JPH0556147U

JPH0556147U - 揮発装置

Info

Publication number: JPH0556147U
Application number: JP11276891U
Authority: JP
Inventors: 雅行和井; 美外佐伯
Original assignee: 小川香料株式会社
Priority date: 1991-12-27
Filing date: 1991-12-27
Publication date: 1993-07-27

Abstract

(57)【要約】【目的】一つの容器の中に互いに異なる添加成分を含
む２種以上のゲルをその種類ごとに区画して収納し、か
つそれらを同時に揮発させる。【構成】開口部２を有する容器１の中に互いに異なる
複数の添加成分を収納する際に、各添加成分をゲル３，
４に含ませ、各ゲル３，４が容器１の深さ方向に沿って
境界を有してゲル３，４の種類ごとに区画して収納され
ている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、蒸散口を有する容器の中に複数の芳香剤あるいは消臭剤、殺虫剤などの芳香剤以外の薬剤若しくはこれらの組合せが収納された揮発装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来の消臭芳香製品において、芳香剤及び消臭剤などの芳香剤以外の薬剤から成る揮発成分は、同一種類ごとに各々独立した容器に収納して使用するか、両者を溶媒等で混合して単一の容器に収納して使用されている。

【０００３】しかし、この揮発方式・装置によると、各々の効果を無理なく最大限に発揮させることができるが、その種類の数だけの容器が必要であり、コスト高となると共に取り扱い上も不便であって設置スペースをとる問題もある。しかも、生活廃棄物の量もそれだけ倍加してしまう。また、一つの容器の中に異種の揮発成分を混合状態で収納して使用する場合、夫々の揮発成分の効果が最大限に発揮できなかったり、異種の揮発成分同士が混合によって変質するおそれがある。

【０００４】そこで、これらの問題点を考慮し、１つの容器内に２種以上の揮発成分を含む液体を上層と下層とに分けて収容し、消臭−芳香揮散とか、芳香揮散−殺虫などの複数の用途を同時に達成しようとする芳香容器が従来提案されている（実公昭６３−４４０５１号）。この揮発装置は、図４に示すように、一つの容器１０の中に香料を入れた油と消臭剤などの薬剤を入れた水とを収容し、上層１１と下層１２とに分けている。そして、吸上げ器１３によって上層１１の芳香剤と下層１２の消臭剤とを同時に揮散させようとしている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、上記公報に記載された装置では、上層１１も下層１２も均一に蒸散させる技術が不可欠であるが、このような技術がなかったために現在においても実現されていない。通常、液状の芳香剤等を揮発させるには綿などを織った芯棒が使われるが、油と水であるので、例えば油が先に芯に染み込むと油に含まれた香料だけが揮発し、水が先に染み込むと水に含まれた消臭剤だけが揮発し、下層と上層とを同時に揮発させることは難しい。これを実現するには従来にない特別な吸い上げ手段を開発することが必要である。

【０００６】本考案は、一つの容器の中に二種以上の揮発あるいは吸着させようとする添加成分をその種類ごとに区画して収納し、かつそれらが特別な吸い上げ手段などを用いずに同時に揮発する揮発装置を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

かかる目的を達成するため、本考案は、蒸散口を有する容器の中に揮発あるいは吸着させようとする添加成分を含むゲルが収納された揮発装置において、互いに異なる添加成分を含む二種以上のゲルが容器の深さ方向に沿って境界を有して添加成分の種類ごとに区画して収納されるようにしている。

【０００８】また、本考案の揮発装置において、添加成分を含むゲルはその添加成分の種類ごとに異なる色を呈している。

【０００９】ここで、添加成分は芳香剤あるいは消臭剤、殺虫剤等の芳香剤以外の薬剤であり、添加成分を含むゲルは芳香剤を含むゲル同士の組合せ、あるいは芳香剤を含むゲルと消臭剤若しくは殺虫剤等の芳香剤以外の薬剤を含むゲルとの組合せから成る。また、添加成分として用いられる消臭剤などの芳香剤以外の薬剤は揮発して周囲の臭源を捕捉する場合もあるし、揮発せずに周囲の臭源などを吸着捕捉する場合もある。

【００１０】

【作用】

したがって、異なる添加成分、例えば異なる香りの芳香剤あるいは芳香剤と消臭剤などの薬剤若しくは異なる薬剤を蒸散口に臨ませ、同時に異なる添加成分を揮発させることができる。

【００１１】また、異なる添加成分を含むゲルごとに異なる色を着色した場合、二種以上の揮発剤が収納されていることが一目でわかる。

【００１２】

【実施例】

以下、本考案の構成を図面に示す実施例に基づいて詳細に説明する。

【００１３】図１に本考案の揮発装置の一実施例を示す。この揮発装置は、蒸散口を有する容器１に互いに異なる添加成分を含む二種以上のゲル３，４が容器１の深さ方向に沿って境界６を有して添加成分の種類ごとに区画して収納されている。この容器１は、上部に設けられた開口部２を蒸散口とし、開口部２の蓋（図示省略）を開けて使用する。尚、容器１は特に限定されるものではないが、内部のゲル３，４の状態を眺めることができるように透明の材質例えばガラスあるいは透明のプラスチック等によって形成することが好ましい。特にガラス容器はゲル３，４に対して不活性であるため、ゲル３，４を長期に亙って変質させずに収容することができるので好ましい。本実施例の場合、容器１の中には図示のように、互いに異なる添加成分を含む二種のゲル３，４が容器１の深さ方向（図の上下方向）の境界によって半円状に区画され、ほぼ同量ずつ収納されている。

【００１４】ここで、二種のゲル３，４に含まれる添加成分としては、芳香剤と消臭剤、芳香剤と殺虫剤、芳香剤と殺菌剤、異なる芳香剤同士、消臭剤と殺菌剤などの任意の組み合わせが選択できる。芳香剤とそれ以外の薬剤例えば消臭剤などを組合せる場合には多機能となり、芳香剤同士を組合せる場合には香りの調合ができる。また、ゲルは含有する添加成分の種類ごとに異なる色が着色されている。ゲル３，４の着色は例えば公知の食用染料、化粧用染料などを用いて行なわれる。着色の組合せによって使用者に美観を与え、かつ色彩によるイメージを与える。しかも、二種以上の揮発あるいは吸着させようとする添加成分が収納されていることが一目でわかる。また、添加成分として用いられる消臭剤などの芳香剤以外の薬剤は揮発して周囲の臭源を捕捉する場合もあるし、揮発せずに周囲の臭源などを吸着捕捉する場合もある。

【００１５】尚、上述の実施例は本考案の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本考案の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、図１に示した実施例では一個の容器１に２種の揮発剤を収納した場合について述べたが、三種以上の異なる添加成分のゲル３，４，５を収納するようにしてもよい。図２に３種のゲルを収容する例を示す。この揮発装置の場合、芳香剤を含むゲル３と消臭剤を含むゲル４と殺菌剤を含むゲル５とを収容し、それぞれのゲル３，４，５に異なる色を着色している。

【００１６】また、二種以上の揮発剤が容器の深さ方向に沿って境界を有して揮発剤の種類ごとに区画して収納されているという条件を満たせば、図１に示す態様に特に限定されるものではないことはもちろんである。例えば、図３に示すようにリング状に複数のゲル３，４を容器１内に充填しても良い。

【００１７】更に、図４に示すように、収容するゲルの種類の数だけ蒸散口・開口部を設けることによって、複数のゲルが同時に機能するように設けても良い。例えば、筒型のガラス等の透明容器１内に、所望の香料を含む白色の芳香剤ゲル３と消臭剤などの薬剤成分を含む赤色ゲル４とを軸方向に中央で区画して充填し、両端の開口部２，２から同時に芳香成分の揮散と臭源の捕捉を行なうように使用することができる。勿論、３種類以上のゲルを収容することも可能で、この場合には３個以上の開口部・蒸散口を設ける。また、複数の開口部・蒸散口を設けた上で更に各開口部に面するように、深さ方向に沿って境界を形成するように互いに異なる成分を含む複数種以上のゲルが区画して収容されることもある。

【００１８】次に、添加成分の実施例を挙げる。ここでは、芳香ゲル剤、消臭ゲル剤および殺菌ゲル剤のそれぞれの実施例について例示する。

【００１９】［芳香ゲル剤］（重量部）ジェランガム１．０プロピレングリコール３．０メチルパラベン０．１精製水６６．９１％塩化カルシウム水溶液５．０ライム香料５．０ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル８．０エタノール１０．０青色染料水（０．１％食用青色１号水溶液）１．０上述の組成の芳香ゲル剤は、ジェランガムとプロピレングリコール及びメチルパラベンを精製水に分散して、９０〜９５°Ｃ、１０〜１５分間、攪拌しながら溶解した後、これに１％塩化カルシウム水溶液を加える。次いで、７０°Ｃでライム香料、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、エタノール及び青色染料水の混合液を加え、均一に混和して、淡青色の芳香ゲル原液とする。これを容器に収納し、冷却・固化して芳香ゲル剤とする。

【００２０】［消臭ゲル剤］（重量部）ジェランガム１．０プロピレングリコール３．０メチルパラベン０．１精製水７９．９１％塩化カルシウム水溶液５．０植物系消臭液（パンシルＳＨ−１０Ｌ：リリース科学（株）製）５．０微粒子酸化チタン１．０エタノール５．０ジェランガム、プロピレングリコール及びメチルパラベンを精製水に分散して、９０〜９５°Ｃ、１０〜１５分間、攪拌しながら溶解した後、１％塩化カルシウム水溶液を加える。次いで、６０°Ｃで植物系消臭液、微粒子酸化チタン及びエタノールの混合液を加え、均一に混和して、白色の消臭ゲル原液とする。これを容器に収納し、冷却・固化して消臭ゲル剤とする。

【００２１】［殺菌ゲル剤］（重量部）ジェランガム１．０プロピレングリコール３．０精製水８１．０１％塩化カルシウム水溶液５．０２５％グルタルアルデヒド水溶液４．０エタノール５．０黄色染料水（１％化粧品用黄色２０３号水溶液）１．０ジェランガムとプロピレングリコールを精製水に分散して、９０〜９５ °Ｃ、１０〜１５分間、攪拌しながら溶解した後、１％塩化カルシウム水溶液、２５％グルタルアルデヒド水溶液、エタノール及び黄色染料水の混合液を加え、均一に混和して淡黄色の殺菌剤ゲル液とする。これを容器に収納し、冷却・固化して殺菌ゲル剤とする。

【００２２】次に、容器の中に揮発剤をその種類ごとに区画して収納する方法の例を図１の実施例のものについて次に述べる。（１）容器１の中に固化剤の溶融状態のゲル３を容器１の半分程度だけ注入する。次に、容器１の開口部２を蓋などにより閉塞して、横置き状態にする。この状態にて、溶融状態の一方のゲル３を冷却・固化させる。

【００２３】次に、容器１を縦置に戻して、容器１の残りの半分の空間に他方のゲル４を溶融状態で充填し、冷却・固化させる。（２）他の充填法としては、縦置の容器１の中を仕切り板（図示省略）にて区画した空間に同時に全てのゲルを充填する。即ち、固化前の溶融状態のゲル３，４を仕切り板で区画された空間にそれぞれ注入する。ゲル３，４が冷却・固化した後、仕切り板を取り除く。

【００２４】

【考案の効果】

以上の説明より明らかなように、本考案は、蒸散口を有する容器の中に揮発あるいは吸着させようとする添加成分を含むゲルが収納された揮発装置において、互いに異なる添加成分を含む二種以上のゲルが容器の深さ方向に沿って境界を有して添加成分の種類ごとに区画して収納されているので、異なる添加成分、例えば異なる香りの芳香剤あるいは芳香剤と消臭剤などの薬剤若しくは異なる薬剤を蒸散口に臨ませ、同時に異なる添加成分を揮発させることができる。したがって、特別な吸い上げ手段などを用いずとも、複数の添加成分を同時に揮発させることができる。しかも、芳香剤及びその他の薬剤成分の揮散は同時に進行するため、芳香剤あるいは他の薬剤成分がバランス良く最後まで共存できる。加えて、芳香剤以外の薬剤成分を目的に応じて揮散させることができるので衛生面の効果が大きい。

【００２５】また、本考案では、各ゲルがその種類ごとに異なる色を有しているので、それらの色彩の組合せによって使用者に美観を与えたり、芳香剤及び使用薬剤のイメージを強調させかつその揮散の状況を目視により確認することができる。しかも、彩色により使用者の気分を高揚させることができる。

【００２６】更に、添加成分を芳香剤同士あるいは芳香剤と消臭剤などの芳香剤以外の薬剤成分とを組合せることができるので、１つの容器で使用時に香りを調製したり、複数の機能をもたせることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の揮発装置の一実施例を示す斜視図であ
る。

【図２】本考案の他の実施例を示す斜視図である。

【図３】本考案の更に他の実施例を示す斜視図である。

【図４】本考案の揮発装置の更に他の実施例を示す斜視
図である。

【図５】従来の揮発装置の例を示す説明図である。

【符号の説明】

１容器２開口部３，４，５異なる添加成分を含むゲル

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】蒸散口を有する容器の中に揮発あるいは
吸着させようとする添加成分を含むゲルが収納された揮
発装置において、互いに異なる前記添加成分を含む二種
以上のゲルが前記容器の深さ方向に沿って境界を有して
添加成分の種類ごとに区画して収納されたことを特徴と
する揮発装置。
【請求項２】前記添加成分を含むゲルがその種類ごと
に異なる色を有していることを特徴とする請求項１記載
の揮発装置。
【請求項３】前記添加成分は芳香剤であることを特徴
とする請求項１または２記載の揮発装置。
【請求項４】前記添加成分は消臭剤、殺虫剤等の芳香
剤以外の薬剤であることを特徴とする請求項１または２
記載の揮発装置。
【請求項５】前記添加成分を含むゲルは芳香剤を含む
ゲルと、消臭剤若しくは殺虫剤等の芳香剤以外の薬剤を
含むゲルとの組合せから成ることを特徴とする請求項１
または２記載の揮発装置。