JPH0556434U - 印刷機の刷版交換装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 版胴への刷版の装着を容易かつ確実に行うこ
とを可能にした装置を提供することを目的としている。 【構成】 刷版の一端をくわえ側版万力４の版くわえ面
５ｂ，６ａに挿入させるように案内する版押えローラ２
４を設けた。この版押えローラ２４を、尻側版万力１０
の版くわえ面１２ａ，１３ｂ間へ刷版の他端を圧入する
のに兼用するようにした。ローラアーム２３にカム３４
を設け、版胴１側にこのカム３４と版くわえ時に対接す
るストッパ３５を設けた。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は使用済の刷版を版胴から取外し、これから使用する刷版を版胴に装着 する印刷機の刷版交換装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

各種の印刷機において、版胴の外周切欠き内には、その軸線方向に延びる万力 台と、この万力台側に揺動自在に枢支されたくわえ板とからなるくわえ側版万力 と尻側版万力とを備えている。そして、版胴に刷版（以下版という）を装着する 場合、くわえ側版万力の万力台とくわえ板とで一端をくわえられた刷版は、版胴 のほゞ一回転により版胴の周面に巻付けられたのち、尻側版万力の万力台とくわ え板とで他端をくわえられることにより版胴に装着される。また、版胴から版を 取外す場合，版は、尻側版万力のくわえから解放されたのち、版胴のほゞ一回転 により版胴から巻戻され、くわえ側版万力によるくわえから解放されて機外へ取 出される。

【０００３】 そして、印刷物の仕様が変った場合には、上記のようにして使用済の旧版を取 外し、これから使用する版を装着することにより版が交換されるが、この版の交 換を手作業で行うことは、多大の労力と長時間を要し、また危険性を伴うもので ある。そこで近年は旧版の取外しから新版の装着までをすべて機械的に行う全自 動式の刷版交換装置や、版万力のくわえ面への版の挿入等を手作業で行う半自動 式の刷版交換装置が開発されている。

【０００４】 このうちの半自動式の刷版交換装置は、例えば特開昭６３−１９１６３６号公 報に開示されているように、印刷ユニットの上端部に支持され左右のフレームに 沿って垂下された一対の軌道台と、駆動装置で駆動され軌道台に沿って上下動す る揺動自在な左右のローラアームと、これらのローラアームの遊端部間に回転自 在に支持された版押えローラとを備えており、版押えローラは、ローラアームの 揺動により版胴の周面に対接したり周面から離間したりするように構成されてい る。また、軌道台の上端部には、固定状の版ガイドが設けられている。

【０００５】 このように構成されていることにより版を版胴に装着する場合には、ローラア ームを下降させた状態において版ガイドに添接して案内された版を手で保持し、 くわえ側版万力にくわえさせたのち、ローラアームを揺動させて版押えローラを 版に圧接させながら版胴をほゞ１回転させて版を胴周面に巻付けると同時に、ロ ーラアームを上昇させ、版押えローラが尻側版万力に対応したところで版胴の回 転を停止させることにより、版尻が尻側版万力にくわえられて版の装着が終るよ うに構成されている。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、このような従来の刷版交換装置においては、版をくわえ側版万 力のくわえ面に挿入する場合、従来と同じように版を手で保持して挿入しなけれ ばならず、狭い開口部へ版を挿入することは容易な作業ではない。特に版の厚み が薄い場合には、版全体を支えにくく、一人作業が困難で省力化を阻害するとい う問題がある。また、版押えローラで版尻を尻側版万力のくわえ面に圧入する場 合にも版を折曲げてしまうおそれがある。さらに、版押えローラを胴周面に対接 させる場合にこの版押えローラの版胴半径方向への位置が適切でないことがあっ て、くわえ面への版尻の挿入量が不足したまゝくわえられてしまったり、版尻を 押え過ぎたりするという問題がある。

【０００７】 本考案は以上のような点に鑑みなされたもので、版胴への刷版の装着を容易に 短時間で確実に行うことを可能にした印刷機の刷版交換装置を提供することを目 的としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

このような目的を達成するために本考案では、くわえ側版万力の版くわえ面に 対応したときには刷版の一端を前記版くわえ面に挿入させるように案内し、かつ 尻側版万力の版くわえ面に対応したときには版胴に巻付けられた刷版の他端をこ の版くわえ面に圧入する刷版案内部材を設けた。また、請求項１記載の印刷機の 刷版交換装置において、刷版案内部材と版胴側とにそれぞれ位置して互いに対接 し版くわえ時における刷版案内部材の版胴半径方向への移動を規制する規制部材 を設けた。

【０００９】

【作用】

版胴に刷版を装着する場合には、刷版案内部材をくわえ側版万力のくわえ面に 対向させた状態で版胴の回動を停止させ、刷版を刷版案内部材で案内させながら くわえ面に挿入してくわえ面を閉じることにより刷版の一端がくわえられる。こ の場合、版の一端が刷版案内部材でくわえ面に案内されるので、版の挿入が容易 かつ正確に行われる。またこのとき、規制部材が対接していて刷版案内部材が版 胴半径方へ移動することがないので、版の一端はさらに正確にくわえ面に挿入さ れる。このようにして版の一端がくわえられるので、刷版案内部材で刷版を押え ながら版胴をほゞ１回転させると、刷版は胴周面に巻付けられる。そこで刷版案 内部材が尻側版万力のくわえ面に対向した状態で版胴の回転を停止させると、版 尻がくわえ面に挿入されるので、版くわえ面を閉じることにより、刷版の装着が 完了する。このような版の装着に際しては、刷版案内部材が刷版の案内と尻側版 万力への挿入とに兼用されるので、構成が簡単になる。

【００１０】

【実施例】

図１ないし図３は本考案に係る印刷機の刷版交換装置の実施例を示し、図１は 刷版案内部材がくわえ側版万力に対応した状態で示す刷版交換装置と版胴との正 面図、図２は刷版案内部材が尻側版万力に対応した状態で示す刷版交換装置と版 胴との正面図、図３は刷版交換装置の展開側面図である。図１，図３において、 版胴１の外周部には胴の全長にわたる切欠き２が設けられており、この切欠き２ の両端開口は、円板状に形成されたベアラ３で閉塞さている。全体を符号４で示 すくわえ側版万力は、断面ほゞ正方形状に形成されて版胴１の軸線方向に延びる 万力台５を備えていて、切欠き２の底面２ａにボルトで固定されており、図示し ない調節装置により切欠き２の底面２ａに沿って版胴１の円周方向へ移動調節で きるように構成されている。また、万力台５は版胴１の軸線方向へも移動調節で きるように構成されている。

【００１１】 万力台５の長手方向複数箇所に設けられた図示しない支持ボルトには、全長が 万力台５とほゞ同長で軸線方向に複数分割されたくわえ板６が、揺動自在に支持 されており、このくわえ板６に固定されたプレート７と、万力台５の切欠き５ａ との間には、円弧部と直線部とからなる外周カム面を備えた複数個のカム８と一 体のカム軸９が、６角形部をベアラ３から外部へ突出させて回動自在に軸支され ている。こうすることにより、６角形部へスパナをかけてカム軸９を手動操作で 回動させるか、あるいは駆動装置で駆動して回動させるかすることにより、くわ え板６のくわえ面６ａが万力台５のくわえ面５ｂに対して開閉するように構成さ れている。

【００１２】 切欠き２内にくわえ側版万力４と平行状態で設けられた尻側版万力１０は、版 胴１の軸線方向に延び切欠き２の底面２ａに固定された断面くの字状で切欠きと ほゞ同長のばね受けバー１１を備えており、このばね受けバー１１と、切欠き壁 面２ｂとの間には、断面ほゞ矩形状でばね受けバー１１とほゞ同長の万力台１２ が、この万力台１２と左右のベアラ３との間に介装された調整ボルトにより軸線 方向へ移動調整自在に形成されて版胴１の軸線方向に延設されている。１３は断 面くの字状に形成されてばね受けバー１１と万力台１２との間にこれらと平行状 に延設されたくわえ板であって、万力台１２とほゞ同長に形成されており、この くわえ板１３と万力台１２とは、これらとほゞ同長の支持軸１３ｂによって揺動 自在に連結されている。

【００１３】 １３ｃはばね受けバー１１とくわえ板１３との間に介装されてこれらを互いに 弾発する圧縮コイルばねであり、また、くわえ板１３と万力台１２との間にもこ れらを互いに弾発する図示しない圧縮コイルばねが介装されている。切欠き壁面 ２ｂに形成された凹孔内には、外周カム面を円弧部と直線部とで形成された複数 個のカム部を備えたカム軸１４が、６角形部をベアラ３から胴外へ突出させて介 装されており、６角形部へスパナをかけてカム軸１４を手動操作で回動させるか あるいは駆動装置で駆動して回動させるかすることにより、版胴１の半径方向に 形成されたくわえ板１３のくわえ面１３ａと万力台１２のくわえ面１２ａとが互 いに開閉するように構成されている。

【００１４】 こうすることにより版のくわえ側の端部をくわえ側版万力４のくわえ面５ｂ， ６ａにくわえさせたのち、版胴１をほゞ１回転させることにより版胴１の周面に 巻付け、別に設けた版曲げ機で直角状に曲げた版の尻側の端部を、尻側版万力１ ０にくわえさせることにより、版が版胴１の周面に装着されるように構成されて いる。１５は版胴１に対接し版面の画像をブランケット面に転写させるゴム胴で ある。

【００１５】 版胴１とゴム胴１５との回転喰込み部近傍には、支持端軸１６が左右のフレー ム１７に支持されてそれぞれ突設されており、これら左右の支持端軸１６には、 左右一対ずつの軸受１８，１９が、スペーサ２０を介し嵌装されていて、安全バ ー２１は、その両端部に嵌着されたボス部２２を軸受１９の外輪に固定すること により回転自在に支持されている。２３は左右１対のローラアームであって、こ のローラアーム２３は、その基部を他方の軸受１８の外輪に固定することにより 支持端軸１６に回動自在に支持されており、これら左右のローラアーム２３の遊 端部に形成された軸受孔には、複数個の大径部２４ａを備えた刷版案内部材とし ての版押えローラ２４の両端部を回転自在に軸支する軸受が軸押え２５で固定さ れている。

【００１６】 一方、左右のフレーム１７に植設された支持ピン２６の突出端部には、ブラケ ット２７がボルト止めされていて、このブラケット２７には、Ｕ字状に形成され たホルダ２８が固定されており、これら左右のホルダ２８には、エアシリンダ２ ９が回動自在に支持されている。エアシリンダ２９のエア圧で進退するピストン ロッド３０の作用端に固定されたＵ字状部３１は前記版押えローラ２４の小径部 に嵌合されており、エアシリンダ２９にエアを送ってピストンロッド３０を進退 させることにより、ローラアーム２３を揺動させながら版押えローラ２４が版胴 １に装着される版を版胴１の周面に圧接されたり版面から離間させたりするよう に構成されている。

【００１７】 ３２は左右のフレーム１７にブラケット３３を介して支持されたプランジャー であって、その作用端は前記安全ローラ２１のボス部２２に設けた凹溝２２ｂに 係合されており、版押えローラ２４による版押え時においてローラアーム２３が 回動するのを規制するように構成されている。

【００１８】 さらに、ローラアーム２３のボス部には、規制部材としてのカム３４が突設さ れており、図１に示すように、版胴１側には、版押えローラ２４がくわえ側版万 力４の版くわえ面５ｂ、６ａに対応したときに、カム３４に対接してくわえ側版 万力４の版胴半径方向への移動を規制する規制部材としてのストッパ３５が設け られている。

【００１９】 以上のように構成された刷版交換装置の動作を説明する。使用済の旧版を取外 す場合には、図２に示すように、尻側版万力１０のくわえ面１２ａ，１３ａを版 押えローラ２４に対応させたのちカム軸１４を回動させると、くわえ面１２ａ， １３ａが開いて版をくわえから解放するので、版胴１を図１の時計方向に回転さ せると、尻側をくわえから解放された版は、版押えローラ２４に案内されながら 版胴１から巻戻されるので、版を手で保持しながら版胴１をほゞ１回転させて停 止させる。そして、くわえ側版万力４のカム軸９を回動させると、版くわえ面５ ｂ，６ａが開いて版をくわえから解放するので、版が取外される。

【００２０】 そこで、これから使用する新版を装着する場合には、版胴１を上記版外し位置 から図１の反時計方向へわずかに戻すように回転させてくわえ側版万力４の版く わえ面５ｂ，６ａが版押えローラ２４に対応した位置で停止させる。このとき、 カム３４がストッパ３５に対応する。そこでエアシリダ２９のピストンロッド３ ０を前進させると、カム３４がストッパ３５に当接することにより停止する。そ こで版を手で保持してその一端を、開いているくわえ板６の版くわえ面６ａと万 力台５の版くわえ５ｂとの間へ挿入する。この挿入に際しては、版押えローラ２ ４が版をくわえ面５ｂ，６ａへ導くように案内するので、版は容易かつ正確に挿 入される。なお、カム３４がストッパ３５に当接することにより版押えローラ２ ４が版胴１の半径方向への移動を規制され、版押えローラ２４の周面と版くわえ 面５ｂ，６ａとが同一平面上にあるように規制されているので、版押えローラ２ ４で案内された版は容易かつ正確に版くわえ面５ｂ，６ａに導かれ、挿入不足に ならないし、版が曲がったり傷付いたりすることがない。

【００２１】 そこでカム軸９を回動させ、くわえ板を閉じさせて版をくわえたのち、版胴１ をほゞ１回転させると、版は版押えローラ２４により版胴１の周面に押え付けら れて密着するように版胴１の周面に巻付けられ、図２に示すように尻側版万力１ ０の版くわえ面１２ａ，１３ａに対応した位置で版胴１の回転が停止する。版曲 げ機で直角状に曲げられている版の尻側端部は、版胴１の回転停止と同時に版押 えローラ２４により押込むようにして版くわえ面１２ａ，１３ａに挿入される。 そこで、カム軸１４を回動させると、くわえ面１２ａ，１３ａが閉じて版がくわ えられ、版の装着が完了する。

【００２２】 なお、本実施例においては、版のくわえ側端部を版のくわえ面に案内する刷版 案内部材として版押えローラ２４を例示したが、これに限定するものではなく、 例えば版押えローラ２４が枢着されたローラアーム２３のボスを円弧状に延長し てこの延長部で版を案内させたりしてもよく、また、版押えローラ２４をなくし てその代りに押えプレートやゴムパッドを設けてこれで版を案内するようにして もよい。

【００２３】 また、本実施例では版押えローラ２４などの刷版案内部材の版胴半径方向への 移動を規制する対接部材として、ローラアーム２３側にカム３４を設け版胴１側 にストッパ３５を設けた例を示したが、これに限定するものではなく、例えば版 胴１側にカム３５を設けてローラアーム２３側にストッパ３５を設けたり、ある いはストッパ３５の代わりにころを設けたりしてもよい。

【００２４】

【考案の効果】

以上の説明により明らかなように本考案によれば枚葉印刷機の刷版交換装置に おいて、刷版案内部材を設けてこの刷版案内部材がくわえ側版万力の版くわえ面 に対応したときには刷版の一端を版くわえ面に挿入させるように案内し、かつ尻 側版万力の版くわえ面に対応したときには版胴に巻付けられた刷版の他端をこの 版くわえ面に圧入するように構成したことにより、刷版を版万力の版くわえ面へ 容易かつ正確に挿入することができるので、印刷物の品質が向上するとともに、 この刷版案内部材をくわえ側版くわえ面への刷版挿入用と、尻側版くわえ面への 刷版挿入用とに兼用することができるので、構成が簡素化され、装置を安価に提 供することができる。

【００２５】 また、刷版案内部材と版胴側とにそれぞれ位置して互いに対接し版くわえ時に おける刷版案内部材の版胴半径方向への移動を規制する規制部材を設けたことに より、版胴の停止位相が多少ずれても、刷版案内部材とくわえ側版万力の版くわ え面との相対位置が常に一定に保たれ、刷版案内部材で案内された刷版は、確実 にくわえ側版くわえ面に導かれるので、印刷物の品質がさらに向上し、また高精 度な版胴停止位置を要求されることがなく作業が容易になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】刷版案内部材がくわえ側版万力に対応した状態
で示す刷版交換装置要部の正面図である。

【図２】刷版案内部材が尻側版万力に対応した状態で示
す刷版交換装置要部の正面図である。

【図３】刷版交換装置の展開側面図である。

【符号の説明】

１ 版胴 ４ くわえ側版万力 ５ｂ 版くわえ面 ６ａ 版くわえ面 １０ 尻側版万力 １２ａ 版くわえ面 １３ａ 版くわえ面 ２３ ローラアーム ２４ 版押えローラ ３４ カム ３５ ストッパ

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 くわえ側版万力の版くわえ面に対応した
   ときには刷版の一端を前記版くわえ面に挿入させるよう
   に案内し、かつ尻側版万力の版くわえ面に対応したとき
   には版胴に巻付けられた刷版の他端をこの版くわえ面に
   圧入する刷版案内部材を設けたことを特徴とする印刷機
   の刷版交換装置。
2. 【請求項２】 請求項１記載の印刷機の刷版交換装置に
   おいて、刷版案内部材と版胴側とにそれぞれ位置して互
   いに対接し版くわえ時における刷版案内部材の版胴半径
   方向への移動を規制する規制部材を設けたことを特徴と
   する印刷機の刷版交換装置。