JP3608836B2 - 光学用積層シートおよびその製造法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、液晶表示素子の液晶セルの電極基板をはじめとする種々の光学用途に適したガラスライクの光学用積層シートおよびその工業的な製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、光学用の基材シートとして、ポリカーボネートフィルム、ポリアリレートフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリスルホンフィルムが使われている。これらのフィルムは、光等方性および透明性が良好で、しかもある程度の耐熱性を有するからである。これらのフィルムの中では、コスト面で有利なポリカーボネートフィルムが最も広く使われている。ポリエーテルスルホンフィルムやポリスルホンフィルムはこれら4種の中では耐熱性が最も高いが、やや着色するという不利がある上、高コストである。ポリアリレートフィルムは両者の中間の位置にある。
【0003】
これらの基材シート(ポリカーボネートフィルム、ポリアリレートフィルム、ポリエーテルスルホンまたはポリスルホンフィルム)のみでは耐透気性、耐溶剤性、透明電極密着性などの性質が不足するので、これらのフィルムの片面または両面に耐透気性樹脂層や架橋性樹脂硬化物層を積層設置することも提案されている。たとえば、本出願人の出願にかかる特開昭63−71829号公報(光等方性基材シート層/アンカーコート層/耐透気性樹脂層/架橋性樹脂硬化物層の層構成の液晶表示パネル用電極基板)や特開平4−159518号公報(光等方性基材シート層/耐透気性樹脂層/架橋性樹脂硬化物層の層構成の単位積層シートの2枚以上を、架橋性樹脂硬化物層が両最外層となるように接着剤層を介して貼着した構成を有する液晶表示パネル用電極基板)を参照。
【0004】
また最近、アモルファスポリオレフィンのフィルムの光学用の基材シートとしての利用も提案されている。本出願人も、電極基板などの基材フィルムとして、アモルファスポリオレフィン(ビシクロオレフィン系ポリオレフィン、ノルボルネン系樹脂)を含む各種の高分子フィルムを用いることにつき多数の出願を行っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ガラス基板に代るプラスチックス基板の重要性は益々高くなっているが、上述の基材シートあるいはその基材シートの少なくとも片面(特に両面)に耐透気性樹脂層や架橋性樹脂硬化物層を積層設置したフィルムは、従来のガラスに比すれば、剛性、平滑性、耐熱性、表面硬度、耐透気性、耐溶剤性、耐液晶性などの点で見劣りし、ガラスライクと言えるほどの品質にまでは至らない。
【0006】
すなわち、剛性や平滑性が不足すると、液晶セルの基板間の間隙の不均一により表示むらを生ずるようになる。耐熱性や表面硬度が不足すると、その基板に透明電極を設けて電極基板として用いるときに、そのパターン電極と制御用ICのアウターリードとの間の一括接続を両者間に異方性導電シートを介在させた状態で熱圧着するときや配向膜の形成時にトラブルを起こすようになる。耐透気性が不足すると、液晶の経時的な劣化が無視しえなくなる。耐溶剤性や耐液晶性が不足すると、各層の積層時や配向膜の形成時に基材シートの透明度を損ねたり、液晶封入時に電極基板が液晶に冒されたりする。
【0007】
本発明は、このような背景下において、プラスチックスでできたシートでありながらも、剛性、平滑性、耐熱性、表面硬度、耐透気性、耐溶剤性、耐液晶性などの点でガラスに近い品質を与えるガラスライクの光学用積層シートを提供すること、およびそのような光学用積層シートを製造する工業的な方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の光学用積層シートは、
光等方性基材フィルム(11)の少なくとも片面に、有機の耐透気性層および無機の耐透気性層のうち一方の耐透気性層(12)を設けた積層フィルム(1) と、
流延法による耐熱耐溶剤性樹脂層(21)上に、有機の耐透気性層および無機の耐透気性層のうち上記耐透気性層(12)とは異なる他方の耐透気性層(22)を設けた積層フィルム(2) と、
上記積層フィルム(1) の一方の耐透気性層(12)と、上記積層フィルム(2) の他方の耐透気性層(22)との間に介在してこれらの積層フィルム(1), (2)を接着するノンソルベントタイプの活性エネルギー線硬化型硬化性樹脂硬化物層(3)
とからなる層構成単位を含むものである。
【0009】
本発明の光学用積層シートの製造法は、
光等方性基材フィルム(11)の少なくとも片面に、有機の耐透気性層および無機の耐透気性層のうち一方の耐透気性層(12)を設けた積層フィルム(1) と、
鋳型フィルム(S) 上に流延法により耐熱耐溶剤性樹脂層(21)を形成し、さらにその上から有機の耐透気性層および無機の耐透気性層のうち上記耐透気性層(12)とは異なる他方の耐透気性層(22)を設けた鋳型フィルム(S) 付きの積層フィルム(2) とを準備し、
わずかに間隙をあけて並行に配置した1対のロールのうちの一方のロールに上記の積層フィルム(1) をその一方の耐透気性層(12)面が上面になるように、また他方のロールに上記の鋳型フィルム(S) 付きの積層フィルム(2) をその他方の耐透気性層(22)が上面になるようにそれぞれ供給し、これら両ロールの間隙に向けてノンソルベントタイプの活性エネルギー線硬化型硬化性樹脂液を吐出すると共に、両ロールを互いに喰い込む方向に回転させて両積層フィルム(1), (2)間に該樹脂液が挟持されるようにし、ついでその挟持された状態で活性エネルギー線を照射して該樹脂液を硬化させることにより活性エネルギー線硬化型硬化性樹脂硬化物層(3) となし、
もって、光等方性基材フィルム(11)/一方の耐透気性層(12)/活性エネルギー線硬化型硬化性樹脂硬化物層(3) /他方の耐透気性層(22)/耐熱耐溶剤性樹脂層(21)の層構成単位を含む積層シートを得ること
を特徴とするものである。
【0010】
以下本発明を詳細に説明する。
【0011】
本発明の光学用積層シートは、積層フィルム(1) /ノンソルベントタイプの活性エネルギー線硬化型硬化性樹脂硬化物層(3) /積層フィルム(2) の層構成単位、さらに詳しくは、光等方性基材フィルム(11)/一方の耐透気性層(12)/ノンソルベントタイプの活性エネルギー線硬化型硬化性樹脂硬化物層(3) /他方の耐透気性層(22)/耐熱耐溶剤性樹脂層(21)の層構成単位を含むものである。通常は対称型とするので、そのときは、積層フィルム(2) /ノンソルベントタイプの活性エネルギー線硬化型硬化性樹脂硬化物層(3) /積層フィルム(1) /ノンソルベントタイプの活性エネルギー線硬化型硬化性樹脂硬化物層(3) /積層フィルム(2) の層構成、さらに詳しくは、(21)/(22)/(3)/(12)/(11)/(12)/(3)/(22)/(21)の層構成となる。
【0012】
積層フィルム(1) は、光等方性基材フィルム(11)の少なくとも片面に、有機の耐透気性層および無機の耐透気性層のうち一方の耐透気性層(12)を設けたものからなる。
【0013】
光等方性基材フィルム(11)としては、ポリカーボネートフィルム、ポリアリレートフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリスルホンフィルム、アモルファスポリオレフィンフィルムをはじめとする単層または複層のフィルムが用いられる。
【0014】
耐透気性層としては有機のものと無機のものがある。前者の有機の耐透気性層としては、ポリビニルアルコールまたはその共重合変性物・グラフト物・ポリマーアロイやエチレン含量15〜50モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体等のビニルアルコール系樹脂層、塩化ビニリデン系樹脂層、高アクリロニトリル系樹脂層などがあげられ、特に最初に述べたビニルアルコール系樹脂層が重要である。後者の無機の耐透気性層としては、たとえば、SiO2 、SiOx、MgO、Al23 、InO2 、SnO2 、ZnOやこれらの2種、3種またはそれ以上の混合物の層があげられる。有機の耐透気性層の層厚は2〜30μm 程度(好ましくは5〜15μm 程度)、無機の耐透気性層の層厚は50〜2000オングストローム程度(好ましくは100〜1000オングストローム程度)が適当であるが、層厚は必ずしもこの範囲に限られない。
【0015】
積層フィルム(2) は、流延法による耐熱耐溶剤性樹脂層(21)上に、有機の耐透気性層および無機の耐透気性層のうち上記耐透気性層(12)とは異なる他方の耐透気性層(22)を設けたものからなる。
【0016】
耐熱耐溶剤性樹脂層(21)としては、エステルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、シリコーンアクリレートをはじめとする種々の活性エネルギー線硬化型樹脂の層、フェノキシエーテル系架橋性樹脂をはじめとする硬化性樹脂の硬化物の層、ポリアミドイミド系樹脂やアモルファスポリオレフィンに内的架橋手段(架橋剤の配合)または外的架橋手段(活性エネルギー線照射)を講じた層などが好適に用いられる。この耐熱耐溶剤性樹脂層(21)は、単層のみならず複層とすることもできる。
【0017】
上記両積層フィルム(1), (2)の間に介在してそれらを接着するノンソルベントタイプの活性エネルギー線硬化型硬化性樹脂硬化物層(3) としては、エステルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、シリコーンアクリレートをはじめとする種々の活性エネルギー線硬化型樹脂の層が好適に用いられる。活性エネルギー線硬化型硬化性樹脂硬化物層(3) の厚みに特に限定はないが、2〜300μm またはそれ以上、殊に2〜100μm 、さらには2〜50μm とすることが多い。
【0018】
なお積層フィルム(1), (2)を構成する各層間または層上には、密着性向上のため、必要に応じアンカーコーティング層(ac)を設けることができる。
【0019】
上記の層構成を有する本発明の光学用積層シートは、工業的には、次のようにして製造される。
【0020】
まず、光等方性基材フィルム(11)の少なくとも片面に有機の耐透気性層および無機の耐透気性層のうち一方の耐透気性層(12)を設けた積層フィルム(1) を準備する。
【0021】
また、鋳型フィルム(S) 上に流延法により耐熱耐溶剤性樹脂層(21)を形成し、さらにその上から有機の耐透気性層および無機の耐透気性層のうち上記耐透気性層(12)とは異なる他方の耐透気性層(22)を設けた鋳型フィルム(S) 付きの積層フィルム(2) を準備する。
【0022】
ここで鋳型フィルム(S) としては、二軸延伸ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)フィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルムなど支持体となるフィルムが好適に用いられる。この支持体フィルム表面の平滑度は任意に選択できるので、表面粗度が± 0.1μm 以下の極めて平滑度の高いものから、防眩性付与、入射光量の増加などのために故意にランダムな微細凹凸やレンズ状の微細凹凸を付したものまで、任意の平滑度ないし粗度を有するものを用いることができる。
【0023】
そして、わずかに間隙をあけて並行に配置した1対のロールのうちの一方のロールに上記の積層フィルム(1) をその一方の耐透気性層(12)面が上面になるように供給し、また他方のロールに上記の鋳型フィルム(S) 付きの積層フィルム(2) をその他方の耐透気性層(22)が上面になるようにそれぞれ供給し、これら両ロールの間隙に向けてノンソルベントタイプの活性エネルギー線硬化型硬化性樹脂液を吐出すると共に、両ロールを互いに喰い込む方向に回転させて両積層フィルム(1), (2)間に該樹脂液が挟持されるようにし、ついでその挟持された状態で該樹脂液を硬化させることにより活性エネルギー線硬化型硬化性樹脂硬化物層(3) となす。
【0024】
これにより、先にも述べたように、光等方性基材フィルム(11)/一方の耐透気性層(12)/活性エネルギー線硬化型硬化性樹脂硬化物層(3) /他方の耐透気性層(22)/耐熱耐溶剤性樹脂層(21)/鋳型フィルム(S) の層構成の単位を含む積層シートが得られる。通常は対称型とするので、そのときは(S)/(21)/(22)/(3)/(12)/(11)/(12)/(3)/(22)/(21)/(S)の層構成となる。耐熱耐溶剤性樹脂層(21), (21)上の鋳型フィルム(S), (S)は、後の適当な段階で剥離除去することができ、また用途によっては鋳型フィルム(S) 付きのまま光学用積層シートとして用いることもできる。
【0025】
本発明の光学用積層シートは、液晶表示素子を構成する液晶セルの電極基板として特に有用であり、そのほか、偏光素膜の保護板、位相差素膜の保護板、偏光板兼用の電極基板、位相板兼用の電極基板、タッチパネル用の透明電極付きフィルム(偏光板の上だけでなく偏光板の下に積層して用いるものを含む)、CRT用電磁波シールド板、バックライト、導光板、カラーフィルター、光カード、光テープ、光ディスクなどの用途にも用いることができる。
【0026】
【作用】
本発明の光学用積層シートは、光等方性基材フィルム(11)/一方の耐透気性層(12)/活性エネルギー線硬化型硬化性樹脂硬化物層(3) /他方の耐透気性層(22)/耐熱耐溶剤性樹脂層(21)の層構成単位を含み、通常は対称型とする。対称型の場合は(21)/(22)/(3)/(12)/(11)/(12)/(3)/(22)/(21)の層構成を有する。
【0027】
このように本発明の光学用積層シートにあっては、有機の耐透気性層および無機の耐透 性層のうち一方の耐透気性層(12)と他方の耐透気性層(22)とが活性エネルギー線硬化型硬化性樹脂硬化物層(3) を介して配置されているので、有機の耐透気性層の高湿条件下における耐透気性の低下は無機の耐透気性層で補償され、無機の耐透気性層の持つ割れやすさに起因する耐透気性の低下は有機の耐透気性層で補償され、従ってこれら複数層の耐透気性層(12), (22)により耐透気性の完全化が図られ、如何なる環境下においてもすぐれた耐透気性が確保される。
【0028】
また、光等方性基材フィルム(11)を用いているので必要な厚みが保たれ、さらにはノンソルベントタイプの活性エネルギー線硬化型硬化性樹脂硬化物層(3) の存在により必要な剛性が確保できる。
【0029】
加えて耐熱耐溶剤性樹脂層(21)が最外層に配置されているので、耐熱性、耐溶剤性が確保され、剛性もさらに向上し、ITO等の透明電極との密着性も得られる。
【0030】
そのため、本発明の光学用積層シートは、プラスチックスシートでありながらガラスに近い品質を与えるガラスライクなものとなり、液晶表示素子を構成する液晶セルの電極基板などとして極めて好ましいものとなる。
【0031】
そしてその光学用積層シートの製造にあたり、先に述べたような鋳型フィルム(S) を使用して積層フィルム(2) を製造し、さらには積層フィルム(1) と鋳型フィルム(S) 付きの積層フィルム(2) との間にノンソルベントタイプの活性エネルギー線硬化型硬化性樹脂液を挟持させてそれを硬化させることにより活性エネルギー線硬化型硬化性樹脂硬化物層(3) となす方法を採用しているので、目的とする光学用積層シートを工業的に極めて有利に製造することができる。
【0032】
【実施例】
次に実施例をあげて本発明をさらに説明する。以下「部」、「%」とあるのは、全光線透過率の「%」を除き、重量基準で示したものである。なお表面粗度は、光の干渉を利用した非接触式表面粗さ計にて測定した。
【0033】
実施例1
図1は、本発明の光学用積層シートの層構成の一例を示した説明図である。
【0034】
光等方性基材フィルム(11)の一例としての厚み100μm 、レターデーション値8nmのポリアリレートフィルムの片面に、固形分5%の水溶性ポリエステルウレタン系アンカーコーティング剤を流延して乾燥、キュアすることにより、厚み1μm のアンカーコーティング層(ac)を形成させた。続いてそのアンカーコーティング層(ac)の上から、ポリビニルアルコールのN−メチロールアクリルアミド−アクリル酸グラフト共重合体の濃度12%の水溶液にメチロールメラミン系架橋剤(住友化学工業株式会社製の「スミテックM−3」)を固形分比で100:3の割合で配合した組成物を流延し、70〜90℃で乾燥して、厚み8μm の有機の耐透気性層(12)を形成させ、(11)/(ac)/(12)の層構成を有する積層フィルム(1) を得た。
【0035】
一方、下記の化1で表わされるポリアミドイミド系樹脂(東洋紡績株式会社製の「AT8020」)の18%濃度のシクロヘキサノン/テトラヒドロフラン混合溶剤溶液にフェノールノボラック系エポキシ樹脂(東都化成株式会社製の「YPDN−638」)を樹脂分比で10:1の重量比で混合した固形分15%の樹脂組成物の溶液を調製した。
【0036】
【化1】
【0037】
ついでこの組成物の溶液を、厚み100μm 、表面粗度が平均で 0.006μm 、最大で0.04μm のコロナ放電処理していない二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムからなる鋳型フィルム(S) の平滑面に流延し、温度60〜110℃で熱風乾燥した後、温度120℃で25分間キュアし、さらに温度150〜180℃で20分間熱処理して、厚み30μm の耐熱耐溶剤性樹脂層(21)を形成させた。
【0038】
続いてその耐熱耐溶剤性樹脂層(21)の上から、SiOxをスパッタリングして厚み300オングストロームの無機の耐透気性層(22)を形成させ、さらにこの無機の耐透気性層(22)の上から、フェノキシエーテル系樹脂/ポリイソシアネート系のアンカーコーティング剤による厚み2μm のアンカーコーティング層(ac)を形成させた。これにより、(S)/(21)/(22)/(ac)の層構成を有する鋳型フィルム(S) 付きの積層フィルム(2) を得た。
【0039】
わずかに間隙をあけて並行に配置した1対のロールのうちの一方のロールに上記の積層フィルム(1) をその一方の有機の耐透気性層(12)面が上面になるように供給し、また他方のロールに上記の鋳型フィルム(S) 付きの積層フィルム(2) をその他方の無機の耐透気性層(22)側が上面になるようにそれぞれ供給した。
【0040】
続いてこれら両ロールの間隙に向けて、ノンソルベントタイプの活性エネルギー線硬化型硬化性樹脂液の一例としてのエステルアクリレート系の高粘度の紫外線硬化型樹脂液(日本ゼオン株式会社製の「7018」)を吐出すると共に、両ロールを互いに喰い込む方向に回転させて両積層フィルム(1), (2)間に上記の硬化性樹脂液が挟持されるようにし、ついでその挟持された状態で、出力120W/cm、1灯、ランプ距離200mm、ライン速度2m/min 、1パス、光量600mJ/cm2の条件で紫外線照射を行って硬化性樹脂液を硬化させることにより、厚み8μm の活性エネルギー線硬化型硬化性樹脂硬化物層(3) となした。
【0041】
これにより、(11)/(ac)/(12)/(3)/(ac)/(22)/(21)/(S) の層構成を有する積層フィルムが得られたので、以下上記と同様にして、この積層フィルムの光等方性基材フィルム(11)側に厚み1μm のアンカーコーティング層(ac)を形成し、さらにその上から厚み8μm の有機の耐透気性層(12)を形成させて(12)/(ac)/(11)/(ac)/(12)/(3)/(ac)/(22)/(21)/(S) の層構成を有する積層フィルムとした後、わずかに間隙をあけて並行に配置した1対のロールのうちの一方のロールにこの積層フィルムをその有機の耐透気性層(12)面が上面になるように供給し、また他方のロールに上記の鋳型フィルム(S) 付きの積層フィルム(2) をその他方の無機の耐透気性層(22)側が上面になるようにそれぞれ供給した。
【0042】
続いてこれら両ロールの間隙に向けて、上記と同じノンソルベントタイプの活性エネルギー線硬化型硬化性樹脂液を吐出すると共に、両ロールを互いに喰い込む方向に回転させて両積層フィルム間に上記の硬化性樹脂液が挟持されるようにし、ついでその挟持された状態で紫外線照射を行って硬化性樹脂液を硬化させることにより、厚み8μm の活性エネルギー線硬化型硬化性樹脂硬化物層(3) となした。
【0043】
これにより、(S)/(21)/(22)/(ac)/(3)/(12)/(ac)/(11)/(ac)/(12)/(3)/(ac)/(22)/(21)/(S)の層構成を有する対称型の鋳型フィルム(S), (S)付き光学用積層シートが得られたので、鋳型フィルム(S), (S)を剥離除去した。
【0044】
この光学用積層シートは剛性のあるものであり、その全体の特性値は次の通りであった。なお耐溶剤性は、アセトン、メチルエチルケトン、エタノール、イソプロパノール、トルエン、セロソルブアセテートのそれぞれの溶剤中に25℃で5分間浸漬したときの外観変化で評価した。耐熱性は、最外層である耐熱耐溶剤性樹脂層(21)のみを切り取って測定した。
透明性(全光線透過率、ASTM D1003):86%
レターデーション値(633nm):9nm
層(21)の耐熱性(DSCによるガラス転移点):180℃
耐溶剤性:良好
酸素透過率(ASTM D-1434-75に準じて測定):0.1cc/24hr・m2・atm 以下
鉛筆硬度(JIS K5401):3H
最外層の表面粗度:平均で0.06μm 、最大で 0.1μm
【0045】
上記の結果から、上記で得た光学用積層シートは従来のガラス基板に近いガラスライクな性質を有しており、液晶表示素子の液晶セルの電極基板などとして極めて有用であることがわかる。
【0046】
実施例2
実施例1に準じて、(S)/(21)/(22)/(ac)/(3)/(12)/(ac)/(11)/(ac)/(12)/(3)/(ac)/(22)/(21)/(S)の層構成を有する対称型の光学用積層シートを得た。ただし、光等方性基材フィルム(11)としては厚み105μm 、レターデーション値6nmのポリカーボネートフィルムを用いた。ノンソルベントタイプの活性エネルギー線硬化型硬化性樹脂液としてはエポキシアクリレート系の紫外線硬化型樹脂(帝国化学産業株式会社製の「TUR980A」)を用い、厚み8μm の活性エネルギー線硬化型硬化性樹脂硬化物層(3) を形成させた。耐熱耐溶剤性樹脂層(21)としては、アモルファスポリオレフィン(ノルボルネン系樹脂)50部をキシレン300部に溶解し、この溶液に過酸化物系架橋剤としてのベンゾイルパーオキサイド1部とジクミルパーオキサイド1部とを添加混合して調製した組成物の溶液から形成した厚み25μm のものを用いた。
【0047】
これにより、実施例1の場合と同様のすぐれた性質を有する光学用積層シートが得られた。なお、透明性は85%、レターデーション値は8nm、層(21)の耐熱性は185℃、ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、クロロホルム、塩化メチレン、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどの各種の溶剤に対する耐性は良好、酸素透過率は0.1cc/24hr・m2・atm 以下、鉛筆硬度は4H、最外層の表面粗度は平均で0.06μm 、最大で 0.1μm であった。
【0048】
実施例3
図2は、本発明の光学用積層シートの層構成の他の一例を示した説明図である。
【0049】
実施例1と同様にして、(S)/(21)/(ac)/(22)/(3)/(ac)/(12)/(11)/(12)/(ac)//(3)/(22)/(ac)/(21)/(S) の層構成を有する対称型の鋳型フィルム(S), (S)付き光学用積層シートを得た。実施例1との違いは、光等方性基材フィルム(11)側に直接無機の耐透気性層(12)を形成させ、積層フィルム(2) の形成を、鋳型フィルム(S) 上に耐熱耐溶剤性樹脂層(21)を形成した後、その上からアンカーコーティング層(ac)を形成させ、さらにその上から有機の耐透気性層(22)を形成させた点にある。この場合も、実施例1の場合と同様のすぐれた性質を有する光学用積層シートが得られた。
【0050】
実施例4〜5
耐熱耐溶剤性樹脂層(21)として、特殊アクリル樹脂系の紫外線硬化型樹脂(帝国化学産業株式会社製の「TUR1880」)による厚み15μm の層(実施例4)、フェノキシエーテル系樹脂40部、メチルエチルケトン40部、セロソルブアセテート20部、トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとのアダクト体の75%トルエン溶液(日本ポリウレタン工業株式会社製の「コロネートL」)40部よりなる樹脂液を用いて形成した厚み20μm の層(実施例5)を用いたほかは、実施例1を繰り返した。この場合も、実施例1の場合とほぼ同等かそれに準ずるすぐれた性質を有する光学用積層シートが得られた。
【0051】
【発明の効果】
作用の項でも述べたように、本発明の光学用積層シートは、プラスチックスシートでありながらガラスに近い品質を与えるガラスライクなものとなり、液晶表示素子を構成する液晶セルの電極基板などとして極めて好ましいものとなる。またその製造も量産可能な工業的な方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光学用積層シートの層構成の一例を示した説明図である。
【図2】本発明の光学用積層シートの層構成の他の一例を示した説明図である。
【符号の説明】
(1) …積層フィルム、
(11)…光等方性基材フィルム、
(12)…一方の耐透気性層、
(2) …積層フィルム、
(21)…耐熱耐溶剤性樹脂層、
(22)…他方の耐透気性層、
(3) …活性エネルギー線硬化型硬化性樹脂硬化物層、
(ac)…アンカーコーティング層、
(S) …鋳型フィルム

Claims (2)

  1. 光等方性基材フィルム(11)の少なくとも片面に、有機の耐透気性層および無機の耐透気性層のうち一方の耐透気性層(12)を設けた積層フィルム(1) と、
    流延法による耐熱耐溶剤性樹脂層(21)上に、有機の耐透気性層および無機の耐透気性層のうち上記耐透気性層(12)とは異なる他方の耐透気性層(22)を設けた積層フィルム(2) と、
    上記積層フィルム(1) の一方の耐透気性層(12)と、上記積層フィルム(2) の他方の耐透気性層(22)との間に介在してこれらの積層フィルム(1), (2)を接着するノンソルベントタイプの活性エネルギー線硬化型硬化性樹脂硬化物層(3)
    とからなる層構成単位を含む光学用積層シート。
  2. 光等方性基材フィルム(11)の少なくとも片面に、有機の耐透気性層および無機の耐透気性層のうち一方の耐透気性層(12)を設けた積層フィルム(1) と、
    鋳型フィルム(S) 上に流延法により耐熱耐溶剤性樹脂層(21)を形成し、さらにその上から有機の耐透気性層および無機の耐透気性層のうち上記耐透気性層(12)とは異なる他方の耐透気性層(22)を設けた鋳型フィルム(S) 付きの積層フィルム(2) とを準備し、
    わずかに間隙をあけて並行に配置した1対のロールのうちの一方のロールに上記の積層フィルム(1) をその一方の耐透気性層(12)面が上面になるように、また他方のロールに上記の鋳型フィルム(S) 付きの積層フィルム(2) をその他方の耐透気性層(22)が上面になるようにそれぞれ供給し、これら両ロールの間隙に向けてノンソルベントタイプの活性エネルギー線硬化型硬化性樹脂液を吐出すると共に、両ロールを互いに喰い込む方向に回転させて両積層フィルム(1), (2)間に該樹脂液が挟持されるようにし、ついでその挟持された状態で活性エネルギー線を照射して該樹脂液を硬化させることにより活性エネルギー線硬化型硬化性樹脂硬化物層(3) となし、
    もって、光等方性基材フィルム(11)/一方の耐透気性層(12)/活性エネルギー線硬化型硬化性樹脂硬化物層(3) /他方の耐透気性層(22)/耐熱耐溶剤性樹脂層(21)の層構成単位を含む積層シートを得ることを特徴とする光学用積層シートの製造法。
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