JPH055024A - 結晶性全芳香族ポリエステル重合体、その製造法並びにそれを用いた樹脂組成物およびその成形体 - Google Patents

結晶性全芳香族ポリエステル重合体、その製造法並びにそれを用いた樹脂組成物およびその成形体

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JPH055024A
JPH055024A JP21298891A JP21298891A JPH055024A JP H055024 A JPH055024 A JP H055024A JP 21298891 A JP21298891 A JP 21298891A JP 21298891 A JP21298891 A JP 21298891A JP H055024 A JPH055024 A JP H055024A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】同一化学組成のポリマーに比べて低融点で成形
性のすぐれた高重合度の結晶性全芳香族ポリエステルを
溶融重縮合によって効率的に製造する。 【構成】(a)イソフタル酸又はイソフタル酸を主成分
とする芳香族ジカルボン酸、(b)ハイドロキノン、
(c)4,4′−ジヒドロキシジフェニルおよびp−ヒ
ドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸又
はそれらの機能的誘導体、よりなる群から選ばれた少く
とも1種の成分、並びに(d)フェノール類を、特定の
割合で、エステル触媒の存在下に加熱溶融反応せしめ
て、固有粘度0.4〜2の結晶性全芳香族ポリエステル
を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は結晶性全芳香族ポリエス
テル重合体、その製造法並びにそれを用いた樹脂組成物
およびその成形体に関する。さらに詳しくは、優れた耐
熱性、難燃性、機械的特性および成形性を有し、そして
光学的に等方性である新規な結晶性全芳香族ポリエステ
ル重合体、その製造法並びにそれを用いた樹脂組成物お
よびその成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】米国特許第3,036,991号には、
p,p′−ビフェニレンイソフタレート単位を共重合し
たp−フェニレンイソフタレート単位からなる極限粘度
が少くとも0.5であってp−フェニレンイソフタレー
ト単位が上記両単位の合計に対し少くとも40モル%含
有する線状のポリエステルが開示されている。
【0003】そして、この米国特許第3,036,99
1号の実施例1には、ハイドロキノン(0.04モ
ル)、4,4′−ジヒドロキシビフェニル(0.01モ
ル)およびイソフタル酸クロライド(0.05モル)の
混合物を、ペンタクロロフェニル中で重縮合せしめて、
融点360〜370℃のポリマーを得た実験例が開示さ
れている。また実施例2には、同様の酸クロライド法に
よって、ハイドロキノン、4,4′−ジヒドロキシビフ
ェニルのモル比が90/10,80/20,70/30
および60/40である場合に、それぞれ融点388〜
394℃,362〜379℃,355〜372℃および
355〜374℃であるポリマーを得たことが開示され
ている。さらに実施例3には、フェニレンジアセテート
(0.082モル)、4,4′−ジアセトキシビフェニ
ル(0.020モル)およびイソフタル酸(0.100
モル)を、トリクロロビフェニル中で重縮合せしめる方
法が開示されている。
【0004】一方、米国特許第3,160,602号に
は、芳香族ジカルボン酸と2価のフェノールとからなる
線状の全芳香族ポリエステルを製造する方法として、芳
香族ジカルボン酸ハライドと2価フェノールとの反応性
混合物をベンゾフェノン、m−ターフェニール、塩化ビ
フェニル、臭化ビフェニル、塩化ジフェニルオキサイ
ド、臭化ジフェニルオキサイドから選ばれる溶媒に溶解
して、一定温度で反応させ、極限粘度が少くとも0.5
のポリマーを生成せしめることが記載されている。そし
て、この米国特許第3,160,602号の実施例4に
は、ハイドロキノン(0.04モル)、4,4′−ジヒ
ドロキシビフェニル(0.01モル)およびイソフタル
酸クロライド(0.05モル)の混合物をペンタクロロ
ビフェニル中で重縮合せしめることにより、融点360
〜370℃のポリマーを得た実験例が開示されている。
また、実施例5には、ハイドロキノン(0.0715モ
ル)、イソフタル酸クロライド(0.1モル)および
4,4′−ジヒドロキシビフェニル(0.03モル)か
ら、融点355〜372℃のポリマーを得たことが開示
されている。
【0005】さらに、特開昭58−47019号公報に
は、イソフタル酸ジアリールエステル、ハイドロキノン
および4,4′−ジオキシビフェニルからなる混合物、
又はイソフタル酸、ハイドロキノン、4,4′−ジオキ
シビフェニルおよびジアリールカーボネートからなる混
合物を溶融重合せしめ、必要によりさらに固相重合せし
めて芳香族コポリエステルを製造する方法が開示されて
いる。
【0006】この特開昭58−47019号の実施例1
では、ジフェニルイソフタレート(0.62モル)、ハ
イドロキノン(0.5モル)および4,4′−ジオキシ
ビフェニル(0.11モル)を含む混合物から溶融重合
により融点360℃の低重合度ポリマーを得、これをさ
らに固相重合して融点365℃の高重合度ポリマーを得
ている。また、実施例2では、ジフェニルイソフタレー
ト(0.62モル)、ハイドロキノン(0.41モル)
および4,4′−ジオキシビフェニル(0.13モル)
を含む混合物から溶融重合により融点355℃の低重合
度ポリマーを得、これをさらに固相重合して融点360
℃の高重合度ポリマーを得ている。実施例3では、ジフ
ェニルイソフタレート(0.62モル)、ハイドロキノ
ン(0.35モル)および4,4′−ジオキシビフェニ
ル(0.28モル)を含む混合物から溶融重合により融
点365℃の低重合度ポリマーを得、これをさらに固相
重合して融点365℃の高重合度ポリマーを得ている。
さらに、実施例10では、イソフタル酸(0.74モ
ル)、ハイドロキノン(0.5モル)、4,4′−ジオ
キシビフェニル(0.11モル)およびジフェニルカー
ボネート(0.63モル)を含む混合物から溶融重合に
より融点360℃の低重合度ポリマーを得、これをさら
に固相重合して融点360℃の高重合度ポリマーを得て
いる。
【0007】しかしながら、これらの従来公知の方法に
よるポリマーは、耐熱性は良好であるが融点が高いため
溶融成形性が必ずしも十分でなく、さらに、加熱溶融反
応のみでは高重合度ポリマーが得られないという問題が
あり、また、反応溶媒を使用する場合にはそのためのコ
ストがかさむという問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の1つの目的
は、重合体を構成する組成は同一でありながら、公知の
重合体よりも低融点を示す新規な結晶性全芳香族ポリエ
ステル重合体を提供することにある。
【0009】本発明の他の目的は、公知の重合体と同一
組成でありながら、より低い成形温度で溶融成形するこ
とが可能な結晶性全芳香族ポリエステル重合体を提供す
ることにある。
【0010】本発明のさらに他の目的は、公知の類似組
成の(例えば共重合比が異なり同じ融点を示す)共重合
体と同じ融点を示しながら、公知の類似組成の共重合体
よりも結晶性の優れた結晶性全芳香族ポリエステル重合
体を提供することにある。
【0011】本発明のさらに他の目的は、優れた耐熱
性、難燃性、機械的特性および溶融成形性を有し、そし
て溶融状態において光学的に等方性である結晶性全芳香
族ポリエステル重合体を提供することにある。
【0012】本発明のさらに他の目的は、上記の新規な
結晶性全芳香族ポリエステル重合体を溶融重縮合反応の
みにより工業的に極めて有利に製造しうる方法を提供す
ることにある。
【0013】本発明のさらに他の目的は、上記本発明の
結晶性全芳香族ポリエステル重合体を含有する強化樹脂
組成物およびそれからの成形品等の成形体を提供するこ
とにある。
【0014】本発明のさらに他の目的および利点は以下
の説明から明らかになろう。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、上記の
諸目的は第1に、(a)下記式(A)で表わされる重合
単位A、
【0016】
【化4】 下記式(B)で表わされる重合体位B、並びに
【0017】
【化5】 下記式(C)で表わされる重合単位C、
【0018】
【化6】 からなるポリエステルであって、かつ、(b)下記関係
式(1) 370−2x<Tm(℃)<388−2x (1) [ここで、xは重合単位Bおよび重合単位Cの合計を基
準にしての重合単位Cのモル割合(モル%)であり、T
mは重合体の融点(℃)である。但し、xは10〜35
(モル%)の数である。]を満足する融点(Tm℃)を
示し、そして、(c)フェノール/テトラクロロエタン
(重量比)が60/40である混合溶媒中35℃で測定
した固有粘度が0.4〜2の範囲にある、ことを特徴と
する結晶性全芳香族ポリエステル重合体によって達成さ
れる。
【0019】本発明の上記結晶性全芳香族ポリエステル
重合体は、上記のとおり、イソフタル酸残基(重合単位
A)、ハイドロキノン残基(重合単位B)および4,
4′−ジヒドロキシビフェニル残基(重合単位C)から
なるものであり、これらの重合単位はエステル結合(−
COO−)により、実質的に線状のポリマーを構成する
ものである。
【0020】エステル結合は、重合単位Aと重合単位B
との結合並びに重合単位Aと重合単位Cとの結合におい
て生成するから、本発明の重合体はエステル結合を形成
した単位で表示すれば、下記式(D)
【0021】
【化7】 で表わされるポリマー繰返し単位ABおよび下記式
(E)
【0022】
【化8】 で表わされるポリマー繰返し単位ACからなることが理
解されよう。
【0023】本発明の全芳香族ポリエステル重合体は、
重合単位Bと重合単位Cの合計を基準にして重合単位C
が10〜35モル%、好ましくは12〜30モル%を占
める。
【0024】そして、本発明の全芳香族ポリエステル重
合体は、この重合体を構成する重合単位の組成と重合体
の融点との間に次の関係式(1)が成立するものであ
る。
【0025】 370−2x<Tm(℃)<388−2x (1) [ここで、Tmは重合体の融点であり、そしてxは重合
単位Bと重合単位Cの合計を基準にしての重合単位Cの
モル割合(パーセント)である。但しxは10〜35モ
ル%の範囲にある数である。]
【0026】組成と融点との間には、さらに好ましくは
下記関係式(2)が成立する。 372−2x≦Tm(℃)≦387−2x (2)
【0027】本発明の全芳香族ポリエステル重合体は、
例えばxが20モル%である場合を例にすると、上記関
係式(1)に示されているように、330〜348℃の
融点を示す。従来公知の同一組成の重合体(x=20)
は、本明細書の冒頭に紹介した米国特許第3,036,
991号の実施例1並びに米国特許第3,160,60
2号の実施例4に示されているとおり、360〜370
℃の融点を示すから、本発明の全芳香族ポリエステル重
合体は融点(Tm)が著しく低下していることが理解さ
れよう。
【0028】本発明の全芳香族ポリエステル重合体は、
上記関係式を満足するものであって、従来公知の同一組
成の重合体の融点よりも可成り低い融点を示す特徴を有
する。この低い融点は本発明の全芳香族ポリエステル重
合体の成形性の向上にも寄与することとなる。
【0029】かかる本発明の全芳香族ポリエステル重合
体の著しい特徴は、重合体鎖中における重合単位Bと重
合単位Cの分布(ポリマーシークエンス)が従来公知の
製法によるポリマーと異なることに由来すると推定され
る。
【0030】本発明の全芳香族ポリエステル重合体は、
さらにフェノール/テトラクロロエタン(重量比)が6
0/40である混合溶媒中35℃で測定した固有粘度が
0.4〜2の範囲にある。好ましい固有粘度は0.45
〜1.3の範囲にある。
【0031】本発明によれば、上記の結晶性全芳香族ポ
リエステル重合体は、イソフタル酸、ハイドロキノンお
よび4,4′−ジヒドロキシジフェニルを、フェノール
類の反応媒体中で、直接エステル化反応せしめることに
よって有利に製造される。
【0032】したがって、本発明によれば、上記特定の
結晶性全芳香族ポリエステル重合体を含有する結晶性全
芳香族ポリエステル重合体を製造する方法として、
(a)イソフタル酸又はイソフタル酸を主たる酸成分と
する芳香族ジカルボン酸、(b)ハイドロキノン、
(c)(c-1)4,4′−ジヒドロキシジフェニル、お
よび、(c-2)p−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキ
シ−6−ナフトエ酸又はそれらのエステル形成性誘導
体、よりなる群から選ばれる少くとも1種の化合物、並
びに(d)炭素数1〜5のアルキル基で置換されていて
もよいフェノール類を、下記3つの関係式 1.3≧(B+C)/A≧0.9 0.21≧(C+D)/(A+B+C+D)≧0.05 E/A≧0.05 [ここで、Aは芳香族ジカルボン酸(a)のモル数、B
はハイドロキノン(b)のモル数、Cは化合物(c)に
おける4,4′−ジヒドロキシジフェニル(c-1)のモ
ル数、Dは化合物(c)における化合物(c-2)のモル
数であり、そしてEはフェノール数(d)のモル数であ
る。]を同時に満足する割合で、エステル化触媒の存在
下、加熱溶融反応せしめて、固有粘度が0.4〜2好ま
しくは0.45〜1.3の範囲にある全芳香族ポリエス
テルを生成する、ことを特徴とする方法が提供される。
【0033】本発明方法において用いられる芳香族ジカ
ルボン酸(a)は、イソフタル酸又はイソフタル酸を主
たる酸成分としてなる芳香族ジカルボン酸である。イソ
フタル酸と共に従たる酸成分として用いられる芳香族ジ
カルボン酸としては、例えばテレフタル酸、ナフタレン
−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカル
ボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテル
ジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸などを
好ましいものとして挙げることができる。
【0034】かかる従たる酸成分は、全芳香族ジカルボ
ン酸の20モル%以下、好ましくは10モル%以下、を
占めることができる。
【0035】また、ジヒドロキシ成分として、上記
(b),(c)以外に、さらに低級アルキル置換ヒドロ
キノン、2,2−(p−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、1,1(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサ
ン、炭素数2〜6のアルキルグリコール等のジヒドロキ
シ化合物を(c-1)+(c-2)の50モル%以下、好ま
しくは30%モル%以下、更に好ましくは10モル%以
下の範囲内で使用可能である。
【0036】本発明方法において、原料ジヒドロキシ化
合物としてハイドロキノン(b)が用いられ、さらに上
記芳香族ジヒドロキシ化合物(c)が用いられる。この
ハイドロキノンとともに用いられる芳香族ジヒドロキシ
化合物(c)は、4,4′−ジヒドロキシジフェニル
(c-1)およびp−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキ
シ−6−ナフトエ酸又はこれらのエステル形成性誘導体
(c-2)よりなる群から選ばれる少くとも1種の化合物
である。
【0037】すなわち、この芳香族ジヒドロキシ化合物
(c)は、(c-1)4,4′−ジヒドロキシジフェニル
であるか、(c-2)p−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒド
ロキシ−6−ナフトエ酸又はこれらのエステル形成性誘
導体であるか、あるいは化合物(c-1)と(c-2)の組
合せのいずれかである。
【0038】化合物(c-2)のエステル形成性誘導体
は、p−ヒドロキシ安息香酸および2−ヒドロキシ−6
−ナフトエ酸のヒドロキシル基におけるエステル例えば
酢酸エステルの如き低級脂肪酸エステルあるいはカルボ
キシル基におけるエステル例えばフェニルエステルの如
きアリールエステルである。かかる化合物(c-2)とし
ては、p−ヒドロキシ安息香酸又はそのエステル形成性
誘導体特にフェニルエステルが好ましい。
【0039】上記の如き化合物(a),(b)および
(c)とともに用いられるフェノール類(d)は炭素数
1〜5のアルキル基で置換されていてもよい。
【0040】かかるフェノール類としては、例えばフェ
ノール、m−クレゾール、p−クレゾール、p−ブチル
フェノール、p−アミルフェノール等を好ましいものと
して挙げることができる。これらのうち、フェノール、
クレゾールがより好ましく、フェノールが特に好まし
い。
【0041】これらのフェノール類(d)は、生成する
全芳香族ポリエステルの構成成分とするため使用される
のではなく、上記化合物(a),(b)および(c)の
間の反応の初期に反応媒体として作用するものである。
【0042】本発明方法において、化合物(a),
(b)および(c)は、下記2つの関係式 1.3≧(B+C)/A≧0.9 …(I) 0.21≧(C+D)/(A+B+C+D)≧0.05 …(II) が同時に成立するような量的割合で使用される。[これ
らの式中、Aは化合物(a)のモル数であり、Bはハイ
ドロキノン(b)のモル数であり、Cは4,4′−ジヒ
ドロキシジフェニル(c-1)のモル数であり、そしてD
は化合物(c-2)のモル数である。]
【0043】上方の式(I)は芳香族ジカルボン酸
(a)とジヒドロキシ化合物(化合物(b)および(c
-1))は重合体鎖を形成するために、適当なバランスを
維持して使用されるべきであることを示している。すな
わち、上方の式(I)が満足されない場合には、ポリマ
ーの重合度が上がりにくく、また重合反応の際に着色な
どを起し易くなる。
【0044】化合物(a),(b)および(c)の間に
は、好ましくは下記関係式が成立する。 1.2≧(B+C)/A≧1.0
【0045】下方の式(II)は、得られる全芳香族ポリ
エステル重合体に占める化合物(c-1)(c-2)に由来
する重合単位の割合を規定しようとするものである。す
なわち、(C+D)/(A+B+C+D)の値が0.0
5に満たない場合には、得られるポリマーの融点が高く
なり過ぎ、溶融重合および成形が困難になるので好まし
くない。またこの値が0.21を超える場合には、ポリ
マーの結晶化速度が速くなり、かつポリマーに異方性が
生じるため好ましくない。
【0046】化合物(a),(b),(c-1)および
(c-2)の間には、下記関係式が成立することが好まし
い。 0.21≧(C+D)/(A+B+C+D)≧0.07
【0047】本発明方法において、フェノール類(d)
は化合物(a)に対し下記関係式 E/A≧0.05 が成立するような量的割合で使用される。[Aは化合物
(a)のモル数であり、Eはフェノール類(d)のモル
数である。]
【0048】フェノール類(d)の使用量が上記割合に
満たない場合には、反応が遅く、また反応物が分解して
着色し易くなるなどの問題が生じる。
【0049】好ましくは、下記関係式 5≧E/A≧0.1 より好ましくは、下記関係式 2≧E/A≧0.2 特に好ましくは、下記関係式 1.5≧E/A≧0.3 が成立するような割合で使用する。
【0050】本発明方法では、上記成分(a),
(b),(c)および(d)を、エステル化触媒の存在
下に、加熱溶融せしめる。
【0051】エステル化触媒としては、例えば三酸化ア
ンチモン、酢酸第1錫、ジブチル錫オキシド、酸化ゲル
マニウム、チタニウムテトラブトキシド等が好適に用い
られる。
【0052】加熱溶融の間に、エステル化とエステル交
換反応とが進行し全芳香族ポリエステル重合体が生成す
る。加熱溶融反応は初期反応と重合反応に分けて説明す
るのが便利である。
【0053】初期反応は、芳香族カルボン酸(化合物
(a)および化合物(c-2))のカルボキシル基の少く
とも50%がヒドロキシ成分(化合物(b),(c-
1),(c-2)および(d))と反応してエステル化さ
れる段階である。この段階では反応によって水が生成す
るのでこれを反応系外に留去する。この段階ではフェー
ル類(d)が反応系外に留去しないようにする必要があ
る。
【0054】次の重合反応は、更にエステル化が進むと
同時にそれまでに生成したエステルと他種のヒドロキシ
成分との交換反応も進み重合が進行する段階である。こ
の段階では水とともにフェノール類(d)も反応系外に
留去するようにする。初期反応と重合反応とは、明確に
分けることはできないが、初期反応ではフェノール類
(d)の反応系外への留去を積極的に抑え、重合反応で
は留去させる点で区別する。
【0055】初期反応の反応温度は、触媒によっても異
なるが、150℃以上とするのが好ましい。より好まし
くは180℃以上であり、特に好ましくは230℃以上
である。また反応の進行とともに昇温するのが好まし
い。この場合の好ましい上限は330℃であり、より好
ましくは300℃程度である。
【0056】初期反応は常圧〜加圧下で行うことができ
る。フェノール類(d)の常圧下における沸点が反応温
度に比べ特に低い場合には、加圧条件下で反応すること
が好ましい。また、反応系は窒素、アルゴン等の不活性
ガス雰囲気下とすることが好ましい。
【0057】反応時間は、上記エステル反応が十分に進
行するに足る時間であればよく、また、この時間は反応
時間、反応スケール等によっても異なる。好ましくは3
0分〜20時間、より好ましくは1〜10時間程度であ
る。
【0058】上記反応に際しては、エステル化により発
生する水を反応系外に除去せしめることが好ましい。エ
ステル化反応は平衡反応であり、生成する水を系外に除
去するに従って、反応が進行し、生成物の収率、純度が
向上する。生成した水は、フェノール類(d)との沸点
差により、反応系外に除去することができるが、水と共
沸混合物を形成する有機溶媒を用いて共沸により、反応
系外に除去することもできる。該有機溶媒としては、そ
れ自身反応条件で分解することなく、反応系で実質的に
安定で、水と共沸するものであればよい。具体的には、
トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水
素が好ましく使用できる。
【0059】初期反応におけるエステル化反応の反応率
は50%以上とすることが好ましい。このエステル化反
応率は反応により生成する水の量により知ることができ
るが、より正確に求めるためには反応生成物の一部を取
出し、未反応−COOH価を測定することにより知るこ
とができる。初期反応におけるエステル化率は、より好
ましくは60〜95%、特に好ましくは70〜95%で
ある。
【0060】重合反応における反応温度は初期反応温度
乃至380℃で好ましく実施される。本発明方法におい
ては、該重合反応はポリエステルの溶融下で実施するこ
とが必要である。重合が進行するに従って反応物の融点
は上昇していくので、徐々に昇温しながら行うのが好ま
しく、例えば、ポリマーの固有粘度が0.5程度まで
は、好ましくは230〜340℃程度の温度で実施され
る。それ以上の固有粘度の場合、好ましくは340〜3
80℃、より好ましくは340〜360℃の温度で溶融
重合される。この際に、フェノール(d)は回収され再
使用される。
【0061】本発明方法により得られる全芳香族ポリエ
ステルは比較的溶融粘度が高いため、溶融重合で高重合
度化する場合、エクストルーダー型の反応器等で実施す
ることが好ましい。
【0062】重合反応は減圧下または不活性ガスを流
し、強制的に反応の結果生成する水およびフェノール
類、並びに、必要に応じて、過剰に用いたハイドロキノ
ンなどのジヒドロキシ芳香族化合物を反応系外に除去し
つつ行うのが有利である。
【0063】かくして上記本発明方法によれば、溶融重
合のみで、固有粘度が0.4〜2の全芳香族ポリエステ
ル重合体が得られる。好ましい固有粘度は0.45〜
1.3であり、より好ましい固有粘度は、繊維,フイル
ムの場合および繊維状強化材入り樹脂に使用する場合に
は0.45〜1.0、ポリマー単独樹脂成形品の場合に
は0.7〜1.3である。
【0064】また、本発明方法の好ましい態様は、上記
のとおり、上記加熱溶融を、先ずフェノール類(d)が
系外に留去し難しい条件下に、出発原料のカルボキシル
基の50%以上、好ましくは60〜95%、特に好まし
くは70〜95%がエステル化されるまで、生成した水
を系外に留去しつつ実施し、次いでフェノール類(d)
および生成した水を系外に留去しつつ実施し、かくして
所望の重合度のポリマーを得る方法であることが理解さ
れよう。
【0065】上記本発明方法により得られた結晶性全芳
香族ポリエステル重合体は、溶融状態で光学的に等方性
であり、かつ比較的低融点のため押出成形、射出成形等
の通常の溶融成形が可能である。しかも該ポリエステル
を溶融成形して得られた成形品は、機械的特性、寸法安
定性、耐熱性、耐薬品性、難燃性に優れているばかりで
なく、吸水性も小さいので、この全芳香族ポリエステル
は、エンジニアリングプラスチックス、繊維、フイルム
等の素材として極めて有用である。
【0066】本発明によれば、本発明の全芳香族ポリエ
ステル重合体の上記の如き優れた特性を生かした強化樹
脂組成物がさらに提供される。
【0067】すなわち、本発明の強化樹脂組成物は、
(イ)本発明方法により製品された結晶性全芳香族ポリ
エステル重合体、および、(ロ)繊維状強化材を含有し
てなり、そして、上記成分(イ)および(ロ)の合計重
量に基づいて成分(ロ)が5〜7重量%を占める、こと
を特徴とする。
【0068】特に、上記(イ)の全芳香族ポリエステル
重合体が前記重合単位A,BおよびCからなる全芳香族
ポリエステル重合体であるのが好ましい。
【0069】繊維状強化材(ロ)としては、例えばガラ
ス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、シリコンカーバイド
繊維、アルミナ繊維、チタン繊維等を挙げることができ
る。この繊維状強化材はそのアスペクト比が1.0以上
であることが好ましい。ここでアスペクト比とは繊維の
長さとその直径との比である。補強繊維のアスペクト比
に分布があるときには、その平均値をその繊維のアスペ
クト比とする。アスペクト比が10未満の場合には、機
械特性耐熱性に対する補強効果が不充分となり好ましく
ない。繊維状強化材としては上記繊維のうち、平均繊維
系5〜20μm程度のガラス繊維が特に好ましい。
【0070】これらの繊維状強化材(強化繊維)は、全
芳香族ポリエステルとの親和性、あるいは繊維そのもの
の取扱い性を向上させるため、カップリング剤、サイジ
ング剤等の表面処理剤を適宜付与したものが好ましく用
いられる。
【0071】全芳香族ポリエステルと強化繊維との配合
割合は、全芳香族ポリエステル95〜30重量%に対
し、強化繊維5〜70重量%である。好ましい配合割合
は全芳香族ポリエステル90〜40重量%そして強化繊
維10〜60重量%であり、特に好ましくは全芳香族ポ
リエステル15〜50重量%そして強化繊維15〜50
重量%である。
【0072】全芳香族ポリエステルと繊維状強化材との
混合は従来公知のコンパウンド化方法により実施するこ
とができる。
【0073】また、本発明の全芳香族ポリエステル重合
体および強化樹脂組成物には、適宜炭酸カルシウム等の
フィラー、タルク、金属粉末の如き核剤、金属石けん、
可塑剤、熱安定剤(例えば亜リン酸、リン酸、フェニル
ホスホン酸、トリフェニルホスファイト、トリフェニル
ホスフェート、トリフェニルホスフィン)、顔料あるい
は紫外線吸収剤等を含有せしめることができる。
【0074】また、他種ポリマーを上記全芳香族ポリエ
ステルの重量を基準にして1〜50重量%の割合でブレ
ンドすることも可能である。かかる他種ポリマーとして
は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナ
フタレート等のポリエステル、ポリフェニレンスルフィ
ド、ポリスルフォン、液晶性ポリアリレート、ポリフェ
ニレンエーテル、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケ
トン等があげられる。
【0075】
【発明の効果】以上のとおり、本発明の全芳香族ポリエ
ステルは、安価な原料を用い、かつ溶融重合法のみにて
製造可能であり、しかも(d)成分として使用するフェ
ノール類は回収再使用が可能であることから、極めて低
コストで工業的有利に製造することができる。また得ら
れた全芳香族ポリマーは融点が300℃以上の結晶性ポ
リマーであり、これと繊維状強化材とからなる本発明の
強化樹脂組成物は特に耐熱性、機械的特性、耐薬品性、
難燃性に優れており、新規な耐熱樹脂として極めて有用
であり、その工業的意義は大きい。
【0076】本発明の強化樹脂組成物は例えば射出成型
などのそれ自体公知の方法で溶融成形に付され、良好な
成形性にて任意の形態の成形品を与える。該強化樹脂組
成物からの成形品は荷重4.6kg/cm2 にて測定される
熱変形温度が300℃以上を示し得る程のすぐれた耐熱
性を有することができる。
【0077】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳述する。実
施例中単に「部」とあるは「重量部」を意味し、ポリマ
ーの固有粘度(Inherent Viscosity)はフェノール/テ
トラクロルエタン混合溶媒(重量比60/40)を用い
濃度0.3g/dl温度35℃で測定した値である。ま
た、ポリマーの融点(Tm)およびガラス転移温度(T
g)はDSCを用い昇温速度10℃/分で測定した。成
形品の機械的・熱的性質は次の基準により測定した。
【0078】引張り強度: ASTM D638 破断伸度 : ASTM D638 曲げ強度 : ASTM D790 曲げ弾性率: ASTM D790 衝撃強度 : ASTM D256 熱変形温度: ASTM D648
【0079】また、ポリマー組成の分析は次の方法によ
り実施した。 [ポリマー組成の分析方法]0.2gのポリマーを、窒
素気流中、エチレングリコール20gおよび水酸化カリ
ウム0.2gとともに10分間、加熱リフラックスす
る。ポリマーが完全に溶解した後、冷却し5規定塩酸
1.5mlを加え、強酸性とする。これにメタノール30
mlを添加して沈澱を溶解させたものを試料溶液とする。
【0080】分析はMerck社製、逆相カラム(Lich
rosorb RP −18)をWaters社製液体クロマトグラ
フィーシステム(Waters 600)に装着して実施した。分
離液はメタノール(0.05N、リン酸)を使用し、1
ml/分の流速でおこなった。流出分のモニターは287
nmでの吸光度を使用した。
【0081】ハイドロキノンとジヒドロキシジフェニル
のピーク強度を各々分離定量し、予め求めた検量線によ
り両者のモル比を算出し、ポリマー中のジオール成分に
おける重合単位Cの共重合率x(モル%)を求めた。
【0082】
【実施例1】イソフタル酸166部、ハイドロキノン8
1部、4,4′−ジヒドロキシジフェニル59部、フェ
ノール47部および三酸化アンチモン0.09部を、撹
拌装置、留出系を備えた反応器に仕込み(イソフタル酸
/ハイドロキノン/4,4′−ジヒドロキシジフェニル
/フェノールのモル比は100/73.5/31.5/
50に相当する)、窒素で加圧し280℃に加熱した。
圧力を5kg/cm2 から2kg/cm2 に徐々に下げつつ、か
つ反応によって生成する水を系外に留去し、5時間反応
させた。この間に28部の水が生成した(エステル化反
応率78%)。
【0083】次いで、反応系を常圧に戻し、窒素気流
中、揮発成分を系外に留去させつつ60分間反応させ
た。この間に反応温度は280℃より330℃まで昇温
した。次に、系内を徐々に減圧とし60分後には約0.
5mmHgの高真空下として60分間反応させてポリマーを
得た。得られたポリマーは固有粘度0.78、Tm32
5℃、Tg170℃で結晶性の良好なポリマーであっ
た。また、得られたポリマーの組成を分析したところx
の実測値は30(モル%)であった。
【0084】これに対し、米国特許第3,160,60
2号実施例5に記載の方法を追試して製造したポリマー
は、本実施例とほぼ同一組成であるが、融点(Tm)は
335〜372℃であることが確認された。
【0085】
【実施例2】実施例1と同様の反応器に、イソフタル酸
116部、ハイドロキノン81部、p−ヒドロキシ安息
香酸フェニル64部、フェノール46部、酢酸第1錫
0.1部およびエチルベンゼン100部を仕込み(イソ
フタル酸/ハイドロキノン/p−ヒドロキシ安息香酸フ
ェニル/フェノールのモル比は70/73.5/30/
49に相当する)、内温を230℃から280℃まで徐
々に上昇しつつ、かつ反応の際生成する水がエチルベン
ゼンとの共沸で反応系外に留去されるように圧力を調節
しつつ反応させた。約7時間の反応により21部の水が
留去した(エステル化反応率83%)。次いで反応系を
常圧に戻し、あとは最終反応温度を340℃する以外は
実施例1と同様な方法で溶融重合反応を行うことにより
ポリマーを得た。
【0086】得られたポリマーは光学的に等方性で結晶
性を有し、その固有粘度は0.81、Tm328℃、T
g162℃の結晶性ポリマーであった。
【0087】
【実施例3〜7及び比較例1】実施例1と同様の反応器
にイソフタル酸、ハイドロキノン、4,4′−ジヒドロ
キシジフェニル、p−ヒドロキシ安息香酸フェニル、フ
ェノール類、触媒の所定量(後掲の表1参照)を仕込
み、窒素置換した後、表2に示した条件下で反応によっ
て生成する水を系外に留去せしめた。この際に留出した
水の量から求めたエステル化率を表2の「反応率」欄に
示した。次いで、反応系を常圧に戻し、280℃で窒素
気流中、揮発成分を系外に留去させつつ60分、次いで
30分間で表2に記載した温度に昇温し、更に30分間
反応せしめた後、系内を徐々に減圧とし、30分後には
0.5mmHg以下の高真空下として、更に表2に記載され
た時間反応させた。いずれの場合も光学的に等方性で結
晶性の良好なポリマーが得られ、その固有粘度、Tm、
Tg及びxを表2に示した。
【0088】なお、比較例1として、フェノール成分を
使用しない例を示したが、この場合エステル化反応時、
反応物が分解着色して重合することができなかった。
【0089】上述の実施例1〜7及び比較例1を対比す
ると、本発明方法により原料中にフェノール類を特定量
含有することによって、系中においてエステル化反応お
よびエステル交換反応が順次効率的に行なわれるように
なり、溶融重合のみでも良好な高重合度ポリマーを生産
性よく製造できることが判る。
【0090】
【表1】
【0091】
【表2】
【0092】
【実施例8】イソフタル酸166部、ハイドロキノン9
9部、4,4′−ジヒドロキシジフェニル28部、フェ
ノール94部(上記各成分のモル比は100/90/1
5/100に相当)および三酸化アンチモン0.09部
を、撹拌装置と留出系を備えた反応器に仕込み、窒素加
圧下280℃に加熱した。圧力を5kg/cm2 から2kg/
cm2 に徐々に下げつつ、かつ反応によって生成する水を
系外に留去しつつ、5時間反応させた。この間に29部
の水が生成した。この際のエステル化率は81%であっ
た。次いで反応系を常圧に戻し、窒素気流中で揮発成分
を系外に留去させつつ60分間反応させた。この間に反
応温度を280℃より340℃まで昇温した。
【0093】引続き、系内を徐々に真空下として60分
後に約0.5mmHgの高真空下として更に40分間反応さ
せ、固有粘度0.41のポリマーを得た。
【0094】次に、2箇所に真空可能なベント口を有す
るL/D42の30mmφ同方向回転2軸エクストルーダ
ーを用い、ポリマー温度350〜360℃、スクリュー
回転数50rpm、真空ゾーンでの平均滞溜時間約10
分の条件下で上記ポリマーを溶融反応させた。この際、
各ベント口の前部には通常の搬送用スクリューと逆向き
のスクリュー部を設けて真空ゾーンをシールすることに
より、2箇所のベント口を夫々約1mmHgの真空に保っ
た。
【0095】このエクストルーダー中での溶融反応によ
り得られたポリマーは、光学的等方性、結晶性で、固有
粘度0.68、Tm347℃、Tg164℃のものであ
った。また、このポリマーのxは17(モル%)であっ
た。
【0096】
【実施例9〜12】実施例8で得られた全芳香族ポリエ
ステルの所定量と長さ3mmのガラス繊維チョップドスト
ランド(日本電気硝子、717/P)の所定量とをドラ
イブレンドし、内径30mmφの1軸エクストルーダーを
用いて、ポリマー温度360℃、平均滞溜時間約5分の
条件下で溶融ブレンドした。得られたコンパウンドを射
出成形機(日本製綱所、N40A型)を用いて、ポリマ
ー温度360℃、成形リサイクル40〜60秒の条件下
で評価用試験片を射出成形した。
【0097】得られた成形品の物性を表3に示す。表3
より本発明の樹脂組成物が、優れた耐熱性、機械特性を
有していることがわかる。
【0098】
【表3】
【0099】
【実施例13】実施例10の成形品の難燃性評価のた
め、JIS K1201により限界酸素指数を測定し
た。その結果、限界酸素指数は36.5であった。これ
により本発明の樹脂が極めて難燃性に優れていることが
わかる。
【0100】
【実施例14】イソフタル酸166部、ハイドロキノン
94部、4,4′−ジヒドロキシジフェニル37部、フ
ェノール94部(上記各成分のモル比は100/85.
5/20/100に相当)、および三酸化アンチモン
0.09部、リン酸トリフェニル0.33部並びにエチ
ルベンゼン30部を、撹拌装置および共沸により留出し
た水およびエチルベンゼンを液々分離してエチルベンゼ
ンだけを循環することのできる精留循環塔を有する加圧
反応釜に仕込み、3.0kg/cm2 の窒素加圧下285℃
に加熱したところ、エチルベンゼンとエステル化反応に
より生成した水が共沸して留出した。留出液をクリンカ
ーゲージを有するポット中で液々分離し、上層のエチル
ベンゼンだけをオーバーフローさせて反応釜中に循環さ
せた。
【0101】上記反応を6.5時間実施したところ、3
2.8部の水が留去したことが確認された(エステル化
率91%)。次いで反応系を常圧に戻し、窒素気流中、
揮発成分を系外に留去させつつ、60分間反応させた。
この間反応温度を290℃より340℃まで昇温した。
【0102】次いで反応系内を徐々に減圧とし、60分
後に0.5mmHgの高真空下として90分間反応させポリ
マーを得た。得られたポリマーは、光学的等方性の結晶
性ポリマーであり、固有粘度0.61、Tm346℃、
Tm158℃であった。また、このポリマーのxは20
(モル%)であった。
【0103】
【実施例15】実施例14で得られたポリマーを150
℃の熱風下で4時間乾燥し、360℃で溶融させ、直径
0.2mm、長さ0.6mmの紡糸口金を用いて溶融押出
し、30m/分の速度で巻きとった。得られた未延伸糸
を延伸温度220℃、延伸比2.5で延伸した。得られ
た延伸糸の物性を次に示す。
【0104】延伸糸の物性 引張り強度 3.3g/de 破断伸度 6% ヤング率 69g/de
【0105】
【実施例16】実施例14で得られたポリマーを150
℃の熱風下で4時間乾燥後、エクストルーダーによりポ
リマー温度360℃で溶融押出し、120℃の温度に保
持したたキャスティングドラム上へキャストし、厚さ1
00μmの未延伸フイルムを得た。該未延伸フイルムを
210℃で機械(タテ)方向2.0倍、幅(ヨコ)方向
2.0倍に同時2軸延伸し、更に定長下で260℃で2
分間熱処理した。かくして得られたフイルムの物性を次
に示す。
【0106】フイルム物性(タテ方向) 引張り強度 15kg/mm2 破断伸度 56% ヤング率 260kg/mm2
【0107】
【実施例17】実施例14で得られたポリマーを射出成
形機(日本製綱所、N40A型)を用いて、ポリマー温
度350℃、成形温度150℃、射出圧800kg/c
m2 、成形サイクル、35秒の条件下で射出成形し試験
片を得た。
【0108】得られた成形品(試験片)は、引張強度8
40kg/cm2 、曲げ強度920kg/cm2 、曲げ弾性率2
3800kg/cm2 、衝撃強度(アイゾット、ノッチ付、
1/4インチ厚)10.5kg・cm/cm、熱変形温度(荷
重18.5kg/cm2 )は172℃であり、難燃性はUL
−94による測定において、試料厚さ1/16インチ、
1/32インチともにV−Oであった。
【0109】
【実施例18】実施例2に於てp−ヒドロキシ安息香酸
フェニル64部の代りに2−ヒドロキシ−6−ナフトエ
酸フェニル79.2部を使用する以外は実施例2と同様
にエステル化反応せしめた。この際のエステル反応率は
78%であった。次いで実施例2と同様に溶融重合反応
を行ったところ、固有粘度0.76、Tm330℃、T
g159℃の結晶性ポリマーが得られた。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】(a)下記式(A)で表わされる重合単位
    A、 【化1】 下記式(B)で表わされる重合単位B、および 【化2】 下記式(C)で表わされる重合単位C 【化3】 からなるポリエステルであって、かつ、(b)下記関係
    式(1) 370−2x<Tm(℃)<388−2x (1) [ここで、xは重合単位Bおよび重合単位Cの合計を基
    準にしての重合単位Cのモル割合(モル%)であり、T
    mは重合体の融点(℃)である。但し、xは10〜35
    (モル%)の数である。]を満足する融点(Tm℃)を
    示し、そして、(c)フェノール/テトラクロロエタン
    (重量比)が60/40である混合溶媒中35℃で測定
    した固有粘度が0.4〜2の範囲にある、ことを特徴と
    する結晶性全芳香族ポリエステル重合体。 【請求項2】(a)イソフタル酸又はイソフタル酸を主
    たる酸成分とする芳香族ジカルボン酸、(b)ハイドロ
    キノン、(c)(c-1)4,4′−ジヒドロキシジフェ
    ニル、および、(c-2)p−ヒドロキシ安息香酸、2−
    ヒドロキシ−6−ナフトエ酸又はそれらのエステル形成
    性誘導体、よりなる群から選ばれる少くとも1種の化合
    物、並びに(d)炭素数1〜5のアルキル基で置換され
    ていてもよいフェノール類を、下記3つの関係式 1.3≧(B+C)/A≧0.9 0.21≧(C+D)/(A+B+C+D)≧0.05 E/A≧0.05 (ここで、Aは芳香族ジカルボン酸(a)のモル数、B
    はハイドロキノン(b)のモル数、Cは化合物(c)に
    おける4,4′−ジヒドロキシジフェニル(c-1)のモ
    ル数、Dは化合物(c)における化合物(c-2)のモル
    数であり、そしてEはフェノール数(d)のモル数であ
    る)を同時に満足する割合で、エステル化触媒の存在下
    に加熱溶融反応せしめて、固有粘度が0.4〜2の範囲
    にある全芳香族ポリエステルを生成させる、ことを特徴
    とする結晶性全芳香族ポリエステル重合体の製造法。 【請求項3】上記加熱溶融を、先ずフェノール類(d)
    が系外に留去し難しい条件下で、出発原料のカルボキシ
    ル基の50%以上がエステル化されるまで、生成した水
    を系外に留出しつつ実施し、次いでフェノール類(d)
    および生成した水を系外に留去しつつ実施し、かくして
    所望の重合度のポリマーを得る、請求項2記載の結晶性
    芳香族ポリエステル重合体の製造法。 【請求項4】請求項2又は3記載の方法により製造され
    た結晶性全芳香族ポリエステル重合体。 【請求項5】(イ)請求項1又は4記載の全芳香族ポリ
    エステル重合体および(ロ)繊維状強化材を含有してな
    り、そして、上記成分(イ)および(ロ)の合計重量に
    基づいて成分(ロ)が5〜70重量%を占める、ことを
    特徴とする強化樹脂組成物。 【請求項6】繊維状強化材がアスペクト比10以上のガ
    ラス繊維である請求項5記載の強化樹脂組成物。 【請求項7】請求項5又は6記載の強化樹脂組成物から
    実質的になる成形体。 【請求項8】荷重4.6kg/cm2 での熱変形温度が30
    0℃以上である請求項7記載の成形体。
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