JPH0557858A - 光学用積層シートの製造方法 - Google Patents

光学用積層シートの製造方法

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JPH0557858A
JPH0557858A JP3244765A JP24476591A JPH0557858A JP H0557858 A JPH0557858 A JP H0557858A JP 3244765 A JP3244765 A JP 3244765A JP 24476591 A JP24476591 A JP 24476591A JP H0557858 A JPH0557858 A JP H0557858A
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林次郎 市川
Hiroshi Komori
寛 古森
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 表面平滑性の極めてすぐれた光学用積層シー
ト、殊に液晶表示パネル製造用の電極基板に適した光学
用積層シートを工業上有利に製造する方法を提供するこ
とを目的とする。 【構成】 樹脂層(2) 形成用の樹脂溶液(2a)をタンク
(4)に供給して脱気下に濃縮を行うことにより溶媒量が
樹脂分の5〜100重量%となるまで減少させる。つい
でこの濃縮樹脂溶液(2b)を、予め基材フィルム(1) を供
給してある製膜用ロール(5a)と予め表面粗度0.15μm 以
下の平滑フィルム(3)を供給してある製膜用ロール(5b)
との間隙にタンク(4) から吐出して両フィルム(1),(3)
間に挟持されるようにする。この挟持シートから平滑フ
ィルム(3)のみを剥離除去し、加熱して挟持層(2c)を乾
燥硬化させ、樹脂層(2) となす。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、表面平滑性の極めてす
ぐれた光学用積層シート、殊に液晶表示パネル製造用の
電極基板に適した光学用積層シートを工業上有利に製造
する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】液晶表示用透明電極の基板としては、従
来はガラスが用いられていたが、薄型にできないこと、
耐衝撃性が劣ること、量産化しにくいことなどの問題点
があるため、最近ではプラスチックス基板を用いること
が多くなっており、本出願人においても以下に述べるよ
うないくつかの出願を行っている。
【0003】たとえば、特開昭63−71829号公報
には、ポリカーボネート系樹脂等のシートからなるレタ
ーデーション値30nm以下の基材層の少なくとも片面に
水性アンカーコート層を設けた後、そのアンカーコート
層の上に耐透気性樹脂または/および架橋性樹脂硬化物
からなる単層または複層の保護層を設けた液晶表示パネ
ル用電極基板が示されている。
【0004】特開昭64−50021号公報には、耐透
気性合成樹脂フィルム層と架橋性樹脂硬化物層との積層
体同士が、それぞれの耐透気性合成樹脂フィルム層面が
対向する状態で接着剤層を介して積層一体化された構成
を有する液晶表示パネル用電極基板が示されている。
【0005】特開昭64−50022号公報には、流延
製膜法により形成された耐透気性合成樹脂フィルム層の
両面に、その耐透気性合成樹脂フィルム層と反応しうる
架橋剤を使用した架橋性樹脂硬化物層を流延法により直
接形成させるようにした液晶表示パネル用電極基板の製
造法が示されている。
【0006】特開平2−137922号公報には、耐溶
剤性を有しない樹脂層を有するレターデーション値30
nm以下の基材シートの樹脂層側に、アルコール可溶性紫
外線硬化型接着剤層または水系熱硬化型接着剤層を積層
し、さらにその接着剤層上に剥離性シートを積層した液
晶表示パネル製造用の貼着型積層シートが示されてお
り、基材シートの例として、ポリカーボネート等の樹脂
シート/アンカーコーティング層/耐透気性合成樹脂層
/フェノキシエーテル系架橋重合体層の層構成を有する
シートがあげられている。
【0007】特開平2−149819号公報には、ロー
ル状に巻回可能な電極支持フィルムの片面に透明電極を
設けた構成を有する透明電極付き電極支持フィルムの電
極支持フィルム側を、レターデーション値が80nm以
下、光線透過率が60%以上の母材に貼着により積層一
体化した透明電極付き液晶セル基板が示されており、電
極支持フィルムの例として、樹脂フィルム層/アンカー
コーティング層/架橋性樹脂硬化物層、樹脂フィルム層
/アンカーコーティング層/耐透気性合成樹脂フィルム
層/架橋性樹脂硬化物層、架橋性樹脂硬化物層/耐透気
性合成樹脂フィルム層/アンカーコーティング層/樹脂
フィルム層/アンカーコーティング層/耐透気性合成樹
脂フィルム層/架橋性樹脂硬化物層、架橋性樹脂硬化物
層/耐透気性合成樹脂フィルム層/接着剤層/耐透気性
合成樹脂フィルム層/架橋性樹脂硬化物層などの層構成
を有するフィルムがあげられている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上にあげたシート状基
板を液晶表示パネル製造用の電極基板として用いる場合
は、架橋性樹脂硬化物層上にITO等の透明電極を形成
させ、さらにその上に配向膜を設けてから、液晶セルに
組み立てる。この場合、基板間に封じ込める液晶がTN
(ツイステド・ネマチック)液晶である場合には、透明
電極形成側の基板表面の多少の凹凸は製品品質にほとん
ど影響を及ぼさない。というのは、TN液晶を用いた液
晶セルから組み立てた液晶表示パネルは無彩色であっ
て、濃淡さえはっきりすればパネルとして合格となるか
らである。
【0009】しかしながら、基板間に封じ込める液晶が
STN(スーパー・ツイステド・ネマチック)液晶であ
る場合には、基板間の間隙が5〜6μm 程度にすぎない
にもかかわらずSTN液晶により270゜程度のツイス
トがなされるため、透明電極形成側の基板表面にわずか
の凹凸があっても表示に紫、緑などの色がついて画面が
非常に見にくくなるという事態を生じ、この点がプラス
チックス基板を用いた液晶表示パネルの最大の弱点とな
っていた。上に引用した本出願人の出願にかかる電極基
板も、この問題点については充分な解決がなされていな
かった。
【0010】本発明は、このような背景下において、表
面平滑性の極めてすぐれた光学用積層シート、殊に液晶
表示パネル製造用の電極基板に適した光学用積層シート
を工業上有利に製造する方法を提供することを目的とす
るものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の光学用積層シー
トの製造方法は、樹脂層(2) 形成用の樹脂溶液(2a)をタ
ンク(4) に供給して脱気下に濃縮を行うことにより溶媒
量が樹脂分の5〜100重量%となるまで減少させ、つ
いでこの濃縮樹脂溶液(2b)を、予め基材フィルム(1) を
供給してある製膜用ロール(5a)と予め表面粗度0.15μm
以下の平滑フィルム(3)を供給してある製膜用ロール(5
b)との間隙にタンク(4) から吐出して両フィルム(1),
(3)間に挟持されるようにし、ついでこの挟持シートか
ら平滑フィルム(3)のみを剥離除去すると共に、その剥
離除去操作の前または/および後に加熱を行うことによ
り挟持層(2c)を乾燥硬化して樹脂層(2) となすことを特
徴とするものである。
【0012】以下本発明を詳細に説明する。
【0013】樹脂層(2) を構成する樹脂としては、溶剤
に溶解して被膜を形成しうる樹脂であれば種々のものを
用いることができるが、液晶表示パネル製造用の電極基
板を目的とするときは耐熱性、耐溶剤性、透明電極形成
性などが要求されるので、架橋性樹脂に架橋剤を配合し
た樹脂組成物を用いることが特に望ましい。
【0014】このような架橋性樹脂としては、フェノキ
シエーテル型架橋性樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹
脂、アクリルエポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール
樹脂またはウレタン樹脂などがあげられる。このうち典
型的な例として、フェノキシエーテル型架橋性樹脂とア
クリル樹脂について詳述する。
【0015】架橋性樹脂の中で特に好ましい樹脂は、下
記の化1で示されるフェノキシエーテル型重合体であ
る。
【0016】
【化1】
【0017】(式中、R1 〜R6 は、それぞれ水素、炭
素数1〜3の低級アルキル基またはBr 、R7 は炭素数
2〜4の低級アルキレン基、mは0〜3の整数、nは2
0〜300の整数をそれぞれ意味する。)
【0018】この重合体の水酸基の水素部分に架橋剤で
ある多官能性化合物を架橋反応させると、フェノキシエ
ーテル型架橋重合体が得られる。架橋重合体を得るため
に反応させる架橋剤(多官能性化合物)としては、水酸
基との反応活性が高い基、例えば、イソシアネート基、
カルボキシル基、カルボキシル基における反応性誘導基
(たとえばハライド、活性アミド、活性エステル、酸無
水物基等)、メルカプト等を同一または異なって2以上
有する化合物などが用いられ、特にポリイソシアネート
が重要である。
【0019】アクリル樹脂としては、分子中に少なくと
も3個以上のアクリロイルオキシ基または/およびメタ
アクリロイルオキシ基を含有する化合物(以下、多官能
(メタ)アクリロイルオキシ基含有化合物という)を主
成分とする多官能不飽和単量体または/およびその初期
ラジカル反応物を主成分とする組成物をあげることがで
きる。特に好ましいのは、分子中に少なくとも3個以上
の(メタ)アクリロイルオキシ基を含有する多官能不飽
和単量体を、全不飽和単量体に対して50重量%以上、
好ましくは70重量%、特に好ましくは90重量%以上
含有する不飽和単量体混合物または/およびその初期ラ
ジカル反応物から成る組成物である。
【0020】樹脂層(2) が架橋性樹脂硬化物層である場
合は、その厚さは、通常2〜500μm 、好ましくは3
μm 〜200μm とすることが多い。
【0021】基材フィルム(1) としては、基材樹脂層、
耐透気性樹脂層、架橋性樹脂硬化物層、これらの層の積
層体などがあげられ、殊に、基材樹脂層/耐透気性樹脂
層、基材樹脂層/耐透気性樹脂層/架橋性樹脂硬化物
層、架橋性樹脂硬化物層/耐透気性樹脂層/基材樹脂層
/耐透気性樹脂層、架橋性樹脂硬化物層/耐透気性樹脂
層/基材樹脂層/耐透気性樹脂層/架橋性樹脂硬化物
層、架橋性樹脂硬化物層/耐透気性樹脂層/耐透気性樹
脂層/架橋性樹脂硬化物層などの層構成が重要である。
なお積層構成の場合は、層間にアンカーコーティング層
や接着剤層を設けることができる。
【0022】ここで基材樹脂層としては、ポリカーボネ
ート、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルスルホ
ン、ポリスルホン、ポリアリレート、アモルファスポリ
オレフィン、ポリパラバン酸系樹脂、ポリアミドなどが
あげられる。基材樹脂層は熱変形温度が80℃以上であ
ることが望ましい。基材樹脂層は流延法や押出法により
得られ、その厚さは30μm 〜3mm程度とすることが多
い。
【0023】耐透気性樹脂層を構成する耐透気性樹脂と
しては、たとえば、アクリロニトリル成分、ビニルアル
コール成分またはハロゲン化ビニリデン成分を50モル
%以上含有する重合体から形成された層があげられ、特
にポリビニルアルコールまたはその共重合変性物あるい
はグラフト物、エチレン含量が15〜50モル%のエチ
レン−ビニルアルコール共重合体など、水酸基を有する
ポリマーが重要である。
【0024】耐透気性樹脂層は通常流延法により形成さ
れ、その酸素透過率(ASTM D-1434-75に準じて測定)が
30cc/24hr・m2・atm 以下、殊に20cc/24hr・m2
atm以下さらには10cc/24hr・m2・atm 以下であるこ
とが望ましい。耐透気性樹脂層の厚さは、1〜50μm
、殊に2〜20μm の範囲に設定するのが適当であ
る。1μm 未満では耐透気性が不充分であり、50μm
を越えると薄膜化の趨勢に反することになる。
【0025】架橋性樹脂硬化物層としては、先に樹脂層
(2) の説明のところで述べたような架橋性樹脂硬化物層
が用いられる。
【0026】平滑フィルム(3)としては、二軸延伸ポリ
エチレンテレフタレートシート、二軸延伸ポリブチレン
テレフタレートシート、二軸延伸ポリエチレンナフタレ
ートシート等の二軸延伸ポリエステルフィルムや、二軸
延伸ポリプロピレンフィルムなどが用いられ、コストお
よび平滑性を加味すると二軸延伸ポリエチレンテレフタ
レートフィルムが特に重要である。
【0027】平滑フィルム(3) は、その表面粗度が0.15
μm以下、好ましくは0.05μm 以下、さらには0.01μm
以下であることが要求され、表面粗度が0.15μm よりも
大きくなると所期の平滑性を有する光学用積層シートが
得られなくなる。上記の二軸延伸ポリエチレンテレフタ
レートフィルムのうち填料を配合しないものは、二軸延
伸により表面平滑性が顕著に向上するので、平滑性を極
限にまで上げることができる。
【0028】本発明においては、まず樹脂層(2) 形成用
の樹脂溶液(2a)をタンク(4) に供給して脱気下に濃縮を
行い、溶媒量が樹脂分の5〜100重量%、好ましくは
15〜80重量%となるまで減少させて濃縮樹脂溶液(2
b)となす。濃縮の程度が小さすぎるときは、後述の挟持
層(2c)が流動しやすいため表面平滑な樹脂層(2) が得ら
れず、また後述の工程で平滑フィルム(3) が粘着して剥
離しにくくなり、一方濃縮が行きすぎたときには、挟持
層(2c)が変形しないようになるため樹脂層(2)の表面平
滑性が得られなくなり、共に所期の目的を達成しえなく
なる。
【0029】次にこの濃縮樹脂溶液(2b)を、予め基材フ
ィルム(1)を供給してある製膜用ロール(5a)と予め表面
粗度0.15μm以下の平滑フィルム(3)を供給してある製
膜用ロール(5b)との間隙にタンク(4) から吐出して両フ
ィルム(1), (3)間に挟持されるようにする。製膜用ロー
ル(5a), (5b)間の間隙は所定の値に調整しておく。製膜
用ロール(5a), (5b)は保温可能に構成しておくことが望
ましい。
【0030】挟持後は、この挟持シートから平滑フィル
ム(3)のみを剥離除去すると共に、その剥離除去操作の
前または/および後に加熱を行うことにより挟持層(2c)
を乾燥硬化して樹脂層(2) となす。これにより、基材フ
ィルム(1) /樹脂層(2) よりなる層構成の積層シートが
得られる。この積層シートの樹脂層(2) にあっては、平
滑フィルム(3) に接触していた面が自由面となる。
【0031】この樹脂層(2) の自由面の表面粗度は、平
滑フィルム(3) の表面平滑性の程度、製膜用ロール(5
a), (5b)間の間隙や温度などに応じ、 0.5μm 以下、好
ましくは 0.2μm 以下、さらに好ましくは 0.1μm 以下
となる。一般に、溶融押出フィルムの表面粗度は100
μm 厚のフィルムで3〜4μm 、流延製膜フィルムの表
面粗度は100μm 厚のフィルムで2〜3μmであるか
ら、樹脂層(2) の自由面の表面粗度は常識外とも言える
ほど小さいものである。
【0032】樹脂層(2) は、光学的用途に用いることを
考慮して、そのレターデーション値が60nm以下、好ま
しくは30nm以下、全光線透過率が60%以上、好まし
くは70%以上であることが望ましい。
【0033】上記で得た基材フィルム(1) /樹脂層(2)
よりなる層構成の積層シートの樹脂層(2) 上に透明電極
を設け、さらにその上から配向膜を形成すれば、液晶セ
ル基板が作製できる。
【0034】透明電極の形成には、真空蒸着法、スパッ
タリング法、イオンプレーティング法、金属溶射法、金
属メッキ法、化学蒸着法、スプレー法などが採用され、
特にスパッタリング法が重要である。透明電極の材質と
しては、主としてSn 、In、Ti 、Pb 、Tb 等の金
属またはそれらの酸化物が用いられ、透明電極の層厚
は、少なくとも100オングストローム、さらには20
0オングストローム以上とするのが通常である。
【0035】本発明の方法により得られる光学用積層シ
ートは、液晶表示パネル製造用の電極基板として特に重
要であるが、位相差板、偏光板、光ディスク、光カード
などの用途にも適用することができる。
【0036】
【作用】本発明においては、タンク(4) 中で樹脂溶液(2
a)が濃縮され、タンク(4) から吐出する段階では所定の
濃度にまで濃縮されている上、吐出された濃縮樹脂溶液
(2b)は製膜用ロール(5a), (5b)間の間隙を通過する間に
エアを噛み込むことなく基材フィルム(1)および平滑フ
ィルム(3)間に挟持されるので、コントロールが極めて
行いやすい。
【0037】そして本発明の方法により製造された光学
用積層シートにあっては、積層シートの表面に位置する
樹脂層(2) の自由面の表面平滑度が極めて高いので、た
とえばこれをSTN液晶を封入する液晶セルの電極基板
として用いた場合であっても、表示に紫、緑などの色が
ついて画面が非常に見にくくなるという事態を生じな
い。
【0038】
【実施例】次に実施例をあげて本発明をさらに説明す
る。以下「部」とあるのは重量部である。
【0039】実施例1 図1は本発明の光学用積層シートの製造方法の一例を示
した工程図である。
【0040】装置の説明 図1中、(4) はタンク、(6) はジャケット、(7) は撹拌
翼、(8) はリップ状の吐出口、(5a), (5b)は1対の製膜
用ロールである。(9) は平板式の冷却装置である。(1
0), (11)はニップロール、(12)は平滑フィルム(3) を剥
離するための剥離用ロール、(13)は乾燥および熱処理の
ための炉である。
【0041】基材フィルム(1) の準備 基材樹脂層(1a)の一例としてのポリカーボネートシート
(厚さ110μm 、レターデーション値12nm)の片面
に、水溶性四級化エステルウレタン系アンカーコーティ
ング剤を塗布、乾燥して厚さ 0.5μm のアンカーコーテ
ィング層を設けた後、そのアンカーコーティング層の上
から、エチレン含量32モル%のエチレン−酢酸ビニル
共重合体20部、水45部、n−プロパノール50部、
メチロール化メラミン (住友化学工業株式会社製スミテ
ックM−3)4部よりなる組成の樹脂液を流延し、温度
110℃の乾燥機中を通過させて乾燥させた。これによ
り、厚さ8μm の耐透気性樹脂層(1b)が形成された。
【0042】ついで、この耐透気性樹脂層(1b)の上か
ら、フェノキシエーテル樹脂(東都化成株式会社製)4
0部、メチルエチルケトン40部、セロソルブアセテー
ト20部、トリレンジイソシアネートとトリメチロール
プロパンとのアダクト体の75%溶液(日本ポリウレタ
ン株式会社製コロネートL)40部よりなる組成の硬化
性樹脂組成物溶液をアプリケーターを使用して塗布し、
80℃で4分間乾燥してから、130℃で20分間加熱
して、厚さ10μm のフェノキシエーテル樹脂系の架橋
性樹脂硬化物層(1c)を形成させた。
【0043】次に、基材樹脂層(1a)であるポリカーボネ
ートシートの他の面に、上記と同様にしてアンカーコー
ティング層を設け、さらにそのアンカーコーティング層
の上から、上記と同様にして厚さ9μm の耐透気性樹脂
層(1b)を形成させた。これにより、(1b)/(1a)/(1b)/(1
c) の層構成を有する基材フィルム(1)が得られた。
【0044】平滑フィルム(3)の準備 平滑フィルム(3)として、厚さ100μm 、表面粗度
0.004μm の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィ
ルム(帝人株式会社製Oタイプ)を準備した。
【0045】光学用積層シートの製造と評価 フェノキシエーテル樹脂(東都化成株式会社製)40
部、メチルエチルケトン40部、セロソルブアセテート
20部、トリレンジイソシアネートとトリメチロールプ
ロパンとのアダクト体の75%溶液(日本ポリウレタン
株式会社製コロネートL)40部よりなる硬化性樹脂組
成物の樹脂溶液(2a)を調製した。
【0046】樹脂溶液(2a)をタンク(4) に仕込み、ジャ
ケット(6) に熱媒を送って内容物を約40℃に保温する
と共に撹拌翼(7)で撹拌しながら、脱気下に濃縮を行う
ことにより、溶媒量が樹脂分の30重量%となるまで減
少させ、濃縮樹脂溶液(2b)となした。
【0047】ついでタンク(4) の上部空間に圧を加え、
40℃に保温してある製膜用ロール(5a), (5b)の間隙に
吐出口(8) から濃縮樹脂溶液(2b)を吐出した。
【0048】この製膜用ロール(5a), (5b)には、予め基
材フィルム(1) および平滑フィルム(3) をそれぞれ供給
してあり、吐出口(8) から吐出した濃縮樹脂溶液(2b)が
基材フィルム(1) の耐透気性樹脂層(1b)側の面と平滑フ
ィルム(3) の平滑面との間に挟持されて厚さ12μm の
挟持層(2c)となるようにした。製膜用ロール(5a), (5b)
によるプレス圧は7kgf/cm2 とした。
【0049】製膜用ロール(5a), (5b)通過後の挟持シー
トを平板式の冷却装置(9) にて冷却後、図示せざる巻取
機に巻き取り、この状態で室温下に1昼夜以上放置し
た。
【0050】ついで、巻取機に巻き取ってある挟持シー
トを繰り出し、剥離用ロール(12)により平滑フィルム
(3) のみを剥離除去してから(剥離操作は円滑であっ
た)、炉(13)に送り、該炉(13)の前半部で125℃にま
で昇温し、ついで炉(13)の後半部において125℃で6
0分以上加熱してエイジングした。
【0051】この操作により、基材フィルム(1) 上の露
出した挟持層(2c)は乾燥硬化して樹脂層(架橋性樹脂硬
化物層)(2) となった。該樹脂層(2) の自由面の表面平
滑度は、光の干渉を利用した非接触式表面粗さ計による
測定で 0.1μm 以下であった。これにより、(2)/(1) 、
さらに詳しくは(2)/(1b)/(1a)/(1b)/(1c) の層構成を有
する光学用積層シートが得られた。
【0052】このようにして得られた光学用積層シート
のレターデーション値は16nm、可視光線透過率は89
%、酸素透過率(ASTM D-1434-75に準じて測定)は 0.5
cc/24hr・m2・atm 、表面の鉛筆硬度は両面ともHであ
り、透湿性を有しなかった。
【0053】次に、上記の光学用積層シートの樹脂層
(架橋性樹脂硬化物層)(2) 面に、スパッタリング法に
より厚さ500オングストロームのITO層からなる透
明電極を直接形成させた。以下このシートを電極基板と
して用いて、常法に従い、配向膜の形成とラビング処
理、液晶セルの組み立て、位相差板および偏光板の積層
を行い、液晶表示パネルを作製した。得られた液晶表示
パネルは、表示に着色が見られず、ガラスを基板として
用いた液晶表示パネルと遜色のない性能を有していた。
【0054】
【発明の効果】本発明の光学用積層シートにあっては、
たとえばこれをSTN液晶を封入する液晶セルの電極基
板として用いた場合であっても、表示に紫、緑などの色
がついて画面が非常に見にくくなるという事態を生じな
い。
【0055】液晶表示パネルは年々大型化すると共に、
STN液晶方式の普及には目を見張るものがあるが、本
発明により、その用途にガラス基板に代えてプラスチッ
クス基板を用いても、表示特性が遜色のないものとなる
のである。
【0056】特に、基材フィルム(1) として基材樹脂層
/耐透気性樹脂層の層構成を含む積層体を用い、樹脂層
(2) として架橋性樹脂硬化物層を用いるときは、表示の
無彩色性に加えて、耐透気性、耐透湿性、無着色性、高
表面硬度、耐熱性、耐有機薬品性を全て満足するように
なる。
【0057】本発明においては、タンク(4) 中で樹脂溶
液(2a)が濃縮され、タンク(4) から吐出する段階では所
定の濃度にまで濃縮されている上、吐出された濃縮樹脂
溶液(2b)は製膜用ロール(5a),(5b)間の間隙を通過する
間にエアを噛み込むことなく基材フィルム(1) および平
滑フィルム(3)間に挟持されるので、コントロールが極
めて行いやすいという製造上の利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光学用積層シートの製造方法の一例を
示した工程図である。
【符号の説明】
(1)…基材フィルム、 (2) …樹脂層、架橋性樹脂硬化物層、 (2a)…樹脂溶液、(2b)…濃縮樹脂溶液、(2c)…挟持層、 (3) …平滑フィルム、 (4)…タンク、 (5a), (5b)…製膜用ロール、 (6) …ジャケット、 (7) …撹拌翼、 (8) …吐出口、 (9) …冷却装置、 (10), (11)…ニップロール、 (12)…剥離用ロール、 (13)…炉
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G02F 1/1333 500 7724−2K

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】樹脂層(2) 形成用の樹脂溶液(2a)をタンク
    (4) に供給して脱気下に濃縮を行うことにより溶媒量が
    樹脂分の5〜100重量%となるまで減少させ、ついで
    この濃縮樹脂溶液(2b)を、予め基材フィルム(1) を供給
    してある製膜用ロール(5a)と予め表面粗度0.15μm 以下
    の平滑フィルム(3)を供給してある製膜用ロール(5b)と
    の間隙にタンク(4) から吐出して両フィルム(1), (3)間
    に挟持されるようにし、ついでこの挟持シートから平滑
    フィルム(3)のみを剥離除去すると共に、その剥離除去
    操作の前または/および後に加熱を行うことにより挟持
    層(2c)を乾燥硬化して樹脂層(2) となすことを特徴とす
    る光学用積層シートの製造方法。
  2. 【請求項2】樹脂層(2) が架橋性樹脂硬化物層である請
    求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】得られた光学用積層シートの樹脂層(2) の
    表面粗度が 0.5μm 以下である請求項1記載の製造方
    法。
  4. 【請求項4】液晶表示パネル製造用の電極基板である請
    求項1記載の製造方法。
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