JP2006110142A - 薬剤揮散装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明の薬剤揮散装置1は、揮散性薬剤2を内部に収容する収容部3と先端に形成された下端開口部4とを有し、かつ、該下端開口部を下方に向けて略密閉された倒立型の薬剤収容容器5、及び前記収容部が上下に摺動可能なように、該収容部の外周に嵌合して前記薬剤収容容器を保持するガイド部6と揮散性薬剤の揮散開口部7とを有する保持部材8を備えている。
【選択図】 図1
Description
例えば、トイレ用の芳香剤、消臭剤として、広く使用されているタイプのものとしては、図5に示すように、ゲル状の揮散性薬剤51を筒状の芯材(図示せず)の周囲に載置した受皿部材52と、その受皿部材52の芯材に嵌合されていて、上下に摺動可能な傘状の上蓋部材53とからなる構造体が挙げられる(第1のタイプ)。このタイプの芳香剤、消臭剤は、使用開始前においては、受皿部材52と上蓋部材53が密着していて、内部の揮散性薬剤51は、外気と遮断された密封状態にあるが、使用するときには、上蓋部材53は任意の高さまで引き上げられて、その位置で上蓋部材53は保持され、これにより受皿部材52と上蓋部材53の間に空間(開口部)が生じて、揮散性薬剤51は、この開口部から外部に拡散される。芳香・消臭作用の強さは、上蓋部材53の位置を適宜調節して、開口部からの揮散性薬剤の揮散量を変えることにより調整される。
その他、広く使用されているタイプの芳香剤、消臭剤の例としては、図6に示すように、ゲル状の揮散性薬剤61を収容するポット型の透明な容器62と、それに螺合する蓋部材63からなり、該蓋部材63に設けられた開口部64を通じて、揮散性薬剤61を外部に揮散させるものがある(第2のタイプ)。
これらの芳香剤、消臭剤等の揮散性薬剤を収容する薬剤揮散装置については、従来、多数の製品が開発、報告されている(例えば、特許文献1〜2)。
また、上記第1のタイプの芳香剤、消臭剤等は、その使用により、揮散成分が媒体とともにゲル内部から揮散するが、その際、揮散しやすい成分が他の成分よりも早く揮散してしまい、実際に揮散する成分の組成が、時間の経過に伴って変化するという問題もある。
そこで、本発明は、消費者の上記ニーズに完全に応える芳香剤、消臭剤等のための薬剤揮散装置を提供することを課題とする。具体的には、本発明は、取扱いが簡単で、かつ、芳香剤、消臭剤等の揮散性薬剤が完全になくなるまで、一定の組成及び量の揮散性薬剤を長期間持続的に揮散させることができる薬剤揮散装置を提供することを課題とする。
すなわち、本発明の薬剤揮散装置は、揮散性薬剤を内部に収容する収容部と先端に形成された下端開口部とを有し、かつ、該下端開口部を下方に向けて略密閉された倒立型の薬剤収容容器、及び前記収容部が上下に摺動可能なように、該収容部の外周に嵌合して前記薬剤収容容器を保持するガイド部と揮散性薬剤の揮散開口部とを有する保持部材を備えたものである。
このように、本発明の薬剤揮散装置によれば、簡単な取扱いで、揮散性薬剤を残存させることなく、一定の組成及び量の揮散性薬剤を、終始安定して長期間持続的に外部に放出させることができるという画期的な効果が得られる。
本発明に係る第1の実施態様の薬剤揮散装置についての説明図を図1に示す。
この第1の実施態様の薬剤揮散装置1は、下端開口部4を下方に向ける略密閉された倒立型の円筒状の薬剤収容容器5及び保持部材8を備えている。この薬剤収容容器5は、揮散性薬剤2を内部に収容する収容部3と、その先端に、収容部3の内径と同じ径で開口された下端開口部4とを有する。一方、保持部材8は、収容部3が上下に摺動可能なように、収容部3の外周に嵌合して、薬剤収容容器5を保持するガイド部6と、揮散性薬剤2を外部に揮散させるための揮散開口部7とを有する。
なお、薬剤収容容器5は、通常、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂で成形する。透明な合成樹脂によって薬剤収容容器を成形することにより、薬剤収容容器内の揮散性薬剤の減少状態を外部から確認することが可能となる。
ガイド部6を設ける位置は任意であり、薬剤収容容器5の上方部分に設けるほど、露出可能な揮散性薬剤の量が増加することになる。
揮散開口部7の形状、大きさ、数等については、揮散性薬剤の所望する揮散程度、全体の意匠等を考慮して適宜決定すればよい。保持部材8の材質も特に限定されない。
図1に示した第1の実施態様の薬剤揮散装置では、さらに、保持部材の底面部分に、着脱可能な台座11を採用している。この台座11の採用により、揮散性薬剤を取り替える際に、この台座11を取り外すことによって、詰め替え用の揮散性薬剤を容易に取り付けることができるようになる。
なお、保持部材の内部に絞り部を設けて揮散性薬剤の外部への露出量を調節することも可能である。
切断面分割部材41としては、鋭利な線状物、凸状物等、沈下してくる揮散性薬剤を分割線に沿って自動的に切断できる機能を有する限り、特に限定はない。
第3の実施態様で述べた上記構成を採用することにより、下端開口部から露出する揮散性薬剤は、分割線に沿って切断面分割部材により切断・分割されるため、外気と接触する表面積が増加し、その結果、揮散性薬剤の揮散量を格段に高めることができる。本発明は、図5に例示したような従来の薬剤揮散装置とは異なり、揮散性薬剤の一部のみを外気と接触させる構成を採用しているため、揮散性薬剤の揮散する面積が少なく、そのため、従来の薬剤揮散装置よりも揮散性薬剤の拡散量が低いという不都合があるが、この第3の実施態様に示した上記構成を採用することによって、かかる不都合を完全にカバーすることができる。
この第3の実施態様では、揮散性薬剤は、分割線によって均等に分割された揮散性薬剤部分の集合体であることが好ましい。また、分割線が多いほど、すなわち、揮散性薬剤が多数の揮散性薬剤部分からなるほど、揮散性薬剤の表面積が増加するため、揮散性薬剤の拡散量を高めることができる。
下記の処方からなるゲル状組成物を調製し、このゲル状組成物150gを図1に示した実施形態に係る本発明の薬剤揮散装置の収容部に充填し、芳香剤を作製した。
(処方)
・カラギーナン 2.0重量%
(X−8113(商品名)、新田ゼラチン社製)
・プロピレングリコール 5.0重量%
(昭和電工社製)
・防腐剤(メチルパラペン) 0.2重量%
(4−ヒドロキシ安息香酸メチル:純正化学社製)
・塩化カルシウム(10%水溶液) 3.0重量%
(純正化学社製)
・香料 5.0重量%
(Perfume No. 2617(商品名):長谷川香料社製)
・界面活性剤 1.0重量%
(レオドールTW−S120(商品名):花王社製)
・水 83.8重量%
実施例1と同様の処方からなるゲル状組成物を調製し、このゲル状組成物150gを図5に示した実施形態に係る従来型の薬剤揮散装置の受皿部に載置し、芳香剤を作製した。
実施例1と同様の処方からなるゲル状組成物を調製し、このゲル状組成物150gを図6に示した実施形態に係る従来型の薬剤揮散装置のポット型容器に充填し、芳香剤を作製した。
実施例1、比較例1及び比較例2の薬剤揮散装置のそれぞれについて、薬剤揮散装置に充填された芳香剤を室温20〜23℃にコントロールされた揮散試験室(約8m3)に設置し、薬剤揮散装置の質量変化を経日的に測定した。経日揮散総量をグラフにプロットした結果を図7に示す。
以上のようにして作製した各芳香剤の香りの強度について、5人の官能検査員による官能検査により評価した。香りの強度の評価は、以下に示す基準(中間あり)に基づいて行った。結果を図8及び表2に示す。
上記測定の結果から、本発明に係る実施例1は、比較例1、2とは異なり、芳香成分を一定のレベルで、長期間持続的に放出し、その結果、香りの強度が時間の経過によって、ほとんど低下しないことがわかる。
2、31、51、61…揮散性薬剤 10…キャップ
3、24…収容部 11…台座
4、23…下端開口部 22…絞り部
5、21…薬剤収容容器 32…分割線
6…ガイド部 33…揮散性薬剤部分
7…揮散開口部 41…切断面分割部材
8、42…保持部材 52…受皿部材
9、25…係止部材 53…上蓋部材
62…容器
63…蓋部材
64…開口部
Claims (3)
- 揮散性薬剤を内部に収容する収容部と先端に形成された下端開口部とを有し、かつ、該下端開口部を下方に向けて略密閉された倒立型の薬剤収容容器、及び前記収容部が上下に摺動可能なように、該収容部の外周に嵌合して前記薬剤収容容器を保持するガイド部と揮散性薬剤の揮散開口部とを有する保持部材を備えていることを特徴とする薬剤揮散装置。
- 薬剤収容容器の端部に絞り部を設けることにより、下端開口部の内径を、収容部の内径よりも小さくした薬剤収容容器を備えている請求項1に記載の薬剤揮散装置。
- 揮散性薬剤が、分割線にて分割された複数個の揮散性薬剤部分の集合体からなり、かつ、該分割線に沿って揮散性薬剤を分割させるための切断面分割部材を、保持部材に配設してなる請求項1又は2に記載の薬剤揮散装置。
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