JP4555463B2 - 電子機器用入力装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子機器用入力装置に関し、特に、携帯電話やゲーム遊戯装置など、所定のプログラムに基づいて所定の処理を実行する電子機器に対して、方向を示す操作入力を行うための入力装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話やゲーム遊戯装置などの電子機器では、利用者による所定の操作入力を受け付け、この操作入力に基づいてプログラムが進行する。通常、この種の操作入力は、ディスプレイ画面上に表示されるカーソルやその他の指標を見ながら行うことが多く、上下左右の4方向あるいは斜めも含めた8方向の方向を示す入力が求められるのが一般的である。このような方向性をもった入力を行うために、大別して、2つのタイプの入力装置が利用されている。
【0003】
第1のタイプの装置は、複数のON/OFFスイッチを組み合わせてなる装置であり、通常、上下左右に合計4個のスイッチのボタンを配置し、これらのボタンを適宜押すことにより、所定方向へのスイッチ動作の入力を行うことができる。たとえば、右に配置されたスイッチのボタンを押せば、右方向へのスイッチON動作を示す入力を行うことができ、カーソルやゲームキャラクタを右方向へ移動させる指示を与えることができる。斜めも含めた8方向へのスイッチ動作を入力する必要がある場合には、上下左右および斜め位置に合計8個のスイッチのボタンを配置した入力装置も利用されている。また、中心位置にもスイッチを配置し、合計5個あるいは9個のボタンにより、種々の指示を入力できるようにした装置も利用されている。
【0004】
一方、第2のタイプの装置は、いわゆるジョイスティックと呼ばれているタイプの装置であり、所定方向への操作量を入力することができる。上述したスイッチを利用した第1のタイプの装置の場合、特定の位置に配置されたボタンを選択的に押すことにより、特定の方向に関するスイッチ動作を入力することができるが、このスイッチ動作は、あくまでもON/OFFの二値状態のいずれかを示すためのものであり、量を入力することはできない。第2のタイプの装置では、たとえば、右方向に5とか下方向に8というように、方向とともに操作量を入力することができる。具体的には、右方向に加える操作力を増せば増すほど、右方向へのより大きな操作量を入力することができる。このようなジョイスティックタイプの装置は、通常、二次元力センサを内蔵しており、加えられた力のX軸方向成分およびY軸方向成分をそれぞれ別個に検出することにより、加えられた操作入力の方向と操作量とを検出することになる。たとえば、X軸方向成分が+5であるような操作入力は、右方向に5という操作量を示し、Y軸方向成分が−8であるような操作入力は、下方向に8という操作量を示すことになる。もちろん、X軸方向成分とY軸方向成分とを合成する演算を行うことにより、斜め方向に加えられた操作入力の検出も可能である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した2つのタイプの入力装置には、いずれも一長一短がある。スイッチを利用した第1のタイプの装置の場合、ON/OFFの二値状態の入力しか行うことができないため、たとえば、「カーソルを右方向に3ます動かす」というような操作を行う場合、右方向のボタンを3回繰り返して押す操作を行う必要がある。したがって、「カーソルを右方向に20ます動かす」というような操作では、ボタンを20回繰り返して押すという煩雑な操作が必要になる。一方、第2のタイプの装置の場合、操作量を入力することができるので、たとえば、ジョイスティックを軽く右側へ倒した場合は、カーソルが1ます移動するが、深く右側へ倒した場合は、カーソルが10ます移動する、というような量的な制御を行うことができる。もちろん、ジョイスティックを軽く倒すか深く倒すかによって、カーソルの移動速度を変えることも可能である。しかしながら、「カーソルをあと3ます移動させる」というような操作が必要な場合、ジョイスティックを倒す角度を微妙に調節する必要があり、実際には、3ます移動させるつもりが5ます動いてしまった、というような誤操作が起こりやすい。したがって、カーソルを正確な位置へ移動させる、という点では、第1のタイプの装置を用い、ボタンを押す回数で制御した方が好ましい。
【0006】
このように、2つのタイプの入力装置は、それぞれ一長一短があるあるため、従来の携帯電話やゲーム遊戯装置などの電子機器では、この2つのタイプの入力装置を併設していることが多い。しかしながら、同一の電子機器に、2種類のタイプの入力装置を併設することは、機器の小型化や低コスト化を阻むことになり、本来、好ましいことではない。
【0007】
そこで本発明は、特定方向へのスイッチ動作の操作入力と特定方向への操作量の操作入力とを、適宜使い分けることが可能な電子機器用入力装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
(1) 本発明の第1の態様は、所定のプログラムに基づいて所定の処理を実行する電子機器に対して、方向を示す操作入力を行うための電子機器用入力装置において、
操作入力が加えられていない状態での出力を零点基準出力とし、所定の検出軸に沿った正方向もしくは負方向への操作入力が加えられた場合に、加えられた操作入力の大きさに応じた正もしくは負の検出値を出力する操作入力検出部と、
加えられた操作入力を検出軸に沿った連続的な操作量として取り扱う操作量モードと、加えられた操作入力を検出軸の正方向もしくは負方向に関するスイッチ動作として取り扱うスイッチモードと、のいずれかのモードを設定する機能を有し、電子機器が実行しているプログラムに応じて、いずれか一方のモードを設定するモード設定部と、
操作量モードが設定されている場合には、操作入力検出部によって検出された検出値を、検出軸についての操作量として電子機器に与え、スイッチモードが設定されている場合には、操作入力検出部によって検出された検出値の絶対値を所定のしきい値と比較し、しきい値を越えていればON状態を示す信号を、しきい値を越えていなければOFF状態を示す信号を、検出軸の正方向もしくは負方向に関するスイッチ動作として電子機器に与える操作入力取扱部と、
を設け、
操作入力検出部が、XYZ三次元座標系において加えられた操作入力のX軸方向成分およびY軸方向成分をそれぞれ独立して検出する機能をもった力センサとして、
上面がXY平面に含まれ、この上面の中心部に座標系の原点がくるように配置された基板と、
基板上方のZ軸を中心とした位置に配置され、操作入力を受けて変位する変位部と、基板に固定された固定部と、変位部と固定部とを接続する接続部と、を有し、基板上面に取り付けられた変位生成体と、
変位部の下面に形成された接触用変位電極と、
基板の接触用変位電極に対向する位置に形成された接触用固定電極と、
変位部の変位に起因して静電容量値が変化するように、変位部側に形成された変位電極と基板側に形成された固定電極とを有する容量素子からなる4組の検出子と、
を有し、
4組の検出子は、X軸正方向上、X軸負方向上、Y軸正方向上、Y軸負方向上にそれぞれ配置され、X軸上に配置された検出子によって、加えられた操作入力のX軸方向成分を検出し、Y軸上に配置された検出子によって、加えられた操作入力のY軸方向成分を検出し、
接続部は可撓性を有しており、変位部に操作入力が加えられたときに、接続部が撓みを生じることにより、変位部が基板に対して変位を生じ、
変位部に操作入力が加えられていない場合には、接触用変位電極と接触用固定電極とが非接触な状態を保ち、座標系におけるZ軸方向成分を含む所定量の操作入力が変位部に加えられた場合には、接触用変位電極と接触用固定電極とが接触状態となり、
容量素子を構成する変位電極と接触用変位電極とは電気的に接続されており、接触用変位電極と接触用固定電極とが接触状態にあるときに、接触用固定電極と容量素子を構成する固定電極との間の静電容量値の変化を電気的に検出することにより、加えられた操作入力の所定方向成分の大きさを認識できる力センサを用いるようにしたものである。
【0009】
(2) 本発明の第2の態様は、上述の第1の態様に係る電子機器用入力装置において、
接触用変位電極と接触用固定電極との接触状態に基づいて、操作入力検出部から電子機器に対して、クリック操作の入力が行われるようにしたものである。
【0010】
(3) 本発明の第3の態様は、所定のプログラムに基づいて所定の処理を実行する電子機器に対して、方向を示す操作入力を行うための入力装置において、
操作入力が加えられていない状態での出力を零点基準出力とし、所定の検出軸に沿った正方向もしくは負方向への操作入力が加えられた場合に、加えられた操作入力の大きさに応じた正もしくは負の検出値を出力する操作入力検出部と、
加えられた操作入力を検出軸に沿った連続的な操作量として取り扱う操作量モードと、加えられた操作入力を検出軸の正方向もしくは負方向に関するスイッチ動作として取り扱うスイッチモードと、のいずれかのモードを設定する機能を有し、電子機器が実行しているプログラムに応じて、いずれか一方のモードを設定するモード設定部と、
操作量モードが設定されている場合には、操作入力検出部によって検出された検出値を、検出軸についての操作量として電子機器に与え、スイッチモードが設定されている場合には、操作入力検出部によって検出された検出値の絶対値を所定のしきい値と比較し、しきい値を越えていればON状態を示す信号を、しきい値を越えていなければOFF状態を示す信号を、検出軸の正方向もしくは負方向に関するスイッチ動作として電子機器に与える操作入力取扱部と、
を設け、
操作入力検出部が、XYZ三次元座標系において加えられた操作入力のX軸方向成分およびY軸方向成分をそれぞれ独立して検出する機能をもった力センサとして、
上面がXY平面に含まれ、この上面の中心部に座標系の原点がくるように配置された基板と、
基板上方のZ軸を中心とした位置に配置され、操作入力を受けて変位する変位部と、基板に固定された固定部と、変位部と固定部とを接続する接続部と、を有し、基板上面に取り付けられ、接続部は可撓性を有しており、変位部にX軸操作入力が加えられたときに変位部がX軸に対して傾斜するような変位を生じ、変位部にY軸操作入力が加えられたときに変位部がY軸に対して傾斜するような変位を生じる変位生成体と、
基板上面のX軸正方向位置に配置された第1の内側電極と、
基板上面のX軸負方向位置に配置された第2の内側電極と、
基板上面のY軸正方向位置に配置された第3の内側電極と、
基板上面のY軸負方向位置に配置された第4の内側電極と、
基板上面のX軸正方向位置の第1の内側電極より外側に配置された第1の外側電極と、
基板上面のX軸負方向位置の第2の内側電極より外側に配置された第2の外側電極と、
基板上面のY軸正方向位置の第3の内側電極より外側に配置された第3の外側電極と、
基板上面のY軸負方向位置の第4の内側電極より外側に配置された第4の外側電極と、
第1の内側電極、第1の外側電極、第2の内側電極、第2の外側電極、第3の内側電極、第3の外側電極、第4の内側電極、第4の外側電極のそれぞれに対向するように、変位生成体下面の変位を生じる位置に形成され、変位部がX軸正方向に向けて所定量だけ傾斜したときに、その一部分が第1の外側電極に接触し、変位部がX軸負方向に向けて所定量だけ傾斜したときに、その一部分が第2の外側電極に接触し、変位部がY軸正方向に向けて所定量だけ傾斜したときに、その一部分が第3の外側電極に接触し、変位部がY軸負方向に向けて所定量だけ傾斜したときに、その一部分が第4の外側電極に接触するように構成された変位電極と、
変位電極がいずれかの外側電極と接触したときに、第1の内側電極と変位電極とによって構成される第1の容量素子の静電容量を示す第1の静電容量値を、変位電極に接触している外側電極と第1の内側電極との間の電気的特性に基づいて測定し、第2の内側電極と変位電極とによって構成される第2の容量素子の静電容量を示す第2の静電容量値を、変位電極に接触している外側電極と第2の内側電極との間の電気的特性に基づいて測定し、第3の内側電極と変位電極とによって構成される第3の容量素子の静電容量を示す第3の静電容量値を、変位電極に接触している外側電極と第3の内側電極との間の電気的特性に基づいて測定し、第4の内側電極と変位電極とによって構成される第4の容量素子の静電容量を示す第4の静電容量値を、変位電極に接触している外側電極と第4の内側電極との間の電気的特性に基づいて測定し、第1の静電容量値と第2の静電容量値との差に基づいてX軸操作入力についての検出値を出力し、第3の静電容量値と第4の静電容量値との差に基づいてY軸操作入力についての検出値を出力する検出回路と、
を備える力センサを用いるようにしたものである。
【0011】
(4) 本発明の第4の態様は、上述の第3の態様に係る電子機器用入力装置において、
変位部下面のZ軸に沿った位置に押圧棒を設け、基板上面の原点近傍位置にON/OFFスイッチを設け、押圧棒に加えられた押圧力に基づいてON/OFFスイッチが動作するように構成し、このON/OFFスイッチの動作に基づいて、操作入力検出部から電子機器に対して、クリック操作の入力が行われるようにしたものである。
【0012】
(5) 本発明の第5の態様は、所定のプログラムに基づいて所定の処理を実行する電子機器に対して、方向を示す操作入力を行うための入力装置において、
操作入力が加えられていない状態での出力を零点基準出力とし、所定の検出軸に沿った正方向もしくは負方向への操作入力が加えられた場合に、加えられた操作入力の大きさに応じた正もしくは負の検出値を出力する操作入力検出部と、
加えられた操作入力を検出軸に沿った連続的な操作量として取り扱う操作量モードと、加えられた操作入力を検出軸の正方向もしくは負方向に関するスイッチ動作として取り扱うスイッチモードと、のいずれかのモードを設定する機能を有し、電子機器が実行しているプログラムに応じて、いずれか一方のモードを設定するモード設定部と、
操作量モードが設定されている場合には、操作入力検出部によって検出された検出値を、検出軸についての操作量として電子機器に与え、スイッチモードが設定されている場合には、操作入力検出部によって検出された検出値の絶対値を所定のしきい値と比較し、しきい値を越えていればON状態を示す信号を、しきい値を越えていなければOFF状態を示す信号を、検出軸の正方向もしくは負方向に関するスイッチ動作として電子機器に与える操作入力取扱部と、
を設け、
操作入力検出部が、XYZ三次元座標系において加えられた操作入力のX軸方向成分およびY軸方向成分をそれぞれ独立して検出する機能をもった力センサとして、
上面がXY平面に含まれ、この上面の中心部に座標系の原点がくるように配置された基板と、
基板上方のZ軸を中心とした位置に配置され、操作入力を受けて変位する変位部と、基板に固定された固定部と、変位部と固定部とを接続する接続部と、を有し、基板上面に取り付けられた変位生成体と、
基板の上面のX軸正領域、X軸負領域、Y軸正領域、Y軸負領域にそれぞれ配置された第1の抵抗体、第2の抵抗体、第3の抵抗体、第4の抵抗体と、
変位部の下面の第1の抵抗体、第2の抵抗体、第3の抵抗体、第4の抵抗体にそれぞれ対向する位置に配置された第1の接触用導電体、第2の接触用導電体、第3の接触用導電体、第4の接触用導電体と、
を有し、
接続部は可撓性を有しており、変位部に操作入力が加えられたときに、接続部が撓みを生じることにより、変位部の下面が基板の上面に対して変位を生じ、この変位に基づいて、各接触用導電体の各抵抗体に対する接触状態が変化するように構成され、
各接触用導電体は、弾性変形する導電性材料から構成されており、かつ、各抵抗体に対する接触状態の変化に基づいて接触面の面積が変化する形状を有しており、この接触面の面積の変化に基づいて、変位部に加えられた操作入力のX軸方向成分およびY軸方向成分を検出できる力センサを用いるようにしたものである。
【0013】
(6) 本発明の第6の態様は、上述の第5の態様に係る電子機器用入力装置において、
基板の上面の原点近傍領域に第5の抵抗体を更に設け、変位部の下面の第5の抵抗体に対向する位置に第5の接触用導電体を設け、第5の接触用導電体の第5の抵抗体に対する接触状態に基づいて、操作入力検出部から電子機器に対して、クリック操作の入力が行われるようにしたものである。
【0014】
(7) 本発明の第7の態様は、上述の第1〜6の態様に係る電子機器用入力装置において、
モード設定部が、更に、操作量モードとスイッチモードとを混合した取り扱いを行う混合モードを設定する機能を有し、
混合モードが設定されている場合には、操作入力取扱部は、操作入力検出部によって検出された検出値の絶対値を第1のしきい値および第2のしきい値(第1のしきい値<第2のしきい値)と比較し、第1のしきい値を越えていなければ、OFF状態を示す信号を検出軸の正方向もしくは負方向に関するスイッチ動作として電子機器に与え、第1のしきい値と第2のしきい値との間であれば、ON状態を示す信号を検出軸の正方向もしくは負方向に関するスイッチ動作として電子機器に与え、第2のしきい値を越えていれば、検出値を検出軸についての操作量として電子機器に与える処理を行うようにしたものである。
【0015】
(8) 本発明の第8の態様は、所定のプログラムに基づいて所定の処理を実行する電子機器に対して、方向を示す操作入力を行うための入力装置において、
操作入力が加えられていない状態での出力を零点基準出力とし、所定の検出軸に沿った正方向もしくは負方向への操作入力が加えられた場合に、加えられた操作入力の大きさに応じた正もしくは負の検出値を出力する操作入力検出部と、
この操作入力検出部によって検出された検出値の絶対値を第1のしきい値および第2のしきい値(第1のしきい値<第2のしきい値)と比較し、第1のしきい値を越えていなければ、OFF状態を示す信号を検出軸の正方向もしくは負方向に関するスイッチ動作として電子機器に与え、第1のしきい値と第2のしきい値との間であれば、ON状態を示す信号を検出軸の正方向もしくは負方向に関するスイッチ動作として電子機器に与え、第2のしきい値を越えていれば、検出値を検出軸に沿った連続的な操作量として電子機器に与える混合モード動作を行う機能を有する操作入力取扱部と、
を設け、
操作入力検出部が、XYZ三次元座標系において加えられた操作入力のX軸方向成分およびY軸方向成分をそれぞれ独立して検出する機能をもった力センサとして、
上面がXY平面に含まれ、この上面の中心部に座標系の原点がくるように配置された基板と、
基板上方のZ軸を中心とした位置に配置され、操作入力を受けて変位する変位部と、基板に固定された固定部と、変位部と固定部とを接続する接続部と、を有し、基板上面に取り付けられた変位生成体と、
変位部の下面に形成された接触用変位電極と、
基板の接触用変位電極に対向する位置に形成された接触用固定電極と、
変位部の変位に起因して静電容量値が変化するように、変位部側に形成された変位電極と基板側に形成された固定電極とを有する容量素子からなる4組の検出子と、
を有し、
4組の検出子は、X軸正方向上、X軸負方向上、Y軸正方向上、Y軸負方向上にそれぞれ配置され、X軸上に配置された検出子によって、加えられた操作入力のX軸方向成分を検出し、Y軸上に配置された検出子によって、加えられた操作入力のY軸方向成分を検出し、
接続部は可撓性を有しており、変位部に操作入力が加えられたときに、接続部が撓みを生じることにより、変位部が基板に対して変位を生じ、
変位部に操作入力が加えられていない場合には、接触用変位電極と接触用固定電極とが非接触な状態を保ち、座標系におけるZ軸方向成分を含む所定量の操作入力が変位部に加えられた場合には、接触用変位電極と接触用固定電極とが接触状態となり、
容量素子を構成する変位電極と接触用変位電極とは電気的に接続されており、接触用変位電極と接触用固定電極とが接触状態にあるときに、接触用固定電極と容量素子を構成する固定電極との間の静電容量値の変化を電気的に検出することにより、加えられた操作入力の所定方向成分の大きさを認識できる力センサを用いるようにしたものである。
【0016】
(9) 本発明の第9の態様は、上述の第8の態様に係る電子機器用入力装置において、
接触用変位電極と接触用固定電極との接触状態に基づいて、操作入力検出部から電子機器に対して、クリック操作の入力が行われるようにしたものである。
【0017】
(10) 本発明の第10の態様は、所定のプログラムに基づいて所定の処理を実行する電子機器に対して、方向を示す操作入力を行うための入力装置において、
操作入力が加えられていない状態での出力を零点基準出力とし、所定の検出軸に沿った正方向もしくは負方向への操作入力が加えられた場合に、加えられた操作入力の大きさに応じた正もしくは負の検出値を出力する操作入力検出部と、
この操作入力検出部によって検出された検出値の絶対値を第1のしきい値および第2のしきい値(第1のしきい値<第2のしきい値)と比較し、第1のしきい値を越えていなければ、OFF状態を示す信号を検出軸の正方向もしくは負方向に関するスイッチ動作として電子機器に与え、第1のしきい値と第2のしきい値との間であれば、ON状態を示す信号を検出軸の正方向もしくは負方向に関するスイッチ動作として電子機器に与え、第2のしきい値を越えていれば、検出値を検出軸に沿った連続的な操作量として電子機器に与える混合モード動作を行う機能を有する操作入力取扱部と、
を設け、
操作入力検出部が、XYZ三次元座標系において加えられた操作入力のX軸方向成分およびY軸方向成分をそれぞれ独立して検出する機能をもった力センサとして、
上面がXY平面に含まれ、この上面の中心部に座標系の原点がくるように配置された基板と、
基板上方のZ軸を中心とした位置に配置され、操作入力を受けて変位する変位部と、基板に固定された固定部と、変位部と固定部とを接続する接続部と、を有し、基板上面に取り付けられ、接続部は可撓性を有しており、変位部にX軸操作入力が加えられたときに変位部がX軸に対して傾斜するような変位を生じ、変位部にY軸操作入力が加えられたときに変位部がY軸に対して傾斜するような変位を生じる変位生成体と、
基板上面のX軸正方向位置に配置された第1の内側電極と、
基板上面のX軸負方向位置に配置された第2の内側電極と、
基板上面のY軸正方向位置に配置された第3の内側電極と、
基板上面のY軸負方向位置に配置された第4の内側電極と、
基板上面のX軸正方向位置の第1の内側電極より外側に配置された第1の外側電極と、
基板上面のX軸負方向位置の第2の内側電極より外側に配置された第2の外側電極と、
基板上面のY軸正方向位置の第3の内側電極より外側に配置された第3の外側電極と、
基板上面のY軸負方向位置の第4の内側電極より外側に配置された第4の外側電極と、
第1の内側電極、第1の外側電極、第2の内側電極、第2の外側電極、第3の内側電極、第3の外側電極、第4の内側電極、第4の外側電極のそれぞれに対向するように、変位生成体下面の変位を生じる位置に形成され、変位部がX軸正方向に向けて所定量だけ傾斜したときに、その一部分が第1の外側電極に接触し、変位部がX軸負方向に向けて所定量だけ傾斜したときに、その一部分が第2の外側電極に接触し、変位部がY軸正方向に向けて所定量だけ傾斜したときに、その一部分が第3の外側電極に接触し、変位部がY軸負方向に向けて所定量だけ傾斜したときに、その一部分が第4の外側電極に接触するように構成された変位電極と、
変位電極がいずれかの外側電極と接触したときに、第1の内側電極と変位電極とによって構成される第1の容量素子の静電容量を示す第1の静電容量値を、変位電極に接触している外側電極と第1の内側電極との間の電気的特性に基づいて測定し、第2の内側電極と変位電極とによって構成される第2の容量素子の静電容量を示す第2の静電容量値を、変位電極に接触している外側電極と第2の内側電極との間の電気的特性に基づいて測定し、第3の内側電極と変位電極とによって構成される第3の容量素子の静電容量を示す第3の静電容量値を、変位電極に接触している外側電極と第3の内側電極との間の電気的特性に基づいて測定し、第4の内側電極と変位電極とによって構成される第4の容量素子の静電容量を示す第4の静電容量値を、変位電極に接触している外側電極と第4の内側電極との間の電気的特性に基づいて測定し、第1の静電容量値と第2の静電容量値との差に基づいてX軸操作入力についての検出値を出力し、第3の静電容量値と第4の静電容量値との差に基づいてY軸操作入力についての検出値を出力する検出回路と、
を備える力センサを用いるようにしたものである。
【0018】
(11) 本発明の第11の態様は、上述の第10の態様に係る電子機器用入力装置において、
変位部下面のZ軸に沿った位置に押圧棒を設け、基板上面の原点近傍位置にON/OFFスイッチを設け、押圧棒に加えられた押圧力に基づいてON/OFFスイッチが動作するように構成し、このON/OFFスイッチの動作に基づいて、操作入力検出部から電子機器に対して、クリック操作の入力が行われるようにしたものである。
【0019】
(12) 本発明の第12の態様は、所定のプログラムに基づいて所定の処理を実行する電子機器に対して、方向を示す操作入力を行うための入力装置において、
操作入力が加えられていない状態での出力を零点基準出力とし、所定の検出軸に沿った正方向もしくは負方向への操作入力が加えられた場合に、加えられた操作入力の大きさに応じた正もしくは負の検出値を出力する操作入力検出部と、
この操作入力検出部によって検出された検出値の絶対値を第1のしきい値および第2のしきい値(第1のしきい値<第2のしきい値)と比較し、第1のしきい値を越えていなければ、OFF状態を示す信号を検出軸の正方向もしくは負方向に関するスイッチ動作として電子機器に与え、第1のしきい値と第2のしきい値との間であれば、ON状態を示す信号を検出軸の正方向もしくは負方向に関するスイッチ動作として電子機器に与え、第2のしきい値を越えていれば、検出値を検出軸に沿った連続的な操作量として電子機器に与える混合モード動作を行う機能を有する操作入力取扱部と、
を設け、
操作入力検出部が、XYZ三次元座標系において加えられた操作入力のX軸方向成分およびY軸方向成分をそれぞれ独立して検出する機能をもった力センサとして、
上面がXY平面に含まれ、この上面の中心部に座標系の原点がくるように配置された基板と、
基板上方のZ軸を中心とした位置に配置され、操作入力を受けて変位する変位部と、基板に固定された固定部と、変位部と固定部とを接続する接続部と、を有し、基板上面に取り付けられた変位生成体と、
基板の上面のX軸正領域、X軸負領域、Y軸正領域、Y軸負領域にそれぞれ配置された第1の抵抗体、第2の抵抗体、第3の抵抗体、第4の抵抗体と、
変位部の下面の第1の抵抗体、第2の抵抗体、第3の抵抗体、第4の抵抗体にそれぞれ対向する位置に配置された第1の接触用導電体、第2の接触用導電体、第3の接触用導電体、第4の接触用導電体と、
を有し、
接続部は可撓性を有しており、変位部に操作入力が加えられたときに、接続部が撓みを生じることにより、変位部の下面が基板の上面に対して変位を生じ、この変位に基づいて、各接触用導電体の各抵抗体に対する接触状態が変化するように構成され、
各接触用導電体は、弾性変形する導電性材料から構成されており、かつ、各抵抗体に対する接触状態の変化に基づいて接触面の面積が変化する形状を有しており、この接触面の面積の変化に基づいて、変位部に加えられた操作入力のX軸方向成分およびY軸方向成分を検出できる力センサを用いるようにしたものである。
【0020】
(13) 本発明の第13の態様は、上述の第12の態様に係る電子機器用入力装置において、
基板の上面の原点近傍領域に第5の抵抗体を更に設け、変位部の下面の第5の抵抗体に対向する位置に第5の接触用導電体を設け、第5の接触用導電体の第5の抵抗体に対する接触状態に基づいて、操作入力検出部から電子機器に対して、クリック操作の入力が行われるようにしたものである。
【0021】
(14) 本発明の第14の態様は、上述の第8〜第13の態様に係る電子機器用入力装置において、
操作量モードと混合モードとの少なくとも2通りのモードを設定する機能を有し、電子機器が実行しているプログラムに応じて、いずれかのモードを設定するモード設定部を更に設け、
操作入力取扱部は、操作量モードが設定されている場合には、操作入力検出部によって検出された検出値を、検出軸についての操作量として電子機器に与える操作量モード動作を行い、混合モードが設定されている場合には、混合モード動作を行うようにしたものである。
【0022】
(15) 本発明の第15の態様は、上述の第8〜第13の態様に係る電子機器用入力装置において、
スイッチモードと混合モードとの少なくとも2通りのモードを設定する機能を有し、電子機器が実行しているプログラムに応じて、いずれかのモードを設定するモード設定部を更に設け、
操作入力取扱部は、スイッチモードが設定されている場合には、操作入力検出部によって検出された検出値の絶対値を所定のしきい値と比較し、しきい値を越えていればON状態を示す信号を、しきい値を越えていなければOFF状態を示す信号を、検出軸の正方向もしくは負方向に関するスイッチ動作として電子機器に与えるスイッチモード動作を行い、混合モードが設定されている場合には、混合モード動作を行うようにしたものである。
【0023】
(16) 本発明の第16の態様は、上述の第8〜第13の態様に係る電子機器用入力装置において、
操作量モードとスイッチモードと混合モードとの少なくとも3通りのモードを設定する機能を有し、電子機器が実行しているプログラムに応じて、いずれかのモードを設定するモード設定部を更に設け、
操作入力取扱部は、操作量モードが設定されている場合には、操作入力検出部によって検出された検出値を、検出軸についての操作量として電子機器に与える操作量モード動作を行い、スイッチモードが設定されている場合には、操作入力検出部によって検出された検出値の絶対値を所定のしきい値と比較し、しきい値を越えていればON状態を示す信号を、しきい値を越えていなければOFF状態を示す信号を、検出軸の正方向もしくは負方向に関するスイッチ動作として電子機器に与えるスイッチモード動作を行い、混合モードが設定されている場合には、混合モード動作を行うようにしたものである。
【0024】
(17) 本発明の第17の態様は、上述の第1〜第16の態様に係る電子機器用入力装置において、
操作入力検出部が、力センサによって検出されたX軸方向成分およびY軸方向成分に基づいて、X軸の正方向、X軸の負方向、Y軸の正方向、Y軸の負方向の4方向のいずれか1つに関する操作入力を、選択的に検出する機能を有するようにしたものである。
【0025】
(18) 本発明の第18の態様は、上述の第17の態様に係る電子機器用入力装置において、
操作入力検出部が、更に、X軸およびY軸に対して45°をなすV軸およびW軸を定義したときに、V軸の正方向、V軸の負方向、W軸の正方向、W軸の負方向の斜め4方向に関する操作入力を、力センサによって検出されたX軸方向成分およびY軸方向成分を合成することにより検出する機能を有し、合計8方向のいずれか1つに関する操作入力を選択的に検出する機能を有するようにしたものである。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示する実施形態に基づいて説明する。
【0027】
§1.従来の一般的な電子機器用入力装置
はじめに、携帯電話やゲーム遊戯装置などの電子機器で用いられている従来の一般的な電子機器用入力装置の構成を簡単に述べておく。既に述べたように、この種の入力装置としては、スイッチを利用した第1のタイプの装置と、力センサを利用した第2のタイプの装置とが主に利用されている。
【0028】
図1および図2は、この第1のタイプの装置の上面図である。ここでは、便宜上、図示のような方向にX軸およびY軸を定義して、以下の説明を行うことにする。図1に示す入力装置1には、5つのボタンB11〜B15が配置されている。ボタンB11,B12はX軸上に配置され、X軸正方向(右)および負方向(左)へのスイッチ動作を入力するために利用される。一方、ボタンB13,B14はY軸上に配置され、Y軸正方向(上)および負方向(下)へのスイッチ動作を入力するために利用される。この4つのボタンにより、上下左右の4方向へのスイッチ動作入力が可能になる。中央に配置されたボタンB15は、方向性をもたないスイッチ動作入力(たとえば、クリック操作)に利用される。
【0029】
図2に示す入力装置2には、9つのボタンB21〜B29が配置されている。ボタンB22,B26はX軸上に配置され、X軸正方向(右)および負方向(左)へのスイッチ動作を入力するために利用される。ボタンB26,B24はY軸上に配置され、Y軸正方向(上)および負方向(下)へのスイッチ動作を入力するために利用される。更に、ボタンB21,B23,B25,B27は、斜め45°の軸上に配置され、それぞれ斜め方向へのスイッチ動作を入力するために利用される。中央に配置されたボタンB29は、方向性をもたないスイッチ動作入力(たとえば、クリック操作)に利用される。
【0030】
このように、複数のスイッチのボタンを所定位置に配置した入力装置では、4方向あるいは8方向へのスイッチ動作入力を行うことができるが、このスイッチ動作入力は、あくまでもスイッチのONまたはOFFの二値状態を示す入力であり、操作量を示す入力ではない。ただ、所定方向への操作量は、ボタンを押す回数により、電子機器に伝達することができ、たとえば、「カーソルを2ますだけ右へ移動させる」というような微小な操作量を正確に伝えるときには、図1および図2に示すようなスイッチを利用した第1のタイプの装置が適している。
【0031】
これに対し、図3〜図5に示す入力装置は、力センサを利用した第2のタイプの装置であり、一般に、ジョイスティックと呼ばれる装置である。ここでは、便宜上、図示のような方向にX軸,Y軸,Z軸を定義して、以下の説明を行うことにする。図3は、ゲージ抵抗式力センサを利用したジョイスティック3の斜視図である。XY平面上には、基板3Aが配置され、この基板3A上のZ軸に沿った位置に四角柱状のスティック3Bが取り付けられている。このスティック3Bの4つの側面には、それぞれゲージ抵抗G11〜G14が貼り付けられている。操作者は、スティック3BをX軸あるいはY軸の正または負方向に倒すような力を加えることにより、操作入力を与えることができる。たとえば、スティック3BをX軸正方向に倒すような力を加えれば、ゲージ抵抗G11は縮み、ゲージ抵抗G12は伸びることになり、それぞれ抵抗値に変化が生じる。そこで、これら両ゲージ抵抗の抵抗値の差を求めることにより、X軸方向に作用した力の方向(正方向か負方向か)と大きさを検出することができる。同様に、ゲージ抵抗G13,G14を利用して、Y軸方向に作用した力の方向と大きさを検出することができる。
【0032】
図4および図5は、容量式力センサを利用したジョイスティック4の側面図および上面図である。XY平面上には、基板4Aが配置され、その上に、金属板からなるダイヤフラム4Bが配置されている。このダイヤフラム4Bの上面には、スティック4Cが取り付けられており、ダイヤフラム4Bは、基板4Aの上面にビス4Dで固定されている。また、基板4Aの上面には、固定電極E1,E2が配置されており、ダイヤフラム4Bは、それ自身が、これら固定電極E1,E2に対向する変位電極として機能する。かくして、固定電極E1と変位電極4B(ダイヤフラム)とによって第1の容量素子C1が形成され、固定電極E2と変位電極4B(ダイヤフラム)とによって第2の容量素子C2が形成される。ここで、操作者が、スティック4CをX軸正または負方向に倒すような操作入力を加えると、容量素子C1,C2の電極間隔がそれぞれ変化するため(たとえば、X軸正方向に倒すと、容量素子C1の電極間隔は狭くなり、容量素子C2の電極間隔は広くなる)、両容量素子C1,C2の静電容量値の差を求めることにより、X軸方向に作用した力の方向(正方向か負方向か)と大きさを検出することができる。
【0033】
この図4および図5に示す容量式のジョイステック4は、X軸方向への操作入力のみを検出するタイプのものであるが、たとえば、図6の上面図に示すように、基板5A上に4枚の固定電極E11〜E14を配置し、この上に、スティックが取り付けられたダイヤフラムを配置すれば、4組の容量素子C11〜C14を構成することができ、X軸方向およびY軸方向への操作入力の検出が可能になる。すなわち、X軸上に配置された容量素子C11,C12の静電容量値の差を求めることにより、X軸方向に作用した力の方向と大きさを検出することができ、Y軸上に配置された容量素子C13,C14の静電容量値の差を求めることにより、Y軸方向に作用した力の方向と大きさを検出することができる。
【0034】
このように、スティックに加えられた力のX軸方向成分およびY軸方向成分を独立して検出できる力センサを用いれば、それ以外の方向成分を演算によって求めることも可能である。すなわち、図7に示すようなXY二次元座標系上に、検出されたX軸方向成分とY軸方向成分とを座標値としてもつ点Qをプロットすれば、この点Qの位置が作用した力の方向を示し、点Qと原点Oとの距離が、作用した力の大きさを示すことになる。たとえば、所定の操作入力を加えた結果、X軸上の点Q(a,0)が得られれば、当該操作入力は、大きさaのX軸正方向の力であり、X軸上の点Q(−b,0)が得られれば、当該操作入力は、大きさbのX軸負方向の力であることが認識できる。また、任意の点Q(x,y)が得られた場合は、原点Oと点Q(x,y)とを結ぶ直線上の方向を向いた操作入力が加えられたものと認識することができる。
【0035】
ただ、操作者が加える操作入力は、人間の大まかな感覚によってなされるものであり、必ずしも厳密な方向性をもっているわけではない。そこで、実用上は、予めいくつかの検出軸を定義しておき、加えられた操作入力は、このいずれかの検出軸に沿った操作入力であるものとして取り扱うのが好ましい。たとえば、上下左右の4方向に関する操作入力のみを検出することができれば十分な場合には、X軸およびY軸の2軸を検出軸に設定すればよい。この場合、検出されたX軸方向成分とY軸方向成分とを座標値としてもつ点Qが、X軸またはY軸上になければ、最寄りのX軸またはY軸への投影点を求め、この投影点に基づいていずれの検出軸に関する操作入力であるかを決定すればよい。たとえば、図示の点Q(x,y)であれば、最寄りのX軸またはY軸への投影点は、Y軸上の点Qyになるので、このときの操作入力は、Y軸正方向への操作入力であるものとして取り扱えばよい(大きさは、原点Oと点Qyとの距離になる)。
【0036】
もちろん、検出軸はX軸およびY軸の2軸に限定されるわけではない。たとえば、図示のように、X軸およびY軸に対して45°をなすV軸およびW軸を定義し、合計4軸を検出軸とすることもできる。この場合、たとえば、点Q(a,a)の位置に相当する操作入力が加えられた場合、当該操作入力は、大きさ[ルート2・a]のV軸正方向の力であることが認識できる。また、図示の点Q(x,y)であれば、最寄りの検出軸への投影点を求めればよい。たとえば、2点Q(x,y),Qyの距離よりも、2点Q(x,y),Qwの距離の方が小さければ、最寄りの検出軸はW軸ということになり、投影点はW軸上の点Qwということになるので、このときの操作入力は、W軸正方向への操作入力であるものとして取り扱えばよい(大きさは、原点Oと点Qwとの距離になる)。
【0037】
このように、予めいくつかの検出軸を定義しておけば、加えられた操作入力をいずれかの検出軸に関する操作入力であるとして取り扱うことが可能になる。実用上は、X軸およびY軸の2本の検出軸を定義し、4方向に関する操作入力を検出できるようにするか、あるいは、更にV軸およびW軸を加えた4本の検出軸を定義し、8方向に関する操作入力を検出できるようにするのが好ましい。もちろん、他の方法で検出軸を定義し、任意の方向に関する操作入力を検出できるようにしてもかまわない。
【0038】
いずれにせよ、この力センサを利用した第2のタイプの入力装置は、所定方向への操作量を入力することができる点が特徴であり、スイッチを利用した第1のタイプの入力装置とは、この点において大きな違いがある。もっとも、この2種類のタイプの入力装置には、それぞれ一長一短があることは、既に述べたとおりであり、スイッチを利用した第1のタイプの入力装置は、ボタンを押す回数で正確な制御が可能になる利点があり、力センサを利用した第2のタイプの入力装置は、任意の操作量を一度の操作で入力することができる利点がある。
【0039】
§2.本発明に係る電子機器用入力装置の基本構成および基本動作
本発明に係る電子機器用入力装置を利用すれば、1台の入力装置によって、特定方向へのスイッチ動作の入力と特定方向への操作量の入力とを、適宜使い分けることができるようになる。本発明の第1の特徴は、操作入力の検出には、力センサを有する入力装置(たとえば、図3〜図6に示すような入力装置でよい)を利用しつつ、その検出値の取り扱いを、モード設定によって使い分けるようにする、ということにある。そして、本発明の第2の特徴は、このモード設定を、電子機器が実行しているプログラムに応じて行うようにした点にある。
【0040】
図8は、本発明に係る電子機器用入力装置の基本構成を示すブロック図である。この入力装置の基本構成要素は、操作入力検出部10、操作入力取扱部20、モード設定部30であり、電子機器40に対して、方向を示す操作入力を行う機能を有している。ここで、電子機器40は、たとえば、携帯電話やゲーム遊戯装置など、所定のプログラムに基づいて所定の処理を実行する装置である。
【0041】
操作入力検出部10は、力センサによって構成され、操作入力が加えられていない状態での出力を零点基準出力とし、所定の検出軸に沿った正方向もしくは負方向への操作入力が加えられた場合に、加えられた操作入力の大きさに応じた正もしくは負の検出値を出力する機能を果たす。具体的には、たとえば、図3〜図6に示すような従来の一般的な力センサを操作入力検出部10として用いることができる。図4および図5に示す力センサは、X軸を検出軸とする一次元力センサであり、このセンサを操作入力検出部10として用いた場合には、X軸に沿った操作入力が得られることになる。
【0042】
これに対し、図3あるいは図6に示す力センサは、X軸およびY軸を検出軸とする二次元力センサであり、このセンサを操作入力検出部10として用いた場合には、X軸およびY軸の2つの検出軸を定義して4方向に関する操作入力を検出することもできるし、更に、図7に示すように、V軸およびW軸を検出軸に加えて、合計8方向に関する操作入力を検出することもできる。もちろん、XY平面上に更に任意の軸を定義し、12方向、16方向など、任意の方向に関する操作入力を検出できるようにしてもよい。たとえば、X,Y,V,Wの4軸を検出軸として8方向に関する操作入力を検出する場合であれば、上述したように、二次元力センサの出力として得られたX軸方向成分およびY軸方向成分に基づいて、加えられた操作入力を示す座標点Q(x,y)を、図7に示すようなXY座標系上にプロットし、最寄りの検出軸Wへの投影点Qwを求めれば、加えられた操作入力を、原点Oと投影点Qwとの距離(あるいは原点Oと座標点Q(x,y)との距離でもよい)を操作量とする検出軸Wに沿った検出値として出力することができる。このように、操作入力検出部10から出力される検出値は、いずれか1つの検出軸に関して、正の最大値から負の最大値へ至る検出範囲内の操作量ということになる。
【0043】
操作入力取扱部20は、この操作入力検出部10から出力される検出値を、電子機器40へと引き渡す仲介機能をもった構成要素である。この操作入力取扱部20が、操作入力検出部10から出力された検出値を取り扱う方法は、モード設定部30において設定されたモードに依存して決定される。モード設定部30には、操作量モードとスイッチモードとのいずれかが設定される。ここで、操作量モードは、操作入力検出部10に対して加えられた操作入力を検出軸に沿った連続的な操作量として取り扱うモードであり、いわば操作入力検出部10を構成する力センサによる検出値をそのまま電子機器40へと伝えるモードである。一方、スイッチモードは、加えられた操作入力を検出軸の正方向もしくは負方向に関するスイッチ動作として取り扱うモードであり、いわば操作入力検出部10を構成する力センサによる検出値を、所定方向に関するON/OFFスイッチの状態を示す信号として電子機器40へと伝えるモードである。
【0044】
モード設定部30は、電子機器40が実行しているプログラムに応じて、この操作量モードとスイッチモードとのいずれか一方のモードを設定する機能を有している。電子機器40は、前述したように、携帯電話やゲーム遊戯装置など、所定のプログラムに基づいて所定の処理を実行する装置であり、電子機器40が、操作者に対して何らかの入力要求を行っている場合、そのような入力要求は、何らかのプログラムの実行に基づいて行われていることになる。モード設定部30は、現在実行中のプログラムに応じて、いずれかのモード設定を行う機能を有している。すなわち、現在実行中のプログラムが、所定の検出軸に沿った連続的な操作量としての操作入力を要求している場合には操作量モードを設定し、所定の検出軸方向へのスイッチ動作としての操作入力を要求している場合にはスイッチモードを設定することになる。
【0045】
現在実行中のプログラムがいずれのモードを要求しているかを具体的に判断するためには、たとえば、電子機器40の実行対象となる個々のプログラムごとに、いずれのモードを要求するかを示すテーブルを用意しておき、このテーブルを参照して、要求されているモードを認識するようにすればよい。あるいは、電子機器40内のメモリやレジスタなどを利用して、モード設定用フラグを用意し、個々のプログラム自身に、自己が要求するモードを示すフラグを設定する機能をもたせるようにしてもよい。なお、本明細書における「プログラム」とは、いわゆる「アプリケーションプログラム」だけではなく、「OSプログラム」、「ライブラリ」、「ルーチン」と呼ばれている種々のプログラムも含む広い概念で用いており、たとえば、同一の「アプリケーションプログラム」が実行中であっても、その中に含まれている各「ルーチン」ごとに、それぞれ異なるモード設定が行われる場合もありうる。
【0046】
操作入力取扱部20は、このようにしてモード設定部30において設定されたモードに応じて、操作入力検出部10からの検出値に対して異なる取り扱いを行い、これを電子機器40へと伝える。すなわち、モード設定部30において操作量モードが設定されている場合には、操作入力検出部10によって検出された検出値を、そのまま当該検出軸についての操作量として電子機器40に与える。一方、モード設定部30においてスイッチモードが設定されている場合には、操作入力検出部10によって検出された検出値の絶対値を所定のしきい値と比較し、しきい値を越えていればON状態を示す信号を、しきい値を越えていなければOFF状態を示す信号を、検出軸の正方向もしくは負方向に関するスイッチ動作として電子機器に与える。
【0047】
上述したように、操作入力検出部10が、加えられた操作入力をある特定の検出軸についての検出値として出力する機能を有する場合には、操作入力取扱部20は、当該特定の検出軸についての検出値を、設定モードに応じた必要な処理を施した上で、電子機器40に与えることになる。操作入力検出部10として、XYZ三次元座標系において加えられた操作入力のX軸方向成分およびY軸方向成分をそれぞれ独立して検出する機能をもった力センサを用いれば、この力センサによって検出されたX軸方向成分およびY軸方向成分に基づいて、特定の検出軸(最寄りの検出軸)に関して加えられた操作入力の大きさに応じた検出値が得られるので、この検出値に設定モードに応じた処理を施した後、電子機器40へ、現在実行中のプログラムに適した操作入力を伝えることができる。
【0048】
図9は、操作入力取扱部20における検出値の取り扱い方法を説明するためのXY座標系を示す図である。操作入力検出部10として、二次元力センサを用いれば、上述したように、XY平面上の任意の検出軸についての検出値を得ることができるが、ここでは、X軸およびY軸の2本の検出軸を定義し、4方向に関する操作入力を検出できる操作入力検出部10を用いた場合を考えてみよう。この場合、二次元力センサによって検出されたX軸方向成分およびY軸方向成分に基づいて、X軸の正方向、X軸の負方向、Y軸の正方向、Y軸の負方向の4方向のいずれか1つに関する操作入力が、操作入力検出部10によって選択的に検出されることになる。
【0049】
たとえば、図9に示すとおり、座標点Q(x1,y1)の位置に相当する操作入力が加えられた場合、操作入力検出部10において、最寄りの検出軸であるX軸上の投影点Q(x1,0)が求められ、X軸の正方向に関して、操作量x1をもった検出値が選択的に出力されることになる。このような検出値に対して、操作入力取扱部20は、2通りの取り扱いを行うことになる。まず、モード設定部30によって操作量モードが設定されていた場合は、操作入力検出部10によって検出された検出値を、そのまま当該検出軸についての操作量として電子機器40に与える処理が行われる。具体的には、「X軸の正方向に関する操作量x1」なる操作入力がそのまま電子機器40へと伝えられることになる。これは、従来の力センサを利用したタイプの入力装置を用いた場合の動作と同等である。一方、モード設定部30によってスイッチモードが設定されていた場合は、操作入力検出部10によって検出された検出値の絶対値を所定のしきい値と比較し、しきい値を越えていればON状態を示す信号を、しきい値を越えていなければOFF状態を示す信号を、検出軸の正方向もしくは負方向に関するスイッチ動作として電子機器40に与える処理が行われる。具体的には、検出値x1の絶対値が、所定のしきい値Thと比較され、絶対値x1>ThであればON状態、絶対値x1≦ThであればOFF状態を示す信号が、スイッチ動作として電子機器40に与えられることになる。図9に示す例では、絶対値x1>Thであるので、X軸正方向に関するON状態を示すスイッチ動作信号が、電子機器40に与えられることになる。これは、従来のスイッチを利用したタイプの入力装置を用いた場合と同等の動作であり、具体的には、図1に示す4方向入力装置におけるスイッチのボタンB11を押す操作入力と等価になる。
【0050】
また、図9に示すとおり、座標点Q(x2,y2)の位置に相当する操作入力が加えられた場合、操作入力検出部10において、最寄りの検出軸であるY軸上の投影点Q(0,y2)が求められ、Y軸の負方向に関して、操作量y2をもった検出値が選択的に出力されることになる。このような検出値に対して、操作入力取扱部20は、2通りの取り扱いを行うことになる。まず、モード設定部30によって操作量モードが設定されていた場合は、操作入力検出部10によって検出された検出値を、そのまま当該検出軸についての操作量として電子機器40に与える処理が行われる。具体的には、「Y軸の正方向に関する操作量y2」なる操作入力がそのまま電子機器40へと伝えられることになる。これは、従来の力センサを利用したタイプの入力装置を用いた場合の動作と同等である。一方、モード設定部30によってスイッチモードが設定されていた場合は、操作入力検出部10によって検出された検出値の絶対値を所定のしきい値と比較し、しきい値を越えていればON状態を示す信号を、しきい値を越えていなければOFF状態を示す信号を、検出軸の正方向もしくは負方向に関するスイッチ動作として電子機器40に与える処理が行われる。具体的には、検出値y2の絶対値が、所定のしきい値Thと比較され、絶対値y2>ThであればON状態、絶対値y2≦ThであればOFF状態を示す信号が、スイッチ動作として電子機器40に与えられることになる。図9に示す例では、絶対値y2≦Thであるので、Y軸負方向に関するOFF状態を示すスイッチ動作信号が、電子機器40に与えられることになる。これは、従来のスイッチを利用したタイプの入力装置を用いた場合と同等の動作であり、具体的には、図1に示す4方向入力装置におけるスイッチのボタンB14から指を離す操作入力と等価になる。
【0051】
以上、X軸およびY軸の2本の検出軸を定義し、4方向に関する操作入力を検出できる操作入力検出部10を用いた場合についての動作を述べたが、更に、X軸およびY軸に対して45°をなすV軸およびW軸を定義し、V軸の正方向、V軸の負方向、W軸の正方向、W軸の負方向の斜め4方向に関する操作入力を、力センサによって検出されたX軸方向成分およびY軸方向成分を合成することにより検出できるようにし、合計8方向のいずれか1つに関する操作入力を選択的に検出する場合の動作も同様である。
【0052】
この8方向の検出を行う場合、操作入力検出部10からは、二次元力センサによって検出されたX軸方向成分およびY軸方向成分に基づいて、X軸,Y軸,V軸,W軸のそれぞれについての正負両方向、合計8方向のいずれか1つを選択して、当該選択された方向に関して所定の検出値が出力されることになる。操作入力取扱部20は、操作量モードが設定されていた場合には、操作入力検出部10によって検出された検出値を、そのまま当該検出軸についての操作量として電子機器40に与える。これは、従来の8方向型力センサを利用したタイプの入力装置を用いた場合の動作と同等である。一方、スイッチモードが設定されていた場合は、検出値の絶対値を所定のしきい値と比較し、しきい値を越えていればON状態を示す信号を、しきい値を越えていなければOFF状態を示す信号を、検出軸の正方向もしくは負方向に関するスイッチ動作として電子機器40に与える。これは、従来のスイッチを利用したタイプの入力装置を用いた場合と同等の動作であり、具体的には、図2に示す8方向入力装置におけるスイッチのボタンB21〜B28による操作入力と同等の操作入力が可能になる。
【0053】
結局、スイッチモードが設定されているときは、図9の座標系に破線で示されているように、原点Oを中心として半径がしきい値Thである境界円αを描いた場合に、加えられた操作入力に対応する座標点(またはその最寄りの検出軸上への投影点)が、境界円α内にあればOFF状態を示すスイッチ動作、境界円α外にあればON状態を示すスイッチ動作、が操作入力取扱部20から電子機器40に伝えられることになる。
【0054】
図10は、本発明に係る電子機器用入力装置の基本動作を示す流れ図である。まず、ステップS1において、操作者からの操作入力が検出され、続いて、ステップS2において、この操作入力に応じた検出軸および検出値が決定される。これらの処理は、操作入力検出部10において行われる処理であり、たとえば、二次元力センサによって操作入力のX軸方向成分およびY軸方向成分が検出され、この検出結果に基づいて、最寄りの1検出軸が決定され、当該検出軸についての検出値が決定されることになる。こうしてステップS2で決定された検出軸および検出値は、操作入力取扱部20へと与えられる。
【0055】
続く、ステップS3では、モード設定部30において設定されているモードに応じた分岐処理が行われる。前述したように、モード設定部30は、現在、電子機器40において実行されているプログラムに基づいて、操作量モードかスイッチモードかのいずれかのモード設定を行う。ここで、操作量モードが設定されていた場合には、ステップS4へと進み、操作入力取扱部20によって、検出値をそのまま当該検出軸に関する操作量として電子機器40へ伝える処理が行われる。一方、スイッチモードが設定されていた場合には、ステップS5へと進み、検出値の絶対値としきい値Thとの比較が行われる。検出値の絶対値がしきい値Thを越えていない場合には、ステップS6へと進み、当該検出軸に関するOFF状態を示すスイッチ動作信号が電子機器40に与えられる。これに対して、検出値の絶対値がしきい値Thを越えていた場合には、ステップS7へと進み、当該検出軸に関するON状態を示すスイッチ動作信号が電子機器40に与えられる。
【0056】
以上で、加えられた操作入力に対する一連の処理は完了し、入力操作が続行される限り、ステップS8を経て、再びステップS1へと戻り、次の操作入力に対する処理を行うことになる。モード設定部30による設定モードは、現在、電子機器40が実行中のプログラムに応じて変化するため、ステップS3における分岐も、その都度変化することになる。
【0057】
図11および図12は、電子機器40が実行中のプログラムと、モード設定部30によって設定されるモードと、の関係の具体的な一例を示す図である。この例は、携帯電話を電子機器40として用いた場合の例であり、図11は、地図を表示させるプログラム(以下、地図プログラムという)を実行中の画面表示例を示す図であり、図12は、何らかのアイコンを選択させるためのプログラム(以下、アイコン選択プログラムという)を実行中の画面表示例を示す図である。ここで、地図プログラムは、画面スクロール機能を有しており、上下左右および斜め4方向を含めた合計8方向のいずれかへの操作入力を与えることにより、画面上の地図が各方向にスクロールする機能を有しているものとし、アイコン選択プログラムは、4列3行に並んだ合計12個のアイコンのうちの1つを選択させる機能を有しているものとする。なお、アイコン選択プログラムでは、選択されているアイコンは、黒枠カーソルCUで囲われた状態で示されるものとし(図の例では、時計アイコンが選択された状態となっている)、上下左右および斜め4方向を含めた合計8方向のいずれかへの操作入力を与えることにより、黒枠カーソルCUを各方向に移動させることができるものとする。
【0058】
このような地図プログラムとアイコン選択プログラムとが用意されていた場合、各プログラムごとに、より適したモード設定を行うことができる。個々のプログラムごとに、いずれのモード設定を行えばよいかは、個々のプログラムの利用形態、操作性、表示対象となる情報量などを総合的に考慮して決める必要があるが、一般的には、図11に示すような地図プログラムの場合であれば、操作量モードに設定し、図12に示すようなアイコン選択プログラムの場合であれば、スイッチモードに設定するのが好ましい。地図プログラムの場合、操作量モードに設定しておけば、たとえば、右方向に10とか、左上方向に4というように、所定の方向と操作量とを入力することができるので、いわばアナログ的な操作が可能になり、スクロール量をアナログ操作量として入力することが可能になる。操作者は、スクロール量を多くしたい場合には、図3に示すスティック3Bや図4に示すスティック4Cの傾斜角度をより大きくした操作入力を行えばよい。
【0059】
これに対して、アイコン選択プログラムの場合、スイッチモードに設定しておけば、たとえば、黒枠カーソルCUを右へ2列分だけ移動させたい場合には、図3に示すスティック3Bや図4に示すスティック4Cを、右方向に2回倒す操作入力を行えばよい。この操作は、図2に示す入力装置におけるボタンB22を2回押す操作と同等であり、黒枠カーソルCUを正確に右へ2列分だけ移動させることが可能になる。これは、いわばデジタル的な操作に対応し、操作回数に基づいて、正確なデジタル量を電子機器40に伝えることができるようになる。
【0060】
なお、モード設定部30によるモード設定処理は、一般的には、個々のプログラムの作成者の意図に基づいて行うようにすればよい。たとえば、図11に示すような地図プログラムの場合、この地図プログラムの作成者が、操作量モードで入力を受け付けた方がより適していると判断したのであれば、このプログラム内に、操作量モードにすべき旨の指示を入れておくようにすればよい。もっとも、本発明を実施する上では、モード設定部30によるモード設定処理は、必ずしもプログラム作成者の意図に従う必要はなく、操作者(プログラムの利用者)の意図によって任意のモード設定を行うようにしてもかまわない。たとえば、電子機器40内のメモリに、個々のプログラムごとのモード設定を示すテーブルを用意しておき、初期設定としては、個々のプログラムごとに、それぞれ作成者が指示したモードを設定しておき、必要に応じて、操作者がこのテーブルを任意に書き換えることができるようにしておけば、個々のプログラムごとに、操作者が最も操作しやすいと考えるモード設定を行うことが可能になる。
【0061】
§3.混合モードを用いる実施形態
上述したように、本発明に係る電子機器用入力装置では、モード設定部30において、操作量モードか、スイッチモードかのいずれかのモード設定を行い、操作入力取扱部20において、各モードに応じた取り扱いを行うことにより、単一の力センサを利用していながら、アナログ的な操作入力(操作量モード)か、デジタル的な操作入力(スイッチモード)かを、実行中のプログラムに応じて選択的に使い分けることが可能になる。ただ、プログラムによっては、この2通りのモード設定だけでは、必ずしも最適な操作性が得られない場合もある。
【0062】
たとえば、図13は、いわゆる表計算プログラムの実行画面の一例を示す図である。このような表計算プログラムでは、縦横に配列された多数のセルからなる画面が表示され、操作者は、特定のセルを選択する操作入力を行う必要がある。たとえば、図示の例では、セルC3(Cの列、3の行に位置するセル)が選択された状態が示されている。ここでは、選択されたセルにハッチングを施して示してある。このように、ある特定のセルが選択されている状態において、選択セルを別なセルに変更するための方法として、通常、入力装置から方向を示す操作入力を与える方法が用意されている。たとえば、図示の状態において、右方向を示す操作入力が与えられた場合、選択セルは、D3,E3,F3,G3というように右方向へと移動し、下方向を示す操作入力が与えられた場合、選択セルは、C3,C4,C5,C6,C7というように下方向へと移動してゆく。もちろん、斜め4方向も含めた合計8方向の操作入力を出力する機能をもった操作入力検出部10を利用している場合には、右下方向といった斜め方向への操作入力を与えることも可能であり、この場合、選択セルは、D4,E5,F6,G7というように右下方向へと移動する。
【0063】
さて、このような表計算プログラムにおける「選択セルの移動」を行うためのプログラムを実行する場合に、いずれのモードが適しているかを考えてみよう。まず、操作量モードに設定した場合を考える。この場合、操作用のスティックを右へ軽く倒した場合の右方向への操作量を1とし、右へ深く倒した場合の右方向への操作量を10とすれば、スティックを倒す角度により、右方向への1〜10の操作量を与えることができる。そこで、操作量1を1セル分の移動に対応させることにすれば、選択セルを1セル分だけ右に移動させる操作入力から、選択セルを10セル分だけ右に移動させる操作入力に至るまで、10段階の操作入力を与えることができる。もちろん、右だけではなく、上下左右あるいは斜め4方向を含めた各方向について、1〜10セル分の任意の移動量を入力することが可能である。したがって、操作量モードで操作を行えば、選択セルを一気に所望の位置まで移動させることが可能になる。ただし、移動量の大きさは、スティックを倒す指の力加減で調節する必要があるので、たとえば、右方向に4セル分だけ移動させようと意図して操作入力を行ったとしても、実際には、5セル分移動してしまう、というような事態も起こり得る。この場合、左方向に1セル分だけ戻そうとしたら、今度は、2セル分移動してしまった、というようなことにもなり兼ねない。このように、操作量モードに設定した場合、一度の操作で任意の移動量を指定できるという利点はあるものの、正確な位置調節には向かないという欠点もある。
【0064】
一方、スイッチモードに設定した場合は、この利点と欠点との関係が逆になる。たとえば、右方向に4セル分だけ移動させたい場合であれば、スティックを右方向に所定量(検出値がしきい値Thを越えるだけの量)だけ倒す操作を、4回繰り返して行えばよい。所定の検出軸に関してON状態への切換を示すスイッチ動作の操作入力があるごとに、選択セルを当該検出軸方向に1セル分だけ移動させるような処理が実行されるようにしておけば、スティックを所定方向にn回倒す操作を行うことにより、選択セルを当該所定方向に正確にnセル分だけ移動させることができる。ただし、nセル分移動させるためには、スティック操作をn回繰り返し行わねばならず、選択セルの移動距離が長くなるほど、操作は煩雑にならざるを得ない。
【0065】
このように、同一のプログラムであっても、操作者の意図している入力内容に応じて、操作量モードを設定した場合が便利な場合と、スイッチモードを設定した場合が便利な場合とが混在するケースもありうる。このような場合には、第3のモードとして、混合モードなるモード設定を行えるようにするとよい。すなわち、モード設定部30は、現在、電子機器40が実行中のプログラムに応じて、操作量モード、スイッチモード、混合モード、の3つのモードを設定する機能を有することになる。ここで、混合モードは、操作量モードとスイッチモードとを混合した取り扱いを行うモードであり、操作入力取扱部20は、この混合モードが設定されていた場合には、第1のしきい値ThLと、第2のしきい値ThHとを用いて、次のような処理を行う(ここで、第1のしきい値ThL<第2のしきい値ThHである)。まず、操作入力検出部10によって検出された検出値の絶対値を、第1のしきい値ThLおよび第2のしきい値ThHと比較する。そして、検出値の絶対値が、第1のしきい値ThLを越えていなければ、OFF状態を示す信号を検出軸の正方向もしくは負方向に関するスイッチ動作として電子機器40に与える。また、検出値の絶対値が、第1のしきい値ThLと第2のしきい値ThHとの間であれば、ON状態を示す信号を検出軸の正方向もしくは負方向に関するスイッチ動作として電子機器40に与える。更に、検出値の絶対値が、第2のしきい値ThHを越えていれば、得られた検出値を検出軸についての操作量として電子機器40に与える。
【0066】
図14は、このような処理の概念を示す二次元座標系の図である。既に述べたように、操作入力検出部10からは、与えられた操作入力が、最寄りのいずれかの選択軸に関する検出値として出力されることになり、この出力は、図14に示すいずれかの検出軸上の座標点として示される。混合モードで処理を行う操作入力取扱部20は、この座標点の位置に応じて、次の3通りの処理を選択的に実行することになる。すなわち、原点Oを中心として、第1のしきい値ThLを半径とする境界円αと、第2のしきい値ThHを半径とする境界円βとを描いた場合に、境界円α内に座標点が位置する場合には、OFF状態を示す信号を検出軸の正方向もしくは負方向に関するスイッチ動作として電子機器40に与え、境界円αとβとの間の中間区間に座標点が位置する場合には、ON状態を示す信号を検出軸の正方向もしくは負方向に関するスイッチ動作として電子機器40に与え、境界円β外に座標点が位置する場合には、得られた検出値をそのまま検出軸についての操作量として電子機器40に与える。
【0067】
別言すれば、力センサのスティックの傾斜角が、境界円α内に含まれる程度の軽い傾斜角であった場合には、当該傾斜方向に対する最寄りの検出軸について、OFF状態を示すスイッチ動作信号が電子機器40に伝えられ、力センサのスティックの傾斜角が、境界円αとβとの間の中間区間に含まれる中程度の傾斜角であった場合には、当該傾斜方向に対する最寄りの検出軸について、ON状態を示すスイッチ動作信号が電子機器40に伝えられ、力センサのスティックの傾斜角が、境界円βの外になる程度の深い傾斜角であった場合には、当該傾斜方向に対する最寄りの検出軸について、当該傾斜角に応じた操作量が電子機器40に与えられることになる。操作者は、スイッチ動作入力を行いたいと意図した場合には、境界円βの内側に相当する範囲内(境界円αの内側も含めて)でのスティック操作を行えばよいし、操作量入力を行いたいと意図した場合には、境界円βの外側に相当するスティック操作を行えばよい。
【0068】
図15は、この混合モードが設定されていた場合の操作入力取扱部20の動作を示す流れ図である。混合モードを含む3種類のモード設定を行う場合、図10のステップS3からの分岐が3通り用意される。前述したように、操作量モードが設定されていた場合にはステップS4へ、スイッチモードが設定されていた場合にはステップS5へ、それぞれ分岐することになるが、混合モードが設定されていた場合には、ステップS3から図15のステップS11へと分岐することになる。このステップS11では、まず、操作入力検出部10から出力された検出値の絶対値が第1のしきい値ThLを越えているか否かが判断される。越えていない場合(境界円α内の場合)は、ステップS12へと進み、OFF状態を示す信号が、検出軸の正方向もしくは負方向に関するスイッチ動作として電子機器40に与えられる。一方、ステップS11において、検出値の絶対値が第1のしきい値ThLを越えていると判断された場合(境界円α外の場合)は、ステップS13へと進み、今度は、検出値の絶対値が第2のしきい値ThHを越えているか否かが判断される。越えていない場合(境界円αとβとの間の場合)は、ステップS14へと進み、ON状態を示す信号が、検出軸の正方向もしくは負方向に関するスイッチ動作として電子機器40に与えられる。ステップS13において、検出値の絶対値が第2のしきい値ThHを越えていると判断された場合(境界円β外の場合)は、ステップS15へと進み、得られた検出値がそのまま検出軸についての操作量として電子機器40に与えられる。こうして、ステップS12,S14,S15のいずれかの処理が実行されたら、図10の流れ図のステップS8を経て、ステップS1へと戻ることになる。
【0069】
このような混合モードは、たとえば、図13に示すような表計算プログラムにおいて、選択セルを移動させるための操作入力を行う場合には便利である。たとえば、図13に示すように、セルC3が選択された状態において、選択セルを右へ2セル分だけ移動させ、セルE3を選択する操作を行う場合であれば、図14に示す境界円αとβとの間の中間領域の範囲内でのX軸正方向への操作量入力を2回繰り返して実行すればよい。この場合、操作入力取扱部20は、X軸正方向へのON状態を示すスイッチ動作が、繰り返して2回行われたことを示す信号を電子機器40へと伝えるので、電子機器40内で動作している「選択セルの移動」を行うためのプログラムが、選択セルを右側(X軸正方向)へ2セル分だけ移動させる処理を行うことになる。
【0070】
一方、図13に示すように、セルC3が選択された状態において、選択セルを右へ4セル分だけ移動させ、セルG3を選択する操作を行う場合であれば、上述したスイッチ動作入力を4回繰り返して行うことも可能であるが、図14に示す境界円βの外側に相当するX軸正方向への操作量入力(4セル分の移動量に相当する操作量入力)を1回実行すればよい。この場合、操作入力取扱部20は、X軸正方向への所定の操作量を電子機器40へと伝えるので、電子機器40内で動作している「選択セルの移動」を行うためのプログラムが、選択セルを右側(X軸正方向)へ4セル分(操作量に相当する分)だけ移動させる処理を行うことになる。もちろん、実際には、4セル分の移動量に相当する操作量を正確に入力することは困難であるが、続けて、スイッチ動作による操作入力を行うことにより、選択セルの位置に対して細かな修正を加えることができるので、実用上は問題は生じない。たとえば、4セル分の移動に相当する操作量を入力するつもりであったのに、実際には3セル分の移動に相当する操作量しか入力されていなかった場合、選択セルは3セル分しか移動しないことになるが、続いて、ON状態のスイッチ動作入力(境界円αとβとの間の中間領域の範囲内での操作入力)を行えば、所期の目的の位置へ選択セルを移動させることができる。
【0071】
このように、混合モードの動作では、操作者の意図によって、操作量モードとスイッチモードとを適宜使い分けることができるので、より柔軟な入力操作が可能になり便利である。しかも、操作者は、セルの移動量が大きい場合には、より大きな操作量(境界円βの外側となるような操作量)を加え、セルの移動量が小さい場合には、中程度の操作量(境界円αとβとの中間領域となるような操作量)を何回かに分けて加える、という直感的な操作を行えばよいので、操作性は極めて良好になる。
【0072】
なお、ここに示す実施形態では、モード設定部30によって、操作量モード、スイッチモード、混合モードのいずれかのモード設定を行い、操作入力取扱部20が、この設定されたモードに応じた処理を実行する例を示したが、入力装置の用途に応じては、混合モード専用で動作する装置も十分に利用価値がある。この場合、モード設定部30を設ける必要はなく、操作入力取扱部20は、常に、上述した混合モードによる処理を実行することになる。あるいは、操作量モードと混合モードとの2通りのモードを設定する機能を有するモード設定部30を設け、電子機器40が実行しているプログラムに応じて、いずれか一方のモードを設定させるようにし、操作入力取扱部20が、設定されているモードに応じて、操作量モード動作あるいは混合モード動作を行うようにしてもよい。また、スイッチモードと混合モードとの2通りのモードを設定する機能を有するモード設定部30を設け、電子機器40が実行しているプログラムに応じて、いずれか一方のモードを設定させるようにし、操作入力取扱部20が、設定されているモードに応じて、スイッチモード動作あるいは混合モード動作を行うようにしてもよい。
【0073】
§4.本発明の利用に適した力センサ
本発明に係る電子機器用入力装置の構成要素である操作入力検出部10は、力センサを利用して構成される。この力センサは、所定の検出軸に沿った操作入力の大きさを連続的な操作量として検出することができる機能を有していればどのようなものを用いてもかまわない。ただ、実用上は、図4および図5に示す一次元力センサか、図3および図6に示す二次元力センサを用いるのが好ましい。特に、二次元力センサを用いれば、加えられた操作入力のX軸方向成分およびY軸方向成分を独立して検出することができるので、X軸およびY軸に関する操作入力だけでなく、前述したV軸やW軸などの任意の検出軸に関する操作入力の検出が可能になる。
【0074】
図4に示す一次元力センサは、図5に示すように、上面に一対の固定電極E1,E2が形成された基板4Aを有しており、この各固定電極E1,E2と対向するダイヤフラム4Bとによって、容量素子C1,C2を構成し、その静電容量値の変化に基づいて、スティック4Cに加えられた操作入力のX軸方向成分を検出する機能を有している。また、既に§1で述べたように、基板4Aの代わりに、図6に示すような基板5Aを用い、4枚の固定電極E11〜E14を配置し、これらに対向するようなダイヤフラムを設ければ、4組の容量素子C11〜C14を有する二次元力センサを構成することができる。この二次元力センサでは、X軸正方向上に配置された容量素子C11の静電容量値とX軸負方向上に配置された容量素子C12の静電容量値との差に基づいて、加えられた操作入力のX軸方向成分を検出することができ、Y軸正方向上に配置された容量素子C13の静電容量値とY軸負方向上に配置された容量素子C14の静電容量値との差に基づいて、加えられた操作入力のY軸方向成分を検出することができる。
【0075】
このような二次元力センサは、結局、XY平面に沿った固定面を有する固定要素(基板5A)と、この固定面に対向する変位面をもった変位要素(ダイヤフラム)と、4組の検出子(容量素子C11〜C14)と、を有し、加えられた操作入力に基づいて変位要素が固定要素に対して変位を生じるように構成され、かつ、4組の検出子が、X軸正方向上、X軸負方向上、Y軸正方向上、Y軸負方向上にそれぞれ配置され、X軸上に配置された検出子によって、加えられた操作入力のX軸方向成分を検出し、Y軸上に配置された検出子によって、加えられた操作入力のY軸方向成分を検出することができるタイプのセンサということになる。本発明に係る電子機器用入力装置には、このようなタイプの二次元力センサを用いるのが適している。
【0076】
なお、実用上は、更に、加えられた操作入力のZ軸方向成分を検出できるようにし、検出されたZ軸方向成分に基づいて、操作入力検出部10から電子機器40に対して、クリック操作の入力が行われるようにするのが好ましい。このクリック操作の入力は、図1に示すスイッチを利用した4方向入力装置における中央ボタンB15の操作や、図2に示すスイッチを利用した8方向入力装置における中央ボタンB29の操作に相当するものである。たとえば、図12に示すアイコン選択画面において、黒枠カーソルCUを移動させて所望のアイコンを選択した後、当該選択アイコンに対応するアプリケーションソフトウエアを起動する操作を行うような場合は、通常、クリック操作(いわゆるダブルクリック操作も含む)を要求する仕様になっていることが多い。また、図13に示す表計算プログラムの画面において、選択セルを決定した後、当該選択セルに対して何らかの操作を加える場合にも、クリック操作を要求する仕様になっていることが多い。このように、一般的な電子機器の操作入力には、上下左右の4方向あるいは斜めを含めた8方向の方向を示す操作入力とともに、方向の概念をもたないクリック操作入力が利用されることが多い。したがって、実用上は、加えられた操作入力のZ軸方向成分をクリック操作入力として独立して検出できる機能を設けておくのが好ましい。以下、本発明に係る電子機器用入力装置に利用するのに適した、Z軸方向成分をクリック操作入力として検出する機能を有する具体的な力センサの例を3つの実施例について説明する。
【0077】
(1) 第1の実施例に係る力センサ
図16は、本発明に係る電子機器用入力装置に利用するのに適した第1の実施例に係る力センサの側断面図であり、その基本的な技術思想は、特開2001−165790号公報に開示されている。この力センサの主たる構成要素は、基板110と、変位生成体120と、この変位生成体120を基板110上に取り付けるための取付具130である。ここでは、説明の便宜上、図面における右方向にX軸、上方向にZ軸、紙面に垂直方向にY軸をとり、XYZ三次元座標系を定義する。基板110は、上面がXY平面に含まれ、この上面の中心部に座標系の原点Oがくるように配置されている。一方、変位生成体120は、基板上方のZ軸を中心とした位置に配置され、操作入力を受けて変位する変位部121と、基板に固定された固定部123と、変位部121と固定部123とを接続する接続部122と、弾性変形部124と、によって構成されている。
【0078】
変位部121は円柱状の部材であり、接続部122は、この変位部121の周囲に形成された椀を伏せた形状の肉薄の部材であり、固定部123は、更にその周囲に形成された円環状の部材である。固定部123は取付具130によって、基板110上に固定されている。また、弾性変形部124は、変位部121の下面に形成された円柱状の部材である。この変位生成体120自体は、シリコンゴムから構成されており、全体として弾性変形を生じる性質を有する。特に、厚みの薄い接続部122と、下方に突出した弾性変形部124とは、大きな弾性変形を生じる構造となっている。
【0079】
変位部121の下面には、接触用変位電極F20A,配線用電極F20B,変位電極F20Cなる3種類の電極(導電層)が形成されている。接触用変位電極F20Aは、弾性変形部124の底面に形成された円盤状の導電層からなり、配線用電極F20Bは、弾性変形部124の側面に形成された円筒状の導電層からなり、変位電極F20Cは、変位部121の底面の周囲部分に形成されたワッシャ状の導電層からなる。配線用電極F20Bは、接触用変位電極F20Aと変位電極F20Cとの間の配線層として機能し、これら3種類の電極は相互に接続された1枚の導電層を構成している。一方、基板110の上面には、図17の上面図に示すように、合計9枚の電極(図では、電極パターンの形状を明らかにするために、各電極部分にハッチングを施して示す)が形成されている。最も内側には、4枚の接触用固定電極E21〜E24がX軸もしくはY軸上の位置に配置されており、その周囲には円環状の固定電極E29が配置されている。更にその外側には、4枚の固定電極E25〜E28がX軸もしくはY軸上の位置に配置されている。ここで、4枚の接触用固定電極E21〜E24は、接触用変位電極F20Aと接触可能な位置に配置されており、5枚の固定電極E25〜E29は、ワッシャ状の変位電極F20Cに対向する位置に配置されている。
【0080】
ここでは、固定電極E25〜E29と、これに対向するワッシャ状の変位電極F20Cとによって構成される容量素子を、それぞれ容量素子C25〜C29と呼ぶことにする。これらの各容量素子は、変位部121の変位に起因して静電容量値が変化する検出子として機能する。ただし、基板110の上面に形成された各固定電極E21〜E29に対しては、図示されていない配線層によって、この力センサ用の信号処理回路に対する配線がなされているが、変位部121側に形成された変位電極F20Cに対しては、何ら配線は施されていない。したがって、図16に示すように、変位部121に対して何ら操作入力が加えられていない状態では、接触用変位電極F20Aと各接触用固定電極E21とは非接触の状態であり、変位電極F20A,F20B,F20Cは、電気的な浮遊状態を維持する。このため、容量素子C25〜C29の静電容量値を信号処理回路側で検出することはできない。
【0081】
しかしながら、変位部121に所定の操作入力が加えられ、この操作入力が負のZ軸方向成分を有していれば、可撓性をもった接続部122が撓みを生じ、変位部121が基板110に対して変位を生じることになり、弾性変形部124の下端が基板110に接近することになる。やがて、接触用変位電極F20Aが、接触用固定電極E21〜E24のいずれかに接触するのに十分なZ軸方向成分をもった操作入力が加えられると、変位電極F20Cは、接触用固定電極E21〜E24のいずれかに接触状態となった接触用変位電極F20Aを介して、信号処理回路に接続されることになり、操作入力のX軸方向成分およびY軸方向成分がそれぞれ独立して検出される。すなわち、容量素子C25の静電容量値と容量素子C26の静電容量値との差に基づいてX軸方向成分の検出がなされ、容量素子C27の静電容量値と容量素子C28の静電容量値との差に基づいてY軸方向成分の検出がなされる。なお、この実施例では、更に、容量素子C29の静電容量値に基づいて、Z軸方向成分の検出も可能である。
【0082】
図18は、この図16に示す力センサの等価回路である。上述したように、基板110側の電極E21〜E29に対しては配線が施され、それぞれ端子T21〜T29に接続されているが、変位部121側に形成された各電極F20A,F20B,F20Cは、通常は、図示のとおり電気的に浮遊状態となっている。ところが、Z軸方向成分をもった操作入力が加えられると、スイッチSWとして機能する接触用変位電極F20Aが、接触用固定電極E21〜E24のいずれかに接触状態となるので、この接触状態になった接触用固定電極に配線されている端子(T21〜T24のいずれか)と、端子T25〜T29との間の静電容量値を測定することにより、各容量素子C25〜C29の静電容量値を得ることができる。
【0083】
たとえば、操作者が、変位部121の上面を、基板110に向かって押し込みつつ(Z軸負方向の力を加えつつ)、X軸正方向への力を加えたとすると、各容量素子C25〜C29を構成する電極の間隔はいずれも短くなるが、接続部122の撓みや弾性変形部124の弾性変形に基づいて、変位部121がX軸正方向へ偏って変位するため、X軸正方向上に配置された容量素子C25を構成する電極間隔は、X軸負方向上に配置された容量素子C26を構成する電極間隔よりも更に短くなり、容量素子C25の静電容量値の方が容量素子C26の静電容量値よりも大きくなる。かくして、X軸上に配置された両容量素子C25,C26の静電容量値の差を測定すれば、操作入力のX軸方向成分を得ることができる。同様に、Y軸上に配置された両容量素子C27,C28の静電容量値の差を測定すれば、操作入力のY軸方向成分を得ることができ、また、容量素子C29の静電容量値を測定すれば、操作入力のZ軸方向成分を得ることもできる。
【0084】
もっとも、このような各容量素子の静電容量値を検出することができるのは、図18に示す等価回路におけるスイッチSWがONになった以降、すなわち、接触用変位電極F20Aが、接触用固定電極E21〜E24のいずれかに接触状態となった後である。これは、この力センサが、いわゆる「遊び」の領域を有していることを意味し、操作者が変位部121にわずかな操作入力を加えたとしても、そのような操作入力は、信号処理回路によっては検出されないことになる。別言すれば、この実施例に係る力センサを用いた電子機器用入力装置では、変位部121の上面をある程度の力で押し込むような操作入力を加えたときに限り、当該操作入力が有効なものとして検出されることになる。
【0085】
なお、この実施例に係る力センサを用いた場合のクリック操作(X軸もしくはY軸への方向成分をもたない、Z軸負方向のみへの入力操作)の検出は、接触用変位電極F20Aと、4枚の接触用固定電極E21〜E24との接触状態に基づいて行うことが可能である。具体的には、たとえば、変位部121に対して、Z軸負方向のみへの入力操作が加われば、図16に示す弾性変形部124がそのまま真下へ平行移動し、4枚の接触用固定電極E21〜E24のすべてに接触した状態になるので、図18に示す等価回路において、端子T21〜T24のすべてが短絡状態になったことが検出されたときに、クリック操作があったものとして取り扱うようにすればよい。あるいは、容量素子C29の静電容量値が所定のしきい値以上になっているにもかかわらず、有意なX軸方向成分も有意なY軸方向成分も検出されていない場合には、弾性変形部124が真下へ平行移動したものと判断し、クリック操作があったものとして取り扱うことも可能である。なお、この後者の方法でクリック操作を検出する場合は、図17に示す4枚の接触用固定電極E21〜E24を、互いに短絡している1枚の電極におきかえてもかまわない。
【0086】
図19は、上述した第1の実施例に係る力センサ(図16に示す力センサ)の変形例を示す側断面図である。図16に示す力センサと異なる点は、弾性変形部124を設けていない変位生成体120Aを用い、変位部121の下面全体に円盤状の変位電極FF20(図16に示す力センサにおける接触用変位電極F20A,配線用電極F20B,変位電極F20Cの機能を兼ねる)を形成した点と、基板110上には、図16に示す接触用固定電極E21〜E24の代わりに、若干高さのある接触用固定電極EE21〜EE24を設けた点である。高さのある接触用固定電極EE21〜EE24を設けたことにより、変位電極FF20の中央部分が接触用固定電極EE21〜EE24と接触しやすくなるため、弾性変形部124を設けなくても、図16に示す力センサとほぼ同等の機能を果たすことができるようになる。この変形例の場合も、クリック操作を容量素子C29の静電容量値に基づいて検出するのであれば、4枚の接触用固定電極EE21〜EE24は、互いに短絡した1枚の電極におきかえることができる。
【0087】
(2) 第2の実施例に係る力センサ
図20は、本発明に係る電子機器用入力装置に利用するのに適した第2の実施例に係る力センサの側断面図であり、その基本的な技術思想は、特開2002−181640号公報に開示されている。この力センサの主たる構成要素は、基板210と、変位生成体220と、この変位生成体220の中央部を覆うキャップ230と、この変位生成体220を基板210上に取り付けるための取付具240である。ここでは、説明の便宜上、図面における右方向にX軸、上方向にZ軸、紙面に垂直方向にY軸をとり、XYZ三次元座標系を定義する。基板210は、上面がXY平面に含まれ、この上面の中心部に座標系の原点Oがくるように配置されている。一方、変位生成体220は、基板上方のZ軸を中心とした位置に配置され、操作入力を受けて変位する変位部221と、基板に固定された固定部223と、変位部221と固定部223とを接続する接続部222と、によって構成されている。
【0088】
変位部221は円柱状の部材であり、接続部222は、この変位部221の周囲に形成されたワッシャ状の肉薄の部材であり、固定部223は、更にその周囲に形成された円環状の部材である。固定部223は取付具240によって、基板210上に固定されている。キャップ230は、その本体として機能する操作体231と、この操作体231の中心位置から下方へと伸びた押圧棒232と、によって構成されており、変位部221に接着されている。変位部221の中心位置(Z軸に沿った部分)には、押圧棒232を挿通するための貫通孔が形成されており、押圧棒232は、変位部221の下面から更に下方へと突出している。この実施例では、変位生成体220はゴムなどの弾性材料によって構成され、キャップ230はプラスチックなどの剛性材料によって構成されている。接続部222の部分は肉厚が薄い弾性材料で構成されることになるため、十分な可撓性を有している。
【0089】
基板210は、平板状の基本構成要素であり、この実施例の場合、一般的な回路実装用のプリント回路基板を用いている。このように基板210としてプリント回路基板を用いると、電極や配線を基板210上に形成することが容易になり、量産に適した力センサを実現することができる。図21は、この基板210の上面図である。基板210の中心、すなわち、原点Oの位置には、薄型スイッチ250が配置されている。この薄型スイッチ250は、クリック操作入力の検出に用いられるスイッチであり、上方から押し込むような力(Z軸方向成分を有する押圧力)に基づいて動作する。すなわち、定常状態ではOFF状態を維持しているが、押圧力が加わるとON状態に変化する。薄型スイッチ250の具体的な構造は、どのようなものを採用してもかまわないが、この実施例では、金属ドーム251(基板210の中心位置に、椀を伏せるようにして配置されている)の変形を利用して動作する機械式スイッチを用いている。
【0090】
この薄型スイッチ250の周囲には、4枚の内側電極E31〜E34が形成されており、更にその外側には、円環状の単一の共通外側電極E30が形成されている。ここで、第1の内側電極E31はX軸正方向位置に配置され、第2の内側電極E32はX軸負方向位置に配置され、第3の内側電極E33はY軸正方向位置に配置され、第4の内側電極E34はY軸負方向位置に配置されている。各内側電極はいずれも形状および大きさが同一となっており、原点Oから同一距離だけ離れた位置に、X軸もしくはY軸に関して対称となるように配置されている。これは、X軸操作入力とY軸操作入力との感度を等しくし、かつ、両者の干渉を避けるための配慮である。一方、共通外側電極E30は、各内側電極E31〜E34の周囲を取り囲むように配置された単一の円環状の電極であり、その中心は原点Oに一致する。この共通外側電極E30の更に外側に破線で描かれた円は、図20に示されている変位生成体220の外周輪郭位置を示している。
【0091】
もっとも、共通外側電極E30は必ずしも物理的に単一の環状電極によって構成する必要はない。すなわち、原理的には、第1の内側電極E31より外側に配置された第1の外側電極と、第2の内側電極E32より外側に配置された第2の外側電極と、第3の内側電極E33より外側に配置された第3の外側電極と、第4の内側電極E34より外側に配置された第4の外側電極と、を基板上に配置すればよい。ただ、後述するように、この実施例で用いる検出回路では、これら各外側電極は電気的に等電位になるように接続されるので、実用上は、物理的に独立した4枚の外側電極をそれぞれ配置するよりも、図示のとおり、物理的に単一の共通外側電極E30を配置するのが好ましい。
【0092】
図20の側断面図は、この力検出装置をXZ平面で切断した断面図に相当する。ただ、図が繁雑になるのを避けるため、この図20および後述する図22では、基板210上に形成された各電極については、その断面部分のみを示し、断面より奥に見える部分についての図示は省略している。また、4枚の内側電極E31〜E34の上面には、それぞれ絶縁膜Rが形成されている(図21の上面図においては、絶縁膜Rの図示は省略されている)。この絶縁膜Rは、ある程度の抵抗をもった一般的なレジスト層によって構成すればよい。
【0093】
一方、変位生成体220の下面(変位部221の外側部分および接続部222の内側部分)には、ワッシャ状の変位電極E40が配置されている。この変位電極E40は、図20の側断面図に示されているとおり、各内側電極E31〜E34と、共通外側電極E30とのそれぞれに対向するような形状および大きさを有しており、変位生成体220下面の変位を生じる位置に形成されている。その結果、第1の内側電極E31と変位電極E40の一部分とによって第1の容量素子C31が形成され、第2の内側電極E32と変位電極E40の一部分とによって第2の容量素子C32が形成され、第3の内側電極E33と変位電極E40の一部分とによって第3の容量素子C33が形成され、第4の内側電極E34と変位電極E40の一部分とによって第4の容量素子C34が形成されることになる。各内側電極E31〜E34の上面に形成された絶縁膜Rは、各内側電極と変位電極E40とが電気的に接触しないようにする機能を果たしている。
【0094】
続いて、この力センサの機能を説明しよう。ここでは、図22に示すような操作入力F31が加えられた場合を例にとって説明を行うことにする。このようなX軸正方向への操作入力F31が加えられると、変位生成体220は図22に示すような変形を生じる。すなわち、操作入力F31により接続部222が撓み、変位部221がX軸正方向に向けて傾斜することになる。このとき、押圧棒232の先端が支点の役割を果たすことになるが、押圧棒232を下方(Z軸負方向)に押すための十分な力はまだ作用していないため、薄型スイッチ250はOFF状態のままである。このように、変位部221がX軸正方向に向けて傾斜すると、第1の容量素子C31(第1の内側電極E31と変位電極E40の対向部分とによって構成される容量素子)の電極間隔は狭くなり、逆に、第2の容量素子C32(第2の内側電極E32と変位電極E40の対向部分とによって構成される容量素子)の電極間隔は広くなる。その結果、第1の容量素子C31の静電容量値C31は増加し、第2の容量素子C32の静電容量値C32は減少する。したがって、静電容量値C31,C32の差をとれば、この差は、変位部221のX軸方向への傾斜量を示すことになる。
【0095】
逆に、変位部221をX軸負方向に向けて傾斜させるような操作入力が加えられた場合は、図22における左右を逆にした状態となり、第1の容量素子C31の静電容量値C31は減少し、第2の容量素子C32の静電容量値C32は増加する。したがって、静電容量値C31,C32の差をとれば、この差の符号は逆転する。結局、静電容量値C31,C32の差の符号は、加えられた操作入力のX軸方向成分の符号(X軸正方向か、X軸負方向か)を示し、差の絶対値は、加えられた操作入力のX軸方向成分の絶対値を示すことになる。同様に、Y軸方向成分の符号および操作量は、第3の容量素子C33の静電容量値C33と第4の容量素子C34の静電容量値C34との差によって検出することができる。
【0096】
なお、ここでは、所定の操作入力が与えられたときに、X軸上あるいはY軸上に配置された一対の容量素子の静電容量値の一方が増加し、他方が減少する、というケースを示したが、場合によっては、一対の容量素子の静電容量値が双方ともに増加する、というケースもありうる。たとえば、押圧棒232が変形する材質から構成されており、操作入力F31を加えることにより長さ方向に収縮するような場合、操作入力F31の作用により全容量素子の電極間隔が狭くなり、全容量素子の静電容量値が増加する。しかし、このように全容量素子の静電容量値が増加するような場合であっても、X軸上あるいはY軸上に配置された一対の容量素子の静電容量値の差によって、操作入力のX軸方向成分あるいはY軸方向成分を検出できる点については変わりはない。
【0097】
実際には、図23に示すような検出回路を用意しておき、X軸方向成分およびY軸方向成分の検出を行うようにすればよい。ここで、C/V変換回路261〜264は、それぞれ容量素子C31〜C34の静電容量値を電圧値V31〜V34に変換する回路であり、差分回路265,266は、各電圧値の差を出力する回路である。すなわち、差分回路265が出力端子Txに出力する信号は、電圧値V31とV32との差であり、静電容量値C31とC32との差を示す信号ということになる。これは、加えられた操作入力のX軸方向成分を示す信号である。同様に、差分回路266が出力端子Tyに出力する信号は、電圧値V33とV34との差であり、静電容量値C33とC34との差を示す信号ということになる。これは、加えられた操作入力のY軸方向成分を示す信号である。
【0098】
このように、2組の容量素子の静電容量値の差に基づいて、作用した力の方向および量を検出する手法は、既に従来の容量式力センサで利用されている技術であるが、ここに示す実施例の特徴は、各容量素子C31〜C34の静電容量値の検出を行うために、各内側電極E31〜E34と、これに対向する変位電極E40との間の静電容量値を直接測定する代わりに、各内側電極E31〜E34と、共通外側電極E30との間の静電容量値を測定する点にある。たとえば、加えられた操作入力のX軸方向成分がある程度大きい場合、図22に示すように、変位部221がX軸正方向に向けて所定量だけ傾斜し、変位電極E40の一部が共通外側電極E30の一部に接触することになる。したがって、この状態では、共通外側電極E30と変位電極E40とが導通状態となっており、第1の内側電極E31と共通外側電極E30との間の静電容量は、第1の容量素子C31の静電容量値C31を示すことになる。結局、X軸正方向の操作入力、X軸負方向の操作入力、Y軸正方向の操作入力、Y軸負方向の操作入力のいずれの操作入力があったとしても、その操作量が所定のしきい値以上であれば、変位電極E40と共通外側電極E30とがいずれかの箇所で接触した状態になるので、共通外側電極E30と各内側電極E31〜E34との間の電気的特性を測定することにより、各容量素子C31〜C34の静電容量値を求めることが可能になり、与えられた操作入力の各軸方向成分の検出が可能になる。
【0099】
別言すれば、図23に示す回路において、容量素子C31〜C34として描かれている一方の電極はそれぞれ内側電極E31〜E34であるが、もう一方の電極は、本来、容量素子の対向電極となるべき変位電極E40ではなく、基板210側に形成された共通外側電極E30ということになる。したがって、図23に示す検出回路が、本来の検出処理を実行するためには、変位電極E40と共通外側電極E30とがいずれかの箇所で接触し、電気的に導通状態となっていることが前提となる。一般的には、共通外側電極E30を接地電位に接続しておくようにし、変位電極E40と共通外側電極E30とが接触した場合に、変位電極E40が接地電位となるような構成にしておけばよい。
【0100】
なお、この実施例の力センサでは、前述したように、薄型スイッチ250により、クリック操作(X軸もしくはY軸への方向成分をもたない、Z軸負方向のみへの入力操作)の検出が可能になる。薄型スイッチ250は、押圧棒232に加えられた押圧力(Z軸負方向への力)に基づいてON状態となるON/OFFスイッチであるので、この薄型スイッチ250の動作に基づいて、操作入力検出部から電子機器に対して、クリック操作の入力を行うことができる。
【0101】
(3) 第3の実施例に係る力センサ
図24は、本発明に係る電子機器用入力装置に利用するのに適した第3の実施例に係る力センサの側断面図であり、その基本的な技術思想は、特開2001−311671号公報に開示されている。この力センサの主たる構成要素は、基板310と、変位生成体320と、この変位生成体320を基板310上に取り付けるための取付具330である。ここでは、説明の便宜上、図面における右方向にX軸、上方向にZ軸、紙面に垂直方向にY軸をとり、XYZ三次元座標系を定義する。基板310は、上面がXY平面に含まれ、この上面の中心部に座標系の原点Oがくるように配置されている。一方、変位生成体320は、基板上方のZ軸を中心とした位置に配置され、操作入力を受けて変位する変位部321と、基板に固定された固定部323と、変位部321と固定部323とを接続する接続部322と、によって構成されている。
【0102】
変位部321は円柱状の部材であり、接続部322は、この変位部321の周囲に形成された椀状の肉薄の部材であり、固定部323は、更にその周囲に形成された方環状の部材である。固定部323は取付具330によって、基板310上に固定されている。この実施例では、変位生成体320は絶縁性シリコンゴムを一体成型することにより構成されている。接続部322の部分は肉厚が薄いために十分な可撓性を有している。図25は、変位部321に対して、Z軸負方向への操作入力を加えた場合の変位生成体320全体の変形態様を示す側断面図である。接続部322に撓みが生じることにより、変位部321全体が下方へと移動している。
【0103】
基板310は、上述のとおり、XY平面に沿った上面を有する平板状の剛体からなる基板であり、この実施例では、ガラスエポキシ基板が用いられている。基板310の材質は特に限定されるものではないが、後述するように、その上面には互いに電気的に独立した複数の抵抗体を形成する必要があるため、少なくとも抵抗体の形成面には絶縁性をもたせておく必要がある。したがって、実用上は、絶縁性材料からなるガラスエポキシ基板、ポリイミド基板、ガラス基板などを用いるのが好ましい。もちろん、金属板を基板310として用いることも可能であるが、この場合、少なくとも上面の抵抗体形成部分には、絶縁膜を形成する必要がある。
【0104】
図26は、この基板310の上面図であり、一点鎖線の矩形は、この上に配置される変位生成体320の位置を示している。図24に示されている基板310の断面は、図26に示す基板310をX軸に沿って切断した断面である。基板310の上面は、XYZ三次元座標系のXY平面に含まれ、その中心に原点Oが定義されている。図示の通り、この基板310の上面には、6つの抵抗体R1〜R6が形成されている。これらの抵抗体R1〜R6は、この実施例の場合、いずれも平板状のカーボンからなる抵抗体であるが、後述する測定に適した抵抗値を有する材質であれば、どのような材質のものを用いてもよく、また、どのような形状のものを用いてもよい。ただ、実用上は、カーボンなどの材料を用いて、基板310の上面に印刷により形成することができる平板状の抵抗体を用いるのが好ましい。
【0105】
ここで、重要な点は、これら抵抗体R1〜R6の配置である。図示のとおり、第1の抵抗体R1は基板310の上面のX軸正領域に配置されており、第2の抵抗体R2は基板310の上面のX軸負領域に配置されており、第3の抵抗体R3は基板310の上面のY軸正領域に配置されており、第4の抵抗体R4は基板310の上面のY軸負領域に配置されている。これら4枚の抵抗体R1〜R4は、いずれも同一の大きさをもった長方形状をしており、X軸もしくはY軸に関して線対称となるように配置されている。また、原点Oと各抵抗体R1〜R4との距離も同一となるように配置されている。後述するように、第1の抵抗体R1および第2の抵抗体R2は、加えられた操作入力のX軸方向成分の検出に用いられ、第3の抵抗体R3および第4の抵抗体R4は、加えられた操作入力のY軸方向成分の検出に用いられる。
【0106】
一方、第5の抵抗体R5および第6の抵抗体R6は、互いに同一の大きさをもった正方形状をした平板状抵抗体である。ここで、第5の抵抗体R5は、その中心点が原点Oの位置にくるように配置されているのに対して、第6の抵抗体R6は、これら抵抗体群の右下あたりに配置されている。後述するように、第5の抵抗体R5および第6の抵抗体R6は、加えられた操作入力のZ軸方向成分の検出に用いられる。ただし、Z軸方向成分の本来の検出値は第5の抵抗体R5から得られ、第6の抵抗体R6は、標準となる抵抗値の参照用として用いられるにすぎない。したがって、ここでは、第5の抵抗体R5を「Z軸用抵抗体」と呼び、第6の抵抗体R6を「参照用抵抗体」と呼ぶことにする。Z軸用抵抗体R5は、原理的には、基板310の上面のどの位置に配置してもかまわないが、検出感度を高める上では、原点Oの位置(Z軸に交差する位置)に配置するのが好ましい。これは、本実施形態に係る変位生成体320の構造上、その中心部分(Z軸に交差する部分)における変位が最も大きくなるためである。これに対して、参照用抵抗体R6は、単に抵抗値を参照するために利用される抵抗体であるので、基板310上の任意の位置に配置してかまわない。
【0107】
変位生成体320は、この基板310の上面に配置される部材である。この変位生成体320の中央部分に位置する変位部321の下面には、図27に示すように、5つの接触用導電体K1〜K5が形成されている。接触用導電体K1〜K5は、いずれも半球状をしており、弾性変形する導電性材料によって構成されている。ここでは、弾性変形する導電性材料として、導電性シリコンゴムを用いており、接触用導電体K1〜K5は、いずれも導電性シリコンゴムを椀状に成型し、変位部321の下面に接着したものである。ここで、これら接触用導電体K1〜K5の配置は重要である。すなわち、接触用導電体K1〜K5は、それぞれ抵抗体R1〜R5に対向する位置に配置されている。図1の側断面図には、接触用導電体K1,K2,K5が、それぞれ抵抗体R1,R2,R5に対向する位置に配置されている様子が明瞭に示されている。なお、参照用抵抗体R6に対向する位置には、何ら接触用導電体は設けられていない。これは、前述したように、参照用抵抗体R6が抵抗値を参照するために利用される抵抗体であるためである。
【0108】
図25に示すように、変位部321にZ軸負方向成分を含む操作入力が加わると、接続部322に撓みが生じ、変位部321の下面が基板310の上面に対して変位を生じ、各接触用導電体K1〜K5が各抵抗体R1〜R5に接触し、更にその接触状態が変化する。より具体的には、各接触用導電体の各抵抗体に対する接触面の面積が変化することになる。本実施例に係る力センサの基本原理は、このような接触面の面積を抵抗体の抵抗値の変化として検出し、加えられた操作入力の大きさを求めようとする点にある。その原理は次のとおりである。
【0109】
いま、図28(a) の側断面図に示されているように、基板310の上面に1枚の抵抗体Rが形成され、変位部321の下面に半球状の接触用導電体Kが形成されているものとしよう。図28(a) は、変位部321が基板310に接近するように変位し、接触用導電体Kが、その下端点において、抵抗体Rの中心にほぼ点接触している状態を示している。図28(b) は、このときの抵抗体Rの上面図であり、中心位置に示す黒丸Sは、接触用導電体Cの接触面を示している。このように、接触用導電体Kの下端点が抵抗体Rの表面にほぼ点接触している状態では、接触面Sは点に近い微小円となる。
【0110】
さて、ここで、図28(b) に示すように、抵抗体Rの左右両端から配線を引き出し、これらの配線の端部に端子T1,T2を接続し、この両端子T1,T2間の抵抗値を測定してみたとする。別言すれば、抵抗体R上の「接触用導電体Kの接触位置(接触面S)」を挟む2点間の抵抗値が測定されることになる。この場合、接触面Sは点に近い微小円であるため、測定される抵抗値に、接触用導電体Kはほとんど影響を及ぼすことはなく、測定により得られる抵抗値は、抵抗体Rがもっている本来の抵抗値に近い値ということになる。図28(c) は、このような測定系の等価回路である。接触用導電体Kから下方に伸びた矢印は抵抗体Rの中央の点に接触しているだけであり、両端子T1,T2間には、抵抗体Rの本来の抵抗値が現れるだけである。
【0111】
これに対して、図29(a) の側断面図に示されているように、変位部321に対して加えられる図の下方(Z軸負方向)への操作入力が更に大きくなったとすると、接触用導電体Kは、弾性変形する導電性材質(この例の場合、導電性シリコンゴム)から構成されているため、この押圧力により図のように押し潰された状態となり、抵抗体Rに対する接触状態が変化する。接触用導電体Kの形状は、このような接触状態の変化に基づいて接触面の面積が変化する形状(この例では、半球状)となっているため、図示のように、接触用導電体Kが上下方向に潰れた状態になると、接触面の面積が増加する。図29(b) は、このときの抵抗体Rの上面図であり、円Sは、接触用導電体Kの接触面を示している。なお、この円Sの内部に描かれている同心円は、抵抗体Rの表面に加わる圧力分布を示す等圧線である。すなわち、接触圧は円Sの中心ほど大きくなる。
【0112】
このように接触用導電体Kの接触面が大きくなると、両端子T1,T2間の抵抗値に変化が生じることになる。すなわち、接触用導電体Kは導電体であり、抵抗体Rよりもはるかに電流を流しやすい性質をもっているため、両端子T1,T2間を流れる電流は、円Sで示される接触面の部分においては、抵抗体R内を通らずに、接触用導電体K内を迂回してしまうことになる。図29(c) は、このような測定系の等価回路である。接触用導電体Kから下方に伸びた2本の矢印は抵抗体Rの2か所に接触しており、この2か所において電流は接触用導電体K側へと迂回することになる。2本の矢印の間隔は、接触用導電体Kの接触面の大きさに応じて広くなる。結局、接触用導電体Kの抵抗体Rに対する接触面の面積が大きくなればなるほど、両端子T1,T2間の抵抗値は減少することになる。
【0113】
このようにして、変位部321に加えられた操作入力のZ軸負方向成分が大きくなればなるほど、接触用導電体Kの接触面の面積は大きくなり、両端子T1,T2間の抵抗値は小さくなる。操作入力のZ軸負方向成分の大きさと両端子間の抵抗値との間には、必ずしも線形関係は成り立たないが、両者間には一価の関数関係が成り立ち、両端子間の抵抗値を測定することができれば、作用したZ軸負方向成分の大きさを求めることができる。
【0114】
このような原理により、図24に示す力センサを用いれば、変位部321に加えられた操作入力のX軸,Y軸,Z軸の各方向成分を検出できる。この力センサでは、操作入力は、必ずZ軸負方向成分を伴った形で加える必要がある。たとえば、図26に示す基板310の抵抗体R1の上方あたりに位置する変位部321の一部分を指で下方に押し込むような操作入力を加えたとしよう。このように、X軸正方向にずれた位置を押し込むような操作入力は、X軸正方向への操作入力ということになる。この場合、まず、接触用導電体K1が抵抗体R1に接触する。押し込む指の力によって、接触用導電体K1と抵抗体R1とからなる1組だけが接触状態となる場合もあれば、すべての接触用導電体K1〜K5と抵抗体R1〜R5とが接触状態になる場合もある。しかしながら、どのような場合であっても、X軸上に配置された接触用導電体K1とK2とについての潰れ具合を比較すると、K2に比べてK1の方の潰れ具合の方が大きくなる。このため、K1のR1に対する接触面積は、K2のR2に対する接触面積よりも大きくなる。そこで、たとえば、図26に示す抵抗体R1,R2のそれぞれ両端位置の抵抗値を測定したとすれば、抵抗体R1についての抵抗値の方が抵抗体R2についての抵抗値よりも小さくなる。両抵抗値の差が大きければ大きいほど、加えられた操作入力のX軸方向成分は大きいことになる。
【0115】
結局、X軸上に配された抵抗体R1,R2の抵抗値の差により、加えられた操作入力のX軸方向成分の検出を行うことができ、Y軸上に配された抵抗体R3,R4の抵抗値の差により、加えられた操作入力のY軸方向成分の検出を行うことができる。また、この実施例では、抵抗体R5の抵抗値を測定することにより、加えられた操作入力のZ軸方向成分の検出も可能である。この場合は、参照用抵抗体R6の抵抗値と抵抗体R5の抵抗値とを比較すればよく、両者の抵抗値の差が所定のしきい値以上であった場合には、クリック操作があったものと認識し、電子機器に対してクリック操作の入力を伝えるようにすることができる。
【0116】
なお、この実施例に係る力センサを利用する場合は、図30に示すような検出回路を用意しておくとよい。図30(a) に示す回路は、抵抗体R1,R2を用いて操作入力のX軸方向成分の検出値を出力端子Txに出力する検出回路である。この検出回路では、第1の抵抗体R1と第2の抵抗体R2とを、X軸検出用接続点Jxにおいて直列接続することによりX軸検出用抵抗体が形成されている。第1の抵抗体R1あるいは第2の抵抗体R2の両端点としては、図28(b) に示すように、長方形状をした抵抗体の左右の両短辺上の中央点をとっており、電流が図の左右方向に流れるようにしている。もちろん、各抵抗体Rの両端点としては、接触用導電体Kの接触位置を挟むような2点であれば、どのような端点をとってもかまわないので、たとえば、図28(b) において、長方形状をした抵抗体の上下の両長辺上の中央点をとり、電流が図の上下方向に流れるようにしてもよい。
【0117】
図30(a) の回路では、第1の抵抗体R1と第2の抵抗体R2との直列接続によって構成されるX軸検出用抵抗体は、上端が電源Vccに接続され、下端が接地されており、両端に一定の電源電圧Vccが印加された状態となっている。ここで、出力端子Txに出力される電圧は、X軸検出用接続点Jxにおける電圧であり、電源電圧Vccを、第1の抵抗体R1についての抵抗値と第2の抵抗体R2についての抵抗値とで按分した値に相当する。上述したように、X軸正方向を示す操作入力が加わると、第2の抵抗体R2についての抵抗値に比べて、第1の抵抗体R1についての抵抗値が減少する。したがって、出力端子Txに出力される電圧は上昇することになる。逆に、X軸負方向を示す操作入力が加わると、出力端子Txに出力される電圧は下降することになる。結局、何ら操作入力が加えられていない状態で出力端子Txに出力される電圧値(理論的には、Vcc/2になる)を基準として、この電圧値が上昇した場合には、この上昇幅に相当する大きさをもったX軸正方向の操作入力が加えられ、この電圧値が下降した場合には、この下降幅に相当する大きさをもったX軸負方向の操作入力が加えられたことになる。このように、図30(a) の検出回路を用いれば、出力端子Txの出力電圧に基づいて、加えられた操作入力のX軸方向成分の検出が可能になる。
【0118】
同様に、図30(b) に示す検出回路を用いれば、出力端子Tyの出力電圧に基づいて、加えられた操作入力のY軸方向成分の検出が可能になる。更に、図30(c) に示す検出回路を用いれば、出力端子Tzの出力電圧に基づいて、加えられた操作入力のZ軸方向成分の検出が可能になり、これはクリック操作の検出として利用することができる。
【0119】
以上、本発明に係る電子機器用入力装置への利用に適した力センサをいくつかの実施例に基づいて説明したが、もちろん、本発明はこれら実施例として述べた力センサを利用したものに限定されるわけではなく、この他にも種々のタイプの力センサを利用して実施することが可能である。
【0120】
【発明の効果】
以上のとおり本発明に係る電子機器用入力装置によれば、特定方向へのスイッチ動作の操作入力と特定方向への操作量の操作入力とを、適宜使い分けることが可能な電子機器用入力装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の一般的なスイッチを利用した4方向タイプの入力装置の上面図である。
【図2】従来の一般的なスイッチを利用した8方向タイプの入力装置の上面図である。
【図3】従来の一般的な二次元力センサを利用したタイプの入力装置の斜視図である。
【図4】従来の一般的な一次元力センサを利用したタイプの入力装置の側面図である。
【図5】図4に示す一次元力センサを利用したタイプの入力装置の上面図である。
【図6】図4に示す一次元力センサを利用したタイプの入力装置を二次元力センサに拡張する場合の基板上の電極配置を示す上面図である。
【図7】二次元力センサによって検出された力のX軸方向成分とY軸方向成分とを二次元座標系上にプロットする様子を示す図である。
【図8】本発明に係る電子機器用入力装置の基本構成を示すブロック図である。
【図9】図7に示す二次元座標系上に、しきい値Thを示す境界円αを描いた図である。
【図10】本発明に係る電子機器用入力装置の基本動作を示す流れ図である。
【図11】地図を表示させるプログラムを実行中の表示画面を示す図である。
【図12】アイコンを選択させるプログラムを実行中の表示画面を示す図である。
【図13】表計算プログラムを実行中の表示画面を示す図である。
【図14】図7に示す二次元座標系上に、第1のしきい値ThLを示す境界円αおよび第2のしきい値ThHを示す境界円βを描いた図である。
【図15】本発明に係る電子機器用入力装置の混合モード設定時の動作を示す流れ図である。
【図16】本発明に係る電子機器用入力装置に利用するのに適した第1の実施例に係る力センサの側断面図である。
【図17】図16に示す力センサの基板110上の電極パターンを示す平面図である。
【図18】図16に示す力センサの等価回路である。
【図19】図16に示す力センサの変形例を示す側断面図である。
【図20】本発明に係る電子機器用入力装置に利用するのに適した第2の実施例に係る力センサの側断面図である。
【図21】図20に示す力センサの基板210の上面図である。
【図22】図20に示す力センサの動作を説明する側断面図である。
【図23】図20に示す力センサに利用する検出回路を示す回路図である。
【図24】本発明に係る電子機器用入力装置に利用するのに適した第3の実施例に係る力センサの側断面図である。
【図25】図24に示す力センサの動作を説明する側断面図である。
【図26】図24に示す力センサの基板310の上面図である。
【図27】図24に示す力センサの接触用導電体K1〜K5の配置を示す図である。
【図28】図24に示す力センサにおける接触用導電体Cと抵抗体Rと第1の接触状態を示す側断面図(a) 、平面図(b) 、等価回路(c) である。
【図29】図24に示す力センサにおける接触用導電体Cと抵抗体Rと第2の接触状態を示す側断面図(a) 、平面図(b) 、等価回路(c) である。
【図30】図24に示す力センサに利用する検出回路を示す回路図である。
【符号の説明】
1…スイッチを利用した4方向入力装置
2…スイッチを利用した8方向入力装置
3…ゲージ抵抗式力センサを利用したジョイスティック
3A…基板
3B…スティック
4…容量式力センサを利用したジョイスティック
4A…基板
4B…ダイヤフラム
4C…スティック
4D…ビス
5A…基板
10…操作入力検出部
20…操作入力取扱部
30…モード設定部
40…電子機器
110…基板
120,120A…変位生成体
121…変位部
122…接続部
123…固定部
124…弾性変形部
130…取付具
210…基板
220…変位生成体
221…変位部
222…接続部
223…固定部
230…キャップ
231…操作体
232…押圧棒
240…取付具
250…薄型スイッチ
251…金属ドーム
261〜264…C/V変換回路
265,266…差分回路
310…基板
320…変位生成体
321…変位部
322…接続部
323…固定部
330…取付具
B11〜B15,B21〜B29…スイッチのボタン
CU…黒枠カーソル
C31〜C34…容量素子
E1,E2,E11〜E14…固定電極
E21〜E24…接触用固定電極
E25〜E29…固定電極
EE21〜EE24…接触用固定電極
E30…共通外側電極
E31〜E34…内側電極
E40…変位電極
F20A…接触用変位電極
F20B…配線用電極
F20C…変位電極
FF20…変位電極
F31…操作入力
G11〜G14…ゲージ抵抗
Jx,Jy,Jz…接続点
K,K1〜K5…接触用導電体
Q…座標点,投影点
R…絶縁膜/抵抗体
R1〜R6…抵抗体
S…接触面
SW…スイッチ
Th,ThL,ThH…しきい値
T1,T2,T21〜T29,Tx,Ty,Tz…端子
V31〜V34…電圧
Vcc…電源電圧
α,β…境界円

Claims (18)

  1. 所定のプログラムに基づいて所定の処理を実行する電子機器に対して、方向を示す操作入力を行うための入力装置であって、
    操作入力が加えられていない状態での出力を零点基準出力とし、所定の検出軸に沿った正方向もしくは負方向への操作入力が加えられた場合に、加えられた操作入力の大きさに応じた正もしくは負の検出値を出力する操作入力検出部と、
    加えられた操作入力を前記検出軸に沿った連続的な操作量として取り扱う操作量モードと、加えられた操作入力を前記検出軸の正方向もしくは負方向に関するスイッチ動作として取り扱うスイッチモードと、のいずれかのモードを設定する機能を有し、電子機器が実行しているプログラムに応じて、いずれか一方のモードを設定するモード設定部と、
    前記操作量モードが設定されている場合には、前記操作入力検出部によって検出された検出値を、前記検出軸についての操作量として電子機器に与え、前記スイッチモードが設定されている場合には、前記操作入力検出部によって検出された検出値の絶対値を所定のしきい値と比較し、しきい値を越えていればON状態を示す信号を、しきい値を越えていなければOFF状態を示す信号を、前記検出軸の正方向もしくは負方向に関するスイッチ動作として電子機器に与える操作入力取扱部と、
    を備え、
    前記操作入力検出部が、XYZ三次元座標系において加えられた操作入力のX軸方向成分およびY軸方向成分をそれぞれ独立して検出する機能をもった力センサとして、
    上面がXY平面に含まれ、この上面の中心部に座標系の原点がくるように配置された基板と、
    前記基板上方のZ軸を中心とした位置に配置され、操作入力を受けて変位する変位部と、前記基板に固定された固定部と、前記変位部と前記固定部とを接続する接続部と、を有し、前記基板上面に取り付けられた変位生成体と、
    前記変位部の下面に形成された接触用変位電極と、
    前記基板の前記接触用変位電極に対向する位置に形成された接触用固定電極と、
    前記変位部の変位に起因して静電容量値が変化するように、前記変位部側に形成された変位電極と前記基板側に形成された固定電極とを有する容量素子からなる4組の検出子と、
    を有し、
    前記4組の検出子は、X軸正方向上、X軸負方向上、Y軸正方向上、Y軸負方向上にそれぞれ配置され、X軸上に配置された検出子によって、加えられた操作入力のX軸方向成分を検出し、Y軸上に配置された検出子によって、加えられた操作入力のY軸方向成分を検出し、
    前記接続部は可撓性を有しており、前記変位部に操作入力が加えられたときに、前記接続部が撓みを生じることにより、前記変位部が前記基板に対して変位を生じ、
    前記変位部に操作入力が加えられていない場合には、前記接触用変位電極と前記接触用固定電極とが非接触な状態を保ち、前記座標系におけるZ軸方向成分を含む所定量の操作入力が前記変位部に加えられた場合には、前記接触用変位電極と前記接触用固定電極とが接触状態となり、
    前記容量素子を構成する変位電極と前記接触用変位電極とは電気的に接続されており、前記接触用変位電極と前記接触用固定電極とが接触状態にあるときに、前記接触用固定電極と前記容量素子を構成する固定電極との間の静電容量値の変化を電気的に検出することにより、加えられた操作入力の所定方向成分の大きさを認識できる力センサを用いるようにしたことを特徴とする電子機器用入力装置。
  2. 請求項1に記載の電子機器用入力装置において、
    接触用変位電極と接触用固定電極との接触状態に基づいて、操作入力検出部から電子機器に対して、クリック操作の入力が行われるようにしたことを特徴とする電子機器用入力装置。
  3. 所定のプログラムに基づいて所定の処理を実行する電子機器に対して、方向を示す操作入力を行うための入力装置であって、
    操作入力が加えられていない状態での出力を零点基準出力とし、所定の検出軸に沿った正方向もしくは負方向への操作入力が加えられた場合に、加えられた操作入力の大きさに応じた正もしくは負の検出値を出力する操作入力検出部と、
    加えられた操作入力を前記検出軸に沿った連続的な操作量として取り扱う操作量モードと、加えられた操作入力を前記検出軸の正方向もしくは負方向に関するスイッチ動作として取り扱うスイッチモードと、のいずれかのモードを設定する機能を有し、電子機器が実行しているプログラムに応じて、いずれか一方のモードを設定するモード設定部と、
    前記操作量モードが設定されている場合には、前記操作入力検出部によって検出された検出値を、前記検出軸についての操作量として電子機器に与え、前記スイッチモードが設定されている場合には、前記操作入力検出部によって検出された検出値の絶対値を所定のしきい値と比較し、しきい値を越えていればON状態を示す信号を、しきい値を越えていなければOFF状態を示す信号を、前記検出軸の正方向もしくは負方向に関するスイッチ動作として電子機器に与える操作入力取扱部と、
    を備え、
    前記操作入力検出部が、XYZ三次元座標系において加えられた操作入力のX軸方向成分およびY軸方向成分をそれぞれ独立して検出する機能をもった力センサとして、
    上面がXY平面に含まれ、この上面の中心部に座標系の原点がくるように配置された基板と、
    前記基板上方のZ軸を中心とした位置に配置され、操作入力を受けて変位する変位部と、前記基板に固定された固定部と、前記変位部と前記固定部とを接続する接続部と、を有し、前記基板上面に取り付けられ、前記接続部は可撓性を有しており、前記変位部にX軸操作入力が加えられたときに前記変位部がX軸に対して傾斜するような変位を生じ、前記変位部にY軸操作入力が加えられたときに前記変位部がY軸に対して傾斜するような変位を生じる変位生成体と、
    前記基板上面のX軸正方向位置に配置された第1の内側電極と、
    前記基板上面のX軸負方向位置に配置された第2の内側電極と、
    前記基板上面のY軸正方向位置に配置された第3の内側電極と、
    前記基板上面のY軸負方向位置に配置された第4の内側電極と、
    前記基板上面のX軸正方向位置の前記第1の内側電極より外側に配置された第1の外側電極と、
    前記基板上面のX軸負方向位置の前記第2の内側電極より外側に配置された第2の外側電極と、
    前記基板上面のY軸正方向位置の前記第3の内側電極より外側に配置された第3の外側電極と、
    前記基板上面のY軸負方向位置の前記第4の内側電極より外側に配置された第4の外側電極と、
    前記第1の内側電極、前記第1の外側電極、前記第2の内側電極、前記第2の外側電極、前記第3の内側電極、前記第3の外側電極、前記第4の内側電極、前記第4の外側電極のそれぞれに対向するように、前記変位生成体下面の変位を生じる位置に形成され、前記変位部がX軸正方向に向けて所定量だけ傾斜したときに、その一部分が前記第1の外側電極に接触し、前記変位部がX軸負方向に向けて所定量だけ傾斜したときに、その一部分が前記第2の外側電極に接触し、前記変位部がY軸正方向に向けて所定量だけ傾斜したときに、その一部分が前記第3の外側電極に接触し、前記変位部がY軸負方向に向けて所定量だけ傾斜したときに、その一部分が前記第4の外側電極に接触するように構成された変位電極と、
    前記変位電極がいずれかの外側電極と接触したときに、前記第1の内側電極と前記変位電極とによって構成される第1の容量素子の静電容量を示す第1の静電容量値を、前記変位電極に接触している外側電極と前記第1の内側電極との間の電気的特性に基づいて測定し、前記第2の内側電極と前記変位電極とによって構成される第2の容量素子の静電容量を示す第2の静電容量値を、前記変位電極に接触している外側電極と前記第2の内側電極との間の電気的特性に基づいて測定し、前記第3の内側電極と前記変位電極とによって構成される第3の容量素子の静電容量を示す第3の静電容量値を、前記変位電極に接触している外側電極と前記第3の内側電極との間の電気的特性に基づいて測定し、前記第4の内側電極と前記変位電極とによって構成される第4の容量素子の静電容量を示す第4の静電容量値を、前記変位電極に接触している外側電極と前記第4の内側電極との間の電気的特性に基づいて測定し、前記第1の静電容量値と前記第2の静電容量値との差に基づいて前記X軸操作入力についての検出値を出力し、前記第3の静電容量値と前記第4の静電容量値との差に基づいて前記Y軸操作入力についての検出値を出力する検出回路と、
    を備える力センサを用いるようにしたことを特徴とする電子機器用入力装置。
  4. 請求項3に記載の電子機器用入力装置において、
    変位部下面のZ軸に沿った位置に押圧棒を設け、基板上面の原点近傍位置にON/OFFスイッチを設け、前記押圧棒に加えられた押圧力に基づいて前記ON/OFFスイッチが動作するように構成し、このON/OFFスイッチの動作に基づいて、操作入力検出部から電子機器に対して、クリック操作の入力が行われるようにしたことを特徴とする電子機器用入力装置。
  5. 所定のプログラムに基づいて所定の処理を実行する電子機器に対して、方向を示す操作入力を行うための入力装置であって、
    操作入力が加えられていない状態での出力を零点基準出力とし、所定の検出軸に沿った正方向もしくは負方向への操作入力が加えられた場合に、加えられた操作入力の大きさに応じた正もしくは負の検出値を出力する操作入力検出部と、
    加えられた操作入力を前記検出軸に沿った連続的な操作量として取り扱う操作量モードと、加えられた操作入力を前記検出軸の正方向もしくは負方向に関するスイッチ動作として取り扱うスイッチモードと、のいずれかのモードを設定する機能を有し、電子機器が実行しているプログラムに応じて、いずれか一方のモードを設定するモード設定部と、
    前記操作量モードが設定されている場合には、前記操作入力検出部によって検出された検出値を、前記検出軸についての操作量として電子機器に与え、前記スイッチモードが設定されている場合には、前記操作入力検出部によって検出された検出値の絶対値を所定のしきい値と比較し、しきい値を越えていればON状態を示す信号を、しきい値を越えていなければOFF状態を示す信号を、前記検出軸の正方向もしくは負方向に関するスイッチ動作として電子機器に与える操作入力取扱部と、
    を備え、
    前記操作入力検出部が、XYZ三次元座標系において加えられた操作入力のX軸方向成分およびY軸方向成分をそれぞれ独立して検出する機能をもった力センサとして、
    上面がXY平面に含まれ、この上面の中心部に座標系の原点がくるように配置された基板と、
    前記基板上方のZ軸を中心とした位置に配置され、操作入力を受けて変位する変位部と、前記基板に固定された固定部と、前記変位部と前記固定部とを接続する接続部と、を有し、前記基板上面に取り付けられた変位生成体と、
    前記基板の上面のX軸正領域、X軸負領域、Y軸正領域、Y軸負領域にそれぞれ配置された第1の抵抗体、第2の抵抗体、第3の抵抗体、第4の抵抗体と、
    前記変位部の下面の前記第1の抵抗体、前記第2の抵抗体、前記第3の抵抗体、前記第4の抵抗体にそれぞれ対向する位置に配置された第1の接触用導電体、第2の接触用導電体、第3の接触用導電体、第4の接触用導電体と、
    を有し、
    前記接続部は可撓性を有しており、前記変位部に操作入力が加えられたときに、前記接続部が撓みを生じることにより、前記変位部の下面が前記基板の上面に対して変位を生じ、この変位に基づいて、前記各接触用導電体の前記各抵抗体に対する接触状態が変化するように構成され、
    前記各接触用導電体は、弾性変形する導電性材料から構成されており、かつ、前記各抵抗体に対する接触状態の変化に基づいて接触面の面積が変化する形状を有しており、この接触面の面積の変化に基づいて、前記変位部に加えられた操作入力のX軸方向成分およびY軸方向成分を検出できる力センサを用いるようにしたことを特徴とする電子機器用入力装置。
  6. 請求項5に記載の電子機器用入力装置において、
    基板の上面の原点近傍領域に第5の抵抗体を更に設け、変位部の下面の前記第5の抵抗体に対向する位置に第5の接触用導電体を設け、前記第5の接触用導電体の前記第5の抵抗体に対する接触状態に基づいて、操作入力検出部から電子機器に対して、クリック操作の入力が行われるようにしたことを特徴とする電子機器用入力装置。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の電子機器用入力装置において、
    モード設定部が、更に、操作量モードとスイッチモードとを混合した取り扱いを行う混合モードを設定する機能を有し、
    前記混合モードが設定されている場合には、操作入力取扱部は、操作入力検出部によって検出された検出値の絶対値を第1のしきい値および第2のしきい値(第1のしきい値<第2のしきい値)と比較し、第1のしきい値を越えていなければ、OFF状態を示す信号を前記検出軸の正方向もしくは負方向に関するスイッチ動作として電子機器に与え、第1のしきい値と第2のしきい値との間であれば、ON状態を示す信号を前記検出軸の正方向もしくは負方向に関するスイッチ動作として電子機器に与え、第2のしきい値を越えていれば、前記検出値を前記検出軸についての操作量として電子機器に与える処理を行うことを特徴とする電子機器用入力装置。
  8. 所定のプログラムに基づいて所定の処理を実行する電子機器に対して、方向を示す操作入力を行うための入力装置であって、
    操作入力が加えられていない状態での出力を零点基準出力とし、所定の検出軸に沿った正方向もしくは負方向への操作入力が加えられた場合に、加えられた操作入力の大きさに応じた正もしくは負の検出値を出力する操作入力検出部と、
    この操作入力検出部によって検出された検出値の絶対値を第1のしきい値および第2のしきい値(第1のしきい値<第2のしきい値)と比較し、第1のしきい値を越えていなければ、OFF状態を示す信号を前記検出軸の正方向もしくは負方向に関するスイッチ動作として電子機器に与え、第1のしきい値と第2のしきい値との間であれば、ON状態を示す信号を前記検出軸の正方向もしくは負方向に関するスイッチ動作として電子機器に与え、第2のしきい値を越えていれば、前記検出値を前記検出軸に沿った連続的な操作量として電子機器に与える混合モード動作を行う機能を有する操作入力取扱部と、
    を備え、
    前記操作入力検出部が、XYZ三次元座標系において加えられた操作入力のX軸方向成分およびY軸方向成分をそれぞれ独立して検出する機能をもった力センサとして、
    上面がXY平面に含まれ、この上面の中心部に座標系の原点がくるように配置された基板と、
    前記基板上方のZ軸を中心とした位置に配置され、操作入力を受けて変位する変位部と、前記基板に固定された固定部と、前記変位部と前記固定部とを接続する接続部と、を有し、前記基板上面に取り付けられた変位生成体と、
    前記変位部の下面に形成された接触用変位電極と、
    前記基板の前記接触用変位電極に対向する位置に形成された接触用固定電極と、
    前記変位部の変位に起因して静電容量値が変化するように、前記変位部側に形成された変位電極と前記基板側に形成された固定電極とを有する容量素子からなる4組の検出子と、
    を有し、
    前記4組の検出子は、X軸正方向上、X軸負方向上、Y軸正方向上、Y軸負方向上にそれぞれ配置され、X軸上に配置された検出子によって、加えられた操作入力のX軸方向成分を検出し、Y軸上に配置された検出子によって、加えられた操作入力のY軸方向成分を検出し、
    前記接続部は可撓性を有しており、前記変位部に操作入力が加えられたときに、前記接続部が撓みを生じることにより、前記変位部が前記基板に対して変位を生じ、
    前記変位部に操作入力が加えられていない場合には、前記接触用変位電極と前記接触用固定電極とが非接触な状態を保ち、前記座標系におけるZ軸方向成分を含む所定量の操作入力が前記変位部に加えられた場合には、前記接触用変位電極と前記接触用固定電極とが接触状態となり、
    前記容量素子を構成する変位電極と前記接触用変位電極とは電気的に接続されており、前記接触用変位電極と前記接触用固定電極とが接触状態にあるときに、前記接触用固定電極と前記容量素子を構成する固定電極との間の静電容量値の変化を電気的に検出することにより、加えられた操作入力の所定方向成分の大きさを認識できる力センサを用いるようにしたことを特徴とする電子機器用入力装置。
  9. 請求項8に記載の電子機器用入力装置において、
    接触用変位電極と接触用固定電極との接触状態に基づいて、操作入力検出部から電子機器に対して、クリック操作の入力が行われるようにしたことを特徴とする電子機器用入力装置。
  10. 所定のプログラムに基づいて所定の処理を実行する電子機器に対して、方向を示す操作入力を行うための入力装置であって、
    操作入力が加えられていない状態での出力を零点基準出力とし、所定の検出軸に沿った正方向もしくは負方向への操作入力が加えられた場合に、加えられた操作入力の大きさに応じた正もしくは負の検出値を出力する操作入力検出部と、
    この操作入力検出部によって検出された検出値の絶対値を第1のしきい値および第2のしきい値(第1のしきい値<第2のしきい値)と比較し、第1のしきい値を越えていなければ、OFF状態を示す信号を前記検出軸の正方向もしくは負方向に関するスイッチ動作として電子機器に与え、第1のしきい値と第2のしきい値との間であれば、ON状態を示す信号を前記検出軸の正方向もしくは負方向に関するスイッチ動作として電子機器に与え、第2のしきい値を越えていれば、前記検出値を前記検出軸に沿った連続的な操作量として電子機器に与える混合モード動作を行う機能を有する操作入力取扱部と、
    を備え、
    前記操作入力検出部が、XYZ三次元座標系において加えられた操作入力のX軸方向成分およびY軸方向成分をそれぞれ独立して検出する機能をもった力センサとして、
    上面がXY平面に含まれ、この上面の中心部に座標系の原点がくるように配置された基板と、
    前記基板上方のZ軸を中心とした位置に配置され、操作入力を受けて変位する変位部と、前記基板に固定された固定部と、前記変位部と前記固定部とを接続する接続部と、を有し、前記基板上面に取り付けられ、前記接続部は可撓性を有しており、前記変位部にX軸操作入力が加えられたときに前記変位部がX軸に対して傾斜するような変位を生じ、前記変位部にY軸操作入力が加えられたときに前記変位部がY軸に対して傾斜するような変位を生じる変位生成体と、
    前記基板上面のX軸正方向位置に配置された第1の内側電極と、
    前記基板上面のX軸負方向位置に配置された第2の内側電極と、
    前記基板上面のY軸正方向位置に配置された第3の内側電極と、
    前記基板上面のY軸負方向位置に配置された第4の内側電極と、
    前記基板上面のX軸正方向位置の前記第1の内側電極より外側に配置された第1の外側電極と、
    前記基板上面のX軸負方向位置の前記第2の内側電極より外側に配置された第2の外側電極と、
    前記基板上面のY軸正方向位置の前記第3の内側電極より外側に配置された第3の外側電極と、
    前記基板上面のY軸負方向位置の前記第4の内側電極より外側に配置された第4の外側電極と、
    前記第1の内側電極、前記第1の外側電極、前記第2の内側電極、前記第2の外側電極、前記第3の内側電極、前記第3の外側電極、前記第4の内側電極、前記第4の外側電極のそれぞれに対向するように、前記変位生成体下面の変位を生じる位置に形成され、前記変位部がX軸正方向に向けて所定量だけ傾斜したときに、その一部分が前記第1の外側電極に接触し、前記変位部がX軸負方向に向けて所定量だけ傾斜したときに、その一部分が前記第2の外側電極に接触し、前記変位部がY軸正方向に向けて所定量だけ傾斜したときに、その一部分が前記第3の外側電極に接触し、前記変位部がY軸負方向に向けて所定量だけ傾斜したときに、その一部分が前記第4の外側電極に接触するように構成された変位電極と、
    前記変位電極がいずれかの外側電極と接触したときに、前記第1の内側電極と前記変位電極とによって構成される第1の容量素子の静電容量を示す第1の静電容量値を、前記変位電極に接触している外側電極と前記第1の内側電極との間の電気的特性に基づいて測定し、前記第2の内側電極と前記変位電極とによって構成される第2の容量素子の静電容量を示す第2の静電容量値を、前記変位電極に接触している外側電極と前記第2の内側電極との間の電気的特性に基づいて測定し、前記第3の内側電極と前記変位電極とによって構成される第3の容量素子の静電容量を示す第3の静電容量値を、前記変位電極に接触している外側電極と前記第3の内側電極との間の電気的特性に基づいて測定し、前記第4の内側電極と前記変位電極とによって構成される第4の容量素子の静電容量を示す第4の静電容量値を、前記変位電極に接触している外側電極と前記第4の内側電極との間の電気的特性に基づいて測定し、前記第1の静電容量値と前記第2の静電容量値との差に基づいて前記X軸操作入力についての検出値を出力し、前記第3の静電容量値と前記第4の静電容量値との差に基づいて前記Y軸操作入力についての検出値を出力する検出回路と、
    を備える力センサを用いるようにしたことを特徴とする電子機器用入力装置。
  11. 請求項10に記載の電子機器用入力装置において、
    変位部下面のZ軸に沿った位置に押圧棒を設け、基板上面の原点近傍位置にON/OFFスイッチを設け、前記押圧棒に加えられた押圧力に基づいて前記ON/OFFスイッチが動作するように構成し、このON/OFFスイッチの動作に基づいて、操作入力検出部から電子機器に対して、クリック操作の入力が行われるようにしたことを特徴とする電子機器用入力装置。
  12. 所定のプログラムに基づいて所定の処理を実行する電子機器に対して、方向を示す操作入力を行うための入力装置であって、
    操作入力が加えられていない状態での出力を零点基準出力とし、所定の検出軸に沿った正方向もしくは負方向への操作入力が加えられた場合に、加えられた操作入力の大きさに応じた正もしくは負の検出値を出力する操作入力検出部と、
    この操作入力検出部によって検出された検出値の絶対値を第1のしきい値および第2のしきい値(第1のしきい値<第2のしきい値)と比較し、第1のしきい値を越えていなければ、OFF状態を示す信号を前記検出軸の正方向もしくは負方向に関するスイッチ動作として電子機器に与え、第1のしきい値と第2のしきい値との間であれば、ON状態を示す信号を前記検出軸の正方向もしくは負方向に関するスイッチ動作として電子機器に与え、第2のしきい値を越えていれば、前記検出値を前記検出軸に沿った連続的な操作量として電子機器に与える混合モード動作を行う機能を有する操作入力取扱部と、
    を備え、
    前記操作入力検出部が、XYZ三次元座標系において加えられた操作入力のX軸方向成分およびY軸方向成分をそれぞれ独立して検出する機能をもった力センサとして、
    上面がXY平面に含まれ、この上面の中心部に座標系の原点がくるように配置された基板と、
    前記基板上方のZ軸を中心とした位置に配置され、操作入力を受けて変位する変位部と、前記基板に固定された固定部と、前記変位部と前記固定部とを接続する接続部と、を有し、前記基板上面に取り付けられた変位生成体と、
    前記基板の上面のX軸正領域、X軸負領域、Y軸正領域、Y軸負領域にそれぞれ配置された第1の抵抗体、第2の抵抗体、第3の抵抗体、第4の抵抗体と、
    前記変位部の下面の前記第1の抵抗体、前記第2の抵抗体、前記第3の抵抗体、前記第4の抵抗体にそれぞれ対向する位置に配置された第1の接触用導電体、第2の接触用導電体、第3の接触用導電体、第4の接触用導電体と、
    を有し、
    前記接続部は可撓性を有しており、前記変位部に操作入力が加えられたときに、前記接続部が撓みを生じることにより、前記変位部の下面が前記基板の上面に対して変位を生じ、この変位に基づいて、前記各接触用導電体の前記各抵抗体に対する接触状態が変化するように構成され、
    前記各接触用導電体は、弾性変形する導電性材料から構成されており、かつ、前記各抵抗体に対する接触状態の変化に基づいて接触面の面積が変化する形状を有しており、この接触面の面積の変化に基づいて、前記変位部に加えられた操作入力のX軸方向成分およびY軸方向成分を検出できる力センサを用いるようにしたことを特徴とする電子機器用入力装置。
  13. 請求項12に記載の電子機器用入力装置において、
    基板の上面の原点近傍領域に第5の抵抗体を更に設け、変位部の下面の前記第5の抵抗体に対向する位置に第5の接触用導電体を設け、前記第5の接触用導電体の前記第5の抵抗体に対する接触状態に基づいて、操作入力検出部から電子機器に対して、クリック操作の入力が行われるようにしたことを特徴とする電子機器用入力装置。
  14. 請求項8〜13のいずれかに記載の電子機器用入力装置において、
    操作量モードと混合モードとの少なくとも2通りのモードを設定する機能を有し、電子機器が実行しているプログラムに応じて、いずれかのモードを設定するモード設定部を更に設け、
    操作入力取扱部は、操作量モードが設定されている場合には、操作入力検出部によって検出された検出値を、検出軸についての操作量として電子機器に与える操作量モード動作を行い、混合モードが設定されている場合には、混合モード動作を行うことを特徴とする電子機器用入力装置。
  15. 請求項8〜13のいずれかに記載の電子機器用入力装置において、
    スイッチモードと混合モードとの少なくとも2通りのモードを設定する機能を有し、電子機器が実行しているプログラムに応じて、いずれかのモードを設定するモード設定部を更に設け、
    操作入力取扱部は、スイッチモードが設定されている場合には、操作入力検出部によって検出された検出値の絶対値を所定のしきい値と比較し、しきい値を越えていればON状態を示す信号を、しきい値を越えていなければOFF状態を示す信号を、検出軸の正方向もしくは負方向に関するスイッチ動作として電子機器に与えるスイッチモード動作を行い、混合モードが設定されている場合には、混合モード動作を行うことを特徴とする電子機器用入力装置。
  16. 請求項8〜13のいずれかに記載の電子機器用入力装置において、
    操作量モードとスイッチモードと混合モードとの少なくとも3通りのモードを設定する機能を有し、電子機器が実行しているプログラムに応じて、いずれかのモードを設定するモード設定部を更に設け、
    操作入力取扱部は、操作量モードが設定されている場合には、操作入力検出部によって検出された検出値を、検出軸についての操作量として電子機器に与える操作量モード動作を行い、スイッチモードが設定されている場合には、操作入力検出部によって検出された検出値の絶対値を所定のしきい値と比較し、しきい値を越えていればON状態を示す信号を、しきい値を越えていなければOFF状態を示す信号を、検出軸の正方向もしくは負方向に関するスイッチ動作として電子機器に与えるスイッチモード動作を行い、混合モードが設定されている場合には、混合モード動作を行うことを特徴とする電子機器用入力装置。
  17. 請求項1〜16のいずれかに記載の電子機器用入力装置において、
    操作入力検出部が、力センサによって検出されたX軸方向成分およびY軸方向成分に基づいて、X軸の正方向、X軸の負方向、Y軸の正方向、Y軸の負方向の4方向のいずれか1つに関する操作入力を、選択的に検出する機能を有することを特徴とする電子機器用入力装置。
  18. 請求項17に記載の電子機器用入力装置において、
    操作入力検出部が、更に、X軸およびY軸に対して45°をなすV軸およびW軸を定義したときに、V軸の正方向、V軸の負方向、W軸の正方向、W軸の負方向の斜め4方向に関する操作入力を、力センサによって検出されたX軸方向成分およびY軸方向成分を合成することにより検出する機能を有し、合計8方向のいずれか1つに関する操作入力を選択的に検出する機能を有することを特徴とする電子機器用入力装置。
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