JP2005018551A - 電磁波シールド機能を有するタッチパネル、およびそれに用いる透明積層フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、電磁波シールド機能を有するタッチパネル、電磁波シールド機能を有するタッチパネル付液晶表示装置、及びそのためのフィルムを提供することを目的とする。
【解決手段】2つの透明基体(c)のそれぞれ一方の面に形成された透明導電層(d、e)が、空隙を挟んで該透明導電層d,e同士を対向して構成されるタッチパネルであって、当該透明基体の透明導電層とは反対側に、バックコート層、高分子フィルム、アンダーコート層及び抵抗値が20〜40Ω/□である透明導電層を順に有してなり、かつ全光線透過率が85〜95%の範囲にある積層フィルムが設けられた電磁波シールド機能を有するタッチパネル。
【選択図】 なし
【解決手段】2つの透明基体(c)のそれぞれ一方の面に形成された透明導電層(d、e)が、空隙を挟んで該透明導電層d,e同士を対向して構成されるタッチパネルであって、当該透明基体の透明導電層とは反対側に、バックコート層、高分子フィルム、アンダーコート層及び抵抗値が20〜40Ω/□である透明導電層を順に有してなり、かつ全光線透過率が85〜95%の範囲にある積層フィルムが設けられた電磁波シールド機能を有するタッチパネル。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁波シールド性を有するタッチパネル、タッチパネル付液晶表示装置、及びそれらに好適に用いられる積層フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、表示装置を備えた情報機器が幅広い分野で利用されている。表示装置はその性質上透明窓部を有するが、情報機器からこの透明窓部を通して発生する電磁波の人体や他の機器への影響が問題になってきている。透明な電磁波シールド材としては、下記特許文献1には、フィルム基材上に透明な金属薄膜と透明な誘電体薄膜を積層したものや、下記特許文献2には、透明支持体の片面にオーバーコート層を介して、金属酸化物層と金属層を設け、反対面に赤外線遮断層および可視光選択吸収層を設けたものが提案されている。いずれも金属薄膜層が電磁波シールド機能を有する層である。金属薄膜層は電磁波シールド機能に優れているものの透明性が劣るため、表示装置の表示品位が低下する問題がある。
【0003】
一方、液晶表示装置上に情報入力用の抵抗膜方式のタッチパネル(タッチスクリーン、透明メンブレンスイッチとも称される)を取り付けた情報機器が広く使用されている(例えば特許文献3参照)。抵抗膜方式のタッチパネルは、透明導電層が形成された二枚の透明電極基板(可動電極基板と固定電極基板)をおよそ10〜100μmの間隔で相対させて構成する。その際に、外力のない状態で可動電極基板と固定電極基板との間の絶縁性を保持するために、通常固定電極基板の電極面上にドットスペーサを設ける。これにより、可動電極基板の外側から、指またはペンで押圧すると、押圧部においてのみ可動電極基板と固定電極基板の電極面同士が接触してスイッチとして動作し、例えば液晶表示装置画面上のメニューの選択あるいは手書き図形や手書き文字の入力等を行なうことができる。タッチパネルに用いられる透明導電層は、表面抵抗値が100〜2000Ω/□と比較的高いことやタッチパネルの銀インク回路引き回し部では透明導電層が除去されているため電磁波シールド効果は十分には期待できない。
【0004】
また、タッチパネル付液晶表示装置は、カムコーダー、PDA(Personal Digital Assistant)、スマートフォン、カーナビゲーション等の情報機器に用いられるが、これらは、屋外等種々の方向から来る光源の存在下で用いられるため、画像を認識させる光(液晶表示部からの光)の他にノイズ光(タッチパネル部からの反射光)が同時に眼に入り、表示が見にくい問題があった。
【0005】
タッチパネル付液晶表示装置の視認性を改善する手段として、特許文献4には透明タッチパネル部に1/4波長位相差板と偏光板とノングレア処理された層とを順次に積層することによりタッチパネル部の反射光を低下させる方法が提案されている。この方法は、透明タッチパネル部の反射光を低下させる効果はあるが、上述の通り電磁波シールド効果は期待出来ない。
【0006】
【特許文献1】
特開平1−278800号公報
【特許文献2】
特開2002−72897号公報
【特許文献3】
国際公開第01/16963号公報
【特許文献4】
特開平05−127822号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はタッチパネル付液晶表示装置の視認性を改善すると共にこれらの液晶表示装置から発生する電磁波をシールドするための電磁波シールド性透明積層フィルム、電磁波シールド機能を有するタッチパネルおよび電磁波シールド機能を有するタッチパネル付液晶表示装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する手段として、先ず高分子フィルム等の高分子成型物基板上に透明導電層を設けてなる電磁波シールド材を作製し、電磁波シールド材単体のシールド効果を調査した結果、透明導電層の表面抵抗値が40Ω/□以下であれば液晶表示装置から発生する電磁波に対してシールド効果があることがわかった。しかし、単に高分子成型物基板上に透明導電層を設けてなる電磁波シールド材では、タッチパネル付液晶表示装置の一部に組み込むために粘着剤塗布などの加工を行なうと、透明導電層に傷が入って表面抵抗値が増加し、十分な電磁波シールド効果が得られない問題が発生した。そこで更に鋭意検討した結果、高分子成型物基板上の一方の面に、順次アンダーコート層、透明導電層を積層し、該高分子成型物基板の他方の反対面にバックコート層を形成した構成にすれば粘着剤塗布などの加工による表面抵抗値の変化を抑制でき、また、電磁波シールド性透明積層体と粘着剤との密着性が良好でかつ電磁波シールド性透明積層フィルムのカール値が低減するため、他の部材との積層加工が容易であることが分かった。更に、高分子成型物基板として光学等方性の高分子フィルムまたは位相差を有する複屈折性の高分子フィルムを用いれば、偏光板と共にタッチパネル付液晶表示装置を構成することが可能になり、タッチパネル付液晶表示装置の視認性が改善されると共に、電磁波シールド機能を付与することが出来ることを見出し本発明に到達した。即ち、本発明は、以下の通りのものである。
1. 2つの透明基体(c)のそれぞれの少なくとも一方の面に形成された透明導電層(d、e)が、空隙を挟んで該透明導電層d,e同士を対向して構成されるタッチパネルであって、少なくとも一方の当該透明基体における透明導電層dまたはeの反対側の当該透明基体の面に、下記(イ)〜(ニ)を順次有してなり、かつ全光線透過率が85〜95%の範囲にある積層フィルムが設けられた電磁波シールド機能を有するタッチパネル。
(イ)バックコート層
(ロ)高分子フィルム
(ハ)アンダーコート層
(ニ)抵抗値が20〜40Ω/□である透明導電層
2. 請求項1記載のタッチパネルの入力操作側に偏光板及び位相差板(b)を配置し、当該タッチパネルの入力操作側とは反対側に透明基体に接して位相差板(g)及び上記1の積層フィルムが順次設けられ、さらに、液晶表示部を設けてなり、かつ、積層フィルムを構成する高分子フィルムは、波長590nmにおける位相差が30nm以下の実質的に光学等方性の高分子フィルムである電磁波シールド機能を有するタッチパネル付液晶表示装置。
3. 請求項1記載のタッチパネルの入力操作側に偏光板及び位相差板(b)を配置し、当該タッチパネルの入力操作側とは反対側に透明基体に接して上記1の積層フィルムが設けられ、さらに、液晶表示部を設けてなり、かつ、積層フィルムを構成する高分子フィルムは、波長550nmにおいて1/4波長または1/2波長の位相差を与える複屈折性高分子フィルムである電磁波シールド機能を有するタッチパネル付液晶表示装置。
4. 高分子フィルムの一方の面に順次アンダーコート層及び抵抗値が20〜40Ω/□である透明導電層を有し、かつ当該高分子フィルムの他方の面にバックコート層を有してなる積層フィルムであって、かつ全光線透過率が85〜95%の範囲にあるタッチパネル用に適した電磁波シールド機能を有する積層フィルム。
5. 該アンダーコート層が架橋重合体からなる上記の積層フィルム。
6. 該透明導電層が酸化インジウムを主成分とし、酸化インジウムに対して、2〜20重量%の酸化錫または酸化亜鉛を含むものからなる、上記4、5の積層フィルム。
7. 高分子フィルムがポリカーボネートからなる、上記4〜6の積層フィルム。
8. 高分子フィルムが、波長550nmにおいて1/4波長または1/2波長の位相差を与える複屈折性高分子フィルムであるか、あるいは実質的に光学等方性の高分子フィルムである、上記4〜7の積層フィルム。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
【0010】
本発明の電磁波シールド機能を有するタッチパネル(部)は、例えば図1に示すように、透明基体(光学等方性基板)c/透明導電層d/空隙/透明導電層e/透明基体(光学等方性基板)f、という積層体から構成される。このタッチパネル(部)に、電磁波シールド性積層体を貼付する。ここで光学等方性基板c、fとしては、例えばガラス基板、光学等方性で透明性に優れた高分子フィルム(例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、非晶性ポリオレフィン等)を用いることができる。またその厚さとしては、通常25〜200μmの範囲である。
【0011】
透明導電層d、eを形成する材料としては、例えば、酸化錫ドープ酸化インジウム薄膜を用いることができる。またその厚さとしては、通常10〜100nmの範囲である。表面抵抗値は通常100〜1000Ω/□の範囲である。
【0012】
空隙は、通常0.1〜100μmの空気層であり、透明導電層dとeとが通常状態では接触しないような間隔を保つようにスペーサーが含まれる。
【0013】
上記積層フィルムの具体的構成については後述する。
【0014】
タッチパネル付液晶表示装置の視認性を改善する手段には、タッチパネルの上部(入力操作側)に円偏光板を設けることによりタッチパネル部の反射光を低減するもの(円偏光板タイプ)と、液晶表示装置の上部偏光板(または位相差板)と液晶セルの上部基板との間にタッチパネル部を組み込み、タッチパネル部への外光の入射を減らすことにより、タッチパネル部の反射光を低減するもの(組込みタイプ)がある。
【0015】
円偏光板タイプの一例を挙げると以下の通りである。すなわち、偏光板a/(1/4波長)位相差板b/光学等方性基板c/透明導電層d/空隙/透明導電層e/光学等方性基板f/(1/4波長)位相差板g/偏光板h/液晶表示部i/偏光板jである。この例では、光学等方性基板c/透明導電層d/空隙/透明導電層e/光学等方性基板fがタッチパネル部、偏光板a/(1/4波長)位相差板bが円偏光板、偏光板h/液晶表示部i/偏光板jが液晶表示装置である。また、(1/4波長)位相差板bと(1/4波長)位相差板gは互いの遅相軸が直交するように配置されている。
【0016】
組込みタイプとしては以下の例を挙げることができる。すなわち、偏光板k/(1/2波長)位相差板l/(1/4波長)位相差板m/光学等方性基板n/透明導電層o/空隙/透明導電層p/光学等方性基板q/液晶表示部r/偏光板sである。この例では、光学等方性基板n/透明導電層o/空隙/透明導電層p/光学等方性基板qがタッチパネル部、偏光板k/(1/2波長)位相差板l/(1/4波長)位相差板m/・・・/液晶表示部r/偏光板sが液晶表示装置である。
【0017】
本発明の電磁波シールド機能を有するタッチパネル付液晶表示装置を製造する方法は、以下の2つの方法に大別される。
【0018】
第一の方法は、図2を用いて説明する。これは高分子成型物基板として光学等方性高分子フィルムを用いた電磁波シールド性積層フィルムを挿入する方法である。即ち、入力操作側から偏光板と位相差板を順次配置し、かつ該偏光板と液晶表示部との間に、空隙を挟んで2つの透明導電層が対向して構成されるタッチパネル部と位相差板とを配置し、更に該タッチパネル部と液晶表示部との間に、上記光学等方性高分子フィルムを基板とした電磁波シールド性積層フィルムを配置する方法である。
【0019】
例えば円偏光板タイプでは、(1/4波長)位相差板bと光学等方性基板cとの間、光学等方性基板fと(1/4波長)位相差板gとの間、(1/4波長)位相差板gと偏光板hとの間に挿入することが好ましい。
【0020】
組込みタイプでは、(1/4波長)位相差板mと光学等方性基板nとの間、光学等方性基板qと液晶表示部rとの間に積層フィルムを挿入することが好ましい。
【0021】
第二の方法は、図3を用いて説明する。これは高分子フィルムとして1/2波長の位相差または1/4波長の位相差を与える複屈折性高分子フィルムを用いた積層フィルムを挿入する方法である。即ち、タッチパネルの入力操作側から偏光板と位相差板を順次配置し、かつ該タッチパネル部と液晶表示部との間に、空隙を挟んで2つの透明導電層が対向して構成されるタッチパネル部と積層フィルムとを配置し、更に該積層フィルムとして、上記1/2波長の位相差または1/4波長の位相差を与える複屈折性高分子フィルムを基板とした電磁波シールド特性を有する積層フィルムを用いる方法である。
【0022】
例えば円偏光板タイプでは、(1/4波長)位相差板bおよびまたは(1/4波長)位相差板gとして、1/4波長の位相差を与える複屈折性高分子フィルムを基板とした電磁波シールド性の積層フィルムを用いる方法がある。
【0023】
組込みタイプでは、(1/2波長)位相差板lとして、1/2波長の位相差を与える複屈折性高分子フィルムを基板とした電磁波シールド性の積層フィルムを用いる方法およびまたは(1/4波長)位相差板mとして1/4波長の位相差を与える複屈折性高分子フィルムを基板とした電磁波シールド性積層フィルムを用いる方法がある。
【0024】
なお、上記タッチパネル、タッチパネル付液晶表示装置を構成する各部材((1/4または1/2波長)位相差板、偏光板、積層フィルム等)は、通常接着剤層を介して構成体を形成する。
【0025】
本発明では、高分子フィルムを基板とした積層フィルムを用いることが重要である。
【0026】
上記第一の方法では、高分子成型物基板として実質的に光学等方性の高分子フィルムを用いる。光学等方性の高分子フィルムは、該フィルム面内の遅相軸方向の屈折率をnx、進相軸方向の屈折率をny、フィルムの厚みをd(nm)とした場合にRe=(nx−ny)×d(nm)で表される面内リターデーション値Reが少なくとも30nm以下であることが好ましく、20nm以下であることがより好ましい。なお、ここでフィルムの面内リターデーション値は多波長複屈折率測定装置(日本分光株式会社製 M−150)を用いて測定した波長590nmでの値で代表している。
【0027】
これらの光学等方性に優れた特性を示す高分子フィルムとしては、例えば、ポリカーボネート、非晶性ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、非晶性ポリオレフィンおよびこれらの変性物もしくは別種材料との共重合物等からなるフィルム、シート等の成型物基板、エポキシ系樹脂等の熱硬化性樹脂の成形物基板やアクリル樹脂等の紫外線硬化性樹脂を硬化して得られるフィルム、シート等の成形物基板等が例示される。成形性や製造コスト、熱的安定性等の観点から、ポリカーボネート、非晶性ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、非晶性ポリオレフィンおよびこれらの変性物もしくは別種材料との共重合物等の成型物基板が最も好ましく挙げられる。
【0028】
より具体的には、ポリカーボネートとしては例えば、ビスフェノールA、1,1−ジ(4−フェノール)シクロヘキシリデン、3,3,5−トリメチル−1,1−ジ(4−フェノール)シクロヘキシリデン、フルオレン−9,9−ジ(4−フェノール)、フルオレン−9,9−ジ(3−メチル−4−フェノール)等からなる群から選ばれる少なくとも一つの成分をモノマー単位とする重合体、これらの共重合体、重合体同士の混合物、共重合体同士の混合物、重合体と共重合体の混合物等であり、平均分子量がおよそ15000〜100000の範囲のポリカーボネート(商品としては、例えば帝人化成株式会社製「ピュアエース」、帝人化成株式会社製「パンライト」、バイエル社製「Apec HT」等が例示される)が好ましく用いられる。
【0029】
また非晶性ポリアリレートとしては、商品として鐘淵化学工業株式会社製「エルメック」、ユニチカ株式会社製「Uポリマー」、イソノバ社製「イサリル」等が例示される。
【0030】
また非晶性ポリオレフィンとしては、商品として日本ゼオン株式会社製「ゼオノア」やJSR株式会社製「アートン」等が例示される。
【0031】
またこれらの高分子材料のフィルムへの成形方法としては、例えば溶融押出法や溶液流延法、射出成型法等の方法が例示される。
【0032】
該光学等方性高分子フィルムの厚さとしては、概ね50〜500μmが好ましい。更に70〜200μmが好ましい。
【0033】
また、上記第二の方法では、高分子成型物基板として1/4波長または1/2波長の位相差を与える複屈折性高分子フィルムを用いる。1/4波長の複屈折性高分子フィルムの場合、波長550nmにおけるリターデーション値(Δnd)が、125〜150nmであることが好ましい。また1/2波長の複屈折性高分子フィルムの場合、波長550nmにおけるリターデーション値(Δnd)が、250〜300nmであることが好ましい。リターデンション値が、それぞれの下限値より小さくてもそれぞれの上限値より大きくても反射防止効果が小さくなり好ましくない。
【0034】
1/4波長または1/2波長の位相差を与える複屈折性高分子フィルムとしては、例えばポリカーボネート、非晶性ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、非晶性ポリオレフィンおよびこれらの変性物もしくは別種材料との共重合物等の素材からなるフィルムを、一軸またはニ軸延伸配向させる方法か、又はこれらの延伸配向されたフィルムをリターデーション値が30nm以下の光学等方性基板(光学等方性高分子フィルムまたはガラス基板)と積層する方法により得ることができる。または、非晶性ポリオレフィン、ポリカーボネート等のリターデーション値が30nm以下の光学等方性基板上に高分子液晶層等を設ける方法によっても得ることができる。また、位相差の波長分散を小さくするために2種類以上の波長分散の異なった高分子を混合により組み合わせてフィルム化したり、2種以上のフィルムを積層により組み合わせて用いても良い。
【0035】
該複屈折性高分子フィルムの厚さとしては、概して50〜500μmが好ましい。更に70〜200μmが好ましい。
【0036】
本発明の積層フィルムにおけるアンダーコート層は、上記高分子フィルムと後述する透明導電層との間に両者に接するようにして位置し、密着性の確保を通した信頼性を向上させる。このアンダーコート層としては、熱や放射線等により反応硬化してなる架橋重合体から形成された層を用いることができる。該架橋重合体としては、金属アルコキシドを加水分解並びに縮合重合してなる架橋重合体の他に、例えばエーテル化メチロールメラミン等のメラミン系熱硬化性樹脂、フェノキシ系熱硬化性樹脂、エポキシ系熱硬化性樹脂、尿素系樹脂、ポリオールアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等の多官能アクリレート系放射線硬化性樹脂等を用いて反応硬化する硬化性樹脂を挙げることができる。がある。これらの中でも、金属アルコキシドを加水分解並びに縮合重合してなる架橋重合体や多官能アクリレート系放射線硬化性樹脂の架橋重合体が好ましい。
【0037】
金属アルコキシドを加水分解並びに縮合重合してなる架橋重合体の中では、機械的強度や安定性、透明導電層や高分子フィルム等との密着性等に優れているといった観点から、チタニウムアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド、ケイ素アルコキシドまたはこれらの混合物を加水分解並びに縮合重合してなる架橋重合体が好ましい。
【0038】
チタニウムアルコキシドとしては、例えばチタニウムテトライソプロポキシド、テトラーnープロピルオルトチタネート、チタニウムテトラーnーブトキシド、テトラキス(2ーエチルヘキシルオキシ)チタネート等が例示され、また、ジルコニウムアルコキシドとしては、例えばジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラーnーブトキシド等が例示される。
【0039】
ケイ素アルコキシドとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等が例示される。これらのケイ素アルコキシドは必要に応じて、層の機械的強度や密着性および耐溶剤性等の観点から二種類以上を混合して用いることが好ましい場合が多く、特にケイ素アルコキシドの全組成中に重量比率0.5〜60%の範囲で、分子内にアミノ基を有するケイ素アルコキシドが含有されていることが好ましい。
【0040】
これらの金属アルコキシドは、モノマーで用いても、あらかじめ加水分解と脱水縮合を行なって適度にオリゴマー化して用いても良いが、通常、適当な有機溶媒に溶解、希釈した塗液を高分子フィルム上に塗工する。該高分子フィルム上に形成された塗工膜は、空気中の水分等により加水分解が進行し、続いて脱水縮合重合が進行する。一般に、縮合重合の促進には適当な加熱処理が必要であり、塗工法のプロセスにおいて100℃以上の温度で数分以上の熱処理を施すことが好ましい。また、場合によっては、前記の熱処理と並行して、紫外線等の活性光線を塗膜に照射する事により、架橋度をより高めることができる。
【0041】
希釈溶剤としては、アルコール系、炭化水素系の溶剤、例えば、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、ヘキサン、シクロヘキサン、リグロイン等が好適であるが、この他にも、キシレン、トルエン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、酢酸イソブチル等の極性溶媒も使用可能である。これらのものは単独あるいは二種以上の混合溶剤として用いることができる。
【0042】
フェノキシ系熱硬化性樹脂としては、下記式(1)で示されるフェノキシ樹脂、フェノキシエーテル樹脂、フェノキシエステル樹脂を多官能イソシアネート化合物で熱的に架橋させた樹脂が挙げられる。
【0043】
【化1】
【0044】
ここでR1〜R6は、同一または異なる水素または炭素数1〜3のアルキル基、R7は炭素数2〜5のアルキレン基、Xはエーテル基、エステル基、mは0〜3の整数、nは20〜300の整数をそれぞれ意味する。そうした中でも特にR1、R2はメチル基、R3〜R6は水素、R7はペンチレン基のものが、合成が容易で生産性の面から好ましい。
【0045】
また、多官能イソシアネート化合物としては、一分子中にイソシアネート基を二つ以上含有する化合物であれば良く、以下のものが例示される。2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート−トリメチロールプロパンアダクト体、t−シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネ−ト、水添ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、p−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、ビシクロヘプタントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等のポリイソシアネートおよびそれらの混合物あるいは多価アルコール付加体等。この中でも特に汎用性、反応性の観点から2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート−トリメチロールプロパンアダクト体、ヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。
【0046】
この他、反応促進剤として、公知のトリエチレンジアミン等の第三アミン、ジブチル錫ジラウレート等の有機錫化合物を適量添加する事で架橋速度を向上することが可能である。
【0047】
また、エポキシ系熱硬化性樹脂としては、各種のものが使用できるが、その中でも、下記式(2)で示されるノボラック型のエポキシ樹脂を熱的に架橋させた樹脂が好ましい。
【0048】
【化2】
【0049】
ここで、R8は水素またはメチル基、R9は水素またはグリシジルフェニルエーテル基を示す。また、qは1〜50までの整数を示すが、実際の所、qの値は一般的に分布を持っていて特定しにくいが、平均の数として大きい方が好ましく、3以上さらには5以上が好ましい。
【0050】
このようなエポキシ樹脂を架橋させる硬化剤としては、公知のものが適用される。例えば、アミン系ポリアミノアミド系、酸および酸無水物、イミダゾール、メルカプタン、フェノール樹脂等の硬化剤が用いられる。これらの中でも、酸無水物および脂環族アミン類が好ましく用いられ、さらに好ましくは酸無水物である。酸無水物としては、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸などの脂環族酸無水物、無水フタル酸等の芳香族酸無水物、ドデセニル無水フタル酸等の脂肪族酸無水物が挙げられるが、特にメチルヘキサヒドロ無水フタル酸が好ましい。尚、脂環族アミンとしては、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、ジアミノシクロヘキシルメタン、イソホロンジアミン等が挙げられ、特にビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタンが好ましい。
【0051】
ここで、硬化剤として酸無水物を用いた場合、エポキシ樹脂と酸無水物との硬化反応を促進する反応促進剤を添加しても良い。反応促進剤としては、ベンジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ピリジン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−1等の公知の第二、第三アミン類やイミダゾール類等の硬化触媒が挙げられる。
【0052】
放射線硬化性樹脂は、紫外線や電子線等の放射線を照射する事によって重合が進行する樹脂を指し、単位構造内に2個以上のアクリロイル基を有する多官能アクリレート成分を樹脂組成中に含有するアクリル系樹脂が挙げられる。例えばジメチールプロパンヘキサアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリアクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート等の各種アクリレートモノマーやポリエステル変性アクリレート、ウレタン変性アクリレート、エポキシ変性アクリレートの多官能アクリレートオリゴマー等が本用途に好ましく用いられる。これらの樹脂は単独の組成で用いても、数種の混合組成で用いても良く、また場合によっては、各種ケイ素アルコキシドの加水分解縮合物を組成中に適量添加することも好ましく行われる。
【0053】
なお、紫外線照射によって上記放射線硬化性樹脂を重合してアンダーコート層を形成する場合には公知の光反応開始剤を適量添加して用いることができる。光反応開始剤としては、例えばジエトキシアセトフェノン、2−メチル−1−{4−(メチルチオ)フェニル}−2−モルフォリノプロパン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸等のベンゾフェノン系化合物;チオキサンソン、2、4−ジクロロチオキサンソン等のチオキサンソン系化合物等が挙げられる。
【0054】
前記架橋重合体の高分子フィルム基板への実際の塗工法としては、前記の化合物ならびに各種添加剤(硬化剤、触媒等)を各種有機溶剤に溶解して、濃度や粘度を調節した塗工液を用いて塗工層を形成後、放射線照射や加熱処理等により該塗工層を反応硬化させアンダーコート層とする。塗工方式としては例えば、マイクログラビヤコート法、マイヤーバーコート法、ダイレクトグラビヤコート法、リバースロールコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、コンマコート法、ダイコート法、ナイフコート法、スピンコート法等の各種塗工方法を用いることができる。
【0055】
架橋重合体よりなるアンダーコート層の膜厚としては、0.01〜6μmが好ましく、更に好ましくは0.02〜5μmである。アンダーコート層の膜厚が0.01μm未満では膜強度が弱く密着性が低下する問題がある。一方、アンダーコート層の膜厚が6μmを超えるとクラックが発生し易くなる問題がある。
【0056】
本発明の積層フィルムにおけるバックコート層は、上記高分子フィルムの上記アンダーコート層とは反対面側に該高分子フィルムに接するようにして位置し、バックコート層は積層フィルムとタッチパネル部との接着性を確保するために設けられる。
【0057】
バックコート層を形成する材料については、前記アンダーコート層を構成するものと同じ架橋重合体を挙げることができる。ロール状での加工性を向上するために、0.5〜3μmのフィラーを含むことが望ましい。またバックコート層の膜厚としては、0.01〜6μmが好ましく、更に好ましくは0.02〜5μmである。バックコート層の膜厚が0.01μm未満では膜強度が弱く密着性が低下する問題がある。一方、バックコート層の膜厚が6μmを超えるとクラック発生し易くなる問題がある。
【0058】
本発明における透明導電層は、上記アンダーコート層の上に接して設けられる。かかる透明導電層としては、酸化錫を2〜20重量%含む酸化インジウム、または、酸化亜鉛を2〜20重量%含む酸化インジウムを用いることができる。酸化錫、酸化亜鉛が2重量%未満になると透過率は良好になるが、結晶化を起こしやくクラックを生じ、抵抗値が増大してしまう。一方、酸化錫、酸化亜鉛が20重量%を超えると、透明性が低減してしまい、液晶表示装置の視認性が低下する。より好ましくは、酸化錫を2.5〜7.5重量%含む酸化インジウム、または、酸化亜鉛を5〜10重量%含む酸化インジウムである。
【0059】
該透明導電層は、酸化錫を添加された酸化インジウムであっても、酸化亜鉛を添加された酸化インジウムであってもよいが、表面抵抗値は40Ω/□以下である。好ましくは、35Ω/□以下、さらに好ましくは30Ω/□以下である。電磁波シールド性能は、透明導電層の表面抵抗値に反比例して向上するので、表面抵抗値はできるだけ小さいことが好ましい。表面抵抗値が40Ω/□を超えると電磁波シールド性能が低下し、好ましくない。しかし、20Ω/□以下の抵抗値が得られるような高分子成型物基板上の透明導電層は膜の応力が大きく、基板を大きくカールさせてしまう。さらには、クラックが発生しやすくなり本発明の主旨の電磁波シールド性能を損ねてしまう。このように、表面抵抗値は小さいことが電磁波シールド性能の観点からは望ましいが、実用的な観点からは20〜40Ω/□の表面抵抗値の範囲である。
【0060】
本発明における、透明導電層の形成手法としては、例えばDCマグネトロンスパッタリング法、RFマグネトロンスパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法、パルスレーザーデポジション法、これらを複合した形成法等を用いることができるが、大面積に対して均一な膜厚の透明導電層を形成するという工業生産性に着目すると、DCマグネトロンスパッタリング法が好ましい。
【0061】
DCマグネトロンスパッタリング法には、酸化インジウムに対して酸化錫が2〜13重量%添加された酸化物焼結ターゲット、または酸化インジウムに対して酸化亜鉛が2〜13重量%添加された酸化物焼結ターゲットを用いることが好ましい。あるいは、金属インジウムに金属錫または金属亜鉛を添加した合金ターゲットを用いて反応性スパッタリング法を行なっても良い。
【0062】
本発明では、酸化物焼結ターゲットを用いてDCマグネトロンスパッタリング法により上記透明導電層を形成する場合は、先ず真空槽中の圧力(背圧)を一旦1.3×10−4Pa以下とし、次いで不活性ガス及び酸素を導入する。真空槽中の圧力は一旦1.3×10−4Pa以下にすることが、真空槽中に残留し、且つ透明導電層の特性に影響を与えることが懸念される分子種の影響を低減できるので好ましい。より好ましくは、5×10−5Pa以下、さらに好ましくは2×10−5Pa以下である。
【0063】
次いで導入される不活性ガスとしては、例えばHe、Ne、Ar、Kr、Xeを用いることができ、原子量の大きな不活性ガスほど形成される膜へのダメージが少なく表面平坦性が向上すると言われている。しかし、コスト面から考えてArが好ましい。この不活性ガスには膜中に取り込まれる酸素濃度を調整するために、分圧に換算して1.3×10−4〜7×10−2Pa台の酸素を添加しても構わない。さらに、酸素の他にO3、N2、N2O、H2O、NH3等を目的に応じて用いることができる。
【0064】
本発明では、透明導電層の抵抗値を調整するために、水を意図的に1.3×10−4〜3×10−2Paの範囲で導入しても構わない。この調整は、一旦真空槽を排気した後に、バリアブルリークバルブやマスフローコントローラーを用いて水を導入することで行っても良い。また、真空槽の背圧を制御することによっても実施することができる。
【0065】
本発明における水分圧を決定するときには、差動排気型のインプロセスモニターを用いても良い。またはダイナミックレンジが広く、0.1Pa台の圧力下においても計測が可能な四重極質量分析計を用いても良い。また、一般的に、1.3×10−5Pa程度の真空度においては、その圧力を形成しているのは水である。よって、真空計によって計測された値をそのまま水分圧と考えても構わない。
【0066】
本発明においては、高分子成型物基板(高分子フィルム)を用いるため、基板温度を当該高分子成型物の軟化点温度より上昇させることはできない。よって、透明導電層を形成する時の高分子成型物基板の温度は、室温以下程度から軟化点温度以下とする必要がある。例えば高分子成型物基板としてポリカーボネートフィルムを用いた場合、そのガラス転移温度は150℃付近であるが、基板温度を80℃以下の温度に保ったまま透明導電層を形成することが好ましい。より好ましくは50℃以下の基板温度にて、さらに好ましくは20℃以下である。また、高分子成型物基板のガラス転移温度が高い場合でも、高分子成型物基板からのアウトガスの制御という観点より80℃以下、より好ましくは50℃以下、さらに好ましくは20℃以下に設定した基板温度で形成することが好ましい。
【0067】
本発明の電磁波シールド性透明積層フィルムでは、色調・光線透過率・電磁波シールド性能の観点より、透明導電層の膜厚を60〜260nmにすることが好ましい。透明導電層の膜厚が60nm未満では、抵抗値が高く電磁波シールド性能が不足する。また、膜厚が260nmを超えると、光線透過率が低下し、液晶表示装置の視認性が低下する。より好ましくは90〜130nmの範囲の膜厚であり、さらに好ましくは100〜120nmの範囲の膜厚である。
【0068】
また、本発明の透明導電層は、結晶質膜、非晶質膜、結晶と非晶の混在した膜のいずれの状態であっても構わない。通常酸化錫を添加した酸化インジウムでは、結晶化が起こりやすく、結晶と非晶が混在した状態をとる。過度に結晶化を促進させると、非晶質から結晶質への相転移の過程において、応力を放出し、電子の移動度が向上することに伴う抵抗値の低減は望めるものの、高分子成型物基板に強いカールを与えてしまい、電磁波シールド性透明積層体のハンドリングが困難になる。一方、酸化亜鉛を添加した酸化インジウムでは、結晶化が起こらず、均質な非晶質膜となっている。酸化亜鉛を添加した酸化インジウムは、非晶質から結晶質への相転移の温度が高分子成型物基板の実用的な温度範囲の上に存在するため、構造相転移に由来する応力の増大は心配する必要がない。
【0069】
本発明では、上記透明導電層の上に、透明導電層の傷防止のためにさらにオーバーコート層を設けてもよい。
【0070】
オーバーコート層を形成する材料については、前記アンダーコート層を構成するものと同じ架橋重合体を挙げることができる。好ましくは屈折率が1.6以下の材料を用いることが好ましい。より好ましくは1.5以下である。係る屈折率が1.6よりも大きいと、界面での反射が増大し透過率が低下する。
【0071】
本発明のオーバーコート層としては、前記アンダーコート層を構成するものと同じもののほか、金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物、金属フッ化物のいずれかよりなり、かつ当該金属として、珪素、アルミニウム、ゲルマニウム、マグネシウム、チタン、タンタルの群より選ばれてなる1種以上の元素を含む層を用いることができる。また、かかる金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物、金属フッ化物のいずれかよりなる被膜の屈折率は1.6以下が好ましい。より好ましくは、1.5以下である。材料としては、特に、珪素およびまたはアルミニウムの酸化物、窒化物、酸窒化物が透明性、生産性の点から好ましい。
【0072】
金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物、金属フッ化物は、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビームスパッタリング法といった方法によりアンダーコート層として形成することができる。幅方向、長さ方向特性の均一性の点からスパッタリング法が好ましい。さらに生産速度の点から、DCマグネトロンスパッタリング法が好ましい。
【0073】
DCマグネトロンスパッタリング法で透明なオーバーコート層を設けるためには、珪素、アルミニウム、ゲルマニウム、マグネシウム、チタン、タンタルからなる群より選ばれてなる1種以上の元素を含む材料よりなる金属ターゲットあるいは合金ターゲットを用いて反応性スパッタリングを行なうことが好ましい。
【0074】
金属あるいは合金ターゲットには、導電性を向上させるために、硼素あるいは燐を数10から数1000ppmドーズすることが必要となる。
【0075】
反応性スパッタリング法では、先ず真空槽中の圧力を一旦1.3×10−4Pa以下とし、次いで不活性ガス及び酸素等の反応性ガスを導入する。真空槽中の圧力を一旦1.3×10−4Pa以下にすることが、真空槽中に残留し、且つ透明なオーバーコート層の特性に影響を与えることが懸念される分子種の影響を低減できるので好ましい。より好ましくは、5×10−5Pa以下、さらに好ましくは2×10−5Pa以下である。
【0076】
次いで導入される不活性ガスとしては、He、Ne、Ar、Kr、Xeを用いることができ、原子量の大きな不活性ガスほど形成される膜へのダメージが少なく表面平坦性が向上すると言われている。しかし、コスト面から考えてArが好ましい。
【0077】
金属酸化物からなるオーバーコート層を形成する場合には、上記不活性ガスに酸素を添加する。これは、オーバーコート層中の酸素量を調整し、透過率を向上させるためである。反応ガスとして導入する酸素量は分圧に換算して、1.3×10−3〜1.3×10−1Pa台とすることができる。また、酸素の他、あるいは替わりにオゾンおよび/または水および/または過酸化水素を添加し、製造マージンの拡大を図ることができる。
【0078】
金属窒化物からなるオーバーコート層を形成する場合には、上記不活性ガスに、窒素を添加することができる。これは、オーバーコート層中の窒素量を調整し、透過率を向上させるためである。反応ガスとして導入する窒素量は分圧に換算して、1.3×10−3〜1.3×10−1Pa台とすることができる。また、窒素の他、或いは替わりにアンモニアおよび/またはヒドラジンを添加し、製造マージンの拡大を図ることができる。
【0079】
金属酸窒化物からなるオーバーコート層を形成する場合には、この不活性ガスに、酸素と窒素を添加することができる。これは、オーバーコート層中の酸素・窒素量を調整し透過率を向上させるためである。反応ガスとして導入する酸素・窒素量は分圧に換算して、1.3×10−3〜1.3×10−1Pa台とすることができる。酸素と窒素の配合比を制御すると、透明な保護膜中の酸素量と窒素量を任意に調整することができる。また、酸素の替わりに水をもちいると、水が酸素の供給源として作用し酸窒化膜が形成できる。また、窒素の替わりに、アンモニアおよび/またはヒドラジンを用いるとアンモニアおよび/またはヒドラジンが窒素の供給源になる。
【0080】
このように、酸素供給源、窒素供給源を適切に選択することで、金属化合物、すなわち金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物の組成を自在に調整することができる。
【0081】
本発明における金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物からなるオーバーコート層の組成は、誘導結合型プラズマ分光法のような湿式法やオージェ電子分光法、X線光電子分光法、二次イオン質量分析計、ラザフォード後方散乱法といった分析手法によって決定できる。しかし本発明では、M(MはSi,Al,Ge、Mg、Ti、Taの群より選ばれてなる1種以上の金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物からなる群から選ばれてなる少なくとも1種の金属化合物の金属を代表してMと記している)Ox、MNx、MOxNyという表記の仕方をする。特に酸化珪素の場合は、上述したようにSiOxであり、1<x<2が好ましい。
【0082】
本発明における反応ガス分圧を決定するときには、差動排気型のインプロセスモニターを用いても良い。またはダイナミックレンジが広く、0.1Pa台の圧力下においても計測が可能な四重極質量分析計を用いても良い。また、一般的に、1.3×10−5Pa程度の圧力においては、その圧力を形成しているのは主として水である。よって、水を添加する系においては、真空計によって計測された値をそのまま水分圧と考えても構わない。さらに、複数のガスを添加するような系においては、添加しているガスの圧力を電離真空計によって多い方から順次読み取り、その他のガスの圧力を引き算にて求めることができる。混合ガスボンベを用いている場合には、得られた圧力をガスの混合比により内分することで分圧を得ることができる。
【0083】
RFマグネトロンスパッタリング法では、ターゲット材料として金属の酸化物・窒化物・酸窒化物を用いることが好ましい。上記不活性ガス雰囲気、不活性ガスに反応性ガスを添加した雰囲気でスパッタリングを行なう。
【0084】
本発明のオーバーコート層の屈折率は1.6以下が好ましいことを述べたが、これは、有機物や無機物単体でのみ達成する必要はなく、アンダーコート層を構成する架橋重合体層中に金属化合物微粒子を添加することで達成しても構わない。ここで用いる金属化合物微粒子は平均一次粒子径が、100nm以下の微粒子を用いることが好ましい。さらに好ましくは平均一次粒子径が50nm以下である。該微粒子の平均一次粒子径を100nm以下に制御することにより、塗膜が白化することなく良好なオーバーコート層を形成することができる。該微粒子をオーバーコート層最表面に偏析させれば、反射防止の効果が得られるのみならず、耐擦傷性を向上させることができ好ましい。平均一次粒子径が100nm以下の微粒子としては、例えば、Al2O3、Bi2O3、CeO2、In2O3、In2O3・SnO2、HfO2、La2O3、Sb2O5、Sb2O5・SnO2、SnO2、TiO2、Y2O3、ZnO、ZrO2などの金属酸化物の微粒子、MgF2などの金属フッ化物微粒子が例示される。
【0085】
オーバーコート層の膜厚としては、0.01〜2μmが好ましく、更に好ましくは0.02〜1μmである。オーバーコート層の膜厚が0.01未満では膜強度が弱く透明導電層の傷防止効果がない。一方、オーバーコート層の膜厚が2μmを越えるとクラックが発生し易くなる問題がある。
【0086】
本発明の積層フィルムは、該バックコート層およびアンダーコート層が共に架橋重合体層よりなり、かつ高分子成型物基板の片面にアンダーコート層、反対面にバックコート層を形成した積層フィルムのカール値がバックコート層を形成した面を凸にして1〜7mmの範囲であることが好ましい。
【0087】
ここでカール値は、以下の様に定義する。すなわち、高分子成型物基板の片面にバックコート層、反対面にアンダーコート層を形成した積層体から100mm×100mmの大きさの試料を切り出し、該試料の凸面が下向きになるように水平な台上に置いて四隅の高さを計測し平均値Xを求める。バックコート層を形成した面が凸(またはアンダーコートを形成した面が凹)になる方向のカールを正の符号で表し、逆方向のカールを負の符号で表す。即ち、バックコート層を形成した面が凸(またはアンダーコートを形成した面が凹)の場合、カール値は+X、バックコート層を形成した面が凹(またはアンダーコートを形成した面が凸)の場合、カール値は−Xとなる。
【0088】
高分子フィルム等の高分子成型物基板の片面にアンダーコート層、反対面にバックコート層を形成した積層フィルムのカール値が1〜7mmの範囲にある場合、透明導電層により発生する応力を相殺する効果をもたらし、電磁波シールド性透明積層フィルムのカールを低減することができる。高分子成型物基板の片面にアンダーコート層、反対面にバックコート層を形成した積層フィルムのカール値が7mmを超えると、電磁波シールド性透明積層体の正方向のカールが大きくなる。また、高分子成型物基板の片面にアンダーコート層、反対面にバックコート層を形成した積層フィルムのカール値が1mm未満では、電磁波シールド性透明積層体の負方向のカールが大きくなる。電磁波シールド性透明積層フィルムのカールの絶対値が大きいと粘着剤塗布などの加工や他の部材との積層加工が困難になるため好ましくない。
【0089】
高分子成型物基板の片面にアンダーコート層、反対面にバックコート層を形成した積層フィルムのカール値がバックコート層を形成した面を凸にして1〜7mmの範囲になるようにするための手段は特に限定しない。要は、アンダーコート層の収縮がバックコート層の収縮より大きくなるように、両者を構成する架橋重合体層の種類、膜厚等を調整することにより達成される。
【0090】
本発明の電磁波シールド性透明積層フィルムは85〜95%の全光線透過率を有することが好ましい。全光線透過率が85%未満であるとタッチパネル付液晶表示装置の明るさの低下や色調の変化をもたらし好ましくない。一方95%を超えると、有限の屈折率を持つ積層フィルムとしては、達成が物理的に不可能である。より好ましくは87〜94%、さらに好ましくは89〜93%である。
【0091】
本発明の電磁波シールド性透明積層フィルムはロールツーロールで製造することが好ましいが、その際の巻取り性、走行性を改善するために、アンダーコート層およびまたはバックコート層表面に微細凹凸を設けることができる。アンダーコート層およびまたはバックコート層表面に微細凹凸を設ける方法としては、アンダーコート層およびまたはバックコート層を形成する架橋重合体層中に微粒子を含有する方法の他に、該架橋重合体層の形成時または該架橋重合体層形成後に該架橋重合体層表面にエンボスロール等を接触させる方法がある。該架橋重合体層中に微粒子を含有する方法が微細凹凸の制御がし易く好ましい。微粒子を含有する架橋重合体層は、塗工法等により設けることができる。塗工法により微粒子を含有する架橋重合体層を形成するのに用いる微粒子としては、シリカ微粒子、架橋アクリル微粒子、架橋ポリスチレン微粒子等がある。また、架橋重合体としては、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のオルガノシラン系重合体やエーテル化メチロールメラミン等のメラミン系熱硬化性樹脂、フェノキシ系熱硬化性樹脂、エポキシ系熱硬化性樹脂、ポリオールアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等の多官能アクリレート系放射線硬化性樹脂等がある。これらの中でも、多官能アクリレート系樹脂等の放射線硬化性樹脂は、放射線の照射により比較的短時間に架橋度の高い層が得られる事から、製造プロセスへの負荷が少なくまた膜強度が強い特徴があり、最も好ましく用いられる。
【0092】
【実施例】
以下実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(測定方法)
(1)リターデーション値、光弾性定数の測定
リターデーション値および光弾性定数は、分光エリプソメータ『M150』(日本分光(株)製)により測定した。
【0093】
(2)高分子のガラス転移点温度(Tg)の測定
『DSC2920 Modulated DSC』(TA Instruments社製)により測定した。フィルム成形後ではなく、樹脂重合後、フレークスまたはチップの状態で測定した。
【0094】
(3)カール値の測定
測定対象となる積層体から100mm×100mmの大きさの試料を切り出し、該試料の凸面が下向きになるように水平な台上に置いて四隅の高さを計測し平均値を求める。バックコート層を形成した面が凸(またはアンダーコートを形成した面が凹)になる方向のカールを正の符号で表し、逆方向のカールを負の符号で表す。
【0095】
(4)全光線透過率の測定
全光線透過率は、日本電色工業社製A300を用いて測定した。
【0096】
(5)以下の実施例、比較例で用いたポリカーボネートのモノマー構造を以下に示す。
【0097】
【化3】
【0098】
[実施例1及び比較例1]
攪拌機、温度計および環流冷却器を備えた反応槽に水酸化ナトリウム水溶液およびイオン交換水を仕込み、これに上記構造を有するモノマー(E)、(F)を50:50のモル比で溶解させ、少量のハイドロサルフィトを加えた。次にこれに塩化メチレンを加え、20℃でホスゲンを約60分かけて吹き込んだ。さらに、p−tert−ブチフェノールを加えて乳化させた後、トリエチルアミンを加えて30℃で約3時間攪拌して反応を終了させた。反応終了後有機相を分取し、塩化メチレンを蒸発させてポリカーボネート共重合体を得た。得られた共重合体の組成比はモノマー仕込み量比とほぼ同等であった。ガラス転移温度は215℃であった。
【0099】
この共重合体を塩化メチレンに溶解させ、固形分濃度18重量%のドープ溶液を作製した。このドープ溶液からキャストフィルムを作製し、220℃にて1.30倍に縦一軸延伸することによりリ厚さ95μm、リターデーション値138nm、光弾性定数60×10−12Pa−1である位相差板1を得た。
【0100】
次に、ポリエステルアクリレート(東亜化学株式会社製 アロニックスM8060)50重量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬株式会社製 DPHA)50重量部、光開始剤(チバガイギー社製 イルガキュア184)7重量部、希釈剤として1−メトキシ−2−プロパノール200重量部からなる塗工液Aを用意した。更に塗工液Aに、微粒子として、平均粒径が約3μmのシリコーン架橋微粒子(GE東芝シリコーン株式会社製 トスパール130)を樹脂成分100部に対して0.2部添加することにより塗工液Bを得た。また、塗工液Aに、微粒子として、平均粒径が約3μmのシリコーン架橋微粒子(GE東芝シリコーン株式会社製 トスパール130)を樹脂成分100部に対して0.5部添加することにより塗工液Cを得た。
【0101】
実施例1の位相差板1の片面に該塗工液Bをマイクログラビア塗工装置にて塗付し60℃で1分間乾燥後、強度160w/cmの高圧水銀灯を用いて積算光量450mJ/cm2の条件で塗工膜を硬化させることにより厚さ約2μmのバックコート層を設けた。該バックコート層単独のヘーズ値は0.5%であった。次に、位相差板の該バックコート層を設けた側と反対面に該塗工液Aをマイクログラビア塗工装置にて塗付し60℃で1分間乾燥後、強度160w/cmの高圧水銀灯を用いて積算光量450mJ/cm2の条件で塗工膜を硬化させることにより厚さ約3μmのアンダーコート層を設けた。カール値は3mmであった。
【0102】
引き続いて、酸化インジウムと酸化錫が重量比9:1の組成で充填密度98%の酸化インジウム−錫ターゲットを用いDCマグネトロンスパッタリング法でアンダーコート層上にITO膜を積層した。ITO膜の膜厚は110nm、表面抵抗値は38Ω/□であった。リターデーション値は137nmで殆ど変化がなかった。
【0103】
次にトリメチロールプロパントリアクリレート31.3重量部とジペンタエリスリトールヘキサアクリレート62.6重量部からなる紫外線硬化性樹脂と1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン5.0重量部、ベンゾフェノン1.0重量部からなる光開始剤とイソプロピルアルコールと1−メトキシ−2−プロパノールの混合溶剤よりなる希釈剤を用いて、塗工液Dを用意した。
【0104】
前記ITO膜上に塗工液Dをマイクログラビア塗工装置にて塗付し60℃で1分間乾燥後、強度160w/cmの高圧水銀灯を用いて積算光量450mJ/cm2の条件で塗工膜を硬化させることにより厚さ約0.05μmのオーバーコート層を設けることにより、実施例1の電磁波シールド性透明積層フィルムを作製した。電磁波シールド性透明積層フィルムのカール値は−20mm、全光線透過率は90%であった。
【0105】
また、実施例1の位相差板1の片面に該塗工液Bをマイクログラビア塗工装置にて塗付し60℃で1分間乾燥後、強度160w/cmの高圧水銀灯を用いて積算光量450mJ/cm2の条件で塗工膜を硬化させることにより厚さ約2μmのバックコート層を設けた。該バックコート層単独のヘーズ値は0.5%であった。次に、位相差板1の該バックコート層を設けた側と反対面に該塗工液Cをマイクログラビア塗工装置にて塗付し60℃で1分間乾燥後、強度160w/cmの高圧水銀灯を用いて積算光量450mJ/cm2の条件で塗工膜を硬化させることにより厚さ約2μmのアンダーコート層を設けた。
【0106】
引き続いて、酸化インジウムと酸化錫が重量比9:1の組成で充填密度98%の酸化インジウム−錫ターゲットを用いスパッタリング法でアンダーコート層上にITO膜を積層することにより、タッチパネル用の可動電極基板を作製した。ITO膜の膜厚は20nm、表面抵抗値は350Ω/□であった。リターデーション値は137nmで殆ど変化がなかった。
【0107】
一方、厚さ1.1mmのガラス基板の両面にディップコーティング法によりSiO2膜を設けた後、スパッタリング法により厚さ18nmのITO膜を透明導電層として設けることによりタッチパネル用の固定電極基板を作製した。次に、ITO膜上に高さ7μm、直径70μm、ピッチ1.5mmのドットスペーサを設けた。
【0108】
しかる後、外部への引き出し回路、絶縁層、粘着層を設けた後、可動電極基板と固定電極基板の透明導電層(ITO膜)同士が向かい合いようにして貼り合わせアナログ型のタッチパネル部を作製した。
【0109】
次に、沃素を偏光子として含有した一軸延伸ポリビニルアルコールフィルムの両面に接着剤を介してトリアセテートフィルムを貼り合わせて厚さ150μmの入力操作側の偏光板を得た。なお、偏光板の入力操作面にはアンチグレアハードコート層を設けた。
【0110】
次に、偏光板の光学軸と可動電極基板の光学軸とのなす角度が45度になるように粘着剤を介して偏光板と可動電極基板を貼り合せた。
【0111】
次に、可動電極基板の光学軸と実施例1の電磁波シールド性透明積層フィルム体の光学軸とが直交するように粘着剤を介して、固定電極基板に該電磁波シールド性積層フィルムを貼り合せることにより実施例1の電磁波シールド機能を有するタッチパネルを得た(図4参照)。
【0112】
一方、可動電極基板の光学軸と位相差板1の光学軸とが直交するように粘着剤を介して、固定電極基板に位相差板1を貼り合せ、上記積層フィルムは用いずに構成することにより比較例1のタッチパネルを得た(図5参照)。実施例1および比較例1のタッチパネルを液晶表示装置上に設置し、実施例1および比較例1のタッチパネル付き液晶表示装置を作製した。ここで用いた液晶表示装置の構成は、偏光板/液晶/偏光板である(図示せず)。
【0113】
液晶表示装置を駆動したところ、実施例1のタッチパネルは、アドバンテスト法(30MHz)を用いて得た電磁波シールド効率の値は40dBであった。一方比較例1のタッチパネルは、電磁波シールド効率が20dBであり、実施例1と比べて電磁波シールド効率が1/2であった。
【0114】
[比較例2および3]
実施例1の位相差板1の片面に該塗工液Bをマイクログラビア塗工装置にて塗付し60℃で1分間乾燥後、強度160w/cmの高圧水銀灯を用いて積算光量450mJ/cm2の条件で塗工膜を硬化させることにより厚さ約2μmの架橋重合体層Bを設けた。
【0115】
該架橋重合体層Bをバックコート層として用い、位相差板1の該バックコート層を設けた面と反対面にアンダーコート層を設けずに、実施例1と同様な方法で透明導電層、オーバーコート層を設けることにより比較例2の電磁波シールド性透明積層体を得た。比較例2の電磁波シールド性透明積層フィルムのカール値は−13mm、全光線透過率は90%であった。
【0116】
位相差板1にバックコート層を設けずに、該架橋重合体層Bをアンダーコート層として用い、該アンダーコート層上に実施例1と同様な方法で透明導電層、オーバーコート層を設けることにより比較例3の電磁波シールド性透明積層フィルムを得た。比較例3の電磁波シールド性透明積層体のカール値は−24mm、全光線透過率は90%であった。
【0117】
比較例2、比較例3の電磁波シールド性透明積層フィルムを用いて、実施例1と同様にして、それぞれ比較例2、比較例3のタッチパネルを得た。(図6、図7参照)
実施例1、比較例2、比較例3のタッチパネルを、80℃の雰囲気に500時間放置した後の外観を調べた。実施例1の電磁波シールド機能を有するタッチパネルは外観上の異常は認められなかったが、比較例2のタッチパネルは電磁波シールド性透明積層フィルムが部分的に剥離した。比較例3のタッチパネルは固定電極基板と電磁波シールド性透明積層フィルムの貼り合せ面に気泡が発生し、電磁波シールド性透明積層フィルムが部分的に剥離した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のタッチパネルの一例を表す概念図である。
【図2】本発明のタッチパネル付液晶表示装置の一例を表す概念図である。
【図3】本発明のタッチパネル付液晶表示装置の一例を表す概念図である。
【図4】実施例1のタッチパネル付液晶表示装置を表す概念図である。
【図5】比較例1のタッチパネル付液晶表示装置を表す概念図である。
【図6】比較例2のタッチパネルを表す概念図である。
【図7】比較例3のタッチパネルを表す概念図である。
【符号の説明】
1 アンチグレアハードコート層
2、9 バックコート層
3、10 位相差板1
4、11 アンダーコート層
5、7、12 透明導電層
6 ドットスペーサ
8 ガラス板
13 オーバーコート層
14 偏光板1
15 可動電極基板
16 固定電極基板
17 電磁波シールド性透明積層フィルムまたは位相差板1
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁波シールド性を有するタッチパネル、タッチパネル付液晶表示装置、及びそれらに好適に用いられる積層フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、表示装置を備えた情報機器が幅広い分野で利用されている。表示装置はその性質上透明窓部を有するが、情報機器からこの透明窓部を通して発生する電磁波の人体や他の機器への影響が問題になってきている。透明な電磁波シールド材としては、下記特許文献1には、フィルム基材上に透明な金属薄膜と透明な誘電体薄膜を積層したものや、下記特許文献2には、透明支持体の片面にオーバーコート層を介して、金属酸化物層と金属層を設け、反対面に赤外線遮断層および可視光選択吸収層を設けたものが提案されている。いずれも金属薄膜層が電磁波シールド機能を有する層である。金属薄膜層は電磁波シールド機能に優れているものの透明性が劣るため、表示装置の表示品位が低下する問題がある。
【0003】
一方、液晶表示装置上に情報入力用の抵抗膜方式のタッチパネル(タッチスクリーン、透明メンブレンスイッチとも称される)を取り付けた情報機器が広く使用されている(例えば特許文献3参照)。抵抗膜方式のタッチパネルは、透明導電層が形成された二枚の透明電極基板(可動電極基板と固定電極基板)をおよそ10〜100μmの間隔で相対させて構成する。その際に、外力のない状態で可動電極基板と固定電極基板との間の絶縁性を保持するために、通常固定電極基板の電極面上にドットスペーサを設ける。これにより、可動電極基板の外側から、指またはペンで押圧すると、押圧部においてのみ可動電極基板と固定電極基板の電極面同士が接触してスイッチとして動作し、例えば液晶表示装置画面上のメニューの選択あるいは手書き図形や手書き文字の入力等を行なうことができる。タッチパネルに用いられる透明導電層は、表面抵抗値が100〜2000Ω/□と比較的高いことやタッチパネルの銀インク回路引き回し部では透明導電層が除去されているため電磁波シールド効果は十分には期待できない。
【0004】
また、タッチパネル付液晶表示装置は、カムコーダー、PDA(Personal Digital Assistant)、スマートフォン、カーナビゲーション等の情報機器に用いられるが、これらは、屋外等種々の方向から来る光源の存在下で用いられるため、画像を認識させる光(液晶表示部からの光)の他にノイズ光(タッチパネル部からの反射光)が同時に眼に入り、表示が見にくい問題があった。
【0005】
タッチパネル付液晶表示装置の視認性を改善する手段として、特許文献4には透明タッチパネル部に1/4波長位相差板と偏光板とノングレア処理された層とを順次に積層することによりタッチパネル部の反射光を低下させる方法が提案されている。この方法は、透明タッチパネル部の反射光を低下させる効果はあるが、上述の通り電磁波シールド効果は期待出来ない。
【0006】
【特許文献1】
特開平1−278800号公報
【特許文献2】
特開2002−72897号公報
【特許文献3】
国際公開第01/16963号公報
【特許文献4】
特開平05−127822号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はタッチパネル付液晶表示装置の視認性を改善すると共にこれらの液晶表示装置から発生する電磁波をシールドするための電磁波シールド性透明積層フィルム、電磁波シールド機能を有するタッチパネルおよび電磁波シールド機能を有するタッチパネル付液晶表示装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する手段として、先ず高分子フィルム等の高分子成型物基板上に透明導電層を設けてなる電磁波シールド材を作製し、電磁波シールド材単体のシールド効果を調査した結果、透明導電層の表面抵抗値が40Ω/□以下であれば液晶表示装置から発生する電磁波に対してシールド効果があることがわかった。しかし、単に高分子成型物基板上に透明導電層を設けてなる電磁波シールド材では、タッチパネル付液晶表示装置の一部に組み込むために粘着剤塗布などの加工を行なうと、透明導電層に傷が入って表面抵抗値が増加し、十分な電磁波シールド効果が得られない問題が発生した。そこで更に鋭意検討した結果、高分子成型物基板上の一方の面に、順次アンダーコート層、透明導電層を積層し、該高分子成型物基板の他方の反対面にバックコート層を形成した構成にすれば粘着剤塗布などの加工による表面抵抗値の変化を抑制でき、また、電磁波シールド性透明積層体と粘着剤との密着性が良好でかつ電磁波シールド性透明積層フィルムのカール値が低減するため、他の部材との積層加工が容易であることが分かった。更に、高分子成型物基板として光学等方性の高分子フィルムまたは位相差を有する複屈折性の高分子フィルムを用いれば、偏光板と共にタッチパネル付液晶表示装置を構成することが可能になり、タッチパネル付液晶表示装置の視認性が改善されると共に、電磁波シールド機能を付与することが出来ることを見出し本発明に到達した。即ち、本発明は、以下の通りのものである。
1. 2つの透明基体(c)のそれぞれの少なくとも一方の面に形成された透明導電層(d、e)が、空隙を挟んで該透明導電層d,e同士を対向して構成されるタッチパネルであって、少なくとも一方の当該透明基体における透明導電層dまたはeの反対側の当該透明基体の面に、下記(イ)〜(ニ)を順次有してなり、かつ全光線透過率が85〜95%の範囲にある積層フィルムが設けられた電磁波シールド機能を有するタッチパネル。
(イ)バックコート層
(ロ)高分子フィルム
(ハ)アンダーコート層
(ニ)抵抗値が20〜40Ω/□である透明導電層
2. 請求項1記載のタッチパネルの入力操作側に偏光板及び位相差板(b)を配置し、当該タッチパネルの入力操作側とは反対側に透明基体に接して位相差板(g)及び上記1の積層フィルムが順次設けられ、さらに、液晶表示部を設けてなり、かつ、積層フィルムを構成する高分子フィルムは、波長590nmにおける位相差が30nm以下の実質的に光学等方性の高分子フィルムである電磁波シールド機能を有するタッチパネル付液晶表示装置。
3. 請求項1記載のタッチパネルの入力操作側に偏光板及び位相差板(b)を配置し、当該タッチパネルの入力操作側とは反対側に透明基体に接して上記1の積層フィルムが設けられ、さらに、液晶表示部を設けてなり、かつ、積層フィルムを構成する高分子フィルムは、波長550nmにおいて1/4波長または1/2波長の位相差を与える複屈折性高分子フィルムである電磁波シールド機能を有するタッチパネル付液晶表示装置。
4. 高分子フィルムの一方の面に順次アンダーコート層及び抵抗値が20〜40Ω/□である透明導電層を有し、かつ当該高分子フィルムの他方の面にバックコート層を有してなる積層フィルムであって、かつ全光線透過率が85〜95%の範囲にあるタッチパネル用に適した電磁波シールド機能を有する積層フィルム。
5. 該アンダーコート層が架橋重合体からなる上記の積層フィルム。
6. 該透明導電層が酸化インジウムを主成分とし、酸化インジウムに対して、2〜20重量%の酸化錫または酸化亜鉛を含むものからなる、上記4、5の積層フィルム。
7. 高分子フィルムがポリカーボネートからなる、上記4〜6の積層フィルム。
8. 高分子フィルムが、波長550nmにおいて1/4波長または1/2波長の位相差を与える複屈折性高分子フィルムであるか、あるいは実質的に光学等方性の高分子フィルムである、上記4〜7の積層フィルム。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
【0010】
本発明の電磁波シールド機能を有するタッチパネル(部)は、例えば図1に示すように、透明基体(光学等方性基板)c/透明導電層d/空隙/透明導電層e/透明基体(光学等方性基板)f、という積層体から構成される。このタッチパネル(部)に、電磁波シールド性積層体を貼付する。ここで光学等方性基板c、fとしては、例えばガラス基板、光学等方性で透明性に優れた高分子フィルム(例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、非晶性ポリオレフィン等)を用いることができる。またその厚さとしては、通常25〜200μmの範囲である。
【0011】
透明導電層d、eを形成する材料としては、例えば、酸化錫ドープ酸化インジウム薄膜を用いることができる。またその厚さとしては、通常10〜100nmの範囲である。表面抵抗値は通常100〜1000Ω/□の範囲である。
【0012】
空隙は、通常0.1〜100μmの空気層であり、透明導電層dとeとが通常状態では接触しないような間隔を保つようにスペーサーが含まれる。
【0013】
上記積層フィルムの具体的構成については後述する。
【0014】
タッチパネル付液晶表示装置の視認性を改善する手段には、タッチパネルの上部(入力操作側)に円偏光板を設けることによりタッチパネル部の反射光を低減するもの(円偏光板タイプ)と、液晶表示装置の上部偏光板(または位相差板)と液晶セルの上部基板との間にタッチパネル部を組み込み、タッチパネル部への外光の入射を減らすことにより、タッチパネル部の反射光を低減するもの(組込みタイプ)がある。
【0015】
円偏光板タイプの一例を挙げると以下の通りである。すなわち、偏光板a/(1/4波長)位相差板b/光学等方性基板c/透明導電層d/空隙/透明導電層e/光学等方性基板f/(1/4波長)位相差板g/偏光板h/液晶表示部i/偏光板jである。この例では、光学等方性基板c/透明導電層d/空隙/透明導電層e/光学等方性基板fがタッチパネル部、偏光板a/(1/4波長)位相差板bが円偏光板、偏光板h/液晶表示部i/偏光板jが液晶表示装置である。また、(1/4波長)位相差板bと(1/4波長)位相差板gは互いの遅相軸が直交するように配置されている。
【0016】
組込みタイプとしては以下の例を挙げることができる。すなわち、偏光板k/(1/2波長)位相差板l/(1/4波長)位相差板m/光学等方性基板n/透明導電層o/空隙/透明導電層p/光学等方性基板q/液晶表示部r/偏光板sである。この例では、光学等方性基板n/透明導電層o/空隙/透明導電層p/光学等方性基板qがタッチパネル部、偏光板k/(1/2波長)位相差板l/(1/4波長)位相差板m/・・・/液晶表示部r/偏光板sが液晶表示装置である。
【0017】
本発明の電磁波シールド機能を有するタッチパネル付液晶表示装置を製造する方法は、以下の2つの方法に大別される。
【0018】
第一の方法は、図2を用いて説明する。これは高分子成型物基板として光学等方性高分子フィルムを用いた電磁波シールド性積層フィルムを挿入する方法である。即ち、入力操作側から偏光板と位相差板を順次配置し、かつ該偏光板と液晶表示部との間に、空隙を挟んで2つの透明導電層が対向して構成されるタッチパネル部と位相差板とを配置し、更に該タッチパネル部と液晶表示部との間に、上記光学等方性高分子フィルムを基板とした電磁波シールド性積層フィルムを配置する方法である。
【0019】
例えば円偏光板タイプでは、(1/4波長)位相差板bと光学等方性基板cとの間、光学等方性基板fと(1/4波長)位相差板gとの間、(1/4波長)位相差板gと偏光板hとの間に挿入することが好ましい。
【0020】
組込みタイプでは、(1/4波長)位相差板mと光学等方性基板nとの間、光学等方性基板qと液晶表示部rとの間に積層フィルムを挿入することが好ましい。
【0021】
第二の方法は、図3を用いて説明する。これは高分子フィルムとして1/2波長の位相差または1/4波長の位相差を与える複屈折性高分子フィルムを用いた積層フィルムを挿入する方法である。即ち、タッチパネルの入力操作側から偏光板と位相差板を順次配置し、かつ該タッチパネル部と液晶表示部との間に、空隙を挟んで2つの透明導電層が対向して構成されるタッチパネル部と積層フィルムとを配置し、更に該積層フィルムとして、上記1/2波長の位相差または1/4波長の位相差を与える複屈折性高分子フィルムを基板とした電磁波シールド特性を有する積層フィルムを用いる方法である。
【0022】
例えば円偏光板タイプでは、(1/4波長)位相差板bおよびまたは(1/4波長)位相差板gとして、1/4波長の位相差を与える複屈折性高分子フィルムを基板とした電磁波シールド性の積層フィルムを用いる方法がある。
【0023】
組込みタイプでは、(1/2波長)位相差板lとして、1/2波長の位相差を与える複屈折性高分子フィルムを基板とした電磁波シールド性の積層フィルムを用いる方法およびまたは(1/4波長)位相差板mとして1/4波長の位相差を与える複屈折性高分子フィルムを基板とした電磁波シールド性積層フィルムを用いる方法がある。
【0024】
なお、上記タッチパネル、タッチパネル付液晶表示装置を構成する各部材((1/4または1/2波長)位相差板、偏光板、積層フィルム等)は、通常接着剤層を介して構成体を形成する。
【0025】
本発明では、高分子フィルムを基板とした積層フィルムを用いることが重要である。
【0026】
上記第一の方法では、高分子成型物基板として実質的に光学等方性の高分子フィルムを用いる。光学等方性の高分子フィルムは、該フィルム面内の遅相軸方向の屈折率をnx、進相軸方向の屈折率をny、フィルムの厚みをd(nm)とした場合にRe=(nx−ny)×d(nm)で表される面内リターデーション値Reが少なくとも30nm以下であることが好ましく、20nm以下であることがより好ましい。なお、ここでフィルムの面内リターデーション値は多波長複屈折率測定装置(日本分光株式会社製 M−150)を用いて測定した波長590nmでの値で代表している。
【0027】
これらの光学等方性に優れた特性を示す高分子フィルムとしては、例えば、ポリカーボネート、非晶性ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、非晶性ポリオレフィンおよびこれらの変性物もしくは別種材料との共重合物等からなるフィルム、シート等の成型物基板、エポキシ系樹脂等の熱硬化性樹脂の成形物基板やアクリル樹脂等の紫外線硬化性樹脂を硬化して得られるフィルム、シート等の成形物基板等が例示される。成形性や製造コスト、熱的安定性等の観点から、ポリカーボネート、非晶性ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、非晶性ポリオレフィンおよびこれらの変性物もしくは別種材料との共重合物等の成型物基板が最も好ましく挙げられる。
【0028】
より具体的には、ポリカーボネートとしては例えば、ビスフェノールA、1,1−ジ(4−フェノール)シクロヘキシリデン、3,3,5−トリメチル−1,1−ジ(4−フェノール)シクロヘキシリデン、フルオレン−9,9−ジ(4−フェノール)、フルオレン−9,9−ジ(3−メチル−4−フェノール)等からなる群から選ばれる少なくとも一つの成分をモノマー単位とする重合体、これらの共重合体、重合体同士の混合物、共重合体同士の混合物、重合体と共重合体の混合物等であり、平均分子量がおよそ15000〜100000の範囲のポリカーボネート(商品としては、例えば帝人化成株式会社製「ピュアエース」、帝人化成株式会社製「パンライト」、バイエル社製「Apec HT」等が例示される)が好ましく用いられる。
【0029】
また非晶性ポリアリレートとしては、商品として鐘淵化学工業株式会社製「エルメック」、ユニチカ株式会社製「Uポリマー」、イソノバ社製「イサリル」等が例示される。
【0030】
また非晶性ポリオレフィンとしては、商品として日本ゼオン株式会社製「ゼオノア」やJSR株式会社製「アートン」等が例示される。
【0031】
またこれらの高分子材料のフィルムへの成形方法としては、例えば溶融押出法や溶液流延法、射出成型法等の方法が例示される。
【0032】
該光学等方性高分子フィルムの厚さとしては、概ね50〜500μmが好ましい。更に70〜200μmが好ましい。
【0033】
また、上記第二の方法では、高分子成型物基板として1/4波長または1/2波長の位相差を与える複屈折性高分子フィルムを用いる。1/4波長の複屈折性高分子フィルムの場合、波長550nmにおけるリターデーション値(Δnd)が、125〜150nmであることが好ましい。また1/2波長の複屈折性高分子フィルムの場合、波長550nmにおけるリターデーション値(Δnd)が、250〜300nmであることが好ましい。リターデンション値が、それぞれの下限値より小さくてもそれぞれの上限値より大きくても反射防止効果が小さくなり好ましくない。
【0034】
1/4波長または1/2波長の位相差を与える複屈折性高分子フィルムとしては、例えばポリカーボネート、非晶性ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、非晶性ポリオレフィンおよびこれらの変性物もしくは別種材料との共重合物等の素材からなるフィルムを、一軸またはニ軸延伸配向させる方法か、又はこれらの延伸配向されたフィルムをリターデーション値が30nm以下の光学等方性基板(光学等方性高分子フィルムまたはガラス基板)と積層する方法により得ることができる。または、非晶性ポリオレフィン、ポリカーボネート等のリターデーション値が30nm以下の光学等方性基板上に高分子液晶層等を設ける方法によっても得ることができる。また、位相差の波長分散を小さくするために2種類以上の波長分散の異なった高分子を混合により組み合わせてフィルム化したり、2種以上のフィルムを積層により組み合わせて用いても良い。
【0035】
該複屈折性高分子フィルムの厚さとしては、概して50〜500μmが好ましい。更に70〜200μmが好ましい。
【0036】
本発明の積層フィルムにおけるアンダーコート層は、上記高分子フィルムと後述する透明導電層との間に両者に接するようにして位置し、密着性の確保を通した信頼性を向上させる。このアンダーコート層としては、熱や放射線等により反応硬化してなる架橋重合体から形成された層を用いることができる。該架橋重合体としては、金属アルコキシドを加水分解並びに縮合重合してなる架橋重合体の他に、例えばエーテル化メチロールメラミン等のメラミン系熱硬化性樹脂、フェノキシ系熱硬化性樹脂、エポキシ系熱硬化性樹脂、尿素系樹脂、ポリオールアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等の多官能アクリレート系放射線硬化性樹脂等を用いて反応硬化する硬化性樹脂を挙げることができる。がある。これらの中でも、金属アルコキシドを加水分解並びに縮合重合してなる架橋重合体や多官能アクリレート系放射線硬化性樹脂の架橋重合体が好ましい。
【0037】
金属アルコキシドを加水分解並びに縮合重合してなる架橋重合体の中では、機械的強度や安定性、透明導電層や高分子フィルム等との密着性等に優れているといった観点から、チタニウムアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド、ケイ素アルコキシドまたはこれらの混合物を加水分解並びに縮合重合してなる架橋重合体が好ましい。
【0038】
チタニウムアルコキシドとしては、例えばチタニウムテトライソプロポキシド、テトラーnープロピルオルトチタネート、チタニウムテトラーnーブトキシド、テトラキス(2ーエチルヘキシルオキシ)チタネート等が例示され、また、ジルコニウムアルコキシドとしては、例えばジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラーnーブトキシド等が例示される。
【0039】
ケイ素アルコキシドとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等が例示される。これらのケイ素アルコキシドは必要に応じて、層の機械的強度や密着性および耐溶剤性等の観点から二種類以上を混合して用いることが好ましい場合が多く、特にケイ素アルコキシドの全組成中に重量比率0.5〜60%の範囲で、分子内にアミノ基を有するケイ素アルコキシドが含有されていることが好ましい。
【0040】
これらの金属アルコキシドは、モノマーで用いても、あらかじめ加水分解と脱水縮合を行なって適度にオリゴマー化して用いても良いが、通常、適当な有機溶媒に溶解、希釈した塗液を高分子フィルム上に塗工する。該高分子フィルム上に形成された塗工膜は、空気中の水分等により加水分解が進行し、続いて脱水縮合重合が進行する。一般に、縮合重合の促進には適当な加熱処理が必要であり、塗工法のプロセスにおいて100℃以上の温度で数分以上の熱処理を施すことが好ましい。また、場合によっては、前記の熱処理と並行して、紫外線等の活性光線を塗膜に照射する事により、架橋度をより高めることができる。
【0041】
希釈溶剤としては、アルコール系、炭化水素系の溶剤、例えば、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、ヘキサン、シクロヘキサン、リグロイン等が好適であるが、この他にも、キシレン、トルエン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、酢酸イソブチル等の極性溶媒も使用可能である。これらのものは単独あるいは二種以上の混合溶剤として用いることができる。
【0042】
フェノキシ系熱硬化性樹脂としては、下記式(1)で示されるフェノキシ樹脂、フェノキシエーテル樹脂、フェノキシエステル樹脂を多官能イソシアネート化合物で熱的に架橋させた樹脂が挙げられる。
【0043】
【化1】
【0044】
ここでR1〜R6は、同一または異なる水素または炭素数1〜3のアルキル基、R7は炭素数2〜5のアルキレン基、Xはエーテル基、エステル基、mは0〜3の整数、nは20〜300の整数をそれぞれ意味する。そうした中でも特にR1、R2はメチル基、R3〜R6は水素、R7はペンチレン基のものが、合成が容易で生産性の面から好ましい。
【0045】
また、多官能イソシアネート化合物としては、一分子中にイソシアネート基を二つ以上含有する化合物であれば良く、以下のものが例示される。2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート−トリメチロールプロパンアダクト体、t−シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネ−ト、水添ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、p−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、ビシクロヘプタントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等のポリイソシアネートおよびそれらの混合物あるいは多価アルコール付加体等。この中でも特に汎用性、反応性の観点から2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート−トリメチロールプロパンアダクト体、ヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。
【0046】
この他、反応促進剤として、公知のトリエチレンジアミン等の第三アミン、ジブチル錫ジラウレート等の有機錫化合物を適量添加する事で架橋速度を向上することが可能である。
【0047】
また、エポキシ系熱硬化性樹脂としては、各種のものが使用できるが、その中でも、下記式(2)で示されるノボラック型のエポキシ樹脂を熱的に架橋させた樹脂が好ましい。
【0048】
【化2】
【0049】
ここで、R8は水素またはメチル基、R9は水素またはグリシジルフェニルエーテル基を示す。また、qは1〜50までの整数を示すが、実際の所、qの値は一般的に分布を持っていて特定しにくいが、平均の数として大きい方が好ましく、3以上さらには5以上が好ましい。
【0050】
このようなエポキシ樹脂を架橋させる硬化剤としては、公知のものが適用される。例えば、アミン系ポリアミノアミド系、酸および酸無水物、イミダゾール、メルカプタン、フェノール樹脂等の硬化剤が用いられる。これらの中でも、酸無水物および脂環族アミン類が好ましく用いられ、さらに好ましくは酸無水物である。酸無水物としては、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸などの脂環族酸無水物、無水フタル酸等の芳香族酸無水物、ドデセニル無水フタル酸等の脂肪族酸無水物が挙げられるが、特にメチルヘキサヒドロ無水フタル酸が好ましい。尚、脂環族アミンとしては、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、ジアミノシクロヘキシルメタン、イソホロンジアミン等が挙げられ、特にビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタンが好ましい。
【0051】
ここで、硬化剤として酸無水物を用いた場合、エポキシ樹脂と酸無水物との硬化反応を促進する反応促進剤を添加しても良い。反応促進剤としては、ベンジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ピリジン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−1等の公知の第二、第三アミン類やイミダゾール類等の硬化触媒が挙げられる。
【0052】
放射線硬化性樹脂は、紫外線や電子線等の放射線を照射する事によって重合が進行する樹脂を指し、単位構造内に2個以上のアクリロイル基を有する多官能アクリレート成分を樹脂組成中に含有するアクリル系樹脂が挙げられる。例えばジメチールプロパンヘキサアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリアクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート等の各種アクリレートモノマーやポリエステル変性アクリレート、ウレタン変性アクリレート、エポキシ変性アクリレートの多官能アクリレートオリゴマー等が本用途に好ましく用いられる。これらの樹脂は単独の組成で用いても、数種の混合組成で用いても良く、また場合によっては、各種ケイ素アルコキシドの加水分解縮合物を組成中に適量添加することも好ましく行われる。
【0053】
なお、紫外線照射によって上記放射線硬化性樹脂を重合してアンダーコート層を形成する場合には公知の光反応開始剤を適量添加して用いることができる。光反応開始剤としては、例えばジエトキシアセトフェノン、2−メチル−1−{4−(メチルチオ)フェニル}−2−モルフォリノプロパン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸等のベンゾフェノン系化合物;チオキサンソン、2、4−ジクロロチオキサンソン等のチオキサンソン系化合物等が挙げられる。
【0054】
前記架橋重合体の高分子フィルム基板への実際の塗工法としては、前記の化合物ならびに各種添加剤(硬化剤、触媒等)を各種有機溶剤に溶解して、濃度や粘度を調節した塗工液を用いて塗工層を形成後、放射線照射や加熱処理等により該塗工層を反応硬化させアンダーコート層とする。塗工方式としては例えば、マイクログラビヤコート法、マイヤーバーコート法、ダイレクトグラビヤコート法、リバースロールコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、コンマコート法、ダイコート法、ナイフコート法、スピンコート法等の各種塗工方法を用いることができる。
【0055】
架橋重合体よりなるアンダーコート層の膜厚としては、0.01〜6μmが好ましく、更に好ましくは0.02〜5μmである。アンダーコート層の膜厚が0.01μm未満では膜強度が弱く密着性が低下する問題がある。一方、アンダーコート層の膜厚が6μmを超えるとクラックが発生し易くなる問題がある。
【0056】
本発明の積層フィルムにおけるバックコート層は、上記高分子フィルムの上記アンダーコート層とは反対面側に該高分子フィルムに接するようにして位置し、バックコート層は積層フィルムとタッチパネル部との接着性を確保するために設けられる。
【0057】
バックコート層を形成する材料については、前記アンダーコート層を構成するものと同じ架橋重合体を挙げることができる。ロール状での加工性を向上するために、0.5〜3μmのフィラーを含むことが望ましい。またバックコート層の膜厚としては、0.01〜6μmが好ましく、更に好ましくは0.02〜5μmである。バックコート層の膜厚が0.01μm未満では膜強度が弱く密着性が低下する問題がある。一方、バックコート層の膜厚が6μmを超えるとクラック発生し易くなる問題がある。
【0058】
本発明における透明導電層は、上記アンダーコート層の上に接して設けられる。かかる透明導電層としては、酸化錫を2〜20重量%含む酸化インジウム、または、酸化亜鉛を2〜20重量%含む酸化インジウムを用いることができる。酸化錫、酸化亜鉛が2重量%未満になると透過率は良好になるが、結晶化を起こしやくクラックを生じ、抵抗値が増大してしまう。一方、酸化錫、酸化亜鉛が20重量%を超えると、透明性が低減してしまい、液晶表示装置の視認性が低下する。より好ましくは、酸化錫を2.5〜7.5重量%含む酸化インジウム、または、酸化亜鉛を5〜10重量%含む酸化インジウムである。
【0059】
該透明導電層は、酸化錫を添加された酸化インジウムであっても、酸化亜鉛を添加された酸化インジウムであってもよいが、表面抵抗値は40Ω/□以下である。好ましくは、35Ω/□以下、さらに好ましくは30Ω/□以下である。電磁波シールド性能は、透明導電層の表面抵抗値に反比例して向上するので、表面抵抗値はできるだけ小さいことが好ましい。表面抵抗値が40Ω/□を超えると電磁波シールド性能が低下し、好ましくない。しかし、20Ω/□以下の抵抗値が得られるような高分子成型物基板上の透明導電層は膜の応力が大きく、基板を大きくカールさせてしまう。さらには、クラックが発生しやすくなり本発明の主旨の電磁波シールド性能を損ねてしまう。このように、表面抵抗値は小さいことが電磁波シールド性能の観点からは望ましいが、実用的な観点からは20〜40Ω/□の表面抵抗値の範囲である。
【0060】
本発明における、透明導電層の形成手法としては、例えばDCマグネトロンスパッタリング法、RFマグネトロンスパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法、パルスレーザーデポジション法、これらを複合した形成法等を用いることができるが、大面積に対して均一な膜厚の透明導電層を形成するという工業生産性に着目すると、DCマグネトロンスパッタリング法が好ましい。
【0061】
DCマグネトロンスパッタリング法には、酸化インジウムに対して酸化錫が2〜13重量%添加された酸化物焼結ターゲット、または酸化インジウムに対して酸化亜鉛が2〜13重量%添加された酸化物焼結ターゲットを用いることが好ましい。あるいは、金属インジウムに金属錫または金属亜鉛を添加した合金ターゲットを用いて反応性スパッタリング法を行なっても良い。
【0062】
本発明では、酸化物焼結ターゲットを用いてDCマグネトロンスパッタリング法により上記透明導電層を形成する場合は、先ず真空槽中の圧力(背圧)を一旦1.3×10−4Pa以下とし、次いで不活性ガス及び酸素を導入する。真空槽中の圧力は一旦1.3×10−4Pa以下にすることが、真空槽中に残留し、且つ透明導電層の特性に影響を与えることが懸念される分子種の影響を低減できるので好ましい。より好ましくは、5×10−5Pa以下、さらに好ましくは2×10−5Pa以下である。
【0063】
次いで導入される不活性ガスとしては、例えばHe、Ne、Ar、Kr、Xeを用いることができ、原子量の大きな不活性ガスほど形成される膜へのダメージが少なく表面平坦性が向上すると言われている。しかし、コスト面から考えてArが好ましい。この不活性ガスには膜中に取り込まれる酸素濃度を調整するために、分圧に換算して1.3×10−4〜7×10−2Pa台の酸素を添加しても構わない。さらに、酸素の他にO3、N2、N2O、H2O、NH3等を目的に応じて用いることができる。
【0064】
本発明では、透明導電層の抵抗値を調整するために、水を意図的に1.3×10−4〜3×10−2Paの範囲で導入しても構わない。この調整は、一旦真空槽を排気した後に、バリアブルリークバルブやマスフローコントローラーを用いて水を導入することで行っても良い。また、真空槽の背圧を制御することによっても実施することができる。
【0065】
本発明における水分圧を決定するときには、差動排気型のインプロセスモニターを用いても良い。またはダイナミックレンジが広く、0.1Pa台の圧力下においても計測が可能な四重極質量分析計を用いても良い。また、一般的に、1.3×10−5Pa程度の真空度においては、その圧力を形成しているのは水である。よって、真空計によって計測された値をそのまま水分圧と考えても構わない。
【0066】
本発明においては、高分子成型物基板(高分子フィルム)を用いるため、基板温度を当該高分子成型物の軟化点温度より上昇させることはできない。よって、透明導電層を形成する時の高分子成型物基板の温度は、室温以下程度から軟化点温度以下とする必要がある。例えば高分子成型物基板としてポリカーボネートフィルムを用いた場合、そのガラス転移温度は150℃付近であるが、基板温度を80℃以下の温度に保ったまま透明導電層を形成することが好ましい。より好ましくは50℃以下の基板温度にて、さらに好ましくは20℃以下である。また、高分子成型物基板のガラス転移温度が高い場合でも、高分子成型物基板からのアウトガスの制御という観点より80℃以下、より好ましくは50℃以下、さらに好ましくは20℃以下に設定した基板温度で形成することが好ましい。
【0067】
本発明の電磁波シールド性透明積層フィルムでは、色調・光線透過率・電磁波シールド性能の観点より、透明導電層の膜厚を60〜260nmにすることが好ましい。透明導電層の膜厚が60nm未満では、抵抗値が高く電磁波シールド性能が不足する。また、膜厚が260nmを超えると、光線透過率が低下し、液晶表示装置の視認性が低下する。より好ましくは90〜130nmの範囲の膜厚であり、さらに好ましくは100〜120nmの範囲の膜厚である。
【0068】
また、本発明の透明導電層は、結晶質膜、非晶質膜、結晶と非晶の混在した膜のいずれの状態であっても構わない。通常酸化錫を添加した酸化インジウムでは、結晶化が起こりやすく、結晶と非晶が混在した状態をとる。過度に結晶化を促進させると、非晶質から結晶質への相転移の過程において、応力を放出し、電子の移動度が向上することに伴う抵抗値の低減は望めるものの、高分子成型物基板に強いカールを与えてしまい、電磁波シールド性透明積層体のハンドリングが困難になる。一方、酸化亜鉛を添加した酸化インジウムでは、結晶化が起こらず、均質な非晶質膜となっている。酸化亜鉛を添加した酸化インジウムは、非晶質から結晶質への相転移の温度が高分子成型物基板の実用的な温度範囲の上に存在するため、構造相転移に由来する応力の増大は心配する必要がない。
【0069】
本発明では、上記透明導電層の上に、透明導電層の傷防止のためにさらにオーバーコート層を設けてもよい。
【0070】
オーバーコート層を形成する材料については、前記アンダーコート層を構成するものと同じ架橋重合体を挙げることができる。好ましくは屈折率が1.6以下の材料を用いることが好ましい。より好ましくは1.5以下である。係る屈折率が1.6よりも大きいと、界面での反射が増大し透過率が低下する。
【0071】
本発明のオーバーコート層としては、前記アンダーコート層を構成するものと同じもののほか、金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物、金属フッ化物のいずれかよりなり、かつ当該金属として、珪素、アルミニウム、ゲルマニウム、マグネシウム、チタン、タンタルの群より選ばれてなる1種以上の元素を含む層を用いることができる。また、かかる金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物、金属フッ化物のいずれかよりなる被膜の屈折率は1.6以下が好ましい。より好ましくは、1.5以下である。材料としては、特に、珪素およびまたはアルミニウムの酸化物、窒化物、酸窒化物が透明性、生産性の点から好ましい。
【0072】
金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物、金属フッ化物は、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビームスパッタリング法といった方法によりアンダーコート層として形成することができる。幅方向、長さ方向特性の均一性の点からスパッタリング法が好ましい。さらに生産速度の点から、DCマグネトロンスパッタリング法が好ましい。
【0073】
DCマグネトロンスパッタリング法で透明なオーバーコート層を設けるためには、珪素、アルミニウム、ゲルマニウム、マグネシウム、チタン、タンタルからなる群より選ばれてなる1種以上の元素を含む材料よりなる金属ターゲットあるいは合金ターゲットを用いて反応性スパッタリングを行なうことが好ましい。
【0074】
金属あるいは合金ターゲットには、導電性を向上させるために、硼素あるいは燐を数10から数1000ppmドーズすることが必要となる。
【0075】
反応性スパッタリング法では、先ず真空槽中の圧力を一旦1.3×10−4Pa以下とし、次いで不活性ガス及び酸素等の反応性ガスを導入する。真空槽中の圧力を一旦1.3×10−4Pa以下にすることが、真空槽中に残留し、且つ透明なオーバーコート層の特性に影響を与えることが懸念される分子種の影響を低減できるので好ましい。より好ましくは、5×10−5Pa以下、さらに好ましくは2×10−5Pa以下である。
【0076】
次いで導入される不活性ガスとしては、He、Ne、Ar、Kr、Xeを用いることができ、原子量の大きな不活性ガスほど形成される膜へのダメージが少なく表面平坦性が向上すると言われている。しかし、コスト面から考えてArが好ましい。
【0077】
金属酸化物からなるオーバーコート層を形成する場合には、上記不活性ガスに酸素を添加する。これは、オーバーコート層中の酸素量を調整し、透過率を向上させるためである。反応ガスとして導入する酸素量は分圧に換算して、1.3×10−3〜1.3×10−1Pa台とすることができる。また、酸素の他、あるいは替わりにオゾンおよび/または水および/または過酸化水素を添加し、製造マージンの拡大を図ることができる。
【0078】
金属窒化物からなるオーバーコート層を形成する場合には、上記不活性ガスに、窒素を添加することができる。これは、オーバーコート層中の窒素量を調整し、透過率を向上させるためである。反応ガスとして導入する窒素量は分圧に換算して、1.3×10−3〜1.3×10−1Pa台とすることができる。また、窒素の他、或いは替わりにアンモニアおよび/またはヒドラジンを添加し、製造マージンの拡大を図ることができる。
【0079】
金属酸窒化物からなるオーバーコート層を形成する場合には、この不活性ガスに、酸素と窒素を添加することができる。これは、オーバーコート層中の酸素・窒素量を調整し透過率を向上させるためである。反応ガスとして導入する酸素・窒素量は分圧に換算して、1.3×10−3〜1.3×10−1Pa台とすることができる。酸素と窒素の配合比を制御すると、透明な保護膜中の酸素量と窒素量を任意に調整することができる。また、酸素の替わりに水をもちいると、水が酸素の供給源として作用し酸窒化膜が形成できる。また、窒素の替わりに、アンモニアおよび/またはヒドラジンを用いるとアンモニアおよび/またはヒドラジンが窒素の供給源になる。
【0080】
このように、酸素供給源、窒素供給源を適切に選択することで、金属化合物、すなわち金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物の組成を自在に調整することができる。
【0081】
本発明における金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物からなるオーバーコート層の組成は、誘導結合型プラズマ分光法のような湿式法やオージェ電子分光法、X線光電子分光法、二次イオン質量分析計、ラザフォード後方散乱法といった分析手法によって決定できる。しかし本発明では、M(MはSi,Al,Ge、Mg、Ti、Taの群より選ばれてなる1種以上の金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物からなる群から選ばれてなる少なくとも1種の金属化合物の金属を代表してMと記している)Ox、MNx、MOxNyという表記の仕方をする。特に酸化珪素の場合は、上述したようにSiOxであり、1<x<2が好ましい。
【0082】
本発明における反応ガス分圧を決定するときには、差動排気型のインプロセスモニターを用いても良い。またはダイナミックレンジが広く、0.1Pa台の圧力下においても計測が可能な四重極質量分析計を用いても良い。また、一般的に、1.3×10−5Pa程度の圧力においては、その圧力を形成しているのは主として水である。よって、水を添加する系においては、真空計によって計測された値をそのまま水分圧と考えても構わない。さらに、複数のガスを添加するような系においては、添加しているガスの圧力を電離真空計によって多い方から順次読み取り、その他のガスの圧力を引き算にて求めることができる。混合ガスボンベを用いている場合には、得られた圧力をガスの混合比により内分することで分圧を得ることができる。
【0083】
RFマグネトロンスパッタリング法では、ターゲット材料として金属の酸化物・窒化物・酸窒化物を用いることが好ましい。上記不活性ガス雰囲気、不活性ガスに反応性ガスを添加した雰囲気でスパッタリングを行なう。
【0084】
本発明のオーバーコート層の屈折率は1.6以下が好ましいことを述べたが、これは、有機物や無機物単体でのみ達成する必要はなく、アンダーコート層を構成する架橋重合体層中に金属化合物微粒子を添加することで達成しても構わない。ここで用いる金属化合物微粒子は平均一次粒子径が、100nm以下の微粒子を用いることが好ましい。さらに好ましくは平均一次粒子径が50nm以下である。該微粒子の平均一次粒子径を100nm以下に制御することにより、塗膜が白化することなく良好なオーバーコート層を形成することができる。該微粒子をオーバーコート層最表面に偏析させれば、反射防止の効果が得られるのみならず、耐擦傷性を向上させることができ好ましい。平均一次粒子径が100nm以下の微粒子としては、例えば、Al2O3、Bi2O3、CeO2、In2O3、In2O3・SnO2、HfO2、La2O3、Sb2O5、Sb2O5・SnO2、SnO2、TiO2、Y2O3、ZnO、ZrO2などの金属酸化物の微粒子、MgF2などの金属フッ化物微粒子が例示される。
【0085】
オーバーコート層の膜厚としては、0.01〜2μmが好ましく、更に好ましくは0.02〜1μmである。オーバーコート層の膜厚が0.01未満では膜強度が弱く透明導電層の傷防止効果がない。一方、オーバーコート層の膜厚が2μmを越えるとクラックが発生し易くなる問題がある。
【0086】
本発明の積層フィルムは、該バックコート層およびアンダーコート層が共に架橋重合体層よりなり、かつ高分子成型物基板の片面にアンダーコート層、反対面にバックコート層を形成した積層フィルムのカール値がバックコート層を形成した面を凸にして1〜7mmの範囲であることが好ましい。
【0087】
ここでカール値は、以下の様に定義する。すなわち、高分子成型物基板の片面にバックコート層、反対面にアンダーコート層を形成した積層体から100mm×100mmの大きさの試料を切り出し、該試料の凸面が下向きになるように水平な台上に置いて四隅の高さを計測し平均値Xを求める。バックコート層を形成した面が凸(またはアンダーコートを形成した面が凹)になる方向のカールを正の符号で表し、逆方向のカールを負の符号で表す。即ち、バックコート層を形成した面が凸(またはアンダーコートを形成した面が凹)の場合、カール値は+X、バックコート層を形成した面が凹(またはアンダーコートを形成した面が凸)の場合、カール値は−Xとなる。
【0088】
高分子フィルム等の高分子成型物基板の片面にアンダーコート層、反対面にバックコート層を形成した積層フィルムのカール値が1〜7mmの範囲にある場合、透明導電層により発生する応力を相殺する効果をもたらし、電磁波シールド性透明積層フィルムのカールを低減することができる。高分子成型物基板の片面にアンダーコート層、反対面にバックコート層を形成した積層フィルムのカール値が7mmを超えると、電磁波シールド性透明積層体の正方向のカールが大きくなる。また、高分子成型物基板の片面にアンダーコート層、反対面にバックコート層を形成した積層フィルムのカール値が1mm未満では、電磁波シールド性透明積層体の負方向のカールが大きくなる。電磁波シールド性透明積層フィルムのカールの絶対値が大きいと粘着剤塗布などの加工や他の部材との積層加工が困難になるため好ましくない。
【0089】
高分子成型物基板の片面にアンダーコート層、反対面にバックコート層を形成した積層フィルムのカール値がバックコート層を形成した面を凸にして1〜7mmの範囲になるようにするための手段は特に限定しない。要は、アンダーコート層の収縮がバックコート層の収縮より大きくなるように、両者を構成する架橋重合体層の種類、膜厚等を調整することにより達成される。
【0090】
本発明の電磁波シールド性透明積層フィルムは85〜95%の全光線透過率を有することが好ましい。全光線透過率が85%未満であるとタッチパネル付液晶表示装置の明るさの低下や色調の変化をもたらし好ましくない。一方95%を超えると、有限の屈折率を持つ積層フィルムとしては、達成が物理的に不可能である。より好ましくは87〜94%、さらに好ましくは89〜93%である。
【0091】
本発明の電磁波シールド性透明積層フィルムはロールツーロールで製造することが好ましいが、その際の巻取り性、走行性を改善するために、アンダーコート層およびまたはバックコート層表面に微細凹凸を設けることができる。アンダーコート層およびまたはバックコート層表面に微細凹凸を設ける方法としては、アンダーコート層およびまたはバックコート層を形成する架橋重合体層中に微粒子を含有する方法の他に、該架橋重合体層の形成時または該架橋重合体層形成後に該架橋重合体層表面にエンボスロール等を接触させる方法がある。該架橋重合体層中に微粒子を含有する方法が微細凹凸の制御がし易く好ましい。微粒子を含有する架橋重合体層は、塗工法等により設けることができる。塗工法により微粒子を含有する架橋重合体層を形成するのに用いる微粒子としては、シリカ微粒子、架橋アクリル微粒子、架橋ポリスチレン微粒子等がある。また、架橋重合体としては、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のオルガノシラン系重合体やエーテル化メチロールメラミン等のメラミン系熱硬化性樹脂、フェノキシ系熱硬化性樹脂、エポキシ系熱硬化性樹脂、ポリオールアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等の多官能アクリレート系放射線硬化性樹脂等がある。これらの中でも、多官能アクリレート系樹脂等の放射線硬化性樹脂は、放射線の照射により比較的短時間に架橋度の高い層が得られる事から、製造プロセスへの負荷が少なくまた膜強度が強い特徴があり、最も好ましく用いられる。
【0092】
【実施例】
以下実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(測定方法)
(1)リターデーション値、光弾性定数の測定
リターデーション値および光弾性定数は、分光エリプソメータ『M150』(日本分光(株)製)により測定した。
【0093】
(2)高分子のガラス転移点温度(Tg)の測定
『DSC2920 Modulated DSC』(TA Instruments社製)により測定した。フィルム成形後ではなく、樹脂重合後、フレークスまたはチップの状態で測定した。
【0094】
(3)カール値の測定
測定対象となる積層体から100mm×100mmの大きさの試料を切り出し、該試料の凸面が下向きになるように水平な台上に置いて四隅の高さを計測し平均値を求める。バックコート層を形成した面が凸(またはアンダーコートを形成した面が凹)になる方向のカールを正の符号で表し、逆方向のカールを負の符号で表す。
【0095】
(4)全光線透過率の測定
全光線透過率は、日本電色工業社製A300を用いて測定した。
【0096】
(5)以下の実施例、比較例で用いたポリカーボネートのモノマー構造を以下に示す。
【0097】
【化3】
【0098】
[実施例1及び比較例1]
攪拌機、温度計および環流冷却器を備えた反応槽に水酸化ナトリウム水溶液およびイオン交換水を仕込み、これに上記構造を有するモノマー(E)、(F)を50:50のモル比で溶解させ、少量のハイドロサルフィトを加えた。次にこれに塩化メチレンを加え、20℃でホスゲンを約60分かけて吹き込んだ。さらに、p−tert−ブチフェノールを加えて乳化させた後、トリエチルアミンを加えて30℃で約3時間攪拌して反応を終了させた。反応終了後有機相を分取し、塩化メチレンを蒸発させてポリカーボネート共重合体を得た。得られた共重合体の組成比はモノマー仕込み量比とほぼ同等であった。ガラス転移温度は215℃であった。
【0099】
この共重合体を塩化メチレンに溶解させ、固形分濃度18重量%のドープ溶液を作製した。このドープ溶液からキャストフィルムを作製し、220℃にて1.30倍に縦一軸延伸することによりリ厚さ95μm、リターデーション値138nm、光弾性定数60×10−12Pa−1である位相差板1を得た。
【0100】
次に、ポリエステルアクリレート(東亜化学株式会社製 アロニックスM8060)50重量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬株式会社製 DPHA)50重量部、光開始剤(チバガイギー社製 イルガキュア184)7重量部、希釈剤として1−メトキシ−2−プロパノール200重量部からなる塗工液Aを用意した。更に塗工液Aに、微粒子として、平均粒径が約3μmのシリコーン架橋微粒子(GE東芝シリコーン株式会社製 トスパール130)を樹脂成分100部に対して0.2部添加することにより塗工液Bを得た。また、塗工液Aに、微粒子として、平均粒径が約3μmのシリコーン架橋微粒子(GE東芝シリコーン株式会社製 トスパール130)を樹脂成分100部に対して0.5部添加することにより塗工液Cを得た。
【0101】
実施例1の位相差板1の片面に該塗工液Bをマイクログラビア塗工装置にて塗付し60℃で1分間乾燥後、強度160w/cmの高圧水銀灯を用いて積算光量450mJ/cm2の条件で塗工膜を硬化させることにより厚さ約2μmのバックコート層を設けた。該バックコート層単独のヘーズ値は0.5%であった。次に、位相差板の該バックコート層を設けた側と反対面に該塗工液Aをマイクログラビア塗工装置にて塗付し60℃で1分間乾燥後、強度160w/cmの高圧水銀灯を用いて積算光量450mJ/cm2の条件で塗工膜を硬化させることにより厚さ約3μmのアンダーコート層を設けた。カール値は3mmであった。
【0102】
引き続いて、酸化インジウムと酸化錫が重量比9:1の組成で充填密度98%の酸化インジウム−錫ターゲットを用いDCマグネトロンスパッタリング法でアンダーコート層上にITO膜を積層した。ITO膜の膜厚は110nm、表面抵抗値は38Ω/□であった。リターデーション値は137nmで殆ど変化がなかった。
【0103】
次にトリメチロールプロパントリアクリレート31.3重量部とジペンタエリスリトールヘキサアクリレート62.6重量部からなる紫外線硬化性樹脂と1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン5.0重量部、ベンゾフェノン1.0重量部からなる光開始剤とイソプロピルアルコールと1−メトキシ−2−プロパノールの混合溶剤よりなる希釈剤を用いて、塗工液Dを用意した。
【0104】
前記ITO膜上に塗工液Dをマイクログラビア塗工装置にて塗付し60℃で1分間乾燥後、強度160w/cmの高圧水銀灯を用いて積算光量450mJ/cm2の条件で塗工膜を硬化させることにより厚さ約0.05μmのオーバーコート層を設けることにより、実施例1の電磁波シールド性透明積層フィルムを作製した。電磁波シールド性透明積層フィルムのカール値は−20mm、全光線透過率は90%であった。
【0105】
また、実施例1の位相差板1の片面に該塗工液Bをマイクログラビア塗工装置にて塗付し60℃で1分間乾燥後、強度160w/cmの高圧水銀灯を用いて積算光量450mJ/cm2の条件で塗工膜を硬化させることにより厚さ約2μmのバックコート層を設けた。該バックコート層単独のヘーズ値は0.5%であった。次に、位相差板1の該バックコート層を設けた側と反対面に該塗工液Cをマイクログラビア塗工装置にて塗付し60℃で1分間乾燥後、強度160w/cmの高圧水銀灯を用いて積算光量450mJ/cm2の条件で塗工膜を硬化させることにより厚さ約2μmのアンダーコート層を設けた。
【0106】
引き続いて、酸化インジウムと酸化錫が重量比9:1の組成で充填密度98%の酸化インジウム−錫ターゲットを用いスパッタリング法でアンダーコート層上にITO膜を積層することにより、タッチパネル用の可動電極基板を作製した。ITO膜の膜厚は20nm、表面抵抗値は350Ω/□であった。リターデーション値は137nmで殆ど変化がなかった。
【0107】
一方、厚さ1.1mmのガラス基板の両面にディップコーティング法によりSiO2膜を設けた後、スパッタリング法により厚さ18nmのITO膜を透明導電層として設けることによりタッチパネル用の固定電極基板を作製した。次に、ITO膜上に高さ7μm、直径70μm、ピッチ1.5mmのドットスペーサを設けた。
【0108】
しかる後、外部への引き出し回路、絶縁層、粘着層を設けた後、可動電極基板と固定電極基板の透明導電層(ITO膜)同士が向かい合いようにして貼り合わせアナログ型のタッチパネル部を作製した。
【0109】
次に、沃素を偏光子として含有した一軸延伸ポリビニルアルコールフィルムの両面に接着剤を介してトリアセテートフィルムを貼り合わせて厚さ150μmの入力操作側の偏光板を得た。なお、偏光板の入力操作面にはアンチグレアハードコート層を設けた。
【0110】
次に、偏光板の光学軸と可動電極基板の光学軸とのなす角度が45度になるように粘着剤を介して偏光板と可動電極基板を貼り合せた。
【0111】
次に、可動電極基板の光学軸と実施例1の電磁波シールド性透明積層フィルム体の光学軸とが直交するように粘着剤を介して、固定電極基板に該電磁波シールド性積層フィルムを貼り合せることにより実施例1の電磁波シールド機能を有するタッチパネルを得た(図4参照)。
【0112】
一方、可動電極基板の光学軸と位相差板1の光学軸とが直交するように粘着剤を介して、固定電極基板に位相差板1を貼り合せ、上記積層フィルムは用いずに構成することにより比較例1のタッチパネルを得た(図5参照)。実施例1および比較例1のタッチパネルを液晶表示装置上に設置し、実施例1および比較例1のタッチパネル付き液晶表示装置を作製した。ここで用いた液晶表示装置の構成は、偏光板/液晶/偏光板である(図示せず)。
【0113】
液晶表示装置を駆動したところ、実施例1のタッチパネルは、アドバンテスト法(30MHz)を用いて得た電磁波シールド効率の値は40dBであった。一方比較例1のタッチパネルは、電磁波シールド効率が20dBであり、実施例1と比べて電磁波シールド効率が1/2であった。
【0114】
[比較例2および3]
実施例1の位相差板1の片面に該塗工液Bをマイクログラビア塗工装置にて塗付し60℃で1分間乾燥後、強度160w/cmの高圧水銀灯を用いて積算光量450mJ/cm2の条件で塗工膜を硬化させることにより厚さ約2μmの架橋重合体層Bを設けた。
【0115】
該架橋重合体層Bをバックコート層として用い、位相差板1の該バックコート層を設けた面と反対面にアンダーコート層を設けずに、実施例1と同様な方法で透明導電層、オーバーコート層を設けることにより比較例2の電磁波シールド性透明積層体を得た。比較例2の電磁波シールド性透明積層フィルムのカール値は−13mm、全光線透過率は90%であった。
【0116】
位相差板1にバックコート層を設けずに、該架橋重合体層Bをアンダーコート層として用い、該アンダーコート層上に実施例1と同様な方法で透明導電層、オーバーコート層を設けることにより比較例3の電磁波シールド性透明積層フィルムを得た。比較例3の電磁波シールド性透明積層体のカール値は−24mm、全光線透過率は90%であった。
【0117】
比較例2、比較例3の電磁波シールド性透明積層フィルムを用いて、実施例1と同様にして、それぞれ比較例2、比較例3のタッチパネルを得た。(図6、図7参照)
実施例1、比較例2、比較例3のタッチパネルを、80℃の雰囲気に500時間放置した後の外観を調べた。実施例1の電磁波シールド機能を有するタッチパネルは外観上の異常は認められなかったが、比較例2のタッチパネルは電磁波シールド性透明積層フィルムが部分的に剥離した。比較例3のタッチパネルは固定電極基板と電磁波シールド性透明積層フィルムの貼り合せ面に気泡が発生し、電磁波シールド性透明積層フィルムが部分的に剥離した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のタッチパネルの一例を表す概念図である。
【図2】本発明のタッチパネル付液晶表示装置の一例を表す概念図である。
【図3】本発明のタッチパネル付液晶表示装置の一例を表す概念図である。
【図4】実施例1のタッチパネル付液晶表示装置を表す概念図である。
【図5】比較例1のタッチパネル付液晶表示装置を表す概念図である。
【図6】比較例2のタッチパネルを表す概念図である。
【図7】比較例3のタッチパネルを表す概念図である。
【符号の説明】
1 アンチグレアハードコート層
2、9 バックコート層
3、10 位相差板1
4、11 アンダーコート層
5、7、12 透明導電層
6 ドットスペーサ
8 ガラス板
13 オーバーコート層
14 偏光板1
15 可動電極基板
16 固定電極基板
17 電磁波シールド性透明積層フィルムまたは位相差板1
Claims (8)
- 2つの透明基体(c)のそれぞれの少なくとも一方の面に形成された透明導電層(d、e)が、空隙を挟んで該透明導電層d,e同士を対向して構成されるタッチパネルであって、少なくとも一方の当該透明基体における透明導電層dまたはeの反対側の当該透明基体の面に、下記(イ)〜(ニ)を順次有してなり、かつ全光線透過率が85〜95%の範囲にある積層フィルムが設けられた電磁波シールド機能を有するタッチパネル。
(イ)バックコート層
(ロ)高分子フィルム
(ハ)アンダーコート層
(ニ)抵抗値が20〜40Ω/□である透明導電層 - 請求項1記載のタッチパネルの入力操作側に偏光板及び位相差板(b)を配置し、当該タッチパネルの入力操作側とは反対側に透明基体に接して位相差板(g)及び請求項1記載の積層フィルムが順次設けられ、さらに、液晶表示部を設けてなり、かつ、積層フィルムを構成する高分子フィルムは、波長590nmにおける位相差が30nm以下の実質的に光学等方性の高分子フィルムである電磁波シールド機能を有するタッチパネル付液晶表示装置。
- 請求項1記載のタッチパネルの入力操作側に偏光板及び位相差板(b)を配置し、当該タッチパネルの入力操作側とは反対側に透明基体に接して請求項1記載の積層フィルムが設けられ、さらに、液晶表示部を設けてなり、かつ、積層フィルムを構成する高分子フィルムは、波長550nmにおいて1/4波長または1/2波長の位相差を与える複屈折性高分子フィルムである電磁波シールド機能を有するタッチパネル付液晶表示装置。
- 高分子フィルムの一方の面に順次アンダーコート層及び抵抗値が20〜40Ω/□である透明導電層を有し、かつ当該高分子フィルムの他方の面にバックコート層を有してなる積層フィルムであって、かつ全光線透過率が85〜95%の範囲にあるタッチパネル用に適した電磁波シールド機能を有する積層フィルム。
- 該アンダーコート層が架橋重合体からなる請求項4記載の積層フィルム。
- 該透明導電層が酸化インジウムを主成分とし、酸化インジウムに対して、2〜20重量%の酸化錫または酸化亜鉛を含むものからなる、請求項4又は5に記載の積層フィルム。
- 高分子フィルムがポリカーボネートからなる、請求項4〜6のいずれかに記載の積層フィルム。
- 高分子フィルムが、波長550nmにおいて1/4波長または1/2波長の位相差を与える複屈折性高分子フィルムであるか、あるいは実質的に光学等方性の高分子フィルムである、請求項4〜7のいずれかに記載の積層フィルム。
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