスイッチ式のセンサは、一対の端子が接触したか否かを検出する単純な構造を有し、製造コストも安価である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述したスイッチ式のセンサは、構造が単純で、安価であるというメリットを有しているものの、外部からの力が加わったか否かというON/OFFの二値状態しか検出することができない。もちろん、単純なコンピュータゲーム用の入力装置としては、このようなON/OFFスイッチとしての機能があれば十分な場合も多いが、最近は、コンピュータゲームの内容も複雑化してきており、単なるON/OFFスイッチとしてではなく、操作者によって加えられた力の大きさを検出できるセンサが望まれている。また、近年、携帯電話や携帯電子端末などの小型電子機器の普及もめざましく、このような小型電子機器用の入力装置としても、操作量としての力の大きさを検出することができる安価な入力装置が望まれている。
【0004】
そこで本発明は、操作者からの操作入力として加えられた力の大きさを検出することができ、しかも確実に操作入力が行われたことを操作者が触覚で認識することができ、構造が単純で安価な力検出子および力センサを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
(1) 本発明の第1の態様は、XYZ三次元座標系におけるX軸方向に作用した外力もしくは同等の押圧力を検出する力検出子において、
XYZ三次元座標系におけるXY平面に沿った上面を有する基板と、
この基板の上方に配置された作用部と、この基板に固定された固定部と、作用部と固定部との間に形成された可撓部と、を有する変位生成体と、
基板の上面のほぼ中心位置に座標系の原点を定義したときに、基板の上面のX軸正領域およびX軸負領域にそれぞれ配置された第1の抵抗体および第2の抵抗体と、
作用部の下面の第1の抵抗体および第2の抵抗体にそれぞれ対向する位置に配置された第1の接触用導電体および第2の接触用導電体と、
を設け、
作用部に外力が作用したときに、可撓部が撓みを生じることにより、作用部の下面が基板の上面に対して変位を生じ、この変位に基づいて、第1の接触用導電体および第2の接触用導電体の第1の抵抗体および第2の抵抗体に対する接触状態が変化するように構成し、
可撓部は上方へと伸びる肉厚の薄い構造をなすようにし、
作用部に外力が作用していない状態では、第1の接触用導電体と第1の抵抗体とは完全に離れた状態となっており、第2の接触用導電体と第2の抵抗体とは完全に離れた状態となっており、
作用部に対して下方向への押圧力を加え、当該押圧力を徐々に増加させてゆくと、可撓部が急激に、断面逆V字型に折れ曲がる弾性変形を生じ、第1の接触用導電体と第1の抵抗体とが接触した状態となり、第2の接触用導電体と第2の抵抗体とが接触した状態となり、
第1の接触用導電体および第2の接触用導電体が、弾性変形する導電性材料から構成され、かつ、第1の抵抗体および第2の抵抗体に対する接触状態の変化に基づいて接触面の面積が変化する形状を有し、可撓部が断面逆V字型に折れ曲がる弾性変形を生じた状態における上記接触面の面積の変化に基づいて、作用部に対してX軸方向に作用した外力もしくは当該外力と同等の変位を作用部に生じさせる押圧力を検出できるようにしたものである。
【0006】
(2) 本発明の第2の態様は、上述の第1の態様に係る力検出子に、所定の検出回路を付加することによって力センサを構成するようにしたものである。ここで、所定の検出回路は、第1の抵抗体上の「第1の接触用導電体の接触位置」を挟む2点間の抵抗値と、第2の抵抗体上の「第2の接触用導電体の接触位置」を挟む2点間の抵抗値と、を比較することにより、X軸方向に作用した外力もしくは当該外力と同等の押圧力を検出する機能を有する。
【0007】
(3) 本発明の第3の態様は、上述の第2の態様に係る力センサにおいて、
第1の抵抗体と第2の抵抗体とをX軸検出用接続点において直列接続することによりX軸検出用抵抗体を形成し、このX軸検出用抵抗体の両端に所定の電圧を印加し、X軸検出用接続点の電圧に相当する値を、X軸方向に作用した外力もしくは当該外力と同等の押圧力の値として出力する検出回路を用いるようにしたものである。
【0008】
(4) 本発明の第4の態様は、上述の第1の態様に係る力検出子において、
基板の上面のY軸正領域およびY軸負領域にそれぞれ配置された第3の抵抗体および第4の抵抗体と、
作用部の下面の第3の抵抗体および第4の抵抗体にそれぞれ対向する位置に配置された第3の接触用導電体および第4の接触用導電体と、
を更に設け、
作用部に外力が作用していない状態では、第3の接触用導電体と第3の抵抗体とは完全に離れた状態となっており、第4の接触用導電体と第4の抵抗体とは完全に離れた状態となっており、
作用部に対して下方向への押圧力を加え、当該押圧力を徐々に増加させてゆくと、可撓部が急激に、断面逆V字型に折れ曲がる弾性変形を生じ、第3の接触用導電体と第3の抵抗体とが接触した状態となり、第4の接触用導電体と第4の抵抗体とが接触した状態となり、
作用部の下面が基板の上面に対して生じる変位に基づいて、第3の接触用導電体および第4の接触用導電体の第3の抵抗体および第4の抵抗体に対する接触状態が変化するように構成され、第3の接触用導電体および第4の接触用導電体が、弾性変形する導電性材料から構成され、かつ、第3の抵抗体および第4の抵抗体に対する接触状態の変化に基づいて接触面の面積が変化する形状を有しており、可撓部が断面逆V字型に折れ曲がる弾性変形を生じた状態における上記接触面の面積の変化に基づいて、更に、作用部に対してY軸方向に作用した外力もしくは当該外力と同等の変位を作用部に生じさせる押圧力を検出できるようにしたものである。
【0009】
(5) 本発明の第5の態様は、上述の第4の態様に係る力検出子に、所定の検出回路を付加することによって力センサを構成するようにしたものである。ここで、所定の検出回路は、
第1の抵抗体上の「第1の接触用導電体の接触位置」を挟む2点間の抵抗値と、第2の抵抗体上の「第2の接触用導電体の接触位置」を挟む2点間の抵抗値と、を比較することにより、X軸方向に作用した外力もしくは当該外力と同等の押圧力を検出する機能と、
第3の抵抗体上の「第3の接触用導電体の接触位置」を挟む2点間の抵抗値と、第4の抵抗体上の「第4の接触用導電体の接触位置」を挟む2点間の抵抗値と、を比較することにより、Y軸方向に作用した外力もしくは当該外力と同等の押圧力を検出する機能とを有している。
【0010】
(6) 本発明の第6の態様は、上述の第5の態様に係る力センサにおいて、
第1の抵抗体と第2の抵抗体とをX軸検出用接続点において直列接続することによりX軸検出用抵抗体を形成し、このX軸検出用抵抗体の両端に所定の電圧を印加し、X軸検出用接続点の電圧に相当する値をX軸方向に作用した外力もしくは当該外力と同等の押圧力の値として出力し、
第3の抵抗体と第4の抵抗体とをY軸検出用接続点において直列接続することによりY軸検出用抵抗体を形成し、このY軸検出用抵抗体の両端に所定の電圧を印加し、Y軸検出用接続点の電圧に相当する値をY軸方向に作用した外力もしくは当該外力と同等の押圧力の値として出力する検出回路を用いるようにしたものである。
【0011】
(7) 本発明の第7の態様は、上述の第1の態様に係る力検出子において、
基板の上面に配置されたZ軸用抵抗体と、作用部の下面のZ軸用抵抗体に対向する位置に配置されたZ軸用接触用導電体とを更に設け、
作用部に外力が作用していない状態では、Z軸用接触用導電体とZ軸用抵抗体とは完全に離れた状態となっており、
作用部に対して下方向への押圧力を加え、当該押圧力を徐々に増加させてゆくと、可撓部が急激に、断面逆V字型に折れ曲がる弾性変形を生じ、Z軸用接触用導電体とZ軸用抵抗体とが接触した状態となり、
作用部の下面が基板の上面に対して生じる変位に基づいて、Z軸用接触用導電体のZ軸用抵抗体に対する接触状態が変化するように構成され、Z軸用接触用導電体が、弾性変形する導電性材料から構成され、かつ、Z軸用抵抗体に対する接触状態の変化に基づいて接触面の面積が変化する形状を有しており、可撓部が断面逆V字型に折れ曲がる弾性変形を生じた状態における上記接触面の面積の変化に基づいて、更に、作用部に対してZ軸方向に作用した外力もしくは当該外力と同等の変位を作用部に生じさせる押圧力を検出できるようにしたものである。
【0012】
(8) 本発明の第8の態様は、上述の第7の態様に係る力検出子において、
Z軸用抵抗体およびZ軸用接触用導電体を、Z軸と交差する位置に配置するようにしたものである。
【0013】
(9) 本発明の第9の態様は、上述の第7または第8の態様に係る力検出子において、
基板の上面に、所定の2点間の抵抗値が外力もしくは押圧力の影響を受けずに一定となる参照用抵抗体を更に設けるようにしたものである。
【0014】
(10) 本発明の第10の態様は、上述の第9の態様に係る力検出子に、所定の検出回路を付加することによって力センサを構成するようにしたものである。ここで、所定の検出回路は、
第1の抵抗体上の「第1の接触用導電体の接触位置」を挟む2点間の抵抗値と、第2の抵抗体上の「第2の接触用導電体の接触位置」を挟む2点間の抵抗値と、を比較することにより、X軸方向に作用した外力もしくは当該外力と同等の押圧力を検出する機能と、
Z軸用抵抗体上の「Z軸用接触用導電体の接触位置」を挟む2点間の抵抗値と、参照用抵抗体上の「抵抗値が外力もしくは押圧力の影響を受けずに一定」となる2点間の抵抗値と、を比較することにより、Z軸方向に作用した外力もしくは当該外力と同等の押圧力を検出する機能とを有している。
【0015】
(11) 本発明の第11の態様は、上述の第10の態様に係る力センサにおいて、
第1の抵抗体と第2の抵抗体とをX軸検出用接続点において直列接続することによりX軸検出用抵抗体を形成し、このX軸検出用抵抗体の両端に所定の電圧を印加し、X軸検出用接続点の電圧に相当する値をX軸方向に作用した外力もしくは当該外力と同等の押圧力の値として出力し、
Z軸用抵抗体と参照用抵抗体とをZ軸検出用接続点において直列接続することによりZ軸検出用抵抗体を形成し、このZ軸検出用抵抗体の両端に所定の電圧を印加し、Z軸検出用接続点の電圧に相当する値をZ軸方向に作用した外力もしくは当該外力と同等の押圧力の値として出力する検出回路を用いるようにしたものである。
【0016】
(12) 本発明の第12の態様は、上述の第4の態様に係る力検出子において、
基板の上面に配置されたZ軸用抵抗体と、作用部の下面のZ軸用抵抗体に対向する位置に配置されたZ軸用接触用導電体とを更に設け、
作用部に外力が作用していない状態では、Z軸用接触用導電体とZ軸用抵抗体とは完全に離れた状態となっており、
作用部に対して下方向への押圧力を加え、当該押圧力を徐々に増加させてゆくと、可撓部が急激に、断面逆V字型に折れ曲がる弾性変形を生じ、Z軸用接触用導電体とZ軸用抵抗体とが接触した状態となり、
作用部の下面が基板の上面に対して生じる変位に基づいて、Z軸用接触用導電体のZ軸用抵抗体に対する接触状態が変化するように構成され、Z軸用接触用導電体が、弾性変形する導電性材料から構成され、かつ、Z軸用抵抗体に対する接触状態の変化に基づいて接触面の面積が変化する形状を有しており、可撓部が前記断面逆V字型に折れ曲がる弾性変形を生じた状態における上記接触面の面積の変化に基づいて、更に、作用部に対してZ軸方向に作用した外力もしくは当該外力と同等の押圧力を検出できるようにしたものである。
【0017】
(13) 本発明の第13の態様は、上述の第12の態様に係る力検出子において、
Z軸用抵抗体およびZ軸用接触用導電体を、Z軸と交差する位置に配置するようにしたものである。
【0018】
(14) 本発明の第14の態様は、上述の第12または第13の態様に係る力検出子において、
基板の上面に、所定の2点間の抵抗値が外力もしくは押圧力の影響を受けずに一定となる参照用抵抗体を更に設けるようにしたものである。
【0019】
(15) 本発明の第15の態様は、上述の第14の態様に係る力検出子に、所定の検出回路を付加することによって力センサを構成するようにしたものである。ここで、所定の検出回路は、
第1の抵抗体上の「第1の接触用導電体の接触位置」を挟む2点間の抵抗値と、第2の抵抗体上の「第2の接触用導電体の接触位置」を挟む2点間の抵抗値と、を比較することにより、X軸方向に作用した外力もしくは当該外力と同等の押圧力を検出する機能と、
第3の抵抗体上の「第3の接触用導電体の接触位置」を挟む2点間の抵抗値と、第4の抵抗体上の「第4の接触用導電体の接触位置」を挟む2点間の抵抗値と、を比較することにより、Y軸方向に作用した外力もしくは当該外力と同等の押圧力を検出する機能と、
Z軸用抵抗体上の「Z軸用接触用導電体の接触位置」を挟む2点間の抵抗値と、参照用抵抗体上の「抵抗値が外力もしくは押圧力の影響を受けずに一定」となる2点間の抵抗値と、を比較することにより、Z軸方向に作用した外力もしくは当該外力と同等の押圧力を機能とを有している。
【0020】
(16) 本発明の第16の態様は、上述の第15の態様に係る力センサにおいて、
第1の抵抗体と第2の抵抗体とをX軸検出用接続点において直列接続することによりX軸検出用抵抗体を形成し、このX軸検出用抵抗体の両端に所定の電圧を印加し、X軸検出用接続点の電圧に相当する値をX軸方向に作用した外力もしくは当該外力と同等の押圧力の値として出力し、
第3の抵抗体と第4の抵抗体とをY軸検出用接続点において直列接続することによりY軸検出用抵抗体を形成し、このY軸検出用抵抗体の両端に所定の電圧を印加し、Y軸検出用接続点の電圧に相当する値をY軸方向に作用した外力もしくは当該外力と同等の押圧力の値として出力し、
Z軸用抵抗体と参照用抵抗体とをZ軸検出用接続点において直列接続することによりZ軸検出用抵抗体を形成し、このZ軸検出用抵抗体の両端に所定の電圧を印加し、Z軸検出用接続点の電圧に相当する値をZ軸方向に作用した外力もしくは当該外力と同等の押圧力の値として出力する検出回路を用いるようにしたものである。
【0021】
(17) 本発明の第17の態様は、上述の第1〜第16の態様に係る力検出子または力センサにおいて、
作用部の上面に操作桿を設け、この操作桿を介して与えられた外力によって作用部の下面が基板の上面に対して変位を生じるように構成し、操作桿に加えられた外力の検出ができるようにしたものである。
【0022】
(18) 本発明の第18の態様は、上述の第1〜第16の態様に係る力検出子または力センサにおいて、
作用部の上面に複数の指標を配置し、個々の指標位置に加えられた押圧力によて作用部の下面が基板の上面に対して変位を生じるように構成し、どの指標位置にどれだけの押圧力が加えられたかを検出できるようにしたものである。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示する実施形態に基づいて説明する。
【0025】
§1.基本的な実施形態に係る力検出子の構造
図1は、本発明の基本的な実施形態に係る力検出子の構造を示す側断面図である。この力検出子は、XYZ三次元座標系において作用した外力のX軸方向,Y軸方向,Z軸方向の各成分をそれぞれ独立して検出する機能を有しており、主たる構成要素は、図示のとおり、基板110、変位生成体120、固定部材130である。ここでは、説明の便宜上、基板110の上面のほぼ中心位置に、XYZ三次元座標系の原点Oを定義し、基板110の上面がXY平面に沿って配置されているものとする。図1に示す座標系では、図の右方向にX軸、図の上方向にZ軸、紙面に垂直下方にY軸が定義されている。
【0026】
基板110は、上述のとおり、XY平面に沿った上面を有する平板状の剛体からなる基板であり、この実施形態では、ガラスエポキシ基板が用いられている。本発明を実施する上で、基板110の材質は特に限定されるものではなく、後述する力の作用を受けても変形しないだけの十分な剛性を有する基板であれば、どのようなものを用いてもかまわない。ただし、上面には互いに電気的に独立した複数の抵抗体を形成する必要があるため、少なくとも抵抗体の形成面には絶縁性をもたせておく必要がある。したがって、実用上は、絶縁性材料からなるガラスエポキシ基板、ポリイミド基板、ガラス基板などを用いるのが好ましい。もちろん、金属板を基板110として用いることも可能であるが、この場合、少なくとも上面の抵抗体形成部分には、絶縁膜を形成する必要がある。
【0027】
図2は、この基板110の上面図であり、一点鎖線の矩形は、この上に配置される変位生成体120の位置を示している。図1に示されている基板110の断面は、図2に示す基板110をX軸に沿って切断した断面である。基板110の上面は、XYZ三次元座標系のXY平面に含まれ、その中心に原点Oが定義されている。図示の通り、この基板110の上面には、6つの抵抗体R1〜R6が形成されている。これらの抵抗体R1〜R6は、この実施形態の場合、いずれも平板状のカーボンからなる抵抗体である。本発明に用いる抵抗体は、後述する測定に適した抵抗値を有する材質であれば、どのような材質のものを用いてもよく、また、どのような形状のものを用いてもよいが、実用上は、カーボンなどの材料を用いて、基板110の上面に印刷により形成することができる平板状の抵抗体を用いるのが好ましい。
【0028】
ここで、重要な点は、これら抵抗体R1〜R6の配置である。図示のとおり、第1の抵抗体R1は基板110の上面のX軸正領域に配置されており、第2の抵抗体R2は基板110の上面のX軸負領域に配置されており、第3の抵抗体R3は基板110の上面のY軸正領域に配置されており、第4の抵抗体R4は基板110の上面のY軸負領域に配置されている。これら4枚の抵抗体R1〜R4は、いずれも同一の大きさをもった長方形状をしており、X軸もしくはY軸に関して線対称となるように配置されている。また、原点Oと各抵抗体R1〜R4との距離も同一となるように配置されている。後述するように、第1の抵抗体R1および第2の抵抗体R2は、作用した外力のX軸方向成分の検出に用いられ、第3の抵抗体R3および第4の抵抗体R4は、作用した外力のY軸方向成分の検出に用いられる。
【0029】
一方、第5の抵抗体R5および第6の抵抗体R6は、互いに同一の大きさをもった正方形状をした平板状抵抗体である。ここで、第5の抵抗体R5は、その中心点が原点Oの位置にくるように配置されているのに対して、第6の抵抗体R6は、これら抵抗体群の右下あたりに配置されている。後述するように、第5の抵抗体R5および第6の抵抗体R6は、作用した外力のZ軸方向成分の検出に用いられる。ただし、Z軸方向成分の本来の検出値は第5の抵抗体R5から得られ、第6の抵抗体R6は、標準となる抵抗値の参照用として用いられるにすぎない。したがって、ここでは、第5の抵抗体R5を「Z軸用抵抗体」と呼び、第6の抵抗体R6を「参照用抵抗体」と呼ぶことにする。Z軸用抵抗体R5は、原理的には、基板110の上面のどの位置に配置してもかまわないが、検出感度を高める上では、原点Oの位置(Z軸に交差する位置)に配置するのが好ましい。これは、本実施形態に係る変位生成体120の構造上、その中心部分(Z軸に交差する部分)における変位が最も大きくなるためである。これに対して、参照用抵抗体R6は、単に抵抗値を参照するために利用される抵抗体であるので、基板110上の任意の位置に配置してかまわない。
【0030】
一方、変位生成体120は、この基板110の上面に配置される部材である。この変位生成体120の上面図を図3に、下面図を図4にそれぞれ示す。図3および図4に示す変位生成体120をX軸に沿って切断した断面が、図1に示されていることになる。図1に示されているように、変位生成体120は、内側に位置する円盤状の作用部121と、その周囲の可撓部122と、外側の固定部123と、を有し、更に、作用部121の上面中央部には、Z軸を中心軸とした円柱状の操作桿125が形成されている。図1の側断面図に示されているように、変位生成体120の上面には、作用部121、可撓部122、固定部123による段差構造が形成されており、下面には、空洞部Vが形成されている。変位生成体120の上面は必ずしもこのような段差構造にする必要はないが、図示の例の場合、作用部121と可撓部122との間の段差構造は、可撓部122の肉厚を薄くするために貢献している。すなわち、作用部121の肉厚に対して、可撓部122の肉厚を薄く設定することにより、可撓部122に可撓性をもたせている。また、可撓部122と固定部123との間の段差構造は、固定部123を固定部材130によって固定するための便宜である。
【0031】
本発明における変位生成体120には、このように、作用部121、可撓部122、固定部123の3つの部分を設ける必要がある。ここで、作用部121は、基板110の上方に配置され、外力の作用により変位を生じるような構造をもっていれば、基本的にはどのような形態のものでもかまわないが、後述するように、その下面には複数の接触用導電体を所定位置(各抵抗体に対向する位置)に取り付ける必要があるので、この接触用導電体の取り付けに適した下面を有する盤状形態とするのが好ましい。作用部121は完全な剛体である必要はないが、可撓部122に比べれば、ある程度の剛性を有するのが好ましく、この実施形態では、可撓部122の肉厚に比べて、作用部121の肉厚を厚くすることによりある程度の剛性をもたせるようにしている。
【0032】
固定部123は、変位生成体120を基板110に固定するための部分であり、図示の例では、固定部123の下面が基板110の上面に直接接触した状態となっている。固定部材130は、固定部123を基板110に固定する機能を果たす部材であり、基板110および変位生成体120をその外周部分から取り巻く構造を有し、固定部123の上面と基板110の下面とを挟持した状態を保つ。なお、固定部123は、必ずしも基板110に直接固定する必要はなく、固定部123と基板110との間に、何らかの中間部材を介して間接的に固定するようにしてもかまわない。
【0033】
可撓部122は、作用部121と固定部123との間に形成され、可撓性をもった部分である。この可撓部122が可撓性を有しているため、作用部121に外力が作用すると、可撓部122に撓みが生じ、作用部121が基板110に対して変位を生じることになる。外力は、実際には操作桿125に対して与えられる。たとえば、この力検出子をコンピュータゲーム用のジョイスティックの部品として利用するのであれば、操作者が操作桿125を操作することにより与えられる外力は、操作桿125から作用部121を介して可撓部122へと伝達され、可撓部122がこの外力に応じた撓みを生じ、作用部121が変位することになる。可撓部122の可撓性の程度は、操作者の加える力の大きさと作用部121に生じる変位の大きさとの関係を定めるパラメータとなる。なお、図示の例では、空洞部Vの外形を矩形にしているが、空洞部Vの外形を円形にしてもよい。この場合、可撓部122は円環状(ドーナツ状)になる。
【0034】
この実施形態では、絶縁性シリコンゴムを一体成型することにより、変位生成体120の全体を構成しており、作用部121、可撓部122、固定部123、操作桿125はいずれも絶縁性シリコンゴムから構成されている。本発明に用いる変位生成体120では、少なくとも可撓部122が可撓性をもっていればよいので、変位生成体120の各部をそれぞれ異なる材質で構成することも可能である。ただし、製造コストを低減する上では、変位生成体120の全体を絶縁性シリコンゴムなどの同一材料による一体成型品で構成するのが好ましい。
【0035】
図3の上面図に破線で示す部分は、変位生成体120の下面に形成された空洞部Vである。図4の下面図に示すように、この空洞部Vの内側には、5つの接触用導電体C1〜C5が収容されている。接触用導電体C1〜C5は、いずれも椀状(より正確に言えば、接触用導電体C1〜C4は半球状、接触用導電体C5は半楕円体状)をしており、弾性変形する導電性材料によって構成されている。ここでは、弾性変形する導電性材料として、導電性シリコンゴムを用いており、接触用導電体C1〜C5は、いずれも導電性シリコンゴムを椀状に成型し、変位生成体120の下面に接着したものである。ここで、これら接触用導電体C1〜C5の配置は重要である。すなわち、接触用導電体C1〜C5は、それぞれ抵抗体R1〜R5に対向する位置に配置されている。図1の側断面図には、接触用導電体C1,C2,C5が、それぞれ抵抗体R1,R2,R5に対向する位置に配置されている様子が明瞭に示されている。この実施形態では、何ら外力が作用しない状態において、各接触用導電体C1〜C5がその下端点において、各抵抗体R1〜R5の上面にほぼ点接触するような状態となるように、両者の距離が設定されている。なお、参照用抵抗体R6に対向する位置には、何ら接触用導電体は設けられていない。これは、前述したように、参照用抵抗体R6が抵抗値を参照するために利用される抵抗体であるためである。
【0036】
上述したように、操作桿125に外力が作用すると、可撓部122に撓みが生じ、作用部121の下面が基板110の上面に対して変位を生じることになる。このような変位が生じると、各接触用導電体の各抵抗体に対する接触状態が変化する。より具体的には、各接触用導電体の各抵抗体に対する接触面の面積が変化することになる。本発明に係る力検出子の基本原理は、このような接触面の面積を抵抗体の抵抗値の変化として検出し、作用した外力の大きさを求めようとする点にある。以下、作用した外力の各座標軸方向成分を検出する基本原理を述べる。
【0037】
§2.基本的な実施形態に係る力検出子の動作原理
いま、図5(a) の側断面図に示されているように、基板110の上面に1枚の抵抗体Rが形成され、作用部121の下面に半球状の接触用導電体Cが形成されているものとしよう。このとき、接触用導電体Cは、その下端点において、抵抗体Rの中心にほぼ点接触している状態であるとする。図5(b) は、このときの抵抗体Rの上面図であり、中心位置に示す黒丸Sは、接触用導電体Cの接触面を示している。このように、接触用導電体Cの下端点が抵抗体Rの表面にほぼ点接触している状態では、接触面Sは点に近い微小円となる。
【0038】
さて、ここで、図5(b) に示すように、抵抗体Rの左右両端から配線を引き出し、これらの配線の端部に端子T1,T2を接続し、この両端子T1,T2間の抵抗値を測定してみたとする。別言すれば、抵抗体R上の「接触用導電体Cの接触位置(接触面S)」を挟む2点間の抵抗値が測定されることになる。この場合、接触面Sは点に近い微小円であるため、測定される抵抗値に、接触用導電体Cはほとんど影響を及ぼすことはなく、測定により得られる抵抗値は、抵抗体Rがもっている本来の抵抗値に近い値ということになる。図5(c) は、このような測定系の等価回路である。接触用導電体Cから下方に伸びた矢印は抵抗体Rの中央の点に接触しているだけであり、両端子T1,T2間には、抵抗体Rの本来の抵抗値が現れるだけである。
【0039】
これに対して、図6(a) の側断面図に示されているように、作用部121に対して、図の下方への力−Fz(−Z軸方向への力)が加わった場合を考えてみる。この場合、作用部121の下面が下方へ変位することになり、接触用導電体Cに対して、−Z軸方向の押圧力が加わる。接触用導電体Cは、弾性変形する導電性材質(この例の場合、導電性シリコンゴム)から構成されているため、この押圧力により図のように押し潰された状態となり、抵抗体Rに対する接触状態が変化する。接触用導電体Cの形状は、このような接触状態の変化に基づいて接触面の面積が変化する形状(この例では、半球状)となっているため、図示のように、接触用導電体Cが上下方向に潰れた状態になると、接触面の面積が増加する。図6(b) は、このときの抵抗体Rの上面図であり、円Sは、接触用導電体Cの接触面を示している。なお、この円Sの内部に描かれている同心円は、抵抗体Rの表面に加わる圧力分布を示す等圧線である。すなわち、接触圧は円Sの中心ほど大きくなる。
【0040】
このように接触用導電体Cの接触面が大きくなると、両端子T1,T2間の抵抗値に変化が生じることになる。すなわち、接触用導電体Cは導電体であり、抵抗体Rよりもはるかに電流を流しやすい性質をもっているため、両端子T1,T2間を流れる電流は、円Sで示される接触面の部分においては、抵抗体R内を通らずに、接触用導電体C内を迂回してしまうことになる。図6(c) は、このような測定系の等価回路である。接触用導電体Cから下方に伸びた2本の矢印は抵抗体Rの2か所に接触しており、この2か所において電流は接触用導電体C側へと迂回することになる。2本の矢印の間隔は、接触用導電体Cの接触面の大きさに応じて広くなる。結局、接触用導電体Cの抵抗体Rに対する接触面の面積が大きくなればなるほど、両端子T1,T2間の抵抗値は減少することになる。
【0041】
このようにして、作用部121に作用した外力−Fzが大きくなればなるほど、接触用導電体Cの接触面の面積は大きくなり、両端子T1,T2間の抵抗値は小さくなる。作用した外力と両端子間の抵抗値との間には、必ずしも線形関係は成り立たないが、両者間には一価の関数関係が成り立ち、両端子間の抵抗値を測定することができれば、作用した外力の大きさを求めることができる。これが、本発明に係る力検出子における力検出の基本原理である。
【0042】
続いて、§1で述べた実施形態の力検出子により、作用した外力のX軸,Y軸,Z軸の各方向成分を検出できる理由を説明する。まず、図1に示す力検出子における操作桿125に対して、斜め右下方向への外力Fが作用した場合を考える。この力検出子がジョイスティックとして用いられている場合、操作者が操作桿125を斜め右方向に傾ける操作を行うと、このような外力Fが作用することになる。図7の側断面図は、このような外力Fが作用したときの作用部121の変位状態を示している。外力Fが加わると、可撓性をもった可撓部122が撓みを生じることになるが、外力Fが斜め右下方向への力であるため、図示のように、円盤状の作用部121は右下方向に傾斜するように変位する。外力Fを各座標軸方向の力成分に分解すると、図の下方への力−Fz(−Z軸方向の力)と図の右方への力+Fx(+X軸方向の力)とに分けることができる。ここでは、これらの各成分のうち、+X軸方向の成分+Fxを検出する原理を述べることにする。
【0043】
なお、外力Fを座標系の原点Oに作用する力としてとらえると、実際には、+X軸方向の力成分+Fxは、Y軸まわりのモーメントということになるが、操作者が操作桿125に与える力としてとらえれば、+X軸方向の力成分+Fxは、あくまでも+X軸方向を向いた力である。このように、力とモーメントとは、実質的には同じ物理量を示すものであり、本明細書では、以下、力というとらえ方に統一した説明を行うことにする。
【0044】
さて、+X軸方向の成分+Fxを含む外力Fが加わると、図7に示されているように、円盤状の作用部121は右下方向に傾斜するように変位する。したがって、X軸上に配置された接触用導電体C1とC2とについての潰れ具合を比較すると、C2に比べてC1の方の潰れ具合の方が大きくなる。このため、C1のR1に対する接触面積は、C2のR2に対する接触面積よりも大きくなる。そこで、たとえば、図7における抵抗体R1,R2のそれぞれ両端位置の抵抗値を測定したとすれば、抵抗体R1についての抵抗値の方が抵抗体R2についての抵抗値よりも小さくなる。両抵抗値の差が大きければ大きいほど、作用した外力のX軸方向成分は大きいことになる。
【0045】
上述の例とは逆に、操作者が操作桿125を斜め左下方向に傾ける操作を行うと、図の下方への力−Fz(−Z軸方向の力)と図の左方への力−Fx(−X軸方向の力)とを合成した外力Fが作用することになり、円盤状の作用部121は左下方向に傾斜するように変位する。このため、C2のR2に対する接触面積が、C1のR1に対する接触面積よりも大きくなる。その結果、抵抗体R2についての抵抗値の方が抵抗体R1についての抵抗値よりも小さくなる。結局、X軸正領域に配置された第1の抵抗体R1についての「第1の接触用導電体C1の接触位置」を挟む2点間の抵抗値と、X軸負領域に配置された第2の抵抗体R2についての「第2の接触用導電体C2の接触位置」を挟む2点間の抵抗値と、を比較することにより、作用した外力のX軸方向成分を検出することが可能になる。すなわち、両抵抗値の大小関係により、力の向き(+X軸方向か、−X軸方向か)を認識することができ、両抵抗値の差により、力の大きさを認識することができる。
【0046】
作用した外力のY軸方向成分の検出原理は、上述したX軸方向成分の検出原理と全く同じである。基板110上には、図2に示すように、6つの抵抗体R1〜R6が配置されている。X軸方向成分の検出には、上述したように、X軸正領域に配置された第1の抵抗体R1とX軸負領域に配置された第2の抵抗体R2と、これらに対向する位置に配置された第1の接触用導電体C1および第2の接触用導電体C2とを用いた。これに対して、Y軸方向成分の検出には、Y軸正領域に配置された第3の抵抗体R3とY軸負領域に配置された第4の抵抗体R4と、これらに対向する位置に配置された第3の接触用導電体C3および第4の接触用導電体C4とを用いればよい。
【0047】
一方、作用した外力のZ軸方向成分の検出原理は、上述したX軸方向成分やY軸方向成分の検出原理とは若干異なる。X軸方向やY軸方向についての検出を行うには、原点Oの両側に配置された一対の抵抗体についての抵抗値を比較する必要があったのに対し、Z軸方向についての検出は、単一の抵抗体についての抵抗値を測定するだけでも行うことが可能である。また、Z軸方向の検出に用いる抵抗体の配置も、特定の位置に限定されるものではなく、基板110の上面の任意の位置に配置された抵抗体によって、作用した力のZ軸方向成分を検出することができる。たとえば、図7では、外力FのX軸方向成分+Fxを検出する原理を説明したが、この外力Fには、Z軸方向成分−Fzも含まれており、接触用導電体C1を上下方向に潰す力は、このZ軸方向成分−Fzの作用に他ならない。別言すれば、抵抗体C1についての抵抗値が減少した直接的な理由は、Z軸方向成分−Fzが作用したためであり、この抵抗体C1についての抵抗値の減少量は、第一義的には、抵抗体C1に作用したZ軸方向成分の力の大きさを示していることになる。前述の原理でX軸方向成分+Fxを検出することができたのは、図の左右に配置された接触用導電体C1,C2に加わるZ軸方向の力が、左右でアンバランスになることを利用したためである。
【0048】
してみると、抵抗体R1についての抵抗値に基づいてZ軸方向の力成分を検出することも可能である。同様に、抵抗体R2,R3,R4のいずれを用いても、Z軸方向の力成分を検出することが可能である。ただ、実用上は、最も効率良い検出を行うことができる位置に、Z軸方向の力成分を検出するための専用の抵抗体を配置するのが好ましい。そこで、本実施形態では、図2の上面図に示されているように、原点O上に配置された第5の抵抗体R5を、Z軸用抵抗体として用いるようにし、その上方にZ軸用接触用導電体C5を配置するようにしている。すなわち、Z軸用抵抗体R5およびZ軸用接触用導電体C5は、いずれもZ軸上に配置されることになる。図1において、操作桿125に−Z軸方向の力−Fzが加えられると、Z軸用抵抗体R5に点接触するように配置されていたZ軸用接触用導電体C5は押し潰され、接触状態に変化が生じる。すなわち、図6(a) に示すように、接触面積が増加することになる。ここで、Z軸用抵抗体R5上の「Z軸用接触用導電体C5の接触位置」を挟む2点間の抵抗値を測定すれば、測定される抵抗値は、Z軸用接触用導電体C5の接触面積が増加すると減少する関係になるので、測定された抵抗値に基づいて、作用した−Z軸方向の力−Fzを求めることができる。
【0049】
なお、この力検出子をジョイスティックなどに利用する場合、操作者が操作桿125に加える操作により発生するZ軸方向の力は、通常、−Z軸方向の力−Fz(図1における下方向への力)となるため、+Z軸方向の力+Fz(図1における上方向への力)を測定する必要はない。ただ、操作桿125を上方へ引っ張り上げるような力が加わるような環境でこの力検出子を利用する場合は、+Z軸方向の力+Fzを測定できる構成にしておく必要がある。実は、図1に示す構成では、+Z軸方向の力+Fzを測定することはできない。既に§1で述べたように、図1に示す実施形態では、何ら外力が作用しない状態において、各接触用導電体C1〜C5がその下端点において、各抵抗体R1〜R5の上面にほぼ点接触するような状態となるように、両者の距離が設定されている。このような構成において、操作桿125を上方へ引っ張り上げるような力が加わると、各接触用導電体C1〜C5は各抵抗体R1〜R5の上面から浮き上がり、非接触の状態となってしまう。したがって、+Z軸方向の力+Fzが作用しても、各抵抗体R1〜R5についての抵抗値には何ら変化は生じないことになる。
【0050】
+Z軸方向の力+Fzが作用した場合にも、これを検出することができるような構成にするためには、何ら外力が作用しない状態においても、各接触用導電体C1〜C5がある程度の押圧力をもって各抵抗体R1〜R5の上面に面接触するような状態となるようにしておけばよい。このような構成にしておけば、+Z軸方向の力+Fzが作用すると、抵抗体に対する接触面積の減少が生じることになり、抵抗体についての抵抗値の増加という形で作用した力を検出することができるようになる。
【0051】
このように、Z軸方向成分の検出は、単一のZ軸用抵抗体R5のみを用いても行うことができるが、実用上は、参照用抵抗体R6を利用した検出を行うのが好ましい。その理由は、一般的な抵抗体は、種々の環境要素によって、それ自身の抵抗値が変化する性質をもっているためである。たとえば、経年変化により化学的な組成に変化が生じれば、抵抗値が変化することになる。実用上、最も大きな影響を与える環境要素は温度である。一般的な抵抗体の抵抗値は、温度に依存して変化する。したがって、Z軸用抵抗体R5についての抵抗値のみに基づいて、作用した力のZ軸方向成分の検出を行うと、検出値は温度の影響を多分に受けることになり、正確な検出結果を得ることができなくなる。前述したX軸方向成分やY軸方向成分の場合、一対の抵抗体についての抵抗値の差分に基づく検出が行われるため、このような温度による影響は相殺される。そこで、Z軸方向成分の検出を行う際にも、参照用抵抗体R6の抵抗値を参照した検出を行うようにすれば、温度による影響を相殺することができる。
【0052】
図2に示す例の場合、Z軸用抵抗体R5と参照用抵抗体R6とは、幾何学的に合同な形状をもった抵抗体であり、温度などの環境による抵抗値の変化は同等になる。両者の相違点は、外力の作用により抵抗値が変化するか否かという点だけである。すなわち、Z軸用抵抗体R5は、所定の2点(Z軸用接触用導電体C5の接触位置を挟む2点)間の抵抗値が、外力の作用によって変化する抵抗体であるのに対し、参照用抵抗体R6は、所定の2点間の抵抗値は、外力の影響を受けずに一定(これは、外力の影響に関しては抵抗値が変化ないという意味であり、温度等の影響に関しては、当然、抵抗値は変化する。)となる抵抗体である。したがって、両者の抵抗値の差を検出するようにすれば、この差には、外力の作用に基づく因子のみが含まれることになり、温度などの環境因子を除外することができる。
【0053】
以上、図1に示す実施形態に係る力検出子を用いて、操作桿125に作用した外力FのX軸,Y軸,Z軸の各方向成分を検出する原理を説明した。このように、図1に示す力検出子は、三次元の各座標軸方向成分の力を検出することができる三次元力検出子である。この三次元力検出子では、図2に示す各抵抗体R1〜R6および図4に示す各接触用導電体C1〜C5が、それぞれ特定の座標軸方向成分の力検出を分担して受け持っている。すなわち、抵抗体R1,R2および接触用導電体C1,C2はX軸方向成分の検出を受け持ち、抵抗体R3,R4および接触用導電体C3,C4はY軸方向成分の検出を受け持ち、Z軸用抵抗体R5,参照用抵抗体R6,Z軸用接触用導電体C5は、Z軸方向成分の検出を受け持っている。
【0054】
したがって、二次元の各座標軸方向成分の力を検出することができる二次元力検出子や、一次元の座標軸方向成分の力を検出することができる一次元力検出子を構成するのであれば、上述した抵抗体や接触用導電体のうち、検出に必要なもののみを用いればよいことになる。たとえば、X軸方向成分の力を検出する一次元力検出子を実現するには、抵抗体R1,R2と接触用導電体C1,C2とを用いれば十分である。また、X軸方向成分とY軸方向成分とを検出する二次元力検出子を実現するには、抵抗体R1,R2,R3,R4と接触用導電体C1,C2,C3,C4とを用意すれば十分であり、X軸方向成分とZ軸方向成分とを検出する二次元力検出子を実現するには、抵抗体R1,R2,R5,R6と接触用導電体C1,C2,C5とを用意すれば十分である。
【0055】
§3.力センサとしての検出回路
これまで、本発明の基本的な実施形態に係る力検出子の構成および動作原理を述べた。このような力検出子を利用して実際の力センサを構成するためには、この力検出子に所定の検出回路を付加する必要がある。ここでは、このような検出回路の実用に適した例を述べることにする。図8(a) ,(b) ,(c) は、このような検出回路の一例を示す回路図である。
【0056】
まず、図8(a) に示す回路は、抵抗体R1,R2を用いて力のX軸方向成分の検出値を出力端子Txに出力する検出回路である。この検出回路では、第1の抵抗体R1と第2の抵抗体R2とを、X軸検出用接続点Jxにおいて直列接続することによりX軸検出用抵抗体が形成されている。第1の抵抗体R1あるいは第2の抵抗体R2の両端点としては、図5(b) に示すように、長方形状をした抵抗体の左右の両短辺上の中央点をとっており、電流が図の左右方向に流れるようにしている。もちろん、各抵抗体Rの両端点としては、接触用導電体Cの接触位置を挟むような2点であれば、どのような端点をとってもかまわないので、たとえば、図5(b) において、長方形状をした抵抗体の上下の両長辺上の中央点をとり、電流が図の上下方向に流れるようにしてもよい。
【0057】
図8(a) の回路では、第1の抵抗体R1と第2の抵抗体R2との直列接続によって構成されるX軸検出用抵抗体は、上端が電源Vccに接続され、下端が接地されており、両端に一定の電源電圧Vccが印加された状態となっている。ここで、出力端子Txに出力される電圧は、X軸検出用接続点Jxにおける電圧であり、電源電圧Vccを、第1の抵抗体R1についての抵抗値と第2の抵抗体R2についての抵抗値とで按分した値に相当する。§2で述べたように、+X軸方向の力+Fxが加わると、第2の抵抗体R2についての抵抗値に比べて、第1の抵抗体R1についての抵抗値が減少する。したがって、出力端子Txに出力される電圧は上昇することになる。逆に、−X軸方向の力−Fxが加わると、出力端子Txに出力される電圧は下降することになる。結局、何ら外力が作用していない状態で出力端子Txに出力される電圧値(理論的には、Vcc/2になる)を基準として、この電圧値が上昇した場合には、この上昇幅に相当する大きさをもった+X軸方向の力+Fxが作用したことになり、この電圧値が下降した場合には、この下降幅に相当する大きさをもった−X軸方向の力−Fxが作用したことになる。このように、図8(a) の検出回路を用いれば、出力端子Txの出力電圧に基づいて、作用した外力のX軸方向成分の検出が可能になる。
【0058】
次に、図8(b) に示す回路は、抵抗体R3,R4を用いて力のY軸方向成分の検出値を出力端子Tyに出力する検出回路である。この検出回路では、第3の抵抗体R3と第4の抵抗体R4とを、Y軸検出用接続点Jyにおいて直列接続することによりY軸検出用抵抗体が形成されている。第1の抵抗体R1あるいは第2の抵抗体R2の両端点としては、接触用導電体Cの接触位置を挟むような2点であれば、どのような端点をとってもかまわない。この図8(b) の回路においても、第3の抵抗体R3と第4の抵抗体R4との直列接続によって構成されるY軸検出用抵抗体は、上端が電源Vccに接続され、下端が接地されており、両端に一定の電源電圧Vccが印加された状態となっている。この検出回路における出力端子Tyの出力電圧に基づいて、作用した外力のY軸方向成分の検出が可能になる原理は、図8(a) の検出回路によるX軸方向成分の検出原理と同様である。
【0059】
一方、図8(c) に示す回路は、抵抗体R5,R6を用いて力のZ軸方向成分の検出値を出力端子Tzに出力する検出回路である。この検出回路では、Z軸用抵抗体R5と参照用抵抗体R6とを、Z軸検出用接続点Jzにおいて直列接続することによりZ軸検出用抵抗体が形成されている。Z軸用抵抗体R5の両端点としては、Z軸用接触用導電体C5の接触位置を挟むような2点であれば、どのような端点をとってもかまわない。また、参照用抵抗体R6の両端点としては、Z軸用抵抗体R5の両端点と同等の位置をとればよい。
【0060】
この図8(c) の回路においても、Z軸用抵抗体R5と参照用抵抗体R6との直列接続によって構成されるZ軸検出用抵抗体は、上端が電源Vccに接続され、下端が接地されており、両端に一定の電源電圧Vccが印加された状態となっている。ここで、出力端子Tzに出力される電圧は、Z軸検出用接続点Jzにおける電圧であり、電源電圧Vccを、Z軸用抵抗体R5についての抵抗値と参照用抵抗体R6についての抵抗値とで按分した値に相当する。§2で述べたように、Z軸用抵抗体R5についての抵抗値は、Z軸方向の力の作用により増減する。これに対して、参照用抵抗体R6についての抵抗値は、力の作用とは無関係に一定である(もちろん、温度などの影響で変化するが、この変化はZ軸用抵抗体R5についても同様であり相殺される)。たとえば、−Z軸方向の力−Fzが加わると、Z軸用接触用導電体C5の接触面積が増加し、Z軸用抵抗体R5についての抵抗値は減少することになる。その結果、出力端子Tzの出力電圧は上昇する。また、+Z軸方向の力+Fzについても検出可能な構成をもった力検出子を利用すれば、+Z軸方向の力+Fzが加わると、Z軸用接触用導電体C5の接触面積が減少し、Z軸用抵抗体R5についての抵抗値は増加することになる。その結果、出力端子Tzの出力電圧は下降する。このように、図8(c) の検出回路を用いれば、出力端子Tzの出力電圧に基づいて、作用した外力のZ軸方向成分の検出が可能になる。
【0061】
このように、§1で述べた三次元力検出子に、図8(a) ,(b) ,(c) に示す検出回路を付加すれば、XYZ三次元座標系において作用した外力FのX軸,Y軸,Z軸の各方向成分を独立して検出する機能をもった三次元力センサを構成することができる。もちろん、一次元力センサあるいは二次元力センサを構成する場合には、図8に示す3つの検出回路の中から、検出成分に応じて必要な検出回路だけを用いればよい。
【0062】
§4.種々の変形例
続いて、本発明に係る力検出子あるいは力センサの変形例をいくつか述べておく。
【0063】
(1) 操作時にクリック感をもたせる変形例
図9に側断面図を示す変形例は、基本的には、図1に示す実施形態と同様である。すなわち、基板210の上に変位生成体220が配置され、両者がその周囲において固定部材230によって固定されている。変位生成体220が、作用部221、可撓部222、固定部223の3つの部分を有する点も同様であり、基板210の上面に6つの抵抗体R1〜R6が配置され、作用部221の下面に5つの接触用導電体C1〜C5が配置されている点も同様である。ただし、図9の力検出子における可撓部222は、図1の力検出子における可撓部122に比べて肉厚がかなり薄く、上方へと伸びるような構造となっている。このため、外力が作用していない状態では、基板210の上面と、作用部221の下面との距離はかなり大きくなっており、接触用導電体C1〜C5は、抵抗体R1〜R5から完全に離れた状態となっている。
【0064】
また、作用部221の上面には、操作桿のようなものは設けられておらず、操作者は、指で作用部221の上面を直接押し込むような操作を行うことになる。図10は、図9に示す力検出子において、操作者が、作用部221の上面を直接押し込む操作を行ったときの状態を示す側断面図である。肉厚の薄い可撓部222は、断面が逆V字型に折れ曲がった状態となっている。図9に示す状態において、作用部221に対する下方向への押圧力を徐々に増加させてゆくと、可撓部222が急激に逆V字型に折れ曲がる弾性変形を生じ、図10に示す状態となる。このため、操作者の指には、クリック感が伝わることになり、確実に操作入力が行われたことを触覚で認識することができる。
【0065】
(2) 個々の指標位置を押圧操作する変形例
図11に側断面図を示す変形例も、基本的には、図1に示す実施形態と同様である。すなわち、基板310の上に変位生成体320が配置されており、変位生成体320は、作用部321、可撓部322、固定部323の3つの部分を有している。また、基板310の上面に6つの抵抗体R1〜R6が配置され、作用部321の下面に5つの接触用導電体C1〜C5が配置されている。ただし、図1の実施形態のような固定部材は設けられておらず、固定部323の底面が、基板310の上面周囲部分に直接接合されている。図12は、変位生成体320の上面図である。作用部321は円盤状をしており、その周囲に掘られた円周状の溝Gによって、肉厚の薄い可撓部322が形成されている。固定部323は、この溝Gの外側の部分である。また、接触用導電体C1〜C5は、抵抗体R1〜R5から完全に離れた状態となっている。
【0066】
この図11に示す変形例の場合も、作用部321の上面に、操作桿のようなものは設けられていない。操作者は、指で作用部321の上面を直接押し込むような操作を行うことになる。ただ、ここで述べる変形例の場合、図12の上面図に示されているように、円盤状の作用部321の上面に複数の指標M1〜M5が配置されている。すなわち、指標M1〜M4は、それぞれ図の右左上下の方向を示す三角形状の指標であり、指標M5は中央位置を示す正方形状の指標である。これらの指標は、作用部321の上面にエンボス加工により形成してもよいし、印刷により形成してもよい。
【0067】
このような指標を設けておくと、図1に示す力検出子のように操作桿を有する力検出子とは若干異なる操作入力を行うのに便利である。すなわち、図1に示す力検出子では、操作者は操作桿125を種々の方向に動かす操作入力を与えることになるが、ここで述べる変形例の場合、操作者は、図12に示す5つの指標位置のいずれかに対して押圧力を加えることにより操作入力を与えることができる。たとえば、図12の指標M1の位置を指で押し込むような操作入力を行うと、図11の側断面図において、円盤状の作用部321が右下方向に傾斜することになり、第1の接触用導電体C1が第1の抵抗体R1に接触することになる。この状態は、前述した実施形態に係る力検出子において、+X軸方向成分の力が作用した場合と等価である。同様に、図12の指標M2,M3,M4,M5の位置を指で押し込むような操作入力は、前述した実施形態に係る力検出子において、それぞれ、−X軸方向成分の力が作用した場合,+Y軸方向成分の力が作用した場合,−Y軸方向成分の力が作用した場合,−Z軸方向成分の力が作用した場合と等価である。
【0068】
結局、この図11および図12に示す変形例に係る力検出子に、図8に示すような検出回路を付加して力センサを構成すれば、検出回路の出力に基づいて、どの指標位置にどれだけの押圧力が加えられたかを検出することができるようになる。もちろん、図9および図10に示す変形例についても、円盤状の作用部221の上面に複数の指標を設けることができ、各指標に加えられた押圧力を検出する力センサとして機能させることができる。このように、本発明に係る力検出子もしくは力センサは、ある特定の座標軸方向に作用した外力を検出するだけでなく、このような外力と同等の変位を作用部に生じさせる押圧力の検出を行うことも可能である。コンピュータゲーム用の入力機器としては、図1の実施形態に示すように、操作桿125を有するジョイスティックタイプのものだけではなく、図11および図12に示す変形例のように、円盤状のパッド(作用部321)の上下左右あるいは中央を押圧操作するタイプのものも利用されており、本発明に係る力検出子は、いずれのタイプにも適用可能である。
【0069】
(3) 接触用導電体の形状に関する変形例
これまで述べた実施形態では、接触用導電体C1〜C5は、いずれも椀状形態をしていたが、接触用導電体は、弾性変形する導電材料から構成され、かつ、抵抗体に対する接触状態の変化(接触圧力の変化)に基づいて接触面の面積が変化する形状をしているものであれば、どのようなものでもかまわない。椀状形態をした接触用導電体の場合、接触面はほぼ円形となり、接触圧力が大きくなるほど、接触面はより径の大きな円になるが、接触面は必ずしも円形にする必要はない。
【0070】
図13(a) は、くさび型の接触用導電体Cを抵抗体Rの上面に接触させた状態を示す斜視図であり、図13(b) は、基板110の上面に形成された抵抗体Rと、作用部121の下面に形成されたくさび型の接触用導電体Cとの接触状態を示す側断面図である。接触用導電体Cに対して、下方向に向けた押圧力が加わると、この押圧力の大きさに応じて接触面積は大きくなる。図13(c) は、抵抗体Rの上面図であり、所定の押圧力が加わったときの接触面Sが示されている。端子T1,T2は、この抵抗体Rについての抵抗値を測定するための端子である。接触面Sは、図示のとおり矩形状になる。ここで、矩形状の接触面S内の縦線は、この接触面内の等圧線を示している。
【0071】
くさび型の接触用導電体Cを用いるメリットは、抵抗体Rに対する接触位置が変化しても、実効接触面積に変化が生じないという点である。たとえば、図9に示すような変形例の場合、可撓部222がかなり長いため、図10に示すように、作用部221が図の下方に変位したときに、作用部221が図の左右方向にも変位を生じ、接触用導電体Cの抵抗体Rに対する接触位置が大きくずれる可能性がある。このとき、椀状の接触用導電体Cの場合、接触面が円になるため、実効接触面積が変化してしまうおそれがある。たとえば、図6(b) に示す例では、接触位置が抵抗体Rの中心位置となっているため、接触面Sが抵抗体Rの輪郭内に収まっているが、接触位置がずれた場合、接触面Sの一部が抵抗体Rの輪郭外へはみ出してしまい、実効接触面積が本来のものより減少してしまうことになる。このように、接触位置の変化により、実効接触面積が変化すると、正しい検出値を得ることができなくなる。
【0072】
図13(a) に示すように、抵抗体Rの幅drに対して、十分に余裕のある幅dcをもったくさび型の接触用導電体Cを用いれば、図13(c) に示すように、同一の押圧力で接触したときの接触面Sは、常に同一の大きさの矩形になる。したがって、接触位置がずれた場合であっても、図13(c) における縦方向のずれが幅dcの余裕の範囲内であり、横方向のずれが抵抗体Rの横方向の幅の範囲内である限り、実効接触面積に変化は生じない。
【0073】
(4) 基板上での配線に関する変形例
本発明に係る力検出子を用いて力センサを構成するためには、各抵抗体に対して、たとえば図8に示すような検出回路を形成するための配線を行う必要がある。このような配線は、基板上に導電層を印刷することにより形成することができる。また、必要な場合には、基板の所定箇所にスルーホールを形成し、このスルーホールを介して、基板下面側に配線を施すことも可能である。
【0074】
図14は、基板410上に形成された抵抗体に対する配線の一例を示す上面図である。ここに示す基板410は、力のX軸およびY軸方向成分の検出を行う二次元力検出子に用いる基板であるため、4つの抵抗体R1〜R4のみが形成されている。この4つの抵抗体R1〜R4は、いずれも同一の矩形をした平板状抵抗体であり、その両端には電極部(図に黒い太線で示す部分)E11〜E42が形成されている。各電極部E11〜E42には、配線W11〜W42が接続されており、これらの配線W11〜W42は、基板410の外周付近に設けられた端子T11〜T42に接続されている。これら端子T11〜T42に対して、更に外部配線を施すことにより、図8に示すような検出回路を構成することができる。
【0075】
基板の上面に複数の抵抗体を配置する場合、実用上は、このような配線の便宜を考慮して配置をするのが好ましい。たとえば、図15の平面図に示されているように、短辺の長さがL、長辺の長さが2Lとなるような長方形状をした抵抗体Rを基板上に4組配置して、二次元力検出子に用いる基板を構成する場合を考える。この場合、たとえば、図16(a) ,(b) ,(c) に示すような種々の配置が考えられる。いずれも、基板中央に定義された原点Oの周囲を取り巻くように、4枚の抵抗体R1〜R4を配置した例である。ここで、各抵抗体の中心位置(図に黒点で示す)と原点Oとの距離をKとすれば、図16(a) に示す配置では、ほぼ、K=Lとなり、図16(b) ,(c) に示す配置では、ほぼ、K=L+(L/2)となる。したがって、空間的な配置効率の面では、図16(a) に示す配置が最適であり、力検出子の小型化を図ることができるが、配線を行う上では、基板にスルーホールを形成し、基板下面側で配線を施すなどの方法をとる必要がある。
【0076】
(5) 加速度検出への応用
これまで述べた例は、いずれも操作桿や作用部に加えられた外力を検出する力検出子または力センサであったが、これらの力検出子や力センサを利用すれば、加速度検出子または加速度センサを実現することも可能である。すなわち、必要な加速度検出感度に応じた質量をもった重錘体を作用部に接合し、この重錘体に作用した加速度に基づいて作用部に外力が作用するようにすれば、作用した外力を検出することにより、作用した加速度を検出することができる。
【0077】
図17に側断面図を示す検出子は、図1に示す力検出子に重錘体を付加することにより構成された加速度検出子であり、基本的には、図1に示す力検出子とほぼ同等の構成要素を有している。すなわち、基板510の上に変位生成体520が配置され、両者がその周囲において固定部材530によって固定されている。変位生成体520が、作用部521、可撓部522、固定部523の3つの部分を有する点も同様であり、基板510の上面に6つの抵抗体R1〜R6が配置され、作用部521の下面に5つの接触用導電体C1〜C5が配置されている点も同様である。ただ、作用部521の上面には、中間部材525を介して、重錘体540が接合されている。
【0078】
このような加速度検出子に、図8に示すような検出回路を付加すれば、加速度センサを構成することができる。すなわち、この図17に示す加速度検出子の基板510もしくは固定部材530を車両などに固定し、重錘体540が自由に変位できる状態にすれば(実用上は、重錘体540の周囲をケースなどで囲うようにし、重錘体540が他の物体に接触しないようにする)、この車両に加わった加速度が重錘体540にも加わり、この加速度に応じた力が中間部材525を介して作用部521へと伝達されることになる。このような力の各座標軸方向成分を検出する原理は、既に述べたとおりである。こうして検出された力は、作用した加速度に比例した量となるため、間接的に加速度の検出が可能になる。
【0079】
【発明の効果】
以上のとおり本発明によれば、構造が単純で製造コストが安価でありながら、操作者からの操作入力として加えられた力の大きさを検出することができる力検出子および力センサを実現することができるようになる。しかも、可撓部が急激に逆V字型に折れ曲がる弾性変形を生じた際に、操作者の指にはクリック感が伝わることになるので、操作者は、確実に操作入力が行われたことを触覚で認識することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本的な実施形態に係る力検出子の構造を示す側断面図である。
【図2】図1に示す力検出子における基板110の上面図であり、この基板110をX軸に沿って切断した断面が図1に示されている。
【図3】図1に示す力検出子における変位生成体120の上面図であり、この変位生成体120をX軸に沿って切断した断面が図1に示されている。
【図4】図1に示す力検出子における変位生成体120の下面図であり、この変位生成体120をX軸に沿って切断した断面が図1に示されている。
【図5】外力が作用していない状態における抵抗体Rと接触用導電体Cとの接触状態を示す側断面図(a) 、平面図(b) 、等価回路図(c) である。
【図6】外力が作用している状態における抵抗体Rと接触用導電体Cとの接触状態を示す側断面図(a) 、平面図(b) 、等価回路図(c) である。
【図7】図1に示す力検出子に、右斜め下方向の外力Fが作用したときの状態を示す側断面図である。
【図8】図1に示す力検出子に用いる検出回路の一例を示す回路図である。
【図9】本発明の第1の変形例に係る力検出子の構造を示す側断面図である。
【図10】図9に示す力検出子に外力が作用した状態を示す側断面図である。
【図11】本発明の第2の変形例に係る力検出子の構造を示す側断面図である。
【図12】図11に示す検出子の上面図である。
【図13】本発明の変形例に用いるくさび型の接触用導電体Cと抵抗体Rとの接触状態を示す斜視図(a) 、側断面図(b) 、平面図(c) である。
【図14】基板410上に形成された抵抗体に対する配線の一例を示す上面図である。
【図15】長方形状をした抵抗体Rの一例を示す平面図である。
【図16】図15に示す長方形状をした抵抗体Rの配置のバリエーションを示す平面図である。
【図17】本発明に係る力検出子を利用した加速度検出子の側断面図である。
【符号の説明】
110…基板
120…変位生成体
121…作用部
122…可撓部
123…固定部
125…操作桿
130…固定部材
210…基板
220…変位生成体
221…作用部
222…可撓部
223…固定部
230…固定部材
310…基板
320…変位生成体
321…作用部
322…可撓部
323…固定部
410…基板
510…基板
520…変位生成体
521…作用部
522…可撓部
523…固定部
525…中間部材
530…固定部材
540…重錘体
C,C1〜C5…接触用導電体
dc…くさび型接触用導電体Cの幅
dr…抵抗体Rの幅
E11〜E41…電極部
F…外力
+Fx…外力の+X軸方向成分
−Fz…外力の−Z軸方向成分
G…円周状の溝
Jx,Jy,Jz…接続点
M1〜M5…指標
O…座標系の原点
R,R1〜R6…抵抗体
S…接触面
T1,T2,T11〜T42…端子
Tx,Ty,Tz…検出値の出力端子
V…空洞部
Vcc…電源電圧
W11〜W42…配線
X,Y,Z…三次元座標系の各座標軸

Claims (18)

  1. XYZ三次元座標系におけるX軸方向に作用した外力もしくは当該外力と同等の押圧力を検出する力検出子であって、
    前記座標系におけるXY平面に沿った上面を有する基板と、
    前記基板の上方に配置された作用部と、前記基板に固定された固定部と、前記作用部と前記固定部との間に形成された可撓部と、を有する変位生成体と、
    前記基板の上面のほぼ中心位置に前記座標系の原点を定義したときに、前記基板の上面のX軸正領域およびX軸負領域にそれぞれ配置された第1の抵抗体および第2の抵抗体と、
    前記作用部の下面の前記第1の抵抗体および前記第2の抵抗体にそれぞれ対向する位置に配置された第1の接触用導電体および第2の接触用導電体と、
    を備え、
    前記作用部に外力が作用したときに、前記可撓部が撓みを生じることにより、前記作用部の下面が前記基板の上面に対して変位を生じ、この変位に基づいて、前記第1の接触用導電体および前記第2の接触用導電体の前記第1の抵抗体および前記第2の抵抗体に対する接触状態が変化するように構成され、
    前記可撓部は上方へと伸びる肉厚の薄い構造をなし、
    前記作用部に外力が作用していない状態では、前記第1の接触用導電体と前記第1の抵抗体とは完全に離れた状態となっており、前記第2の接触用導電体と前記第2の抵抗体とは完全に離れた状態となっており、
    前記作用部に対して下方向への押圧力を加え、当該押圧力を徐々に増加させてゆくと、前記可撓部が急激に、断面逆V字型に折れ曲がる弾性変形を生じ、前記第1の接触用導電体と前記第1の抵抗体とが接触した状態となり、前記第2の接触用導電体と前記第2の抵抗体とが接触した状態となり、
    前記第1の接触用導電体および前記第2の接触用導電体は、弾性変形する導電性材料から構成されており、かつ、前記第1の抵抗体および前記第2の抵抗体に対する接触状態の変化に基づいて接触面の面積が変化する形状を有しており、前記可撓部が前記断面逆V字型に折れ曲がる弾性変形を生じた状態における前記接触面の面積の変化に基づいて、前記作用部に対してX軸方向に作用した外力もしくは当該外力と同等の変位を前記作用部に生じさせる押圧力を検出できるようにしたことを特徴とする力検出子。
  2. 請求項1に記載の力検出子に、所定の検出回路を付加することによって構成される力センサであって、
    第1の抵抗体上の「第1の接触用導電体の接触位置」を挟む2点間の抵抗値と、第2の抵抗体上の「第2の接触用導電体の接触位置」を挟む2点間の抵抗値と、を比較することにより、X軸方向に作用した外力もしくは当該外力と同等の押圧力を検出する回路を、前記所定の検出回路として付加したことを特徴とする力センサ。
  3. 請求項2に記載の力センサにおいて、
    第1の抵抗体と第2の抵抗体とをX軸検出用接続点において直列接続することによりX軸検出用抵抗体を形成し、このX軸検出用抵抗体の両端に所定の電圧を印加し、前記X軸検出用接続点の電圧に相当する値を、X軸方向に作用した外力もしくは当該外力と同等の押圧力の値として出力する検出回路を用いることを特徴とする力センサ。
  4. 請求項1に記載の力検出子において、
    基板の上面のY軸正領域およびY軸負領域にそれぞれ配置された第3の抵抗体および第4の抵抗体と、
    作用部の下面の前記第3の抵抗体および前記第4の抵抗体にそれぞれ対向する位置に配置された第3の接触用導電体および第4の接触用導電体と、
    を更に備え、
    作用部に外力が作用していない状態では、前記第3の接触用導電体と前記第3の抵抗体とは完全に離れた状態となっており、前記第4の接触用導電体と前記第4の抵抗体とは完全に離れた状態となっており、
    前記作用部に対して下方向への押圧力を加え、当該押圧力を徐々に増加させてゆくと、可撓部が急激に、断面逆V字型に折れ曲がる弾性変形を生じ、前記第3の接触用導電体と前記第3の抵抗体とが接触した状態となり、前記第4の接触用導電体と前記第4の抵抗体とが接触した状態となり、
    前記作用部の下面が前記基板の上面に対して生じる変位に基づいて、前記第3の接触用導電体および前記第4の接触用導電体の前記第3の抵抗体および前記第4の抵抗体に対する接触状態が変化するように構成され、前記第3の接触用導電体および前記第4の接触用導電体が、弾性変形する導電性材料から構成され、かつ、前記第3の抵抗体および前記第4の抵抗体に対する接触状態の変化に基づいて接触面の面積が変化する形状を有しており、前記可撓部が前記断面逆V字型に折れ曲がる弾性変形を生じた状態における前記接触面の面積の変化に基づいて、更に、前記作用部に対してY軸方向に作用した外力もしくは当該外力と同等の変位を前記作用部に生じさせる押圧力を検出できるようにしたことを特徴とする力検出子。
  5. 請求項4に記載の力検出子に、所定の検出回路を付加することによって構成される力センサであって、
    第1の抵抗体上の「第1の接触用導電体の接触位置」を挟む2点間の抵抗値と、第2の抵抗体上の「第2の接触用導電体の接触位置」を挟む2点間の抵抗値と、を比較することにより、X軸方向に作用した外力もしくは当該外力と同等の押圧力を検出する回路と、
    第3の抵抗体上の「第3の接触用導電体の接触位置」を挟む2点間の抵抗値と、第4の抵抗体上の「第4の接触用導電体の接触位置」を挟む2点間の抵抗値と、を比較することにより、Y軸方向に作用した外力もしくは当該外力と同等の押圧力を検出する回路と、
    を有する回路を、前記所定の検出回路として付加したことを特徴とする力センサ。
  6. 請求項5に記載の力センサにおいて、
    第1の抵抗体と第2の抵抗体とをX軸検出用接続点において直列接続することによりX軸検出用抵抗体を形成し、このX軸検出用抵抗体の両端に所定の電圧を印加し、前記X軸検出用接続点の電圧に相当する値をX軸方向に作用した外力もしくは当該外力と同等の押圧力の値として出力し、
    第3の抵抗体と第4の抵抗体とをY軸検出用接続点において直列接続することによりY軸検出用抵抗体を形成し、このY軸検出用抵抗体の両端に所定の電圧を印加し、前記Y軸検出用接続点の電圧に相当する値をY軸方向に作用した外力もしくは当該外力と同等の押圧力の値として出力する検出回路を用いることを特徴とする力センサ。
  7. 請求項1に記載の力検出子において、
    基板の上面に配置されたZ軸用抵抗体と、作用部の下面の前記Z軸用抵抗体に対向する位置に配置されたZ軸用接触用導電体とを更に備え、
    作用部に外力が作用していない状態では、前記Z軸用接触用導電体と前記Z軸用抵抗体とは完全に離れた状態となっており、
    前記作用部に対して下方向への押圧力を加え、当該押圧力を徐々に増加させてゆくと、可撓部が急激に、断面逆V字型に折れ曲がる弾性変形を生じ、前記Z軸用接触用導電体と前記Z軸用抵抗体とが接触した状態となり、
    前記作用部の下面が前記基板の上面に対して生じる変位に基づいて、前記Z軸用接触用導電体の前記Z軸用抵抗体に対する接触状態が変化するように構成され、前記Z軸用接触用導電体が、弾性変形する導電性材料から構成され、かつ、前記Z軸用抵抗体に対する接触状態の変化に基づいて接触面の面積が変化する形状を有しており、前記可撓部が前記断面逆V字型に折れ曲がる弾性変形を生じた状態における前記接触面の面積の変化に基づいて、更に、前記作用部に対してZ軸方向に作用した外力もしくは当該外力と同等の変位を前記作用部に生じさせる押圧力を検出できるようにしたことを特徴とする力検出子。
  8. 請求項7に記載の力検出子において、
    Z軸用抵抗体およびZ軸用接触用導電体を、Z軸と交差する位置に配置したことを特徴とする力検出子。
  9. 請求項7または8に記載の力検出子において、
    基板の上面に、所定の2点間の抵抗値が外力もしくは押圧力の影響を受けずに一定となる参照用抵抗体を更に設けたことを特徴とする力検出子。
  10. 請求項9に記載の力検出子に、所定の検出回路を付加することによって構成される力センサであって、
    第1の抵抗体上の「第1の接触用導電体の接触位置」を挟む2点間の抵抗値と、第2の抵抗体上の「第2の接触用導電体の接触位置」を挟む2点間の抵抗値と、を比較することにより、X軸方向に作用した外力もしくは当該外力と同等の押圧力を検出する回路と、
    Z軸用抵抗体上の「Z軸用接触用導電体の接触位置」を挟む2点間の抵抗値と、参照用抵抗体上の「抵抗値が外力もしくは押圧力の影響を受けずに一定」となる2点間の抵抗値と、を比較することにより、Z軸方向に作用した外力もしくは当該外力と同等の押圧力を検出する回路と、
    を有する回路を、前記所定の検出回路として付加したことを特徴とする力センサ。
  11. 請求項10に記載の力センサにおいて、
    第1の抵抗体と第2の抵抗体とをX軸検出用接続点において直列接続することによりX軸検出用抵抗体を形成し、このX軸検出用抵抗体の両端に所定の電圧を印加し、前記X軸検出用接続点の電圧に相当する値をX軸方向に作用した外力もしくは当該外力と同等の押圧力の値として出力し、
    Z軸用抵抗体と参照用抵抗体とをZ軸検出用接続点において直列接続することによりZ軸検出用抵抗体を形成し、このZ軸検出用抵抗体の両端に所定の電圧を印加し、前記Z軸検出用接続点の電圧に相当する値をZ軸方向に作用した外力もしくは当該外力と同等の押圧力の値として出力する検出回路を用いることを特徴とする力センサ。
  12. 請求項4に記載の力検出子において、
    基板の上面に配置されたZ軸用抵抗体と、作用部の下面の前記Z軸用抵抗体に対向する位置に配置されたZ軸用接触用導電体とを更に備え、
    作用部に外力が作用していない状態では、前記Z軸用接触用導電体と前記Z軸用抵抗体とは完全に離れた状態となっており、
    前記作用部に対して下方向への押圧力を加え、当該押圧力を徐々に増加させてゆくと、可撓部が急激に、断面逆V字型に折れ曲がる弾性変形を生じ、前記Z軸用接触用導電体と前記Z軸用抵抗体とが接触した状態となり、
    前記作用部の下面が前記基板の上面に対して生じる変位に基づいて、前記Z軸用接触用導電体の前記Z軸用抵抗体に対する接触状態が変化するように構成され、前記Z軸用接触用導電体が、弾性変形する導電性材料から構成され、かつ、前記Z軸用抵抗体に対する接触状態の変化に基づいて接触面の面積が変化する形状を有しており、前記可撓部が前記断面逆V字型に折れ曲がる弾性変形を生じた状態における前記接触面の面積の変化に基づいて、更に、前記作用部に対してZ軸方向に作用した外力もしくは当該外力と同等の押圧力を検出できるようにしたことを特徴とする力検出子。
  13. 請求項12に記載の力検出子において、
    Z軸用抵抗体およびZ軸用接触用導電体を、Z軸と交差する位置に配置したことを特徴とする力検出子。
  14. 請求項12または13に記載の力検出子において、
    基板の上面に、所定の2点間の抵抗値が外力もしくは押圧力の影響を受けずに一定となる参照用抵抗体を更に設けたことを特徴とする力検出子。
  15. 請求項14に記載の力検出子に、所定の検出回路を付加することによって構成される力センサであって、
    第1の抵抗体上の「第1の接触用導電体の接触位置」を挟む2点間の抵抗値と、第2の抵抗体上の「第2の接触用導電体の接触位置」を挟む2点間の抵抗値と、を比較することにより、X軸方向に作用した外力もしくは当該外力と同等の押圧力を検出する回路と、
    第3の抵抗体上の「第3の接触用導電体の接触位置」を挟む2点間の抵抗値と、第4の抵抗体上の「第4の接触用導電体の接触位置」を挟む2点間の抵抗値と、を比較することにより、Y軸方向に作用した外力もしくは当該外力と同等の押圧力を検出する回路と、
    Z軸用抵抗体上の「Z軸用接触用導電体の接触位置」を挟む2点間の抵抗値と、参照用抵抗体上の「抵抗値が外力もしくは押圧力の影響を受けずに一定」となる2点間の抵抗値と、を比較することにより、Z軸方向に作用した外力もしくは当該外力と同等の押圧力を検出する回路と、
    を有する回路を、前記所定の検出回路として付加したことを特徴とする力センサ。
  16. 請求項15に記載の力センサにおいて、
    第1の抵抗体と第2の抵抗体とをX軸検出用接続点において直列接続することによりX軸検出用抵抗体を形成し、このX軸検出用抵抗体の両端に所定の電圧を印加し、前記X軸検出用接続点の電圧に相当する値をX軸方向に作用した外力もしくは当該外力と同等の押圧力の値として出力し、
    第3の抵抗体と第4の抵抗体とをY軸検出用接続点において直列接続することによりY軸検出用抵抗体を形成し、このY軸検出用抵抗体の両端に所定の電圧を印加し、前記Y軸検出用接続点の電圧に相当する値をY軸方向に作用した外力もしくは当該外力と同等の押圧力の値として出力し、
    Z軸用抵抗体と参照用抵抗体とをZ軸検出用接続点において直列接続することによりZ軸検出用抵抗体を形成し、このZ軸検出用抵抗体の両端に所定の電圧を印加し、前記Z軸検出用接続点の電圧に相当する値をZ軸方向に作用した外力もしくは当該外力と同等の押圧力の値として出力する検出回路を用いることを特徴とする力センサ。
  17. 請求項1〜16のいずれかに記載の力検出子または力センサにおいて、
    作用部の上面に操作桿を設け、この操作桿を介して与えられた外力によって作用部の下面が基板の上面に対して変位を生じるように構成し、前記操作桿に加えられた外力の検出ができるようにしたことを特徴とする力検出子または力センサ。
  18. 請求項1〜16のいずれかに記載の力検出子または力センサにおいて、
    作用部の上面に複数の指標を配置し、個々の指標位置に加えられた押圧力によて作用部の下面が基板の上面に対して変位を生じるように構成し、どの指標位置にどれだけの押圧力が加えられたかを検出できるようにしたことを特徴とする力検出子または力センサ。
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